「50代だけど仕事を辞めたい、疲れた」
「心が折れたからもう辞めたい」

このように感じていないでしょうか。

50代で仕事を辞めたいと考えることは、決して珍しくありません。実際に令和4年の50代男性の離職率は約5.4％（※）と、20人に1人が退職しています。

しかし辞めるべきサインは何なのか、辞めて後悔しないかなど悩んでしまい、なかなか一歩を踏み出せない方も多くいます。

この記事では、50代男性が仕事を辞めたいと感じる原因について解説しています。対処法や注意点も紹介しているため、仕事を辞めたいと感じたときにどうしたらいいか知りたい方は参考にしてください。

関連記事：50代で早期退職しても大丈夫？後悔しない辞め方や注意点を解説！

（※参考：令和4年雇用動向調査結果の概要）

50代男性が仕事を辞めたいと感じる原因5つ

50代男性が仕事を辞めたいと感じる場合、次の5つの原因が考えられます。

体力的な限界を感じる

まずは体力的な問題が挙げられます。

20代・30代のうちは難なくこなせた仕事や残業も、50代ともなれば無理がきかなくなってきて当然です。若いころに無理をしすぎたせいで、腰痛や肩こりなど慢性的な身体の不調に苦しむケースも少なくありません。

体調や精神面で思い通りにならないことが増えると、これ以上働き続けることに限界を感じ「辞めたい」と考えやすくなります。

仕事内容にモチベーションが沸かない

仕事内容にモチベーションが沸かないことも、辞めたくなる原因の1つです。

50代の方は、長ければ30年近く同じ会社で働いている場合もあります。そのため惰性で働いたり、手を抜いたりしたくなるときがあるのも当然といえます。

今さら異なる業種にチャレンジする気持ちにもなれず、かといって今から昇進も見込めず、やりがいを持てない……といった、板挟みの感情になりやすいでしょう。

会社の将来性が感じられない

会社の将来性が感じられないと、長く勤める気持ちになれず退職を考えるきっかけになります。

業績不振がみられたり給料が下がったりすると、モチベーションが下がるだけでなく、「そのうち解雇されるのでは」という不安にもつながります。

働き方のシフトチェンジをしたい

50代になってフルタイムの正社員ではなく、働き方を変えるために辞めたいと考えることもあるでしょう。

たとえば時短勤務やリモート勤務、派遣社員やパートに切り替える方法があります。これまでと比べて収入は減りますが、体力に合わせて無理なく働けるのがメリットです。

50代になると自身に病気が見つかったり、家族の介護が始まったりと状況が変化し、今までどおりに働くことが難しくなるかもしれません。

柔軟な働き方を考慮しておくと、ただ今の仕事を辞めるだけではなくその先まで見すえて行動できます。

新しい暮らし方に興味がある

50代になり定年が近くなると、「趣味のための自由な時間がほしい」「家庭やプライベートの比重を多くしたい」と感じる方が増えてきます。

セカンドライフや移住といった選択肢が出てくると、現在の仕事を辞めたり転職したりすることも視野に入るでしょう。

50代男性が仕事を辞めたいと感じたときの対処法5つ

50代男性が仕事を辞めたいと感じたときは、次の5つの対処法を試してみてください。

まとまった休みをとりゆっくり自分を見つめ直す

まずはまとまった休みをとり、ゆっくりと自分を見つめ直すことが大切です。

50代までずっと仕事優先で、家族のため働きづめだった方も多いでしょう。

その場合は有給を活用したり、体調不良があるなら思いきって休職したりして、とことん休むことに徹するのがおすすめです。

もし「辞めたい」という感情がストレスによるものであれば、ゆっくり休むことでまたモチベーションを取り戻せるかもしれません。

家族や友人に相談する

家族や友人に相談するのもおすすめの方法です。

友人同士で愚痴を言い合う、家族で真剣に話し合うなど、どんな形でもかまいません。自分ではわからない、第三者の客観的な視点でのアドバイスが期待できるでしょう。

また思っていることをとことん吐き出すと、本当に辞めたいのか、その先はどうするつもりなのかなど、自分の感情が見えてくることもよくあります。

副業を始める

副業を始めるのも、現状を変えるいいきっかけになります。

世は副業ブームで、2023年には労働者全体の6％が副業しているというデータもあるほどです。（※）

仕事以外に興味のあること、やりたいと思うことをとりあえずやってみると、達成感や充実感が得られるだけでなく、今後の生き方のヒントが見えてくるかもしれません。

（※参考：副業者の就労に関する調査）

異動や転職を検討する

今の部署でやりたいことができない、人間関係がつらいといった悩みがあるなら、部署異動を願い出るのも有効です。環境ががらっと変わると、これまでが嘘のようにやりがいを持って働けるようになる可能性もあります。

しかし、それでも「辞めたい」という意思が変わらないようなら転職を検討しましょう。50代の求人は多くありませんが、これまでのスキルを活かせるハイクラス向け求人ならチャンスがあります。おすすめの転職エージェントについては、以下の記事を参考にしてください。

関連記事：50代ハイクラス向けの転職エージェントおすすめ5選｜成功の秘訣も解説

早期退職を検討する

働くことそのものに疲れてしまったら、早期退職を検討するのもアリです。

十分な老後資金や退職金があることが前提ですが、50代のうちに仕事を辞めることで、自分が本当にやりたいことをやるセカンドライフを始められます。

さらに、会社で早期退職者を募っているタイミングで自ら希望して辞めた場合、退職金が割増しになることもあります。ライフプランと照らし合わせ、よく考えて決断する必要があるでしょう。

関連記事：50代で早期退職しても大丈夫？後悔しない辞め方や注意点を解説！

50代男性が仕事を辞める際の注意点5つ

50代男性が仕事を辞める際は、次の5つの点に注意点してください。

50代の転職事情を把握しておく

まずは、50代の転職事情を把握しておくことが大切です。

基本的に50代向けの求人数は多くなく、転職は簡単ではありません。

実際に令和4年の50代男性の転職入職率は5.1％〜5.7％と、20代に比べて3分の1程度にとどまっています。

引用：令和4年雇用動向調査結果の概要

また、50代の転職入職者は現職よりも年収が下がりやすいというデータもありました。

参考：令和3年雇用動向調査結果の概要

とはいえまったく無理というわけではなく、スキルがあれば転職でキャリアアップすることも可能です。また「年収や条件に妥協してもいい」「雇用形態にこだわらない」という方であれば、さらに転職成功率を高められます。

転職する際は自分の強みやアピールポイントを棚卸しし、どんなふうに会社の役に立てるかを明確にしておきましょう。

関連記事：50代の転職が難しいのは本当？難しいといわれる理由や転職できる人とできない人の特徴も紹介

今後の暮らしや仕事についてよく考え後悔しないようにする

50代で転職した場合、それが人生最後の仕事になるかもしれません。そのため、後悔しないようにすることが大切です。

定年後や老後に自分がどう暮らしたいのか、どのような働き方をしたいのかプランを立てておき、それに合った仕事を見つけましょう。

もし仕事を辞める場合は生活費の不安や、社会的信用を失うといったデメリットもるため、慎重に検討してください。

関連記事：ワークライフバランスが実現しやすい業界・職種・企業の特徴と転職成功のポイントを解説

家族の了承を得る

家族の了承を得ることも重要です。

50代での転職は大きなチャレンジとなります。なかなか内定しなかったり、年収や条件が今よりも悪くなったりする恐れもあります。

また50代は子どもが高校・大学などお金のかかる時期の場合が多く、生活面での不安を抱かれやすい可能性もあるでしょう。

それでもやりたいことがある、目指したい働き方や暮らし方があるなど、家族が納得いくまで説得できるかどうかがカギになります。

当面困らない程度の貯金をしておく

退職前には、当面困らない程度の貯金をしておきましょう。

2022年のリクルートの調査によると、50代では転職活動を始めてから内定まで平均4.2ヶ月かかります。その間失業保険は出るものの、それまでの給料の50〜80％と満額ではなく、精神的な焦りが転職活動に悪影響をおよぼす可能性もあります。

すぐに転職先が決まらなくても困らないよう、貯金額には余裕を持たせておくのがおすすめです。

（※参考：就業者の転職や価値観等に関する実態調査2022）

辞めにくいときは退職代行を利用する

仕事を辞めにくいときは、退職代行サービスを利用するのも方法の1つです。

退職を決意しても、なかなか言いだせなかったり引き止められたりして辞められないケースは珍しくありません。

退職代行を使うと直接同僚や上司と顔を合わせることなく、書類手続きも郵送で済みます。

しっかり引き継ぎをして円満退職するのが理想ではありますが、トラブルになりそうな場合や急ぎの場合は検討してみましょう。

おすすめの退職代行サービスについては、以下の記事を参照してください。
関連記事：退職代行おすすめランキング13選｜サービス内容を比較【最新版】

仕事を辞めたい50代男性によくある質問

ここでは、仕事を辞めたい50代男性によくある質問への回答をまとめて紹介します。

50代での転職は可能？

不可能ではありませんが、難しいのは事実です。

50代向けの求人数は決して多くないため、年収が下がったり条件が今より悪くなったりすることも覚悟する必要があるでしょう。

関連記事：50代からの転職は無理といわれる5つの理由！必要なスキルや資格を徹底解説

体調不良は仕事を辞めるべきサイン？

体調不良は仕事を辞めるべきサインの1つといえます。

そのほかにも、次のような症状があれば要注意です。

関連記事：仕事を辞めたい時は診断してみよう！仕事が辞め時のサイン12選

50代に多い退職理由は？

令和4年の50代男性の退職理由は次のとおりです。

退職理由	50歳～54歳	55歳～59歳
会社都合による退職	9.9％	11.2％
人間関係がよくなかった	14.9％	4.8％
収入が少なかった	5.0％	12.1％
会社の将来が不安だった	6.6％	5.3％
能力・個性・資格を生かせなかった	6.7％	3.4％

人間関係や収入の少なさ、会社の将来性に不安を感じて辞める人が多いことがわかります。

いくら貯金があったら辞められる？

家族構成にもよりますが、早期退職する場合の老後資金には5,000万円から1億円が必要です。

今後転職を考えている場合でも、すぐに次が決まるとは限りません。普段の生活費およそ1年分をまかなえる分の貯金があると安心でしょう。

仕事辞めたら人生楽しすぎって本当？

実際に50代で仕事を辞めた人の中には、「家族と過ごす時間が増えた」「趣味に打ち込むなど人生にやりがいができた」と感じる方も多くいます。

完全な退職は十分な資金がなければ難しいですが、勤務形態や日数を減らす、残業のない仕事へ転職するなどの工夫で時間を作ることは可能です。

また、仕事を辞めると逆に生きがいをなくして燃え尽き症候群になる例もあります。人生を楽しくできるかは自分次第のため、仕事を辞めるかどうかは慎重に判断するべきでしょう。

関連記事：「仕事辞めたら人生楽しすぎ」は嘘？仕事を辞める判断基準や注意点などを解説！

まとめ

50代は定年を目前に控え、これまで頑張ってきた糸がぷつりと切れたようにやる気を失ってしまう方が少なくありません。病気が見つかったり、家族の介護が必要になったりと環境が変化しやすい時期でもあります。

さらに定年後を見すえて働き方を変えたい、やりたいことに割く時間がほしいと考える人も多く、「仕事を辞めたい」という気持ちにつながりやすいでしょう。

休みを取って気分転換したり、周囲の人に相談したりしても考えが変わらないようなら、転職や退職を検討するのも1つの方法です。自分では言い出しづらい・辞めにくいという場合は退職代行サービスを利用し、スムーズな退職を実現しましょう。