「年々担当業務が増えているのに、給料も全然あがらない」
「見合った給料がもらえていないし、このまま教師を続けていいのか悩む」

このように考え、教師として働くのに疲れている方もいるのではないでしょうか。なかには、転職を検討している方もいるかもしれません。

結論ですが、感情的になって教師からすぐ転職するのはおすすめしません。転職にはリスクがついてくるからです。

本記事では、教師の仕事に疲れ辞めたくなった時の対策を紹介します。すぐ実践できる内容を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

教師に疲れ辞めたくなる5つの理由

教師に疲れ辞めたくなる理由を解説します。具体的には以下の5つです。

1. 休みが取れない

教師は休みが取りづらい仕事です。部活動の顧問まで担当すると、休みなく1週間を終えてしまうこともあります。

なかには、部活動の顧問を断ったことで、同僚から嫌がらせを受けるケースもあります。そのため、部活動の顧問は長時間労働やパワーハラスメントの温床になっているといわれています。

しかし、休みなく学校へ出てくる教師は、「頑張っている子どもたちの成長がうれしい」と教師の仕事への熱意でやり切っている方も少なくありません。

2. 長時間労働がつらい

教師の長時間労働は、以前から問題視されてきました。

厚生労働省の調査によると、60時間以上残業している教員の割合は25.4％。5人に1人以上が長時間労働をしている状況です。

就業先	60時間以上の割合
小学校・教諭	14.2%
中学校・教諭	36.6%

出典：教員勤務実態調査（令和4年度）｜厚生労働省

このような状況から、教師に疲れ辞めたいと感じる方が増えているのです。

3. 給料が割に合わない

教師の働き方を「定額働かせ放題」と比喩（ひゆ）する方もいるほど過酷です。

公立教師は、教職員給与特別措置法（給特法）によって、月額4％の金額を給付する代わりに時間外手当、休日時間外手当が支給されません。

そのため、どれだけ残業しても給料は定額でしか受け取れないのです。

ただし、部活動の顧問で特殊勤務手当（部活動手当）が発生する場合もありますが、福岡市立の場合（※）で1日2,700円です。（※）各市区町村によって金額は異なります

上記の状況から、給料が割に合わず「教師に疲れた」「もう辞めたい」と言う教師も増えています。

4. 人間関係のストレスが多い

教員間での人間関係のストレスも大きな要因の1つです。

東京都教育委員会がおこなったアンケートによると、先輩や上司の言動で落ち込んだ、つらい思いをした経験が「ある」と答えた教師の数は50.1%にも及んでいます。

具体的に挙がっていた「尊敬できない上司や先輩」の言動が以下となります。

【尊敬できない先輩や上司はどのような人だと思いますか？への回答】

【尊敬できない先輩や上司はどのような人だと思いますか？への回答】
後輩・部下を指導するときに感情的（高圧的）になる	46.4%
人によって態度を変える	43.7%
相談しづらい雰囲気を常に出している	43.0%

このように、上司や先輩からの言動をストレスに感じているケースもあります。

5. ICT化の波に乗り遅れている

日本は、まだまだICT教育の普及が遅れています。

遅れを作る要因になっているのが、以下の項目です。

このことから、宿題や単元テストなどを紙で準備するなど、時間が余分にかかり、効率的に業務をこなせない状況が生まれています。

非効率な状況が、残業を作り出す温床になっています。

教師を辞めたほうがいい方の特徴

教師を辞めたほうがいいのは、以下の項目に該当する方です。

教師に疲れ果ててしまうと、精神疾患を発症するリスクが高まります。

明らかに心身の不調が出始めている場合は、再起できなくなる前に、病院へかかるなど行動すべきです。

また、仕事と家庭の両立を図りたい方は、現状の教師の働き方ではワークライフバランスの取れた働き方は実現が難しいでしょう。

そのため、教師ではない他の働き方を検討しましょう。

教師を辞めないほうがいい方の特徴

教師を辞めず続けることにメリットを感じる方は、このまま教師を続けたほうが後悔しないでしょう。

具体的には、以下の3点です。

「教師になるのが夢」そのために努力してきた方にとって、今が1番やりたかったことのはずです。

そのような教師に熱意を持ち、仕事を続けている方は、今がしんどくても教師を続けたほうが後悔しにくいでしょう。

また、公立の学校に勤めている教師は公務員です。「安定した給料がもらえるなら、このままでいい」と考える方もいるでしょう。

辞めて民間企業で勤めたら、ノルマが課され今よりつらい状況になるかもしれません。

教師を辞めたくなるくらい疲れた方の口コミ・体験談

教師に疲れたエピソードを紹介します。実際にどのようなことに疲れるのかリアルな声を確認しましょう。

自由な時間がなく疲れる

教師は長時間労働が当たり前になっており、実際に辞めたくなる理由にあげる方も多いです。

責任を押しつけられる

責任を押しつけられることに疲れる教師もいます。もちろん学校によって異なりますが、責任を他の教師に押しつける同僚や上司がいると、辞めたくなるものではないでしょうか。

保護者対応に疲れて辞めたい

子どもが好きで教師になったのに、仕事が保護者のクレーム対策では嫌になってしまう教師も多いのではないでしょうか。

管理職になってくると、教師としての業務内容も変化します。そのタイミングで、教師に疲れ辞めたくなる方もいるようです。

教師を辞めた後の仕事先

教師を辞めた後におすすめしたい仕事先を紹介します。具体的には、以下の通りです。

順に解説します。

塾講師・家庭教師

塾講師・家庭教師は、教育現場で培った専門知識やスキルが活かせる仕事です。

子どもとの対応にも慣れているため、比較的時間をかけず仕事に順応できるでしょう。

ただし、塾講師・家庭教師はビジネスとしてとらえるべきです。

教師も同じ「教える仕事」ですが、生徒の成績アップ、苦手科目の克服をさせなければなりません。

もし生徒の成績がふるわなければ、会社からペナルティを受ける可能性があります。

そのため、教師をしていた頃より、各生徒に合わせた対応力が求められます。

営業

営業は、教師の時に培われてきたコミュニケーション力が活かせる仕事です。

教師は1人で多くの生徒や保護者とコミュニケーションをとります。

1人1人に合わせた対応ができるため、営業の仕事でも、顧客1人1人に合わせた対応ができるでしょう。

また、営業は人手不足の職種といわれています。そのため、未経験でも採用を積極的におこなう会社は多いのが実情です。

コミュニケーションをとるのが得意な方は、営業に挑戦してみましょう。

関連記事：営業職の転職は厳しい？他業種に転職するメリットとデメリットを解説

事務

事務職は、資料作成や記録管理のスキルを活かせます。

膨大な学校の業務をこなしてきた教師は、事務職に勤めても十分対応できるでしょう。

事務職の仕事内容は、書類作成・整理、電話対応などで、教師のときにおこなってきた業務と共通する部分も多いです。

デスクワークが得意な方は、ぜひ事務職にチャレンジしてみましょう。

ただし、教師をしてきた時より、パソコンスキルが必要となる可能性があります。そのため、パソコンのスキルアップは必要になるでしょう。

関連記事：【実体験から学ぶ】20代女性が事務職に転職する５つの成功法則

教師に疲れ辞めたくなった時の7つの対策

教師に疲れてしまい辞めたくなったら以下で紹介する対策を実践してみてください。

自分に合った対策を1つでも実践することで、今の現状を客観視できるようになるでしょう。

1. 休む

1つ目は休むことです。教師の仕事がオーバーワークしてしまうと、心身の不調をきたしてしまいます。そうなる前に休んでください。

教員の精神疾患による休職は年々増加傾向です。文部科学省のデータによると、2022年度は6,539名が精神疾患によって休職しています。

下記は過去3年間の「教員の精神疾患による休職者数」のデータです。

出典：令和4年度公立学校教職員の人事行政状況調査｜文部科学省

上記の結果から、心身を壊す前に休んだほうがよいです。なかには、休むことをいい出せない教師もいるかもしれません。

しかし、このような状況では、いつかは仕事に復帰できない状態に陥ってしまいます。

2. 教師に疲れた人におすすめの書籍を読む

「教師に疲れて心がやばい」方は、以下の書籍を読むことをおすすめします。「自分だけではないんだ」と思えるからです。

そして、「どのような解決策があるのか」「今の状況を解決できないか」を知る手がかりにもなるでしょう。

「教師の仕事に疲れた」といっても、フェーズによって悩みは違ってきます。

現状の自分に必要な書籍を読み、同じ境遇を経験した方のアイデアを吸収しましょう。

3. 辞めたい理由を書き出す

3つ目に実践してほしいのは、辞めたい理由を書き出すことです。

辞めたい理由を頭の外側に書き出し、客観視することで解決策を考えてみるのです。

上記の方法は「ブレインダンピング」と呼ばれ、頭の中に”よはく”を作り出せます。

辞めたい理由と向き合い、教師を続けて解決できるのか、できないのか考えてみましょう。

4. 信頼できる人に相談する

対策の4つ目は「信頼できる人に相談する」です。自分の頭の中のモヤモヤを解消する方法として「人に話す」行為は有効です。

両親や兄弟、親友、学生時代の先輩など、自分が信頼できる人に悩みを打ち明けましょう。打ち明けることで、自分では考えもしなかった意見がもらえる可能性があります。

また、ハラスメントを受けている場合、会社の相談窓口を活用してみましょう。

ハラスメントは、個人の問題ではなく学校全体の問題です。ハラスメントが明らかな場合、躊躇せず報告しましょう。

5. 定時あがりを試みる

5つ目の対策は「定時あがり」にチャレンジすることです。自分の時間を取り戻し、心をチャージするのが狙いです。

心が疲れた状態では、冷静な判断ができません。業務に追われ一日が終わる毎日を送っていたら、自分が求めるはたらき方を考える暇は、いつまで経ってもこないでしょう。

仕事が終わっていないことを負い目に感じるかもしれませんが、自分で区切りをつけて帰る勇気も必要です。

6. 現職で解消できないか検討する

対策6つ目は、仕事の悩みが現職で解消できないか考えてみることです。厚生労働省の調査では、転職者の3割は年収ダウンしたと回答しています。

また、株式会社ビズヒッツが調査した「転職を思いとどまったほうがいい」と思う転職理由・状況」では、人間関係や仕事内容、年収の不満を挙げている方が多いです。（参考：「転職を思いとどまったほうがいい」と思う転職理由・状況」調査｜ビズヒッツ）

つまり転職しても、解消されないことがあることを意味します。転職活動自体も楽ではなく、転職したことで、余計に疲れるかもしれません。

そのため、一度現職で解消できないか考えてみてください。

7. 転職活動する

対策の最後が「転職活動する」です。転職活動自体は無料で自由におこなえます。消費するのは「時間」だけ。もちろん、学校へ連絡がいくこともありません。

転職活動することで、自分に足りていないスキルなど理解できるため、自分の市場価値や教師以外の選択肢を知りたい方にはおすすめです。

しかし、時間がとれない教師も多いはず。時間がない方におすすめの転職エージェントは、次章で解説します。

教師に疲れ辞めたい方へおすすめの転職エージェント

時間がとれない疲れた教師は、プロの力を借りて、転職して理想の働き方を手にいれたいと考えている方は、ぜひ登録を検討してください。

Education Career

ビズリーチ

リクルートエージェント

教師の転職に関するよくある質問

教師の転職でよくある質問を紹介します。

教員の1年目の離職率はどれくらいですか？

東京都のみの情報ですが、東京都教育委員会のデータによると、教員1年目の離職率は4.9%と発表しています。

小中高教員採用者数	1年以内に辞めた数
3,472名	169名

上記結果は、3年連続更新しており、2014年から調査してきた中でもっとも高い数字です。

転職理由「自己都合」（159名）が最多です。「自己都合」で辞めた人の半分程度が病気を理由にしています。

教師の退職理由は何ですか？

厚生労働省のデータによると「転職のため」がもっとも多い結果となっています。

以下、定年退職以外で多い理由を列挙します。

	転職のため	家庭の事情	病気
公立小学校	2,098人	1,879人	753人 （精神疾患：569人）
（前回調査時）	1,715人	1,633人	661人 （精神疾患：457人）
公立中学校	1,288人	724人	410人 （精神疾患：277人）
（前回調査時）	1,217人	781人	360 （精神疾患：242人）
公立高等学校	651人	305人	188人 （精神疾患：104人）
（前回調査時）	559人	273人	144人 （精神疾患：83人）

精神疾患を理由に辞めている教師が増えているため、対策が急がれています。

東京都では「教職員のコミュニケーションガイドブック」を作成し、若手教師の離職率低下のため動き出しました。

教師が1年で1番忙しい時期はいつですか？

教師がもっとも忙しくなる時期は卒業式シーズンの3月です。

卒業式や修了式の準びに加え、通知表、指示要録の作成もおこなわなくていけないからです。

まとめ

今回は、教師に疲れ辞めたくなった時の理由やその対策について解説しました。教師の仕事に疲れてしまったら本記事で紹介した「対策」を試してみてください。

教師として、どれくらい疲れているかで効果のある対策も違ってくるので、あなたのフェーズに合わせた対策を活用してみてください。

「教師を続けるのはもう無理」と追い込まれている方は、転職エージェントに登録するだけでもあなたの可能性を知るきっかけとなるでしょう