本記事では麻酔科医に興味がある方に向けて、麻酔科医に向いている人の特徴や転職市場について解説します。
目次
麻酔科医とはどんな仕事?
総合病院や大学病院などの医療現場で、多くの方が麻酔科医として活躍しています。
そこで、麻酔科医の具体的な仕事内容や収入について解説していきます。
麻酔科医の仕事内容
手術前では、患者ごとに適切な麻酔方法を選定し、持病や薬物アレルギーなどの情報を詳細に確認します。患者とのコミュニケーションも重要であり、麻酔のプランを患者に説明するのも麻酔科医の仕事です。
手術中は、全身麻酔をおこない、患者の安全を確保します。疼痛管理、呼吸管理、循環管理など、患者の全身状態を監視し、必要に応じて処置をおこないます。
手術後に、呼吸や循環の安定、意識の回復の確認をおこなうのも大切な業務のひとつです。
麻酔科医は評価されにくい?
麻酔科医の仕事内容からして、麻酔科医は一般の人々からは評価されにくい職種のひとつです。しかし、麻酔科医の存在は重要であり、手術の成功に直結します。
しかし、内科医や外科医と比べると世間的な知名度は低いでしょう。
麻酔科医はほかの診療科と比較して働きやすい
麻酔科医がほかの診療科と比較して働きやすい理由はいくつかあります。
また、宿直の回数も43%の麻酔科医が「月に1度もない」と回答しており、「月3~4回ある」の割合が30%を超える小児科医と比べると、働きやすい環境が整っているようです。
さらに、勤務先の仕事に対して「満足である」とする割合は麻酔科が69.3%でもっとも高く、働きやすい職種であることがわかります。
【参考記事】図表6-7:主たる勤務先の日直・宿直の月当たりの回数/12-3.勤務先の仕事の質、内容|勤務医の就労実態と意識に関する調査(2012年)|労働政策研究・研修機構
麻酔科医の平均年収は1,335万円
労働政策研究・研修機構の「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、麻酔科医の平均年収は1,335万円です。
計45.8%の麻酔科医が現年収に満足していると回答しており、小児科、産科・婦人科、精神科についで高い水準となっています。
また、年代別の年収は以下のとおりです。
引用元:麻酔科の年収事情|リクルートドクターズキャリア
【参考記事】図表5-17:経営形態別にみた主たる勤務先の年収/12-9.給与・賃金の額に対する満足度|勤務医の就労実態と意識に関する調査(2012年)|労働政策研究・研修機構
麻酔科医に向いている人の特徴
麻酔科医は、患者の生命を預かる重要な仕事です。冷静に状況を把握して正しい判断をすることが求められます。
そこで、麻酔科に向いている人や求められる能力について解説します。
冷静に判断できる
麻酔科医は手術中に患者の生命を預かる重要な仕事です。そのため、患者が急変したとしても落ち着いて対応することが求められます。
手術中に予期せぬ状況が発生することもあるため、パニックに陥らずに適切な対応をする能力が求められます。
麻酔科医の判断が生死を左右することもあるので、冷静に行動できるのは麻酔科医にとって不可欠です。
判断が素早い
麻酔科医は手術前後にさまざまな状況を判断しなければなりません。手術前には適切な麻酔方法を選択し、手術中には患者の状態を素早く把握して必要な措置を取る必要があります。
そのため、判断力が素早く正確であることが求められます。限られた時間の中で迅速な判断を下せることは、患者の安全を確保するために欠かせないスキルです。
臨機応変な対応ができる
麻酔科医としての仕事は、予測不可能な状況に直面することが少なくありません。手術中に予期せぬ合併症が発生する可能性や、患者の体調が急変する瞬間があります。
そのような状況に対応するためには、臨機応変な判断と対応力が必要です。患者の生命に関わる手術の場面で、即座に適切な判断を下すことが求められます。
ストレス下で能力を発揮できる
麻酔科医にはストレス耐性が求められます。手術中には患者の命を預かっており、予測不能な状況に直面することがあります。
冷静に状況判断をして業務をおこなうには経験が必要ですが、ストレスに耐えられない方だと麻酔科医として働き続けるのは難しいかもしれません。
麻酔科医に向いていない人の特徴
この章では、麻酔科医に向いていない人の特徴を解説します。
患者に感謝されたい
患者が手術を受ける際、麻酔科医の存在は感じにくく、手術が成功しても患者からの感謝の声はあまり聞かれません。
麻酔科医は、患者の安全を確保することが最優先です。
目立つ仕事をしたい
麻酔科医の仕事は、外科医や看護師と比較して、あまり目立つことがありません。
手術中には患者の安全を守るために仕事をおこない、ほかの医療従事者が手術を主導します。
もし、自分が常に注目を浴び、目立つ仕事をしたいと考えているのであれば、麻酔科医の仕事は向いていないかもしれません。
麻酔科医のキャリアアップ方法
この章では、麻酔科医のキャリアアップについて解説します。
麻酔科標榜医
麻酔科医がキャリアアップする最初のステップとして、厚生労働省から「麻酔科標榜医」の許可を受けることが必須となります。
「標榜」は聞き慣れない言葉ですが、病院やクリニックで「この科の診療を実施していますよ」と看板を掲げることを指します。
ほかの診療科であれば厚生労働大臣からの許可は不要ですが、麻酔科の標榜に限って厚生労働省からの許可が必要と定められています。
概要 | 「麻酔科」の標榜に当たっては、当該診療に従事する医師について、医療法(昭和23年法律第205号)第6条の6第1項に基づく厚生労働大臣の許可が必要。 |
許可の基準 | 基準Ⅰ 医師免許を受けた後、麻酔の実施に関して十分な修練(麻酔指導医の実地の指導の下に専ら麻酔の実施に関する医業を行うこと)を行うことのできる病院等において、2年以上修練をしたこと 基準Ⅱ 医師免許を受けた後、2年以上麻酔の業務に従事し、かつ、麻酔の実施を主に担当する医師として気管への挿管による全身麻酔を300症例以上実施した経験を有していること |
審査方法 | 医道審議会(医道分科会麻酔科標榜資格審査部会)による書面審査(年3回) |
更新制 | なし |
制度開始 | 昭和35年 |
許可数 | 約25,036名(令和6年4月1日時点) |
さらに麻酔科標榜医が麻酔を行うと、麻酔管理料として診療報酬が加点されるといった特徴もあり、麻酔科医としてキャリアアップするにあたっては必須といえるでしょう。
麻酔科専門医
この資格を取得するためには、まずは専攻医として決められたプログラムを修了し、麻酔科専門試験に合格する必要があります。さらに、麻酔科専門医資格を取得するためには、以下の経験が求められます。
- 麻酔科認定資格を取得後2年以上経過している
- 麻酔関連業務に従事している
- 麻酔科認定病院で1年以上の勤務経験がある
【参考記事】認定制度について|日本麻酔科学科教育委員会
麻酔科指導医
さらに、学会への出席や臨床実績、研修医への指導実績など一定の基準を満たす必要があります。麻酔科指導医としての認定を受けることで、医療業界で教育者としても活躍でき、キャリアの幅を広げることができます。
【参考記事】認定麻酔科指導医(麻酔科指導医)に関する内規|公益社団法人日本麻酔科学会
麻酔科医の転職市場
人材が足りていない麻酔科医は、常勤医以外にもフリーランスとして働くこともできるため、働き方が選びやすい職種でもあります。
具体的な麻酔科医の転職市場について解説します。
麻酔科医の転職はほかの科と比べて難しい?
まず、麻酔科医の転職はほかの医療科と比べて難度が高いといわれています。
その背後には、高度なスキルと知識が必要なことが挙げられます。手術中の患者の命を預かる役割を担うため、麻酔科医には確かな専門知識と経験が求められるのです。
麻酔科医は人材不足
一方で、麻酔科医の人材不足も転職市場の特徴です。
労働政策研究・研修機構の「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、計81.7%の麻酔科医が「人材が足りていない」と答えており、診療科別で最も高い数値となっています。
麻酔科医は患者の体型や既往歴に合わせて麻酔の量を調整する必要があり、麻酔科医になるためには経験に裏付けされたスキルが求められるのです。
ミスできない状況下での業務や高度なスキルが求められるため、麻酔科医は人材が不足している傾向にあります。
【参考記事】2-1.医師の不足感に対する認識|勤務医の就労実態と意識に関する調査(2012年)|労働政策研究・研修機構
麻酔科医は派遣やフリーランスでの働き方も可能
フリーランスの麻酔科医は、需要が高まる急患対応などで活躍の場を広げています。自身のスケジュールを柔軟に調整しながら、多様な医療機関で経験を積むことができるでしょう。
複数の医療機関で働くことで、常勤医よりも高い年収を稼ぐこともできます。
時間の自由が利く働きたいをしたい方は、フリーランスも選択肢のひとつです。
麻酔科医への転職は転職エージェントに相談を
麻酔科医への転職を考えている方は、自分一人ではなく転職エージェントにサポートしてもらうことをおすすめします。
まず、転職エージェントは市場動向や求人情報に詳しく、あなたの希望条件に合った求人を効率的に探してくれます。また、今までのスキルや経験を最大限に活かすポジションを提案してくれるでしょう。
さらに、転職エージェントは給与や待遇面の交渉を代行してくれます。
転職エージェントは面接の準備や履歴書の添削など、転職活動全般にわたってサポートを受けられるうえ、無料で利用することができます。
麻酔科医への転職におすすめの医師転職エージェント4選
麻酔科医への転職におすすめの医師転職エージェントを4選紹介します。
医師転職ドットコム
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利用者満足度が93.4%(※1)であることからも、サポートの質の高さが伺えるでしょう。
(※1)医師転職ドットコムの公式ホームページより
(※2)2023年10月時点
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サービス名 | 医師転職ドットコム |
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サービス概要 | |
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サービス名 | マイナビDOCTOR |
運営会社 | 株式会社マイナビ |
公開求人数 | 常勤 :20,174件 非常勤:26,527件 スポット:3,802件 |
対応地域 | 全国 |
公式サイト | https://doctor.mynavi.jp/ |
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(※1)M3キャリアエージェントの公式ホームページより
サービス概要 | |
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サービス名 | M3キャリアエージェント |
運営会社 | エムスリーキャリア株式会社 |
公開求人数 | 常勤 :20,441件 非常勤:10,837件 スポット:12,486件 |
非公開求人数 | 非公開 |
対応地域 | 全国 |
公式サイト | https://career.m3.com/ |
ONE DOCTOR
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ONE DOCTORはヘルスケアに特化した転職エージェントで、病院やクリニックはもちろん、製薬業界から化粧品・健康食品といった幅広いジャンルの求人の取り扱いがあります。
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参考記事先:https://ONE DOCTOR-cmic.com/anesthesiologist
まとめ|麻酔科医に向いている人
本記事では麻酔科医に向いている人の特徴から転職市場について解説しました。
麻酔科医に向いている人の特徴は以下のとおりです。
- 冷静な判断力
- 判断が素早い
- 臨機応変な対応ができる
- ストレス下で能力を発揮できる
麻酔科医は働き方の自由度が高く、日直や宿直が少ないにもかかわらず、人材が足りていない職種です。
麻酔科医へ興味のある方は、一度転職エージェントに登録して、医療業界に詳しいキャリアアドバイザーに相談してみてください。