50代教員で今の職場にいようか、それとも転職をするか悩んでいるのではないでしょうか。

そこで今回は、50代で教員からの転職を検討中の方に向けて、よくある辞めたい理由や転職の実情を解説します。

おすすめの職種や転職を成功させるコツなども合わせて解説するので、教員から転職したいと考えている方はぜひ本記事の内容を参考にしてください。

50代の教員が辞めたい理由3選

50代の教員が辞めたい理由は、おもに以下の3つです。

50代で教員を辞めて転職するなら、なぜ教員を辞めたいのか、どのような理由で転職したいのかを明確にしておくことが重要です。次の章の内容を、自分に近い考えを見つける参考にしてみてください。

仕事が激務であり体力の限界を感じる

授業のあいだ立ちっぱなしだったり、休日も部活動の顧問としての活動で休めなかったりと、教員の仕事は激務です。

夏休みや冬休みなどの長期休暇中も、学力テスト・運動会・文化祭など、常にさまざまな行事の準備があります。

パワフルな子供たちと接するのにも、相当なエネルギーが必要です。

体力を回復させる機能も衰えてくる50代の体では、体力の限界を感じる方も多いでしょう。

新しい仕事を覚えるのが難しい

GIGAスクール構想により、学校でも急速にデジタル化が進んでいます。

そのため、ベテランの教員も新たな仕事を覚えていかなければなりません。しかし、多くの人は50代になると、新しいことを覚えるのが難しくなります。

また、デジタルネイティブ世代の教員も増えているため、肩身が狭い思いをするシーンもあるでしょう。

覚えたくても覚えられないストレスや、今までと違うやり方に違和感を感じる方も少なくないはずです。

学校内での責任が重すぎる

50代になると役職が付く場合が多いため、年齢を重ねるほど学校内での責任が重くなります。

校長や教頭でなくても、休みがままならないほど多くの業務をこなさなければならないこともあります。

また、ベテラン教員は、保護者からの信頼も絶大です。

学校での指導だけでなく日常生活まで完璧を求められ、プレッシャーを感じることも多いでしょう。

50代の転職は難しいと言われる理由3選

50代の転職は難しいと言われる理由は、おもに以下の3つです。

50代での転職を成功させるためには、「50代での転職が難しいと言われる理由」をしっかりと把握しておくことが必要です。次の章で、しっかりチェックしておきましょう。

求人数が少ない

50代の転職が難しい理由のひとつは、応募可能な求人数が少ないことです。

数年で定年を迎える世代は活躍できる期間が短いと考えられてしまうため、どうしても20〜30代の若者が優遇されます。

以下のグラフは、厚生労働省による令和4年度の「年齢階級別転職入職率」の調査結果です。若い世代と比べ、50代の転職率が低いことがわかります。

しかし、40代と50代の転職率に大きな差はなく、転職に成功している人もいます。データからもわかるとおり、50代での転職は十分可能です。

求人数は少ないですが、決して諦める必要はありません。

転職で年収を上げることが厳しい

50代の教員の給与は、一般企業より高いことがほとんどです。そのため、転職で年収をアップさせるのは厳しいといえるでしょう。

資産を増やしたいのであれば、転職ではなく、以下のような方法を検討するのも手段のひとつです。

未経験の異業種転職は難しい

給与が低かったり人気のない職種だったりしない限り、50代で未経験の異業種に転職するのは難しいのが現実です。

これは教員に限ったことではなく、50代は体力や記憶力などが衰えていると判断されてしまうリスクがあるからです。

もし、希望の業種に関する深い知識を持っているなど特別なスキルがあれば、転職エージェントに相談してみるのもおすすめです。

しかし、不可能に近いことだと理解したうえで、チャレンジする必要があるでしょう。

教員が50代で転職を成功させるコツ

教員が50代で転職を成功させるコツは、おもに以下の3つです。

難しいと言われる50代での転職を成功させるためには、しっかりコツを掴んでおこなう必要があります。詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

教育業界の転職を狙う

50代の教員が転職する場合、教育業界を狙うのが基本です。

長年にわたり生徒を指導してきた知識や経験が、大きなアピールポイントになります。とくにおすすめなのが、以下のような業界です。

詳しい内容は、「教員から目指せるおすすめの転職先や職種」の章で解説しています。ぜひチェックしてみてください。

給与面で妥協すること

50代の教員は一般企業より給与が高いことが多く、年収を上げる転職が厳しいのが現実です。そのため、50代での転職は、給与面で妥協することも重要と言えます。

給与面を重視せず、働き方を見直すためと考えるのもひとつです。

たとえ年収が下がっても、心と体にゆとりを持って働ける環境が見つかるかもしれません。

転職エージェントに相談する

転職エージェントに相談するのも転職を成功させる方法のひとつです。

求人の紹介から面接のアドバイスまで、プロのキャリアアドバイザーによる手厚いサポートが受けられます。自力で調べるのが難しい自分の市場価値や強みが知れるのもよい点です。

また、一般公開されていない非公開の求人情報をキャッチできるのも、転職エージェントを利用するメリットです。

ほとんどのサービスを無料で利用できるため、一度は利用してみるべきでしょう。

次の章では、50代の教員におすすめの転職エージェントをご紹介していきます。それぞれのサービスの特徴を詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

50代の教員におすすめの転職エージェント

50代の教員におすすめの転職エージェントは、以下の3つです。

転職エージェントはサービスごとに得意な業界や年齢層、保有している求人数などが異なります。次の章では、それぞれの特徴を詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

教員から目指せるおすすめの転職先や職種

教員から目指せるおすすめの転職先や職種は、おもに以下の5つです。

どのような転職先や職種を選ぶかは、転職に求めるものにより異なります。次の章では、それぞれの特徴を詳しく解説していきます。自分に合った転職先や職種を見極める参考にしてみてください。

教育関連の企業

通信教育教材の開発や教育関連の出版を行う企業は、教員におすすめの転職先のひとつです。

学校教育関連の教材開発をおこなう企業は、教員経験者を募集している場合も多く、50代の教員がもつ知識や経験と相性がよいといえます。

さらに安定性や給与が高い傾向にあることもメリットです。

ただし、パソコンを使った業務が想定されるため、苦手な方は注意しましょう。

塾講師や家庭教師

50代の教員が転職しやすい職種として、塾講師や家庭教師が挙げられます。

ベテラン教員としての知識や経験が大きなアピールポイントとなるほか、企業側にもメリットがあるため、採用される確率も高いでしょう。

また、家庭教師はとくに、実力がものをいう職業です。人気の家庭教師になれば、5,000円以上の高時給を狙うことも可能なため、高収入を目指す方にも適しています。

一方で、塾講師や家庭教師は、生徒たちが下校した夕方以降の勤務が基本です。帰宅時間が遅くなる可能性が高いのがデメリットと言えます。そのため、夕方〜夜にかけての時間帯の仕事を避けたい方は注意が必要です。

なお、在宅勤務を希望するなら、オンライン塾やオンライン家庭教師などの求人を探してみるのもおすすめです。

さまざまな働き方をじっくり比較してみましょう。

営業職

営業職は未経験歓迎の企業も多く、狙いやすい転職先のひとつです。

顧客のニーズを引き出し提案する能力が必要なため、コミュニケーションスキルに自信がある方に適しています。

知識や経験が活かしやすい学校教材を扱う教育関連企業の営業職なら、さらにおすすめです。頑張れば頑張るほど収入に反映される場合も多いため、高収入を目指したい方にもぴったりの職種でしょう。

事務職

パソコンスキルが高いなら、事務職もおすすめです。

職場により異なりますが、基本的には休日出勤や顧客対応などが発生しにくい職種と言えます。教員としての知識や経験を活かすのは難しいかもしれませんが、安定した環境で働きたい方にはぴったりです。

一方で、比較的給与が低い傾向がある職種のため、高収入を目指す方には不向きです。

給与面を重視する方は、家庭教師や営業職などを検討するのがおすすめです。

介護職

介護職は、未経験からでも始められる職種です。

勤務する時間や曜日などの融通が利きやすく、自分のペースに合った働き方ができるのもメリットです。

また、介護職は50〜60代の働き手が多いことも特徴です。以下は、厚生労働省が発表している「介護労働の現状」の資料です。こちらのデータからも、50〜60代の職員が多いことがわかります。

介護職は年齢・性別を問わない募集が多いため、50代の教員の転職先に適しています。長く働き続けたいと考えている方にもおすすめです。

一方で、給与が比較的低い傾向にあることはデメリットです。しかし、働きながら資格を取得することで、給与をアップさせることも可能です。

親の介護など、将来役立つスキルが身につくこともメリットでしょう。

50代の教員の転職でよくある質問

50代の教員の転職でよくある質問は、おもに以下の2つです。

詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

早期退職した場合にもらえる退職金は？

公立教員の退職金は、一般企業に比べ高額です。

定年退職で受給する場合、基本的に2,000万円を越えます。ただし、自治体や学校の種類などにより金額が異なるため注意が必要です。

また、早期退職の場合は大きく減額されます。

参照：総務省「給与・定員等の調査結果等」

退職金の額は、勤続年数・退職理由・退職時の月給などにより決定されます。「退職時の月給×支給率＋調整額」の式で計算するのが基本です。支給率は、退職理由により大きく異なります。以下のデータからもわかるとおり、自己都合での退職は支給率が低くなるため注意が必要です。

なお、調整額は在職中の等級により決定します。勤続4年以下の退職者と勤続10年以上24年以下の自己都合退職者は調整額が半額になるなど、さまざまな条件があることにも留意しておきましょう。

50代・60代教員の平均年収は？

厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、50代・60代教員の平均年収は以下のとおりです。

経験が長くなると主幹教諭や教頭、校長などの役職に就く割合が増え、年収が高くなる傾向があります。

一方で、60代になると非常勤勤務なども増えるため、平均年収は下がります。

職種	50代平均年収	60代平均年収
小・中学校教員	約788〜1,044万円	約573〜1,048万円
高等学校教員	約741〜1,043万円	約575〜1,136万円

まとめ

本記事では、50代の教員が転職を成功させるコツや、おすすめの転職先について詳しく解説しました。

50代で教員を続けることに、体力の限界や責任の重たさを感じる人は少なくありません。しかし、50代での転職には、求人数が少ない・未経験の業種への転職が難しいなどの障壁があります。

50代の教員が転職を成功させるには、教育業界での転職を狙ったり給与面で妥協したりと、コツをつかむことが重要です。また、転職先に悩んでいる方は、信頼できる転職エージェントに相談してみるのもおすすめです。本記事を参考に、ぜひ自分にぴったりの転職先を見つけてください。