介護職を辞めたい理由10選!よくある悩みや辞める判断基準・対処法を解説

津島武志
           

津島武志

執筆者
介護福祉士
現役介護職兼ケアマネージャー。さまざまな介護系メディアでWebライターとしても活動し、多くの検索上位記事を執筆。ブログ「介護士の転職コンパス」を運営
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「介護職を辞めたい…」とお悩みの方もいるでしょう。

介護職は心身ともに疲れてしまう場面が多いため、「自分は介護職に向いてない」「辞めるべきかな?」と感じている方がいるのも決して珍しくありません。

本記事では、現役介護福祉士・介護支援専門員の監修のもと、介護職を辞めたい理由のほか、退職の基準などを紹介します。

介護職を辞めたいと思っている方は、ぜひ本記事にて介護職を続けるかどうか決める際の参考にしてください。

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目次

介護職を辞めた理由ランキング

公益財団法人介護労働安定センターが令和5年に実施した「介護労働実態調査」によれば、介護の仕事を辞めた理由は以下のように発表されています。

順位理由
1位職場の人間関係に問題があった(34.3%)
2位法人や施設・事業所の理念や運営・あり方に不満があった(26.3%)
3位他に良い仕事・職場があった(19.9%)
4位収入が少なかった(16.6%)
5位自分の将来の見込みが立たなかった(13.2%)
参考:令和5年度「介護労働実態調査」結果の概要について

また編集部が独自に実施したアンケートによれば、介護職から転職した方の理由は以下の通りでした。

順位理由
1位人間関係に不満があった(24.7%)
2位給与が安かった(22.0%)
3位休みが少ない・残業が多いなど労働環境が悪かった(11.3%)
4位介護士としてスキル・キャリアアップをしたかった(11.0%)
5位仕事内容への不満があった(9.0%)
参考:自社アンケート

介護労働安定センターの実施でも、編集部の独自調査でも、辞めた理由として最も多く上がっていたのが「人間関係への不満」でした。

次いで「給料が安い」といった条件面への不満や、施設のあり方や運営体制への不満など、マイナスな理由が目立ちます。

次の章からは、それぞれの理由についてリアルな口コミも交えながら詳しく深掘りしていきましょう。

【アンケート名】介護士の転職に関する実態調査
【調査日】2024年4月10日
【調査対象】介護士で転職を経験したことがある男女
【調査人数】300人(男性149人/女性151人)
【調査方法】調査方法:アイブリッジ株式会社Freeasyを用いたインターネットリサーチ(調査元:キャリアアップステージ編集部)

介護職を辞めたい理由10選

介護労働安定センターの調査によると、以下のような理由から介護職を辞めた方が多くいます。

なかには資格取得といった前向きな理由もありますが、人間関係や職場への不満など、マイナスな意見が大多数を占めています。

編集部で独自に実施したアンケートから、リアルな体験談も紹介しますのでぜひ参考にしてください。

職場の人間関係に問題があったため

介護職の退職理由でもっとも多いのが、職場の人間関係に関する問題です。

具体的には、以下のような問題が挙げられます。

具体的な職場の人間関係問題
  • 上司からのパワハラ
  • 異性からのセクハラ
  • 同僚によるいじめ行為

そのほか、仕事に対する価値観の不一致をはじめ、生理的に合わないといったケースなども挙げられます。

会社の方針や給与などは満足していても、人間関係に問題があれば介護職を辞めたいと思うのは当然です。

長く安心して働くためにも、良好な人間関係の構築は非常に重要と言えるでしょう。

介護職を辞めた方の体験談

上司からのパワハラ(利用者様の前での叱責や、私自身が考えて答えた事に対して独断であると言われた)があった為に退職しました。(49歳・女性・デイサービスの看護師から介護職員)

職場の理念や運営に不満があったため

職場の理念や運営方針などが自分の考えと異なると、違和感をもったまま働かなければいけないため、介護職を辞めたいと思う方も出てくるでしょう。

介護施設では理念をもとに介護サービスの方向性を決めていきますが、実際には理念とはかけ離れた介護サービスを提供している場合があります。

たとえば「利用者様一人ひとりに寄り添う」という理念を掲げていながら、効率重視で流れ作業のように介護サービスを提供しているケースです。

津島 武志

理念や運営方針などは自分から積極的に理解して、納得した上で働くことが介護職を続けていく上で大切になってきます。

介護職を辞めた方の体験談

前職では訪問介護をしていたが、1人で対処するにもあまりにも訪問先の家庭に問題が多く介護職員に対し無理難題を強いられ辛かった。(60歳・女性・訪問介護職員から施設介護職員)

収入が少なかったため

介護職は世間一般では低収入といわれており、収入が原因で辞める方も多くいます。

国税庁が発表した「​​令和4年分民間給与実態統計調査」によると、介護職の平均年収は以下のとおりです。

職種平均年収
介護士381万円
全産業458万円

介護職の年収は、全産業の458万円よりも77万円低い381万円という結果でした。

決して高いとはいえない介護士の収入だからこそ、条件のいい職場を探すことが大切になってくるでしょう。

介護職を辞めた方の体験談

早番・遅番・夜勤と不規則勤務で介助がハードな為、腰を痛めたり疲れやすい。給料がりに合わず低すぎると思い退職を決意した。(30歳・女性・介護福祉士から同職)

介護職の給料については、以下の記事でも解説しているのであわせてご覧ください。

【関連記事】介護士の給料はいくらもらえる?平均年収や給料アップの方法なども紹介

他のいい職場(仕事)があったため

介護職以外にも、魅力的な仕事は数多くあります。

そのため、年齢が若い方であれば介護職以外の仕事をしてみたいという理由から、退職するケースもあるでしょう。

介護職として職場を変える場合でも、条件のいい求人があれば、転職することで給与アップや役職への昇格といったキャリアアップが可能です。

津島 武志

介護職は一度辞めても再就職が難しい業界ではありません。
他業種への転職は年齢を重ねるごとに難易度が上がるため、他の仕事に興味がある場合は若いうちに挑戦することが大切です。

自分の将来に見込みが立たなかったため

「このまま介護職を続けていて大丈夫なのだろうか?」という不安から、介護職を辞める方もいます。

最近ではAIや介護ロボットの普及により、将来介護職の需要は減っていくのではと不安を抱えている方もいるでしょう。

そのほかにも、介護職は体力を必要とする仕事のため「体力的に不安」「夜勤の負担が大きい」といった理由から介護職を辞めるケースもあります。

介護職から管理職、ケアマネージャーなどの仕事にキャリアチェンジできればいいですが、定年まで現場の介護職をするのは体力的にも精神的にも、かなりの負担がかかるのは間違いありません。

結婚や妊娠などライフイベントのため

以下のようなライフイベントをきっかけに、介護職を離れる方も多くいます。

ライフイベント例
  • 結婚
  • 妊娠
  • 出産
  • 子どもの進学
  • パートナーの異動

とくに女性の場合は、結婚や妊娠をきっかけに、今後のライフプランを考え介護職を辞めるケースがあります。

介護職は労働時間が不規則で、子どもが生まれると家庭との両立が難しくなるのが現状です。

男性の場合でも、結婚し子どもが生まれることで、より条件のいい職場に転職したいと感じるのは当然です。

津島 武志

実際に私もパートナーの出産や子どもの進学などをきっかけに、キャリアプランを考え直して、2回ほど転職した経験があります。

職場が事業不振に陥ったため

職場が事業不振に陥ることで、給料が減ったり賞与の支給がなくなったりする可能性があります。

介護施設では、利用者が減り部屋に空きが出ていると収益が落ちるため、事業不振に陥るかもしれません。

会社の規模が小さい場合は、最悪の場合倒産するケースもあるでしょう。

東京商工リサーチの調査によると、2023年の介護事業所の倒産件数は122件と過去2番目に多い結果でした。このうち「訪問介護事業者」の倒産は、過去最多を大きく上回る67件でした。

【参考記事】2023年「老人福祉・介護事業」の倒産、休廃業・解散調査|東京商工リサーチ

自分に向かない仕事だったため

自分にもできそうと思い介護職を始めたものの、自分には向いていないと感じることもあるでしょう。

介護職は不規則な勤務形態で、夜勤をする場合は長時間労働になり体力的負担は大きいのが現状です。

また認知症の方を対応する場合は、思うようにコミュニケーションが取れず苦労することもあります。人間は一度自分には向いていないと感じると、その思いは日に日に強くなるものです。

入社後すぐに介護職に向いているか判断するのは早すぎますが、数ヶ月続けても向いていないと感じる場合は転職したほうがいいかもしれません。

以下の記事では、介護職に向いている人の特徴や転職成功のコツなどを紹介しているので、今後も介護職を続けようと考えている方はぜひご覧ください。

【関連記事】30代から介護士に転職は可能?転職成功のコツを30代の現役介護士が徹底解説

病気や高齢のため

介護職は、肉体的にも精神的にも負担の大きい仕事です。

そのため、高齢になり病気を抱えたり体力が衰えたりすると、続けるのが難しくなります。

年齢を重ねるごとにケアマネージャーや管理職などへのキャリアチェンジができればいいですが、年齢や体力の衰えなどを考えると、高齢になっても介護職を続けるのは難しいのが現状です。

ただし、なかには40歳や50歳になって介護職を始めて定年まで働く方もいるため、年齢を重ねているから介護職ができないというわけではありません。

介護職を続ける場合は、病気や体力の低下など想定しながら日勤のみや時短勤務など、自分にあった働き方をすることが大切です。

津島 武志

私が働いていた職場でも、60代の方で膝の病気をきっかけに介護職を辞めた方がいて、病気や年齢による退職は避けては通れないと感じました。

新しい資格を取ったため

介護職に関連した資格にはさまざまなものがあり、資格取得をきっかけにキャリアアップしたいという理由から、今の職場を辞めたいと思う方もいるでしょう。

とくに国家資格である介護福祉士の資格を取得すれば、大きな給与アップが期待できます。

厚生労働省の調査によると、無資格と介護福祉士の資格保有者では、以下のように平均給与が異なります。

保有資格平均給与(月給)
資格なし268,680円
介護福祉士331,080円

【参考記事】令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果|厚生労働省

そのほか看護師や社会福祉士などの別資格を取得し、介護職自体を辞めるケースもあるでしょう。

介護職を辞めた体験談

介護福祉士の資格取得のため、実務者研修を実費で取得するために一旦退職した。(61歳・男性)

介護職を辞めたい場合に確認すべきこと

この章では、介護職を辞めたい!と感じた場合に確認しておいたほうがよいことをまとめました。

介護職自体にやりがいがあるか

介護職を辞めたいと感じた時は、介護職自体にやりがいがあるか、モチベーションを感じられているかを確認してみてください。

感情に流されて退職してしまうのはリスクが高いため、働いていて楽しさや達成感を感じられるかどうかを振り返ってみましょう。

振り返ってみて少しもやりがいが持てない、むしろ考えるだけで憂うつになるという場合は、転職を検討した方がよいでしょう。

転職を決めた場合は、逆にどのような仕事であればやりがいが感じられるのか、興味が持てるのかを深掘りしておくのも大切です。

介護職としてキャリアビジョンがはっきりしているか

今後自分が介護職として、どのようなキャリアを歩んでいきたいのかを振り返ることも大切です。

たとえば「介護福祉士としてチームリーダーを経験したのち、認定介護福祉士を目指す」といったケースや、介護に関連した「ケアマネージャー」に転身するなどが挙げられます。

具体的なキャリアビジョンをすらすらと思い描けるのであれば、転職に踏み切るのは早計かもしれません。

反対に、全く将来像が見えてこない場合や、不安ばかりが募るといったケースでは、転職を検討した方がよいでしょう。

介護職を辞めた方がよい人の特徴

介護職を辞めたい理由にはさまざまなものがありますが、以下のような場合は今の職場を退職したほうがいいでしょう。

無理をして働き続けると心身の不調につながり、日常生活に支障をきたす恐れもあるため、このようなケースの場合は早めの退職を視野に入れましょう。

介護職の転職には、以下の記事で紹介している転職エージェントの利用がおすすめです。ぜひ転職する際に活用してください。

【関連記事】介護士におすすめの転職サイト15選を徹底比較!失敗しない選び方も解説

人間関係の悪化が心身の不調につながっている

苦手な同僚や上司がいて人間関係がうまく構築できず、心身の不調につながっている場合は退職したほうがいいでしょう。

とくにパワハラやいじめなどは、精神疾患の発症につながるケースもあるため、早めの退職が重要です。

退職して職場を変えれば人間関係はリセットされるため、人間関係の悪化に悩んでいる方にとって転職は有効な特効薬です。

津島 武志

実際に私も苦手な上司がいて、職場に行くのがつらくなったり胃が痛くなったりしたため、転職を決意しました。

職場の目指す介護に共感できない

職場の理念や目指す介護観に共感できない場合は、退職したほうがいいかもしれません。

たとえば、自分は利用者とゆっくりコミュニケーションを図りたいと思っていても、職場の目指す介護が効率重視で、流れ作業のような介護をしている場合は、職場への不満が膨らむばかりでしょう。

ただ、理想だけを掲げて介護事業所を運営しても、うまくいきません。

事業をやるためには、必ず利益を出さなければいけませんが、利益だけを追い求めるだけではいい介護サービスは提供できないでしょう。

職場の目指す介護にどうしても納得できない場合は、介護観の近い職場への転職を検討しましょう。

長く働いているにもかかわらず給料が上がっていない

勤続年数が長いにもかかわらず、給料がほとんど上がっていない場合は、退職を検討したほうがいいかもしれません。

仕事に給料を求めていないという方であれば、今の職場で働き続けていいでしょう。

しかし、ほとんどの人は生活費を稼ぐために仕事をしているため、給料が上がらない職場で働くメリットがありません。

昇給の仕組みを確認して、今後も給料が上がる見込みがない場合は、転職による給料アップを目指しましょう。

今よりも条件のいい職場が見つかった

介護職を辞めたいという状況で、今よりも条件のいい職場が見つかった場合は、迷わず転職しましょう。

とくに人間関係や給料面での不満があり、辞めたいと思っている方であれば、今よりも条件のいい職場に転職するのはメリットしかありません。

また介護職以外の職種で興味の湧く仕事がある場合、今よりも条件がいい、もしくは条件が同じくらいなのであれば、思い切って環境を変えてみましょう。

津島 武志

新しい環境で必ずしもうまくいくとは限りませんが、介護職を辞めたいという今の気持ちから解放されるキッカッケにはなるでしょう。

あきらかにブラックな環境だと感じる

以下のような、あきらかに今の職場がブラックな環境だと感じる場合は、すぐに退職しましょう。

ブラックな環境の例
  • 時間外労働を強制される
  • 残業代が支給されない
  • パワハラやセクハラを受けている
  • 暴言や虐待など酷い介護をしている
  • 給料の支給が遅れることがある

とくにパワハラやセクハラなどのハラスメント行為は、心身に支障をきたし、その後の人生に大きな傷を残す恐れがあります。

ブラックな環境であると感じながら、無理して働いている方は、すぐにでも退職し自分の身を守ることが大切です。

ブラックであるが故に「辞めさせてくれない」といったケースもあるため、最悪の場合は退職代行サービスの利用も検討しましょう。

関連記事:介護業界はブラックすぎ?見極め方やホワイトな介護施設に転職する方法を紹介

介護職を辞めたいと思ったときの対処法

介護職を辞めたいと思ったときはどうすればいいのでしょうか。

主な対処法は以下のとおりです。

辞めたいと思っても焦らず、まずは現状を整理したり、他の人に相談したりすることが大切です。

それぞれの具体的な内容を見ていきましょう。

【関連記事】介護職から離れたい!転職理由や対処法・転職すべき人の特徴とは?

辞めたい理由を整理する

介護職を辞めたいと考えている方は、一度辞めたい理由を整理してみましょう。

たとえば、紙に書き出して自分の悩みを客観視することで、解決策が見えてくるかもしれません。

辞めたい理由に対する解決策には、以下のようなことが挙げられます。

介護職を辞めたい理由解決策
人間関係がつらい他の介護施設に転職する
給与に不満がある今の職場でキャリアアップする(または転職する)
介護職自体に向いていないと感じる他の業界に転職する
津島 武志

介護職を辞めたい理由を整理することで、介護職を辞める必要がなく今の職場で解決できることが見えてくるかもしれません。

家族や知人などに相談する

介護職を辞めたいと感じた場合は、自分ひとりで抱え込まず、家族や知人に相談するのも効果的です。

相談することで客観的な意見をもらえて、自分にはなかった考えに気づけることもあるでしょう。

また相談して悩みを吐き出すことで心がスッキリして、介護職を辞めたいという思いが軽くなることもあります。

家族や知人に相談したことをきっかけに、介護職を辞めたかったわけではなく、相談できる相手が欲しかったという自分の中にあったニーズに気づけるかもしれません。

今後のキャリアについて考えてみる

自分が介護職に向いているか向いていないを含め、介護職としての今後のキャリアプランを考えるのも、介護職を辞めたいと思ったときの効果的な対処法です。

資格取得や管理職へのステップアップなど、具体的なキャリアプランが想像できるのであれば、介護職を続けてみてもいいでしょう。

逆に具体的なキャリアプランがなく、介護職の将来性に不安を感じている場合は、介護職を辞めるのもひとつの選択肢と言えるでしょう。

思い切って環境を変える

介護職を辞めたいと思っている方は、思い切って今いる環境から抜け出しましょう。

介護職を辞めたいと思っている場合、主に以下の2つの理由が考えられます。

介護職を辞めたいと思う主な理由
  • 今の職場に不満がある
  • 介護職自体に不満がある

今の職場に不満がある場合は、介護職として別の施設に転職することで、不満は解消されるかもしれません。

介護職自体に不満がある場合は、介護業界から離れて、ほかに興味のある仕事に挑戦するのもいいでしょう。

介護職の経験を活かした他業種への転職については、以下の記事が役立ちます。

【関連記事】介護職から他業種へ転職するためには?活かせる経験や成功のコツを解説!

津島 武志

私も職場に不満があり思い切って転職したことで、環境を変えてよかったなと思えました。

休息期間を設けてみる

介護職はシフト制で、土日祝日関係なく出勤するため、まとまった休みを取りにくいのが現状です。

年間休日も一般の会社員に比べると少なく、有休を思いどおりに使えない場合もあります。

ただし介護職を辞めたいという状況であれば、上司に相談して有休を使って長い連休を取ることも検討しましょう。

また、長期間仕事から離れたい場合でも職場に戻ってきたい気持ちがあるのであれば、休職するという選択肢もあります。

仕事から離れてリフレッシュすることで、仕事に対する向き合い方をゆっくり考え、介護職を辞めたい感情が薄まる効果が期待できます。

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介護職に向いていない人の特徴

介護職を辞めたい方は、以下のような「介護職に向いていない人の特徴」が自分に当てはまるか確認してみてください。

自分の性格や体質などをあらためて考えることで、介護職以外にも向いている仕事が見つかるかもしれません。

それぞれの特徴の具体的内容を解説するので、ぜひ参考にしてください。

体力がない

体力がない人は、介護職に向いていません。

なぜなら、介護の仕事はご利用者を車椅子からベッドに移乗したり、排泄や入浴のサポートをしたりするなど、体力が必要とされる仕事だからです。

夜勤をする場合は、16時間といった長時間労働だけでなく、不規則な勤務形態による負担もあるため、体力がないと続きません。

体力がないと感じている人は、日頃から運動習慣を身につけ、介護職を安定的に続けられる身体を作りましょう。

津島 武志

現役で介護職をしている私も、体力を維持するために運動を習慣化しています。

真面目すぎる

介護職は真面目すぎる人には向いていません。

なぜなら対人援助サービスである介護職は、マニュアルどおりに仕事を進めるのが難しく、臨機応変な対応が求められるからです。

「マニュアルどおりに仕事を進めたい」「正解と不正解をはっきりと分けたい」といった真面目すぎる考えを持っている人は、思いどおりにいかない仕事にストレスを感じる可能性があります。

介護は仕事であると割り切り、真剣に考え込みすぎないことが、介護職を続ける上で必要な価値観になってくるでしょう。

排泄に対して抵抗がある

介護職はご利用者の排泄行為をサポートすることがあり、排泄物の処理をしなければいけない場面もあります。

そのため、他人の排泄行為や排泄物に抵抗がある方や、潔癖症の方は介護職に向いていないかもしれません。

介護職を始めたばかりの頃は、他人の排泄に慣れていないため、抵抗があるのは当然です。

ほとんどの人は、1ヶ月もすれば抵抗なく排泄介助を行えます。

時間が経過しても排泄に対する抵抗がなくならない場合は、介護職を続けるのは難しいと言えるでしょう。

津島 武志

仕事として割り切ってしまえば、排泄物に対する抵抗を強く感じることはないでしょう。

コミュニケーションが辛い

介護は対人援助サービスで、さまざまなコミュニケーションを必要とする仕事です。

介護の現場でとくに必要とされるコミュニケーションは、相手の話に耳を傾け、じっくりと思いを聞く「傾聴力」です。

ご利用者の多くは自宅とは異なる環境で生活しており、さまざまなストレスを抱えています。

そのなかで自分の悩みや不安を聞いてもらえることは、ストレス解消につながる貴重な時間です。

相手の話を聞きながら相槌を打ったり、共感したりするようなコミュニケーションが苦痛と感じる方は、介護職を続けるのはしんどいかもしれません。

オンとオフの切り替えができない

介護職は感情労働と言われており、自分の感情をコントロールしながら仕事することが求められます。

たとえば、認知症高齢者の方に何度も同じことを言われた際でも、冷静に話を聞きながら感情的になることなく相手に寄り添う姿勢が大切です。

仕事では感情を抑制しながら過ごしている分、仕事以外では切り替えて、思いを発散できる環境が必要になってきます。

オンとオフの切り替えができないと、ストレスを抱えたまま仕事をしなければいけないため、介護職を続ける上では大きな負担となるでしょう。

介護業界から転職する前に知っておきたい転職事情

最後に介護職の実態について、以下の項目別に紹介します。

介護業界から転職する前に知っておきたい転職事情

あらためて介護職の現状や将来性を知ることで、介護職を辞めたい気持ちに変化が生まれるかもしれません。

詳しい内容を解説するので、ぜひ参考にしてください。

介護職の給与

介護職の給与は、国が行っている「処遇改善」という取り組みにより、少しずつではありますが年々増加傾向にあります。

以下は、過去5年間の介護職の平均給与をまとめたものです。

該当年平均給与(月給)
2018年300,970円
2019年300,120円
2020年315,850円
2021年316,610円
2022年317,540円

【参考記事】介護従事者処遇状況等調査|厚生労働省

今後も介護職の給与が大きく増えることはないでしょう。しかし、徐々に改善していることはたしかです。

現場で経験を積みながら資格取得していけば、より効果的に給与アップを目指せるでしょう。

関連記事:介護士の給料はいくらもらえる?平均年収や給料アップの方法なども紹介

介護職の離職率

介護職は離職率が高いように思われますが、近年は改善傾向にあり、全産業の離職率と比べても大きな差は無くなっています。

以下は、過去10年間の介護職と全産業の離職率の推移です。

該当年介護職の離職率全産業の離職率
2013年16.6%15.6%
2014年16.5%15.5%
2015年16.5%15.0%
2016年16.7%15.0%
2017年16.2%14.9%
2018年15.4%14.6%
2019年15.4%15.6%
2020年14.9%14.2%
2021年14.3%13.9%
2022年14.3%15.0%

【参考記事】介護労働実態調査|介護労働安定センター

【参考記事】雇用動向調査結果|厚生労働省

かつては介護職の離職率は全産業の平均を上回っていましたが、現在は逆転しています。

介護職の需要が高まる中で、待遇改善をはじめとした企業努力もあり、離職率低下につながっています。

介護職の将来性

最後に、介護職の将来性について触れていきます。

介護職は以下のような理由から、将来性のある仕事と言えるでしょう。

介護職の将来性
  • 給与は徐々に上がっている
  • 需要は今後も増え続ける
  • 資格取得により確実にキャリアアップできる
  • 現場の介護職から管理職にステップアップできる
  • AIに仕事を奪われる可能性は低い

介護職は大きく稼ぐことはできません。

しかし、安定した給料を継続的に稼ぐことは可能です。

需要がさらに増えていくため、日本全国さまざまな場所で働けます。

資格を取得しながら現場経験を積んでいけば、介護職から管理者のようなマネジメント職へのキャリアップが可能です。

対人援助サービスで、人間にしかできない仕事が多いため、AIに仕事を奪われるリスクも少ないでしょう。

津島 武志

長く安定的に働き続けたい方は、将来性のある介護職として働くのがおすすめです。

介護職を辞めたい人からよくある質問

最後に、介護職を辞めたい人から寄せられた質問と回答を紹介します。

介護職を辞めるタイミングとして適切なのはいつですか?

介護職を辞める適切なタイミングは、転職活動を始めて内定が出てからです。

介護職は年中求人が出ていますが、年度末やボーナスが支給される7月末・12月末に退職者が増える傾向にあります。

退職者が多い時期に辞めると比較的スムーズですが、心身ともにストレスを感じている場合は時期にこだわる必要はありません。

ただし転職先を決めずに退職してしまうと、ブランク(空白期間)ができてしまうため、特別な事情がない限りは内定後の退職をおすすめします。

介護職の転職に有利な資格はありますか?

介護職に転職する場合とそうでない場合によって、有利になる資格が変わります。

介護職に転職する場合
  • 無資格→介護職員初任者研修・介護福祉士実務者研修
  • 初任者・実務者→介護福祉士
  • 介護福祉士→ケアマネジャー(介護支援専門員)・認定介護福祉士
介護職から医療職に転職する場合
  • 生活相談員→精神保健福祉士
  • 看護職→正看護師・准看護師
  • 機能訓練指導員→理学療法士・作業療法士・言語聴覚士など
  • 調理師→調理師・栄養士・管理栄養士
  • 事務員→介護事務
介護職から全くの異業種に転職する場合
  • 営業→ファイナンシャル・プランニング技能士(FP)・宅地建物取引士(宅建)
  • ITエンジニア→基本情報技術者試験・応用情報技術者試験
  • 事務→MOS・秘書技能検定・日商簿記

自身がどのようなキャリアパスを描きたいのかをもとに、適宜資格の取得を検討しましょう。

関連記事:介護職から他業種へ転職するためには?活かせる経験や成功のコツを解説!

介護職を辞めるメリット・デメリットはありますか?

介護職を辞めるメリットとしては、以下のものが挙げられます。

メリット
  • 年収が上がる可能性が高い
  • 夜勤がない職場に転職すれば負担が減る
  • 介護職を辞めても戻りやすいため、異業種でも挑戦しやすい

一方でデメリットは以下の通りです。

デメリット
  • 待遇改善を受けられない
  • 全くの異業種の場合は資格を活かせなくなる
  • 年齢によっては転職先が限られる

総じて介護職は人手が足りないため、一度離職したとしても資格・経験があれば戻りやすいのがメリットといえます。

ただし他業界では年齢で応募先が限られる、取得した資格が活かせなくなるといったデメリットもありますので、よく検討しましょう。

最後に|介護職を辞めたい人はまず職場を変えるのがおすすめ

介護職を辞めたいと思っても、いきなり別の職種に転職するのは不安でしょう。

介護職を辞めたい理由が、介護の仕事内容ではなく職場環境に関係している場合は、まず転職してみるといいでしょう。

今の職場では介護職が楽しくないかもしれませんが、働く環境を変えることで、介護職を辞めたいという気持ちが解消される可能性があります。

介護業界から同業種へ、または異業種への転職を考えている方は、以下の記事も参考にしてください。

関連記事:介護職への転職で後悔しないために大切なこと5選|おすすめの転職方法も紹介

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