近年、日本は経済的な低迷により、終身雇用制度の導入を見直す企業も増え、雇用環境が大きく変化しています。

それにより、将来に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

ここでは、40代男性の方に向けた転職の実情や未経験からでも挑戦しやすい職種・業界、アピールのポイントなどを解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

関連記事：40代向けのおすすめ転職サイト13選！40代の転職事情や注意点まで解説

関連記事：40代向け転職エージェントおすすめランキング！全11社の人気サイトを徹底比較

40代男性の未経験分野への転職実情

40代になり、社会的背景から将来や現状に不安や不満を感じ、転職を考える方も少なくないのではないでしょうか。

厚生労働省の令和4年雇用動向調査での「転職入職者が前職を辞めた理由別割合」によると、40代男性は転職理由を「人間関係」とあげる方が「その他の理由（出向等を含む）」、「その他の個人的理由」に次ぎ3番目に多い割合でした。

また、40代、50代になると20代や30代に比べて「会社都合」を理由とする方が多くなり、将来や現状に不安や不満をもつタイミングといえるでしょう。

そのような中で、40代で転職する際はとくに収入面での心配や、仕事が見つかるかなど不安を抱かれる方も多いのが実情です。

また、同調査での「性、年齢階級別転職入職率」によると、40～44歳男性は5.7％、45～49歳男性では5.4％となっています。25～30歳の15.3％に比べると割合が下がりますが、一定数の転職者がいることがわかります。

この統計は、経験未経験の分別はされていませんが、未経験となると更に転職率は下がるでしょう。

転職をして後悔しないためにも、未経験で採用されやすい職種やポイントを押さえ転職を成功させましょう。

【参考記事】令和4年雇用動向調査結果の概要｜厚生労働省

未経験OKの求人が少ない

40代男性未経験分野の求人を調べると、30代に比べやはり求人数は少ない傾向にあります。

企業が、40代の採用において求めているものは「専門性」が重要視されます。

これまでに、別の職種で経験やキャリアを積んできたとしても、未経験分野であれば「活躍を期待しにくい」と判断される可能性があります。また転職求人サイトを見ると、35歳以下の年齢制限があるものが多く見受けられます。

基本的に法律では年齢制限することはできないと決まっていますが、例外として以下のように定められています。

長期勤続によるキャリア形成の観点から、新規学卒者等をはじめとした若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合には、上限年齢を定めることが認められます。

ただし、①対象者の職業経験について不問とすること ②新規学卒者以外の者にあっては、新規学卒者と同等の処遇であること という要件を満たす必要があります。

引用元：例外事由に該当する具体例②｜厚生労働省

このように、長期勤続によりキャリア形成を図る観点から、35歳以下に限定した求人募集をすることができます。

しかし35歳以下の年齢制限があるものでも、企業が求める人材であれば採用される可能性はあります。

年齢制限がある場合でもすぐに諦めず、応募時に企業に問い合わせをすると良いでしょう。

若手や即戦力を求める企業には採用されにくい

10年後20年後を見据えて、若手を採用したいという企業は多くあります。

特定の風土などに染まっていない若手のほうが「育てやすい」と考える企業も多いようです。

また、即戦力になる人材を求める企業は経験者を優先して採用することが多く、未経験者を採用しないケースもあります。

求人に若手や即戦力を求める記載がある場合は、40代未経験の方は採用されない可能性が高くなるでしょう。

プライドが邪魔をする

40代男性の転職が決まらない原因として「プライドが邪魔をする」が挙げられます。

プライドは必要ですが、転職をするうえで切り離した方が良いプライドも存在します。その多くは「見栄」や「高慢」といったプライドで、ふとした瞬間に垣間見えてしまうことがあります。

たとえば「前職ではこのポジションで仕事をしていたから他のポジションはしたくない」や「大企業に勤めていたから中小企業では働きたくない」などのプライドがあると、転職先の選択肢は狭まります。

また、せっかく書類選考でとおったものの面接で高慢な振る舞いをすれば、印象も悪くなります。

40代転職で大切なことは、責任感や信念といったもつべきプライドはもち、見栄や高慢なプライドは切り離したほうが良いでしょう。

未経験OKな40代男性の転職におすすめの職種

40代男性の未経験職種への転職は難しいという声を聞く場合もありますが、未経験でも可能な職種は多くあります。

人手不足やニーズの高いものは、とくに採用される可能性が高くなるでしょう。

また、生活の中で身近なことや、今までの経験が活かせる職種もあります。自分の生活スタイルや経験を活かせる職種を選ぶと良いでしょう。ここではおすすめの職種5選を紹介します。

営業

おもに取引先や顧客などに出向き、商品やサービスなどを売り込む仕事です。

売り込みのために、企画作成や営業戦略を立てることも仕事のひとつです。会社によって業務内容は異なるため、仕事内容の選択肢も広がります。

また、コミュニケーション能力も求められますので、前職でコミュニケーションを図る場面が多くあった方や、人と話すことが得意な方におすすめな職種です。

40代は人生経験が豊富なので、若手ではなく40代を積極的に採用する企業もあります。

コンサルタント

業界や分野によってさまざまですが、おもにクライアント企業の経営上の課題を解決に導く仕事です。

近年では、経済情勢や環境の複雑化によりコンサルタントのニーズも高まっています。

未経験でも可能な職種ではありますが、分野によっては資格や専門的な知識が求められます。公認会計士の資格や英語力などのスキルがある方におすすめな職種です。

40代の転職においても、他業界での経験がコンサルタント職をするうえで有利に働く場合もあります。

業界や分野によってさまざまな経験を活かせるので、ご自身の得意なことやスキルにあった分野を選択すると良いでしょう。

ドライバー

おもに運輸業界やバスの運転手、タクシードライバーなどが挙げられます。自動車の運転が好きという方には、ドライバーは最適な職種です。

また、運転業は人との関わりが比較的少ないため、黙々と仕事をしたい方におすすめです。

近年ではドライバー不足ともいわれており求人数が多い傾向にあります。

警備員

未経験でも広く採用していることが多い職種です。

50代以上の年齢の方が多い業界でもあり、40代の転職でも遅いということはありません。

研修制度がある職場も多く、未経験者でも安心してはじめることができる職種といえるでしょう。

介護職

介護を必要とする利用者の生活をサポートする仕事です。

高齢化が進む日本において今後は、介護職の人材価値が非常に高まるとされています。需要が高まる職種でもあるので、長期的に考えている方にはおすすめの職種です。

無資格でも可能ですが、資格の有無で仕事内容の幅も異なります。資格を取得することで給料のアップにも繋がるでしょう。

40代の未経験転職で求められるスキル・経験

40代未経験の転職では、豊富な経験やコミュニケーション能力、マネジメント経験が求められる傾向があります。

20～30代に比べ40代では、「経験」や「スキル」を重視される求人が多くなります。重視される経験やスキルを明確に伝えることで、転職活動を優位に進めることができるでしょう。

この章では、40代の未経験転職において求められるスキルや経験について詳しく解説します。

マネジメント経験

マネジメント経験とは、一般的に管理業務で培った経験を示します。

しかし、管理業務といっても企業によってさまざまで、一律に定められたものではありません。

応募条件にマネジメント経験と記載のある場合がありますが、部長や課長などの肩書がなくてもチームをまとめた経験や、部下の指導経験があれば積極的にアピールしましょう。

職務遂行能力

職務遂行能力とは、職務を効率的に進める思考能力や予見する力、コスト意識などが挙げられます。

とくに未経験からの転職において、必要不可欠であり重要なスキルとなります。

このような職務遂行能力を適切にアピールすることで、高い評価を得ることができるでしょう。

コミュニケーション能力

コミュニケーション能力とは、相手の意見に耳を傾け理解したり、円滑な人間関係を築くことができる能力を指します。

職種を問わず、仕事をするうえで重視されることが多いスキルです。

とくに40代未経験の転職では、年齢にとらわれず周囲と意思疎通が図れるかなど、仕事の幅を広げるうえで重要な判断基準となるでしょう。

40代の転職で注意すべきポイント

40代の転職であれば、20～30代と比較すると、求人数も少なく「理想の求人が見つからない」、「想像以上に時間がかかる」ということも考えられます。

この章では40代の転職で注意すべきポイントについて解説します。

転職に時間がかかる可能性がある

前項でもお伝えしたように、40代の求人は20～30代に比べ求人数も少なくなります。そのため「理想の求人が見つからない」や「応募できる求人自体があまりない」ということが挙げられます。

転職活動の時間が経過するとともに、精神面や金銭面で焦りを感じる場合もあるでしょう。

そのような焦りから、条件に合わない企業に急いで転職してしまうと、のちのち後悔する可能性が高くなります。

事前に時間がかかる可能性も視野に入れて準備しておくことで、金銭面や精神面の安定にも繋がるでしょう。

条件にこだわりすぎない

条件にこだわりすぎると、応募できる求人自体が狭まります。

「自分はこの仕事しかしない」など決めつけず、視野を広げることが大切です。

こだわりたい条件まで捨てる必要はありませんが、あまりにこだわりが強すぎる場合は要注意です。

年収が下がる可能性を視野に入れる

転職活動をするうえで、前職より年収を上げたいと思う方は多いのではないでしょうか。

しかし、40代未経験の転職では、前職より年収が下がる可能性が高い傾向にあります。

転職活動が厳しいと感じている方の中には、前職と同様の年収や、同水準の年収を条件にしている場合があります。

応募できる求人が見つからない場合、一度年収の額や条件を下げるなどして見直してみると良いでしょう。

年齢が上がるごとに難しくなる

転職では、年齢が上がるごとに求められるスキルや経験が高度になり、難しさも増していきます。

また年齢制限を設けている企業もあり、40代からの転職は更に難しくなるでしょう。

採用担当者が年下の場合、年齢が上がると「扱いづらいのでは」と感じてしまうこともあるようです。面接の際は、「扱いづらい」という印象を持たれないようにすることも大切です。

年齢が上がるごとに難しくなる転職活動では、なるべく早く行動を始めることも重要なポイントのひとつです。

40代未経験の転職を成功させるポイント

一般的に40代未経験の転職活動は厳しいといわれていますが、ポイントを押さえることで、転職を成功につなげることができるでしょう。

この章では特定のスキルや資格などではなく「意識」や「事前準備」によるものを紹介します。

誰でも比較的取り組みやすいものを8つ紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

諦めない

応募条件に年齢制限が記載されている場合がありますが、該当しないからと諦めず、まずは問い合わせをしてみましょう。

また、あまりにも時間がかかりすぎると諦めたくなる気持ちが出てきますが、粘り強く諦めないことも大切です。

親しみやすい印象を与える

40代転職では、親しみやすい印象をもってもらうことも重要となります。

年齢が上がるほど、他の社員との関係性が心配される可能性も高くなるため、採用面接の際は明るくハキハキと受け答えをするなど、コミュニケーション能力をアピールすることも大切です。

求人によっては「人物重視」といった採用項目が設けられているケースもあるため、なるべく親しみやすい印象を与えられるようにすると有利に働くでしょう。

素直さ・謙虚な姿勢を忘れない

年齢や人生経験を重ねるごとに、譲れない条件やこだわりをもつ方も少なくないでしょう。

今までの経験からプライドが高くなりがちですが、未経験の職種ではとくに素直さや謙虚さが大切となります。転職先の職場では自分より年齢が下の方に、指導してもらう場面もあるでしょう。

面接では、素直さや謙虚さも見られているため、謙虚な姿勢でいることも成功への鍵となります。

自分の市場価値を客観的に把握する

市場価値とは、主に4つの要素によって構成され、市場での需要と供給のバランスがポイントになります。

4つの要素とは以下に挙げるものです。

• スキル
• 経験
• 実績
• 専門性

4つの要素を客観的に把握することで、転職活動において大きな強みとなります。

プラス要素を客観視することはもちろんですが、マイナス要素も客観視するようにしましょう。マイナス要素を把握することで、自分の足りない部分を補うための取り組みを考えることができます。

また市場価値を客観視し、企業の求める需要と供給のバランスを把握することができれば、面接でも効果的にアピールできるでしょう。

職種や業種にこだわりすぎない

未経験転職では、職業や業種にこだわりすぎないことも重要です。こだわりすぎると仕事の幅はもちろん、選択肢も少なくなってしまいます。

40代未経験転職では求人数も少なくなるため、自ら選択の幅を狭めないように留意しましょう。

「私はこの職種しかできない」と思わず、少しでも「できそう、興味がある」と思う職種があれば選択肢として検討することをおすすめします。

志望動機や自分の強みを明確にする

志望動機や自分の強みを明確にし、きちんとアピールすることも、成功するための重要なポイントです。

40代未経験転職では、志望動機が曖昧だったりアピールポイントが少なかったりするとマイナス要素となってしまいます。

企業は選考の際に、入社したいという熱意があるかを志望動機で判断します。

熱意が感じられない場合は、「すぐに辞めてしまうのではないか」と思われる可能性があるでしょう。

そのため、熱意の感じられる志望動機を示し、企業に貢献できる自身の強みを明確にアピールすることが重要です。

入念な企業研究

志望動機や自己PRを活かすためにも、入念な企業研究は必要不可欠です。

企業研究とは以下のものが挙げられます。

• 社員数や事業所数、創立からの沿革
• 競合他社との違いや強み
• ターゲット顧客が企業の商品やサービスを選ぶ理由

また、企業研究だけではなく、未経験転職の場合は職種研究も忘れてはいけません。仕事内容を理解し、面接時の質問にも答えられるようにしておきましょう。

転職サイトや転職エージェントを活用する

初めての転職の場合、ハローワークのみを活用する方もいるのではないでしょうか。

ハローワーク以外にも、転職サイトや転職エージェントを活用することで、応募できる求人数を増やすことができます。また、応募する求人の幅が広がることで、希望の求人と出会いやすくなるでしょう。

求人サイトや転職エージェントの中には、職種や職業に特化したサービスや40代転職に強いサービスもあります。自分にあった求人サイトや転職エージェントを探して登録しましょう。

闇雲に転職先を探すのではなく、転職サイトや転職エージェントを活用し効率よく転職活動をすることも、成功させるポイントになります。

40代男性未経験の転職に強い転職エージェント

40代未経験での転職を失敗しないためには、40代未経験の転職に強い転職エージェントを活用することをおすすめします。

転職エージェントでは、転職についてのアドバイスや求人紹介、面接の調整などのサポートをしてくれます。ここでは、おすすめのエージェントを詳しく紹介していきます。

リクルートエージェント

ビズリーチ

マイナビエージェント

indeed

indeedは、世界No.1の求人検索エンジンです。平均月間の求人数は620万件で業界でもトップクラスとなります。

indeedの検索窓にキーワードを入力するだけで該当の求人情報が表示されるため、誰でも扱いやすいでしょう。

また、職種や就労条件などの絞り込み機能もあるため、希望条件の求人を探しやすく利便性も非常に高いのが特徴です。

リクナビNEXT

株式会社リクルートが運営する転職求人サイトです。

会員登録をすると、会員限定機能として新着求人がメールで届いたり、企業やエージェントから直接オファーが届いたりと機能が充実しています。

職務経歴の保存や気になる企業の一括管理もできるため、自分にあった求人を探しきれない方や、忙しい方におすすめです。

また、企業からのオファー数が確認できるため、自分の市場価値を客観的に知ることができます。

みらいワークス

みらいワークスは、ライフステージに応じて幅広い仕事探しが可能です。

業務委託やフリーランス、正社員、副業まで希望の雇用形態にあった求人を探すことができます。

また「大人のインターン」制度があり、三ヶ月以上のお試し稼働を経てから転職を決めることができるので、入職してからのミスマッチを事前に防ぐことができるでしょう。

 FROM40

FROM40は、40～50代に特化した求人サイトです。

求人数も3,000件以上で40～50代向けの求人サイトでは日本最大級となっています。

40～50代のミドルシニア向けの新着求人が一覧で閲覧でき、エリアや雇用形態などを絞り込み検索することも可能です。

また、40～50代の転職での悩みや不安についてのQ&Aや、履歴書の書き方など詳しく解説してあり、転職活動をするうえでの不安も解消することができるでしょう。

パソナキャリア

まとめ

40代男性の未経験職種への転職は難しいといわれていますが、ポイントを押さえることで成功する可能性が高くなります。

未経験の職種であっても、他の職種で経験したマネジメント業務やコミュニケーションスキルは、高い評価に繋がるでしょう。

しかし、40代未経験職種への転職は、想定以上の時間を要する可能性が高いことも実情です。事前に金銭面での準備や企業研究などを入念にしておきましょう。

難しいといわれる40代男性未経験職種への転職だからこそ、転職のプロである転職エージェントを上手に活用して、転職を成功させましょう。