現在、会社勤めしている方のなかには「仕事に行けない...」「働くのが怖い...」と感じている方も多いでしょう。

結論、「仕事に行けない...」「働くのが怖い...」と感じるのは適応障害が原因かもしれません。

とはいえ「適応障害ってどんな病気？」「適応障害で仕事に行けない場合はどうすればいいの？」と気になると思います。

そこで、本記事では適応障害とはどんな病気か・適応障害で仕事に行けない場合の対処法をまとめました。

記事を読めば、適応障害になった場合にとるべき行動が具体的にわかるでしょう。

仕事に支障が出るほど強いストレスを感じている方は、最後まで読んでみてください。

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適応障害とは

適応障害とは、何らかのストレスによって心身に不調が生じ、日常生活や仕事に支障が出てしまう状態です。

適応障害を引き起こすストレスは、大きく以下の2種類に分けられます。

種類	定義	具体例
外的ストレス	外部からの刺激によって生じるストレス	環境の変化（例：転職・異動） 人間関係のトラブル 長時間残業
内的ストレス	自分自身の考え方によって生じるストレス	悲観的な思考 過去のトラウマ ストレスへの対応能力が低い

適応障害の主な症状

適応障害の主な症状は以下のとおりです。

精神的な症状	イライラする 気分が落ち込む やる気が出ない 不安で落ち着かない 集中力が低下している
身体的な症状	動悸 めまい 吐き気 睡眠障害 食欲不振・過食
行動面の変化	無断欠勤 無謀な運転 攻撃的な言動

適応障害の診断は、アメリカ精神医学会が発行している「DSM-5」と呼ばれるマニュアルを用いておこなわれます。

適応障害とうつ病の違い

適応障害と似た症状が現れる精神疾患にうつ病があります。

それぞれの違いを以下の表にまとめました。

	適応障害	うつ病
原因	明確なストレス因子がある	発症の原因が明確ではない
症状の持続期間	比較的短期間で症状が改善する傾向がある	症状が慢性化することが多い
ストレス因子への反応	ストレスの原因から離れると症状が改善しやすい	ストレス因子がなくなってもうつ状態が続く
自己評価	自分の行動に対する罪悪感を抱えることは少ない	自分を責め続ける傾向がある

適応障害はストレスの原因が解消されると回復するケースが多いです。

ただし、症状が長引くと診断名がうつ病に切り替わる場合もあります。

そのため、適応障害＝うつ病の前段階の精神疾患との見方も可能です。

適応障害が仕事に与える5つの影響

適応障害が仕事に与える影響は以下のとおりです。

ひとつずつ順番に解説します。

ミスが増える

適応障害になると、注意力が散漫になり、仕事でのミスが増えることがあります。

たとえば、これまでミスが少なかったものの、急に書類の不備や納期遅れなどが目立つようになる方もいるでしょう。

また、ミスの増加によりストレスがたまった結果、適応障害の症状が悪化し、さらに失敗してしまう可能性も十分に考えられます。

このように、適応障害でミスが増加するケースは珍しくありません。

身だしなみが乱れる

仕事でのパフォーマンスだけではなく、見た目にも変化が起きる場合があります。

たとえば、これまで見た目に気を遣っていたにもかかわらず、以下のように変わってしまうケースは珍しくありません。

身だしなみの乱れも、適応障害で生じる典型的な変化のひとつです。

体調不良で仕事ができなくなる

体調不良で仕事に支障が出てしまうケースも多々あります。

適応障害で生じる体調面の主な変化は、以下のとおりです。

場合によっては、出勤さえ苦痛に感じるほど症状が重い方もいます。

精神面だけではなく、身体面の症状で思うようなパフォーマンスを発揮できないことも考えられます。

無断で遅刻・欠勤するようになる

急に無断で遅刻・欠勤するようになる方も珍しくありません。

適応障害の場合、会社に行くことに対する恐怖心から、無断での遅刻・欠勤が目立つようになる傾向があります。

また、不眠・過眠などの身体的な症状が原因になっているケースもあるでしょう。

無断での遅刻・欠勤も、適応障害の方によく見られる行動面の変化のひとつです。

コミュニケーションがスムーズにいかなくなる

適応障害が原因で、コミュニケーションがスムーズにいかなくなることもあります。

たとえば、これまで人付き合いが良かったのにもかかわらず、急に人との関わりを避けるようになる方もいるでしょう。

また、攻撃的な言動で周囲とトラブルに発展する回数が増える場合もあります。

このように、病気が原因でコミュニケーション面に問題が生じ、職場での人間関係や仕事のパフォーマンスに影響が生じるケースも多いです。

適応障害になりやすい人の特徴

適応障害になりやすい人の主な特徴は、以下のとおりです。

上記の特徴に当てはまっているからといって、全員が適応障害になるわけではありません。

ストレス耐性や環境への適応能力は人によって異なるからです。

とはいえ、完璧主義・我慢強い・利他的などの特徴が見られる場合は、限界を超えてストレスを溜め込みやすく、適応障害のリスクが高くなる傾向です。

自分が上記の特徴にいくつ当てはまっているかチェックしてみてください。

適応障害で仕事に行けない場合の対処法5つ

適応障害で仕事に行けない場合の対処法をまとめました。

それではひとつずつ解説します。

産業医の面談を受ける

会社に産業医がいる場合は面談を受けましょう。

産業医は、労働者が健康で快適な職場環境で働けるよう、専門的な立場から指導・助言をする医師です。

労働安全衛生法により、常時50人以上の労働者がいる事業所では産業医の選任が義務づけられています。

産業医に相談すれば、今の心身の状態を踏まえた適切なアドバイスをもらえます。

また、場合によっては職場環境の改善点を会社に提案してくれることもあるでしょう。

産業医には守秘義務があるため、労働者は安心して相談できる点もメリットです。

適応障害で悩んでいる方は、まず産業医の面談を受けてみてください。

心療内科や精神科を受診する

産業医の面談では解決できない場合は、心療内科や精神科を受診することも方法のひとつです。

心療内科や精神科で客観的な診断を受けて、具体的な治療法を教えてもらえば、症状が快方に向かう可能性があります。

場合によっては、投薬治療や定期的な通院を受けながら働けるようになることもあり得るでしょう。

ちなみに、心療内科は心の不調によって起こる身体症状を扱うのに対して、精神科では精神症状を中心に扱います。

そのため、身体症状が目立つ場合は心療内科、精神症状が目立つ場合は精神科を受診することをおすすめします。

職場環境の調整を申し出る

今後も仕事を続けていくのであれば、上司や人事担当者に職場環境の調整を申し出ることも検討してみてください。

同じ職場であっても環境を変えれば、症状が改善される可能性があるからです。

たとえば、上司がストレスの原因である場合、部署異動によって精神的な負担を軽減できることも考えられます。

このように、職場環境を変えてもらうのも良い方法です。

休職制度の有無を確認する

職場環境を調整してもらえない場合や、心身の状態が限界に来ている場合は、休職を視野に入れましょう。

会社によって休職制度の有無が異なるため、まずは就業規則などで確認してみることをおすすめします。

また、休職中の生活が心配な方は、傷病手当金の申請を検討してみてください。

経済的な不安を減らせるため、安心して治療に専念できます。

申請方法がわからない場合は、『社会保険給付金サポート』を活用して手続きを進めましょう。

関連記事：傷病手当金の審査は落ちる？不支給になる原因や対策・再請求を解説

転職を視野に入れる

休職しても状況が改善されないのであれば、転職を検討してみてください。

同じ職場で無理して働き続けると、体調が悪化してしまう可能性があるからです。

できれば働きながら転職活動を進めるのが理想ですが、どうしても難しければ退職してからでも問題ありません。

失業保険を受給すれば、退職後でも生活の心配をせずに転職活動を進められます。

転職の方法については後述しているので、このまま読み進めてみてください。

関連記事：適応障害で転職が怖い？成功事例と克服のためのヒントを徹底解説

適応障害の人が働きやすい職場へ転職する方法

適応障害の人が働きやすい職場へ転職する方法は、以下の3つです。

ひとつずつ順番に見ていきましょう。

関連記事：適応障害でも転職するには｜成功のためのポイント5つとおすすめ転職方法

適応障害になった要因を探る

まずは、適応障害になった要因を探るところから始めてみてください。

発症の原因を特定できれば、転職先選びの軸が見えてくるからです。

たとえば、上司の高圧的な言動が要因であれば、社風を重視して転職先を選ぶと失敗する確率を減らせるでしょう。

このように、適応障害になった要因を探れば、適応障害の人が働きやすい職場が自然と浮かび上がってきます。

働き方が柔軟な職場を選ぶ

働き方が柔軟な職場を選ぶのも選択肢のひとつです。

適応障害の症状は日によって変動があるため、働き方が柔軟であれば、体調に合わせて働けます。

このように、適応障害の方は働き方が柔軟な職場を選ぶことも視野に入れてみてください。

就職・就労支援サービスを利用する

適応障害があり、転職に不安を抱えている方は、就職・就労支援サービスを利用してみましょう。

ハローワークや転職エージェントなどの就職支援サービスでは、求人紹介・選考対策をおこなっています。

自力で転職活動を進めるのが不安な方におすすめです。

また、就労移行支援事業所をはじめとする就労支援サービスでは、障害に即したサポートを受けられます。

「適応障害があり、いきなり社会復帰するのは不安...」と悩む方に適したサービスです。

適応障害の人が利用できる就職・就労支援サービスは後述しているので、気になる方はチェックしてみましょう。

適応障害の人が利用できる就職・就労支援サービス

この章では、適応障害の人が利用できる就職・就労支援サービスをまとめました。

各サービスの特徴・メリットを紹介しているので、自分に合ったサービスを探してみてください。

ハローワーク

ハローワークは、厚生労働省が運営する職業紹介機関です。

一般の窓口だけではなく障害者雇用の窓口があり、障害に関する専門的な知識をもつ職員から就職のサポートを受けられます。

適応障害をはじめとする精神疾患に理解のある求人が多いため、体調に不安がある方でも安心です。

障害者手帳がなくても問題なく利用できるので「適応障害できちんと働けるのか心配...」と悩んでいる場合は一度サポートを受けてみると良いでしょう。

関連記事：【徹底比較】転職サイトとハローワークはどっちを利用すべき？それぞれの違いや併用のコツを紹介

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所では、一般企業への就職を目指す障害者の方に向けて支援を実施しています。

支援内容は各事業所で異なりますが、主なサポート内容は以下のとおりです。

就職だけではなく、ストレスへの対策や健康管理など、生活のサポートを受けられる場合もあります。

原則2年間まで利用できるので、自分のペースでじっくり社会復帰したい方は、利用を検討してみてください。

関連記事：おすすめの就労移行支援をタイプ別に紹介！選び方のポイントや利用時の注意点も押さえよう

転職エージェント

転職エージェントは、無料でキャリアアドバイザーから転職のサポートを受けられるサービスです。

サポート内容は転職エージェントによって異なりますが、主に以下のような支援を受けられます。

求人の紹介から選考対策、アフターフォローまで一貫してサポートしてもらえます。

なかには、障害者の方に向けた転職エージェントもあるため、自分の障害に即したサポートを受けたい方は利用してみてください。

適応障害の方におすすめの転職エージェントは、以下の記事で紹介しています。

関連記事：適応障害の方におすすめの転職エージェント10選！転職を成功させるための方法も解説

地域障害者職業センター

地域障害者職業センターは、障害のある方に対して専門的な職業リハビリテーションを提供する施設です。

利用者一人ひとりのニーズに合わせて、センター内での作業体験や技能訓練などの就職に向けて必要なサポートをおこなっています。

身体・精神など幅広い障害に対応しており、障害者手帳がなくても問題なく利用できます。

全国47都道府県に設置されているため、都会・地方に関係なく使える点がメリットです。

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターは、障害のある方に向けて就労・生活の支援をおこなっています。

就業に関する相談に対応しているだけではなく、お金や健康に関するアドバイスもしてもらえます。

無料で相談できるので、転職に際して不安や悩みがある方は利用を検討してみてください。

適応障害の方に向いてる仕事

適応障害の方に向いてる仕事の特徴を以下にまとめました。

具体的におすすめの職種は以下のとおりです。

適応障害でどんな仕事を選べばいいかわからない方は、参考にしてみてください。

ちなみに、適応障害の方に上記の職種がおすすめの理由は以下の記事で解説しています。

関連記事：適応障害に向いてる・向いてない仕事と職場探しのポイント５つ

適応障害で仕事に行けない方によくある質問

最後に、適応障害で仕事に行けない方によくある質問に回答します。

疑問点がある方はチェックしてみてください。

適応障害で休職・退職するのは甘え？

適応障害で休職・退職するのは甘えではありません。

医学的に認められた障害であり、気分の問題ではないからです。

適応障害で休職・退職するのは決して悪いことではなく、自分の身を守るための賢明な判断です。

そのため、周りの目を気にする必要はありません。

関連記事：ストレスで退職は甘え？ストレスの原因や退職すべきサインを紹介

適応障害で休職・退職する場合に診断書は必要？

適応障害で休職・退職する場合に診断書は必須ではありません。

しかし、診断書があると休職・退職の必要性を客観的に証明できるため、手続きがスムーズに進む可能性があります。

場合によっては、退職までの日数を短縮してくれることもあり得るでしょう。

そのため、適応障害で休職・退職する際には、医師に診断書を書いてもらうことをおすすめします。

適応障害による休職から復職までにかかる期間は？

症状が軽度であれば、2週間〜1ヶ月程度で回復して仕事復帰できるケースもあります。

しかし、症状が重いと3ヶ月以上の長期休養が必要になる場合もあり得ます。

人によって復職までにかかる期間は異なるので、無理して復職を焦らず自分のペースで仕事復帰を目指しましょう。

適応障害で休職・退職する際の会社への伝え方は？

適応障害で休職・退職する際は、適応障害であることを正直に伝えればOKです。

以下の例文を参考に、休職・退職の意思を伝えてみてください。

関連記事：適応障害で退職する方法｜流れ・伝え方・受けられる支援制度も紹介

適応障害から回復した方の体験談は？

適応障害から回復した方がX（旧Twitter）に投稿したリアルな声を、ピックアップして紹介します。

あ、そういや、適応障害から回復したので、少し前から仕事に復帰してます。

ほんとつくづく思うのが、

心壊してまで働かなくていいっすよ
自分を大切にすんのが最優先っすよ
って分かってるのに防げなかった

ってことかな。そういう人、実は大勢いるんじゃないかな。みなさん、どうかご自愛を。

— たけちゅーさん (@take_nostress) September 14, 2023

一度適応障害になったけど転職してからだいぶメンタル回復したなぁ。
前の職場にいた時と比べてよく喋るようになったし、よく笑うようになった気がする。

— ちぃ| もうすぐ無職 (@chy_design) July 31, 2024

先月の今頃に『適応障害』が発覚したけど、今は感情の波はあれど落ち着いてきたし睡眠時間も回復してきたから逃げて正解だったんだよ…

— 佐藤 (@3ai0r) November 22, 2024

このように、適応障害から回復した方は多くいます。

適応障害になっても悲観的になる必要はないので、焦らず自分のペースで前に進んでいきましょう。

まとめ

適応障害とは、ストレスが原因で日常生活や仕事に支障が出る状態です。

イライラ・抑うつなどの精神的な症状だけではなく、動悸やめまいといった身体的な症状がおこる場合もあります。

適応障害で仕事に行けない場合は医師の診察を受けましょう。

まずは産業医に相談をして、それでも解決できない場合は心療内科や精神科を受診することをおすすめします。

また、上司や人事担当者に職場の環境調整を依頼するのも方法のひとつです。

もし、環境を変えられない場合は、休職や退職することも検討してみてください。

休職や退職する際に生活が心配な方は、『社会保険給付金サポート』を活用して給付金を受け取りましょう。