高卒の20代の高卒者なかには、自身の年収年数に関して上記のような不安を抱える方もいるのではないでしょうか。

実際に、学歴ごとに平均年収は異なる傾向にあります。

本記事では、20代高卒者の平均年収について、大卒やほかの最終学歴の人の平均年収と比較して解説します。

年収を上げる工夫についてもお話しするので、ぜひ参考にしてください。

関連記事：20代におすすめ転職エージェント比較ランキング｜女性や未経験・ハイクラス向けの選び方も解説

20代高卒者の平均年収｜大卒者と比べると低い傾向に

20代高卒者の場合、専門学校卒や短大卒、大卒の人と比べると平均年収が下がる傾向にあります。

以下の表は、厚生労働省が調査した「2022年度の賃金構造基本統計」の内容で、高卒、専門学校卒、短大卒、大卒ごとの20代の平均年収です。

最終学歴	20～24歳	25～29歳
高卒	205.2万円	228.1万円
専門学校卒	220.3万円	244.6万円
短大卒	215.6万円	243.3万円
大卒	233.6万円	265.2万円

20～24歳の高卒者と大卒者の年収を比べると、平均年収に約20万円の差がついているのがわかります。

また、25～29歳では37万円まで差が広がっており、30代、40代と年齢を重ねていくほどこの差は広がっていきます。

高卒で新卒入社した場合、大卒の新卒入社よりも4年程度キャリアが長いにもかかわらず、大卒者は年収が高いのはなぜなのでしょうか？次項で詳しく解説します。

なぜ差がつく？大卒者の年収が高卒者と比べて高くなる理由

大卒の人の年収が高卒の人と比べて高くなるのには、以下の理由が考えられます。

• 大学で専門的な知識を勉強してきたから
• 「人間力」を期待されているから
• 競争心や忍耐力、向学心があると考えられているから
• 大企業は「大卒以上」の応募資格を設けていることが多いから

上記の理由を、ひとつずつ具体的に説明します。

大学で専門的な知識を勉強してきたから

大卒と高卒で年収に差がつく理由として、大学では進学した学科に応じて専門的な知識を学べることが関係します。

高校では触れることがないような深い領域まで勉強するため、具体的な専門知識が身についている可能性が期待されるのです。

たとえば法学部であれば法律のこと、経済学部であれば金融や為替と株の動向について基礎的な知識を備えたうえで入社すると考えられます。

また、理系の学生であれば大学時代から研究者として養成されるため、企業の研究室などで即戦力として活躍することを期待されます。

そのぶん高卒の人よりも初任給が高く設定されており、それにともない平均年収も高くなることが考えられます。

「人間力」を期待されているから

大卒と高卒で年収に差がつく理由に、大卒者には「人間力」が期待されていることも考えられます。

大学生活は勉強だけでなくサークル活動やアルバイトなどさまざまなコミュニティに参加する機会があります。多くのコミュニティでさまざまな状況の人と人間関係を築くことで、幅広い価値観にふれたり、経験したりできるでしょう。

大学時代に参加できるコミュニティとしては以下のようなものがあります。

コミュニティ	出会える人
サークルや部活	他学部、他大学の同級生や先輩
オフ会	共通の趣味を持つ人
大学の講義やゼミ	同じ大学に通う学生や教授
インターン	他大学の就活生やインターン先の社員
アルバイト	年代問わずさまざまなバックグラウンドを持つ人

仕事をするうえでは高いコミュニケーションスキルも必要です。

大学時代に多くの人と関わってきた大学生は企業側から「コミュニケーションスキルがある人」「人間力がある人」と期待されることが多く、そのぶん給与が高く設定されていることもあるようです。

また、それぞれのコミュニティで企業や就職に関する情報を得られることもあり、より条件の良い企業に就職できる可能性も高まります。

競争心や忍耐力、向学心があると考えられているから

大学を卒業しているということは、受験戦争を乗り越え、大学の授業を受けて単位を取得したということを証明します。

すなわち、効率的・計画的に学習を進めたり、遊びたい気持ちを抑えて学習に取り組んだりした人材であることが予測されます。

高卒者にはこれらの能力がないわけではありませんが、「大卒」の人であればこれらの能力が確実にあることが保証されるため、そのぶん企業から求められるのです。

大企業は「大卒以上」の応募資格を設けていることが多いから

大学を卒業すると自動的に「学士」の称号、つまり大卒資格を得ます。

企業によっては応募資格に学歴を設けていることも少なくなく、特に大企業ではその傾向が顕著です。

大企業は中小企業に比べて給与が高く設定されていることが多いため、必然的に大卒者は平均年収が高くなる傾向があります。

20代高卒でも年収は上げられる？収入アップを狙う方法5選

大卒者の方が高卒者よりも平均年収が高い傾向はありますが、20代の高卒者でも年収を上げるためにできることはあります。

以下のことを試してみましょう。

• 副業で収入源を増やす
• 現職で昇進を目指す
• 現職で必要な資格を取得する
• 都心部の企業に就職する
• 年収の高い企業に転職する

副業で収入源を増やす

20代の高卒者が年収を上げる方法として、副業で収入源を増やすことが挙げられます。

当たり前ですが、副業をすればそのぶん収入を増やせます。実際、本業と同時に副業をおこなっている人は少なくありません。

厚生労働省が2020年に調査したデータによると、約10％の人が副業をしていることがわかっています。

引用元：副業・兼業に係る実態把握の内容等について｜厚生労働省

特に、フリーランスや自営業を本業とする人たちの場合、副業をしている割合はそれぞれ29.8％と19.4％と高めの数値が出ています。

正社員では、副業禁止の企業もあるため5.9％とそれほど多くはありませんが、今後働き方改革の影響で副業可の企業が増えていくことが予想されるため、この数値も増えていくでしょう。

近年では、インターネットやSNSなどの普及により、仕事の選択肢は広まっています。

イラストレーターやプログラミング、動画編集やライティングなど、業務としては未経験でも趣味や得意分野を活かして副業を始めることも可能です。

副業をすることで収入を増やすだけでなく、新たなスキル習得にも役立つため、ぜひ検討してみましょう。

現職で昇進を目指す

現職で昇進を目指すのも、20代の高卒者が年収を上げる方法です。

責任のある役職に就けば、年収アップを実現できます。特に営業職など、実績がモノをいう職種であれば学歴に関係なく収入アップを目指せるしょう。

また、昇進できる人の必須要素としては、マネジメント能力が挙げられます。

マネジメント能力とは、部下や後輩をきちんと育成したり、組織の利益に貢献するためにチームや部署を管理したりする力のことです。

これらは仕事をするなかで身につけることも可能ですし、セミナーや啓発本などを活用して身につけることもできます。

マネジメント能力は昇進に直結する能力ですので、ぜひ身につける努力をしてください。

現職で必要な資格を取得する

20代の高卒者が年収を上げるには、現職で必要な資格を取得するのも有効です。

不動産業界なら宅地建物取引士、介護業界であれば介護福祉士、IT業界ならマイクロソフトオフィススペシャリスト（MOS）など、それぞれの専門分野に合わせて資格を取得することで、昇進や昇給につながります。

企業によっては資格取得によって手当が支給されることもあるため、勤めている企業の福利厚生などをチェックしてみましょう。

都心部の企業に就職する

都心部の企業に就職するのも、20代の高卒者が年収を上げるための方法です。

企業によっても異なりますが、平均年収は都心部にいくほど高い傾向があります。

厚生労働省が調査した「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、人口の多い東京都や大阪府、神奈川県の賃金が高くなっており、それぞれ375万5,000円、330万9,000円、335万6,000円でした。

引用元：令和４年賃金構造基本統計調査　結果の概況

ただし、都心であるほど家賃や物価も高い傾向にあるため、単に生活水準を上げたいのであれば実家から通える職場などを検討したほうがいいかもしれません。

年収の高い企業に転職する

20代の高卒者が収入を上げるうえでもっとも手っ取り早いのが、今よりも年収の高い企業に転職することです。

20代であれば未経験領域へのハードルも低いため、平均収入の高い業界に転職するのも良いでしょう。

「これまで転職をしたことがない」「スキルや実績に自信が無い」という人は、ぜひ転職エージェントを活用してみましょう。

プロの目線であなたに合った求人を紹介してくれるだけでなく、転職のサポートも任せられるため効率的に転職活動を進められます。

転職エージェントとは？

転職エージェントとは、転職のプロであるキャリアアドバイザーから求人の紹介や選考対策などのサポートを無料で受けられるサービスです。

公式サイトや転職サイトなどでは一般公開されていない好条件の求人を保有していることも多く、収入を上げたいならぜひ利用したい転職サービスの1つです。

転職エージェントを利用する際は、とくに不安な要素について相談しましょう。

たとえば、自身をどうアピールすべきかがわからず不安なのか、企業選びがきちんとできるかが不安なのかなどが該当します。あらゆる不安要素を相談するだけでも、転職活動をより効率的にすすめられるでしょう。

収入を上げることが目的であれば、高収入の求人について相談してもよいでしょう。転職エージェントをうまく利用すれば、高収入の企業へ転職できる可能性は大きく高まります。

【関連記事】転職エージェントとは？転職サイトとの違いやメリットなどをわかりやすく解説

20代高卒におすすめの転職エージェント

ここでは20代の高卒者におすすめの転職エージェントを3社紹介します。

20代は未経験領域へのチャンスが豊富にあるため、できるだけ多く求人数を保有している転職エージェントを活用するのがおすすめです。

20代・高卒では転職が難しい？転職事情を調査

「20代の高卒の人が条件のいい職場に転職するのは難しいのでは」と感じている人は多いのではないでしょうか？

そもそもなぜ「20代の高卒者は転職が難しい」といわれるのかを見ていきましょう。

【関連記事】高卒の転職が厳しい・難しいと言われる理由とは？成功させるコツを解説

高卒者は離職率が高いから

転職が高卒では難しくなる理由として、大卒者に比べて高卒者は離職率が高いことが挙げられます。

労働政策研究・研修機構によると、2020年3月に卒業した新規学卒就職者の離職状況は大卒が32.3％、高卒が37.0％という結果が出ており、特に小規模な事業所ではその傾向が顕著なようです。

20代の高卒者を採用する企業自体は少なくないため、チャンスが多いことから離職率が高いのかもしれません。

このような数値から、企業から「すぐに辞めるのでは」と懸念されていることも考えられますので、転職活動をおこなう際は、長く働きたいことをアピールするのが効果的です。

【参考記事】新規学卒者の離職状況（2020年3月卒業者）｜労働政策研究・研修機構

学歴を採用基準にしている企業があるから

高卒の転職が難しい理由として、そもそも応募資格を満たしていないため応募できない企業が一定数あることも挙げられます。

応募資格内で明確に「大卒以上」などと表記がなくとも、企業によっては学歴を採用基準のひとつとしていることも珍しくありません。

とくに、大学で学ぶ専門的なスキルや知識を要する業種であれば、その傾向は顕著です。

もちろん、学歴に関係なく採用や昇進のチャンスがある企業も多くありますので、転職の際は社員の学歴状況なども考慮しながら企業選びをするのもいいでしょう。

高卒でも収入の高い企業に転職する方法

20代の高卒者は転職時に不利になることもありますが、転職活動の仕方によっては状況を好転させることも可能です。

まずは以下で紹介する方法を実行してみましょう。

自己分析を徹底する

転職活動において、自己分析は不可欠な工程です。

自分の強みやアピールポイント、目指す姿などが明確になっているほど、自己PRや志望動機に説得力が出るからです。それにより、論理的思考をアピールすることもできるでしょう。

面接でどのような質問をされても慌てず一貫した返答ができるように、しっかりまとめておきましょう。

企業研究・分析を徹底する

入りたい業界や企業があるなら、徹底的に研究・分析をしましょう。

自己分析の結果から、なぜその業界・企業に入りたいのか、自分の強みをどんな点で活かせるかといった視点で考えることも大切です。

また、企業研究や分析をおこなう際は、給与だけでなく企業の成長性や福利厚生、労働環境などにも注目しましょう。

給与としてはそれほど高くなくとも、総合的に見ると高い収入が得られるパターンもあります。

また、昇給・昇格の回数や社員の平均的な年収などもリサーチしておくと入社後のイメージを抱きやすいかもしれません。

同業種の転職を検討する

20代の高卒で転職を成功させるには、同業種への企業に転職するのも効果的です。

同業種であれば、前職での経験やスキルを活かせるため即戦力として働けます。

それを理由に給与交渉などもしやすいため、収入アップやキャリアアップを目指せるでしょう

大卒資格を取得する

自分が目指す企業や職種には大卒資格が必要なのであれば、思い切って大卒資格を得るのも有効です。

以下の方法であれば会社に通いながら大卒資格の取得が目指せるため、収入が途切れることはありません。

• 通信制大学で単位を取得する
• 夜間大学（大学二部）に通う
• 大学改革支援・学位授与機構を活用する（大学中退者・短大・高専卒業者のみ）

大卒の資格を取れば、大卒を条件としている企業に応募できるため選択の幅が広がります。キャリアアップできる道も多くなるでしょう。

20代の高卒が年収をアップさせるのにおすすめの業界5選

20代の高卒者で、できるだけ高い年収を得たいと考えているなら業界にこだわるのも一つの方法です。

以下に、おすすめの業界を紹介します。

• 建設業界
• 保険業界
• 不動産業界
• IT業界
• 公務員

【関連記事】高卒の就職先におすすめの仕事は？仕事探しの方法や注意点も紹介

建設業界

建設業界は、平均年収が高く、年収をアップさせるのに狙い目な業界です。

建設業界は、大きく分けると建物を作る建築系とインフラ整備を担う土木系に分けられます。

どちらも若手人材が不足しており、特に土木系は継続的に需要があるため将来的にも安定した業界です。

学歴よりも体力や技術が重視される傾向があるため、20代の若い世代が活躍を期待されるケースが多く、実力次第で収入アップも見込めます。

また、建設業界に携わるのであれば、施工管理士の資格を取得するのもおすすめです。施工管理士にしかできない専門的な仕事を任されるぶん、スキルアップや年収アップも望めます。

【関連記事】建築・建設業界に強いおすすめ転職エージェント12選｜選び方のコツや注意点も解説

保険業界

20代の高卒におすすめできる仕事として、保険業界も挙げられます。

とくに営業職は、どれだけ顧客と契約を結んだかで収入が大きく変わります。

また、保険業界はFPや中小企業診断士、相続診断士など関連資格が多く、資格取得により昇給が見込める業界でもあります。

コミュニケーションスキルに自信のある方は、保険業界に挑戦してみるのもいいでしょう。

不動産業界

不動産業界も、収入を上げたい20代の高卒におすすめです。

保険業界と同様、営業職は多くの契約数や売り上げを出すほど収入アップが狙えます。また、不動産業界は体力を使うことも多いため、20代の若い世代にも需要があるといえます。

不動産業界には、宅地建物取引士やマンション管理士などのさまざまな資格が存在します。

就職を考えている方は、ぜひ資格の取得を志してみましょう。

【関連記事】不動産業界の転職に強い転職エージェントおすすめ５社を比較｜選び方と転職成功のコツ

IT業界

IT業界もまた、20代の高卒者におすすめです。

IT業界は慢性的な人材不足が問題視されており、国を挙げてエンジニア育成にも取り組んでいます。

研修が充実しており、未経験から入社できる企業もめずらしくありません。また、技術職ですので実力次第ではスキルアップも十分狙えます。

未経験からの就職を目指す方は、研修制度が整った企業を選ぶとよいでしょう。

【関連記事】IT・WEBエンジニア転職サイトおすすめ比較ランキング｜20代・30代・未経験・スカウトや後悔しない転職エージェント

公務員

公務員になるには公務員試験を突破することが必要ですが、学歴は関係ないため安定的な仕事につきたいと考えている人におすすめです。

また、公務員のなかでも代表的といえる警察官や消防士は、採用時に学歴よりも若さや体力が重視されることが多く、実績次第で出世できるところがメリットです。

20代高卒者の年収に関する質問

20代高卒者の年収に関する質問にお応えします。

該当する疑問点がある方は、以下の内容を参考にしてみましょう。

20歳の高卒者の平均年収は？

特定の年齢に該当する年収は、公的なデータがないためわかりませんが、厚生労働省が調査した結果によると、20〜24歳の高卒平均年収は205.2万円という結果が出ています。

参考：学歴別にみた賃金｜令和4年賃金構造基本統計調査

人によって年収に差が出る理由は？

一概には言えませんが、20代前半ではキャリアに差がつきづらいため、スキルや知識の差というよりも企業規模や業界によるところが大きいかもしれません。

20代の高卒者が年収アップを目指すなら、平均年収の高い業界や実績が評価される営業職などにチャレンジするのがおすすめです。

高卒者が転職するなら何歳まで可能？

高卒でも大卒でも、年齢に関係なく転職は可能です。

ただし、転職市場において20代に求められるものと30代、40代に求められるものは異なるため、戦略的に進めることが大切です。

高卒者より大卒者のほうが転職に有利な理由は？

専門的な知識を有していたり、人間力を期待される点で大卒者のほうが有利になることが多いようです。

また応募資格に学歴を設けている企業も多いため、大卒者は選択肢が多く、有利と言えるでしょう。

「大卒」というわかりやすい資格があるため、大卒者のほうが有利になることが多いですが、高卒者は転職できないというわけではありません。

自身の強みやアピールポイントを明確化し、言語化できれば充分チャンスはあります。

【まとめ】20代の高卒者でも高年収は狙える

20代の高卒者は、大卒や専門学校卒の人と比べると年収が下がる傾向にあります。

就活や転職活動においても、大卒の人と比べて選択肢が狭まる場合もあるでしょう。

しかし、20代の高卒でも対策次第で高収入を目指せます。

年収を上げるためには、資格を取ったり、プロの意見を取り入れたりして周囲と差をつけましょう。また、自己分析などを通じて、自分の強みを最大限活かせる企業を選ぶことで収入アップも目指せます。