結論からいえば、必ずしも「新卒2年目で転職＝甘え」というわけではありません。

「職場環境が劣悪で精神を病んだ」「自分のキャリアを踏まえて辞めた」といった明確な理由があるなら、無理して現職で働く必要はないでしょう。

ただし、「なんとなく仕事がつまらない」「自分のスキルアップを図らず待遇面に不満を持つ」といった理由での転職は避けるべきです。

自分の努力次第で改善できそうなら、まずは行動を起こしてから転職しても遅くありません。

本記事では、新卒2年目の転職で「甘え」と思われないケースや2年目で転職するメリット、転職成功のポイントなどを解説します。

関連記事：新卒2年目の転職は難しい？主な転職理由や転職成功のコツを解説

明確な理由があれば新卒2年目で転職しても「甘え」とは思われない

まず結論からいえば、明確な理由があれば新卒2年目で転職しても「甘え」とは思われません。

「どんな状況で数年は耐えるべき」と考える必要はないため、ご安心ください。

具体的に「甘えと思われないパターン」は以下のとおりです。

すでに身体的・精神的な影響が出ている

仕事のストレスで「眠れない」「涙が出てくる」といった症状が出ている場合、転職しても甘えとは思われません。

すでに無理をしているため、早めに転職すべきです。

とくに適応障害や自律神経失調症、うつ病など具体的な病名を診断された場合は、休職も含めて今後の働き方を検討しましょう。

自分の身体や心を犠牲にしてまで働く必要はありません。

以下の記事では具体的な病名ごとに、就活の進め方などについて解説しています。

ご自身の症状に合わせ参考にしてください。

関連記事：適応障害に向いてる・向いてない仕事と職場探しのポイント５つ
関連記事：自律神経失調症と転職｜休職・復職・退職など仕事への対処法を紹介
関連記事：うつ病だと就活できない？バレる？隠さずに最短で内定をもらう方法を解説

パワハラや残業代の未払いなど明らかに労働環境が悪い

以下のように明らかに劣悪な労働環境の場合、転職しても甘えとは思われません。

上記の環境で無理して働いても、自分の身体や心を壊す可能性が高いため、すぐに転職しましょう。

転職先を検討する際は、現職と同じブラック企業を選ばないよう注意してください。

ブラック企業の見抜き方や万が一入社した場合の対処法などは、以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事：ブラック企業を見抜く方法｜ホームページ・面接・求人票から見分ける方法を徹底解説

自分の目指すキャリアと職場の方向性がマッチしない

明確なキャリア像があり、「現職では目標達成に必要なスキルや経験が身に付かない」と判断した結果の転職であれば、甘えとは思われません。

選考でも、今後の目標を踏まえ転職理由を論理的に説明できれば、プラスの印象を与えられます。

とくに転職は、年齢が若いほど有利です。

そのため「目標を踏まえ異業種にチャレンジしたい」という場合は、なおさら早めに転職しましょう。

業務・福利厚生の内容が事前の説明と著しく異なる

以下のように、入社後の業務内容や福利厚生などが事前説明と著しく異なる場合、転職しても甘えとは思われません。

確かに企業では、ある程度柔軟な業務対応が求められます。

とはいえ、「入社前に明らかな嘘を伝えられた」と判明したのであれば、無理して働く必要はありません。

企業の業績が著しく悪い

企業の業績が悪化し倒産しそうな場合も、早めに転職するべきです。

以下のような特徴に当てはまる企業は、業績が悪化している可能性があります。

長期的なキャリアを考えても、倒産リスクのある企業は早めに見切りをつけ、転職先でスキルを身に付けたほうがよいでしょう。

上記も含めて、退職したほうがよい企業の特徴は以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事：退職した方がいい会社の特徴14選！該当する時の対処方法も解説

新卒2年目で辞める人は一定数いるため過度に心配する必要はない

上記のように明確な理由があれば、2年目で転職しても甘えとは思われません。

また、新卒2年目で辞める人は一定数いるため、過度に心配する必要はないでしょう。

厚生労働省の調査でも、平成29年〜令和3年の5年間における「大学卒業後2年以内に辞めた割合」は、以下のようになりました。

大学卒業後2年以内に辞めた割合
平成29年	11.4％
平成30年	11.3％
平成31年（令和1年）	9.7％
令和2年	11.3％
令和3年	12.3％

過去の結果を見ても「毎年10％前後」は離職しているため、新卒2年目で辞めることは決して珍しくありません。

転職が「甘え」と思われやすいケース

一方で、転職理由が以下に当てはまる場合は「甘え」と思われる可能性があります。

上記に当てはまったら、一度「本当に転職すべきか？」を考え直しましょう。

漠然と「仕事がつまらない」と感じる

「なんとなく仕事がつまらない」という理由で転職すると、甘えと思われるかもしれません。

漠然と仕事がつまらない場合、「明確な目標がない」「仕事の意義を見つけようとしていない」など、本人に原因があると考えられます。

自分自身が原因であれば、本人の心がけ次第で状況を改善できるため、安易に転職すべきではありません。

また、明確な理由を持たず転職すると、企業から「入社しても同じ理由ですぐ辞めるのでは？」と不安に思われます。

具体的に「仕事のつまらなさはどうやって解決すればよいの？」と気になった方は、以下の記事を参考にしてください。

関連記事：仕事が「つまらない」は転職で解決できる？理由や解決方法を解説

年収の低さやボーナスの少なさなど待遇面だけに不満を持っている

仕事を続けるうえでは、年収やボーナスといった待遇面の良し悪しも大切です。

とはいえ、待遇面「だけ」を不満に感じ転職すると、甘えと思われるかもしれません。

そもそも新卒2年目は、まだ育成段階であり売上にも大きくは貢献していないため、高待遇を受けにくいことが一般的です。

そうした状況を考慮せず、「年収が低い」と一方的に不満を感じ退職しても、転職先によい印象は与えられません。

自分のスキルと向き合わず「やりたい仕事ができない」と不満に感じる

新卒2年目は育成段階のため、いきなり希望した仕事を任せてもらえるとは限りません。

希望の仕事をやりたいのであれば、「資格を取得する」「新規プロジェクトに参画し経験を積む」などで積極的にスキルアップを図り、1日も早く職場から信頼されるように努力すべきです。

そうした努力をせず「自分を評価しない職場が悪い」と考え転職しても、企業からは甘えと思われるでしょう。

少し人間関係に悩んだだけで転職する

少し人間関係に悩んだだけで転職することも避けましょう。

さまざまな従業員が働く以上、少なからず「人間関係の合う・合わない」は出てきます。

そのため、少し意見が合わなかったり価値観が違ったりしただけで、衝動的に転職することは避けましょう。

まずは「自分から歩み寄る」「仕事に支障が出ない程度に距離を置く」などの工夫をおこない、改善することが大切です。

もちろん「パワハラを受けている」「無視される」など、明らかに悪意のある従業員がいる場合、転職しても甘えとは思われません。

新卒2年目で転職するメリット

基本的には明確な理由があれば「甘え」と思われないため、2年目でも安心して転職しましょう。

むしろ「2年目で転職するからこそ」のメリットもあります。

新卒と同じようにポテンシャル採用をしてもらえる

2年目であれば、新卒と同じようにポテンシャル採用をしてもらえます。

一般的には、大学卒業後から3年以内の求職者を「第二新卒」と呼びます。

基本的に第二新卒は、新卒と同じ「ポテンシャル枠」で採用されるため、2年目で転職しても大きなネックにはなりません。

国も企業に対し「卒業後3年以内の人材は新卒枠で採用してほしい」と呼びかけており、転職しやすい土台は整備されています。

参考：厚生労働省 | 3年以内既卒者は新卒枠で応募受付を!!

もし職場環境が明らかに悪いなら、「精神を病む」「スキルが身に付かないまま年齢が上がる」といった状況に陥る前に見切りをつけ、新卒枠で転職しましょう。

第二新卒が転職を成功させるポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事：第二新卒が転職を成功させるための3つのポイントを徹底解説

未経験の業種・職種にチャレンジしやすい

ポテンシャル枠で採用されやすいため、未経験の仕事にもチャレンジできます。

転職では年齢を重ねるごとに実績やスキルを重視されるため、未経験の仕事に挑戦するなら若いほうが有利です。

とくに「キャリアを踏まえて別の業界で仕事したい」という場合、未経験でも歓迎される2年目の間に転職すべきでしょう。

まだまだ若手のため教育してもらいながら働ける

2年目であれば若手扱いされるため、丁寧に教育してもらいつつ働けます。

転職では年齢が上がるほど実績やスキルを重視され、「即戦力」としての働きを求められます。

そのため、入社後に教育してもらうことは難しくなり、目立ったスキルや経験を持たないと転職で苦労するでしょう。

2年目なら若手と認識されるため、新卒と同じく教育してもらいながら働けるでしょう。

一定の社会人経験をアピールできる

新卒と同じ扱いを受けつつ、一定の社会人経験をアピールできる点も2年目で転職する魅力です。

短期間とはいえ就職経験があるため、企業からは「最低限のビジネスマナーやスキルが身に付いている」とプラスに判断されます。

求職者からすると、新卒と同じフレッシュさや柔軟性などに加えて「社会人経験」もアピールできるため、転職を有利に進められるでしょう。

新卒2年目で転職する際の注意点

ただし、新卒2年目で転職する場合、以下のような点に注意しましょう。

転職理由を上手く伝えられないと「甘え」と思われる可能性がある

転職理由を整理して上手く伝えられないと、「甘え」と思われる可能性があります。

「どの程度まで人間関係のストレスに耐えられるか？」「劣悪な労働環境を乗り越えるタフさがあるか？」といった感覚は、個人で異なります。

自分が「この職場では働けない」と真剣に悩んで転職しても、採用担当者の感覚が異なれば、残念ながら甘えと捉えられるかもしれません。

甘えと思われないためには、具体的に「何が・どのように辛くて転職したのか？」を整理し、自分の認識を正しく伝えることが大切です。

企業によっては、どのような理由でも「2年で転職は早い」と思われる

2年で辞めている事実がある以上、理由に関わらず「2年で転職は早すぎる」「入社してもすぐ辞めるのでは？」と思われる可能性はあります。

ただ、前提として、すべての企業に自分の転職理由を正しく理解してもらうことは不可能です。

そのため「自分なりに転職理由を深掘りして誠実に伝えたが採用されなかった」という場合は、単純に考え方が合わなかったと割り切りましょう。

もちろん、伝え方に改善の余地があるなら、次回の選考までにブラッシュアップすることが大切です。

新卒とまったく同じ感覚で転職活動をすることはNG

新卒と同じポテンシャル枠で採用されやすいですが、「新卒とまったく同じ感覚で転職してよい」というわけではありません。

短期間でも社会人経験がある以上は、以下の点を意識することが必要です。

転職を繰り返しすぎないよう気を付ける

2年目で転職が成功すると、人によっては転職がクセ付く可能性もあります。

もちろん、転職自体は悪いことではありません。

しかし「今後も困ったら辞めればよい」と安易に考えると、転職回数ばかり増えてスキルが身に付かず、年齢を重ねてから苦労することもあり得ます。

劣悪な職場環境からは逃げるべきですが、毎回「少しでも困ったら転職する」と考えることは避けましょう。

年収や待遇などは下がる可能性がある

新卒2年目はスキルが未熟なため、年収や待遇が下がる可能性も0ではありません。

とくに「未経験の業種・職種へ転職する」「現職が大手で他社の同期より年収はすでに高い」という場合、待遇は下がりやすいでしょう。

転職前に「状況改善に向けた努力」をおこなうことが大切

転職前に、まずは以下のような「状況改善に向けた自分なりの努力」をおこないましょう。

自分なりに努力したうえで「今の職場では続けられない」と判断したのであれば、転職しましょう。

環境を改善するために行動してから転職すれば、後悔は残りません。

また、転職先にも「自発的な人材である」というプラスの印象を与えられるでしょう。

もちろん、パワハラや過度な長時間労働が起こっている職場なら、すぐに転職すべきです。

しかし、改善の余地がある職場なら、まずは自分なりに努力してから転職を視野に入れましょう。

新卒2年目で転職を成功させるポイント

実際に新卒2年目で転職する場合は、以下のポイントを押さえましょう。

「甘え」と思われないように転職理由を明確にする

2年目で転職する場合、理由に関わらずネガティブな印象を持つ企業は存在します。

企業から「甘え」と勘違いされないためには、理由を洗い出し転職先が納得できる説明を準備することが重要です。

具体的には「何が・どのように辛くて転職したのか？」を伝えましょう。

現職を続けながら転職活動に取り組む

職場環境が相当ひどい場合を除き、現職を続けながら転職活動を進めましょう。

スキルが未熟な新卒2年目では、なかなか転職先が見つからない可能性もあります。

転職が決まらないと、つい妥協して企業を決めたくなるでしょう。

しかし、妥協した結果「以前よりも職場環境が悪化した」となっては、転職の意味がありません。

精神的な余裕を持つためにも、現職で働きながら転職活動を進めましょう。

自己分析をおこない「2年目ならではの強み」を洗い出す

自己分析をおこなう際は、2年目ならではの強みを洗い出すことが大切です。

具体的には「新卒と同じフレッシュさや柔軟性がありつつ社会人経験もある」という点を押し出すと、企業へ以下の印象を同時に伝えられます。

ポテンシャルを期待してもらいつつ、社会人経験で身に付けたことをアピールできるのは、2年目ならではの魅力です。

上記の2点をベースに、前職で身に付けたスキルや勉強してきた内容、今後の目標などを話すとよいでしょう。

転職理由はなるべくポジティブな印象で終わるように伝える

転職理由はなるべくポジティブな印象で終わるように意識しましょう。

転職理由の中には、「長時間労働が当たり前になっていた」「入社前の説明とまったく違う業務を押し付けられた」など、ネガティブなものもあります。

とはいえ、あまりストレートに伝えると、企業にネガティブな印象しか残りません。

場合によっては「環境は大変そうだが自分で努力できる部分はなかったのか？」と思われることもあります。

なるべくポジティブなイメージを持ってもらうために、「大変な環境の中で自分なりに努力したこと」などを交え、前向きな言葉で転職理由をまとめましょう。

転職先の希望条件に優先順位を付ける

転職先の希望条件には優先順位を付けましょう。

新卒2年目は、少なからず社会人経験で身に付けたスキルや学んだこともチェックされるため、「完全にポテンシャルのみでどこでも就職できる」というわけではありません。

そのため、少しでも選択肢を増やすため、転職先の希望条件には優先順位を付けましょう。

転職理由に関わる部分は、優先順位を上げることがおすすめです。

たとえば、過度な長時間労働が原因で辞めたのであれば、「残業時間の少なさ」の優先順位は高くなります。

業界・企業研究を入念におこなう

業界・企業研究は必ずおこないましょう。

業界・企業研究をおこない、必要なスキルや求められる人物像を把握することで、「どのスキルを・どのようにアピールするべきか？」を適切に判断できます。

とくに、2年目はまだ社会人経験が少ないため、新卒と同じようにイメージだけで転職先を選ぶ可能性があります。

イメージで選ぶと入社後にミスマッチを起こし、再び短期離職することになりかねません。

やみくもな転職を防ぐ観点でも、業界・企業研究は入念におこないましょう。

転職エージェントを活用する

転職エージェントのサポートを受けて転職活動を進めてもよいでしょう。

転職エージェントであれば、「正しく伝わる転職理由のまとめ方」「2年目ならではの魅力のアピール方法」などに関するアドバイスを受けられるため、スムーズに転職活動を進められます。

とくに社会人経験が短い2年目の場合、どうしてもイメージだけで企業を選ぶこともあるでしょう。

そのため、転職の知識を持つプロからアドバイスを受けて、マッチしない企業を選ぶリスクを減らすことが重要です。

転職を成功させたい新卒2年目の人におすすめの転職エージェント3選

それでは具体的に、新卒2年目の人におすすめの転職エージェントを紹介します。

リクルートエージェント

ビズリーチ

マイナビジョブ20‘s

新卒2年目で転職する際によくある質問

最後に、新卒2年目が転職する際によくある質問をまとめました。

転職前にチェックしましょう。

最後に | 必ずしも「新卒2年目の転職＝甘え」ではない！自分の状況を整理して転職を検討することが大切

新卒2年目で転職しても、必ずしも「甘え」というわけではありません。

「パワハラを受けている」「過度な長時間労働が当たり前になっている」など職場環境が劣悪な場合は、自分の身を守るためにも転職すべきです。

一方で「なんとなく仕事がつまらない」「自分のスキルを踏まえず待遇面に不満を持つ」といった理由で転職すると、企業から甘えと思われる可能性があります。

上記の場合は努力次第で改善の可能性があるため、できる限り行動してから転職を考えても遅くありません。

転職する際は、「転職理由を明確に洗い出す」「自己分析で2年目ならではの強みを把握する」などのポイントを意識しましょう。

辞めた理由を正しく伝えられれば、企業から「甘え」と思われることはありません。

スムーズに転職活動を進めるには、転職エージェントも活用しましょう。

プロからアドバイスを受けることで、「自分にはどんな2年目ならではの強みがあるのか？」「甘えと思われないためには転職理由をどのようにまとめるべき？」などの疑問点を解消し、希望の企業へ入社できる可能性を高められます。

本格的に転職活動をはじめた際にスムーズに取り掛かれるよう、まずは登録して求人だけでもチェックしておきましょう。