病棟看護師は多忙な環境に加え、人間関係の問題や命を預かるプレッシャーなどで「辞めたい」と感じることも少なくありません。

しかし、判断を誤ってしまうと、転職で後悔する可能性もあります。退職は状況を見極めておこなうのが重要です。

この記事では、病棟看護師を辞めたい理由や、辞めた方がよい場合と辞めない方がよい場合、今すぐ辞めたいときの対処方法について解説します。

転職先におすすめの職場も紹介していますので、活動の参考にしてみてください。

病棟看護師を辞めたい理由7選

病棟看護師を辞めたい理由はさまざまありますが、人間関係や労働環境の問題が大きな割合をしめます。よくある理由は以下のとおりです。

一つずつ解説します。

関連記事：看護師を辞めたいときの対処法5選｜辞めたい理由や退職の判断基準も解説

人間関係がよくない

人間関係の問題は、看護師以外の職業でも仕事を辞めたくなる理由の一つです。看護師は、チームで仕事をおこなうため、円滑な人間関係が重要です。

しかし、看護業界は慢性的な人手不足で、一人ひとりの業務量が多くなり、心に余裕がなくなるときもあります。

周囲に厳しい対応をしてしまう看護師もいるかもしれません。雰囲気が悪くなったり、コミュニケーションがとりづらくなったりします。

新人看護師は先輩看護師に「報・連・相」をしにくくなり、成長が遅くなります。

病棟業務がうまく回らず、先輩看護師の負担は大きいままで、悪循環となってしまうのです。

2017年の看護職員実態調査では、職場環境で「とても重要である」としている要素として「職場の人間関係が良好」が77.6%と最も多い結果でした。

結果からもわかるように、人間関係の問題は退職理由の一つになると考えられます。

【参考】日本看護協会調査研究報告＜No.92＞2017年看護職員実態調査　4.重視する職場環境／日本看護協会

業務が多忙でつらい

病棟看護師は通常業務に加え、緊急入院や急変対応などで多忙です。

患者さんの状態にあった看護を提供するため、日々指示も変わります。ナースコールの対応もあり、計画通りにいかないことも多いでしょう。

状況によっては、休憩時間の確保も難しいときがあります。委員会や勉強会なども負担となり、辞めたくなります。

関連記事：看護師が疲れたと感じる理由は？ストレスを抱えて働くリスクや対処法も解説

夜勤がつらい

病棟看護師は、特別な事情がない限り、夜勤をおこなわなければなりません。生活リズムが乱れ、疲労やストレスがたまってしまい、辞めたくなります。

また、夜勤をするには家族の協力も欠かせません。子育てや介護をしている看護師は、対応を考えなければならないこともあります。

関連記事：夜勤専従看護師の現実とは？リアルな体験談から見る夜勤専従で働くメリット/デメリット

先輩の指導が厳しくつらい

病棟看護師は、患者さんの命を預かっています。

小さなミスが命に関わる恐れもあるため、先輩から厳しい指導を受ける場面もあるでしょう。

患者さんや看護師を思っての指導が、精神的負担となるケースもあります。

先輩看護師に苦手意識を持ったり、「自分は向いていない」と感じたりする場合もあるのです。

命を預かるプレッシャーが大きい

病棟看護師は、24時間患者さんの命を預かるため、常にプレッシャーがあります。

過度な緊張感やプレッシャーがつらく、辞めたくなるときもあります。

業務に慣れていない新人看護師は、インシデントを起こしやすい傾向であるため、十分なサポートが必要です。

ハラスメントがある

看護師は、ハラスメントを受けやすい環境で仕事をしています。

同じ職場の職員や、患者・患者の家族から受けやすいことがわかっています。

2017年の看護職員実態調査では、過去1年間に職場で何らかの暴力やハラスメントを受けた経験を尋ねたところ、「精神的な攻撃」が31.5％、次いで「身体的な攻撃」が22.9％でした。理不尽なクレームや暴言があると、看護の現場から離れたくなるでしょう。

【参考】日本看護協会調査研究報告＜No.92＞2017年看護職員実態調査　5.勤務先における暴力・ハラスメント／日本看護協会

仕事内容と給料が合わないと感じる

看護師の給料は、一般的には高いと思われています。

看護師の給料は、夜勤手当や残業代で高くなるのです。業務量や心身の負担を考えると、給料が見合わないと感じ、辞めたいと考える人もいます。

関連記事：看護師の給料が割に合わない？割に合わない理由と給料が低い場合の対処法

病棟看護師を辞めた方がよい場合

現在の職場を辞めるかどうか悩んでいる人もいるでしょう。辞めた方がよい場合は以下のとおりです。

それぞれ解説しますので、判断基準にしてみてください。

心身に不調をきたしている

職場環境や働き方が原因で心身に不調をきたしているときは、異動や転職を検討すべきでしょう。

すでに以下の状態がある方は、注意が必要です。

症状が長引くと生活に影響を及ぼすため、早めに専門機関に相談するようにしてください。

【参考記事】こころもメンテしよう／厚生労働省

職員からハラスメントを受けている

職員からハラスメントや嫌がらせを受けている場合は、まずは上司に相談しましょう。

状況が改善されれば、退職は考え直してもよいでしょう。改善の見込みがない場合は、退職を検討すべきです。

労働環境の改善が見込めない

他の医療機関より明らかに労働環境が悪く、改善の見込みがなければ、辞める方がよいでしょう。

たとえば、残業時間が多すぎたり、所定の休日がとれなかったりするケースです。

職員の意見を聞く姿勢があるかもチェックしましょう。上司に相談しても何も変わらなければ、働き続けるのは難しいかもしれません。

関連記事：看護師はブラックすぎ？ ブラック病院の見分ける方法・おすすめの転職エージェントを紹介！

病棟看護師を辞めない方がよい場合

病棟看護師を辞めずに続ける方がよいケースもあります。すぐに辞めない方がよい場合は、以下のとおりです。

上記に該当する方は今できる対策をおこない、十分考えて転職しましょう。

関連記事：看護師が転職で後悔する理由とは？実例や悩み別に転職ポイントを解説！

仕事のミスで辞めたいと感じている

仕事のミスで自分を責めてしまう方は多いです。

とくに新人はミスを繰り返してしまうこともあり、落ち込む方もいます。「自分は看護師に向いていない」と考え、辞めたくなるのです。

ミスしてしまっても、今後同じことを繰り返さないのが大事です。原因と対策を考え、一つひとつ丁寧におこなえば成長にもつながります。

人間関係で悩んでいる

人間関係に悩んでいる場合は、すぐに辞めず、自ら状況改善に努めるのがおすすめです。

お互いの理解不足により、問題が生じている可能性もあります。一方的な思いこみで、苦手だと感じているケースも少なくありません。

職場内の雰囲気をよくするために、明るく振る舞うのも効果的です。それでも解決しなければ、職場だけの人間関係と割り切るのも方法の一つです。

今すぐ病棟看護師を辞めたいときの対処方法5つ

さまざまな理由で、すぐにでも病棟看護師を辞めたい方もいるかもしれません。

しかし組織で働くと、すぐに退職できないことがほとんどです。

将来を考えずに勢いで辞めてしまうと、後悔する可能性もあります。体調の問題やハラスメントの問題以外は、十分に考えて決めましょう。

今すぐ辞めたいときは、以下の対処方法を試してみてください。

それぞれ解説します。

同期に話を聴いてもらう

一緒に入職し頑張ってきた同期は、悩みを打ち明けやすいものです。

上司や先輩に話せないことも、同期には話せることがあります。共感してくれたり、意見をもらえたりして、気分も晴れるでしょう。

物事の見方も自分とは異なるため、解決策を見いだせるときもあります。何でも相談しあえる同期の存在は重要です。

休暇をとり心身を休める

病棟看護師を辞めたいと感じるときは、心身が疲弊していると考えられます。一度休暇をとって、しっかり休むのも手です。

心身がリフレッシュすると、気持ちも前向きになれます。

心に余裕もできて、冷静に自分を見つめられるでしょう。本当に辞めたいのか、なぜ辞めたいのかなど考えてみてください。

部署異動を希望する

退職ではなく、部署異動を希望することもおすすめです。

同じ医療機関でも、他部署では業務内容や人間関係、雰囲気が異なるため、新鮮な気持ちで仕事ができる可能性があります。

異動先が自分に合う場合は、退職せずに済むかもしれません。

ただし、部署異動までには時間がかかるケースもあるため、注意が必要です。目安を聞いておくとよいでしょう。

退職後のキャリアプランを考える

退職を考える際は、キャリアプランを考えておくのが重要です。

「辞めたい」という気持ちだけでは、転職活動もうまくいきません。

「緩和ケア病棟で患者さんに寄り添った看護をしたい」「脳卒中看護のスキルを高め、認定看護師の資格をとりたい」などといった目標を持つのがおすすめです。

キャリアプランによっては、今の職場で何年か働く方が近道のケースもあるため、十分に考えて転職を決めてください。

看護師転職サービスに相談する

看護師転職サービスでは、転職のプロがキャリアについて相談にのってくれるところもあります。

看護師の悩みを熟知しているので、自分に必要なアドバイスを受けられるでしょう。

転職を決めていなくても、キャリアや悩みの相談をできるところもあります。上手に利用して、悩みを解決してください。

関連記事：看護師転職の相談先とは？よくある相談内容や解決方法を紹介

病棟看護師からの転職先におすすめの職場5つ

ここでは、病棟看護師からの転職先におすすめの職場を5つ紹介します。

一つずつみていきましょう。

関連記事：看護師以外の仕事がしたい人必見！看護師の資格を活かせる仕事13選を紹介

病棟看護師

病棟看護師からの転職を考えている方は、今の職場が合わずに悩んでいる場合もあるでしょう。

職場を変えることで、病棟看護師を継続できる可能性があります。夜勤に抵抗がなく、給料を下げたくない方は、別の医療機関への転職がおすすめです。

仕事内容や待遇は医療機関により大きく異なるため、ポイントを抑えて情報収集をしましょう。

病棟看護師は求人数が多く、希望に合った職場を探しやすいです。

クリニック

クリニック看護師は医師の診療の補助や、バイタルチェック、採血、点滴が主な仕事です。

夜勤がなく、残業も少なめで、ワークライフバランスを重視したい方に向いています。休日は固定としているところが多く、住んでいる地域で探しやすいのがメリットです。

ただし、内科や小児科などでは、感染症の流行シーズンは残業になるときもあります。子育てとの両立や、地域貢献を考えている看護師におすすめの職場です。

関連記事：クリニックの看護師がつらいと感じる理由は？対処法やおすすめの転職先を紹介！

美容クリニック

美容クリニックは、美容に関心のある看護師に人気の高い職場です。

比較的給与が高めであり、夜勤はほぼありません。仕事内容は、医師の処置介助や点滴、注射、医療脱毛のレーザー照射などです。

きれいになるためのサポートができるため、やりがいを感じやすいです。

患者さんは「お客様」として対応する必要があり、病院以上の接遇スキルが求められます。

人気が高く求人数も少ないため、転職先として考える際は、しっかりと対策をとりましょう。

関連記事：美容クリニック転職は難しい？受からない理由や採用されるコツを紹介

訪問看護ステーション

訪問看護ステーションは、看護師やリハビリ職が在籍する職場で、居宅で暮らす利用者に医療やリハビリを提供します。

一人ひとりとじっくり向き合えるのがメリットです。新生児から高齢者まで対象であり、幅広い知識が身につきます。

夜勤はありませんが、ほとんどのステーションでオンコール対応があります。

以前は数年の臨床経験を求められましたが、訪問看護師の需要の高まりを受け、新卒者を採用する事業所も増加傾向です。

関連記事：【例文あり】訪問看護に転職するときの志望動機とは？履歴書や面接でのポイントも解説

介護施設

介護施設は、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、有料老人ホームなどいくつかの形態があります。

利用者さんと長期的に関わっていきたい方や、高齢者看護をおこないたい方におすすめです。

シフト制で夜勤がある施設と、夜勤はなくオンコール対応の施設があるため、求人応募の際はよく確認しましょう。

医師が常駐していないところが多いため、医療的な判断や多職種間でのリーダー的役割を求められるときがあります。

転職活動を効率的にすすめるには看護師転職サービスを利用しよう

転職をすべきかどうか悩むときは、看護師転職サービスを利用するのも一つの方法です。

看護師転職サービスは多忙な看護師に代わって、求人の確認や条件交渉、面接日程の調整などをしてくれます。

おすすめの転職サービスを3つ紹介します。

関連記事：看護師向け転職エージェントおすすめ19選！各社を徹底比較

ナース専科 転職（旧：ナース人材バンク）

ナース専科 転職（旧：ナース人材バンク）は、2005年にサービスを開始した転職サービスです。年間利用者数は10万以上で、転職実績も豊富です。

求人紹介は電話やメール、LINEで可能であるため、忙しい看護師も利用しやすいでしょう。給与や役職、勤務条件の交渉をキャリアパートナーが代行してくれるため、希望条件を満たしやすいといえます。

非公開求人も多数保有しているため、好条件の求人に出会いやすいです。ホームページでは転職体験談や成功事例の確認ができ、利用の不安を軽減しやすいでしょう。

看護roo!

看護roo!（カンゴルー転職）は、看護師転職支援15年以上の実績ある転職サービスです。はじめての転職でも安心して利用できます。

「今辞めていいかわからない」「辞めたいけど自分に合う職場がわからない」といった悩みの相談が可能です。状況によっては、今の職場で続けることを提案する場合もあります。

エージェント求人では、キャリアアドバイザーのサポートを受けられます。履歴書や職務経歴書の作成に不安がある方におすすめです。直接応募求人では、自分のペースで転職活動をすすめられます。

ナースではたらこ

ナースではたらこは、2009年にサービスを開始した転職サービスです。希望を丁寧にヒアリングし、仕事の紹介から条件交渉までサポートしてもらえます。

看護部長や働いている看護師の声、現場訪問で得た職場情報を持っているため、希望に合った職場を探しやすいでしょう。医療機関への逆指名も可能です。

スキルアップの転職だけでなく、ライフイベントやワークライフバランスを重視した転職成功事例も豊富で、幅広い年代の看護師から支持されています。

病棟看護師の退職理由例3つ

退職の意向を伝える際、引き止めを受ける可能性があります。

明確な理由を伝えられないと、退職時期が延びてしまうこともあり得るでしょう。引き止めを受けにくい理由は以下の3つです。

詳しくみていくので、理由を考える際の参考にしてみてください。

スキルアップのため

スキルアップが理由の場合、引き止めを受けづらく、スムーズに退職できる可能性が高いです。

「現在の病棟で学べない知識やスキルを学びたい」といった理由は、上司の理解も得やすいでしょう。

現状に不満があるわけではないことも伝わるため、円満退職にもつながります。

これまでの感謝の気持ちや、今後の目標を伝えることも大事です。

家庭の事情のため

家庭の事情は、引き止めを受けづらい理由の一つです。

それぞれの家庭事情については、個人の努力だけで変えられないこともあります。たとえば、結婚や配偶者の転勤、親の介護が理由の場合です。

近い将来、生活の変化が考えられるようなときは、早めに上司に報告しておくとよいでしょう。

自分の体調不良

体調不良や病気が理由であるときは、引き止めに合う可能性は低いといえます。

そもそも看護師は、体力的にも精神的にも負担が大きく、体調を崩しやすい職業です。無理をすると、看護師を続けることが難しくなる可能性もあります。

退職意向を伝えるときは、「かかりつけ医や家族から辞めるようにいわれている」といった理由も伝えるようにしてください。

看護師は一般企業に転職できる？2つの方法と職種例

病棟看護師からの転職を考えている方の中には、一般企業への転職を考えている方もいるでしょう。

看護師が一般企業に転職する場合、環境の違いや新たなスキルが必要になるなどで戸惑うことが予想できます。

なぜ一般企業で働きたいのかを明確にし、よく考えて決めるのが重要です。

看護師が一般企業で働くケースは以下の2通りがあります。

一つずつみていくので、転職先を決めるときの参考にしてみてください。

関連記事：看護師を辞めて一般企業へ転職したい方におすすめの仕事17選！失敗しないための7つのコツも紹介

看護師資格を活かして働く

看護師の資格は、一般企業で活かして働けるケースがあります。

日中の仕事が基本で、生活リズムは整いやすいでしょう。身体的な負担は少なくなると考えられます。

ただし求人数は少なく、保健師資格を持つ方が優遇される傾向です。十分な情報収集が必要といえます。

看護師資格を活かした職種例は、以下のとおりです。

医療機関より情報が少ないため、転職サービスを利用して情報収集するのがおすすめです。

関連記事：看護師資格が使える珍しい求人22選！仕事を見つけるポイントも解説

看護師以外の職種で働く

看護師以外の職種で働く方法もあります。

一般企業はカレンダー通りの休みである場合が多く、家族や友人との予定が立てやすいです。

医療ミスのプレッシャーもなくなるでしょう。しかし、新たなスキルが必要となったり、看護師に復帰する際苦労したりする可能性もあります。

看護師以外の職種例は以下のとおりです。

関連記事：看護師の病院以外の転職先15選！珍しい職場や転職を成功させるコツも解説

まとめ

病棟看護師は、さまざまなプレッシャーや労働環境から、辞めたいと感じる方が多いです。

ただし、将来を考えず衝動的に辞めるのはおすすめできません。今できる対処法をとり、冷静な状態で判断しましょう。

辞めたい理由を明確にし、キャリアプランを考えることが重要です。自分の目標が達成できる職場を選ぶようにしてください。

転職に迷うときは、看護師転職サービスに相談しましょう。