退職のタイミングで申請できる給付金には、名称が似ているものも多く存在します。そのため、各給付金の違いが分からずに、混乱している方も少なくないでしょう。

とくに社会保険給付金の中に失業保険も含まれているため、制度の違いを正確に理解することが重要です。

そこで本記事では、社会保険給付金と失業保険の違いを比較し、受給条件や申請方法を解説しました。社会保険給付金や失業保険を受け取るメリットと、デメリットも紹介しています。

社会保険給付金と失業保険を同時に申請できるかも解説したので、記事の内容を参考にしてください。

事前に読みたい⇒退職後にもらえる給付金まとめ！自己都合退職でももらえる条件とは？給付期間・金額も解説

社会保険給付金と失業保険の違いとは？

社会保険給付金とは、健康保険や雇用保険から受け取れる給付金を総称する言葉です。

社会保険給付金は給付金の申請をサポートする会社が使い始めた名称で、傷病手当金や再就職手当のほか、失業保険も含まれます。

社会保険給付金と失業保険の違いは、以下の表で確認してください。

	社会保険給付金	失業保険
目的	失業時や病気・ケガをした際に生活を支援する	失業時に再就職までの生活を支援する
対象者	社会保険と雇用保険の加入者	雇用保険の加入者
給付内容	制度によって異なる	基本手当として給与の45～80%を支給
申請場所	傷病手当金：全国健康保険協会 失業保険：ハローワーク 再就職手当：ハローワーク	ハローワーク

病気やケガ、退職後の生活費を支援する制度のため、制度内容を理解しておくことが重要です。

社会保険給付金とは申請をサポートする会社が付けた名称

社会保険給付金の概要を、具体的に解説します。

より詳しく社会保険給付金を理解したい方は、以下の記事も参考にしてください。

社会保険給付金の一覧

給付金の申請をサポートする会社によりますが、社会保険給付金はおもに3つの制度を指しています。

これらの給付金は、労働者や失業者の生活を支援するために作られました。

給付金ごとに受給条件や申請方法は異なるため、事前に確認すると安心して利用できるでしょう。

社会保険給付金の受給条件

社会保険給付金の受給条件を、以下の表にまとめました。

給付金の名称	受給条件
傷病手当金	仕事中や通勤中以外に病気やケガをした 病気やケガのため仕事ができない 連続3日間の休業を含めて4日以上仕事を休んでいる 会社から給与の支払いがない
失業保険	失業している 働く意思と能力がある 求職活動を行っている 一定期間以上の雇用保険の被保険者期間がある
再就職手当	失業保険の受給資格がある 失業保険の所定給付日数が3分の1以上残っている 雇用契約期間が1年以上ある会社に就職をした

傷病手当金を受給する際は、全国健康保険協会から必要書類を取り寄せて申請を行いましょう。また、失業保険と再就職手当は、ハローワークで申請できます。

社会保険給付金の申請方法

社会保険給付金の申請方法は、以下の通りです。

また、制度ごとに必要書類は異なります。

以下の公式サイトから、必要書類を確認してください。

社会保険給付金を自分で申請する方法は、以下の記事で詳しく解説しています。

社会保険給付金の受給金額

社会保険給付金の受給金額は、年収や年齢によって異なります。

具体的な計算方法は、以下の表で確認してください。

給付金の名称	受給金額の計算方法
傷病手当金	直近12ヵ月の平均標準報酬月額 ÷ 30×2/3
失業保険	給付日数×基本手当日額
再就職手当	基本手当日額 × 支給残日数 × 給付率

具体的な金額は、全国健康保険協会やハローワーク、社会保険給付金サポートを行う会社で確認できます。

申請前に受給金額を知りたい方は、上記の機関に問い合わせてみましょう。

社会保険給付金の受給期間

社会保険給付金の受給期間を、以下の表にまとめました。

給付金の名称	受給期間
傷病手当金	支給を開始した日から通算して1年6ヵ月
失業保険	90日～330日 （障がい等があり就職が困難な場合は最大360日）
再就職手当	申請後に一括で支給

傷病手当金の受給後に失業保険を申請すると、最大で28ヶ月間も社会保険給付金を受給できます。また、失業保険を受給中に企業から内定を獲得した場合は、再就職手当を申請できる場合もあります。

失業保険とは失業中の方を支援する制度

失業保険とは、退職後の生活費を支援するための制度です。

正式名称は雇用保険の基本手当ですが、一般的には失業保険や失業手当と呼ばれています。

失業保険の制度内容は以下の記事で詳しく解説したので、あわせて読み進めてください。

失業保険の受給条件

失業保険の受給条件は、以下の通りです。

受給条件を満たした方であれば、ハローワークで失業保険を申請できます。

具体的な受給条件は以下の記事で解説したので、参考にしてください。

失業保険の申請方法

会社を退職した後は、以下の流れで申請を行いましょう。

退職後に会社から離職票が届いたら、ハローワークで申請を行います。

詳しい申請方法は以下の記事で紹介したので、あわせて読み進めてください。

失業保険の受給金額

失業保険の受給金額は、給付日数×基本手当日額で計算できます。

例えば32歳で退職し、雇用保険の被保険者期間は9年、退職前6ヶ月間の賃金総額が200万円の場合、1日あたりの基本手当日額は6,292円です。

基本手当日額の6,292円に給付日数（90日～300日）を掛けると、失業保険の受給金額を計算できます。具体的な金額はハローワークのWebサイトで計算できるので、活用してください。

参考：ハローワーク｜失業保険（失業給付額）を自動計算する

失業保険の受給期間

具体的な受給期間を、退職理由ごとに紹介します。

退職理由によって受給期間は異なるため、離職票などで自分の状況を確認してください。

社会保険給付金や失業保険を受け取るメリット

社会保険給付金や失業保険を受け取るメリットを、2つ紹介します。

経済的なストレスを軽減できる

社会保険給付金や失業保険を受け取ることで、経済的なストレスを軽減できるメリットがあります。なぜならば、病気やケガ、失業中に働けない場合でも一定の収入を得られるため、生活費の心配が軽減されるからです。

例えば、旅行中の事故で足を骨折した場合、仕事へ復帰するまでの期間は傷病手当金を受給できます。

仕事を休んでいる期間も一定の収入を得られるため、生活費の心配をせずに治療へ専念できるでしょう。

転職活動や病気の治療に専念できる

転職活動や病気の治療に専念できることも、社会保険給付金や失業保険を受け取るメリットのひとつです。給付金の申請をすると一定期間収入を得られるため、経済的な不安を抱えることなく転職活動や治療に専念できます。

例えば退職後にハローワークで失業保険を申請すると、退職前の給与や雇用保険の被保険者期間に応じて、基本手当を受け取れます。

定期的に基本手当が振り込まれるため、転職に必要な資格の取得や面接対策など、キャリアアップに向けた準備に専念できるでしょう。

社会保険給付金や失業保険を受け取るデメリット

社会保険給付金や失業保険を受け取るデメリットを、3つ紹介します。

以下のデメリットを理解して、申請を行ってください。

受給中は働けない場合がある

社会保険給付金や失業保険の受給中は一時的に収入を確保できますが、再就職などの就労活動に制限がかかる場合があります。

とくに傷病手当金を受給している期間は仕事ができないため、支給額以上の収入を得られないデメリットがあるでしょう。

また、失業保険の受給中に週20時間以上働くと、基本手当の受給が停止されます。

就労活動に制限がかかる可能性があることは、制度を利用する前に理解しておきましょう。

転職までの期間が長くなる

社会保険給付金や失業保険を受け取ると経済的に余裕ができるため、転職までの期間が長くなりやすいです。

転職までの期間が長くなると、仕事をしない空白期間が生まれるデメリットがあります。

そのため、転職時に企業の採用担当者はネガティブな印象を持つ可能性があるでしょう。

例えば、面接のときに「なぜ空白期間が生じたのですか？」「空白期間の過ごし方を教えてください」などの質問を受けやすくなります。

社会保険給付金や失業保険を受け取ると転職までの期間が長くなり、面接でネガティブな印象を与えてしまう可能性があることを覚えておきましょう。

申請には手間や時間がかかる

申請に手間や時間がかかることは、社会保険給付金や失業保険を受け取るデメリットと言えるでしょう。

例えば、傷病手当金の申請には、以下の書類を用意する必要があります。

また、申請から給付までの期間が2ヶ月から3ヶ月かかることも、各種給付金を申請するデメリットと言えそうです。

複雑な申請手続きに不安のある方は社会保険給付金サポートに相談しよう

社会保険給付金や失業保険を満額受け取るには、複雑なルールの理解が必要です。

申請手続きに不安がある方には、『社会保険給付金サポート』への相談をおすすめします。

とくに退職コンシェルジュでは、LINEを使って各種給付金への質問を受け付けています。

担当者はあなたの状況に適した給付金の申請を提案してくれるので、一度以下のボタンから無料相談へ申し込んでみましょう。

社会保険給付金と失業保険は同時に申請できる？

社会保険給付金と失業保険は、同時に申請や受給ができません。理由は、制度ごとに申請できる条件が異なるからです。

具体的な条件を、以下の表にまとめました。

給付金の名称	申請できる条件
傷病手当金	病気やケガのため仕事ができない人
失業保険	いますぐに働ける状態だが失業している人
再就職手当	失業保険の受給中に再就職が決まった人

ただし、同時に申請はできませんが、状況に応じて各制度を順番に利用できます。

例えば、失業保険を受給中に企業から内定をもらった場合は、再就職手当の申請が可能です。また、傷病手当金を受給後に退職し、病気やケガが回復した場合は失業保険を申請できるでしょう。

このように制度ごとのルールを理解できると、適切に社会保険給付金や失業保険を申請できます。

社会保険給付金や失業保険の自力での申請が難しい理由

自力での申請が難しいと言われている理由を、4つ紹介します。

申請手続きを調べる作業に時間がかかる

社会保険給付金や失業保険は手続きの流れが複雑で、必要な情報を集めるために多くの時間が必要です。情報収集に時間がかかることは、自力での申請が難しい理由のひとつでしょう。

例えば傷病手当金の申請では、以下の手順を行う必要があります。

手続きに必要な情報を集める作業に時間がかかることで、自力での申請を難しくしています。

給付金ごとに必要書類が異なる

申請する給付金ごとに必要書類が異なることも、自力での申請を難しくしている理由のひとつです。

例えば、失業保険の申請では離職票や雇用保険被保険者証を用意しますが、傷病手当金の申請時は医師の意見書や勤務先からの証明書が必要です。

また、申請する給付金を切り替える際に複数の書類が必要なことも、自力での申請を難しくしています。

申請方法を間違えると受給できない可能性がある

社会保険給付金や失業保険は、申請方法を間違えたり受給条件を満たさなかったりすると、給付金を受け取れない可能性があります。

例えば、失業保険を受給するには継続した求職活動が必要です。求職活動をまったく行わないと、受給資格を失う可能性もあるでしょう。

給付金の申請時から受給終了までのルールを把握する必要があることも、自力での申請を難しくしている原因のひとつと言えそうです。

転職活動や病気の療養と並行しながらでは負担が大きい

転職活動や病気の療養と並行しながら社会保険給付金の申請を行うと、心身ともに負担が大きくなる可能性がでてきます。

とくに病気の治療中に必要書類を集める作業は、体への負担が大きくとても大変です。

現在、社会保険給付金や失業保険の申請が難しい状況にある方は、社会保険給付金サポートの利用も検討してください。社会保険給付金サポートを利用すると、転職活動や病気の治療に専念でき、適切に制度を利用できるメリットがあります。

社会保険給付金と失業保険に関するよくある質問

社会保険給付金や失業保険を申請する際に、よくある質問を4つ紹介します。

社会保険給付金は誰でももらえますか？

健康保険や雇用保険に一定期間加入した方であれば、雇用形態を問わずに給付金を申請できます。

ただし、個人事業主やフリーランス、公務員や無職の方は、社会保険給付金を申請できない場合もあるので注意してください。

事前に受給条件や申請方法を確認し、必要書類を用意しましょう。

社会保険給付金は公務員でも受け取れますか？

公務員は、病気やケガをしたときに申請できる傷病手当金を受け取れますが、失業保険の申請はできません。

理由は、国家公務員や地方公務員は、雇用保険法の適用対象外だからです。

ただし、公務員は退職時に退職手当を受給できます。

退職手当の申請方法や受給額の計算方法は以下の記事で解説したので、あわせて読み進めてください。

関連記事：公務員は失業保険をもらえない！代わりにもらえる手当と申請方法を解説

社会保険給付金は退職前に申請できますか？

傷病手当金の申請には勤務先からの証明書が必要なため、退職前の申請が可能です。

一方で、失業保険や再就職手当は、退職してから申請の手続きを開始します。

制度ごとに申請方法が異なるので、各制度の必要書類に目を通し、適切に準備を行いましょう。

社会保険給付金を申請したら会社にバレますか？

社会保険給付金を申請すると会社にバレますが、厚生労働省や全国健康保険協会が管轄する制度なので問題はありません。

正当な理由があって社会保険給付金を受給した場合、転職活動の面接でも事情を説明すればネガティブな印象にはならないでしょう。

まとめ｜社会保険給付金と失業保険の違いを理解して適切に申請しよう

この記事では、社会保険給付金と失業保険の違いを詳しく紹介しました。

社会保険給付金は申請をサポートする会社が付けた名称で、傷病手当金や失業保険も含まれます。

申請の際は制度ごとに受給条件や必要書類が異なるので、全国健康保険協会やハローワークの公式サイトから適切に情報を集めてください。

また、申請手続きに不安のある方は、社会保険給付金サポートへの相談がおすすめです。退職コンシェルジュでは無料相談を行っているので、気軽に問い合わせてみましょう。