「税理士の転職に年齢は関係あるのか?」
「税理士としてキャリアアップするには?」
など、転職や今後のキャリアプランについて悩みを抱える税理士の方も多いのではないでしょうか。
税理士に限らず、転職するにあたって年齢は重要な要素の一つです。転職する年齢によって、採用で見られるポイントが変わることを理解する必要があります。
そこで本記事では、税理士の転職に年齢はどう影響するのか、転職するために必要なスキルや成功するポイントを解説します。
税理士の方で転職を目指している方は、ぜひ参考にしてください。

税理士の転職に年齢はどう影響するのか?
結論、税理士の転職においては年齢が高くなるにつれて難易度が高くなります。しかし、年齢が高いからといって不可能ということはありません。
年齢によって求められるスキルや経験が異なるため、転職する場合は、自分の年齢によって身につけておくべきスキルや知識が変わります。
税理士業界は、人手不足な傾向にあるため、実績を活かして即戦力になることをアピールすることができれば転職しやすい業界です。そのため、税理士としての経験や実績がある方は非常に有利であると言えるでしょう。
また、税理士としての経験が無くても転職できる場合もあります。
20代から30代前半であれば、注視されるポイントは主に科目試験の結果が中心となるので、未経験でも採用される可能性は十分にあります。
一方、30代後半から40代の場合は、前職の経験や実績が重要になるでしょう。50代にもなると、転職難易度が高くなり、転職が実現できるかどうかは経験次第です。
経験や実績以外に企業が注視しているポイントは、長期的に働けるかです。企業としては、採用コストをかけて税理士を雇うため、長く働ける可能性が高い人材を求めます。
税理士の転職に求められる7つのスキルや適性
税理士の転職に求められるスキルは以下のとおりです。
- 税理士としての経験・スキル
- 税理士の業務に活きる資格
- コミュニケーション能力
- 語学力
- 営業力
- 継続力
- 分析力
税理士として転職する際、企業が求めるスキルを理解していないと、他の求職者と比較したときに不合格になる可能性があります。
他の求職者と比較して自分を採用してもらえるように、企業ごとの求める人材を把握して、積極的にアピールできるようにしましょう。
税理士としての経験・スキル
税理士としての転職で最も有利になる要素は、もちろん税理士としての経験やスキルがあるかどうかです。
特に、税理士の仕事は繁忙期になると急激に忙しくなります。例えば、税理士の主要な業務である税務では、期末期初に税務書類を作成するため、この期間は書類作成に追われる繁忙期になります。
繁忙期に業務経験がない人が入社すると、任せられる仕事がなく、教育をする間もありません。逆に、経験やスキルをもとに効率よく業務をこなせる方は重宝されます。
税理士の業務に活きる資格
税理士として活躍する上で、資格は重要な要素のひとつです。
たとえば「ビジネス会計検定」や「中小企業診断士」の資格を持ち活用していけば、ただ税務業務を行うだけの税理士ではなく、企業の経営者に対して税務の観点から経営へのアドバイザリーとなるキャリアにもつながります。
また、「社会保険労務士」や「USCPA(米国公認会計士)」、「TOEIC」などの資格を取得することで税理士としての活躍の場を大手企業やグローバル企業へと広げることができます。
積極的に資格取得し、転職などのキャリアアップを目指すと良いでしょう。
ただし、一つの資格を取るために長期の勉強時間を要するものが多く、上記の資格全てを短期で獲得するのは不可能に近いです。自分の目指すキャリアにおいて優先順位の高い資格を見極めて、戦略的に取得することが重要でしょう。
税理士の転職に強い転職エージェントなどに登録することで、自身のキャリアにとって有利な資格などを相談するというのも良いでしょう。
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力は、税理士として重要なスキルです。税理士は、クライアントと密に関わりながら仕事をするため、一定のコミュニケーション能力がないと信頼が得られません。
たとえば、税理の仕事では、税金対策についてアドバイスをすることが多いため、わかりやすく簡潔に伝える力が必要とされます。論理的思考力を持っていても、伝える能力がなければ仕事がやりづらいと判断され、最悪の場合、契約が打ち切りになる可能性も考えられます。
担当するクライアントによっては、関わる人が経営者や役員クラスになるケースも少なくありません。そのため、社会人としてのビジネスマナーを心得たコミュニケーション能力は必須です。
クライアントに対して税務、会計業務の他にそこに付随したアドバイスなどをおこなった経験などは積極的にアピールしましょう。
コミュニケーション能力に自信が無い場合は、身につけるためには何をすべきか考え、行動に移すのが大切です。コミュニケーション能力に自信がある方は、しっかりとアピールしましょう。
語学力
近年、企業のグローバル化に伴い、税理士にも語学力が必要とされる場合があります。もちろん、企業がグローバル展開していない場合は、語学力は関係ありません。
しかし、語学力を身につけていれば、税理士として選択する幅が広がります。
まだグローバル展開していない事務所や企業への転職であっても、ある程度はプラスに働くでしょう。いざ海外と取引をするとなった場合に頼れる存在となるだけでなく、語学力を身につけるための努力をしてきたことがわかります。
営業力
営業力は、税理士に求められるスキルのひとつです。営業力があれば、業務を通じてクライアントからの信頼を獲得し、次の案件を獲得できるからです。
もちろん、税理士としての業務を行うのが優先です。しかし、一度の仕事で契約が切れてしまうと、次の案件がなくなります。継続的に依頼を受けるためにも、営業力は身につけるべきスキルでしょう。
過去に、見込み顧客からの信用を得て案件に繋げた、などといった実績のある方は積極的にアピールしましょう。
学び続ける姿勢
学び続ける姿勢は、税理士に限らず必要なスキルです。ある程度の役職についたり、仕事に慣れたりすると学ぶことを辞めてしまう方も少なくありません。
税理士は、税法が改正されれば、前回とどこが違うのか、どの会計にどう影響するのかなどを理解する必要があります。また、会計や税務だけでなく、経営者や役員クラスに対してアドバイスをするのも仕事のひとつです。
分析力
分析力は、税理士として必須のスキルです。税理士は、膨大な数字を見ながら、企業はどこにお金を使用しているのか判断し、節税できる部分を見極めなくてはいけません。そのためには、企業の業績やお金の動きを分析する必要があります。
また、アドバイスや改善策を提案するときは、仮説を立てて説明しなくてはいけないため、どこにお金を使用すると、どう変化するのかといった分析も行います。
たとえば、外注費用を抑えて、システムに使用した場合、長期的に考えていくら節税できて、利便性が上がるのかなど、仮説を立てて提案しなくてはいけません。
実際にクライアントに仮説を立てて提案を行い、何らかの成果につながった経験などがあれば、アピールしましょう。
税理士の転職を成功させる4つのポイント
税理士の転職を成功させるポイントは、以下のとおりです。
- 企業の情報を深く収集する
- 転職する理由を明確にする
- 専門性を高める
- 税理士専門の転職エージェントを活用する
税理士に転職する年齢によって、求められるスキルや経験が異なると説明しましたが、スキルや経験以外にも必要なポイントがあります。
転職を成功させたい方は、ぜひ参考にしてください。
企業の情報を深く収集する
深く企業の情報を収集するのは、税理士が転職を成功させるためには必要なポイントです。税理士は、既存のクライアントからの紹介で事業を拡大するケースが多いため、情報が表に出にくく、外からは見えにくい仕事です。
また、情報の流出を避けるために、外から見えにくくしている側面もあるため、ホームページや求人票に載っているビジョンや理念だけでは判断できない部分があります。そのため、会社のビジョンや理念に共感をして転職を行っても、入社後にギャップを感じる可能性があります。
こうした状況を事前に回避するためにも、企業の情報収集の深さが重要です。
転職する理由を明確にする
税理士に転職をするにあたって、転職理由を明確にするのは重要なポイントです。そ
転職する理由が明確でないまま面接に挑んだ場合、質問に対して答えられず、面接官に不安を残します。面接官が、あなたが入社後に活躍する姿を想像できないと、不採用になる可能性が高くなります。
また、仮に入社できたとしても、入社後にギャップを感じてしまうケースもあるでしょう。
入社後に「この企業に転職してよかった」と思えるように、転職する理由は明確にする必要があります。
専門性を高める
専門性の高いスキルや知識をアピールできれば、他の求職者と差がつくため、税理士の転職を成功させるために専門性は重要です。
また、税理士に求められる専門性は主に以下の4つが挙げられます。
- M&A
- 事業継承
- 資産税
- 国際税務
「M&A」や「事業継承」は以下のような経験が強みになります。
- 企業の買収や合併においてM&Aの戦略策定
- 継承者の経営体制の確立・後継者の育成・経営課題の解決や納税の資金対策
- 節税や税務処理のサポートなど
- 相手探しや交渉
資産税は主に「贈与税」「相続税」「譲渡所得に係る所得税」に関する知識や経験が強みになりますが、他にも以下の能力が求められます。
- コミュニケーション能力
- 柔軟性
- コンサルティング能力
- マネジメント能力
- 法務知識
上記のような強みがあると、企業としてはポテンシャルや戦力が十分にあると判断するため、税理士としてのキャリアアップが成功するでしょう。
税理士専門の転職エージェントを活用する
税理士として転職をするのであれば、専門の転職エージェントを活用するのがおすすめです。税理士に特化した転職エージェントを活用することで、希望した企業に入社できるようサポートしてくれます。
他にも、書類作成や面接の選考対策のポイントまで教えてくれるので、転職の成功率が高まります。おすすめの税理士の転職エージェントは以下のとおりです。
- ハイタス税理士:税理士や科目合格者に特化したエージェント
- マイナビ税理士:税理士を専門に取り扱うエージェント
- REXアドバイザーズ:税理士・公認会計士・財務・経理を専門に取り扱うエージェント
税理士の転職エージェントは、それぞれ特徴が異なります。自分と相性が良い転職エージェントを利用することで、不満や不安なく進められます。税理士の転職エージェントを活用する際は、それぞれの特徴を把握したうえで、自分が利用したいと思ったところを利用しましょう。
【年齢別】税理士の転職成功事例
税理士の成功事例を知りたい方も多いのではないでしょうか。事例を知ることで、自分の転職活動を具体的に描きやすくなるでしょう。
以下で、税理士の転職成功事例を年代別に紹介します。自分の年齢に合う成功事例があれば、ぜひ参考にしてください。
20代税理士の転職成功事例
20代税理士の転職成功事例は以下のとおりです。
- 年齢・性別:28歳・男性
- 転職前:税理士法人(法人税務)/年収800万円
- 転職後:税理士法人(相続・事業承継)/年収650万円
- 取得資格:税理士3科目合格
2度目の転職を成功させた事例です。
Mさんは、対法人の監査業務に従事していましたが、よりクライアントとの近くで仕事をしたいとの思いからキャリアチェンジし、大手税理士法人にて法人税務に従事していました。
クライアントから相続と事業承継のニーズが高まっていることを感じ、相続のスキルを獲得するために2度目の転職を決めました。
前職は縦割りのしがらみがあり、部署異動が実現できないため、転職するに至りました。
30代税理士の転職成功事例
30代税理士の転職成功事例は以下のとおりです。
- 年齢・性別:31歳・男性
- 転職前:税理士法人(税理士補助・決算・税務申請)/年収550万円
- 転職後:BIG4税理士法人(税務コンサルタント)/年収750万円
Sさんは税理士として大手税理士法人にて勤務をしていましたが、社内での働き方や待遇について、都合よく使われてしまっていると感じ転職を考えました。
働き方や待遇というのは、具体的には勤務時間や年収、キャリアパスの透明性のことを指します。別の大手税理士法人に転職して、環境のリセットを目指しました。
結果として、200万円の年収アップにつながり、満足のいく転職になったようです。
40代税理士の転職成功事例
40代税理士の転職成功事例は以下のとおりです。
- 年齢・性別:43歳・女性
- 転職前:税理士事務所(監査業務)
- 転職後:税理士法人(税務業務)
15年以上税理士事務所に勤めて、顧客の業績や各種問題について相談を受けていました。
より規模の大きい税理士法人で、スキルアップしたいと考えての転職でした。
結果的に、経営者のパートナーを担ったり、充実した研修制度の中で知識を習得したりできる環境に身を置き、満足のいく転職を実現できたようです。
まとめ
税理士の転職において、年齢によって求められるスキルや経験が異なります。
求められていることを理解したうえで、自分のアピールポイントや採用するメリットを伝えられるように対策することが重要です。
税理士の転職を迷っている方は、まず行動を起こして情報収集を重ね、自信を持って転職できるように綿密な準備を行いましょう。