公立保育士を辞めたくても決心できない方は多いです。

公務員の安定したキャリアを手放すことに葛藤をともなうからです。

給料や待遇、将来性といった目先の条件に縛られすぎると、なかなか行動を起こせません。

辞めたいと思ったら気持ちを整理して、あなたに最適な選択肢を選ぶ姿勢が大切です。

本記事では公務員保育士が辞めたくなる理由やその後の選択肢を解説します。辞めて後悔しないためのポイントも紹介するので、公務員から民間企業への転職を検討している方は最後までご覧ください。

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公務員保育士の離職率

以下は、公立保育士と私立保育士の離職率を示した表です。

	勤務者	退職者数	離職率
公立保育士	118,481人	6,941人	5.9%
私立保育士	288,806人	30,775人	10.7%

【参考記事】厚生労働省｜保育士の現状と主な取組/保育士の経験年数、採用・離職の状況

公立保育士の離職率は5.9%と、それほど高くありません。また、私立保育士よりも離職率が低い傾向にあるのがわかります。

公立保育士が辞めたいと考える5つの理由

代表的な理由は以下の5つです。

順番に見ていきましょう。

ベテラン保育士との関わりがうまくいかない

離職率が低い公立保育園では、長く働くベテラン保育士が多い傾向にあります。

ベテラン保育士との関わりがうまくいかず、悩む保育士も少なくありません。

上下関係がもう少し緩い職場への転職を考える方もいるでしょう。

定期的に異動がある

公務員は定期的な異動が付き物です。

新しい環境に飛び込む際には、必ずストレスが生じます。

新しい職場でストレスを感じると、公務員の異動制度に不満を感じやすいでしょう。

上司の異動に合わせて保育方針や職場の雰囲気が変わる

上司の異動も公立保育士にとってはストレス要因のひとつです。

公的サービスに対する保護者の要望や苦情が多い

公立保育園は国の管轄で運営されているため、保護者から公的サービスに対する要望や苦情が寄せられやすいです。

高い期待に応えなければならないプレッシャーやストレスから、辞めたいと思う保育士もいるでしょう。

自分色の保育を実施しにくい

国が運営する公立保育園では、園や保育士の個性を反映させた保育を実践しにくいです。

制約の多い環境に仕事のやりがいを感じられず、私立保育園への転職を考える方もいます。

公立保育士を辞めたくても思いとどまる3つの要因

公立保育士を辞めたくても思いとどまる方も少なくありません。

主な要因は以下の3つです。

ひとつずつ見ていきましょう。

安定性のあるキャリアを手放すのが不安

安定性のあるキャリアを手放す不安から、公立保育士を辞められない方は多くいます。

以下は公立保育士と私立保育士の待遇の違いを比較した表です。公立保育士の安定性の高さが伺えます。

項目	公立保育士	私立保育士
給与	年功序列制度による安定した昇給	勤務年数に応じた緩やかな昇給
賞与	期末手当・勤勉手当で確実に支給	支払い義務がなく、支給回数も園によって異なる
退職金	退職金制度により確実に支給	支払い義務がない

民間企業よりも福利厚生が充実している

公務員の福利厚生は、民間企業よりも充実しています。

恩恵の差を意識して、民間企業への転職をためらう公立保育士も多いはずです。

手厚い福利厚生がなくなるのが、大きな不安材料になる方もいるでしょう。

周囲から「辞めるのはもったいない」といわれる

周囲の声を聞いて公立保育士を辞めるのを踏みとどまる方も多いです。

このような声を聞くと、転職のリスクばかりに目が向きがちです。その結果、挑戦する勇気を失いやすいでしょう。

保育士が公立保育園を辞めたいときの選択肢3つ

主な選択肢は3つあります。

順番に見ていきましょう。

雇用形態を変えて働く

「仕事を辞めたいけど公務員を辞める勇気がない」と考えている方は、雇用形態を変えて働く道を検討してみましょう。

非正規雇用として働けば、正社員ほどの責任感や拘束感が求められないため、辞めたい感情が薄れるかもしれません。

雇用形態を変えてみて、それでも公立保育園での働き方が合わないと感じたら、民間企業への転職を考えるのもひとつの選択肢です。

条件の良い私立保育園に転職する

条件の良い私立保育園に転職する選択肢もあります。

このような印象をもつ方もいるでしょう。

しかし、私立保育園にも公立保育園と引けを取らないほど条件の良い求人はたくさんあります。

求人の質にこだわりながら、あなたに合う求人を探してみてください。

条件のよい求人を探したいなら転職支援サービスの利用がおすすめ！

求人はハローワークや求人サイトでも探せますが、求人の質にこだわりたいなら転職支援サービスを利用しましょう。

転職支援サービスに登録をすれば、キャリアアドバイザーが丁寧にヒアリングをおこない、あなたの希望条件に合った求人を厳選して紹介してくれます。

といった具体的な要望を伝えても大丈夫です！

転職支援サービスは「保育士ワーカー」「保育士人材バンク」「保育のお仕事」の3社にとりあえず登録しておくのがおすすめです。

それぞれの転職サービスについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

関連記事：保育士転職エージェントおすすめ比較19選｜求人数や口コミも紹介！

資格やキャリアを活かせる異業種へ転職する

という方は、異業種への転職も選択肢のひとつです。

新しい業種へ挑戦することで、あなたの新たな可能性や仕事に対する価値観を広げられるでしょう。

興味のある仕事やあなたの強みを活かせる仕事を探してみてください。

関連記事：保育士から一般企業に転職できる？おすすめの職種や注意点も解説

公立保育士を辞めて後悔しないためのポイント

という方は以下3つのポイントを押さえましょう。

悔いのない転職を果たすには準備や対策が必要です。ひとつずつ順番に解説します。

辞めたい気持ちを整理する

公立保育士を辞めたいと思ったら、まずは気持ちの整理からはじめましょう。気持ちが整理されぬまま転職をすると、後悔しやすいです。

以下のような状況は、公立保育士の働き方があなたに合っていないサインです。

紙やノートにあなたの気持ちを書き出したり、信頼できる人に相談したりして、真剣にあなたの気持ちと向き合ってみてください。

辞めるデメリットを知っておく

転職をして後悔しないためには、公立保育士を辞めるデメリットを知っておく必要があります。

理解したうえでの行動なら悔いが残りにくいからです。

公立保育士を辞めるデメリット	詳細
出戻りしづらい	自治体が退職情報を管理しているので退職理由によっては不採用になりやすい
再就職が大変	再就職には試験が必要となるため勉強に時間を要する
今まで積み上げたキャリアがなくなる	年功序列で積み上げてきた経験や実績がなくなる

デメリットを理解したうえで「それでも公立保育士を辞めたい！」という結論に至ったら、転職を視野に入れるのがよいでしょう。

念入りに対策しながら転職活動をおこなう

辞めて後悔しないためには、念入りに対策して転職活動をおこなうのも大切です。

内定率を上げるには以下の対策が必要です。

これらの対策を万全にしておきましょう。

という方は転職エージェントの利用がおすすめです。

キャリアアドバイザーが書類の添削や面接対策を通して、あなたの内定獲得をサポートしてくれます。また、転職先にあなたを推薦してくれるので内定率アップが期待できます。

関連記事：保育士の転職で有利になる自己PRとは？面接・履歴書でアピールできる例文16選
関連記事：【例文あり】保育士の面接でよく聞かれる質問20個！成功の秘訣や服装・マナーも紹介

公立保育園の退職の仕方4ステップ 

公立保育園の退職の仕方を4ステップで解説します。

1ステップずつ見ていきましょう。

関連記事：保育士が転職する方法は？内定までの流れやベストな時期・注意点まで徹底解説！

STEP1：上司に退職の意向を伝える

まずは、上司に退職の意向を伝えます。

伝える時期は、退職希望日の2〜3ヵ月前が最適です。余裕をもって伝えれば、人事が後任を探したり、上司が引き継ぎ業務の整理をしたりする時間を確保できるからです。

また、クラスの子どもや職員に負担を与えないためにも年度途中の退職はなるべく避けるのが望ましいでしょう。

関連記事：保育士は年度途中でも退職できる？退職の伝え方・例文や円満に辞めるコツを解説！

STEP2：「退職届」を提出する

退職の許可が下りたら、上司に「退職届」を提出します。

退職届の提出は法律上の義務はありませんが、社会人としてのマナーとして作成するのが望ましいです。

退職届は、退職日の1〜2ヶ月前に提出するのが一般的です。

会社で退職届のフォーマットが用意されてある可能性もあるので、事前に確認しておきましょう。フォーマットがない場合は、自分で書式を用意して標準的なテンプレートに沿って書けばOKです。

STEP3：退職手続きに必要な書類を提出する

公務員の退職は、民間企業よりも提出書類や手続きが多いです。漏れや遅れがないように、余裕をもって対応しましょう。

自治体や個人の状況によって手続き内容は異なりますが、一般的な提出書類は以下のとおりです。

書類	目的
退職金請求書	退職金を請求するための書類
退職所得の受給に関する申告書	退職金にかかる税金を計算するために必要な書類
資格喪失証明申請書	新たに健康保険や雇用保険に加入する際に提出が必要な書類

そのほか、任意で加入している組合や保険があれば給付金の請求や継続の手続きをしましょう。

STEP4：業務の引き継ぎをおこなう

退職に向けて、業務の引き継ぎをおこないます。

引き継ぎは辞める者が責任をもって取り組むべき業務なので、丁寧に進めていきましょう。

ここで手を抜くと「この人は辞めることしか考えていないんだ…」と見られ、信頼を損ねかねません。

 仕事がつらいと考えている公立保育士によくある質問

最後に仕事がつらいと考える公立保育士から寄せられるよくある質問に回答します。

公立保育士1年目で辞めるのはアリですか？

公立保育士1年目で辞めるのは可能です。

ただし、1年目の早期退職には以下のようなリスクもあります。

辞める際は、これらのリスクを考慮したうえでの決断が大切です。

保育士を辞めて良かったと思う人の声が聞きたいです

キャリアアップステージ編集部では、保育士を辞めた方90名を対象に「保育士を辞めて良かった理由」についてアンケートを実施しました。

回答結果は以下のとおりです。

項目	割合
人間関係のストレスが軽減した	39%
給料が上がった	28%
残業が減った	16%
子どもの命を預かるプレッシャーから解放された	12%
仕事に追われなくなった	5%

以下の記事では、アンケート結果の詳細をまとめています。
詳しい内容が知りたい方はチェックしてみてください。

関連記事：【体験談】保育士を辞めて良かった理由5つ｜退職を後悔しない3つの方法も解説

公立保育士に向いていない人の特徴を教えてください

以下のような特徴がある方は、保育士を続ける中で苦労しやすいです。

ただし、不向きな部分があっても、保育士としての使命感や子どもへの愛情があれば活躍できます。あなたの強みや長所に目を向けて自信をつけていきましょう。

関連記事：保育士に向いていない人の特徴は？対処法や転職先の選び方についても解説

公立保育士を辞めたいときは気持ちを整理してから決断しよう！

公立保育士を辞めて後悔したくない方は、以下のポイントを押さえましょう。

準備や対策をしておけば、公務員のキャリアを悔いなく手放せるはずです。

公務員の安定性や周りの声に引っ張られて、あなたの本音が隠れてしまわないようにしましょう。

じっくりと気持ちを整理したうえで今後の選択肢を検討してみてください。