大企業から中小企業への転職は、多くのメリットがある一方でデメリットや注意すべきポイントがあります。

本記事では、大企業から中小企業への転職を検討している方に向けて、転職理由やメリット・デメリット、注意点などを詳しく解説します。

中小企業への転職が向かない人の特徴も紹介するので、転職活動の参考にしてみてください。

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大手企業から中小企業に転職する理由

大手企業から中小企業への転職を考える方は多くいます。

なぜ、多くの人が大手企業を辞めたいと思うのでしょうか。

代表的な理由を5つ紹介します。

さっそく、見ていきましょう。

転勤になった

大手企業は全国展開している会社も多いため、頻繁に転勤を命じられることがあります。

たとえば、支店長として赴任するなど、キャリアアップをともなうケースでは待遇も良くなるでしょう。

しかし、転勤は生活環境が大きく変わってしまいます。

とくに、子どもや介護が必要な家族がいる場合は、転勤できないこともあるでしょう。

また、近年はワークライフバランスを重視する傾向が強く、今のライフスタイルを変えたくない方も多く、転勤を命じられたことを機に転職を考えるケースも増えています。

能力がなかった

大手企業では、求められる能力が高いことがあります。

しかし、自分の能力がともなっていないために、期待に応えられないギャップを感じる方も少なくありません。

また、大手企業では業務が専門化されていることが多く、自分の能力よりもレベルが高い仕事を任されることも多くあります。

やってはみたものの、自分の能力に限界を感じ、ストレスになる方も少なくありません。

このようなケースでは、自分の能力を活かしやすい中小企業への転職を考えるきっかけになることがあります。

ムダなルールが多い

大手企業は組織の規模が大きいため、決まり事が多かったり手続きが多かったりすることがあります。

組織のルールなので順守する必要がありますが、場合によっては業務効率の低下や停滞につながることも少なくありません。

たとえば、決裁をもらう際も、主任→係長→課長→部長と段階的に承認するルールになっているような企業もあります。

こうした、スピード感のなさにストレスを感じる方も多いでしょう。

仕事の幅が限られている

大手企業では分業化されていることが多く、個人が担当する業務の範囲が限定されていることがほとんどです。

大企業のような大きな組織運営には効率的な進め方ですが、一方で個人の仕事の幅を広げることが難しい傾向があります。

とくに、経験を積みたい若手社員や、キャリアアップを考えている社員にとっては、限界を感じることがあるでしょう。

このような考えを持っている方は、中小企業への転職を考えることが多い傾向にあるのです。

キャリアアップに限界を感じた

大手企業では規模が大きく従業員も多いため、昇進や昇格に時間がかかることがあります。

また、年功序列の考え方が根強く残っている企業も多く、成果を出しても評価されにくいケースも少なくありません。

こうしたことが原因で、キャリアアップに限界を感じる方もいるでしょう。

一方、中小企業では能力や実績が評価されやすいため、キャリアアップしやすいのが特徴です。

そのため、中小企業の環境に魅力を感じ、中小企業への転職を考える方もいます。

大手企業から中小企業に転職するメリット

大手企業から中小企業への転職には、多くのメリットがあります。

代表的なメリットを5つ紹介するので、小企業への転職を検討する際の判断材料にして見てください。

順番に見ていきましょう。

残業が少ない

一般的に、中小企業では大手企業に比べると、残業が少ない傾向にあります。

社員が少ないため、業務の効率化が進んでいることも理由のひとつです。

一方、大手企業は専門性が高く複雑な業務が多いため、残業になることも少なくありません。

また、経費削減の面からも生産性を重視し、無駄な残業を削減している企業がほとんどです。

ただし、すべての中小企業で残業が少ないわけではありません。業種や企業風土によっては、大手企業以上に残業が多いケースもあります。

そのため、転職の際は事前に労働環境について調べておきましょう。

意思決定が速い

中小企業は意思決定が早いことも特徴のひとつです。

大手企業では、意思決定に時間がかかり、提案から実行するまでのスピードが遅いことがあります。

そのため、提案が実行に移されるまでに時間がかかることが少なくありません。

一方、中小企業では人数も少ないため、経営者との距離が近いのが特徴です。

直接提案できる機会も多く、迅速に仕事が進みやすい傾向にあります。

こうした迅速な意思決定は、変化にも柔軟に対応しやすく大きなメリットです。

また、提案から実行までが短いため、短期間に多くの経験を積めるでしょう。

個人の裁量権がある

中小企業は大手企業に比べて、個人の裁量権が大きいのが特徴です。

一般的に、大手企業では業務が細分化されているため、個人の役割が限定されていることが多いです。

一方で、中小企業はひとりで複数の役割を担うことも少なくありません。

このように、中小企業では幅広い業務経験ができ、自分で判断して仕事を進める機会も増えやすくなるでしょう。

また、自分のアイデアが業務に直接反映されることも多く、やりがいを感じやすいのも中小企業の特徴です。

そのため、個人の裁量権が大きければ、仕事に対するモチベーションの向上にもつながるでしょう。

役職者との距離が近い

中小企業の大きな特徴のひとつは、役職者との距離の近さです。

大手企業では組織が大きすぎるため、経営陣や管理職と直接コミュニケーションを取れない場合が多くあります。

一方で、中小企業では経営者や役員と同じフロアで仕事をしているケースもあり、コミュニケーションがとりやすい環境です。

経営者との距離が近いと経営者の考え方を間近で見られるため、直接話したりすることで経営を学ぶ機会にもなるでしょう。

結果を出せば評価されやすい

中小企業では個人の成果を重視している企業も多く、結果を出せば評価されやすいのが特徴です。

大手企業ではプロジェクト単位で動くことが多く、個人よりもチーム全体の業績が重視される傾向があります。

一方、中小企業では、個人の実力が会社の業績にダイレクトに反映されやすいのが特徴です。

そのため、若手でも優秀であれば重要なポジションを任されることも少なくありません。

このような環境のため、キャリアアップへの道筋も見えやすいでしょう。

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大手企業から中小企業に転職するデメリット

大手企業から中小企業への転職には多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。

デメリットも理解した上で、転職を検討しましょう。

注意すべきデメリットは次の5つです。

ひとつずつ解説します。

給料が下がる

大手企業から中小企業へ転職する場合は、給料が下がることがあります。

一般的に、中小企業の給与水準は大手企業と比較して低いためです。

厚生労働省の「令和４年賃金構造基本統計調査の概況」によると月収ベースで以下のような違いがあります。

	大企業	中企業	小企業
男性	38万6,000円	33万1,000円	30万8,000円
女性	27万8,000円	25万7,000円	24万1,000円
男女計	34万8,000円	30万3,000円	28万4,000円

従業員1,000人以上の大企業の平均月収は約35万円であるのに対し、100人未満の中小企業では約31万円と、約4万円の差があります。

また、中小企業ではボーナスやインセンティブの支給が少ないケースも多く、転職することで年収が大きく下がる可能性があるでしょう。

しかし、転職する際は、給料以外の部分も総合的に判断することが重要です。

たとえば、転職することでワークワイフバランスの改善や、やりがいのある仕事に就くことで収入以外の満足感が得られるかもしれません。

福利厚生が悪い

大手企業に比べると、中小企業の福利厚生は劣っているのが一般的です。

大手企業は退職金制度や保険、保養施設の利用といった福利厚生が充実しています。

一方、中小企業では、法定の福利厚生以外の制度が限られていることが少なくありません。

近年は働く条件としてワークライフバランスや、さまざまな働き方を重視する傾向にあります。

そのため、中小企業でも福利厚生や資格制度が充実している企業も多くあります。

ただし、福利厚生の多さだけにとらわれず、ライフスタイルやキャリアプランが実現できる制度があるかどうかが重要となってくるでしょう。

社会的信用が低い

大手企業は知名度があるため、そこで働いているというだけで社会的評価を得られることがあります。

たとえば、金融機関から借り入れする場合、誰もが知っている有名企業に勤務していれば融資を受けやすくなるなどです。

また、知り合いから羨ましがられることで、優越感を得られるといった側面もあるでしょう。

しかし、名前は知られていなくても、独自の技術やサービスで圧倒的なシェアや高い商品力を誇っている企業もあります。

このような企業で働くことで、業界内での評価を高めキャリアアップにつなげることもできるでしょう。

転職を検討する際は知名度だけでなく、事業内容や将来性、業界での位置づけなども考慮して見極めましょう。

人間関係が壊れやすい

中小企業は、大手企業と比較して社員数が少ないため、人間関係がより影響しやすいのが特徴です。

良好な関係が築ければ、チームワークや組織力が高まります。

しかし、悪化した場合は、修復が難しいことも少なくありません。

少人数のため個人の能力差や考え方の違いが出やすく、摩擦が生じることもあります。

このような状況になった場合でも、中小企業は異動や配置転換の機会が限られているため、環境を変えるのが難しいケースがほとんどです。

そのため、転職する際は、社風や人間関係の雰囲気を把握することが重要です。

自分で調べるのが難しい場合は、転職エージェントなどを利用して聞いてみるとよいでしょう。

教育体制が整っていない

中小企業の多くは、大手企業ほど教育制度が整っていないことが多いのが現状です。

金銭的や人員不足などの理由から、先輩についてOJTだけの研修といったケースも多くあります。

その分、外部のセミナーや勉強会への参加費用の補助や、資格取得の支援を行う企業も少なくありません。

教育体制が充実していなければ、自主的な学習が必要なことも多く、自己管理能力も問われるでしょう。

しかし、逆の見方をすると学習する機会が増えるため、自分のペースで学習できる環境だといえます。

中小企業では、学び続ける姿勢が求められる場面も多く、自己研鑽して成長できる機会を得られたと考えるとよいでしょう。

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大企業から中小企業に転職しないほうがいい人の特徴

大手企業から中小企業への転職はメリットも多く、キャリアの転機になるケースも多くあります。

しかし、すべての人にとって適切な判断だとは限りません。

次に、大企業から中小企業への転職は避けたほうがよい人の特徴について詳しく解説します。

詳しく見ていきましょう。

給与だけを基準にしている人

給与だけを転職の判断基準としている方は、中小企業への転職はしないほうがよいでしょう。

一般的に、中小企業の給与水準は大手企業と比較して水準が低いため、転職することで今の収入より低くなることがほとんどです。

転職する際は給与だけでなく、仕事のやりがいや環境面なども考慮して判断する必要があります。

ポイントは裁量権の大きさや意思決定の速さ、役職者との距離の近さなど、中小企業ならではのメリットを上手に活用することです。

また、中小企業は実力が評価されやすいため、メリットを活かして実績を積めばインセンティブで増やすこともできるでしょう。

ネームバリューを重視している人

大企業のネームバリューにこだわっている方は、中小企業への転職は不向きです。

とくに、これまで知名度のある企業に勤務していることで、社会的信用や優越感を感じていた方にとっては、マイナスに働く可能性があります。

また、営業活動においても、これまでブランド力に頼って営業してきた方は、知名度の低い中小企業では成果を出せないケースも少なくありません。

このように、ネームバリューに依存している方は、転職後の環境に適応できない可能性があります。

自分の能力を過大評価している人

自分の能力を過大評価している方は、中小企業への転職には注意する必要があります。

大手企業はマニュアルに沿った仕事が多く、かつ全体業務の一部分を担当するのが一般的です。

そのため、自分の実力を過信してしまうことがあります。

中小企業では、ひとりで複数の業務を担当することも多く、こうした過大評価により、実力が伴っていないことが露呈することも少なくありません。

したがって、能力を客観的に評価し、不足しているスキルを認識することが大切です。

今の福利厚生に満足している人

現在の福利厚生に強く満足している方は、中小企業への転職は慎重に検討する必要があります。

大手企業は、手当や休暇制度など、一般企業に比べて福利厚生が充実していることがほとんどです。

そのため、中小企業に転職すると、こうした福利厚生が利用できないために物足りないと感じるでしょう。

しかし、多くの中小企業では、自分のライフスタイルに合わせた柔軟な働き方ができる制度の導入が進んでいます。

また、外部と連携した福利厚生や、独自の制度を設けている企業も少なくありません。

転職を検討する際は、福利厚生の豊富さだけでなく、自分のライフスタイルやキャリアプランが実現できる制度があるかどうかを確認しましょう。

中小企業のほうが楽だと思っている人

中小企業のほうが規模は小さいため「仕事が楽だろう」と考えている方もいます。

しかし、このように考えている方は、転職後にギャップを感じる可能性が高いでしょう。

大手企業は業務が細分化されているため、ひとつの業務に専門的に携わることが一般的です。

一方で、中小企業ではひとりで複数の業務に携わることも多く、その分責任の範囲も広くなります。

そのため、やりがいや成長の機会につながる一方で、大きなプレッシャーになるケースも少なくありません。

結果的に「こんなはずではなかった」と感じてしまうのです。

ですので、規模が小さい企業のほうが、負担が大きくなる可能性があることを念頭に置いておきましょう。

大手企業から中小企業へ転職する際のポイント

大手企業から中小企業への転職を成功させるためには、ポイントを押さえる必要があります。

以下に、転職を成功に導くためのポイントを5つ見ていきましょう。

それぞれ、詳しく解説します。

スピード感を意識する

中小企業では、大手企業と比較して意思決定のスピードが速いことが特徴です。

そのため、スピード感を意識しましょう。

これは、仕事に限ったことではありません。転職活動においても採用までの意思決定が早い傾向があります。

とくに即戦力となる人材を求めている場合、面接後にすぐに採用の判断が下されることも少なくありません。

そのため、応募書類の提出など転職活動の初期段階から、迅速に行動する姿勢を持つことが重要です。

このようにスピード感を意識した行動が、採用担当者の印象を良くするのです。

転職の目的を明確化する

大手企業から中小企業への転職を成功させるためには、転職の目的を明確にしましょう。

単に「変化が欲しい」「大企業に疲れた」といった漠然とした理由では、転職後に後悔する可能性が高くなります。

冷静に自己分析をおこない「なぜ中小企業へ転職したいのか」を整理しましょう。

たとえば、経営に近いポジションで働きたい、あるいはワークライフバランスを重視したいなど、自分の価値観に合っているかが大切です。

また、自己分析が苦手という方は、転職エージェントなどに相談して、分析してもらうとよいでしょう。

大企業の経験を持ち込みすぎない

大手企業での経験は中小企業でも十分に活かせるでしょう。

しかし、そのまま中小企業に持ち込むことは避けるべきです。

中小企業は経営環境や企業文化が大手企業とは異なるため、うまく機能するとは限りません。

むしろ、大企業のやり方にこだわりすぎることで、職場の雰囲気を乱す可能性があります。

そのため、大手企業で身につけたスキルや知識を活かしつつ、柔軟に適応する姿勢が必要です。

新しい職場の文化や価値観に適応することでスムーズな転職を実現できるでしょう。

中小企業から大企業には戻りにくい

中小企業から大企業への再転職は、一般的に難しいとされています。

仕事の進め方や価値観の違いが受け入れられにくいことに加えて、採用基準が厳しいことも原因です。

たとえば、大きなプロジェクトを動かした経験が必須となっている場合も少なくありません。

そのため、転職を決断する際には、このような点を十分に理解した上で慎重に検討しましょう。

転職先の企業について徹底的に調べる

中小企業への転職を検討する際は、徹底的な企業研究が重要です。

具体的には、財務状況や事業計画、社風などを詳細に調べましょう。

情報が少ない中小企業では、表に出ている情報をさらに掘り下げて調べる必要があります。

これらの情報を得るためには、企業のホームページや公開資料だけでなく、SNSや口コミサイト、転職エージェントの活用が有効です。

大手企業から中小企業への転職は転職エージェントがおすすめ

中小企業は情報量が好きないため、自分ではなかなか情報を得られないことがあります。このような時におすすめなのが転職エージェントです。

最後に、大手企業から転職する際におすすめの転職エージェントを3社紹介します。

転職活動の参考にしてください

リクルートエージェント

マイナビエージェント

ビズリーチ

まとめ

大企業から中小企業への転職は、意思決定の速さや個人の裁量権の大きさなど、多くのメリットがあります。

一方で、給与の低下や福利厚生の縮小などのデメリットも踏まえた上で判断することが重要です。

あなたのキャリアプランと中小企業の特性を見極め、マッチしているかどうかがポイントとなります。

そのためには、転職先の企業について徹底的な研究が不可欠です。

判断がむずかしければ転職エージェントを利用するのもよいでしょう。

本記事を参考に情報収集を念入りに行い、あなたにあった中小企業を見つけてください。