公務員から転職は難しい?おすすめの業種や成功ポイントを解説

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公務員として希望に満ち溢れ働き始めたものの、理想と現実との違いに悩んでいるという方も少なくないでしょう。

日々の業務は、「想像以上に激務」「人間関係が閉鎖的…」「非効率な業務体制にうんざり」など、理想と現実との違いに苦しみ、公務員の仕事を続けていくべきか、常にその悩みが頭の中を巡っている方がいるのも事実です。

公務員から民間企業への転職に成功した方がいる一方で、転職に失敗、後悔している方もいます。その違いはどこにあるのでしょうか。

この記事では、公務員が民間企業へ転職したいと思ったときに知っておきたい「転職を成功させるポイント」「失敗しない転職活動の方法」を詳しく紹介します。

公務員からの転職をプロに無料相談してみよう!

【参考記事】
長期統計等資料 2 国家公務員採用総合職・一般職(大卒程度・高卒者)試験等の実施状況|令和3年度 年次報告書|人事院
-令和3年雇用動向調査結果の概況-|厚生労働省 
※国家公務員一般職の数値と比較するため、2020年の数値を参考
長期統計等資料 3 一般職国家公務員の在職者・離職者数の推移|令和3年度 年次報告書|人事院 
※離職率=離職者数÷在職者数×100として算出

目次

公務員からの転職が難しい理由

公務員の転職が難しいといわれるのは、以下のような理由が考えられます。

  • 公務員に対して不信感をもつ方もいるから
  • 業務内容が理解されていないから
  • 「優秀である」というイメージが先行してしまうから
  • 業務に対する認識が違うと思われているから
  • 公務員のような給与面など待遇が安定した企業が少ないから

それぞれ確認していきましょう。

公務員に対して不信感をもつ方もいるから

ニュースなどで見聞きした情報をもとに、公務員そのものに不信感をもつ方もいるようです。

少し古いデータですが、2007年に内閣府がおこなった国家公務員制度に関する世論調査の結果があります。国家公務員の働きぶりについての評価は、高いとはいえないものでした。

「公務員制度に関する特別世論調査」の概要(2007年)|内閣府政府広報室
引用元:「公務員制度に関する特別世論調査」の概要(2007年)|内閣府政府広報室

「国民のニーズに応える働きをしていない」と回答した方は合計で56%、一方、好感をもっている方の合計は35.2%という結果でした。つまり、半数以上の方は国家公務員に不信感を抱いているという結果です。

また、「国民のニーズに応える働きをしていない」と回答した方に理由を尋ねた結果は以下のとおりです。

「公務員制度に関する特別世論調査」の概要(2007年)|内閣府政府広報室
引用元:「公務員制度に関する特別世論調査」の概要(2007年)|内閣府政府広報室

「天下りの多さ」や「身分の保障」など、ほとんどの方が明確な理由をもって国家公務員に良くないイメージを抱いていることがわかります。

このアンケート調査は国家公務員を対象としたものです。しかし、回答者は公務員全体に対しても、同様のイメージを持っている可能性は否定できないでしょう。

転職活動時の採用担当者が公務員に対してこのような不信感を抱いている場合、厳しい目で評価されてしまうかもしれません。

業務内容が理解されていないから

公務員が国の業務に従事していることは知っているものの、具体的な業務内容まで理解している人は少ないかもしれません。

マイナビが2022年に実施したアンケート調査によると、公務員の仕事に関する情報が民間企業に比べて少ないと感じた学生の割合は75.4%で、4人中3人が情報の少なさを実感していたことがわかります。

その中でも「どのような情報が少ないか」と聞いたところ、77.8%の学生が「詳しい仕事内容についての情報が少ない」と回答しました。

つまり、社会人になっても公務員がどのような業務をしているのか、いまいちわからないままという方も多いと推測されます。

このように、公務員の仕事内容は公開されている情報が少なく、一般的にイメージしにくいものであると考えられます。転職活動の際には、公務員を経験していないに採用担当者にも伝わるように、仕事内容だけでなく業務の背景などについても、具体的にわかりやすい言葉で説明するとよいでしょう。

【参考記事】マイナビ2023年卒公務員イメージ調査|マイナビ

「優秀である」というイメージが先行してしまうから

公務員になるには、先述の通り公務員試験や限られた採用枠を突破する必要があります。中でも国家公務員の採用試験は公務員試験の中でも最難関といわれ、申込者数に対する採用者数は職種によって約4.1~約12%と、非常に狭き門であるといえます。

そのような高難度の試験や国家試験を突破している方ともなると、民間企業では採用を躊躇されてしまうこともあるかもしれません。

なぜなら「優秀」というイメージが先行して、「この仕事では物足りなくなってすぐ辞められてしまうのでは?」と先入観で判断されることも起こり得るからです。

そのような先入観をもたれないように採用面接では、あなたが応募企業で働いているイメージを採用担当者と共有できるような工夫が必要です。具体的な数値や業務内容を交えながら、なぜこの会社で働きたいか熱意を伝えるように意識しましょう。

また、どのような理由から公務員から民間企業への転職を考えたのか、そしてどのような働き方を求めているかをわかりやすく伝えることが重要です。

【参考記事】
長期統計等資料 2 国家公務員採用総合職・一般職(大卒程度・高卒者)試験等の実施状況|令和3年度 年次報告書|人事院

業務に対する認識が違うと思われているから

「公務員と民間企業に勤める人では、業務に対する認識が違う」と考えている方もいるようです。

そもそも、支払われる給料はどこから調達されているものかという根本的な違いがあります。民間企業に勤める方の賃金は、顧客や投資家などといった市場から調達されることが一般的です。対して、公務員の賃金は地域や国家で集められた税金から調達されています。

そのため、公務員の場合は、仕事の中で向き合う相手がクライアントではないということが大きな違いとしていえるでしょう。

2009年に内閣府がおこなった世論調査をみてみると、国家公務員に対して以下のような意識・姿勢が求められていることがわかります。

「国家公務員制度改革に関する特別世論調査」の概要 (2009年)|内閣府政府広報室
引用元:「国家公務員制度改革に関する特別世論調査」の概要 (2009年)|内閣府政府広報室

上位5項目には「仕事に対する熱意・意欲」「コスト意識をもって効率的に仕事をおこなう姿勢」といった仕事に対する意識や姿勢が挙げられており、国家公務員はこれらの意識が欠けていると考える方が2人に1人もいるようです。

公務員から民間企業に転職する際には、少なからず最初は働き方や意識に違いを感じることもあるでしょう。中途採用では基本的に即戦力が求められるため、「公務員は慣れるまでに時間がかかるのでは?」と懸念され、採用を見送られることもあるかもしれません。

このような問題点は何も公務員だけに限った問題ではありませんが、イメージが先行してしまっていることを認識し、必要以上に不利にならないように自分の言葉で仕事に対する熱意を伝えることが重要です。

公務員のような給与面など待遇が安定した企業が少ないから

公務員は安定した収入が約束されている」というイメージをもたれる方は多いのではないでしょうか。会社の業績に影響される民間企業とは違い、公務員には安定した給料が支給される以外にも様々な手当があります。

昇給、ボーナス、さらには福利厚生や退職金などが約束されているため、民間企業より優遇されている部分はたくさんあるといえるでしょう。

平均年収で比べてみても、国家公務員の平均年収は、約681万円、そして民間企業の平均年収は443万円です。

単純な平均年収での比較にはなりますが、平均年収だけみても明らかに違いがあるのがわかります。

公務員の高待遇を捨ててまで、なぜ転職するのか」その理由をきちんと伝えられないと、「給与面などの待遇で満足できず、転職しても長続きしないのではないか」と不信感を抱く民間企業の面接官もいるかもしれません。

このように、公務員のような待遇のよい民間企業が少ない点も転職が難しい理由の1つといえるでしょう。

【参考記事】
令和4年度国家公務員給与等実態調査  | 人事院 
令和3年分民間給与実態統計調査結果 | 国税庁

公務員から転職するデメリット

公務員から転職するデメリットとして、以下の5点が挙げられます。

  • 給料が下がる傾向にある
  • リストラの可能性がある
  • 転職先のスピードについていけない
  • 公務員時代の仕事内容が評価されにくい
  • 家族から反対されやすい

狭き門をくぐり抜けてやっとなれる公務員です。公務員は一度退職すると簡単に再就職できる職業ではないといえるでしょう。転職を決心する前にメリットだけでなくデメリットも把握し、後悔のない判断をしましょう。

デメリット1:給料が下がる傾向がある

一般的に、公務員は景気に影響されにくく、給料や福利厚生がある程度保証されています。

対して民間企業に転職したり、起業したりすると、一時的でも給料が下がる可能性があるでしょう。とくに、民間企業への転職後に景気が悪くなると、

  • 給料が減らされる
  • 住居・通勤手当が支給されない
  • 賞与が支給されない

など、公務員時代には経験しなかった事態が起こるかもしれません。

また、年功序列でなくなることはメリットでもありますが、評価されないと昇給・昇進できないため、公務員の頃より給料が下がることになります。人によっては、デメリットと感じるでしょう。

デメリット2:リストラの可能性がある

民間企業は公務員と比べると雇用が不安定で、リストラの可能性もあります。なぜなら、民間企業は営利組織であり、倒産や事業縮小などのリスクは常にあるからです。

利益がなければ会社の存続が難しくなるため、公務員のような安定感は見込めないというデメリットがあるでしょう。

ただし、外資系企業ではその限りではありませんが、民間企業でも法律で守られているため、そうそうリストラされることはありません。

とはいえ、公務員がリストラされる可能性はほとんどないので、民間企業に転職を考える場合は、リストラのリスクも頭の片隅においておくほうがよいでしょう。

デメリット3:転職先のスピードについていけない

公務員からの転職に限りませんが、転職先の仕事のスピードについていけない可能性もあります。

なぜなら、民間企業は利益を追求する必要があるため、業務を確実に遂行するという意識の他に、成果を出すという考え方が求められるからです。

そのため、転職先では即戦力として期待されることも多く、プレッシャーに感じることもあるでしょう。

とくに、未経験の分野に転職した場合は、公務員時代の経験をうまく活かせず、慣れるまでに多くの時間がかかってしまうかもしれません。

これらのデメリットを覚悟して、即戦力として自分のどのような点が活かせるかを考えることも必要でしょう。

デメリット4:公務員時代の仕事内容が評価されにくい

前述したように、公務員の仕事内容に関する情報は少ない傾向にあるため、公務員時代の仕事が正当に評価されない可能性があります。

適正な評価を受けられないことによって、公務員時代の経験が転職先の給料に反映されないことも起こり得るでしょう。転職活動時には、数値や具体例を用いて、公務員時代の経験を理解してもらう工夫が必要です。

デメリット5:家族から反対されやすい

家族に転職について相談すると、反対される可能性があります。

身近であなたの頑張りを見てきた家族は、公務員になるまでの苦労を知っているうえ、安定した職業であることも相まって、「このまま転職しなければ将来困らないのに……」「せっかく公務員になれたのに、もったいない」と感じて反対してしまうのかもしれません。

しかし、重要なのは、あなたが長期的なキャリアの中でどうしていきたいかです。公務員としてのキャリアに不安などを感じるのであれば、明確なビジョンをもって転職活動に挑戦する必要があるでしょう。

ただし、配偶者や両親を安心させられるように、転職を決心する前に十分に話して納得してもらう努力は必要でしょう。最終的に、理解を得られず民間企業への転職に踏み切ったとしても、周囲に何も話さずに転職するのと話したうえで転職するのとでは、その後の関係性に大きな差が出ることはいうまでもありません。

公務員から転職するメリット

公務員から転職するメリットとして、以下のような可能性が考えられます。

  • 年功序列ではなくなる
  • 働き方が改善される
  • 将来の選択肢が増える
  • 副業ができる
  • 自分の特徴や強みを活かせる

それでは、順番に解説していきましょう。

メリット1:年功序列ではなくなる

公務員の昇給・昇進制度について、国家公務員などの人事院では能力・実績をベースとした人事評価制度の導入を推し進めていますが、公務員全体としてやはり年功序列の考え方が根強く残っているのが実情のようです。

事実、2022年4月には、内閣人事局と人事院の若手職員によって構成されたチームが、年功序列による昇進の廃止を含む提言をまとめ、政府に提出しています。そのため、ゆくゆくは地方公務員など含む公務員全体に能力・実績をベースとした人事評価制度を推し進める動きが広まる可能性はあります。

年功序列が根強く残る組織で働いていると、将来的な安定性はあるものの、若手が頑張っても給料に反映されにくいという問題が考えられます。また、成果に関わらず昇給していくため、業務に対するモチベーションが上がらず、スキルなども成長できない可能性もあります。

民間企業の中でもベンチャー企業には成果主義を導入している会社も多いため、転職によって年功序列のシステムから抜け出せるかもしれません。能力や実績が昇給・昇進に反映されるため、モチベーションが高まりスキルアップが期待できるでしょう。

【参考記事】
第3節 国家公務員人事管理における現代的課題 2 年功序列・年次管理から能力・実績主義へ|平成20年度 年次報告書|人事院
若手官僚「年功序列の昇進やめて」「FAXでなくデジタルで」|NHK政治マガジン

メリット2:働き方が改善される

公務員の仕事は繁忙期になると極端に残業が多くなる傾向にあります。「月100時間未満」とされる上限を超えて残業している方も中にはいます。仕事で疲弊して趣味に割く時間や、家族と過ごす時間が十分になかったりと、働き方が原因で転職を検討している方もいるでしょう。

制度や働き方がしっかりとした民間企業に転職すれば、今の働き方を改善できる可能性はあります。残業が少ない企業に転職できたり、転勤なしの企業を選択すれば希望の地域に定住できたりするので、理想の働き方を実現できるかもしれません。

今の公務員としての働き方に不満を抱えている方にとっては大きなメリットとなるでしょう。

【参考記事】第3章 良好な勤務環境の整備 1 長時間労働の是正|令和3年度 年次報告書|人事院

メリット3:将来の選択肢が増える

2021年、一般職の国家公務員を対象に人事院がおこなった調査結果によると、「仕事における自身の将来像をイメージできるか」という質問に対して、「まったくその通り(=できる)」「どちらかといえばその通り(=どちらかといえばできる)」と回答した方は約35%で、約65%の方が「どちらともいえない」「どちらかといえば違う」「全く違う」と回答しました。

公務員は異動が多く、さまざまな仕事を経験できる反面、将来に対して漠然と不安を抱えている方も多いのかもしれません。

民間企業に転職して新しい分野に挑戦すれば、将来の選択肢を増やし、キャリアアップにつなげられるでしょう。

公務員とは異なり、民間企業は時代に合わせて利益を追求します。そのため、新しいスキルの習得を求められる機会も多くあり、公務員と比べて仕事の専門性を深めていくことになります。これは、転職することのメリットのひとつといえるでしょう。

公務員と比べて仕事の専門性が深まることも、転職することのメリットのひとつといえるでしょう。

【参考記事】第2節 調査結果 2 領域別の結果|令和2年度 年次報告書|人事院

メリット4:副業ができる

公務員から転職することで、副業しやすくなります。2019年3月の国家公務員副業解禁をきっかけとして、公務員の副業が可能になりつつあるのです。

しかし、その活動内容は、公益性が高い地域に貢献することに限定されており、公務員が営利目的で副業することは禁止です。

一方、民間企業では副業可能な会社が多いです。新たに収入源を増やしたり、仕事の幅を増やしたりすることが可能になります。

ただし、民間企業の中でも、副業が禁止されている会社もあります。副業を考えている方は、転職前にきちんと確認しておくとよいでしょう。

【参考記事】国家公務員の兼業について (概要)

メリット5:自分の特徴や強みを活かせる

民間企業には様々な職種や業種があるため、自分の特徴や強みを活かして転職することも可能です。

たとえば、コミュニケーション能力の高さを活かして営業職に就いたり、分析能力などを活かしてマーケティング職に就いたり、転職をきっかけに興味がある分野ややってみたいことを仕事にするのもいいでしょう。

また、企業によっては、一人ひとりの社員に対する裁量権が大きい会社もあります。

責任が大きい反面、自分の意見が反映されやすい仕事に携われるため、公務員とは違ったやりがいを見いだせるかもしれません。

公務員からの転職先としておすすめな業種

公務員として働いていた経験を活かすことに加えて、転職のしやすさも考慮すると、ある程度転職先の選択肢は絞られます。

公務員からの転職でおすすめの転職先は、以下の8つです。

公務員からの転職でおすすめの転職先
  • 地方公務員
  • その他の公務員
  • コンサルティングファーム
  • 営業職
  • 事務職
  • 介護職
  • ベンチャー企業
  • 起業する

公務員から転職する際に考えられる8つの選択肢について解説していきます。

なお、本省課長補佐級以上の職に就く職員が、転職活動時点の職務と利害関係のある民間企業に転職することは禁止されているため、該当する方は注意が必要です(国家公務員法第106条の3第1項)。

【参考記事】
国家公務員が知っておかなければならない「再就職に関する規制」と「再就職情報の届出制度」|内閣官房内閣人事局
国家公務員法第106条の3第1項

地方公務員への転職

公務員からの転職先として、今の公務員の仕事から、地域に根付いて様々な運用をおこなう地方公務員への転職を考える方もいるようです。

仕事内容に違いはあっても同じ公務員の仕事なので、民間企業への転職と比較すると、これまでに身につけた経験やスキルを活かしやすいといえるでしょう。面接の場において、具体的な志望理由を経験に基づいて語りやすいメリットもあるかもしれません。

ただし、公務員だったからといって試験が免除されることはありません。通常の採用試験、または経験者採用枠で試験を受けることになるため、今の公務員の仕事のかたわら、再び別の公務員職へ転職するためには入念な準備が必要でしょう。

その他の公務員への転職

一般職から総合職、総合職から専門職というように、ほかの区分の公務員に転職することも不可能ではありません

国家公務員であれば省庁によっては転籍できることもあるようですが、それでも試験を受け直して他省庁に転職する流れが一般的であるようです。

公務員としての働き方を理解しており、人柄や勤務態度を確認しやすいことは、未経験の受験者にはない強みといえます。

その反面、転職理由があいまいだとマイナスな評価を下されてしまう可能性があります。明確な転職理由を考えて、どのような仕事をしていきたいのかをはっきり伝えられるようにしましょう。

コンサルティングファーム

コンサルティングファームとは、企業が抱えるさまざまな経営課題について、解決を支援する企業を指します。

国家公務員経験者の場合、一般的に「資料作成のスキルが高い」「ハードワークの経験がある」「学習能力が高い」といった傾向があると考えられるため、戦略系のコンサルティングファームなどから高い評価を得られる可能性があります。

また、取引先企業が行政関係の知識を必要としている場合、国家公務員は採用されやすいかもしれません。

国家公務員経験者がいれば、信頼感が高まったり、満足のいくサービスを提供しやすくなったりする可能性があるからです。

営業職

民間企業の営業職もおすすめの選択肢です。
とくに、自衛官や海上保安官など、体力が必要とされる職種に就いている方は、営業職として採用されやすいかもしれません。

その理由は、営業職の採用においては、一般的に、体力面やストレスへの耐性が求められる傾向にあるためです。

未経験からの採用も比較的多い職種であるため、公務員からの転職先になり得るでしょう。

事務職

事務職も公務員からの転職におすすめといえるでしょう。

事務職といえば、書類作成、ファイリング、データ入力などの一般事務を思い浮かべる方が多いかもしれません。

しかし、実際には総務や経理での事務や営業事務、また貿易事務、医療事務など様々な事務職があるので、ご自身にあった事務職が見つかるかもしれません。

公務員は、配属先によって短時間で大量の事務作業を処理することも求められます。公務員の正確な事務処理能力は、事務職への転職に有利に働くでしょう。

さらに、事務職にはコミュニケーションスキルも求められます。公務員として責任感を持ち、市民と関わってきた経験を、うまくアピールすることで採用につながるでしょう。

介護職

介護業界は少子高齢化社会の影響をうけ、人手不足が深刻な問題となっています。そのため、未経験者でも仕事を始められる教育体制が整っている事業所が増えてきています。

未経験でも、働きながら介護資格の取得を支援してくれる施設もあるので、介護福祉士やケアマネジャー、さらには施設長などの管理職を目指してキャリアアップすることも可能です。

これまでに高齢者と関わった経験があり、福祉に興味がある公務員の方にとっては、気になる職種かもしれません。介護職は、人と直接かかわる仕事であるため、感謝される機会も多く、やりがい感じやすい仕事でもあります。

介護職を目指したい方は、転職活動前に介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修の資格を取得しておくとよいでしょう。未経験からでも資格手当が支給される事業所があるからです。

【関連記事】介護人材確保に向けた取り組み

ベンチャー企業

未経験の分野でやりがいや達成感を重視して働きたい方には、ベンチャー企業への転職もおすすめです。中でもIT人材は、2030年には約41万~約79万人の不足が起こると予想されているため、比較的転職しやすい分野といえるかもしれません。

未経験者を積極的に採用しているベンチャー企業もあるため、公務員から転職できる可能性は十分にあるでしょう。

また、ベンチャー企業によっては国の制度や政策に詳しい人が求められることもあるので、公務員の経験が高く評価されるケースもあるかもしれません。

民間企業として社会にどう貢献するかという目線で考えたときに、国家の動向を読み取れる人材がいるメリットは大きいといえるからです。

【参考記事】
IT人材の「不足規模」に関する推計結果|IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果(2016年)|経済産業省

起業

公務員からの転職を考えている方の中には、自分自身でビジネスを始めてみたい、つまり起業を考えている方もいるかもしれません。

とくに、国家公務員に属している方は、人事院の承認を得た場合を除き、原則、起業が禁止されています。起業するのであれば、国家公務員を退職しなければならないのです。

起業は転職ではありませんが、アイデアとやる気さえあれば、実現することは可能でしょう。最近では起業を考えている方を対象に、セミナーなども開催されています。起業に挑戦したい方にとって、必要な知識や情報を得やすくなっている状況といえます。

【参考記事】国家公務員法第103条第1

公務員からの転職で評価されるポイント

公務員に対する印象は、マイナスなものばかりというわけでもありません。公務員だからこそアピールできる以下の5つのポイントがあることも忘れてはいけません。

  • 学習能力が高い
  • ハードワークに対応した経験がある
  • 国の制度や政策について理解している
  • 法律に詳しい
  • 真面目な性格

民間企業から評価されやすい5つのアピールポイントを確認してみましょう。

学習能力が高い

公務員の採用試験は、運やまぐれで突破できるものではなく、計画的な勉強と学習能力の高さが必要とされます。

特に、国家公務員は非常に狭き門であるため、「国家公務員として働いていた」という事実だけで、学習能力や計画性の高さの証明となるでしょう。

民間企業の採用面接でも、「将来的に活躍する人材になるだろう」と良いイメージがつきやすいといえそうです。

ハードワークに対応した経験がある

部署によって違いはあるものの、公務員の仕事はイメージに反して激務なこともあるようです。特に繁忙期はハードワークになることもあるでしょう

人事院が公表している2021年の年次報告によると、全府省における年間残業時間は平均213時間で月平均約17.8時間、このうち本府省では年間平均358時間で月平均約29.8時間、本府省以外では年間平均181時間で月平均約15.1時間でした。

また、超過時間の上限(人事院規則一五―一四 第16条の2の2)を超えて勤務した方の割合は、他律部署においては13.6%、自律部署においては7.6%という結果でした。

とくに、本府省以外の他律部署で「月100時間未満」とされる上限を超えて勤務した方は13.8%にも上り、月の残業時間が100時間を超えることも少なくないようです。

なお、他律部署とは、業務の量や業務時間などについて自部署で決定できず、他律的に決まることが多い部署を指します。

このようなハードワークを乗り越えてきた人材は、体力面・ストレス耐性において高く評価される可能性があります。

ただし、激務から解放されたいがために、公務員からの転職を決意した方も中にはいるでしょう。転職後は、長時間の残業を望まないのであれば、面接時に言い方を工夫し、希望として伝えるとよいでしょう。

【参考記事】
第1節 勤務時間及び休暇等 1 超過勤務・年次休暇の使用の状況|令和3年度 年次報告書|人事院
第3章 良好な勤務環境の整備 1 長時間労働の是正|令和3年度 年次報告書|人事院

国の制度や政策について理解している

暗号資産やドローン、民泊などのような新しい産業が生まれるとき、あとから法整備がおこなわれることは少なくありません。

そうした場合、法整備次第では産業の発展が妨げられる可能性もあります。

新しい規制に対応できるビジネスモデルを構築する際、国の制度や政策を理解している人材は、企業にとって重宝される存在となり得るでしょう。そのため、転職先によっては、国の制度や政策を理解している公務員は評価されるといえます。

法律に詳しい

法律に詳しいことも、民間企業からの評価を得やすいポイントといえます。

企業が法務や労務、総務などバックオフィス系の社員を採用する場合には、即戦力で活躍できる法律に詳しい人材が重宝される傾向にあります。

真面目な性格

企業が採用の際に求めているのは、決してエース級の活躍をしてくれる人材ばかりではありません。安定して会社を運営していくためには、真面目で堅実に働いてくれる人材が必要です

公務員から民間企業への転職は一般的には難しいといわれているため、中には「自分にはとくに長所がない」と気負ってしまう方もいるかもしれません。しかし、真面目に働いてきた経験自体も十分武器になり得るので、転職活動の際には強みとしてアピールしましょう。

公務員からの転職を成功させるうえで注意すべきポイント

公務員で働いていようと、民間企業で働いていようと、転職を成功させるためには入念な準備が欠かせません。

知らなかったと後から後悔することのないように、「公務員からの転職活動を始める前に注意すべきポイント」について紹介します。

  • 法律による再就職規制に引っかからないか確認する
  • 「やりたい」ではなく「できる」仕事を優先させる
  • キャリアカウンセリングを受けてみる

法律による再就職規制に引っかからないか確認する

公務員には在職中の求職活動に関して「国家公務員法」「地方公務員法」などによって規制があるため、まずは自身がひっかかっていないことを確認しておきましょう。

たとえば、国家公務員であれば再就職の規制内容は、以下のとおりです。

左右にスライドできます
規制該当する方内容
①求職活動規制本省課長補佐級以上の方転職活動時点において利害関係のある民間企業には就職できない
②在籍中の
約束の届出
国家公務員として働く全ての方在職中に民間企業などから内定を得た場合は、
1週間以内を目安に届出をおこなわなければいけない
③離職後の
事前届出
一度でも管理職に就いたことがある方離職後2年間、独立行政法人などに役員等として再就職する場合、届出をおこなわなければいけない
※「在籍中の約束の届出」をおこなった場合を除く
④離職後の
事後届出
離職後2年間、再就職した場合には届出をおこなわなければいけない
※民間企業、団体に限らず、アルバイト・パート、フリーランスなども該当
【参考記事】
国家公務員が知っておかなければならない 「再就職に関する規制」 と 「再就職情報の届出制度」(令和元年5月)|内閣官房内閣人事局

まず、注意しなくてはならないのが、自身の現在の役職です。現在の役職が本省課長補佐級以上に該当する場合、在職中の求職活動の規制対象となり、現時点で利害関係にある民間企業への転職は禁止されています。

なお、係長級以下の立場であれば、規制にはかかりません。また、全ての公務員は、在職中に内定を得たら、任命権者に届出をしなければいけません。管理職経験者は離職後2年間にわたって再就職のたびに届出の必要があるため、注意してください。

とくに、②~④の届出義務に違反した場合、職員の場合は懲戒処分、既に退職している方は10万円以下の過料の対象となる可能性があるため、忘れないように届出をしましょう。

「やりたい」ではなく「できる」仕事を優先させる

企業は中途採用する際、多くの場合は即戦力となる人材を求めています。そのため、いくら意欲が高く、やりたい仕事であったとしても、十分なスキルや経験を持ち合わせていないと、内定を得ることが難しいかもしれません

転職活動時には、「やりたいこと」ではなく「できること」を基準にして転職先を検討するのもひとつの方法です。

企業としてもやる気や意欲といった不明瞭な部分よりも、スキルや経験などの実績のほうが評価しやすいため、内定の可能性を高められるかもしれません。

いきなり希望の仕事に転職できなかったとしても、ある程度規模が大きい会社であれば部署異動ができる見込みもあります。次の職場だけでなく、さらに先の将来も見据えて、現時点のスキルに合った転職先を選ぶという選択肢もあるでしょう。

キャリアカウンセリングを受けてみる

公務員として働いてきたものの、自分が民間企業で本当に通用するのかわからず不安な方もいるかもしれません。

自身の現在の市場価値やこれまで身につけたスキル・経験の活かし方を知るためにも、キャリアカウンセリングを受けてみてはいかがでしょうか。

キャリアカウンセリングをおこなうキャリアアドバイザーは、転職のプロです。数多くの様々な状況にある転職希望者のカウンセリングをして、転職成功へと導いてきているため、今のあなたに合った的確なアドバイスが期待できるでしょう。

なお、後述する転職エージェントでは無料でキャリアカウンセリングを実施しているため、転職活動時にはぜひ活用してみるとよいでしょう。

公務員の仕事を悪く言わない

転職を考えている方にとって、公務員のイメージは悪くなっているかもしれません。「人間関係が閉鎖的で好きではない」や「仕事がおもしろくない」「早く帰れない」など様々なイメージがあるでしょう。

つい「ない」がつくネガティブな言葉が浮かんできてしまいますが、面接でそのまま正直に話してしまわないよう注意が必要です。

自分が思っているイメージで、公務員の仕事を悪くいうのは避け、仕事でどのような貢献をしたか、結果をだしたかなど、公務員の仕事に誇りをもっている事が伝わるように話しましょう。

退職理由はマイナスな内容でもプラスに転換して伝える

転職活動中の面接では、退職理由について聞かれることもあるでしょう。退職理由は、ネガティブな内容で伝えてしまわないよう気をつける必要があります。

ネガティブな表現は必ずポジティブな表現に言い換えることができます。たとえば、「閉鎖的な人間関係が好きでない」が転職理由なら、「チームワークで目的に向かって結果を出す仕事をしていきたい」と言い換えるのもよいでしょう。

また、「早く帰れないこと」が転職理由なら、「家庭と仕事のバランスがとれる働き方がしたい」と言い換えることでポジティブな印象になります。

ポジティブな理由に転換するポイントは、「嫌だ」という状態が「どうなったら解消されるか」と深く考えることです。

転職理由や志望動機を考える際、ぜひ参考にしてみてください。

公務員時代だけでなく学生時代からの振り返りも忘れない

公務員の仕事を辞めたいけれど、どのような転職先がよいかわからないと悩んでいる方も少なくないでしょう。今の状態からただ逃げ出したいという思いだけで転職を決めるのは、あとから後悔してしまう可能性が高いです。

学生時代からの自分自身について振り返ってみるのもひとつです。公務員時代だけでなく、それ以前の自分をしっかり振り返ることで、やりたいこと、向いていることに気づくことができるかもしれません。

  • 昔から飽きずに興味を持ち続けていること
  • アルバイト経験
  • 学生時代にやりがい、生きがいを感じた経験
  • 周りの人からよく褒められていたこと

これらのポイントを紙に書き出してみることで、より深く自己分析ができるでしょう。

公務員から転職してよかった!満足の理由とは?

「公務員から転職して良かった!」このように公務員からの転職に満足している方は、どのような点に満足しているのでしょうか。

実際の声からもわかるように、公務員から転職して満足している方の共通点には、以下の2点があると考えられます。

  • 働き方や仕事内容など、他に妥協する点があってもこれだけは譲れない!といえる明確な条件がある
  • 公務員から転職するため、自己分析がしっかりできている

転職後の自分の働いている姿を明確にイメージできているかどうかが、転職成功の秘訣といえそうです。

公務員からの転職を決断することには、強い意思を要するものです。勇気をもって転職を決意したのであれば、理想の転職を叶えるまで、前向きに転職活動に取り組みましょう。

公務員からの転職で成功するために…年代別!求められるポイント

公務員からの転職は早い方がよいということもいわれていますが、自分がどの年代かによってアピールできるポイントは異なってくるでしょう。

この章では、それぞれの年代で転職先から求められるポイントについて解説します。

【20代の転職】仕事に対する熱意

20代の転職では、これまでの実績や経験のほか、将来性を見込まれて採用されるケースも多いようです。

公務員からの転職でも、民間企業からの転職希望者と区別されにくい年代ともいえます。一般的に20代の転職はポテンシャル採用といってスキル以上に仕事への考え方や転職後にどのように活躍していきたいかというビジョンを重視される傾向があるからです。

もちろん、公務員としてのこれまでの実績や経験をもとに、入社後にどのように会社に貢献できるのかを、できるだけ具体的に数字などで説明することは必要です。自分がどう活躍できるのか説明する中で、仕事や今後のキャリアに対する意欲をアピールしましょう。

前述したように、公務員の仕事内容は他業種の方には理解されにくい傾向にあります。わかりやすい言葉でこれまでの経験について説明し、自身の長所と熱意が伝わるように話すことがポイントです。

また、今後のキャリアビジョンを明確に述べられれば、実際に働いている姿もイメージしてもらいやすくなるでしょう。

【30代の転職】即戦力

一般的に、30代の転職では即戦力を求められることが多く、公務員からの転職も例外ではないでしょう。

公務員と民間企業では業務が全く異なりますが、長い期間、公務員として働いてきた中で身についたスキルがあるはずです。

たとえば、調査をもとに数値を分析してある事柄を導き出す仕事をしてきた方や、特定の国の文化や歴史などを分析してきた方などは、調査・分析能力を活かせるような職業に就けば、即戦力として重宝される可能性があります。

また、高齢の方や不満を抱えて窓口に来た方に対して、わかりやすく説明することで、納得してもらえた経験などは民間の業務においても顧客対応などに転用できる可能性が高いです。

一見すると全く異なる分野・業務であっても、自己分析と企業研究を重ねれば意外な共通点が見つかることもあるでしょう。

自己分析や企業研究の進め方がわからない方は、ひとりで悩まずに転職エージェントのキャリアアドバイザーに相談する方法があります。無料で転職アドバイスを受けられるので、転職活動の大きな手助けとなるでしょう。

【40代の転職】仕事や人のマネジメント能力

40代の転職では、管理職として採用されるケースも多いため、マネジメント能力が重要視される傾向にあります。

管理職や部下のマネジメントをした経験があると、転職時に高く評価されるポイントになるはずです。「何を」「どのように」「どのくらいの期間」マネジメントしていたのかを整理して、面接時に具体的なマネジメント内容を述べられるように準備しましょう。

また、特定の分野で専門性を高めてきた方が、同じ分野での転職を目指しているのであれば、これまでの経験が大きなアピール材料となります。

40代の転職は20代よりも求人数が少なくなるものの、決して不可能という訳ではありません。マネジメント経験や専門性を強みとして、企業への貢献度を示すとよいでしょう。

公務員からの転職が成功しやすい方の特徴

公務員からの転職が成功しやすい方には、以下のような特徴があります。

  • 安定するより成長したいと考えている
  • 利益を追求したいと考えている
  • 転職後の理想像や目的をイメージできている

転職に成功しやすい人の特徴を理解し、理想の転職を叶えるヒントにしましょう。

安定するよりも成長したいと考えている

雇用の安定性は、公務員の最大の特徴ともいえます。

公務員は、基本的に給料や賞与が支給されるうえ、リストラの可能性も極めて低く、将来にわたって安定した収入を得られる見込みが高い職業です。その一方で、年功序列による昇給・昇進の考え方が根強く残っているため、高いモチベーションを保つことが難しいと感じる方もいるかもしれません。

もし、あなたが自身の成長に重きを置いて、実績に応じた昇給・昇進制度を望むのであれば、公務員から民間企業の転職に向いているといえるでしょう。

利益を追求したいと考えている

公務員は公共性の高い仕事が主になりますが、「こうすれば利益が出やすい」などと日頃から利益を意識している方は、公務員からの転職が成功しやすいでしょう。

民間企業に転職すると、会社の業績を上げて事業の利益を生み出す必要があります。公務員の仕事にはなかった「利益を追求すること」が求められるため、最初は戸惑う方もいるかもしれません。

もし、民間企業への転職を検討しているのであれば、「利益」に意識を向けて仕事に取り組む癖をつけるとよいでしょう。

転職後の理想像や目的をイメージできている

公務員だけに限らず、転職後のビジョンを明確にイメージできている方は、転職に成功しやすい傾向にあります。転職後の理想像や目的に沿って、どのように行動すればよいのかを筋道立てて考えられる方は、説得力のある志望動機や退職理由を書くことができるからです。

転職することがゴールになってはいけません。「できる仕事」「やりたい仕事」「なりたい理想像」など、転職の目的と将来のビジョンを具体的にイメージしておき、理想の人生設計を考えましょう。

公務員からの転職に役立つ資格やスキルとは?

公務員から転職する際に、有利な資格やスキルがあるのか気になる方もいるのではないでしょうか。

ここでは、公務員からの転職に役立つ資格をいくつか紹介します。

TOEIC

公務員からの転職先が、外資系企業の場合や英語を必要とする職種の場合、TOEICは必須条件となるでしょう。

TOEICは、英語力をアピールすることができる代表的な資格です。英語力が必須の求人に、必要なスコアが書かれていることが多いです。

TOEICは、毎月、日曜日に受験日が設定されており、受験のチャンスも多いです。

英語が必須の転職先を目指す場合は、TOEICの資格をもっておくことで応募できる企業が格段に増えるでしょう。

簿記

経理職への転職を考えている方には、もっておいて損はない資格といえるでしょう。なぜなら、実際に経理職などの応募要件に、簿記2級以上と書かれていることが多いからです。

簿記の資格には主催団体によって様々ありますが、その中でもっとも有名で社会人受験者も多いのが、日商簿記検定試験です。

とくに、簿記2級レベルを取得していれば、経理の知識があり、適性があると判断されます。このことからも、経理職を目指す方にとっては有利な資格だということがわかります。

経営管理に役立つ知識として、企業から最も求められる資格の一つ。
高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できるなど、企業活動や会計実務を踏まえ適切な処理や分析を行うために求められるレベル。

引用元日本商工会議所 「簿記2級のレベル」

日商簿記検定試験は、年3回の受験日が設定されています。また、202012月からネット試験が可能になりました。日商簿記2級と日商簿記3級は、各ネット試験会場で随時受験でき、より受験しやすくなっています。

経理に関連する業務はどの企業にもあります。そのため簿記2級の資格があれば、様々な業種で働ける可能性が広がることでしょう。

公務員に優遇措置がある資格

公務員から転職するために有利な資格として、公務員に優遇措置がある5つの資格を紹介します。

  • 行政書士
  • 司法書士
  • 税理士
  • 弁理士
  • 社会保険労務士

この優遇措置が認められる資格の条件には、従事した通算期間が20年以上必要な資格もあります。公務員として長く働いてきたからこそ、身についた知識や経験が認められているものだとわかります。

行政書士

行政書士は公務員として行政事務を担当した通算期間が20年、高卒以上なら17年あれば、行政書士試験を受けなくても公務員の特認制度で資格が認められます。

(資格)

第二条 次の各号のいずれかに該当する者は、行政書士となる資格を有する。

 行政書士試験に合格した者

 弁護士となる資格を有する者

 弁理士となる資格を有する者

 公認会計士となる資格を有する者

 税理士となる資格を有する者

 国又は地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間及び行政執行法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第四項に規定する行政執行法人をいう。以下同じ。)又は特定地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第二項に規定する特定地方独立行政法人をいう。以下同じ。)の役員又は職員として行政事務に相当する事務を担当した期間が通算して二十年以上(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による高等学校を卒業した者その他同法第九十条に規定する者にあつては十七年以上)になる者

引用元:行政書士法 第二条(資格)

司法書士

司法書士は、裁判所事務官、裁判所書記官、法務事務官、検察事務官として10年以上従事し、法務大臣から認められることで、司法書士の試験が免除されます。

(資格)

第四条 次の各号のいずれかに該当する者は、司法書士となる資格を有する。

 司法書士試験に合格した者

 裁判所事務官、裁判所書記官、法務事務官若しくは検察事務官としてその職務に従事した期間が通算して十年以上になる者又はこれと同等以上の法律に関する知識及び実務の経験を有する者であつて、法務大臣が前条第一項第一号から第五号までに規定する業務を行うのに必要な知識及び能力を有すると認めたもの

引用元:司法書士法 第四条(資格)

税理士

税理士試験にも、公務員の優遇措置があります。国税、または地方税に関する職務内容によって、従事した通算期間がそれぞれ決まっています。受験科目の一部免除から、全科目免除まで様々あります。

とくに、23年以上など長い期間従事し、十分その能力を有すると認められた公務員には優遇措置があります。

【参考記事】第七条(試験科目の一部の免除等)

弁理士

弁理士試験も公務員であれば、従事した期間によって優遇措置があります。特許庁の審理官として、事務に従事した期間が通算して7年以上あれば、実務修習を修了することで、弁理士の資格が認められます。

(資格)

第七条 次の各号のいずれかに該当する者であって、第十六条の二第一項の実務修習を修了したものは、弁理士となる資格を有する。

 弁理士試験に合格した者

 弁護士となる資格を有する者

 特許庁において審判官又は審査官として審判又は審査の事務に従事した期間が通算して七年以上になる者

引用元:弁理士法 第七条(資格)

社会保険労務士

社労士とも呼ばれている社会保険労務士も、優遇措置があります。社会保険労務士の資格には試験の免除はありませんが、公務員として従事してきた業務内容によって、試験科目の一部免除が特例措置として認められています。

【参考記事】
社会労務士試験オフィシャルサイト 試験科目の免除 
試験科目の一部免除資格者一覧

プログラミングスクール(IT業界)

前述の通り、IT人材は今後ますます需要が高まってくることが予想されています。

そのため、IT業界への転職には、未経験からでも転職できるチャンスはあります。

とくに20代の場合は、将来性を重視されるので、未経験でも採用される可能性は高いといえます。

IT業界に興味がある方は、新たなスキルを習得することで転職成功への道が開かれるでしょう。

最近では、プログラミングスクールやオンライン講座などで手軽にプログラミングやWebに関するスキルを学ぶことができます。興味があれば、無料のものから始めてみてもよいかもしれません。

IT業界と一言でいってもシステムエンジニア(SE)やプログラマー、ITコンサルタント、セールスエンジニアなど様々な職種があります。

ITスキルを習得する環境はいつでも手に入れられるので、もし自分に合っているようなら本格的にスキルを身につけ、IT業界への転職を有利に進められるようにしましょう。

転職がうまくいく万能な資格はありません。

転職先でどのような資格やスキルが求められているかを調べたうえで、資格取得にむけて取り組むことがポイントです。

資格を取得することは、転職後の仕事に役立つだけでなく、転職活動への自信にもつながります。転職先の選択肢がみえてきたら、必要なスキルや資格についても確認するようにしてください。

公務員から転職した方の体験談

実際に公務員から転職した方は自身の転職活動についてどう思っているのでしょうか。Twitterに寄せられている声を集めました。

転職エージェントに相談された方の感想や、経験者にしか得られない転職活動の感想を読むと、説得力を感じられるでしょう。

転職を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

「転職エージェントからの具体的なアドバイス内容」や「スキルなしでも、諦めずに活動を続けることで転職を成功させた体験談」「転職するかどうか迷っているなら、転職活動する行動だけでも意義はある」という意見などがありました。

このまま公務員の仕事を続けることに迷いがあるなら、まず小さな一歩を踏み出してみることが大切かもしれません。

公務員の転職におすすめの転職エージェント6社

現在、全国には約3万件の転職エージェントがあり、得意分野や内定実績はエージェントごとに異なります。まずは転職の方向性を定め、目的に合わせて使い分けることが大切です。

この章では、数ある転職エージェントの中から、公務員からの転職におすすめの転職エージェント6社を紹介します。

それぞれのエージェントの得意とする部分を確認し、転職成功につながるエージェントをみつけてみましょう。

【参考記事】
令和3年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)|厚生労働省 
⺠営職業紹介事業所数の推移 厚生労働省

リクルートエージェント

リクルートエージェント

リクルートエージェントは、圧倒的な求人数の多さが強みの転職エージェントで、非公開求人を含む求人数は約60万件(2023年3月30日現在)にも上ります。

経験豊富なキャリアアドバイザーが一人ひとりの長所を活かせる提案をしてくれるため、キャリアアップにつながるような転職を実現できるでしょう。

まだ転職を決めていない段階でも相談に応じてもらえるので、今後のキャリアプランに迷いがある方にもおすすめできるエージェントです。

公開求人数36万5,610件
非公開求人数26万8,817件
対応地域全国
オンライン面談
運営会社株式会社リクルート
(2023年3月30日時点)

マイナビエージェント

マイナビエージェント

マイナビエージェントは、とくに20代からの評価が高い転職エージェントです。丁寧なサポートを受けつつ、じっくりと転職活動を進めたい方に向いています。

キャリアアドバイザーによるきめ細やかなサービス体制に定評のあるエージェントなので、「まずは相談だけしたい」という方にもおすすめできるでしょう。

公開求人数6万3,541件
非公開求人数1万7,793件
対応地域全国
オンライン面談
運営会社株式会社マイナビ
(2023年3月8日時点)

doda

doda

dodaは大手の転職支援サービスで、約22万件(2023年3月31日時点)と求人数が多いことが特徴です。求人を紹介してもらうほか、自分で求人を検索して応募することも可能なため、さまざまな選択肢から比較検討したうえで転職先を探したい方に向いているでしょう。

「オンライン転職教室」や「キャリアアドバイザーが教える面接力アップセミナー」などのイベント・セミナーも豊富で、初めての転職活動を心強くサポートしてくれます。

公開求人数22万9,201件
非公開求人あり
対応地域全国
オンライン面談
運営会社パーソルキャリア株式会社
(2023年3月8日時点)

type転職エージェント

type転職エージェント

type転職エージェントは、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の一都三県を中心に転職サポートを提供しており、これまでに34万人以上の転職支援実績があります。

マッチ度の高い転職にこだわりがある転職エージェントで、企業との相性を重視したうえで求人を紹介してくれるため、初めて転職する方でも納得感のある転職を実現できるでしょう。とくに、営業職・企画職・ITエンジニアを目指す方におすすめできるエージェントです。

公開求人数1万394件
非公開求人数1万8,759件
対応地域東京・神奈川・千葉
埼玉を中心に全国
オンライン面談
運営会社株式会社キャリアデザインセンター
(2023年3月8日時点)

 

doda X(ハイクラス)

doda X(ハイクラス)

doda Xは、ハイクラス層向けの転職エージェントで、掲載されている約2万3,000件(2023年3月8日時点)の求人は全てハイクラス案件となっています。国家公務員の経験がある方であれば、ハイクラス転職を叶えられる可能性もあるでしょう。

職務経歴書を登録するとヘッドハンターからスカウトが届く「ヘッドハンティングサービス」と、求人に対して自ら応募できる「求人紹介サービス」の2つのサービスを同時に利用できるのが特徴で、多数の選択肢の中から希望に合った求人を見つけられるはずです。

公開求人数2万3,577 件
非公開求人あり
対応地域全国
オンライン面談ヘッドハンターによって異なる
運営会社パーソルキャリア株式会社
(2023年3月8日時点)

ビズリーチ(ハイクラス)

ビズリーチ

ビズリーチは、年収600万円以上の方向けの「ヘッドハンティング型」ハイクラス転職サービスです。求職者が企業に応募するかたちではなく、登録後、審査を通過した求職者が企業からスカウトされるかたちの転職サービスです。様々なスカウトを受ける中で、自分の市場価値を知ることができるでしょう。

公開されている求人だけでも国内外含め約87,000件あります。(2023714日時点)高年収層、ミドル層の転職での実績を多くもっており、他では出会えない希少な求人を紹介してもらえることも大きな特長です。

即戦力になるスキルがある方なら、年収600万円以上を目指した転職活動ができる転職エージェントです。

公開求人数 8万6850
非公開求人数 あり
対応地域 全国・海外
オンライン面談
運営会社 株式会社ビズリーチ
2023714日時点)

まとめ

転職するべきか…このまま続けるべきか…答えは簡単に見つからないかもしれません。決断できない理由のひとつは、公務員になるのは簡単ではなかったからではないでしょうか。

2021年度総合職試験の申込者数に対する採用者数の割合は約4.1%と非常に低く、また2020年度の大卒一般職試験の採用者数の割合は約12%、高卒一般職試験は約9.5%です。

これほどの狭き門をくぐり抜け、合格したという事実もあり、簡単に公務員の職を手放せない方もいるでしょう。

また、公務員から転職するのは厳しいという声もあります。最も難関といわれている国家公務員の資格を得ていても、スムーズに転職できると思っている方は少ないのではないでしょうか。

公務員からの転職が厳しいことは、離職率の低さからも推測できます。
 2020年の民間企業の離職率は14.2%に対して、国家公務員一般職の離職率は約6.9%と半分以下の低さです。

・公務員のどのような部分が評価されるのか
・どのような理由から採用されにくいのか

この2点について知っておくことが、転職を成功させる鍵となるのではないでしょうか。

「転職を考えているがどうすればよいのだろう、公務員からの転職は難しいのでは?」と不安に感じてしまうかもしれませんが、決して不可能ではありません。

まずは、公務員を辞めて後悔しないかしっかり考えたうえで、転職活動を始めるようにしましょう。

そして大切なことは、公務員の採用がためらわれる理由と、採用に際して評価されているポイントを知ることです。

採用がためらわれる理由評価されているポイント
公務員に対して不信感をもつ方もいるから
業務内容が理解されていないから
「優秀である」というイメージが先行してしまうから
業務に対する認識が違うと思われているか
公務員のような給与面など待遇が安定した企業が少ないから
学習能力が高い
ハードワークに対応した経験がある
国の制度や政策について理解している
法律に詳しい
真面目な性格

また、職業にかかわらず転職活動を成功させるために大事なことは、念入りな下準備です。とくに、公務員は転職において注意しなければいけない点もあるため、以下の4つのポイントを意識して準備を進めてください。

  • 法律による再就職規制にかからないか確認する
  • 公務員としての立場を手放していいかよく考える
  • 「やりたいではなくできる仕事を優先させる
  • キャリアカウンセリングを受けてみる

公務員と民間企業では求められるスキルや考え方が異なるため、自身が進むべき道について転職活動中に迷いが生じることもあるかもしれません。

後悔することがないように、焦らずじっくりと考えるうえでも、転職活動の際には、転職エージェントの活用がおすすめです。

転職エージェントのキャリアアドバイザーに相談すれば、自分の市場価値だけでなく、キャリアに関する様々な支援を受けられます。経験豊富なキャリアアドバイザーの助言から、一人では思いもよらない新たな発見もあるでしょう。

公務員からの転職は、人生の大きな転機となるはずです。転職に向けてしっかり念入りに下準備し、「転職を成功させる熱意と努力」と「失敗しても何度でも挑戦する意欲」があれば、きっと成功への道は開かれるでしょう。

将来の自分を具体的にイメージし、充実した人生へのチャンスをぜひつかんでください。

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株式会社アシロ

CAREERUPSTAGE編集部

転職サイトやエージェントは何を選ぶかではなく、『どう使いこなすか』にフォーカスしたWEBメディア。株式会社アシロの転職メディア編集部による、転職エージェントの賢い『使い方』とキャリアアップ実現の方法論を解説。