「高卒での就職の現実はどうなのかな」
「今の時代に高卒の就職は受け入れられるのか」

など、疑問を抱えている方もいるでしょう。

結論、高卒で就職する場合、就職率が高く、スキルが早くから身につくなどの利点がある一方で、大卒に比べて生涯賃金や初任給が低く、仕事の選択肢も狭くなってしまうのが現状です。

本記事では、高卒就職の現実が厳しいといわれる理由から高卒の方におすすめの業種、職種についてまで詳しく解説しています。

自分の興味や得意分野に合った業界を選び、内定を手に入れましょう。

関連記事：高卒おすすめ転職サイト・エージェント比較14選｜選び方や上手く活用するコツを徹底解説【2025年】

高卒就職の現実が厳しいといわれる3つの理由

初めに、高卒就職の現実はなぜ厳しいのか、3つの観点で解説します。

観点を理解することで就職活動もスムーズに進むでしょう。

採用条件の「大卒以上」に応募できないから

多くの企業では、採用条件として「大卒以上」を求めることが一般的です。

大卒者を対象にした募集が多い理由としては、学歴を基準に応募者のスキルや専門知識をある程度推測できるといった企業側の考えがあるからです。

そのため、高卒者は選考段階で外れてしまうことが多く、特に大手企業や専門性が求められる業界においては、就職の機会が限られてしまいます。

このように、高卒者が応募できる求人は多くないという現実があります。

職種や業種が限られるから

高卒者が就職できる職種や業種は限られています。

例えば、営業職や製造業などは高卒者でも採用されやすい業種ですが、IT関連やマーケティング、金融業界など専門的な知識や高度なスキルを必要とする職種では、高卒者の採用は難しい傾向にあります。

また、近年では新しい技術の導入や専門知識の習得が求められる業種が増えており、学歴や資格を持つ大卒者が優先されるケースが増加しているのです。

そのため、高卒者は多様な業界での選択肢が限られ、就職活動において苦労することがあるでしょう。

離職率が高いから

高卒で就職した場合、職場でのキャリアアップや成長の機会が限られていることが多く、結果として離職率が高くなることがあります。

特に、労働環境が過酷な業種や、待遇や福利厚生が不十分な職場では、若い世代の労働者が仕事を続けるモチベーションを維持するのが難しく、転職や退職を選ぶことが多い傾向です。

また、企業側も高卒者に対して十分なサポートを提供できないことが多いため、キャリア形成が難しく、長期的な雇用関係が築きにくいという現実があります。

このような環境が、離職率の高さに繋がり、結果として安定した職業生活を送るのが難しくなるのです。

離職してしまうと、採用基準が「中途採用」としての選考になり、学歴やスキルがないと就職が難しくなってしまうかもしれません。

このように、高卒からの就職の際は、前もって企業を調査しミスマッチを減らしましょう。

高卒で就職する際のメリット3選

ここからは、高卒での就職のメリットについて解説します。高卒ならではの強みやアピールポイントを学んでいきましょう。

早い段階からスキルを学べる

高卒で就職すると、大学に進学する前に実際の仕事を経験できるため、早い段階から専門的なスキルを身につけることができます。

学校で学ぶ知識と違い、現場での経験はすぐに役立つ実践的なスキルが身に付きます。

特に技術職や専門職では、早いうちから経験を積むことでキャリアを積むことができ、市場価値を高めることができるでしょう。

進学費用がかからない

大学に進学するとなると、学費や生活費など、かなりの金額がかかりますが、高卒で就職すれば、その負担を避けることができます。

特に、家庭の事情でお金が足りない場合や、早く自立したいと思っている人にとって、高卒で働く選択肢は大きなメリットといえます。

就職して働き始めることで、自分の生活を安定させることができ、プライベートの時間や安定した収入を得ることができるでしょう。

経験値の高さを活かせば出世しやすい

高卒で就職すると、同じ年齢でも大学を卒業した人よりも早く就職し実務経験を積むことができます。経験を積むことで、職場での信頼を得やすく、早い段階で昇進のチャンスをつかむことが可能です。

就職活動では学歴が重要視される場面もありますが、特に成果や実力を重視する企業では、早くからリーダーシップをとったり、重要な仕事を任されたりすることもあります。

そのため、就職し実務経験を培い活かすことで、早い年齢で役職に昇進しやすくなるでしょう。

高卒からの就職におすすめの業種・職種

高卒からの就職でおすすめの業種や職種について、いくつかの選択肢があります。

自分の興味や強みを考えながら、将来のキャリアに繋がる道を選んでいきましょう。

ここでは、高卒からの就職におすすめの業種・職種を解説します。

営業職

営業職は、相手とコミュニケーションを取ることが得意な人に向いています。

お客様と直接やり取りをしながら、自社の商品やサービスを紹介する仕事ですが、相手のニーズを理解し、信頼関係を築く力が必要です。

営業スキルや人間関係を築く力を身につけることで、どのような業界でも活躍できる可能性があります。たとえ売上目標が高くても、その目標を達成した時の達成感は大きく、やりがいを感じやすい職種です。

特に営業の経験は、将来、マネジメントや経営に進むためのステップにもなります。

そのため、営業職での経験を活かして、上司としてチームをまとめたり、企業の経営戦略に関わるような役職に進むこともできるでしょう。

関連記事：未経験から営業職はやめとけ？実情や転職成功のカギを徹底解説

販売職

販売職は、お客様とのコミュニケーションが重要な仕事です。

人と接することが好きな方や、他人を喜ばせることに喜びを感じる方にとって、とてもやりがいのある職種です。

商品の特徴や使い方について深く学び、接客スキルを向上させることで、お客様に信頼される存在になれるため、自己成長を感じやすいです。

日々の接客を通じて、商品知識やサービス提供の技術を身につけ、着実にキャリアアップを目指すことができるでしょう。

また販売職では、お客様の期待に応えることができたときに感じる達成感が大きく、リピーターを増やすことでやりがいを得ることができます。

このように販売の経験は、マーケティングや店舗運営など、異なる分野に挑戦するための基礎を築くことができるため、将来のキャリアに幅広い選択肢を得ることが可能です。

関連記事：接客業はやめとけと言われる8つの理由とは？接客以外のおすすめ職種も紹介

事務職

事務職は、デスクワークが中心で、書類の作成やデータ入力、電話対応などが主な業務です。

細かい作業が得意な方や、物事を整理整頓して効率よく進めるのが得意な方に向いているでしょう。

事務作業は決まった手順に従って進めることが多いため、正確さとスピードが求められますが、その分、確実性が重視される仕事でもあります。

また、安定した環境で働きたい人にはぴったりの職種で、長期的な就業を希望する方にもおすすめです。

事務職では、企業を支える重要な役割を担い、バックオフィスでのサポートを通じて、他の部署の業務を円滑に進める役目を果たします。

さらに、パソコンスキルや業務管理の能力が自然と向上するため、将来的には異動やキャリアアップの可能性も広げられるでしょう。

関連記事：一般事務がきついと言われる理由とは？向いている人の特徴・求人の選び方を解説

飲食業

飲食業は、食事や飲み物を提供することを主な業務とする業界です。レストラン、カフェ、居酒屋などの飲食店で働くことが多く、調理や接客、サービス全般を担当します。

調理や接客など、さまざまな役割があり、チームワークやお客様へのサービス精神が大切です。

飲食業界は成長が見込まれている分野であり、経験を積むことでキャリアアップのチャンスも豊富です。自分のスキルを活かして、上を目指すことができることも可能でしょう。

特に、飲食業は柔軟な勤務時間やシフト制度が整っている場合も多く、ライフスタイルに合わせた働き方ができる点も大きな魅力です。

また、現場での経験がそのままスキルとなり、将来的には店舗管理や経営に関わることも可能です。人と接する力やコミュニケーション能力を磨けるため、どのような職場でも役立つスキルが身につくでしょう。

関連記事：飲食業界はブラックすぎる？飲食店の就職はやめとけといわれる理由を解説

介護職

介護職は、高齢者や障害を持つ方々の日常生活を支援し、食事の準備や介助、入浴や移動のサポートなど、生活全般にわたる支援をおこなう職業です。現代では高齢化社会が進み、介護職の需要は増加しており、安定した職業を探している高卒の方にもおすすめです。

介護のスキルを習得すれば、将来的に管理職や専門職にキャリアアップする道も広がります。

また、資格を取得することで、さらに専門的な知識や技術を身につけることができ、安定した収入を得ることができるでしょう。

高卒でも専門的なスキルを学ぶ機会があり、医療や福祉に関連する知識を得られるため、他の職業にも活かせるスキルを身につけることができます。

人々の生活を直接支えるやりがいを感じながら、安定した職業を築くことができる点が魅力です。

関連記事：介護職はきつくて大変？仕事のやりがいや働くメリットを現役介護士が紹介！

公務員

公務員は、国家や地方自治体で働き、公共サービスを提供する職業です。公務員の仕事は、社会のために働くというやりがいを感じられるため、安定した職業に就くことだけでなく、社会貢献ができる点も大きな魅力です。

公務員になるためには、公務員試験を受けたり資格を取得したりする必要がありますが、高卒からでも計画的に準備を進めることで、安定した職業に就くことができます。

また、公務員は健康保険や年金制度、住宅手当などの福利厚生が整っているため、長期的に安心して働くことができます。

さらに、労働環境も安定しており、仕事とプライベートのバランスを取りながら働けるため、生活面での安心感も得られます。

社会貢献をしたいという強い気持ちを持つ高卒の方にとって、公務員は非常に魅力的な選択肢となるでしょう。

自分の仕事が直接的に地域社会や国全体に影響を与える実感を持ちながら、安定した職業生活を送ることができるため、公務員という職業は高卒からでも十分に挑戦する価値があります。

高卒で就職した方の体験談

ここからは、実際のアンケートをもとに、高卒でも就職に成功した事例を紹介します。

土木・建築業界に就職した30代男性Rさんのケース

高卒で就職して苦労した点

やはり大卒などといった肩書きがないので、高卒だとどうしても評価されないことが続きましたし、キャリアアップをするにも相当な努力や経験が必要だったので、若干遠回りになってしまったかなと感じる部分はあります。

高卒で就職して良かった点

高卒で建築業界に就職しましたが、この業界では特に実力や経験が重視されるので、早い年齢からスキルを高めることが出来ました。
また、早い年齢からスキルを高めることが出来たのでそれだけ昇格が早かったですし、結果的にも若い年齢で自立することが出来たので、その点は非常に良かったと思っています。

大卒の方よりも早く働ける分、スキルや経験値を高めることができ昇格を見込めるケースも多いです。

専門職の場合、学歴よりもスキルが重視されることが多く、高卒の方に適しているといえるでしょう。

開発業界に就職した30代女性Sさんのケース

高卒で就職して苦労した点

やはり大卒と比較されたり比べられることがあると辛くなります。どんなに頑張っていても大卒の方とは給与の面で違いがかなりありますし、面倒な業務を押し付けられることもあって損に感じることが多いです。また、大学生の友達は悠々と遊んでいるなか、日々仕事に追われて働いている自分とを比較するとたまに空しく思うことがあります。

高卒で就職して良かった点

早くから社会に出て働くことができたので、大学に進学した友人達よりも貯金額が多くて精神的な余裕が持てていたことはかなりのメリットに感じます。
また、奨学金の返済に追われる心配がないこと、高卒からコツコツと働いて実力をつけていけば上の役職につけるチャンスが増えるのも嬉しいです。あとは職場にすぐに馴染めるところでしょうか。高卒から入ると研修なども丁寧に行ってくれるので、じっくりと時間をかけて職場に馴染んでいくことができます。

Sさんのように、高卒で就職することで苦労もありますが、昇格の面や金銭面など利点も多いのです。高卒就職の強みを活かして頑張っていきましょう。

高卒の方が就職活動を成功させるポイント

高卒の方が就職活動を成功させるポイントは以下のとおりです。

ここから詳しく解説しますので、就職を成功させたい高卒の方は一緒に見ていきましょう。

自己分析に力を入れる

自己分析は、自分の長所や短所、価値観を明確にするための重要なステップです。

就職活動を成功させるためには、自分がどのような仕事に向いているのか、どんな職場環境で働きたいのかを理解することが大切です。

自己分析をおこなうことで、応募する企業や職種を選ぶ際の指針が明確になり、自信を持って面接に臨むことができるでしょう。

また、自己分析を通じて自分の目標を設定し、どのようなスキルを身につける必要があるのかも分かるため、より具体的な就職活動が可能になります。

資格を取得する

高卒の方が就職活動を有利に進めるためには、資格の取得が効果的です。資格は、専門的な知識やスキルを証明する手段となり、求人企業に対して自分の能力をアピールできます。

例えば、事務職を目指す場合は「簿記」や「パソコン関連の資格」、IT業界を目指す場合は「基本情報技術者試験」などが有利になることがあります。

とくに資格を持っていることで、採用担当者に「この人は努力して学び続けている」と評価されるため、採用のチャンスを広げることができるでしょう。

転職エージェントを利用する

転職エージェントは、就職活動のサポートをしてくれる専門のサービスです。

転職エージェントは、求人情報を提供してくれるだけでなく、自分の希望に合った職場や企業を提案や面接対策や履歴書の書き方をアドバイスしてくれます。

また、自分一人では見つけられないような求人を紹介してくれることもあり、効率的に就職活動を進めることができます。

さらに、エージェントは企業との調整や条件交渉もサポートしてくれるため、就職活動の負担を軽減することができるでしょう。

高卒からの就職におすすめの転職エージェント

これから紹介する3つのエージェントは、どれも高卒の方におすすめのサービスです。自分にあったエージェントを選択し、一緒に就職を成功させましょう。　

えーかおキャリア

ハタラクティブ

就職カレッジ

高卒就職の現実に関するよくあるＱ＆Ａ

高卒の就職の現実についてよくある質問は、次の2つです。

本章では、2つのよくある質問について詳しく解説していきます。高卒での就職を考えている方は、ぜひチェックしてみてください。

高卒で就職できる確率は？

厚生労働省の研究によると、「2024年3月に高校を卒業した人」の就職内定率は、3月末時点で99％を超えています。高卒で就職したほとんどの方が就職できたことがわかります。

このように、高卒だからといって諦めずに就職活動を進めていきましょう。

参考：厚生労働省  令和５年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る 求人・求職・就職内定状況」取りまとめ（３月末現在）

関連記事：高卒の就職先におすすめの仕事は？仕事探しの方法や注意点も紹介

高卒で就職するのは、何割くらいですか？

文部科学省が発表した報道資料によると、令和6年度における高卒で就職する人の割合は12.7％となっています。約10人に1人が早期に社会人として働き始めていることが読み取れます。

この割合は、大学や専門学校に進学しなかった高校卒業者にもとづいたもので、全員が就職したわけではありません。近年の大学進学率増加に伴い、この数値は年々減少しており、今後もさらに減少することが予想されます。

参考：文部科学省「令和６年度学校基本調査（確定値）報道発表資料」

まとめ

本記事では、高卒の方の就職の現実について解説しました。

実際大卒で就職と高卒での就職とでは生涯年収に差が生じてしまい、高卒での就職に劣等感を感じてしまう方もいるかもしれません。

ですが、高卒という学歴に対する劣等感や周囲に対しての嫉妬心を感じたまま日々を過ごしてしまうことは、人生の貴重な時間を無駄にしてしまいます。

現状を受け入れ、前向きに就職活動をおこなうことがこれからのキャリアにとって最も良い手段といえるでしょう。

本記事で解説している転職活動のポイントを押さえて、自分の思い描いた就職の実現に近づけることができるので、諦めないで行動してみてください。