IT業界の営業職に関心のある方が転職後に後悔しないための記事です。

IT営業は、職種や選んだ企業によって苦戦するケースもあり、経験者の中には「やめておいたほうがいい」と忠告する人もいます。

とはいえ、やりがいを感じ、営業成績を伸ばすことで自身の給与アップを実現している方も少なくありません。

この記事では、IT業界の営業が「やめとけ」と言われる理由を解説するとともに、転職後に後悔することなく活躍するためのポイントを紹介します。

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IT業界の営業は「やめとけ」といわれる6つの理由

IT業界の営業職は「やめとけ」「やらないほうがいい」と言われるケースが少なくありません。その理由について、以下の6つを順に解説します。

差別化しにくい商品は売りにくい

IT業界では、各社の商品開発のスピードが速く特許などで守られている状況を除けば、自社がある商品を独占的に販売できるケースは少ないでしょう。

ですが、自社の商品を差別化し、新しさを常にキープするのは困難です。

競合商品が多ければ多いほど、新規顧客の開拓は難しくなり、価格競争に巻き込まれる可能性があります。

そのため、よほど営業スキルの高い人材以外は、苦戦する可能性が高いため、「やめとけ」というアドバイスが多くなるのだと考えられます。

ノルマがきつい傾向にある

IT業界の営業は、厳しいノルマを課せられる企業も少なくありません。

IT業界には「他社にシェアを握られる前に一気呵成に営業をかけたい」というケースが多く見られます。

しかし商材によっては、成約までに社内の検討機関が必要なために月日がかかるケースは少なくありません。

そのため短期間で、営業部隊に負荷のかかる営業計画を立てなくてはならないため「厳しい」と感じる営業パーソンが多くなります。

強力な競合製品があると売れない

IT業界では巨大な資本力を持った大企業が看板商品を販売している場合もあります。こうした商品やサービスを中小企業が競合すると、ほとんど売れない可能性もあるでしょう。

IT製品の導入にあたって企業は知名度や他社の導入動向などを気にするものです。同じような製品でも莫大なマーケティング予算を投じていると、販売実績には大きな差がついてもおかしくありません。

ですので、強力な競合製品がある領域には、安易に近づかないことも賢明な選択です。

製品知識と情報アップデートが大変

IT関係の知識を覚えて、常に最新情報へアップデートすることは簡単ではありません。

とりわけIT業界は、技術の進歩が早く、商品がリリースされるサイクルも短くなっています。

そのため、IT業界で営業するには常に最新の技術を覚えていなければ、十分な説得力が得られないでしょう。

生成AI、ブロックチェーン、量子コンピュータなどと新たな分野や概念が登場することも珍しくないため、トレンドを追いつづける必要があります。

顧客から緊急対応を求められる

IT業界では顧客からの要請で、緊急対応を求められる可能性があります。製品の不具合やシステム障害をはじめITにはさまざまな突発的なエラーが生じうるため、営業は技術担当者などともに迅速な対応が求められます。

エラーや障害が長期化すると顧客の損害も大きくなりやすいため、深夜早朝や休日であっても現場に駆け付けなくてはならないかもしれません。

また、プライベートを犠牲にするなど、肉体的にも心理的にも負担が大きいことから「やめとけ」といった声があがるようです。

労働時間が長い

営業職は全般的に、客先への訪問で時間を取られることに加えて、商談記録や見積もり書類の作成、さまざまな事務処理や顧客の要望への対応など、とにかく時間がかかります。

IT業界では、営業のほかエンジニアが同席のもとで、技術的な相談も含めて商談回数を多く重ねるなど顧客のニーズによってはさらに拘束時間が長期化する傾向にあります。

また、導入後のアフターサポートにも営業のパワーがかかるケースもあるでしょう。

IT業界の営業の主なやりがい

厳しさ、きつさが強調されがちですが、IT業界の営業には次のようなやりがいもあります。

以下で、1つずつ解説します。

ITに関する専門知識が深まる

IT業界で営業職として活躍するには、幅広くIT全般の知識を身につけなくてはなりません。

そのため、研修や自学自習を通じて、必然的にITに関する知識が身につくでしょう。

今後もIT業界の求人は多い状況がつづくと予想され、豊富な知識がある人材は将来的な転職でも有利に働く可能性があります。

クライアントから感謝される

営業職の魅力は、顧客から直接感謝の言葉をかけられることです。

そのためにはもちろん、製品の導入によって顧客の課題を解決するなど、顧客の期待に応える必要があります。

ITの営業は、検討から成約、さらに導入開始まで時間がかかることも多いため、なおさらクライアントとの関係は深くなりやすいでしょう。

成果によって報酬が伸びやすい

IT業界の営業職は短期間での成果が求められやすいため、そのぶん受注金額や件数に応じたインセンティブが高めに設定されていることもあります。シェアが増えるほどに成約しやすくなる傾向にあるため一定の成約件数を超えると、どんどん高い報酬を狙いやすくなります。

SaaS型のサブスクリプションのビジネスは、売り上げが長期にわたって見込めるため契約年数に応じて報酬が増える場合もあります、

ですので、営業スキルがあり、短期間で年収アップを実現したい方にはITの営業はおすすめです。

キャリアアップの選択肢が多い

IT業界はこれまでも成長しつづけており、今後もまだまだ発展が期待されている産業です。

とくにAIが台頭しても、営業の人手不足が解消することは想定しづらいと考えられています。SaaSなどで急成長する事業にはより多くの人手が必要となるため、営業人材への需要は高まる一方でしょう。

ITを理解し、営業で成果をあげられる人材は、より高額な報酬で奪い合いになったとしても不思議ではありません。

IT営業に求められるスキル

IT業界での営業職は、感覚よりも論理を重視する方に適しています。

以下のようなスキルがあると、IT営業に適性があるといえます。

プレゼンテーション力

ITの商品やサービスのほとんどは、無形商材と呼ばれる目に見えないものです。

そのため、営業には顧客に導入後の姿をイメージさせる力が求められます。お金を出してでも「課題を解決したい」「その結果得られるメリットを享受したい」と思ってもらえれば、商品は売れます。

そのためには、顧客が何に困っているかを把握したうえで、なぜ自社の商品を購入すれば解決につながるのか、ストーリーを的確に伝えなくてはなりません。

ヒアリング力

顧客の課題をヒアリングする力も、IT営業として活躍するには欠かせない能力です。

こちらから「売ろう」とする営業よりも、顧客の悩みに寄り添うほうが成約率も高くなりやすいことは広く知られています。

また、商談を重ねるたびに「さまざまな角度からヒアリングし、相手の要望を的確に把握する力」が養われていくのです。

ですので、面接でも「ただ商材を売るだけでなく、課題解決までできる営業」として大いに評価されるでしょう。

問題解決力

ほかの業界と比較して、IT営業でとくに必要とされるのが問題解決力です。

システムの不具合や設計の途中変更、納期の遅れなど、顕在化している課題から、潜在的な課題を見つけ出す力、解決すべき優先順位を定める能力などが求められます。

そのうえで、解決策を考え出し、さまざまな制約のなかで実行し、成果を出すところまで求められるのはいうまでもないでしょう。

思考の柔軟性

柔軟性のある方も、IT業界に向いているといえます。

変化のスピードが速いIT業界では、新たなテクノロジーの登場や市場動向の変化が頻繁に起こるため、最適な方法ががらりと変わるケースが珍しくありません。

営業の業務フローや提案方法が変更になっても対応できる方、また自身で最適解を探し求められる方は、IT営業に適性のある人材だといえるでしょう。

IT業界の営業が向いている人の特徴

自身が「IT業界の営業に向いているか」をチェックするには、次の4つの特徴に当てはまるかを考えてみるとよいでしょう。

これらの特徴がなぜ大切なのか、順に解説します。

ITが好きで苦手意識がない

営業職にも扱う商品やサービスに関する基本的な理解が求められます。

構造が目に見えないITでは、新しい技術を学ぶことに抵抗があると厳しいでしょう。

こうした要素、姿勢が不可欠です。

感覚よりも論理的な仕事がしたい

IT製品やサービスは技術的な側面が多いため、論理的な思考力が必要です。

本来、人は好き嫌いといった主観的な指標で購入を決断することも少なくありません。

しかしITにおいては、データや数字に基づいた提案や交渉の割合が高いといえます。

顧客の課題を分析し、適切なソリューションにも論理性が求められます。

とくに技術的には難しい内容を、わかりやすく説明できる能力は、多くの企業で評価されるでしょう。

コミュニケーションに自信がある

IT業界の営業は、技術者や経営者などさまざまな立場の人とコミュニケーションを取る必要が多い傾向にあります。

技術と非エンジニアの橋渡し役となって、わかりやすい説明をおこなうこと、納期を守るためにチーム内および自社の他部署との連携をスムーズにおこなうことなど、プロジェクトマネージャーのような動きが求められる場合もあるでしょう。

主体性があり問題解決の意欲が高い

IT業界は変化が速く、常に新しい課題に直面します。

そのため、主体的に行動し、問題解決に取り組む姿勢が重要です。

しかし、こうした特徴にすべて当てはまる必要はありません。

また、今は不足しても、努力で補うことができます。

何よりもITに対する関心と、自己成長や顧客に貢献する意欲が最も重要です。

IT営業の方で今から転職を検討している方におすすめの職種

ここでは、これまでのIT営業としてのスキルを活かせる職種を紹介します。

IT営業に勤めている方で転職を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

関連記事：IT営業からの転職で求人の多い職種や評価されやすいスキルを解説

セールスエンジニア

セールスエンジニアは、IT営業の経験を直接活かせる職種です。

エンジニアにも技術的な知識とコミュニケーション能力の両方が求められるため、IT営業で培った顧客折衝スキルと製品知識が大いに役立つでしょう。

また営業側の業務フローや、彼らの得意・不得意を熟知しているため、営業から頼られる存在になれる可能性があります。

もちろん技術的なスキルを磨いて、踏み込んだ提案や課題解決ができるようになれば、キャリアアップにもつながります。

カスタマーサクセス

CSと呼ばれる、商品・サービス導入後に顧客への価値提供をおこなう職種です。

IT営業でもアフターサービスに携わった経験があればさらに有利です。

ITは、組織に実装されて初めて価値を生むケースが多いため、顧客に寄り添って課題解決を実現するサポート力が求められます。

また、「営業目標に追われるのは苦手だけれど、顧客に役立つ仕事がしたい」などと考える営業経験者も少なくありません。

ですので、営業のスキルを活かしやすい環境だといえるでしょう。

プロダクトマネージャー

プロダクトマネージャーは、IT製品やサービスの企画・開発を主導する職種です。

IT営業で得た市場ニーズや顧客インサイトの理解が、製品開発に大きく貢献します。技術部門とビジネス部門の橋渡し役として、コミュニケーション能力も重要となります。

ビジネスコンサルタント

IT営業で培った業界知識と顧客の課題解決能力を活かし、より戦略的なレベルでクライアントをサポートする職種です。

消費財や製造業など伝統ある業界ほど、営業経験者の勘にもとづいた意志決定が行われている組織は多くあります。

こうした企業で、これまで経験を積んできたセールス手法、顧客管理のシステムなどを導入するだけでもイノベーションを起こせるかもしれません。

ですので、従来のやり方を否定するのではなく、よいところを融合する考え方や姿勢が求められます。

関連記事：コンサルタントが激務なのは本当？やめとけと言われる理由や実態・魅力を解説

デジタルマーケティング

IT営業の経験は、デジタルマーケティングの分野で大いに活かせるでしょう。

IT製品やサービスに関する深い理解、顧客ニーズの把握能力、データ分析のスキルなどが、効果的なマーケティング戦略の立案と実行に役立ちます。

近年はデジタル領域でのマーケティングがIT分野以外でも重視されているので、IT業界での営業経験は非デジタル系の業界で、評価されやすいでしょう。

とくにデジタルツールやプラットフォームの活用、競合分析とマーケットトレンドの把握といった、IT業界では広くおこなわれている手法が、まだ実装されていない企業は多くあります。営業の思考や立場もわかるマーケティング職へのニーズは、今後さらに高まると予想されます。

IT業界への転職を成功させるには

IT業界に限らず、後悔のない転職を実現するには、次のような手法を取ることがおすすめです。

具体的な取り組み方を解説します。

志望動機をはっきりさせる

たとえば次のような観点が考えられます。

これらの動機を整理し、自分らしい言葉で表現できるようにしましょう。

自身のスキルや資格を再確認する

IT業界で働くうえで自らの長所となるスキルや資格を明示します。

プログラミング言語やネットワークの基礎やグローバル企業では英語力など、ITパスポートや基本情報技術者試験などの資格は、自己アピールの材料としては魅力的だといえます。

このほか、コミュニケーションやプレゼンテーションといった営業の基礎的なスキルを備えていることも伝えられると有利になるでしょう。

業界や企業の研究を徹底する

IT業界の動向や主要企業について、深く理解することが重要です。業界が未経験でも、ニュースや書籍、SNSを通じて、トレンドをチェックすることは十分可能です。

幅広い分野を網羅することは難しくても、クラウド、AI、IoTといった大まかに関心のある分野での基礎的な用語の意味をおさえておくだけでも差が生まれます。

大手IT企業のサービスリリースや、勢いのあるベンチャー企業の動向など、業界紙や専門サイトにも目を通しておくと、自らの興味や関心がどこにあるのか言語化できるでしょう。

転職エージェントを活用する

採用が活発で求人数の多いIT業界に転職したい方にとって、転職エージェントの活用は必須といえるでしょう。

求人によっては、特定の転職エージェントを介してのみ応募を受け付ける非公開求人と呼ばれるケースもあります。

また、プロのキャリアアドバイザーに、志望動機や経歴をチェックしてもらい、ブラッシュアップする過程も重要です。

求職者は基本的に無料でサービスを利用できるため、複数のエージェントに登録することをおすすめします。

関連記事：転職エージェントの賢い使い方｜利用の流れや使い倒すコツを徹底解説

IT業界の営業職におすすめの転職エージェント

ここでは、IT業界の営業職におすすめの転職エージェントを紹介します。

IT業界の営業職の方で転職を検討している方はぜひ参考にしてください。

リクルートエージェント

マイナビエージェント

ビズリーチ

IT業界の営業に関連する質問

ここでは、IT業界の営業に関する質問について解説します。

IT業界の営業をやめとけと言われる理由は？

営業のノルマがきついことが多い、常に最新の情報を求められるなど、やや厳しい労働環境があげられます。ただし成長性のあるIT分野で知識を身につければ、その後のキャリアアップも有利になります。

IT営業の離職率は？

厚生労働省によると、IT業界（情報通信業）の離職率は11.9％でした。（出典：産業別入職率・離職率（令和４年（2022））

他の業界と比べても、低い水準だといえます。

ただし、営業に限るともう少し離職率が高くなる可能性はあります。

これは営業の求人が多く、人材の流動性が高まりやすくなっていると考えられます。

IT業界の営業職は年収が高いでしょうか？

結論から申し上げると、比較的高い水準にあるといえそうです。「我が国におけるIT人材の動向（経済産業省）」によると、「優秀なデジタル人材の新卒・中途採用を行う際に、通常よりも高い報酬水準を設定する例がみられる」とされ、営業職も同様に成果を出せる人材は年収が高まる傾向にありそうです。

まとめ

今回は、IT業界の営業が「やめとけ」と言われる理由を解説するとともに、転職後に後悔することなく活躍するためのポイントを紹介しました。

競争が激しく、企業によっては働く条件が厳しいケースもありますが、自身の成長を実感できるうえにやりがいを感じられる環境でもあります。

営業成績を伸ばすことで自身の給与アップを実現している人も少なくありません。自身の興味や特徴とマッチするか、ぜひチェックしてください。