医療機器メーカーの仕事は一般的な営業職より高価な医療機器を扱うため、高収入を期待して転職を考える人も少なくありません。

しかし、その一方で、高度な専門知識が求められ、きつい、厳しいと言われる側面もあります。

そのようなきつい実態を知ることで、自分に合ったキャリアかどうかを見極める判断材料になります。

本記事では、医療機器メーカーの営業がきついと言われる8つの理由を、具体的に解説します。

加えて、仕事の魅力ややりがい、転職に成功するためのポイントも紹介しますので、より深く職種への理解を深め、自分に合ったキャリアを選択してください。

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医療機器メーカーの営業がきついと言われる8つの理由

医療機器メーカーの営業がきついと言われる8つの理由を解説します。

1.病院への飛び込み営業がきつい

医療機器メーカーの営業がきついと言われる理由に、病院への飛び込み営業が挙げられます。

医療機器メーカーの顧客は医療機関の経営者や医師、看護師であるため、一般企業よりアポイントを取得するのが難しく、直接医療機関へ飛び込み営業をするケースもあります。

飛び込み営業では、不在や興味がないなど門前払いに直面することもあり、場合によっては相手から冷たい対応をされて、精神的に負担をかかえてしまうこともあります。

2.スケジュールが不規則で忙しい

医療機器メーカーの営業はスケジュールが不規則で忙しく、外回り営業が基本となるため肉体的負担が大きい仕事です。

医師の診療時間や都合に合わせて訪問しなければならず、スケジュールが立てづらいという点も懸念されるポイントです。

自社製品のトラブルが発生すれば、休日や夜間でもすぐに対応しなければならず、仕事のペースを維持するのがきついと感じることがあります。

3.医師とのコミュニケーションが難しい

医師とのコミュニケーションが難しいことも、きつい仕事と言われる理由の一つです。

医療現場で働く医師は常に多忙なため、話を十分に聞いてもらえないこともあります。

また、医師は自分の専門分野に深い知識を持っており、外部からのアプローチに対して疑念を抱く医師も少なくありません。

さらに、現在では減少しているものの、医師との接待が求められることもあり、常に気を使いながら対応しなければならないことが大きな負担につながります。

4.単独業務が多く孤独を感じやすい

医療機器メーカーの仕事は、単独業務が多く孤独を感じやすい職種です。営業スタイルは現場への直行直帰が基本となるため、商談以外はほぼ1人で過ごす時間が多い傾向です。

仕事の問題や悩みを共有する相手が少ないことも、精神的なきつさにつながります。

5.売上目標（ノルマ）へのプレッシャーがある

一般的な営業職でもノルマを課せられることがありますが、特に医療機器メーカーの場合、商材が高額であるため、ノルマの達成が難しく営業の難しさを感じる場面があります。

そのため、ノルマを達成するために、さまざまなプレッシャーが常に付きまといます。

しかし、ノルマの設定目標や評価制度は企業によって異なります。ノルマは達成が難しい反面、成果を上げることができれば、自分の年収やボーナスに反映されるため、やりがいや達成感を感じられるでしょう。

6.病院独自のルールに対応する必要がある

医療機関では、病院独自のルールを設けているケースがあります。

医師と直接面会するためには、院内のスタッフや管理職からの許可が必要なケースや、医療機器を病院内でデモンストレーションする場合、厳格なルールが設けられていることもあります。

このような病院独自のルールは、営業活動に影響を与える可能性もあるため、柔軟な対応が求められます。

7.高額な医療機器は購入決定まで時間がかかる

医療機器メーカーの営業は高額な商品を取り扱うため、お客様に対して大きな決断を促す必要があり、その分プレッシャーがかかります。

特に、MRIやCTなど一台で数千万円以上する高額な機器は、医師だけでなく病院の経営者など複数の関係者の了承を得る必要があり、購入決定までに時間がかかります。

高額な医療機器の営業活動は、成約までのプロセスが長引くケースもあるため、地道に信頼関係を築いていく必要があります。

8.専門性の高い医療知識が求められる

医療機器メーカーの営業活動では、現役の医師と同レベルの専門性の高い医療知識が求められます。自社が扱う医療機器の効果やリスク、最新の医療情報を理解し、的確に説明できる能力が問われます。

医学は日々進歩しており、常に新しい知識を学び続ける必要があるため、新たな情報を取り入れるのが困難な人にとっては、この職種はきついと感じるかもしれません。

医療機器メーカーの営業職とは

医療機器メーカーの営業職は、ディーラーやMRと似たような役割がありますが、いくつかの点で異なる特徴を持っています。ここでは、それぞれの違いを解説します。

医療機器メーカーとディーラーの違い

医療機器メーカーは、メーカー直営の商品を販売する仕事です。一方で、ディーラーは複数メーカーの製品を取り扱う代理店です。

ディーラーは取り扱う製品が多岐にわたるため、メーカーの営業職よりさらに広い知識が求められます。取り扱う製品の種類も異なるため、種類に応じて転職先を検討しても良いでしょう。

医療機器メーカーの営業職とMRの違い

医療機器メーカーの営業職とMRは、どちらも医療業界で活躍する営業職ですが、扱う商材と業務内容に違いがあります。

医療機器メーカーはCTやMRIなど医療機器を販売し、導入後のサポートも担当します。

一方、MRは医薬品を扱い、医薬品の安全な使用に関する情報提供が主な業務です。薬の効果や使用方法に関する知識を医療事業者に正確に伝える役割があり、販売活動そのものはおこないません。

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医療機器メーカー営業の仕事内容

医療メーカーの営業の仕事内容を具体的に解説します。

医療機器の提案活動

医療機器の提案活動では、現場のニーズを把握することが業務の中心です。

医師や技師、看護師から、医療現場での問題点や改善点を聞き取り、病院の予算や規模に応じて最適な医療機器を提案します。

自社医療機器を用いた手術への立ち合い

自社の医療機器を用いた手術への立ち会いも、医療機器メーカーの営業の仕事です。

営業担当者は、医療機器の使い方や設定方法を医師やスタッフに直接説明し、現場でのサポートをおこないます。

在庫管理・納品業務

注射針や点滴ルートなど医療用消耗品を扱う医療メーカーの場合は、在庫管理や納品も営業職の業務の一つです。定期的に医療現場を訪れ、在庫の補充をおこないます。

医療従事者と頻繁に顔を合わせる機会が多く、商品の使用感や課題についてフィードバックを得られるため、製品の改善に役立てられます。

販売した医療機器のアフターフォロー

販売した医療機器のアフターフォローも、営業職の重要な役割の一つです。製品導入後は、正しい使い方の説明をおこない、万が一トラブルが起きた際は、迅速に対応します。

医療機器メーカーが取り扱う主な製品

医療機器メーカーが取り扱う主な製品は、以下の4種類に分類されます。

それぞれの製品の特徴を解説します。

治療系医療機器

治療系医療機器とは、患者の治療に直接関わる医療機器です。代表的な機器として、以下のようなものがあります。

治療系医療機器は患者の治療結果に影響するため、手術の立会いや医師、看護師へのサポートが求められます。

大型診断機器

大型医療機器とは、患者の状態を診断するために使用される医療機器です。具体的には、MRIやCTなどの画像診断システムや内視鏡、医療検体検査機器などがあります。

大型診断機器は高価なものが多く、数千万円から数億円に及ぶこともあるため、医師や経営層との信頼関係の構築が求められます。

小型診断機器

小型診断機器は血液や尿検査、インフルエンザやコロナの検査キットなど、検体を分析するために使用される医療機器です。

主な営業先としては医療機関や各種検査機関のほかに、教育、研究目的で利用される大学などが挙げられます。

大型診断機器と比べて継続的な需要があるため、高額な医療機器の営業に不安がある方は小型診断機を専門に扱うメーカーを検討してみましょう。

医療用消耗品

医療用消耗品とは、一度使用すると交換や廃棄が必要になる医療機器です。患者のケアに直接関わる製品が多く、以下のようなものが該当します。

医療消耗品は医師だけでなく、使用する頻度の高い看護師から具体的な使い方やアドバイスを求められることが多いため、定期的な医療機関の訪問が必要です。

医療機器メーカー営業の平均年収

dodaの職種・職業分類別の平均年収ランキングによると、医療機器メーカーの営業職の平均年収は、525.4万円という結果です。この年収は、令和5年度の全国の平均給与である460万円を上回る水準です。

そのため、一般的な営業職より比較的年収が高い傾向と言えるでしょう。さらに、インセンティブが大きい企業では、成績次第では年収1,000万円を超えることも可能です。

売上や成果が個人の年収に直結するため、年収アップを目指したい方におすすめの職種です。

参考：国税庁「令和5年分民間給与実態統計調査」
参考：doda

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医療機器メーカー営業のやりがい

医療機器メーカーの営業はやりがいや魅力が多い職種です。医療機器メーカー営業のやりがいを見ていきましょう。

医療現場を支え社会に貢献できる

医療機器メーカーの営業には、医療現場を支えることで社会に貢献できる大きなやりがいがあります。

自分が提案した医療機器が現場で活用され、医療従事者から感謝される瞬間は、達成感が得られるでしょう。

さらに、医療機器を通して人々の健康に深く関わることで、多くの患者の治療に貢献できる点もこの仕事の魅力です。

高収入が見込める

医療機器メーカーの営業は、高収入が期待できる職種の一つです。これは、利益率の高い高額な商品を取り扱っていることに加え、インセンティブ制度を導入している企業が多いためです。

成果を上げれば、その分給与やボーナスに反映されるため、自分の努力次第で高収入を得られるチャンスが広がります。

専門的な医療知識が身につく

現代医療は最先端の技術に触れる機会が多く、新たな治療方法や技術が日々進化し続けています。そのため、他業界では得られない特別な経験を積むことができ、専門的な医療知識が身につくというメリットがあります。

医療分野で常に新たな知識を習得し続けることで、専門性が高まり、自分自身の成長を実感できるでしょう。

拡大する市場でキャリアのチャンスが広がる

医療業界は人々の生活に欠かせない分野であり、新たな医療機器の開発により、今後はさらに市場が拡大していく見込みです。

昨今では、コロナの影響で予防医療が重要視されるようになり、高齢化需要に向けて福祉施設への医療機器の導入も進んでいます。

これにより、医療機器メーカーの営業の求人も増えており、キャリアのチャンスが広がっています。

医療機器メーカー営業に向いている人の特徴

ここでは、医療機器メーカーの営業に向いている人の特徴を解説します。

コミュニケーションを取るのが得意な人

訪問する医療機関では、医師や看護師、技師など多くの専門職の方々と連携しながら仕事を進めます。相手のニーズを正確に把握し、適切な医療機器を提案するためには、優れたコミュニケーション能力が欠かせません。

相手との信頼関係を築き、コミュニケーションを取るのが得意な人は、この業界で大いに活躍できるでしょう。

学習意欲が高く好奇心旺盛な人

学習意欲が高く好奇心が旺盛な人は、医療機器メーカーの営業に向いています。

日々進化する医療業界で積極的に新たな知識を学べる人は、顧客の要望に応じた製品を紹介できるため、顧客からの信頼を築きやすく、営業活動においても大きな成果を上げられるでしょう。

体力がありタフな精神力がある人

医療機器メーカーの訪問スタイルは、社用車を使って病院を訪問することが多く、長時間の移動に耐えられる体力が求められます。

また、時には厳しいノルマや課題に直面するケースもあるため、粘り強く乗り越えるタフな精神力のある人に向いています。

人の役に立つ仕事にやりがいを感じる人

医療機器メーカーの営業の役割は、医療機器を使う医療従事者をサポートするだけでなく、患者の健康を守る重要な責任を担っています。

人の役に立つ仕事にやりがいを感じる人にとっては、充実感が得られる職業です。

自分が提案した医療機器が患者の治療や健康促進に役立つことで、日々の仕事へのモチベーションも高まるでしょう。

医療機器メーカー営業に向いていない人

医療機器メーカーの営業は多くのやりがいを感じる仕事ですが、向いていない人もいます。ここでは、向いていない人の特徴を解説します。

信頼関係を築くのが苦手な人

医療機器メーカーの営業は、医療機関との長期的な関係性が求められるため、信頼関係を築くのが苦手な人は、顧客との関係づくりで苦労することもあるでしょう。

また、顧客に満足してもらえる製品を提案するためには、相手が求めるニーズを汲み取る力も求められます。

プレッシャーに弱くストレス耐性が低い人

医療機器メーカーの営業活動では、営業目標の達成や医療現場での迅速な対応が求められます。

プレッシャーに弱くストレス耐性が低い人は、厳しい状況に対応するのが難しく、業務の成果に影響を及ぼす可能性があります。

プライベートを重視したい人

医療機器メーカーの営業の訪問先は、病院やクリニックなどの医療機関が多いため、医師の都合に合わせてスケジュールを組まなければなりません。

土日出勤や残業が発生するケースもあるため、プライベートの時間を重視した働き方を求める人には向いていません。

変化に柔軟に対応できない人

医療業界は法規制の変更や、最新技術の導入など変化が激しい業界です。そのため、市場の変化に柔軟に対応できない人にも向いていません。

安定性を求める人や、固定観念にとらわれがちな方は、この業界でのキャリアアップが難しいでしょう。

医療機器メーカーの営業への転職で求められるスキル

医療機器メーカーの営業に転職する際は、以下のようなスキルをアピールすると転職活動が有利に進められます。ここでは、転職で求められるスキルを解説します。

医療に関する専門知識

医療機器業界では、製品の仕様や医療現場での活用方法を正しく理解することが求められます。

医療用語や最新の治療法、技術のトレンドについての知識を持っている方は、転職活動を有利に進められるでしょう。

コミュニケーションスキル

医療機器メーカーの営業は、医師や看護師、技師などさまざまな関係者と接する機会が多い仕事です。そのため、顧客との密接な関わりや信頼関係の構築が欠かせません。

医療機関の医師だけではなく、現場を支えるスタッフや関係者と円滑に連携できる高いコミュニケーションスキルが求められます。

顧客のニーズに対応した提案力

医療機器メーカーの営業は、医療機関のニーズに応じて最適な製品を提案することで、医療現場の課題を解決に導く仕事です。

顧客の悩みや課題を引き出すヒアリング能力や、製品の特徴をわかりやすく伝える提案力が求められます。

普通自動車免許

医療機器メーカーの営業活動では、医療機関への訪問に社用車を使った移動が一般的です。

そのため、運転免許を持っていないと応募資格を満たせない場合が多く、未経験の求人案件でも免許が必須となることがあります。

運転にブランクがある人は、転職前に運転スキルを再確認しておくと安心です。

医療機器メーカーの営業へ転職を成功させるポイント

医療機器メーカーの営業として転職を検討している方は、転職時のポイントを押さえておくと転職活動がスムーズに進められます。ここでは、3つのポイントを解説します。

医療知識と企業への熱意をアピールする

面接時には医療知識と企業への熱意をアピールすることが大切です。

未経験でも医療機器や業界の動向を調べ、企業への熱意を見せることで、他の候補者と差別化が図れるでしょう。

学び続ける姿勢や向上心を強調する

医療機器の専門知識を学び続ける姿勢は、企業側からも高く評価されます。

特に医療業界はトレンドや市場の変化が激しい業界であるため、日々学び続ける向上心を強調することで、即戦力としての期待値を高められるでしょう。

転職エージェントを活用する

自分に合った医療機器メーカーを探すなら、業界に精通した転職エージェントの活用がおすすめです。

転職エージェントは、未経験者向けの求人情報や企業のニーズを深く理解しているため、スキルや意欲を最適な形で企業にアピールできます。

書類添削や面接対策のサポートも万全なので、自信を持って転職活動を進められます。

医療機器メーカー営業におすすめの転職エージェント

ここでは、医療機器メーカー営業におすすめの転職エージェントを3選ご紹介します。

ビズリーチ

リクルートエージェント

マイナビエージェント

まとめ

医療機器メーカーの営業はきついと言われる一面がありますが、それでも大きなやりがいが得られる仕事です。最先端の医療技術を扱うため、医療知識を学び続ける必要があり、成長を実感できる点が魅力です。

医療機器業界は変化が速いため、好奇心旺盛で新しいことに挑戦する意欲のある方は、転職エージェントを活用してチャレンジしてみましょう。