エンジニアとして働いているものの、期待していた収入よりも低い自分の給料に将来への不安を感じている人は少なくありません。

「努力と負担に見合わない給料の安さ」「スキルを身に着けても年功序列ですぐにはキャリアアップができない」など、会社に不満はあるが転職に踏み切れていない人も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、エンジニアの給料が安いと言われている理由や、年収アップを実現するための具体的な方法を解説します。

エンジニアとして働いている方に協力していただき、給与明細や残業時間、有給休暇の取得状況なども紹介していきます。

エンジニアの給料を職種別や年齢別で比較していますので、業界の給与水準を知りたい方は、記事の内容を参考にしてください。

関連記事：IT転職エージェントおすすめ比較28選│エンジニア向けに徹底解説！

エンジニアの給料の実態【体験談あり】

「エンジニアの給料は安い」と言われていますが、実際はどうなのでしょうか。

ITエンジニアとして勤務しているAさんに協力いただき、実際の給与明細を見ていきます。

Aさん（28歳・男性）は海外出張もある企業でエンジニアをされていました。
こちらはアメリカへの出張があった月の給与明細です。

25～29歳男性の平均年収である267,800円と比較すると、35,000円以上高いことが分かります。

参考：厚生労働省｜令和５年賃金構造基本統計調査

Aさんに「当時の給料で満足していましたか？」と伺ったところ、下記のような回答が返ってきました。

給与面以外にも、Aさんの場合にはアメリカへの出張ということで、英語スキルも求められるという負担もあったそうです。

同年代と平均して高い給料をもらえていたとしても、そこに至るまでの身体的負担や心理的負担を鑑みると、「エンジニアの給料は安い」と感じる方も少なくないでしょう。

「エンジニアの給料安すぎ」と言われる理由

専門的な知識やスキルを持っているにもかかわらず、エンジニアの給料は安すぎると言われています。

具体的な理由を4つ紹介します。

スキル不足のエンジニアは給料が上がりにくいから

エンジニアはキャリアを積んでいても、スキルが不足している人材は給料が低く抑えられる傾向にあります。

IT業界は毎年新しい技術が登場するため、最新のプログラミング言語やフレームワークへの対応が遅れると、企業のニーズに対応できなくなるからです。

例えばPythonや機械学習の知識が求められるAIプロジェクトを開発する場合、従来の言語しか使えないエンジニアは、給与交渉で不利な立場に置かれやすいでしょう。

給料を上げるためには、普段の業務と平行して最新の技術や知識を学び続ける必要があり、そこが給料の上げにくさに繋がっているのでしょう。

労働時間の長さに給料が伴わないから

エンジニアは労働時間が長くなりやすいのに対し、そこに給料が伴わないことも、エンジニアの給料が安すぎると言われる理由の一つです。

具体的には、開発したシステムにトラブルが起きた場合、エンジニアは深夜や土日・祝日を問わずに対応する必要があるでしょう。

みなし残業を採用する企業では、実際の残業時間が給料へ十分反映されないことも少なくありません。

残業時間や休日出勤が多くなることで、1時間あたりの実質的な給料は低下する傾向にあります。

表面上の給料は高く見えても労働時間が長くなることで「給料が安すぎる」といった評価につながっています。

多重請負構造に課題があるから

エンジニアの給料が安すぎると言われる理由には、多重請負構造による中間マージンの影響も挙げられます。

多重請負構造では、元請企業から一次請け、二次請けと経由して仕事が発注されるため、各企業がマージンを取る分だけエンジニアに支払われる給料は減少していきます。

例えば、元請企業が100万円で受注した案件も、一次請けで80万円、二次請けでは60万円と段階的に金額は下がっていくでしょう。

複数の企業を経由するたびに中間マージンが発生するため、エンジニアの給料が低くなる問題が発生しています。

企業によっては年功序列で評価されるから

大手SIerや地方の中小企業などでは、年功序列型でエンジニアを評価する場合も少なくありません。

エンジニアとしてのスキルや知識に関係なく、勤続年数や年齢によって給料が決まる場合、若い優秀なエンジニアは適切に評価されないこともあるでしょう。

具体的には、新卒から3年働いたエンジニアの月給が35万円なのに対し、同じスキルを持つ5年目のエンジニアは45万円という給与格差も発生します。

年功序列でエンジニアを評価する企業では、スキルの高い若手エンジニアの給料が相対的に低くなる傾向にあります。

エンジニアの給料は全体の平均よりも高い

エンジニアの給料は安すぎると言われていますが、実際は給与所得者の平均よりも高くなっています。

国税庁｜民間給与実態統計調査によると、給与所得者の平均年収は460万円ですが、エンジニアを含む情報通信業の平均年収は649万円です。

エンジニアの給与水準を複数の視点から比較しますので、自分の給料が適切かどうか判断する際の参考にしてください。

エンジニアと他業種の給料を比較

エンジニアを含む情報通信業と他業種の平均年収を、以下の表で比較しました。

業種	平均年収
情報通信業	649万円
電気・ガス・熱供給・水道業	775万円
金融業・保険業	652万円
学術研究・専門技術サービス業・教育学習支援業	551万円
建設業	548万円

高待遇を求めるエンジニアの方は、電気やガスなどインフラ系の企業へ転職できると、より高い給料とキャリアアップが期待できるでしょう。

参考：国税庁｜民間給与実態統計調査

エンジニアの給料を職種別で比較

経済産業省の資料をもとに、エンジニアの平均年収を職種別で比較しました。

職種	平均年収
コンサルタント	928万円
プロジェクトマネージャー	891万円
営業・マーケティング	783万円
高度なスキルを持つSE・ITエンジニア	778万円
IT技術スペシャリスト （データベース・ネットワーク・セキュリティなど）	758万円

コンサルタントやプロジェクトマネージャーなど、マネジメントスキルが高いエンジニアの給料は高くなる傾向があります。

また、一つのスキルを高めることでも、給料アップが期待できるでしょう。

職種別の年収は以下の記事でも詳しく解説しましたので、あわせて読み進めてください。
関連記事：エンジニアの平均年収はいくら？年収が低い理由や給料アップを目指すコツも解説

参考：経済産業省｜IT関連産業の給与等に関する実態調査結果

エンジニアの給料を年齢別で比較

厚生労働省の資料をもとに、システムエンジニア（Webサイト開発）の年収を年齢別で比較しました。

年齢	年収
19歳まで	256万円
20歳～24歳	341万円
25歳～29歳	453万円
30歳～34歳	512万円
35歳～39歳	597万円
40歳～44歳	646万円
45歳～49歳	674万円
50歳～54歳	679万円
55歳～59歳	732万円
60歳～64歳	539万円
65歳～69歳	459万円
70歳以上	406万円

働く企業にもよりますが、年齢が高くなるにつれて給料も上がる傾向が見られました。

ただし、スタートアップ企業やベンチャー企業で働くエンジニアの場合、20代でも高い給料を得られるケースが増えています。

参考：厚生労働省 ｜jobtag

給料が安いと感じたエンジニアが確認すべきポイント

自分の給料が安いと感じている方は、以下3つのポイントを確認してください。

自分のスキルレベルを業界の水準と比較する

エンジニアとして適切な給料が支払われていないと感じたら、自分のスキルレベルと業界の水準を客観的に比較しましょう。

例えばフロントエンドエンジニアとして3年の実務経験があり、React.jsやNode.jsを扱える場合の年収相場は、400万円～600万円程度となっています。

また、AWSやMicrosoft Azureなどクラウドサービスの設計や実装経験があれば、さらに高い給料が期待できます。

転職サイトを活用し、希望の年収層に該当する求人情報を見てみましょう。求人にはプログラミング言語やフレームワークなど、必要とされるスキルも記載されているので、複数求人を比較することで業界水準がわかります。

自分のスキルレベルを業界水準と比較して、現在の給料が適切かどうかを判断しましょう。

あまりにも給料が低すぎる場合は、上司への年収交渉も検討してください。

業界水準を確認する際には、以下のサイトでIT業界に特化した転職サイトを紹介しましたので、参考にしてください。

関連記事：IT業界の転職サイトおすすめ比較ランキング｜エンジニア向け求人数や選び方も解説

エンジニアとしての市場価値を把握する

エンジニアとしての市場価値を把握することも、給与の満足度を判断する基準の一つとなります。

現在の自身の市場価値を把握するには、転職サイトの求人情報を活用し、想定年収と自分の給料を比較するとよいでしょう。

また、以下の要素も市場価値を確認するうえで重要なポイントです。

給料が適切に支払われているかを確認する

自分の待遇がよくないと感じている方は、会社からの給料が適切に支払われているかどうかを確認しましょう。

具体的には、以下の項目に該当するものがないかを確認してください。

問題点が見つかった場合は、給与明細など具体的な資料を用意して、上司や人事担当者への相談をおすすめします。

エンジニアが給料を上げる方法

エンジニアとして給料を上げる方法を、5つ紹介します。

自分に合った方法を選び、実践していきましょう。

関連記事：エンジニアが年収1,000万円を目指す方法とは？達成できる人の共通点や企業も紹介！

スキルを身につける

スキルを身につけてエンジニアとしての市場価値を高めると、収入アップに繋がりやすいでしょう。

とくに、以下のスキルは企業からの需要が高いです。

具体的なアクションとして、セミナーや書籍を活用し、実践的なスキルを身につけてください。

資格を取得する

資格を取得するとスキルを客観的に証明できるため、給与交渉の際にアピールポイントとなります。

企業によって異なりますが、以下の資格は取得すると評価が高くなります。

おすすめの資格は以下の記事でも紹介していますので、収入をアップさせたい方は参考にしてください。

関連記事：ITエンジニアの転職におすすめの資格29選｜転職に失敗しない4つのコツも解説

マネジメント業務を担当する

マネジメント業務を担当できるエンジニアは、プロジェクト管理などの責任を担えるため、仕事の幅が広がり、収入も上がりやすいです。

プロジェクトマネージャーやエンジニアリングマネージャーなどへ昇進できると、給料アップも期待できます。

マネジメント業務を担当したことがない方は、小規模なプロジェクトでリーダーの経験と実績を積み上げてください。

また、マネジメントに関する書籍や動画教材で学ぶこともおすすめです。

副業にチャレンジする

現在の職場で給料アップが難しい場合は、エンジニアとしてのスキルや経験を活かして副業へチャレンジしてみましょう。

具体的には、以下の副業をおすすめします。

副業で案件を受注するには、あなたのスキルや経験をまとめたポートフォリオを作成すると、クライアントに実績をアピールできます。

副業での稼ぎ方や案件の探し方は以下の記事で紹介しましたので、あわせて読み進めてください。

関連記事：システムエンジニア（SE）の副業9選！稼ぎ方やおすすめのサービスまで詳しく紹介

給料の高い企業に転職する

エンジニアとしての給料を上げるためには、年収や福利厚生が充実した企業への転職が効果的です。

以下の企業へ転職できると、収入アップが期待できるでしょう。

とくに、エンジニアの専門性を高く評価する企業では、給料だけでなく働き方や福利厚生を含めて待遇を改善することができます。

転職におすすめの企業を効率よく探したい方は、転職支援サービスに登録し、担当アドバイザーへ相談してみましょう。

給料アップを狙えるおすすめの転職支援サービス

エンジニアの方におすすめの転職支援サービスを、3つ紹介します。

レバテックキャリア｜エンジニアが利用したい転職エージェントNo.1

レバテックキャリアは、エンジニアの転職に特化した転職支援サービスです。

正社員としての転職だけでなく、副業案件を探している方やフリーランスを希望するエンジニアのサポートもしています。

レバテックキャリアでは約50職種の求人を取り扱っており、給料アップが期待できるコンサルタントやプロジェクトマネージャーへの転職も可能です。

公式サイトでは各企業の想定年収も見られるので、希望する給与水準に合った求人を効率的に探せるでしょう。

（※1）レバテックキャリア公式サイトより

マイナビIT AGENT｜転職後の年収アップ率73.7％

マイナビIT AGENTは、大手人材企業のマイナビが運営する転職支援サービスです。

DELLやNECなど大手企業への転職支援実績があり、給料を上げたいエンジニアにおすすめできます。

マイナビIT AGENTにはエンジニア経験を持つアドバイザーも在籍しており、利用者は現場目線でのアドバイスをもらえるでしょう。

担当アドバイザーとの面談は夜間や土曜日にも対応できるため、現職が忙しいエンジニアの方も利用しやすいサービスです。

Geekly｜企業とのマッチング制度が高い

Geeklyは、ITやWeb、ゲーム業界の転職に特化した転職支援サービスです。

IT業界の転職に詳しいアドバイザーが100名以上在籍しており、企業選びやキャリア相談、面接対策などのサポートを依頼できます。

Geeklyの大きな特徴として、企業とのマッチング精度の高さが挙げられます。

エンジニアとしてのスキルだけでなく、利用者の性格を考慮して企業を紹介してくれるため、転職後のミスマッチも防げるでしょう。

（※1）Geekly公式サイトより

エンジニアの給料に関するよくある質問

エンジニアの給料に関して、よく聞かれる質問を3つ紹介します。

一番稼げるエンジニア職を教えてください

経済産業省の資料によると、ITコンサルタントの平均年収が928万円となっており、最も給料が高い職種となっています。

ただし、給料は企業によって大きく異なるため、一概にITコンサルタントが稼げるわけではありません。

ITコンサルタント以外の職種では、プロジェクトマネージャーや営業職なども平均年収が高い傾向にあります。

参考：経済産業省｜IT関連産業の給与等に関する実態調査結果

優秀なエンジニアの年収はいくらですか？

高度なスキルや経験を持つエンジニアの場合、年収1,000万円以上も期待できます。

また、アメリカはエンジニアの給与水準が高い傾向にあり、外資系企業へ転職すると年収アップを狙えるでしょう。

エンジニアで年収500万は何年目で達成できますか？

エンジニアとしてのスキルや経験、企業規模にもよりますが、一般的には30代前半で年収500万円を達成できる可能性が高いです。

エンジニアはキャリアを重ねるにつれて年収もアップする傾向があるため、日々のスキルアップとあわせて現場で経験を積むことをおすすめします。

以下の記事では、年収500万円を達成するために必要なスキルを紹介していますので、あわせて読み進めてください。

関連記事：エンジニアで年収500万円は稼げるか？求められるエンジニアスキルや習得方法を解説

まとめ｜給料が安すぎると感じたエンジニアは転職を検討しよう

この記事では、エンジニアの給料が安すぎると言われる理由を紹介しました。

実際、エンジニアは他の職種と比べて平均給与は高い傾向にあります。

ただし、労働時間の長さが給料に適切に反映されていなかったり、年功序列で評価する会社に所属していたりすると、給与が低いと感じてしまうでしょう。

あまりにも待遇が良くないと感じたら、転職支援サービスの無料相談を利用してください。

転職支援サービスは今すぐにキャリアチェンジを考えていない方でも登録できるので、気軽に問い合わせてみましょう。