退職代行で可能な「即日退職」の仕組み|すぐに辞めたい人が押さえるべきポイント

星野 聖子
           
編集者
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退職したいと思っても、労働環境や職場の人員不足が原因でなかなか言い出せない方も多いのではないでしょうか。たとえ辞職の意思表示をしても、上司から「考え直してくれないか」「今の人員では難しい」と言われ、受け入れてもらえないケースがあるかもしれません。

そのようなときに退職代行サービスを利用すれば、本当に当日の朝から出勤しなくて済むのでしょうか?

この記事では、退職代行サービスの仕組みや依頼者が退職するまでの流れ、即日退職を実現させる業者の選び方について解説します。

退職代行サービスによる手続きの流れが知りたい方や、すぐにでも退職したいと思う方は、参考にしてみてください。

あわせて読みたい⇒退職代行おすすめランキング23選|サービス内容や料金・評判を比較【最新版】

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この記事の監修者
星野 聖子氏
星野 聖子氏 弁護士
鎧橋法律事務所弁護士、インハウス弁護士(企業の法務部)として活躍。著作としては、「特殊事例にみる 担保・保証契約の実務」担保・保証契約実務研究会編集 令和2年7月 新日本法規出版㈱(共著)などがある。

目次はこちら!

目次

退職代行を利用した「即日退職」は可能?

退職する場合、おおよそ1ヵ月前~3ヵ月前までには勤め先や上司へ意思表示をおこない、引き継ぎなどの業務整理を経て退職する流れをイメージする方が多いでしょう。

しかし、職場の環境や精神状況によっては「すぐにでも辞めたい」という気持ちが抑えられなくなってしまうようなこともあります。そんなとき、即日退職が可能な退職代行サービスは非常に魅力的です。

退職代行を利用した場合、法律に基づく手続きをおこなえば実質的な即日退職が可能となります。ただし、場合によっては難しいケースがある点も理解しておく必要があります。

この記事では、退職代行を利用した「即日退職」が本当に可能なのか、どういう条件で可能になるのかについて解説します。

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退職には原則2週間必要

民法第627条では、正社員が退職する際の申し入れに関して以下のように定められています。

(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)

第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

引用元:民法第627条|e-Gov法令検索

上記のとおり、正社員が勤め先を辞める場合は原則2週間前までに申し出れば、退職が可能となります。

逆にいえば、会社側からの承認が得られない限り退職意思の伝達後も2週間は勤め先へ在籍する必要があり、退職の意思表示をした翌日に一方的に辞めるのは不可能であることを意味します。

では、なぜ退職代行のなかには「翌日から出社不要」と謳う業者が存在するのでしょうか。これは、退職代行業者がおこなう「即日対応」が関係していると考えられます。

「即日退職」と「即日対応」との違い

多くの退職代行業者が謳う「即日対応」は、その日のうちに退職できることを意味するのではなく、依頼を受けたその日に退職手続きが可能なことを指します。

そうなると「2週間は出社する必要があるのでは?」と思う方も多いでしょう。実際、退職代行が謳う「即日退職」と「即日対応」は、若干異なるニュアンスを持っているようです

とはいえ、前述のとおり退職代行の即日対応サービスでも、依頼した当日に勤め先への通知と退職手続きをおこなうことが可能です。そのため、勤め先への通知さ えおこなってしまえば、法律で定めてある2週間の在籍期間は、有給消化などで対処すれば問題ありません。

実際、勤続年数が6ヵ月以上ある方なら、10日間の有給休暇が勤め先から付与されています。勤続年数が長くなるほど有給休暇の日数も多くなるため、退職の意思表示をした日から有給を取得すれば「即日対応=即日退職」を実現できるのです。

就業規則には法的効力がない

勤め先によっては、たとえば就業規則に「退職は3ヵ月前までに申し出ること」と記載されているようなケースがあるかもしれません。この場合、民法に定められている2週間の在籍は適応されず、即日退職は不可能だと勘違いする方は多くいます。

しかし、企業の就業規則よりも民法627条の規定優先されるとの考え方が有力です。就業規則に記載があるからといって不安を抱く必要はありません。

就業規則の効力

就業規則は、法令や労働協約に反してはなりません(労働基準法第92条)。就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効(※)となります(労働基準法第93条、労働契約法第12条)。※ 無効となった部分は、就業規則で定める基準が適用されます。

引用元:就業規則を作成しましょう|厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署

企業側が労働者を解雇する場合は、労働基準法において、少なくとも30日前にその予告をしなければならないと定められています。しかし、労働者側が一方的に退職する際には民法の定めにより、退職を申し入れてから2週間すれば、企業の承諾がなくても退職できます。

だからといって安心しきってしまうと、即日退職に失敗する可能性も出てきます。退職代行サービスを利用して確実に退職したいと考えるなら、勤め先の就業規則の内容を踏まえて相談した上で退職するのがよいでしょう。

このように、退職代行が謳う「即日退職」とは、依頼主が退職代行サービスの契約をした当日に勤め先への通知・退職手続きが開始され、実質的な退職が可能になることを意味します。

法律で定められた2週間の過ごし方は人によってさまざまですが、場合によっては即日退職が叶わないケースがあることも理解しておかなければいけません。詳しくは後述します。

参考:退職の申出は2週間前までに|厚生労働省

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退職代行業者がおこなう「即日退職」サービスの仕組み

退職代行サービスの利用で即日退職が可能とはいえ、具体的な流れを理解しておかなければ、安心して依頼できないと考える方は多いでしょう。

ここからは、退職代行サービスがおこなう退職手続きや即日対応サービスの流れを解説していきます。

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1.希望日の2週間前までに職場へ通知する

前述のとおり民法第627条では、従業員と企業間で雇用期間の定めがない限り、退職の意思表示から2週間で雇用契約を解約できます。そのため、依頼主が希望する退職日の2週間前までに、代行業者から職場へ退職意思の通知がおこなわれます。

注意点として、契約社員のような雇用期間の定めがある方の場合、即日退職は難しいかもしれません。ただし、労働基準法第137条に基づいて、契約期間が1年超える契約の場合で、かつ契約から1年以上経過している方であれば即日退職が可能となります。

第百三十七条 期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が一年を超えるものに限る。)を締結した労働者(第十四条第一項各号に規定する労働者を除く。)は、労働基準法の一部を改正する法律(平成十五年法律第百四号)附則第三条に規定する措置が講じられるまでの間、民法第六百二十八条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から一年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。

引用元:労働基準法第137条|e-Gov法令検索

勤め先によっては就業規則内で退職の申し入れ時期を定めているケースもあります。しかし、前述したとおり、就業規則はあくまで職場のルールブックに過ぎません。

雇用期間の定めのない労働者の場合、退職の申し入れは民法の『2週間前』が適用されるため、退職代行からの2週間前の退職意思の表示で退職が可能となります。

2.依頼主は3パターンの方法で出勤せずに過ごす

退職代行サービスによって職場へ退職意思の通知がおこなわれると、依頼主はなんらかの方法で退職日までの2週間を過ごす必要があります。以下は、退職代行でよくおこなわれる3パターンの過ごし方です。

  • やむを得ない事由による即日退職
  • 有給消化で過ごす
  • 欠勤して過ごす

それぞれの過ごし方について、詳細を確認しておきましょう。

やむを得ない事由による即日退職

民法第628条では、やむを得ない事由による即日退職に関して以下のように定めてあります。

(やむを得ない事由による雇用の解除)

第六百二十八条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。

引用元:民法第628条|e-Gov法令検索

このように、依頼主の退職理由がやむを得ない事由に該当する場合、2週間ルールは適用されず即日雇用契約の解除が可能となります。ここでいう「やむを得ない事由」とは、以下のような内容を指すと考えてよいでしょう。

  • 本人の精神障害や重篤な疾病
  • 過重労働など勤め先の違法行為
  • 生計を共にする家族の疾病・介護
  • 勤め先でのパワハラ・セクハラ・いじめの常態化

【参考記事】比較法研究における「比較対象」の範囲|独立行政法人 労働政策研究・研修機構

上記に挙げた事由は、法律で具体的に列挙されているわけではありません。そのため、自身の退職理由が「やむを得ない事由」に該当するかは、労働組合や弁護士へ意見を求めるのが確実でしょう。したがって、これらの有識者が運営する退職代行サービスへ依頼した方が安心できるかもしれません。

有給消化で過ごす

退職を申し入れてからの2週間は、有給消化をしながら過ごすということも可能です。

労働基準法第39条では、労働者の有給休暇を取得する権利が認められています。雇用主は、業種・業態・雇用形態を問わず、一定の要件を満たした労働者に対して年次有給休暇を与えなければなりません。

有給休暇は、入社以降6ヵ月以上が経過し、その8割以上の日数を従業員が出勤していた場合に付与されます。

勤続年数に応じた具体的な有給休暇の付与日数は、以下を参考にしてみてください。

勤続年数有給休暇の付与日数
6ヵ月10日間
1年6ヵ月11日間
2年6ヵ月12日間
3年6ヵ月14日間
4年6ヵ月16日間
5年6ヵ月18日間
6年6ヵ月20日間
【参考記事】年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています|厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署
労働基準法第39条|e-Gov法令検索

たとえ企業が「社長の許可が出ないと有給を取得できない」「引き継ぎなしの有給消化は不可能」と主張してきても、原則認められません。正当な理由なく従業員の有給取得を拒んだ場合は法律違反となり、雇用主には罰則が科せられる可能性があります。

ただし、企業には従業員の有給取得日程の変更を求める「時季変更権」があります。時季変更権は、従業員の有給取得が事業運営を妨げる場合に行使できるもので、変更を依頼された従業員は原則従わなければいけません。

しかし、退職日までの有給取得では変更できる日がないため、時季変更権で妨害されずに2週間の有給消化が可能と考えて問題ないでしょう。

欠勤して過ごす

有給休暇が未付与・不足の労働者の場合、2週間欠勤することにより実質的な即日退職が可能となります。この場合、勤め先には退職代行サービスから欠勤の旨を伝えてもらいます。

注意点として、欠勤した日数分の賃金は発生しないことを理解しておく必要があります。しかし、退職代行サービスからの通知以降、退職日まで出勤しなくて済むと考えれば、利用しない手はないでしょう。

そもそも、企業にとって、退職日まで2週間欠勤する従業員を在籍させておくメリットはありません。このような状況では、実質的なものではなく、本当の意味で即日退職となるケースが多いと考えられます。

3.退職手続き

依頼主が出勤不要で2週間過ごしている期間、退職手続きが進んでいきます。おおまかな流れは以下のとおりです。

  1. 退職届の送付・必要書類の受け取り
  2. 備品等の返却
  3. 退職完了

退職代行サービスは依頼主の指定した日時に勤め先へ退職連絡をおこなった後、会社側が送付した退職届と書類を受け取ることで完了します。依頼主が業者へ共有していた情報等に相違が無ければ、基本的に問題なく退職手続きが進むと考えてよいでしょう。

その他、備品の返却や必要書類の受け取りは自身でおこなう可能性が高いといえます。どのような手続きを求められるのか確認しておきましょう。

備品は郵送で返却する

勤め先の備品が手元にある場合は、自身で郵送返却する方法をとる退職代行サービスが多いです。この場合、職場には退職代行業者から「後日、本人によって郵送する」と伝えてもらいましょう。

返却物に挙げられるものには、たとえば以下が考えられます。

  • 健康保険被保険者証
  • 制服・ユニフォーム
  • 社員証・名刺・名札・社章
  • 社用携帯・スマートフォン
  • 貸与パソコン・ポケットWi-Fi
  • 職場の鍵・セキュリティカードキー
  • 社外秘書類・データ・研修配布資料
  • 会社購入の文房具・その他備品など

もし破損・紛失している場合、弁償を求められる可能性があることも理解しておきましょう。また、在籍期間中に返却が可能なものは対応しておくなど、なるべく手間をかけずに退職できるよう少しずつ準備しておくことが大切です。

社宅は退職日までに退去する

もし、あなたが社宅に住んでいる場合、退職日が退去日になる可能性が考えられます。有給消化期間中は住み続けることができますが、退職日までの日数がないと考えれば、先に引っ越し先を見つけておくなどの準備が必要かもしれません。

欠勤の場合は即日退去を強いられる可能性もあるため、退職代行を考え始めると同時に転居の手続きや宿泊先の確保を進めておくことが望ましいでしょう。

勤め先から必要書類を受け取る

退職後、勤め先から発行される書類をきちんと受け取りましょう。おもな書類には、以下が挙げられます。

  • 離職票(転職先が未決定の場合)
  • 雇用保険被保険者証
  • 源泉徴収票
  • 年金手帳

上記は、転職や失業保険の受給時に必要となります。退職後しばらく経ってから再請求しなくて済むよう、このタイミングで全て受け取れるようにしましょう。

このように、退職代行サービスがおこなう「即日退職」には、さまざまな工程が含まれています。勤め先へ退職の通知をしてもらったら終わりではなく、なかには自身で準備・対応すべきものがある点にも注意しておきましょう。

ただし、以下のように催促や交渉が必要になるケースもあるため、退職代行サービスを利用する際は、労働組合または弁護士が運営しているところを選ぶことをおすすめします。

依頼する退職代行サービスによっては、委任によって完了できる内容があるかもしれません。退職をスムーズにするためには、依頼金を支払う前のタイミングで対応してもらえる範囲を確認し、職場への退職通知前に可能な範囲で準備を進めておくことが大切です。

退職代行のおすすめ人気ランキング比較一覧

退職代行サービスのおすすめ比較ランキングは以下の通りです。

各サービスの特徴や料金について比較してありますので、ぜひ参考にしてみてください。(左右にスクロールできます。)

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即日退職をサポートしてくれる退職代行業者

即日退職をサポートしてくれる退職代行業者には、以下に挙げる3つの運営元があります。

  • 一般企業
  • 労働組合
  • 弁護士

上記におけるどの業者を選ぶかによって対応可能範囲が異なり、おもな範囲は以下にまとめてあります。

対応範囲一般企業労働組合弁護士
勤め先への通知
即日退社
有給の取得交渉×
未払い賃金の支払い交渉×
退職日の調整×
裁判の代理人××

このように業務範囲だけを見ると、一般業者が運営する退職代行サービスは対応力に欠けることがわかります。勤め先への即日対応は可能なものの、退職意思の通知以外は何の交渉権もありません。

万が一、勤め先から「退職は不可能だ」「引き継ぎがなければ困る」などと反論されても対処できないため、結果的に自身で対応しなければならなくなるケースもあります。

一方、労働組合や弁護士が運営する代行業者は、勤め先からの反論に対する交渉権をもっているため、法に基づいた話し合いが可能となります。依頼主が実現させたい退職イメージをもっているなら、それぞれの違いを理解した上で退職代行サービス選びをおこなうべきといえるでしょう。

退職代行Jobs

退職代行jobs

  • 特徴① 顧問弁護士監修の退職代行サービス
  • 特徴② 労働組合と提携
  • 特徴③ 即日退職も可能

「退職代行Jobs」は、会社と直接やり取りしなくても退職できる退職代行サービスです。

 

弁護士が業務監修し、労働組合と連携しているため、違法性やトラブルの心配はありません。

 

手続きは最短30分で完了し、24時間対応で即日退職も可能です。有給休暇の申請や転職サポートも無料で利用することができます。

 

まずは会社を辞めたいけれど、いずれは転職したい方におすすめの退職代行サービスです。

 

サービス名 退職代行Jobs
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  • 弁護士監修のため安心して利用できる
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  • 無料カウンセリングを利用できる
対応地域
全国
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退職代行ガーディアン

ガーディアン

  • 特徴① 顧問弁護士監修の退職代行サービス
  • 特徴② 追加料金一切なし
  • 特徴③ 即日退職可能・出社せず退職可能

「退職代行ガーディアン」は、東京労働経済組合が運営する退職代行サービスです。

 

LINEや電話で簡単に相談でき、即日から出社しなくても退職できます。料金は一律24,800円(税込)で、追加料金はかかりません。

 

合同労働組合が代理人として交渉してくれるので、安心・確実に退職できます。

 

退職が言い出しにくい方や精神的につらい方におすすめです。

 

サービス名 退職代行ガーディアン
運営会社 東京労働経済組合
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対応地域
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公式サイト

 

即日退職を希望するなら労働組合か弁護士の退職代行サービスがおすすめ

前述の内容を踏まえ、依頼主が即日退職を希望するなら、勤め先との交渉権をもつ労働組合・弁護士へ依頼するのがおすすめです。

ここからは、それぞれの運営元に依頼するメリットを解説していきます。

弁護士法違反(非弁行為)のリスクがない

退職代行を労働組合・弁護士へ依頼すべき理由に、非弁行為のリスクを考えなくて良い点が挙げられます。そもそも弁護士法第72条では、弁護士または弁護士法人以外の一般業者が報酬を得て法的な交渉をおこなうのは禁止されています。

そのため、一般企業が運営する退職代行サービスでは、依頼主の退職意思の伝達や形式的な事務処理に留まり、勤め先との協議・交渉には一切対応できないのです。

(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)

第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

引用元:弁護士法第72条|e-Gov法令検索

もし、一般企業が法的な交渉に対応すれば弁護士法違反であることを指摘され、罰則を受ける可能性が高まります。そのような退職代行を利用した依頼主側も事情聴取に巻き込まれたり、最悪の場合なんらかの処罰を負う可能性も否定できません。

その点、労働組合であれば勤め先の違法な反論に対して組合の権利を行使し、団体交渉をおこなってくれます。「原則、退職希望日の2週間前に意思表示がなされれば、企業は受け入れる必要がある」「従業員には有給休暇を取得する権利がある」などと伝え、依頼主の希望に沿った退職日の調整や有給休暇の取得を可能にするのです。

弁護士も同様に、勤め先から協議・交渉を求められた場合でも、合法的な対応ができます。それだけでなく、訴訟や慰謝料請求といった法廷での紛争にも対処できるのが大きな違いでありメリットです。

勤め先から損害賠償を請求されても対応できる

労働組合・弁護士へ退職代行を依頼していれば、勝手な退職による損害賠償を勤め先から請求された場合でも、対応できます。そもそも、企業が従業員の退職に対して損害賠償請求をおこなうのは、明確な根拠がないため不可能と考えるのが一般的です。

依頼主の退職が企業にとって重篤な損害をもたらしたとなれば話は別ですが、そのような大規模な損失をひとりの従業員が出すとは非常に考えにくいです。

そのような不当ともいえる損害賠償請求は、勤め先との協議や交渉が可能な労働組合・弁護士でなければ対応できません。自身の身を守るためにも、運営元のチェックは必要といえるでしょう。

未払い賃金の請求が可能

勤め先との交渉権をもつ運営元のなかでも、弁護士特有の強みに挙げられるのが未払い賃金や残業代の請求が可能な点です。本来支給されるはずの賃金が支払われていないとなれば、正しい手続きによる協議・訴訟が必要となります。その場合に対応できるのは、弁護士しかいません。

弁護士であれば、勤め先と法廷で争うことになっても、法律に基づいた適切な対処が可能になります。その他、職場でのハラスメントで精神的な苦痛を受けた過去があれば、同時に慰謝料の請求も相談できます。

弁護士の退職代行サービスでは、法的交渉によってより良い条件で退職できるだけでなく、過去に生じたトラブルに対して法廷で争うことができます。これは弁護士ならではのメリットであるため、退職を機に過去の問題を解決させたい場合は弁護士の退職代行サービスを選ぶのがよいかもしれません。

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退職に失敗する可能性が低い

労働組合・弁護士の退職代行サービスであれば対応可能範囲が広いため、依頼主が考える退職のイメージを実現しやすくなります。イメージ相違で「失敗した」と感じるケースも少なくなり、退職代行の成功率がアップすると考えてよいでしょう。

また、前述のとおり、会社側が根拠もなく「退職を認めない」と反論してきた場合でも法に則った対処が可能なため、不毛なやり取りをおこなう必要がありません。

依頼主が円満退職を望むなら、なおさら退職に失敗する可能性の低い労働組合・弁護士への依頼を検討するのがおすすめです。

最後に|退職代行で即日退職したいなら労働組合や弁護士が安心

雇用期間の定めのない労働者が退職したいと思った場合、法律では原則2週間前の意思表示で退職が可能とされています。退職代行サービスを利用すれば、勤め先へ自ら退職の意思を伝えなくても手続きが進み、有給消化や欠勤によって出勤しなくても退職できる点で魅力を感じる方も多いでしょう。

しかし、退職代行業者にはいくつか種類があり、選び方を誤ると即日退職どころか退職に失敗し、トラブルにまで発展する可能性もあります。業者の悪徳性が高い場合、そもそも利用金額を振り込んだら音信不通になってしまうケースも出てくるかもしれません。

もし、自身の退職をスムーズに叶えたい場合、勤め先と交渉権のある労働組合か弁護士へ依頼するのがおすすめです。万が一、退職代行によって勤め先とトラブルになった場合でも、法律の定めに基づきながら適切に対応してくれることが充分に期待できます。

ただ退職意思を伝えてほしいだけでなく、有給休暇を消化しながらなるべくトラブルが起こらない方法で即日退職を望むなら、労働組合もしくは弁護士への依頼を第一に検討しましょう。

一日でも早く退職したい気持ちから、焦って誤った選択をしてしまい後悔することのないように、本当に即日退職を実現できる退職代行サービスを見極めて利用しましょう。この記事がそのヒントとなれば幸いです。

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設立日 2009年11月
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