固定残業代の会社はやめとけと言われるケースが多く「気になる会社だけどなかなか応募できない…」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

結露からいうと、固定残業がある会社が悪いとは限らずホワイトな会社も多くあります。

本記事では固定残業代のメリット・デメリットを踏まえたうえで、固定残業代がある会社はやめとけ・やばいと言われる理由や導入されている背景について解説します。

ホワイト企業の見分け方についても解説しているため、合わせて読んでみてください。

また、固定残業代についての悩み相談ができる転職エージェントも以下の記事にまとめています。本記事と合わせて参考にしてみてください。

関連記事：未経験に強い転職エージェントおすすめ12選｜転職時のポイントを徹底解説

固定残業代の会社はやばい・やめとけと言われる理由｜5選

固定残業代の会社がやばい・やめとけといわれる5つの理由は、以下のとおりです。

詳しく解説します。

本来もらえるはずの残業代が支払われない可能性がある

固定残業代の会社は、本来もらえるはずの残業代が支払われない可能性があるため「やばい」「やめとけ」といわれる場合も多いようです。

固定残業代制度は、一定時間の残業代をあらかじめ給料に含める制度です。

これにより会社側は、給料計算が簡潔になり導入しているところも多くあります。

しかし、この制度を悪用する会社も少なくありません。

実際、平成24年3月8日には基本給41万円に対して、180時間以内の残業代が正しく支給されておらず裁判になった事例もあります。

【T事件（平成24年3月8日 / 最高裁第一小法廷判決）】

本件雇用契約は、(略) 基本給を月額41万円とした上で、月間総労働時間が180時間を超えた場合には、その超えた時間につき１時間当たり一定額を別途支払い、(略) 月間180時間以内の労働時間中の時間外労働がされても、基本給自体の金額が増額されることはない。

(略) 基本給について、通常の労働時間の賃金に当たる部分と労働基準法第37条第1項の規定する時間外の割増賃金に当たる部分とを判別することはできないものというべきである。

これらによれば、(略) 時間外労働をした場合に、月額41万円の基本給の支払を受けたとしても、その支払によって、月間180時間以内の労働時間中の時間外労働について労働基準法第37条第1項の規定する割増賃金が支払われたとすることはできない(略)。

引用：若者の募集・求人の申込みをお考えの事業主の皆さまへ｜厚生労働省

すべての会社が不正をしているわけではありませんが、上記事例のように固定残業制度を悪用した会社があることは把握しておきましょう。

もし、このような固定残業代の問題に直面した場合は、労働基準監督署や労働組合、弁護士などに相談するようにしてみてください。

割増賃金が考慮されずトータルの給料が低い場合がある

固定残業代制度を採用している会社は一見高い給料を得られるように見えます。

しかし、実際の割増賃金を考慮すると本来もらえるはずだった給料と比べて低い可能性があります。

たとえば、求人で「月給30万円（固定残業40時間分含む）」の求人が出ていたとしても、実際の基本給に直すと本来貰える給料より低いケースも少なくありません。

同じ月給30万円の収入を得るとしても、所定労働時間や割増賃金、各種手当などさまざまな要因が関わります。

たとえば、以下のように月給30万円、所定労働日数が252日場合のケースだと同じ残業時間40時間を考慮すると9万円近くの差が生まれます。

上記の計算で考えると本来もらえるはずだった約9万円が貰えず、実際の基本給は想定より安くなります。

このように月給30万円（固定残業40時間分含む）の求人があった場合でも、基本給で考えると損をしている場合もあるので注意が必要です。

定時退社しにくい雰囲気がある

固定残業代制度を採用している会社では定時退社しにくい雰囲気があり、やめとけと言われる要因となっています。

たしかに固定残業代は、実際の残業時間が固定残業時間に達していない場合でも残業代は支給されます。

しかし、実際には「残業代をもらっているのに残業していない奴だな…」と同僚や上司に思われる場合もあり、帰宅したいといい出しにくい雰囲気が生まれるのも事実です。

筆者が勤めていた会社でも「今日は早いけど何か用事があるの？」「〇〇の作成ができてないみたいだけど大丈夫？」など、定時退社をしにくい雰囲気がある会社も実際ありました。

このように定時退社しにくい雰囲気になりやすい点も、固定残業代がある会社はやめとけといわれる要因となります。

固定残業で想定より長時間勤務になる恐れがある

固定残業代制度を採用している会社では、想定よりも長時間勤務になる恐れがあるため注意が必要です。

固定残業代はあらかじめ残業時間を決めておき、その分の金額を給料に含める制度です。

しかし、実際の仕事は計画通りに進まない場合も多く、残業時間が想定より大幅に超えてしまうケースも珍しくありません。

とくに締め切りが迫っていたり、トラブルが発生したりした場合は、長時間労働が常態化しやすいです。

このように長時間労働が常態化するのも、固定残業代がある会社はやめとけといわれる理由となります。

とはいえ、サイバーエージェントのように固定残業を80時間（※1）と設定し、20〜45時間（※1）で働ける会社もあります。

固定残業代の会社が必ずしも長時間労働になるわけでないので、その点は把握しておきましょう。

参考：（※1）初任給42万円！高給の裏の真実。固定残業代を取り入れる企業が増えている理由｜日本人材ニュース

固定残業があると労働環境の改善がされにくい

固定残業代制度を採用している会社では、労働環境の改善がされにくいのが現状です。

会社側としては、従業員の固定残業が決まることで月々の固定費の管理がしやすくなるため、固定残業代制度を取り入れている会社も多くあります。

そのため、固定残業で長時間労働をしたくない場合は、固定残業代の制度を廃止する必要があります。

しかし、労働組合がしっかりしていたり、社員の意見を柔軟に聞き入れてくれたりする会社でないとなかなか制度自体を変更するのは難しいでしょう。

このように労働環境の改善がされにくい点も、固定残業代のある会社はやめとけといわれる要因となっています。

やめとけと言われる固定残業代にも2つのメリットがある

やめとけと言われる固定残業代ですが、以下のような2つのメリットもあります。

上記2つのメリットを活かせると、社員側はムダな残業をせず安定した収入が得られ、会社側としても社員の業務効率を上げつつ月の予算を管理しやすくなるため双方にとってのメリットになります。

ただし、業務効率化ができず会社側の管理が適切に実施されなければ逆効果となるため注意が必要です。

そのため、両方のメリット・デメリットを理解したうえで、固定残業代制度を取り入れている会社への転職は検討してみてください。

【後悔しない】固定残業代がある会社がホワイトなのか見分ける方法｜5選

ここからは、固定残業代がある会社へ転職して後悔しないために、本当にホワイト企業なのか見分ける方法について以下5つを紹介します。

ブラック企業に転職したくない方は、最後まで読んでみてください。

固定時間を超えた分の残業代が支払われるか聞いておく

固定残業代制度がある会社が本当にホワイト企業なのか見分ける場合、固定時間を超えた分の残業代が支払われるか必ず確認してください。

固定時間を超えた残業について、適切に支払われるかどうかは会社によって異なります。

もし、会社側の採用担当者が曖昧な返答しかしなかったり、何か理由をつけて残業代を出さないのを正当化したりした場合は、労働環境が違法な可能性もあるため、選考を辞退して別の会社に応募しましょう。

直接聞くのは勇気がいるかもしれませんが、入社してから後悔しないためにも面接時にあらかじめ聞くようにしてみてください。

平均残業時間を聞いておく

固定残業代制度を取り入れている会社に入社する前には、平均残業時間をしっかりと確認しておきましょう。

求人票に固定残業代20時間と記載されていても、実際の平均残業時間が30時間であれば10時間分のプライベート時間がなくなるため、普段の予定が立てにくくなる可能性もあります。

そのため、採用面接時には「毎月の残業時間はどの程度発生していますか？」としっかりと聞いておきましょう。

もし、残業時間がわからないと答えた場合は、会社側のスケジュール管理ができていない証拠にもなるため辞退するのが無難かもしれません。

入社後のギャップに苦しまないようにあらかじめ、残業時間については把握しておくようにしてみてください。

勤続年数と離職率を調べておく

固定残業代制度がある会社がホワイトかブラックかを見極めるには、勤続年数と離職率を調べるようにしましょう。

社員が長く働いていて離職率が低い会社は、働きやすい環境が整っている証拠です。固定残業代を採用しているとしてもホワイト企業の可能性は高くなります。

一方、年間休日が多く残業時間ゼロの求人でも、勤続年数が短く離職率が高いとブラック企業の可能性は高まります。

そのため、勤続年数と離職率は固定残業代制度の有無に関わらず事前に調べるようにしてください。

勤続年数と離職率に関しては、以下のサイトやサービス、イベントなどから調べられます。

また、正確な勤続年数と離職率について知りたい場合は、面接時に直接聞いてみるのがよいでしょう。

口コミを調べておく

固定残業代がある会社がよい会社かどうか見分けるには、口コミをしっかり調べておく必要があります。

口コミを見ると実際に働いている人たちや面接を受けた人の意見が分かり、会社の文化や働きやすさをある程度知ることができます。

口コミをうまく調べるポイントとしては、信頼できる口コミサイトやGoogleレビュー、SNSなどを使って多くの情報を集めましょう。

おすすめの口コミサイトは、以下のとおりです。

サービス名	口コミ掲載企業数	特徴
就活会議	約14万社	約13万件の選考体験記が見られる
転職会議	約21万社	ベンチャーから大手までの情報が豊富にある
enエンゲージ 会社の評判	約50万社	会社の特徴がスコア化されている

上記のような口コミサイトに応募する会社の口コミがある場合は、事前に調べておくと転職の失敗確率を下げられます。

ただし、あくまで口コミは個人の意見に過ぎないので、参考程度にするようにしましょう。

平均年収が相場より低すぎ・高すぎないか調べておく

固定残業代がある会社がホワイトかどうか見分けるには、平均年収が業界相場と比較して適切な水準にあるか確認しておきましょう。

平均年収が相場よりも低いと、会社は社員に適正な報酬を支払っておらず入社後も金銭的にツラい思いをする可能性があります。

また、平均年収が相場よりも高すぎる場合、過度な残業が要求されたり、記載がない歩合制が導入されていたりムリな課題を押し付けられるおそれもあります。

そのため、厚生労働省が運営している「職業情報提供サイトjobtag」や業界に詳しい転職エージェントを利用して適正な年収を知るようにしましょう。入社後、後悔しないためにも業界の平均年収を知るのは大切です。

固定残業代「20時間・30時間・40時間・45時間」きつい・やばいと言われる基準

固定残業代の時間数が多くなるほど労働環境がきつくなり、とくに30時間以上の場合には長時間残業を前提にしている可能性もあるので注意が必要です。

一般的な会社の平均残業時間が20時間前後となっているので、おおよそ20〜30時間の固定残業代であれば許容範囲となるため特別問題はないです。

しかし、労働基準法の観点からも月45時間（※3）を超える残業時間は違法となるので、はじめから45時間を前提とした固定残業代を提示している会社はやめておくのが無難といえるでしょう。

参考：（※2）平均残業時間ランキング【91職種別】｜doda
参考：（※3）労働基準法素朴な疑問｜厚生労働省

固定残業代（みなし残業）はおかしい？違法になる5つのケース

固定残業代（みなし残業）の違法になるケースについて、次の5つを紹介します。

それぞれ見てみましょう。

基本給と固定残業代の区別が適切にできていない

基本給と固定残業代がはっきりしていない会社は、違反の可能性があるので注意が必要です。

たとえば「月給30万円（みなし残業代を含む）」とだけ書かれ、詳しい残業時間が記載されていない場合は違法（※4）となります。

そのため、求人票には「みなし残業時間が何時間か」「みなし残業代がいくらか」が明確に記載されているかの確認が必要です。

残業に関する記載がないと実際にどれだけ残業代がもらえるのかがわからず、大きな損につながりかねません。

基本給と固定残業代の詳細を出していない会社は違法な経営をしている可能性があるので、応募を控えましょう。

参考：（※4）若者の募集・求人の申込みをお考えの事業主の皆さまへ｜厚生労働省

固定残業代が月45時間の上限を超えている

固定残業代が月45時間を超えている会社は、そもそも労働基準法に違反しているのでわかった時点で応募をするのはやめておきましょう。

労働基準法では基本的に1ヶ月の残業時間は原則45時間（※3）、年間の残業時間は360時間（※3）までと決められています。

筆者自身も過去に45時間以上の残業を経験したことがありますが、月に45時間を超えてくるとなかなか疲労も抜けにくくなります。

仮に固定残業時間が45時間以内で済むならまだよいですが、45時間を超えて50時間、60時間と増えていくと精神的にも体力的にも消耗するだけです。

そのため、固定残業代が月45時間以上あるところには転職しないように注意してみてください。

固定残業代の超過分を支払っていない

当たり前の話ですが、固定残業代の超過分は別途支給してもらわなくてはいけません。

たしかに固定残業代制度は、あらかじめ決められた時間分の残業代を給料に含める制度です。

しかし、労働基準法では残業時間に対して適正な賃金を支払う義務があるため、超過分を支払わない会社は法律に違反することになります。

もし、固定残業代の超過分が支払われない場合「日本労働組合総連合会」や「転職エージェント」などに相談してみるとよいでしょう。

最低賃金を下回っている

固定残業代がある会社で基本給を時給換算したときに、最低賃金を下回る場合は法律違反となります。

最低賃金法で雇用主は従業員に対して、都道府県ごとに定められた最低賃金以上を支払う必要があります。

たとえば、月給20万円（そのうち7万円が30時間分の固定残業代）という条件で求人を出していたとしましょう。

基本給の13万円を月平均労働時間の160時間で割ると時給は812.5円となります。

この場合だと、全国の最低賃金平均961円（※4）を下回り会社側が違反していることになります。

最低賃金は自分でも計算ができるので、固定残業がある会社へ転職する場合は転職する前に必ず計算してみてください。

参考：最低賃金制度とは｜厚生労働省
（※4）地域別最低賃金の全国一覧｜厚生労働省

固定残業代分の残業を強要する

固定残業代分の残業を強要する会社は違反に該当する可能性が高く、転職をするのはやめたほうがよいでしょう。

固定残業代（みなし残業）時間があるからといって、その時間分の残業を強制することはできません。

すでに入社していて強制的な残業に悩んでいる方は、専門機関に相談したり退職代行を利用したりして今の環境から抜け出すよう対処しましょう。

固定残業代がいいのか悩んでいる人向け：おすすめの転職エージェント｜3選

ここでは、固定残業代がいいのか悩んでいる人におすすめの転職エージェントを紹介します。

リクルートエージェント

マイナビエージェント

ビズリーチ

固定残業代の会社に関するよくある質問

固定残業代の会社に関するよくある質問について、次の5つを紹介します。

固定残業代について心配な方は、参考にしてみてください。

固定残業代は何時間までならホワイト企業ですか？

固定残業時間が何時間までなら、ホワイト企業なのか一概にはいえません。

とはいえ、一般的には月平均の所定外労働時間が20時間程度とされているので、20時間以内がホワイト企業の一つの目安となります。

ただし、会社によっては部署や職種による差が大きいこともあるので注意が必要です。

固定残業代は何が悪いのですか？

固定残業代が悪用された場合は、安い賃金で過重労働を強いられる可能性があり、悪いといわれる原因となっています。

とくに固定残業時間が月45時間超の場合、一般的な時間外労働の上限を超えるため、ブラック企業に該当する恐れもあります。

固定残業40時間はやばいですか？

固定残業代が40時間の場合、法律的に問題はありません。

労働基準法では、1日の労働時間が8時間と決められており週40時間が基本となります。

ただし、40時間を超過した時間分の残業代が支払われない場合は法律を無視した運用のため、やばいといわれる理由となるでしょう。

固定残業代は何時間からやばいですか？

固定残業が45時間以上に設定されている場合は、違法の可能性があります。

特別条項付き36協定を結んでいる場合は月45時間を超える残業も可能ですが、認められるには特別な事情が必要です。

繁忙期や避けようのないトラブルへの対応が該当しますが、健康面を考えると月20時間以内に収まる会社を選ぶのがおすすめです。

固定残業代はない方がいいですか？

固定残業代には、次のようなメリット・デメリットがあります。

メリット	デメリット
労働時間を短縮すれば定時退社でも残業代を得られる 残業が超過した場合はプラスで残業代が支給される 基本給に加えて一定額が上乗せされ収入が安定して高くなる	基本給が低くなる可能性がある 長時間労働の原因になる可能性がある 定時退社しにくい場合がある

上記の点を考慮して、固定残業代がある会社への転職は検討するようにしましょう。

まとめ：固定残業はやめとけ？悩んだときは転職エージェントの利用がおすすめ

固定残業代がある会社はやめとけと言われる場合も多いですが、必ずしも悪いわけではありません。

しかし、固定残業の制度を悪用している会社が存在するのも事実です。固定残業代のある会社への転職に悩む状況も多く出てくるでしょう。

もし「固定残業がある会社だけど本当に応募しても大丈夫かな...」と悩んでいる方は、転職エージェントやキャリアカウンセラーなど転職のプロに相談するのも一つの方法です。

本サイトでも無料で安心して利用できる転職エージェントまとめているので、悩んでいる方は参考にしてみてはいかがでしょうか。