保健師は専門性の高い職種ですが、一般的に年収1,000万円は達成しにくいと言われています。

とはいえ「保健師としてより良いキャリアを築き、高収入を得たい」と考えている方は少なくありません。

そこで本記事では、保健師が年収1,000万円を目指す方法や必要なスキルを解説しました。

厚生労働省が調査した保健師の平均年収や、転職を活用した年収アップの方法も紹介しています。

現在よりも年収をアップさせてワークライフバランスを向上させたい方は、ぜひ記事の内容を参考にしてください。

関連記事：保健師向け転職エージェントおすすめ8選｜成功のコツや選び方も解説

保健師で年収1,000万円を目指すのが難しい理由とは

保健師として年収1,000万円を目指すことは、一般的に難しいと言われています。

高年収の保健師になりにくい理由を、3つ解説します。

保健師の平均年収は451万円だから

厚生労働省の調査によると、保健師の年収は451万円です。

いちばん給与の水準が高くなる55歳～59歳の年収をみても620万円のため、保健師として年収1,000万円を目指すことは難しいと言われています。

また、保健師は日勤での勤務が多く、深夜や早朝に働く機会は少ないです。

午後10時～翌朝5時の時間帯で働くと付与される夜勤手当を得る機会も限られているため、手当による収入増加も期待しにくいでしょう。

参考：厚生労働省 ｜jobtag

行政保健師は給与が決まっているから

市区町村が運営する保健所や保健センターで働く行政保健師は公務員として勤務するため、個人の努力では年収を上げにくい職種です。

地方公務員の平均月収は約35万円、国家公務員の平均月収も約41万円のため、年2回支給されるボーナスを加算しても、年収1,000万円は難しいといえます。

また、公務員の副業は原則禁止されているため、大幅な年収アップは見込めません。

参考：総務省 令和5年地方公務員給与実態調査結果等の概要

保健師には開業権がないから

保健師は、保健師免許や看護師免許を保有していても開業権がありません。

医師や助産師とは異なり、個人でクリニックや助産院を設立・運営ができないことも、保健師の年収が上がりにくい一因となっています。

とはいえ、保健師でも一般の個人事業主として、開業届の提出は可能です。

個人事業主として開業すると、企業と契約して健康づくりの支援をしたり、独自で食事指導のサービスを提供したりもできるでしょう。

個人事業主の働き方を選択すると事務作業や税金計算の手間は増えますが、報酬額を自身で決められるため、年収アップが期待できます。

保健師の年収を紹介｜年齢別・職場別に比較

保健師の年収を、年齢や職種別に紹介します。

年齢別の年収を比較

保健師の年収を、年齢別にまとめました。

年齢	年収
20歳～24歳	359万円
25歳～29歳	426万円
30歳～34歳	397万円
35歳～39歳	475万円
40歳～44歳	516万円
45歳～49歳	461万円
50歳～54歳	468万円
55歳～59歳	620万円
60歳～64歳	535万円
65歳～69歳	350万円

保健師の年収を年齢別に比較すると、55歳～59歳の年代が620万円と高い金額になっています。

公務員として働く行政保健師は、勤続年数を重ねるごとに給与も上昇していくため、キャリアが長くなるにつれて年収も高くなる傾向があるでしょう。

また、30歳～34歳の年代では、出産や子育てのために育児休暇を取得する保健師が増えると考えられます。

育児休暇中は支払われる給与が減少するため、30歳～34歳の平均年収は低くなりやすいでしょう。

職場別の年収を比較

保健師の年収は、勤務先や職場環境によって大きく異なります。

職場別の年収を、以下の表で比較しました。

職場	年収
自治体が運営する保健所 （行政保健師）	国家公務員：約681万円 地方公務員：約592万円
一般企業（産業保健師）	約500万円～600万円
学校（学校保健師）	約450万円～500万円
病院・クリニック （病院保健師）	約450万円～550万円

行政保健師の年収は、平均給与の月額とボーナス（4.5ヶ月分）を合計した金額です。

一般企業で働く産業保健師は、企業規模が大きくなるほど年収が高くなり、福利厚生も充実しやすい傾向があります。

学校保健師の給与体系は、公立学校と私立学校で異なります。

公立学校で勤務する保健師は公務員として働くため、行政保健師の年収を参考にしてください。

一方で、私立学校で働く保健師は勤務する学校ごとに年収は大きく異なります。

病院やクリニックで働く病院保健師も、勤務先や夜勤の有無によって年収は変動するでしょう。

保健師と看護師の年収を比較

保健師と看護師の年収は、以下の表の通りです。

職種	年収
保健師	451万円
看護師	508万円
准看護師	318万円

保健師が看護師よりも年収が低くなる理由は、深夜や早朝に働く機会が少なく深夜手当が発生しにくいからです。

とはいえ、保健師は日中の勤務が中心となり睡眠時間を確保しやすいため、ワークライフバランスを重視して働きたい方にはおすすめの職種です。

看護師の平均年収を詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
関連記事：【2024年版】看護師の平均年収は？年代別のデータや年収アップの方法も解説！

保健師が年収1,000万円を目指すために役立つスキル

保健師が年収をアップさせるために役立つスキルを、4つ解説します。

医療に関する専門知識

医療に関する専門知識を身に付けると、保健師として年収アップが期待できるでしょう。

予防医療や感染症対策などの高度な知識を身に付けることで、幅広く健康に関する課題に対応できるようになり、よりレベルの高い業務を担当できます。

幅広い業務を担当できると昇進や昇給のチャンスも増えるため、年収アップに繋がる可能性は高まります。

マネジメントスキル

保健師が年収1,000万円を目指すためには、マネジメントスキルの習得も重要です。

保健師の年収を病院や企業の規模別で比較すると、多くの従業員が在籍する施設で働くほど年収が高くなる傾向がありました。

病院や企業で働く人数	年収
10人～99人	約409万円
100人～999人	約476万円
1,000人以上	約514万円

※きまって支給する現金給与額（月給）に、年間賞与（ボーナス）とその他特別給与額を合計して計算

マネジメントスキルの高い人材は、多くの従業員が働く大規模な施設でも重要な役割を果たせるため、収入アップに繋がりやすいといえるでしょう。

大規模な病院や企業の現場責任者や管理職として働くことで、年収1,000万という目標に近づけます。

IT・デジタルスキル

ITやデジタルスキルを身に付けた保健師も、年収アップが期待できます。

保健師の業務では、健康診断や定期検診の結果を集計して管理する仕事があるため、データ分析や統計処理のスキルを高めると作業効率は上がるからです。

とくに、健康診断状況をまとめて管理できるLaKeel BIや、健康診断の結果と労務データを組み合わせて分析できるHM-viewerなどを活用できる保健師は、より高い報酬を得られる可能性があります。

健康管理アプリや睡眠時間などのデータを取得できるウェアラブルデバイスにも精通していると、従業員の健康維持を日常的にサポートできるため、職場での評価も高くなりやすいでしょう。

語学力

現在は訪日外国人や在留外国人の人数が増加傾向のため、語学力の高い保健師の需要は高まっています。

とくに観光地やリゾート地に近い保健所や医療機関では、英語の話せる保健師の重要性が増しており、高収入の仕事を獲得できる可能性もあるでしょう。

また、語学力を活かして外資系企業の保健師として働くと、年収アップも期待できます。

保健師が年収1,000万円を目指す方法

保健師として年収1,000万円を目指す方法を5つ解説します。

あなたの働き方やライフスタイルにあわせて、年収アップの方法を選択してください。

資格を取得する

保健師の仕事で活かせる資格を取得すると資格手当を得られるため、年収アップが期待できます。

具体的には以下の資格を取得すると、年収は上がりやすいでしょう。

また、医療業界へ転職する際に有利となる資格は、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事：看護師の転職に有利な資格30選｜分野別の難易度やおすすめの資格を紹介

副業を始める

保健師の仕事に余裕がありプライベートの時間を確保できるのであれば、副業への挑戦をおすすめします。

副業を始めると年収がアップするだけでなく、幅広いビジネススキルが身に付くため、保健師の仕事にも良い影響を与えられるでしょう。

具体的には、以下の副業の中からあなたに適した職種を選択してください。

ただし、副業を始めた後は本業の仕事に影響が出ないよう、スケジュール管理をしっかりとおこなってください。

個人事業主となる

保健師として年収1,000万円を目指すためには、個人事業主になることも選択肢の一つです。

個人事業主になると複数の保健所や企業から仕事を獲得できるため、年収アップに繋がりやすいでしょう。

例えば、自治体や企業に向けた健康セミナーの講師を務めたり、健康に関するコンサルティングをおこなったりすることで、複数の収入源を確保できます。

また、Zoomやチャットツールを活用したオンライン相談のサービスを開始すると、時間や場所の制約を受けずに多くの仕事にも対応できます。

個人事業主やフリーランスに向いている人の特徴や、働くメリットを理解したい方は、以下の記事も参考にしてください。
関連記事：フリーランス看護師とは？年収や働き方、適性についても解説！

産業保健師へ転職する

現在、行政保健師や学校保健師、病院保健師として働いているのであれば、産業保健師へ転職すると年収アップできる可能性があります。

なぜならば、産業保健師を求める企業は大企業であることが多く、高年収や充実した福利厚生を期待できるからです。

とくに、大企業や今後成長が期待される業界では、従業員の健康管理を重要視している傾向があります。

医療に関する専門知識や複数の資格を持つ保健師に対しては、年収1,000万円以上の報酬を提示する企業もみられます。

関連記事：保健師におすすめの転職サイト10選！転職サイトの選び方と転職活動のコツも解説

外資系企業の保健師へ転職する

外資系企業への転職も、保健師として年収1,000万円を目指す方法の一つです。

国内の企業と比べて外資系企業は成果主義で評価されることが多く、仕事で結果を出すと年収も高くなる傾向があります。

外資系企業で働く場合、以下3つのパターンからあなたに適した転職先を選択してください。

また、給与がドルで支給される場合、円安が進むと日本円換算で年収が増加する可能性もあります。

年収1,000万円を目指したい保健師におすすめの転職支援サービス

転職をして現在よりも年収をアップさせたい方は、以下の転職支援サービスを活用してください。

レバウェル看護

レバウェル看護は、医療に関する職種に特化した転職支援サービスです。

顧客満足度調査では「相談のしやすさ」や「連絡のとりやすさ」といった項目で高い評価を受けており、とくに20歳～34歳の年代から支持されています。

無料登録後は担当のアドバイザーに転職活動の相談ができ、求人の紹介や面接対策、入社日の交渉などをサポートしてもらえます。

また、公式サイトには職場の雰囲気がわかるインタビュー記事も用意されているため、勤務する従業員のリアルな声を確認できるでしょう。

（※1）レバウェル看護公式サイトより

ナース専科 転職

ナース専科 転職は、1年間の利用者数が10万人を超える転職支援サービスです。

地方の求人も豊富に取り扱っており、東京や札幌、大阪など全国12箇所の拠点では対面での面談にも対応しています。

担当のキャリアアドバイザーはナース専科 転職に求人情報を掲載する企業を直接訪問しているため、職場の内部情報に詳しく踏み込んだ質問にも対応できます。

転職前に職場の雰囲気や労働環境を理解できるため、利用する保健師は自身に適した環境で働けるでしょう。

（※1）ナース専科 転職公式サイトより

看護師ワーカー

看護師ワーカーは、医療業界に特化した転職支援サービスです。

正社員だけでなく、派遣社員やアルバイト、応援勤務などの求人も取り扱っているため、副業で働きたい保健師にもおすすめできます。

看護師ワーカーへの無料登録後はマイページを作成でき、履歴書の作成や求人への応募も可能です。

マイページを作成すると企業や病院から直接スカウトも届くため、あなたのスキルや経験に適した求人を見つけやすくなるでしょう。

保健師向け転職支援サービスを利用する流れ

転職支援サービスを利用する流れは、以下のとおりです。

転職支援サービスへ登録すると、転職に関するサポートだけでなく、保健師としての働き方やキャリアアップの相談にも対応してもらえます。

登録後の流れや注意点を詳しく理解したい方は、以下の記事も参考にしてください。
関連記事：【5ステップ】転職エージェント活用時・登録後の流れと注意点を解説

保健師の年収に関するよくある質問

保健師の年収に関するよくある質問を、2つ紹介します。

保健師の年収が高い県はどこですか？

 令和5年賃金構造基本統計調査をもとに、保健師の年収が高い都道府県を5つピックアップしました。

都道府県	年収
大阪府	約630万円
北海道	約597万円
大分県	約593万円
山口県	約578万円
東京都	約553万円

東京都や大阪府などの大都市は、求人数の多さや物価の高さもあり年収が高くなりやすいと考えられます。

また、北海道では冬の期間に寒冷地手当（暖房費）が支給されるため、他の地域に比べて年収は高くなりやすいでしょう。

とはいえ、地域別の年収は年度によっても異なるため、あくまでも参考程度にしてください。

市役所の保健師の年収はいくらですか？

市役所で働く保健師は地方公務員として雇用されるため、年収は約592万円です。

地方公務員の平均月収は358,824円で、ボーナスの合計は1,596,766円（4.5ヶ月分）となります。

また、公務員は産前産後休暇や育児休暇などの福利厚生も充実しているため、長期的にキャリアを築きたい方におすすめの職種です。

参考：総務省 令和5年地方公務員給与実態調査結果等の概要

まとめ｜年収1,000万円の保健師を目指すなら転職も検討しよう

この記事では、保健師の年収を紹介して年収1,000万円を目指すために役立つスキルや方法を解説しました。

一般的に保健師は年収1,000万円を達成しにくいと言われていますが、個人事業主として開業したり、大企業へ転職したりすると、年収を上げられる可能性は高まります。

現在よりも年収を上げてより良いキャリアを築きたい方は、転職も視野に入れてください。

また、日々の業務が忙しく求人情報を集める時間のない方は、転職支援サービスへの登録がおすすめです。

転職支援サービスへ登録すると、担当者から最新の情報を取得できるため、プライベートの時間を確保しながら効率的に転職活動を進められます。

1分で無料登録できますので、情報収集のツールとしても活用してください。

関連記事：看護師向けおすすめ転職エージェント19選！各社を徹底比較【2024年最新】