「人材業界で頑張ってきたけれど、転職したい…」
「人材業界の経験って、市場価値はどうなんだろう？」

人材業界は、求職者と企業を結びつけることを目的として存在しており、社会的にも需要のある素晴らしい業種です。

しかしその一方で景気などの影響を受けやすく、成果主義の企業も多いため、ハードな仕事だという側面も否定できません。

本記事では、人材業界で働く人が転職を考える理由や、仕事を通じて身に付けているスキル、転職先としておすすめの業界や職種について、詳しく解説します。

ぜひ最後まで読み、参考にしてみてください。

関連記事：人材業界への転職でおすすめの転職エージェント10選！具体的な選び方や活用のポイントも押さえて転職を成功させよう

人材業界から転職を考える4つの理由

人材業界の仕事は、求職者と企業を結びつける素晴らしいものです。近年の日本では、新卒であってもベテランであっても、より良い職場を求めて転職することが当たり前になりつつあり、その分人材業界の需要は高まっています。

しかし一方で、そんな人材業界からの転職を検討する人も少なくありません。

ここからは、人材業界から転職を考える主な理由について説明します。共感できる項目が複数あれば、それは転職を検討するタイミングなのかもしれません。

1.高いノルマに追われることが辛い

人材業界では、多くの場合、高いノルマが設定されています。

これは、企業と求職者をマッチングさせて初めて大きな利益が発生するという、人材業界のビジネスモデルの設計上やむを得ないものです。

しかし、このノルマのプレッシャーが精神的な負担となる人は多いです。

とくに、基本給が低く成約数がインセンティブに直結する会社で働いていれば、なおさら常に数字を意識しながら働くことになります。

このような状況が続き、仕事へのモチベーションを失ってしまい、転職を考える場合があります。

2.ワークライフバランスの改善をしたい

人材業界の仕事は、求職者と企業の双方のニーズに応えなければならないため、長時間労働になりがちです。

求職者は会社に勤めながら転職活動をおこなっている場合が多く、面談が夜遅くなる一方、企業との打ち合わせは朝からだったりと、勤務時間の調整も難しい場合が多いでしょう。

このように、長時間労働が続くと、プライベートとの両立が難しくなり、心身の疲労が蓄積されていきます。そのため、より規則的な勤務や自由な時間を求めて、転職を検討するという人も少なくありません。

3.基本給が安く収入が不安定である

人材業界の多くの企業では、成果報酬型の給与体系を採用しています。

この場合、基本給自体はそこまで高くなく、成約件数に応じてインセンティブが支払われることになります。

これはうまくいけば高収入を得られる仕組みではあります。しかし、自分の努力ではどうしようもない理由で稼げないという事態にもつながりかねません。一生懸命サポートしてきた求職者が思ったように就職できないという場合や、転職自体を諦めてしまうケースもあるからです。

この収入の不安定さが、転職を考えるきっかけとなるケースも多く見られます。

4.専門性を高めてキャリアアップしたい

人材業界で働くことで、幅広い業界の知識や人脈を得られます。

しかし、何か特定分野での専門性を高められるかというと、やや難しいのも事実でしょう。

人材業界の仕事をしていると、他の人のリアルな転職状況を知ることになります。専門性の高い人材が好条件の転職を実現する一方、そうでない人が苦戦する様子も目撃してしまうのです。

そのため、自分自身のスキルに不安を感じ、より専門性の高い仕事に転職してキャリアアップしたいと考えるようになる場合があります。

人材業界から転職するメリット

人材業界で得られた知識を活かして転職すると、さまざまな恩恵を受けられます。

まず、幅広い業界や職種に関する知識が豊富なため、企業の人事部や人事コンサルタントなど、採用に関わる高次な仕事にいきなり就ける可能性があります。

また、多くの企業と求職者を結び付けてきたコミュニケーション能力や交渉力が評価され、営業職など人と接する仕事においても歓迎されるでしょう。

さまざまな転職を支援してきた経験から、自分自身のキャリアの方向性を見極めやすいという点も大きなメリットです。求職者からの相談は、業界や企業に関するリアルな口コミでもあります。

このように、これまでの経験を活かせば、自分がどんな企業に向いているのか選びやすく、ミスマッチの確率も最小限に抑えた企業選びができるでしょう。

人材業界から転職するデメリット

人材業界から転職する際には、一定のデメリットも考えられます。

まず、人材業界では、他の業種で役に立つような汎用性の高い専門スキルは身に付けづらいという特性があります。

そのため、ハイレベル人材としていきなり高収入を得られるような転職をするのは難しいでしょう。

また、成果報酬型の給与体系ではない仕事に転職した場合、初めのうちは収入が低下するリスクがあります。成績が良かった人ほどこのギャップに悩まされることになるのが、人材業界からの転職の難しさにつながるといえるでしょう。

人材業界出身者が活躍できる！ おすすめ業界5選

ここからは、人材業界での経験を活かして活躍しやすい業界を5つ紹介します。

人材業界で働いていても、目立った専門スキルやわかりやすい資格が得られないと感じている方も多いかもしれません。

しかし実はその分幅広いビジネススキルが身に付いている場合が多く、それが多くの業界で評価されるのです。

1.金融業界

金融業界は、人材業界出身者にとって魅力的な転職先のひとつです。保険会社、銀行、投資信託会社、証券会社等での営業職などが考えられます。

人材業界の仕事を通して培った対話力や交渉力は、金融商品の提案や顧客対応に直接役立ちます。

また、さまざまな業界の知識を持っていることから、幅広い顧客の潜在的なニーズまで理解し、適切な商品を提案することもできるでしょう。

このように、金融業界は比較的雇用環境が安定しているうえに、成果に応じた報酬体系を併せ持つ場合が少なくありません。

そのため、これまでのスキルを活かしてしっかり稼ぎたいという人におすすめです。

関連記事：金融業界に強いおすすめの転職エージェント13選！目的別の選び方や利用するコツを解説

2.教育業界

学習塾や予備校といった教育関連の仕事も、人材業界出身者に向いています。

これまでの経験で培った「人の可能性を引き出す力」は、教育の現場でも大いに役立つでしょう。求職者とのカウンセリングで得た傾聴力や、相手の強みを見つけ出す能力は、生徒や保護者とのやり取りでも活かせます。

また、教材出版社の営業職などもおすすめです。学校や教育機関のニーズを的確に把握し、最適な教材を提案するスキルが求められるため、これまでの経験を活かしやすいでしょう。

このように、教育業界での仕事は、社会貢献度が高く、やりがいを感じやすいものです。

人材業界で人をサポートすることを楽しいと感じられていた人であれば、かなり向いている業界だと言えるでしょう。

関連記事：教育業界に強い転職エージェント15選│利用するメリットや注意点も紹介

3.IT業界

IT業界も、人材業界出身者が活躍しやすい分野のひとつです。エンジニアのイメージが強いかもしれませんが、実は営業職の募集も多く、コミュニケーション能力の高い人材が求められているのです。

求職者の支援を通して身に付けた人間関係構築力や折衝能力は、さまざまな案件を獲得する営業職の仕事でも役に立ちます。

また、多くのエンジニアやプログラマーを束ね、プロジェクトを成功に導くプロジェクトマネージャー職としての道も考えられるでしょう。

とくに、IT業界は成長傾向にあり、常に優秀な人材を求めています。自身の適性やスキルを適切にアピールすれば、かなり好条件での転職を実現できる可能性も考えられます。

関連記事：IT未経験向けおすすめの転職エージェント12選を徹底比較

4.介護・福祉業界

介護・福祉業界は、人材業界出身者のスキルや経験を大いに活かせる分野です。

ハードで低賃金というイメージがあるかもしれませんが、介護福祉士、ケアマネージャー、社会福祉士、認定介護福祉士といった専門職であれば、好待遇での転職も可能です。

また、介護・福祉の現場では、利用者である高齢者だけでなく、その家族や、社内のさまざまな職種の人々、取引先企業の担当者など、多くの人とのコミュニケーションが求められます。

そのため、人材業界で身に付けた傾聴力・対話力やニーズ分析力との親和性が高い仕事だといえるでしょう。

関連記事：介護職向け転職エージェントおすすめ11選！各社を徹底比較【2024年最新】

5.医療業界

医療業界も、多くの人材業界出身者が活躍している業界です。医療機器メーカーの営業職や、医療機関や関連企業の経営をサポートする医療コンサルタントといった職業が考えられます。

人材業界での経験を通して身に付けたコミュニケーション能力や交渉力は、医療機関や医療従事者とのやりとりの場面でも大いに活かせるでしょう。

また、人材業界経験者は、幅広い求職者と接してきた経験から、さまざまな職業の人が持つ悩みやニーズを知っています。それらの知識を活かし、最適なサービスの提案をおこなえる点も大きな強みです。

とくに、医療業界は需要が安定しており、その分労働環境も整っています。好条件での転職を成功させたい方は、検討してみても良いでしょう。

人材業界での経験が活きる！ 3つのおすすめ職種

人材業界での経験は幅広い業界で活かすことができますが、とくに直接スキルが役立つ職種がいくつかあります。

特定の志望業界が定まっていない場合や、待遇面にこだわった転職をしたい場合には、職種ベースで仕事を探してみるのもおすすめです。ここからは、特におすすめの職種を3つ紹介します。

1.営業職

営業職は、人材業界での経験とかなり親和性の高い職種です。相手のニーズをくみ取り、最適な製品やサービスを紹介できる営業スキルは、多くの業界で求められます。

とくにBtoB領域の営業職であれば、人材業界で得られた幅広い業界や企業に関する知識が直接役立つ可能性が高くなります。

さらに、人材業界での経験を通じて身に付けた粘り強さや目標達成への意欲も、営業職として成功するためには重要な要素です。こういった資質は、新規開拓の際や、顧客との長期的な関係構築において大きな強みとなるでしょう。

関連記事：営業に向いている人の特徴は？向いていない人におすすめの対策

2.人事・採用

人材業界で培った採用のノウハウや面接技術、人材評価の視点などを活かし、人事・採用職への転職を果たす方も多いです。

人材業界経験者は、多くの求職者をサポートしてきた経験から、良い応募者とそうでない応募者を見極める目を持っています。

その知見を活かして、企業の採用戦略を立てたり、従業員のキャリア開発支援をおこなったりといった仕事が考えられます。

また、労働市場のトレンドに関する幅広い知識を期待され、幅広い視点を持つ人事の専門家として、即戦力採用される可能性もあるでしょう。

関連記事：人事の転職は難しい・転職しにくいのか？経験やスキルが転職で評価されるポイント

3.コンサルタント

コンサルタント職は、人材業界での幅広い経験や知識を存分に活かせる職種です。

とくに人事・採用に関する専門家としての人事コンサルタントの道であれば、好待遇での転職も期待できます。

とくに、人材業界での仕事を通して培ったさまざまな業界や企業に関する知見は、顧客企業の課題を的確に把握し、解決策を提案する際に大いに役立ちます。

また、多くの求職者に最適な企業を紹介する中で身に付いた分析力や提案力も、企業の人事戦略を立てるときは組織改革のアドバイスをおこなう際に直接活かせるでしょう。

関連記事：コンサルタントが激務なのは本当？やめとけと言われる理由や実態・魅力を解説

人材業界で培われる5つのスキルとは

人材業界での経験によって身に付くスキルはさまざまです。一つひとつはそこまで目立たないかもしれませんが、複合的に活用することで、幅広いビジネスにおいて有効なものとなります。

ここからは、とくに重要な5つのスキルについて解説します。自分の持つスキルを改めて把握し、適切にアピールできれば、転職活動を有利に進められるようになるでしょう。

1.ヒアリング力

人材業界では、企業と求職者双方のニーズを適切に汲み取り、マッチングをおこなうことが求められます。この経験を通じて、相手の言葉の奥にある潜在的なニーズまで読み取る力が磨かれます。

たとえば求職者が「給与をアップさせるために転職したい」と言っていても、実際にはよりやりがいのある仕事や、社会貢献度の高い仕事を求めていると気付いた経験がある人は多いのではないでしょうか。

このような、真のニーズを見抜くヒアリング能力は、顧客対応やチームワークが必要なあらゆる職種で重宝されるでしょう。

2.データ分析力

企業と求職者の最適なマッチングをおこなうには、大量の求人情報を効率的に分析し、答えを見つけ出す力が求められます。

そのため、人材業界経験者は高度なデータ分析力を身に付けている可能性が高く、転職市場でも歓迎されます。このデータ分析力は、マーケティングや経営企画といった幅広い分野で役立ちます。

さらに、企業と求職者の双方に分析結果をもとにアドバイスをしてきた経験から、人材業界の経験者の中には高い言語化能力を有する人も多いです。

そのため、単にアイデアを出すだけでなく、自分自身でそれを提案する力も持っていることから、転職市場では高く評価されます。

3.提案力・トークスキル

企業と求職者のマッチングを成立させるためには、適切な情報提供と高度なトークスキルが不可欠です。

たとえば、求職者の潜在的な可能性を見出し、新しい業界へのチャレンジを促した経験のある方もいるでしょう。その場面では、なぜその業界をすすめるのかを、論理的かつ効果的に伝えるスキルが求められていたはずです。

こういった経験は、営業職やコンサルタント職など、対人折衝が必要な職種で大きな強みとなります。

また、その他の職種であっても、自分の意見やアイデアを適切に伝えるトークスキルは、働くうえで大きな武器となるはずです。

4.マネジメント力

人材業界では、複数の案件を同時に進行させるプロジェクトマネジメント力と、さまざまな人々と協働するヒューマンマネジメント力の両方が磨かれます。

こういったスキルは、営業職のように幅広い相手と取引をおこなう職種や、チームリーダーやプロジェクトマネージャーなど、リーダーシップが必要な職種でとくに高く評価されます。

また、マネジメント力の高い人材は、自己管理能力が高いと判断されるため、その点でも高い評価を獲得できる可能性があるでしょう。

5.多様な業界知識や幅広い人脈

人材業界の仕事をしていると、自然とさまざまな業界に関する知識がつきます。各業界の特徴やトレンド、求められる人物像など、いつの間にか多くのことが身に付いているはずです。

たとえばIT業界の求人に携わる中で、プログラミング言語のトレンドの変化や、IT企業特有の組織文化について詳しくなっていることがあります。あるいは金融業界の案件を通じて、金融商品の知識や規制の動向について学ぶといったケースもあるでしょう。

この幅広い知見によって、自身の仕事においても多角的な視点でとらえ、高いパフォーマンスを発揮できる可能性があります。

また、仕事を通じてさまざまな業界に人脈ができるため、それを活かして深い情報収集ができたり、新たなキャリアの機会を得られたりする場合もあるでしょう。

人材業界から転職するには｜5つのやるべきこと

人材業界からの転職を成功させるためには、計画的なアプローチが重要です。ここからは、転職を考えている方がやるべき項目を5つのステップに分けて紹介します。

正しい手順で転職活動を進め、理想のキャリアアップを実現させましょう。

1.自分のスキル・能力を客観的に評価する

転職活動の準備の第一歩として、適切な自己評価をおこなうことが重要です。人材業界での仕事を通して身に付けたスキルや能力を客観的に評価することから始めましょう。

自己評価では、これまでの業務経験の中で成功した体験と失敗した体験の両方を具体的に書き出し、そこから自分の強みや弱みを分析します。そこから、自分の強みをどのように他の業界や職種で活かせるかを考えていきます。

この作業によって、自分の市場価値が客観的にわかり、転職の方向性も定めやすくなるでしょう。

2.業界研究・企業研究をおこなう

自己評価をした後は、興味のある業界や企業について詳しく調べます。人材業界での経験を活かせそうな分野を中心に、各業界の現状、将来性、求められる人材像など幅広く情報収集をおこないましょう。

また、具体的な企業についても、事業内容や企業文化、実際に働く人の評判など、必要な情報をしっかりと集める必要があります。

これまでの仕事を通じて知っているはずの企業についても「自分が実際に働くとしたら」という目線で調べた結果、新たな一面が見えてくるかもしれません。

3.キャリアプランを明確にする

転職を成功させるためには、短期的な目標だけでなく、長期的なキャリアプランまで考えることが大切です。

たとえば「5年後にマネージャークラスになる」「10年後には経営層に近いポジションを目指す」といった具体的な目標を立て、そのために今回の転職で何を目指すべきかを明らかにしてみましょう。

目の前の労働環境や待遇面だけにとらわれて転職先を決めてしまうと、思いがけないミスマッチに遭遇し「こんなはずではなかったのに」と後悔する可能性もあります。

そのため、転職する業界や企業を冷静に見極めるためにも、計画をしっかり立てましょう。

4.転職のタイミングを見極める

転職を実行するタイミングは、2つの側面から慎重に見極める必要があります。

まず、現在の会社での自分の状況を確認しましょう。担当しているプロジェクトや目標をどの程度達成できているか、また今後どのくらいで区切りがつくかを考えます。

たとえば大きな案件の成約直前や、部下の育成の最中といったタイミングで職場を離れては、周りに迷惑がかかってしまいます。

また、会社全体の繁忙期に離職することも、社会人としてのマナーに反するため、避けるべきです。

一方で、転職先の業界や企業のタイミングも重要です。年間を通して採用が増えやすい新年度や下半期のスタートに合わせて転職活動をおこなうことで、より良い条件の転職が可能となる場合があります。

自分側、企業側双方のタイミングを見計らい、最適なタイミングで転職活動を始めましょう。

5.転職エージェントに登録する

転職活動を始める際には、転職サイトだけでなく、信頼できる転職エージェントにも登録するのがおすすめです。

人材業界出身者の強みの一つには、自分自身の経験を通して、エージェントの良し悪しを見極められる点が挙げられます。自分の経験やスキルを適切に評価し、最良の提案をしてくれそうなキャリアアドバイザーを見つけましょう。

転職エージェントに依頼すると、在職中であってもエージェントが動いてくれるため、効率的に転職活動を進められます。

そのため、必要なアドバイスやサポートを受けながら、ベストな転職を成功させましょう。

おすすめの転職エージェント3選

ここでは、人材業界に転職する際におすすめの転職エージェントを紹介します。

リクルートエージェント

マイナビエージェント

ビズリーチ

まとめ｜人材業界で培った対人スキルを活かして効果的な転職をしよう

人材業界での経験を通じて身に付けたスキルは、多くの業界で高く評価されます。ヒアリング力、提案力、マネジメント力など、これまで培ってきた能力の中でも特に自信のあるものを見つけ、それを活かせる業界や職種を検討しましょう。

そのため、自己分析と市場調査をしっかりおこない、長期的なキャリアプランを描くことで、自分に合った転職先が見つかるはずです。

ときには転職エージェントのサポートも受けながら、ぜひ理想の転職を実現させてください。