准看護師とは看護職の資格のひとつであり、正看護師は准看護師の上位資格です。

准看護師として働いている方のなかには、転職を検討している方もいるでしょう。

しかし、インターネット上では「准看護師の転職はやめとけ」といった意見が見られるので、不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

本記事では、准看護師が転職する理由をはじめ、転職が「やめとけ」と言われる理由、おすすめの転職先などを解説します。

また、准看護師と正看護師の違いや、正看護師になるメリット、転職に後悔しないためのポイントなど、准看護師の転職に役立つ情報を紹介するので参考にしてください。

以下の記事では、准看護師におすすめの転職サイトを紹介しています。

関連記事：准看護師におすすめの転職サイト9選！失敗しない選び方と賢い使い方を解説

准看護師が転職を検討する理由

准看護師はやりがいのある仕事ではあるものの、転職を検討する方は少なくありません。

ここからは、准看護師が転職を検討する、よくある理由について紹介します。

給与や待遇面の不満

准看護師の給与は正看護師と比べると低いため、給与や待遇面への不満が募りやすい傾向があります。

厚生労働省が令和5年に実施した「賃金構造基本統計調査」によると、看護師の年収が約508万円なのに対し、准看護師の年収は約407万円と、100万円以上の差がついていることがわかっています。

経験年数が増えたとしても「満足のいく給与を得られていない」と考える方は少なくありません。

正看護師と同様、夜勤や休日出勤などがあるにも関わらず、十分な給与を得られないと感じる場合、転職を考えるようになります。

職場環境に悩みがある

職場の人間関係がうまくいっていない、有休休暇が取りにくい環境など、職場環境に悩みがある場合も、准看護師が転職を考える理由のひとつです。

人間関係の悩みはモチベーション低下や、作業効率を下げる原因になります。

努力しても改善されない環境であれば、転職を考えるのも無理はないでしょう。

人手不足などで有給休暇を取得しにくい職場は、ライフワークバランスが崩れる可能性があります。

希望する日に休みが取れないと、ストレスが溜まりやすく、メンタルに悪影響を及ぼします。

また、時間外勤務が多い場合も、疲労やストレスの蓄積につながり、転職を考えるきっかけとなるでしょう。

キャリアアップが難しい

キャリアアップを理由に、転職を検討する准看護師も少なくありません。

准看護師は正看護師と比較するとできる仕事が限られているため、キャリアアップが困難な仕事です。

専門的な知識やスキルを求める准看護師は多く、正看護師を目指す方もいれば、他の医療関連職種に挑戦する方もいます。

専門的な知識を活かせる職場であれば年収アップも期待できるため、転職にメリットを感じ、転職を検討するようになります。

准看護師からの転職が「やめとけ」と言われる理由とは？

准看護師からの転職は「やめとけ」といった声を聞くことがあります。

なぜ「やめとけ」と言われるのか、理由を紹介します。

求人数が少ない

准看護師からの転職は「やめとけ」と言われる理由のひとつに、求人数が少ないことが挙げられます。

近年では「難易度の高い資格は学生のうちに取得する」といった傾向が強いため、准看護師よりも正看護師になる方が増加しています。

良い待遇で長期的に働きたいと考える方が多いことが、積極的に就職に有利な資格を取得する理由でしょう。

そのため、少ない准看護師の求人を出すのであれば、正看護師の求人を募集する医療機関が多くなっています。

求人数自体が少ないと、自分の条件に合う求人が見つかりにくくなります。

マッチする求人があったとしても、競争率が激しい場合は、選考に通過する可能性が低くなるでしょう。

給与水準が低い傾向がある

せっかく転職をしても給与が上がる見込みがないことが、准看護師が転職を「やめとけ」と言われる理由です。

「准看護師が転職を検討する理由」でもお伝えしましたが、准看護師は給与水準が低い傾向があります。

引用：厚生労働省｜令和5年賃金構造基本統計調査

そのため、准看護師として転職できたとしても現在の年収を上回る可能性は低く、下回るケースもあるでしょう。

また、准看護師から未経験の職種に挑戦する場合でも、一時的に収入が減少するリスクがあります。

しかし、すべての准看護師に該当するわけではなく、転職先によっては年収アップを目指せることもあります。

准看護師のおすすめの転職先は、次に紹介するのでチェックしてみてください。

准看護師におすすめの転職先

ここからは、准看護師におすすめの転職先を紹介します。

転職を検討している准看護師の方は、ぜひ参考にしてください。

資格が活かせる転職先

転職では応募者のスキルや実績が注目されるため、資格が活かせる転職先がおすすめです。

資格が活かせる転職先であれば、転職によるリスクを最小限に抑えられるでしょう。

准看護師の資格が活かせる転職先は以下を参考にしてください。

病院で働いている場合、異動を検討するのも手段のひとつです。

新しい診療科に異動することで、新しいスキルを習得でき、キャリアアップに役立ちます。

訪問看護ステーションや老人保健師施設、特別養護老人ホーム、デイケアサービスセンターなどでは、看護で培った実績や知識を思う存分活かせるでしょう。

医療機器メーカーや製薬会社では営業やコールセンターなどの仕事において、准看護師のスキルを発揮できます。

経験を活かせる異業種

准看護師の経験を活かせる異業種もおすすめです。

准看護師の経験を活かせる異業種を一部紹介します。

美容クリニックは美容外科と美容皮膚科に分けられ、主に医師がおこなう施術のサポートが仕事です。

病院とは違って患者さんではなくお客様となるため、高い接客スキルを求められます。

准看護師はコミュニケーションスキルや資格があることで、給与や採用が優遇される可能性があります。

保育士も、准看護師の経験を活かせる異業種のひとつです。

近年私立の認可保育園においては最低1名以上の看護師を常駐させる義務があり、准看護師の求人も増加しています。

乳児から小学校入学前の子供に対し、お世話をするのが仕事であり、子どもが好きな方におすすめです。

介護士、ケアマネージャー、障害者支援員など、介護関連の仕事も人のお世話をする仕事なので、准看護師の経験を十分に発揮できます。

高齢化社会が進む現代において需要の高い仕事のため、転職先選びに困らないでしょう。

未経験でも転職しやすい職種

准看護師とはまったく違った仕事に挑戦したい方は、未経験でも転職しやすい職種を選びましょう。

以下の職種であれば比較的未経験でもOKな求人が多くあります。

販売職は、自社の商品やサービスの販売をおこなう仕事です。

自分の好きな衣類や化粧品などがある方は、好きな販売商品に関われると楽しく働けるでしょう。

お客様と直接かかわるため、コミュニケーションスキルに長けている准看護師に向いています。

営業職も、販売職と同様にコミュニケーションスキルが必要な仕事です。

企業などの法人や個人に自社商品やサービスを提案・販売する職業であり、法人営業・個人営業・ルート営業・新規開拓など、さまざまな営業があります。

営業成績次第で高水準の給与が得られる可能性があるため、大幅に年収をアップできる可能性があります。

事務職も、未経験から挑戦しやすい職種です。

事務職は一般事務や営業事務、総務事務、経理事務など、多様な職種があります。

医療事務であれば、准看護師の経験をダイレクトに活かせるでしょう。

書類作成やデータ入力が基本的な仕事内容なので、基本的なパソコンスキルが必要です。

正看護師を目指す

准看護師の仕事にやりがいを感じており、キャリアアップを目指すなら、正看護師の道がおすすめです。

正看護師になることで、准看護師としてのキャリアや給与面の悩み、不満を解消できる可能性があります。

准看護師と正看護師の違いや、正看護師になるメリットについては次に紹介していくのでチェックしてみてください。

准看護師と正看護師の違いを比較

ここからは、准看護師と正看護師の違いを紹介します。

正看護師を目指す方は、どういった部分が変わるのかを理解するための参考にしてください。

定義

准看護師と正看護師は、そもそもの定義が異なります。

「保健婦助産婦看護婦法」では、以下のとおり定められています。

第五条　この法律において「看護師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話または診療の補助をおこなうことを業とする者をいう。

第六条　この法律において「准看護師」とは、都道府県知事の免許を受けて、医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて、療養上の世話または診療の補助をおこなうことを業とする者をいう。

引用：保健婦助産婦看護婦法

どちらも「療養上の世話または診療の補助」は共通していますが「医師、歯科医師または看護師の指示を受ける」といった部分が准看護師には記載されています。

正看護師は指示がなくても診療の補助が可能ですが、准看護師は指示がないと必要な業務ができません。

准看護師になる方法、看護師になる方法

准看護師になる方法、看護師になる方法にも違いがあります。

准看護師になるには、都道府県知事の発行する免許が必要であり、以下の進路に進むことで取得が可能です。

一方、正看護師は厚生労働省が発行する国家資格の「看護師資格」の取得が必要です。

正看護師になる方法は以下のとおりです。

准看護師は中学卒業後でも養成所に通うことで目指せますが、正看護師は高校卒業が必須です。

正看護師よりも准看護師のほうが、就職までにかかる時間が短くて済みます。

給与

厚生労働省による「令和２年賃金構造基本統計調査」では、准看護師と正看護師の給与は以下の結果が発表されています。

	准看護師	正看護師
平均月収額	約28万8,000円	約33万8,400円
平均賞与額	約67万8,000円	約85万7,500円
年収	約413万円	約492万円

准看護師と正看護師を比べると、年収では約80万円の差があることがわかりました。

准看護師にも正社員と同じように夜勤や残業などはあるものの、基本給や賞与の違いから大きな差があるようです。

求人数

前述したとおり、准看護師は正看護師と比べると求人数が少ないです。

有利な資格を積極的に取得する傾向があるのも理由ですが、雇用側からすると、医師や看護師の指示を必要とする准看護師は使いづらさを感じることがあります。

そのため、職場環境を充実させたい施設は、准看護師ではなく正看護師の求人を積極的に出すケースが少なくありません。

就職までの期間は准看護師のほうが短期間でも、就職のしやすさは正看護師が勝るでしょう。

業務内容

准看護師は、医師や正看護師の指示が必要ではあるものの、業務内容は正看護師とほとんど変わりません。

具体的な業務内容は以下のとおりです。

上記の業務は、正看護師に限らず、准看護師もおこなえます。

しかし、先ほども説明したように、准看護師は医師や看護師の指示がないと、たとえ同じ業務でも自己判断で実施できません。

患者さんから直接頼まれた場合でも、まずは医師や看護師に報告し、指示を受けてから動く必要があるため、スピーディーな対応が困難になります。

准看護師にはできることに限りがある

准看護師は正看護師と違ってできることに限りがあります。

以下に該当する業務は、准看護師には対応できません。

自己判断での看護業務だけでなく、准看護師は他の正看護師や准看護師への指示ができません。

年齢の離れた後輩であっても、同様に不可能です。

なぜなら「保健師助産師看護師法」にて、看護師は准看護師に指示を出す側と決められているからです。

また、正看護師のように管理職へ昇進したくても、准看護師では難しいと考えられています。

そのため、年齢を重ねていくと、准看護師として働くことがつらくなるケースが珍しくありません。

看護計画の立案も、准看護師にできない業務のひとつです。

看護計画とは看護過程を指し、看護師が患者さんに対しておこなう看護ケアの計画書を指します。

正看護師は、看護学校や大学に通う段階で、看護計画立案に関する知識を身に付けますが、准看護師養成学校の授業内容には看護計画立案の教育やアセスメント能力に関する教育が含まれていません。

こうした理由により、准看護師には看護計画の立案ができないことになっています。

准看護師から正看護師になるメリット

続いては、准看護師から正看護師になるメリットを紹介します。

准看護師と正看護師の違いを理解したなら、正看護師になるメリットもチェックしておきましょう。

転職先選びの幅が広がる

准看護師は正看護師よりも求人数が少ないため、正看護師になることで転職先選びの幅が広がります。

准看護師と正看護師は基本的に同じ職場で働けますが、看護師に絞った条件で求人を出すケースは少なくありません。

そのため、准看護師の免許しか持っていない場合、応募できる求人が限られます。

正看護師になれると、大学病院や総合病院への転職も視野に入れることが可能です。

求人数が多いほど条件に合う求人を見つけやすくなるため、希望する条件を満たした転職が叶いやすくなります。

年収アップを目指せる

前述したように、准看護師と正看護師の平均年収は、約80万円の差があります。

正看護師になると年収の高い仕事に就きやすくなるため、准看護師よりも年収アップが可能です。

正看護師であれば指示がなくとも看護業務の判断をおこなえるので、職場の管理や新人の指導を任せられる機会が増えます。

その結果、給与が上がる傾向にあり、将来的にはキャリアアップを目指せます。

キャリアアップにつながる

准看護師は医師や正看護師の指示が必要なこともあり、昇進が難しいのが現状です。

正看護師になることで、さまざまな将来性を考えられるようになるため、役職へのキャリアアップの道も開かれます。

たとえば、マネジメントスキルを磨いていけば、主任や看護部長といった仕事を任される可能性があります。

専門性を高めて専門看護師などの資格を取得すると、看護のプロフェッショナルとして働くことができるでしょう。

幅広く現場で活躍するジェネラリストとして働く道もあるため、さまざまなスキルアップに挑戦することができます。

准看護師が転職に後悔しないためのポイント

准看護師が転職するにはさまざまな可能性があるため、自分にマッチした選択が重要になります。

ここからは、准看護師が転職に後悔しないためのポイントを紹介するので、ぜひ実践したうえで転職を目指しましょう。

入念に自己分析をおこなう

転職に後悔しないためには、入念な自己分析が欠かせません。

自己分析とは、転職前に自分の性格やこれまでの経験を分析することを指し、自分のやりたい仕事や自分に合う職場環境を把握するためにおこなうことです。

自己分析を怠ってしまうと、社風や仕事内容が合わない職場に転職したり、やりがいを感じられない仕事に就いてしまったりするリスクがあります。

転職活動で自己分析をおこなうには、仕事に求める価値観と自身の活かせるスキルや経験を改めて理解することがポイントです。

仕事に求めるものはやりがいか、キャリアアップか、給与なのか、自信の価値観を見つめ直してみましょう。

さらに、自身のスキルや経験の理解を深めることは、書類選考や面接で自分をアピールする際に役立ちます。

資格取得を目指す

有利に転職活動を進めたいなら、資格取得を目指すのも手段のひとつです。

転職活動が長引いてしまうと焦りが生じ、妥協した転職先を選びかねません。

希望条件に合わない職場に転職すると、転職に後悔するリスクがあります。

応募先に必要な資格を取得することは、転職の大きな武器となります。

たとえば、事務職への転職を検討しているなら、パソコンスキルの証明に役立つ資格の取得を検討しましょう。

また、介護職員初任者研修やケアマネージャーの資格など、医療関連の資格を取得することでキャリアの幅が広がります。

転職エージェントを活用する

転職に失敗するリスクを軽減するには、転職エージェントの活用をおすすめします。

転職エージェントでは以下のサポートを求職者に対して無料で提供しています。

ひとりで転職活動を進める場合、上記をすべて対応する必要があるため、時間も手間もかかります。

転職エージェントに登録すると担当者が代行してくれたり、アドバイスをくれたりするので、効率的に転職活動を進めることが可能です。

准看護師が再び看護業界に転職する場合、看護に特化した転職エージェントを利用することをおすすめします。

専門分野に特化している転職エージェントであれば、業界に精通しているキャリアアドバイザーが多数在籍しているなどのメリットがあります。

次におすすめの転職エージェントを紹介するので、ぜひ参考にしてください。

准看護師におすすめの転職エージェント

ここからは、准看護師におすすめの転職エージェントを紹介します。

看護roo!

看護roo!(看護ルー)は看護師の転職に特化した転職エージェントです。

職場での悩みや転職の不安など何でも相談できるため、転職するか決められない方や転職活動で何から始めれば良いかわからない方は相談してはいかがでしょうか。

担当者とはLINEでやり取りできるので、電話が苦手な方も安心です。

検索機能では「4週8休以上」「新規オープン」「ブランク・未経験可」などの条件で絞り込みができ、好条件の求人を見つけやすいのも魅力です。

レバウェル看護(旧：看護のお仕事)

レバウェル看護(旧：看護のお仕事)は、職場のリアルな情報がわかる転職エージェントです。

「入ってみないとわからない」というような職場の内部事情を教えてもらえるため、転職後のギャップを最小限に抑えることができます。

面接でよく聞かれる質問や回答例などを事前に教えてもらうことができるなど、面接対策が充実している点が強みです。

情報収集のみの利用もできるため、今すぐ転職をしない方でも登録ができます。

ナース専科 転職（旧：ナース人材バンク）

多くの求人から選びたい方は、業界最多の求人数を誇るナース専科 転職（旧：ナース人材バンク）がおすすめです。

キャリアパートナーは地域担当制であり、地域に根差したリアルな情報の共有が可能なので、転職の失敗を防ぎやすいでしょう。

入職後のアフターフォローにも対応しているため、転職後の悩みやトラブルにも対応してもらえます。

准看護師からの転職でよくある質問

最後に、准看護師からの転職でよくある質問を紹介します。

准看護師は就職・転職できないって本当ですか？

准看護師が就職・転職できないということはありません。

しかし、正看護師と比べると求人数が少ないため、転職に苦戦する可能性はあるでしょう。

有利に転職をしたい場合は、資格取得やキャリアアップを目指すことを検討してみてください。

准看護師は廃止されるのですか？

准看護師が廃止されるといった声を聞き、不安になっている方もいるでしょう。

結論からお伝えすると、2024年時点で准看護師は廃止に至っておらず、廃止時期についても明言はありません。

看護業界は人手不足が課題になっているため、准看護師の需要がすぐになくなることは考えにくいです。

仮に准看護師がなくなることになっても、現在働いている方たちの資格が剥奪されるようなことはおきないでしょう。

准看護師から転職するには正看護師の道や資格が役立つ転職先がおすすめ！

准看護師の転職では転職先が絞られると考えがちですが、資格や経験を活かせる転職先は多岐にわたります。

転職の目的や自分の適性を見つめ直すことで、幅広い選択肢の中から自分に合った転職先を見つけられるでしょう。

准看護師の業務内容をさらに極めたい方は、正看護師へのキャリアアップも選択肢のひとつです。

正看護師になると給与アップやキャリアアップが目指せるなど、さまざまなメリットがあります。

転職や転職活動に不安がある方は、転職エージェントへ相談することで悩みが解消するかもしれません。 転職エージェントは転職に役立つサポートを無料で受けられるため、ぜひ登録を検討してみてください。