職業安定業務統計によれば、34歳以下の求人数が全体の44％を占める結果となっており、40代以上の転職は厳しいという現実があります。

しかし40代といえばキャリアの節目であり、やり直しがきく最後のチャンスといっても過言ではありません。

そんなとき頼りになるのが資格取得です。

この記事では、40代から人生をやり直したい、転職で役立つ資格を知りたい、という方に向けて解説していますので参考にしてください。

参考記事：職業安定業務統計「関東労働市場圏有効求人・有効求職　年齢別バランスシート（一般常用）」

関連記事：40代向け転職エージェントおすすめランキング！全11社の人気サイトを徹底比較

40代からのキャリアチェンジ・キャリアアップは資格取得がおすすめ

40代以降の転職では人間力やマネジメント力といった定性的なモノが比較されがちです。その中で、少しでも有利に転職をすすめられる、目に見える材料としては資格が有効となるでしょう。

40代以上の転職で資格を取るメリットについて解説していきます。

関連記事：40代でできる仕事がないは嘘！おすすめ職種や資格・スキルを解説

 実力の証明になる

40代の転職は実績と経験が問われる傾向にあるため、一定の専門性や経験が必要な資格を取得すればその証明になるでしょう。

仮に未経験分野への転職だとしても、資格・試験合格の有無により評価が大きく分かれます。実務経験がなかったとしても、試験合格の実績が能力や職務への姿勢で高評価を受けられるからです。

今までとは違う分野で、なおかつ資格が役立つような業種業界へのキャリアチェンジなら最初に資格試験合格を目指すとよいでしょう。

参考記事：各士業における登録時の実務経験要求有無、及び登録後の義務研修の有無について

キャリアアップの道が開ける

もっと上を目指したいという人にとって、資格取得は多くのメリットがあります。

資格の取得は転職時のキャリアアップだけでなく、現在勤めている会社での昇進でも役立つ可能性があります。

たとえば会社によって昇進要件に資格の取得がある場合、必ずしも転職する必要はありません。万が一転職したいと思い直した場合でも、資格は強みになるので取っておいて損はありません。

とくに資格の難易度が高い士業の業界は、未経験でも引く手あまたです。また施工管理技士のような業界も人手不足なので、資格があれば活躍できるでしょう。

専門性のある仕事ができる

専門的な仕事の中には業務独占資格という、資格を持っていなければ携われない高度な職務があります。こうした資格を取得することで、より専門性のある仕事にチャレンジできるようになります。

業務独占資格には公認会計士といった難関資格から、危険物取扱者のような合格率が7割に迫るものまでさまざまです。自身のこれまでの経験や今後やっていきたいことなどを踏まえ、業務独占資格取得を目指すとよいでしょう。

仮に未経験だったとしても、資格を持ってさえいればその能力はある程度保証されます。採用側としても安心材料が増えるので、転職の成功率も高まるでしょう。

参考記事：試験実施状況｜消防試験研究センター

自信がつく

資格取得をするメリットは、対外的なアピールだけではありません。

40代ともなれば仕事や家庭・趣味などやることは山積みです。その中で勉強時間を確保し、定められた試験日に備えなければなりません。

そのような環境でも、目標に向かって努力が継続できること・試験に合格した達成感といった成功体験は自己肯定感をあげてくれるので、自信をもって転職活動ができるようになります。

40代の転職に活かせる資格の選び方

40代の転職は、採用側からすると新卒・若手に比べ働ける期間が短いという不安材料があります。

だからこそ、時間をこれ以上使わないために、自分に合ったもの・無駄にならない資格取得を目指しましょう。

需要がある資格を選ぶ

40代から目指すべき資格の選び方として、最初のポイントは「需要があること」です。

業務内容によって向き不向きがあるのは当然ですが、稼げる資格かどうかが一番大切です。

需要がある資格にはいくつか条件があります。

たとえば、業務独占資格はなければならない資格ですので、今後も一定の需要が見込めます。また、特定の条件で雇う必要がある必置資格も需要が絶えることはありません。昇進要件で用いられる資格も需要がある資格の一つです。

介護福祉士・ケアマネジャーなどは未経験からでも転職に有利なので、需要がある資格といえるでしょう。

自分に合った資格かチェックする

需要のある資格を洗い出したら、次は自分に合うかどうかを検討しましょう。

40代以上の場合、転職後のライフプランも踏まえた戦略が必要です。

一生続けることが困難な適性のない仕事を選んでしまうと、さらに厳しい条件で再度転職せざるを得なくなる可能性があります。また興味の持てない資格の勉強はなかなか捗らず、時間だけが過ぎていく可能性もあるかもしれません。

自己分析と業界分析をしっかりおこない、自身の適正にあった資格取得を目指しましょう。1人で分析するのが難しい場合、転職エージェントに相談するのもおすすめです。

必要な勉強時間を調べる

取得したい資格のリストアップができたら、おおよそ必要とされる勉強時間を調べましょう。

資格の難易度によって勉強・転職活動のスケジュールは大きく変わります。

さらなるキャリアアップを希望するなら、資格取得を優先して転職を先に延ばす決断も必要です。逆に、すぐ転職したい場合、半年程度で合格できるような資格を選ぶのも一つの手となるでしょう。

難易度が低く未経験でも転職に有利になる資格はあります。今すぐ転職したいという場合はそういった分野を検討するのも選択肢の一つとなるでしょう。

【難易度別】40代の転職で役立つ資格15選

40代の転職で役に立つ資格を厳選してご紹介していきます。いずれも独占業務があったり、必置義務があったりする資格ばかりです。

「独立開業を目指したい」「未経験でもキャリアチェンジしたい」という人に向けて、資格の難易度や必要な勉強時間・仕事内容を解説していきます。

独立開業も目指せるおすすめの資格

まずは40代から独立開業を目指したい方におすすめの資格を6つ厳選してご紹介していきます。

行政書士｜難易度：★☆☆☆☆

行政書士は独占業務として、官公庁へ提出する書類を作成したり代理申請したりすることが可能です。遺言・相続などの対応から外国人雇用や会社設立代行など、その業務内容は多岐にわたります。

士業の需要はAIの台頭により減少するといわれています。しかし、官公庁への書類提出がなくならない限り、行政書士の仕事がなくなることはありません。

また、近年は外国人技能実習制度が充実しており、外国人雇用・帰化申請といった仕事も増加していくので、需要がなくなることはないでしょう。

参考記事
最近１０年間における行政書士試験結果の推移｜一般財団法人行政書士試験研究センター
MSーJapan

社会保険労務士｜難易度★★★★☆

社会保険労務士はその名の通り社会保険と労務に関する専門家です。上位資格として特定社会保険労務士という資格も存在します。

具体的な業務内容は、医療保険・年金・企業の人事労務などについて、書類等の作成・申請代行・コンサルティングをおこなうなどがあります。

特定社会保険労務士になれれば、労働紛争解決手続代理業務までおこなうことが可能です。

現代社会において人事労務の問題はますます複雑化し、多様化していくので今後も需要は絶えないでしょう。

参考記事
社会保険労務士試験オフィシャルサイト
第52回社会保険労務士試験の合格者発表｜厚労省
社会保険労務士の仕事の年収・時給・給料（求人統計データ）｜求人ボックス

土地家屋調査士｜難易度★★★★☆

土地家屋調査士は不動産の登記に必要な土地・家屋の測量調査をおこなう専門家です。具体的には、実地および登記所等の地図資料に基づいた測量、登記申請とその代行などがあげられます。

独占業務として特筆すべき点は、「筆界特定」における紛争解決業務です。土地と土地の境界線があいまいな場合の、権利者同士の紛争を解決することができます。

境界の立ち合いはAIでは代行できない仕事で、そのほかにも人の手が必要な仕事はあるので、土地家屋調査士は今後も需要のある資格といえるでしょう。

参考記事
令和４年度土地家屋調査士試験の最終結果について｜法務省
土地家屋調査士の仕事の年収・時給・給料（求人統計データ）｜求人ボックス
土地家屋調査士を目指す方へ｜日本土地家屋調査会連合会

測量士｜難易度★★★★☆

測量士とは、建物・ダム・トンネル・橋などをつくるときに、その位置・面積・距離を測量し、建築計画や開発計画に反映させることが主な業務です。

この測量は測量士の独占業務であり、測量現場では1人の測量士を置く必置義務があります。消費者の注文住宅から都市開発のような公共事業まで、すべての建築・開発計画は測量士が関わっています。

測量士の仕事も多少AIによって仕事の効率化は図れるものの、人の仕事は完全にはなくならないので資格取得を目指す価値は十分にあるでしょう。

参考記事
令和5年測量士・測量士補試験の合格者を発表｜国土地理院
測量の仕事の年収・時給・給料（求人統計データ）｜求人ボックス

マンション管理士｜難易度★★★★☆

マンション管理士はマンション管理に関するコンサルティングを主な業務としています。2022年4月以降、マンション適正化計画制度（管理契約認定制度）が適用され、独占業務も生まれました。

その内容は、マンション適正化計画制度（管理計画認定制度）の認定申請の審査員です。この制度は国土交通省が定める規格を満たしたマンションであることを認めるもので、物件の資産価値に直結します。

近年、築40年以上のマンションが増加傾向にあり、その修繕などの際にマンション管理士の活躍が見込まれているようです。

参考記事
マンション管理の仕事の年収・時給・給料（求人統計データ）｜求人ボックス
令和５年度マンション管理士試験の結果について｜公益財団法人マンション管理センター
管理計画認定制度のあり方について｜国土交通省
マンションを取り巻く現状について｜国土交通省

宅地建物取引士｜難易度★★★☆☆

宅地建物取引士は不動産の取引に関する資格で、とくに「重要事項の説明」や「35条書面（重要事項書面）への記名」「37条書面への記名」などの独占業務があります。

不動産売買・賃貸仲介では従業員が5名以上の際は1人必要となる必置資格のため、転職に有利な資格となります。会社によっては昇進要件となっていたり、資格手当がつくなど、収入にダイレクトにつながる資格です。

また、銀行などでは不動産担保ローン・住宅ローンなどを扱う際に宅建の知識が役立つなど、活躍できるステージが幅広いのが特徴といえるでしょう。

参考記事
日本での宅地建物取引士の平均給与｜indeed
宅建試験の概要｜不動産適正取引推進機構
令和 5 年度宅地建物取引士資格試験結果の概要｜不動産適正取引推進機構

持っていると職に困らないおすすめの資格

人出不足の業界で活躍できる、「食べていくのに困らない」資格を2つ厳選しました。

それぞれ解説していきます。

施工管理士｜難易度★★☆☆☆

施工管理士は国土交通省が定める国家資格で、建築現場の工程・品質・安全の管理監督をおこなうための資格です。

1級・2級があり、それぞれで対応できる業務が異なるのが特徴です。

主任技術者・監理技術者がそれぞれ独占業務をもっており、それらになるための要件として施工管理士が定められています。

施工管理士の平均年齢は45.5歳と、40代前半は若手に分類されます。人手不足なので仕事には困らない仕事といえるでしょう。

参考記事
施工管理の仕事の年収・時給・給料（求人統計データ）｜求人ボックス
「施工技術検定規則及び建設業法施行規則の一部を改正する省令」等の公布｜国土交通省
令和４年度 建築・電気工事施工管理技術検定（１級・２級） 「第一次検定(2級後期)」及び「第二次検定」合格者の発表｜国土交通省
施工管理は何歳で転職してる？平均年齢を調査【2022年版】｜セコカンプラス

衛生管理者｜難易度★★☆☆☆

衛生管理者とは労働者の健康障害防止のための国家資格です。50人以上の労働者がいる事業場では事業場専属の有資格者に必要となる必置資格となります。

職場によって衛生工学衛生管理者や労働衛生コンサルタントなどいくつかの種類があります。

受験資格には学歴により1年以上の実務経験が必要となりますので、自身の経歴と照らし合わせてマッチするものを選びましょう。

参考記事
労働安全衛生法・作業環境測定法に基づく試験｜安全衛生技術試験協会
日本での安全衛生管理者の平均給与｜indeed
受験資格｜安全衛生技術試験協会

持っていると転職が有利になるおすすめの資格

必置義務があるなど、持っているだけで転職が有利になる資格を7つ厳選しました。

保育士｜難易度★★☆☆☆

保育士は乳幼児を含む未就学児の預かりや教育に関する資格です。

独占資格ではありませんが、一定の児童福祉施設では必置資格の一つであり、保育士と名乗るのに必要な名称独占資格でもあります。

現代は少子高齢化が進み子供の数は減少傾向にありますが、それと同時に共働き世帯も増加しており、保育士には一定の需要があると考えられるでしょう。

参考記事
保育士試験の実施状況（令和４年度）｜こども家庭庁
保育士の仕事の年収・時給・給料（求人統計データ）｜求人ボックス
受験資格詳細｜全国保育士養成協議会
保育士資格を有する者の配置を求めている児童福祉施設等｜文部科学省

社会福祉士｜難易度★★☆☆☆

社会福祉士とはソーシャルワーク（社会福祉援助）の相談・援助をおこなう国家資格の一つです。独占業務はありませんが、地域包括支援センターなどでは必置資格として一定の需要があります。

介護業務のほか、行政・医療機関との連携をおこない、相談者一人ひとりに合ったサービスを検討するコンサルティング的な仕事もおこないます。

高齢者が増え、今後特養施設などの需要が増えてくることが予想される今、最も求められている人材のうちの一つといえるでしょう。

参考記事
第36回社会福祉士国家試験合格発表｜厚労省
社会福祉士の仕事の年収・時給・給料（求人統計データ）｜求人ボックス
社会福祉士国家試験｜社会福祉振興・試験センター

中小企業診断士｜難易度★★★☆☆

中小企業診断士は、中小企業の経営に関するコンサルティング・経営改善計画書作成などを主な仕事とする資格です。

独占業務はありませんが、法律・会計など高度な専門知識をもつと唯一国が認めた経営コンサルタントです。専門家的な業務ができるわけではありませんが、ビジネスパーソンとしてさらに1段階上に行くための資格といえるでしょう。

とくに40代の転職ではマネジメント層としての活躍が期待されます。このとき、より高い視座で経営方針を理解し、ときに提案が求められるときに、中小企業診断士の知見が役に立つでしょう。

参考記事
中小企業診断士試験　申込者数・合格率等の推移｜中小企業診断協会
6. 平均年収、報酬、顧問契約について｜中小企業診断協会

賃貸不動産経営管理士｜難易度★★☆☆☆

賃貸不動産経営管理士は賃貸住宅の管理に関しての専門家です。独占業務はありませんが、賃貸住宅管理で必ずいなければならない「業務管理者」の要件の一つとなります。

なお、業務管理者は宅建でもなれます。宅建との大きな違いは、宅建が入居前の重説等がメインなのに対し、賃貸不動産経営管理士は入居後のトラブル対応や設備の維持管理がメインとなっている点です。

賃貸管理は空室をなくすことが重要であることから、今後の不動産業界においてどんどん重要な仕事となってくる可能性が高いでしょう。

参考記事
令和４年度　賃貸不動産経営管理士試験の概要｜賃貸不動産経営管理士協議会
賃貸不動産経営管理士の転職・求人情報｜求人ボックス

ファイナンシャルプランナー(FP) ｜難易度★★★☆☆

FPは国家資格であるFP技能士と民間資格であるCFP/AFPがあります。一般的には民間資格であるCFPが最上位資格といわれており、その合格率は6%台と難関資格であることがわかります。

仕事内容としては主に個人を対象として年金・保険・投資や税金といった資産運用のアドバイスをおこない、金融機関・証券会社などで活躍できるでしょう。

また、上位資格になると相続・事業継承なども範囲に含まれてくるため、コンサル会社や不動産業界でも役に立ちます。

参考記事
CFP - 東京都の転職・求人情報｜求人ボックス
FPの資格と検定の種類｜日本FP協会
2021年度第1回CFP®資格審査試験結果｜日本FP協会

登録販売者｜難易度★★☆☆☆

登録販売者とは、薬剤師に代わり一般医薬品の販売が可能な店舗スタッフの資格です。薬局・ドラッグストア・コンビニなど、さまざまな小売業の店舗で活躍できます。

なお、登録販売者は文部科学省の資料では国家資格として取り扱われていませんでした。しかし、改正薬事法により誕生した資格のため国家資格として扱われることもあります。

販売スタッフとしての資格としては信頼性が高く、薬品を扱う店舗では必置資格の一つとなっているため、転職の際にも有利に働くでしょう。

参考記事
令和5年度登録販売者試験について｜東京都保健医療局
登録販売者の仕事の年収・時給・給料（求人統計データ）｜求人ボックス
国家資格一覧｜文部科学省

介護福祉士｜難易度★☆☆☆☆

介護福祉士とは介護のスペシャリストとしてさまざまなサービスをおこなう国家資格です。

下位資格である実務者研修・初任者研修修了者が必置となっており、それらを束ねる現場マネージャーのような役割もあるようです。

介護福祉士になるには専門学校を卒業するなど、いくつかのルートが存在します。未経験の場合はまず3年間の実務経験が必要です。

少子高齢化が進む日本において介護産業の需要は日に日に増しています。介護施設は、介護福祉士の人数に応じて補助金が出るなど、事業者としてもぜひ欲しい人材といえるでしょう。

参考記事
【結果速報】令和4年度第35回介護福祉士国家試験、合格発表！気になる合格点と合格率を「ケアきょう」と考える｜PRTIMES
介護福祉士の仕事の年収・時給・給料（求人統計データ）｜求人ボックス
受験資格（資格取得ルート図）｜社会福祉振興・試験センター

40代からのキャリアアップにおすすめの転職エージェント

40代からの転職は転職エージェントの利用をおすすめします。キャリアアドバイザーに相談すれば、保有資格を活かせる転職先が見つかったり、転職に必要な資格が分かったりするでしょう。

リクルートエージェント

ビズリーチ

マイナビエージェント

関連記事：40代の転職相談におすすめの相談先を紹介！転職活動に不安がある方にも

40代からのキャリアパスはエージェントに相談しよう

資格の難易度はさまざまですが、高難度の資格ほど給与も高く転職でも有利に働きます。

しかし、あくまで資格取得は通過点にすぎません。

資格取得の道は険しいですが、その先の転職も一人では険しい道です。

適正や需要など、1人で調べきるのに限界を感じた人は、転職エージェントに相談しましょう。