企業の倒産・事業縮小等の報道が多数聞かれるコロナ禍においても、税理士の転職市場はおおむね好調です。税務申告業務などは景気に関係なく発生しますし、事業再生など不況時ならではの業務もあることなども理由だと考えられます。
税理士が転職する際には、転職エージェントの利用を検討する場合も多いでしょう。近年は会計業界に特化した転職エージェントが多く登場するなど転職エージェントを選ぶ幅が広がっており、転職エージェント選びに悩む方も多いと思われます。
そこでこの記事では、税理士の転職に強い転職エージェントを厳選11社紹介します。転職エージェントの利用メリットや活用方法もあわせて確認しましょう。
目次
税理士の転職に強い転職エージェント11社一覧
税理士の転職におすすめの転職エージェントを紹介します。税理士は専門性の高い職種なのでどの転職エージェントでも対応できるわけではありません。
まずは、税理士の転職で利用を検討したいおすすめの転職エージェントを一覧にしましたので、参考にしてみてください。
エージェント名 | 特徴 |
NO-LIMIT税理士転職 | 税理士・科目合格者に特化した転職サイト。求職者と企業担当をアドバイザー1人が担当する一気通貫だからミスマッチがない。 |
マイナビ税理士 | 大手マイナビが運営する税理士の転職に特化した転職エージェント |
MS-Japan | 管理部門に強い転職エージェント。 |
REXアドバイザー | 税理士・経理・財務の転職に強い転職エージェント |
パソナキャリア | 元人事、元経理など管理部門経験のあるアドバイザーが在籍。専門性の高いアドバイスをしてくれます。 |
ジャスネットキャリア | 公認会計士・税理士・経理の転職に特化した転職エージェント |
最速転職HUPRO(ヒュープロ) | 税理士のほか税理士を目指す補助員や簿記取得者など経験が浅い人までフィットする求人があります。 |
エルキャリ | ベンチャー企業や新規事業を積極的に行う企業での経理・財務部門、またはコンサルティングファームへの転職に強み |
人材ドラフト | 会計事務所・税理士事務所・経理など会計業界に特化した転職エージェント |
リクルートエージェント | 人材業界トップの求人を保有しているため税理士に絞った場合の求人も1000件以上 |
ビズリーチ | 特化ではないが、税理士のように高度な専門スキルを持つ人材の転職支援にも注力 |
特許事務所の内情はブラックボックス化していることが多く、うまく人間関係が築けずに早期退職する傾向が強いため、事務所の内情に詳しい『NO-LIMIT』『REXアドバイザー』は、税理士には外せない転職エージェントと言えます。
税理士向け転職エージェントの選び方と比較すべきポイント
次に、転職エージェントを選ぶ際に意識したいポイントを解説します。
税理士・会計業界に特化した転職エージェントか
転職エージェントには多数の職種・業種を扱っている総合型のエージェントと、特定の分野を得意とする特化型のエージェントがあります。税理士が選ぶべきは、税理士や会計業界に特化した転職エージェントです。
総合型は求人数の多さが売りで弁理士の求人も掲載されていますが、税理士業界に特化しているわけではないため、質の高い非公開求人は少ない可能性があります。その点、業界に特化の転職エージェントであれば、独自のコネクションを活かした質の高い求人に出会える可能性が高いでしょう。
税理士・会計業界の転職事情に詳しいコンサルタントがいるか
税理士の転職事情に精通したコンサルタントが在籍しているかは重要です。
採用側のニーズと求職者のスキルがマッチするかどうかを把握したうえでの適切な紹介・アドバイスが受けられます。ミスマッチが少ないため精度の高い転職活動ができ、短期間で効率よく内定を獲得できる可能性が高まります。
サポート体制が充実しているか
転職エージェントの中でも応募書類の添削や面接対策、面接同行など、どこまでサポートしてくれるのかには違いがあります。中には求人紹介だけ行い、あまりサポートはしてくれないエージェントも存在します。内定の確率を高めるためにはサポート体制が充実している転職エージェントを選ぶことが大切です。
担当者との相性を見極める
担当者も人間なので、どうしても求職者との相性があります。希望にマッチしない求人ばかりを紹介してくる、やり取りする際に不快に感じるといった場合は相性が悪い可能性があります。
貴重な時間を無駄にすることになるため、相性が悪いと思ったら担当替えや別のエージェントの利用も検討しましょう。
税理士の転職に強い転職エージェントおすすめ11社比較
NO-LIMIT税理士転職
NO-LIMIT税理士転職は、今回ご紹介する転職エージェントの中でも、税理士・科目合格者の転職に特化した専門エージェントです。
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税理士専門のアドバイザーが在籍
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非公開求人数が全体求人の約9割
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税理士・科目合格者の転職支援に特化したキャリアアドバイザーが在籍
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職務経歴書の作成、添削、面接対策など丁寧に対応
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監査法人・会計事務所・一般事業会社・CFO候補・財務マネージャなどハイクラス求人提案
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ひとりひとりのスキルと経験を活かしたキャリア形成に強み
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職務経歴書の添削・面談対策をしっかりサポート
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入社後のフォローも長期的に受けられる
大量の求人を送ってくるだけのエージェントとは違い、ひとりひとりに合った、『活躍できる環境』の提供に重きを置いているため、ミスマッチのない転職をすることができます。
転職が初めての人のためのサポートにも優れているので、初めての転職活動で不安のある方でも効率よく転職活動を進めることができます。完全無料で利用できるので、公認会計士の転職において登録して損はない転職エージェントです。
公式サイト:https://no-limit.careers/
マイナビ税理士
マイナビ税理士は、大手マイナビが運営する税理士の転職に特化した転職エージェントです。士業特化型の転職エージェントの中で求人件数が最多、特に会計事務所・税理士法人の求人が豊富です。
特徴は質の高いサポートです。大手ならではの転職支援ノウハウが蓄積されているためアドバイスが的確で、面談利用者の満足度95%と非常に高くなっています。応募書類の添削から面接対策まで丁寧にサポートしてくれます。
平日は忙しくて転職活動の時間が取れない人のために休日相談会も実施しており、遠方に居住の場合は電話での面談や求人紹介も受けられます。
マイナビ税理士の基本情報
- 公開求人数:1000件以上
- 非公開求人の割合:80%
- 運営会社:株式会社マイナビ
- 設立:1973年
- 対応地域:全国
公式サイト:https://mynavi-agent.jp/tax/
MS-Japan
MS-Japanは管理部門・士業特化型の転職エージェントです。30年以上にわたり税理士・会計士の転職を支援してきた実績があるため、コンサルタントの専門性が高く、事務所の特徴も細かいところまで把握しているのが特徴です。
会計事務所や税理士法人のほか一般企業の経理・財務などの求人も豊富にあります。精度の高い情報を得られる、サービスの質が高いという点で登録の優先度が高いエージェントといえるでしょう。全国対応ですが首都圏の求人が多いため首都圏での転職を考えている方におすすめです。
MS-Japanの基本情報
- 公開求人数:800件以上
- 非公開求人の割合:90%
- 運営会社:株式会社MS-Japan
- 設立:1990年
- 対応地域:全国
公式サイト:https://www.jmsc.co.jp/
REXアドバイザーズ
REXアドバイザーズは公認会計士・税理士・経理・財務の転職に特化した転職エージェントです。保有求人の90%以上が会計・税務のスペシャリスト案件と、まさに税理士のためにある転職エージェントといえるでしょう。外部のイメージ調査では会計士や税理士がおすすめする転職エージェントなど3年連続3部門No.1を獲得しています。
特にミドル・シニア層、マネージャーや幹部候補のサポートを得意としています。経験年数が長くキャリアアップを目指す方は利用を検討しましょう。
REXアドバイザーズの基本情報
- 公開求人数:4000件以上
- 非公開求人の割合:80%
- 運営会社:株式会社レックスアドバイザーズ
- 設立:2002年
- 対応地域:全国
公式サイト:https://www.career-adv.jp/
パソナキャリア(管理部門専門転職サービス)
パソナキャリアはさまざまな業界・職種を扱う総合型の転職エージェントですが、管理部門専門の転職サービスも展開しています。元人事、元経理など管理部門経験のあるアドバイザーが在籍しており、専門性の高いアドバイスをしてくれます。一般企業の財務や経理での転職を考えている税理士の方に向いています。
パソナキャリアは2019年~2021年のオリコン顧客満足度調査において、転職エージェントの総合1位を獲得している質の高いエージェントです。利用者の67.1%が年収アップを実現しているため年収を上げたい税理士の方にもおすすめです。
パソナキャリアの基本情報
- 公開求人数:3万7000件以上
- 非公開求人の割合:80%以上
- 運営会社:株式会社パソナ
- 設立:1976年
- 対応地域:全国
公式サイト:https://www.pasonacareer.jp/
ジャスネットキャリア
ジャスネットキャリアは、公認会計士・税理士・経理の転職に特化した転職エージェントです。公認会計士が創業したエージェントとあって会計業界への理解が深く、内部事情など活きた情報を提供してくれます。またキャリア相談を重視しており、丁寧に相談に乗ってくれるため、キャリアの方向性に悩んでいる方も利用価値が高いでしょう。
求人の傾向としては経験年数3年以上の若手から中堅、管理職まで幅広い年代にフィットする求人があります。特に経理の求人が多いので事業会社への転職を考えている税理士におすすめです。
ジャスネットキャリアの基本情報
- 公開求人数:3800件以上
- 非公開求人の割合:99%
- 運営会社:ジャスネットコミュニケーションズ株式会社
- 設立:1996年
- 対応地域:全国
公式サイト:https://career.jusnet.co.jp/
最速転職HUPRO(ヒュープロ)
HUPROは士業・管理部門に特化した転職サイトです。最新のAI技術と専任エージェントのサポートで「最速転職」を目指すことができます。
独自のアルゴニズムを使った自動マッチング機能によって、自分の希望にフィットし、かつ選考通貨率の高い求人を提案してくれます。いつでも専任のキャリアアドバイザーに相談でき、会計事務所の雰囲気などを知りたい場合にも情報を提供してくれます。
税理士のほか税理士を目指す補助員や簿記取得者など経験が浅い人までフィットする求人があります。試験勉強への理解がある、ワークライフバランスを保ちやすいといった細かい条件にも対応してもらえます。
HUPROの基本情報
- 公開求人数:5800件以上
- 非公開求人の割合:–
- 運営会社:株式会社ヒュープロ
- 設立:2015年
- 対応地域:全国
公式サイト:https://hupro.jp/
エルキャリ
エルキャリは士業・管理部門・金融・コンサルに特化した転職エージェントです。
設立から年数が浅いものの、ベンチャー企業や新規事業を積極的に行う企業での経理・財務部門、またはコンサルティングファームへの転職に強みがあります。東京の求人が中心なので都内で転職を考えている方は登録を検討しましょう。平日に忙しくて時間が取れない場合は土日や夜間の転職相談も対応してもらえます。
エルキャリの基本情報
- 公開求人数:–
- 非公開求人の割合:90%
- 運営会社:エルキャリ合同会社
- 設立:2019年
- 対応地域:東京
公式サイト:https://el-career.com/
人材ドラフト
人材ドラフトは、会計事務所・税理士事務所・経理など会計業界に特化した転職エージェントです。自分で求人検索・応募ができる転職サイトとしての機能「人材ドラフトWEB」と、転職サポートを受けられる「人材ドラフトエージェント」があります。
人材ドラフトがこだわるのは「定着と活躍率」です。これまでに転職が決まった人の退職率はわずか2%なので、多くの方が転職後のギャップを感じずに活躍していることがうかがえます。会計事務所の雰囲気など個人では調査しにくい情報も持っているので相談してみるとよいでしょう。
人材ドラフトの基本情報
- 公開求人数:1000件以上
- 非公開求人の割合:–
- 運営会社:株式会社人材ドラフト
- 設立:2000年
- 対応地域:全国
公式サイト:https://www.jinzai-draft.com/
リクルートエージェント
リクルートエージェントは人材業界大手リクルートが運営する転職エージェントです。
業界特化型ではないものの、人材業界トップの求人を保有しているため税理士に絞った場合の求人も1000件以上と豊富にあります。サポートの質が安定しており、安心して利用しやすいのが特徴です。会計業界以外の転職も考えている方、未経験や若手の方などでも求人が見つかりやすいでしょう。
専門性という点では業界特化型のエージェントに劣るため、ほかのエージェントとの併用するのがおすすめです。
リクルートエージェントの基本情報
- 公開求人数:13万件以上
- 非公開求人の割合:–(10万件以上)
- 運営会社:株式会社リクルート
- 設立:2012年
- 対応地域:全国
公式サイト:https://www.r-agent.com/
ビズリーチ
ビズリーチはミドル層・ハイキャリア向けの転職サイトです。会計業界に特化しているわけではありませんが、税理士のように高度な専門スキルを持つ人材の転職支援にも力を入れています。
ビズリーチは一般的な転職エージェントと異なり、ヘッドハンターや企業からのスカウトをきっかけに転職活動がスタートします。転職市場での価値が高い方なら好条件でのスカウトにも期待できるでしょう。スカウトを待つスタイルなのでまずは自分の転職市場での価値を知りたいという方にも利用メリットがあります。
全体の3分の1が1000万円以上という高年収の求人なので、その分求められる経験値・レベルは高くなります。そのため税理士として高い年収を得ている方や管理職経験のある方などに適している転職サイトです。
ビズリーチの基本情報
- 公開求人数:12万7000件
- 非公開求人の割合:80%
- 運営会社:株式会社ビズリーチ
- 設立:2009年
- 対応地域:全国
公式サイト:https://www.bizreach.jp/
エージェント名 | 特徴 |
NO-LIMIT税理士転職 | 税理士・科目合格者に特化した転職サイト。求職者と企業担当をアドバイザー1人が担当する一気通貫だからミスマッチがない。 |
マイナビ税理士 | 大手マイナビが運営する税理士の転職に特化した転職エージェント |
MS-Japan | 管理部門に強い転職エージェント。 |
REXアドバイザー | 税理士・経理・財務の転職に強い転職エージェント |
パソナキャリア | 元人事、元経理など管理部門経験のあるアドバイザーが在籍。専門性の高いアドバイスをしてくれます。 |
ジャスネットキャリア | 公認会計士・税理士・経理の転職に特化した転職エージェント |
最速転職HUPRO(ヒュープロ) | 税理士のほか税理士を目指す補助員や簿記取得者など経験が浅い人までフィットする求人があります。 |
エルキャリ | ベンチャー企業や新規事業を積極的に行う企業での経理・財務部門、またはコンサルティングファームへの転職に強み |
人材ドラフト | 会計事務所・税理士事務所・経理など会計業界に特化した転職エージェント |
リクルートエージェント | 人材業界トップの求人を保有しているため税理士に絞った場合の求人も1000件以上 |
ビズリーチ | 特化ではないが、税理士のように高度な専門スキルを持つ人材の転職支援にも注力 |
税理士が転職エージェントを使う8つのメリット
転職活動をする際には転職エージェントのほかに転職サイトやハローワーク、直接応募などさまざまな方法があります。その中で税理士が転職エージェントを利用する意味はどこにあるのでしょうか?転職エージェントを使うメリットを探ってみましょう。
最適なキャリアプランを提案してくれる
税理士とひとくちに言っても、会計事務所・税理士法人、一般企業の経理・財務、独立など複数のキャリアがあります。そのためどのキャリアを選ぶべきか迷うのは無理もありませんが、周囲に相談できる人がいなくて悩んでいる方も多いでしょう。
そんなときに相談できるのが転職エージェントです。転職エージェントは自身が希望するキャリアと、業界の現状・将来性を踏まえて最適なキャリアプランを提案してくれます。仮に今は転職しなかったとしても、将来のキャリアについて相談できるだけでも利用価値が高いのです。
情報収集の精度が高まる
大手の税理士事務所や大企業であればまだしも、事務所や企業の多くは中小規模であり事務所の内情はなかなか見えにくいのが実情です。
しかし転職エージェントは事務所の採用担当者から話を聞く、実際に足を運んで事務所の様子を確認する、過去の転職支援者からの情報を共有するなどして精度の高い情報を持っています。このような情報は求職者が個人で集めるのは難しいですが、転職エージェントを利用すれば気になる事務所・企業の情報を提供してもらうことができます。
質の高い求人が多い「非公開求人」に応募できる
非公開求人とは、事業戦略上の理由や採用負担の関係から一般公開できない求人を指します。重要ポジションの求人や応募者が殺到する可能性が高い好条件の求人であるケースが多いのが特徴です。非公開求人に応募できるのは転職エージェントを利用した場合のみなので、質が高い求人に応募したいなら必須で利用するべきです。
応募書類を添削してもらえて書類選考通過率がアップする
税理士は資格があるだけで書類選考に通過できるわけではありません。これまでの経験をアピールし、採用担当者に「会ってみたい」と思わせる応募書類に仕上げる必要があります。しかし実際に書いてみると思うように書けない方も少なくないでしょう。
転職エージェントが応募書類の添削や作成時のポイントをアドバイスしてくれるため、魅力的な書類に仕上がり、選考通過率がアップします。
応募先との面倒なやり取りを代わりにしてくれる
書類選考に通過した後は先方と面接の日程調整を行う必要がありますが、仕事の合間に先方とのやり取りをするのは大変です。転職エージェントが代わりに面接の日程調整をしてくれるため、求職者は応募先の情報収集や面接対策に専念でき、活動の効率を上げることができます。
面接対策で自信をもって面接に臨める
転職エージェントを利用すると面接で自身をアピールするための効果的な方法や注意点、立ち居振る舞いなど実践的なアドバイスをしてくれます。面接では何を話せばよいのか分からない、緊張して頭が真っ白になってしまうなど面接に不安感がある方でも自信をもって面接に臨めるようになるでしょう。
求職者のアピール・内定への一押しをしてくれる
応募書類や面接でアピールしきれなかった部分については、転職エージェントが最後の一押しをしてくれます。もちろん内定を得るにはそれまでの本人のアピールや意欲が重要ですが、エージェントの一押しによって内定が出るというケースは珍しくありません。転職エージェントを利用する・しないの差は大きいのです。
年収や入社日の交渉をしてくれる
内定を獲得した後には具体的な年収や入社日の交渉に入りますが、こちらの希望と先方の希望がすぐに一致するとは限らず、個人で交渉するのは難しい面もあります。年収や入社日の交渉についても転職エージェントが代わりに行ってくれるため、求職者は退職の引き継ぎ等に専念できます。
特に年収については交渉に慣れているエージェントが行うほうが高年収につながる可能性が高いため任せるメリットが大きいでしょう。
税理士が転職エージェントを利用する際の注意点
転職エージェントを利用する際には気をつけたいポイントもあります。
エージェントからの連絡方法・頻度を確認しておく
転職エージェントの利用者でよくある不満としては「担当者からの連絡が多すぎる」「平日の仕事中に電話をかけてくるのが不満」といったものです。求人の紹介や先方とのやり取りの進捗状況について担当者から連絡が入るのは仕方がないため、連絡方法や頻度については事前に確認しておくことをおすすめします。
電話に出られる時間帯やメール・LINE等での連絡を希望する旨を伝えておきましょう。
紹介された案件にしか応募できない?
転職エージェントは自分で求人検索・応募する転職サイトと異なり、エージェントから紹介を受けた案件にしか応募できません。ただ、ビズリーチのようなエージェントがいるデータベース型の転職サイトであれば、担当エージェント以外のからの求人や、自分で気になった求人に応募することは可能です。
しかし、エージェント経由の方がより自分にあった求人紹介を受けられるため、希望の条件や経験・スキルにフィットしない求人はそもそも紹介されないといったメリットもあるのは事実です。
転職エージェントが扱っていない会計事務所もある
転職エージェントを利用して採用活動をするにはそれなりのコストがかかるため、採用コストを抑えたいと考える事務所・企業は転職エージェントを利用しません。特に中小規模の会計事務所であればそれほど採用コストをかけられないため、転職エージェントに掲載されていない場合も多々あります。
中小規模の会計事務所なら転職サイトに掲載がある場合も
転職サイトであれば転職エージェントと比べてコストを抑えやすいため、エージェントに載っていない会計事務所でも求人が掲載されている場合があります。希望する転職先のタイプによっては転職サイトも併用し、幅広く探してみましょう。
税理士が転職エージェントを徹底活用するためのポイント
最後に、転職エージェントを活用するために押えておくべきポイントを解説します。
複数社に登録して比較する
転職エージェントにはそれぞれ特性があり、コンサルタントとの相性も重要です。そのため最初から1社に限定するのではなく、複数のエージェントに登録し、比較検討することが大切です。ただし、何社ものエージェントとやり取りをするのは大変なので、転職活動が本格化したら2社程度に絞ることをおすすめします。多くても3社までにしたほうがよいでしょう。キャリア面談や最初のやり取りを通じて相性を見極め、自分に合ったエージェントを選択するというスタンスが賢明です。
税理士業界に特化したエージェントを1社以上利用する
複数登録するエージェントのうち1社は税理士・会計業界に特化したエージェントを利用しましょう。さまざまな職種を扱う総合型の転職エージェントの場合、転職活動全般のサポートは受けられますが、業界事情に精通しているわけではないため表面的なアドバイスにとどまってしまいます。
業界に特化したエージェントであれば業界事情に詳しく、職種の特性なども把握しているためアドバイスが的確です。ただし総合型の転職エージェントは求人数が多いため業界特化型のエージェントと併用して求人の選択肢を増やしましょう。
担当者とは定期的に連絡を取るようにする
転職エージェントは複数の求職者を担当するため、その中で優先順位の高い人のサポートに力を入れます。優先順位が高いのは「エージェントと積極的に連絡を取っていて転職意欲が高い人」です。このような人は採用に至る可能性も高く、転職が成功すればエージェントの利益にもなります。
一方、エージェントとの連絡を怠ると転職意欲が低いとみなされて後回しにされてしまい、なかなか求人紹介を受けられなくなってしまいます。担当者から連絡がこなくてもこちらから定期的に連絡を取るようにして、転職意欲が高いことを伝えましょう。
紹介された企業・事務所の評判・口コミを確認する
転職エージェントは独自の情報網により精度の高い情報を提供してくれますが、エージェントや担当者の質によっては情報が古い、実態と少し異なるといった可能性もあります。そのため会社口コミサイトなどを利用し、紹介された企業・事務所で実際に働いていた人の口コミも確認しておくほうが安心です。
思いもよらないデメリットが見つかり、転職の失敗を回避できる場合があります。
担当者と相性が悪ければ担当替えも検討する
転職エージェントの担当者も人間ですから、求職者との相性が合わない場合があります。相性が悪いと希望が伝わりにくく、エージェントとのやり取りだけでストレスになってしまいます。その場合は担当替えも検討してください。
同じエージェントでも担当者が変更になるだけでスムーズに転職活動を進められるケースは少なくありません。担当替えが難しいようならほかの転職エージェントの利用も検討しましょう。
税理士の転職市場はどうなっていくか?
新型コロナウイルス感染症の影響に加え、税理士人口は増加傾向にあるので、計画的な行動が必要となります。
全国の有効求人倍率は2020年8月時点で1.04倍|新型コロナによる転職市場への影響
全国における2020年8月時点での有効求人倍率は1.04倍です。前月を00.4ポイント下回りました。
2020年は徐々に下降傾向がみられます。転職はしにくい状況が続いているといえるでしょう。
税理士人口の推移|現在約8万人の登録
2020年9月末時点で税理士は全国に7万9,225人います。1990年時点は5万7,073人だったのですが、増加の一途をたどっています。
税理士人口は増加傾向にある
税理士人口を深堀してみましょう。
会計年度 | 登録者数 |
---|---|
昭和35(1960)年度 | 10,888 |
昭和40(1965)年度 | 15,827 |
昭和45(1970)年度 | 24,024 |
昭和50(1975)年度 | 32,436 |
昭和55(1980)年度 | 40,535 |
昭和60(1985)年度 | 47,342 |
平成2(1990)年度 | 57,073 |
平成7(1995)年度 | 62,550 |
平成12(2000)年度 | 65,144 |
平成17(2005)年度 | 69,243 |
平成22(2010)年度 | 72,039 |
平成27(2015)年度 | 75,643 |
平成28(2016)年度 | 76,493 |
平成29(2017)年度 | 77,327 |
平成30(2018)年度 | 78,028 |
令和元(2019)年度 | 78,795 |
令和2(2020)年度 | 79,404 |
参考:国税庁│税理士制度
1985年から2005年にかけて急増し、その後も1,000人あるいは2,000人単位で増え続けていることが分かります。
税理士試験の受験者数自体は減少傾向
しかし、税理士試験の受験者数自体は減少傾向がみられます。過去10年間で3分の1ほどに減少しました。とりわけ20代の受験者数の減少が顕著です。若い世代が税理士を目指さなくなったようですね。
税理士の年収
税理士はなぜ人気が下がってきたのでしょうか。年収が一つのカギになるかもしれないので、2019年の「賃金構造基本統計調査」をみてみます。
企業規模 |
10人以上 |
10~99人 |
100~999人 |
1,000人以上 |
所定内給与【千円】 |
420.2 |
380.3 |
806.8 |
433.0 |
企業規模が100~999人のケースが突出していますが、およそ40万円だといえます。決して給料は悪くないでしょう。
参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000212893_00045.html
税理士が転職を成功させるための6つのポイント
税理士が転職を成功させるための5つのポイントを紹介します。民間も会計事務所も幅広く考えている人にこそ知っていただきたいです。
自分が転職して実現したいことを明確にする
転職を考えるということは、今の状況に不足や不満を感じているのだと思います。まずは、転職してどうしたいのかを明確にしておきましょう。分かりやすいものが給与面ですね。最低でもいくらは必要と決めていれば、それ以上の転職先しか候補にしないはずです。
転職前に考えておくこと
- 給与
- 労働時間・休日日数
- やりたい業務
- 勤務地・活動地域
- 将来性
- 一緒に働きたい人の人物像
主に上記のような項目で、自分の理想像と最低限妥協できるラインのイメージを作っておきましょう。一度紙などに書き出して、何度かにわけて考えをまとめてみることで、より明確な形になって出てくるでしょう。
自分の専門性を高める・把握しておく
税理士で求められる専門性は主に下記の4つです。
- 資産税
- 事業承継
- 国際税務
- M&A
資産税は主に『相続税、贈与税、譲渡所得に係る所得税』などですが、転職においては資産税の知識だけでなく、相続に関連する不動産などの法務知識やコミュニケーション能力、コンサルティング能力、柔軟性が求められる傾向にあります。
そのため、自信が資産税に強みを持っているなら、そのスキルや経験を職歴書に余すことなく書くことが大事です。また、事業承継やM&Aも昨今多くなってきており、
- 後継者の育成や承継後の経営体制の確立、経営課題の解決や納税の資金対策
- 企業の合併や買収において、M&Aの戦略策定
- 相手探しや交渉
- 税務処理や節税のサポート、デューデリジェンス など
幅広い業務経験が求められますが、あれもこれもできますといったジェネラリストよりは、どれか一つに絞って突出したスキルや経験を占めるスペシャリストの方が選考も突破しやすいため、キャリアアップに時代のニーズに合った専門性を高めることが転職にも有利に働きます。
面接では転職先を審査するという意識を
面接は、審査される場だと考えていませんか。それは少し違って、面接は相互理解の場だと言えます。求職者も転職先を審査する姿勢が大切です。面接で弱気になってしまうと自分の希望を伝えきれないこともあるでしょう。
もちろん、聞きにくいことは内定をもらった後に聞けば良いのですが、調子の良い返事ばかりしないように気を付けてください。
離職率や離職理由を聞いておく
他の職種と比べると税理士や会計スタッフの転職回数はやや多めです。そこで、離職率や離職理由を聞いておくことをおすすめします。人間関係や給料への不満、ワークライフバランスが整ってないという課題が見えたら、我慢できるものなのか熟考しましょう。
ポジティブな理由で退職する人はまれですので、どのようなストレスが考えられるか可能な限り探ってみましょう。
事業会社への転職でCFO候補も視野に入れる
BIG4や大手監査法人、税理士事務所出身のかたは、一般企業への転職でCFOになれる可能性もありますが、注意点は評価基準です。企業によっては、税理士資格を保有していても給与査定に大きく反映されないこともあります。また、民間の管理部門に転職すると一般の会社員になることを理解する必要があります。
会計事務所で働いているときは、税理士ではないとできない専門業務を行い、先生と呼ばれる立場で仕事をしていたかもしれませんが、民間へ転職すると上司がいて人間関係に揉まれることもあるでしょう。住む世界の違いも十分理解した上で転職先を決めることをおすすめします。
金融業界の場合
金融業界の会計・税務業務は特殊なため、他へ転職しにくくなるデメリットがありますが、年収水準が高いというメリットもあります。具体的には、銀行や信用金庫、証券会社などに勤めます。
転職先の特徴や得意分野を理解する
税理士に強いがあるように会計事務所や会社にも強みがあります。転職先の得意分野を理解した上で、自分の強みやスキルとマッチするか検討しましょう。
BIG4税理士法人
BIG4・大手税理士法人は、従来若手税理士の採用を積極的に行っていましたが、2018年ごろから経験者を中心に採用しています。相変わらず関東での採用競争は激しいですが、地方では税理士の数が追い付いていないこともあるようです。地方にはチャンスがあるかもしれません。
・メリット:国際税務や連結納税、組織再編の税務コンサルティング経験を積める
・デメリット:原則は分業スタイル。業務の幅が限られるケースが多い
中堅税理士法人
・メリット:税務・会計における幅広い業務経験を積める
・デメリット:個人の裁量も責任も大きいが、ハードワークは必至
特化型事務所
・メリット:ターゲットが明確で資産税やM&Aなどのスペシャリストになれる
・デメリット:顧客の要求が高度、法律や金融等の知識などが求められることも多い
コンサルティングファーム
コンサルティングファームは、クライアントの中長期的な戦略作成や資産税、M&Aなどの特化型コンサルなどを行っています。コンサルティングファームでは、高度な税務知識や経験を持つ税理士が求められるでしょう。他から転職してくる税理士は少なくありません。
・メリット:IPO支援、M&Amp;A、組織再編、事業再生等、クライアントワークの業務に携われる
・デメリット:労働集約的な働き方のため、担当クライアントが多いとワークライフバランスが崩れる
このように事務所規模によっては大なり小なりのメリットデメリットがあるため、幅広い視野で考えてみましょう。
35歳以上の転職では税務知識以外もアピールすべき
35歳以上の転職ですと、税務知識だけではなく、マネジメント能力や営業力、調整力なども求められることを知っておいてください。40歳以上になると、その傾向はますます強くなります。さらに、一般的な税務知識に加え、国際税務や移転価格・SPC・IPOなど、オリジナリティーの価値を提供できるのが望ましいです。
【年齢別で見る】税理士の転職成功事例
税理士の転職成功ポイントを解説します。体験談も合わせて紹介します。
20代の場合
20代ですと、初めての転職である可能性が高いです。1人では、履歴書や職務経歴書の書き方、アピールポイントや転職特有の質問に対する答え方の対策などが十分にとれないことも。そこで、転職エージェントを利用して転職のプロからアドバイスをもらうと安心できたという声がありました。
初めの面接にて、転職活動の一般的な概要から、どのような対策を行えばよいか、幅広く教えていただけた。 履歴書、職務経歴書については、自分のセールスポイントのアピールの仕方や、マイナスではなくプラスの面を押し出せるような伝え方を教えていただけた。企業ごとの対策についても、過去の例や、具体的に質問される内容を想定として教えていただけた。 |
30代の場合
30代になると、給料アップを目的とした転職も増えてきます。勤続する中で給料を上げてくれるようかけ合うのは至難の業。そこで、入社時にしっかり交渉するのが大事です。
40代の場合
40代になると、転職が難しくなることも。そこで、徹底して面接対策に取り組む必要があるでしょう。自己分析や企業分析などをして、万全の対策をとるとよいでしょう。
Kさんの転職における選考ポイントは、1社しか書類選考通過した案件がない中で、これでもかというぐらい面接対策に意欲的に取り組んで頂けたことが、大きな成功要因だと思います。 こちら側から用意させて頂いた資料以外にも、ご本人が自主的に企業研究をされ対策資料を作成されたり、ご自身のこれまでの経験の中での強みや、未経験ながらも先方に貢献できる資料を作成されるなど、主体的に取り組んで頂けました。 現職中に転職活動をされるのは時間的にも困難を強いられますが、とはいえご自身の一生を左右する大事なタイミングですので、Kさんのように覚悟感を持って取り組んで頂ければ道は開けます。 |
50代の場合
50代になると、年齢というネックを跳ねのけるほどの魅力を伝える必要があります。また、希望を絞り過ぎないというところも転職成功のポイントでしょう。実現したい必須の要件は抑えつつ、社風や業務内容などは求人票だけでは分からない点もあるので、実際に選考の場で擦り合わせるとよいです。
まとめ
税理士が転職エージェントを利用する際には、専門特化型の転職エージェントを中心に2~3社を比較検討することが大切です。自分に合った転職エージェントを使えば転職の成功確率が高まるでしょう。
エージェント名 | 特徴 |
NO-LIMIT税理士転職 | 税理士・科目合格者に特化した転職サイト。求職者と企業担当をアドバイザー1人が担当する一気通貫だからミスマッチがない。 |
マイナビ税理士 | 大手マイナビが運営する税理士の転職に特化した転職エージェント |
MS-Japan | 管理部門に強い転職エージェント。 |
REXアドバイザー | 税理士・経理・財務の転職に強い転職エージェント |
パソナキャリア | 元人事、元経理など管理部門経験のあるアドバイザーが在籍。専門性の高いアドバイスをしてくれます。 |
ジャスネットキャリア | 公認会計士・税理士・経理の転職に特化した転職エージェント |
最速転職HUPRO(ヒュープロ) | 税理士のほか税理士を目指す補助員や簿記取得者など経験が浅い人までフィットする求人があります。 |
エルキャリ | ベンチャー企業や新規事業を積極的に行う企業での経理・財務部門、またはコンサルティングファームへの転職に強み |
人材ドラフト | 会計事務所・税理士事務所・経理など会計業界に特化した転職エージェント |
リクルートエージェント | 人材業界トップの求人を保有しているため税理士に絞った場合の求人も1000件以上 |
ビズリーチ | 特化ではないが、税理士のように高度な専門スキルを持つ人材の転職支援にも注力 |