老健の看護師を辞めたいおもな理由は、介護業務による身体的な負担や、入所者・家族・職員との人間関係があげられます。

老健と医療機関では目的が異なることに加え、在宅復帰を目指すためにさまざまな人と関係性を構築する必要があるためです。

辞めたくなったときは、自分でできる対処方法を試したり、老健の看護師に向いているか確認したりしましょう。そのうえで転職を考えることが大事です。

この記事では、老健の看護師を辞めたいと感じる理由や対処方法、向いている人・向いていない人・老健からの転職を成功させるポイントについて解説します。

記事を参考に、自分が希望する働き方を実現させてください。

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老健の看護師を辞めたいと感じる5つの理由

老健の看護師を辞めたいと感じる理由は、介護業務による身体的な負担や人間関係による影響が大きいです。おもな理由は以下の5つです。

一つずつみていきましょう。

介護業務が多く身体的な負担がある

介護業務が病院より多く、身体的につらいと感じ辞めたくなるケースです。

老健の入居条件は、要介護1以上の認定を受けていることです。令和4年度「介護給付費等実態統計の概況」によると、老健の入居者は要介護3・要介護4の割合が多い結果でした。身体的な援助が必要な人が多いため、介護業務の負担も増えるのです。

看護業務に専念できると思って就職した人は、想定していた業務と異なることや、身体的な負担によるつらさで辞めたくなります。

【参考記事】令和4年度介護給付費等実態統計の概況　5 施設サービスの状況／厚生労働省

職員との人間関係にストレスを感じる

職員との人間関係にストレスを感じ、辞めたくなるときがあります。

老健は看護師のほか、介護福祉士、理学療法士、作業療法士などさまざまな職種の方が働いています。

職種の違いにより価値観が異なるため、意見が食い違う場合もあります。わだかまりができてしまうと、解消するのに苦労し辞めたくなる人もいるのです。

とくに、老健では看護師の人数が少ないため、トラブルになると働きづらくなります。

医師が不在のときの責任が重い

医師が不在のときの責任を重く感じ、辞めたくなるケースです。

老健では介護保険法に基づき、常勤の医師を一人以上、入居者100人に対し一人以上の配置が定められています。

しかし、医師は常にいるとは限らず、休日や夜間は不在になるときもあります。医師が不在のときは、看護師が医療的な判断をおこなわなければなりません。

入所者や家族との関わりが難しい

入所者や家族との関わりが難しく、辞めたくなる場合があります。

老健は在宅復帰に向けて、看護や介護・リハビリをおこなう場所で、長期間入所するところではありません。在宅復帰に向け、入所者・家族と関係性を構築する必要があります。

しかし、信頼関係が構築できていない場合や、家族が思ったような改善がみられない場合、クレームやトラブルにつながる場合もあるのです。また、家族によっては、介護方法などを細かく指示してくるケースもみられます。

対応に神経を使う場面が多いと、精神的にきついと感じ辞めたくなります。

人員不足で業務が大変

老健は常に人員不足の傾向で多忙です。看護師一人が担う仕事量も多く、大変だと感じ辞めたくなります。

施設によっては、残業や休日出勤を強いられるケースもあるようです。夜勤もあるため、心身の負担が大きく、疲弊することになります。

老健の看護師を辞めたいときの対処法

老健の看護師を辞めたいときは、他の人に相談したり、スキルアップに努めたりして対策をとるのも一つの手です。辞めたいときの対処法は以下のとおりです。

一つずつ解説します。

職員との人間関係の改善に努める

老健ではさまざまな職種の職員が働いています。入所者の生活を支え、目標を達成し退所してもらうには、他の職種との連携が重要です。

しかし、なかには職種の壁を作ってしまう人もいます。

お互いの立場の理解に努め、歩み寄ることが大切です。

身近な人に相談する

身近な人、信頼できる人に相談してみるのもよいでしょう。

人は悩みがあっても、誰かに話すことで気持ちが軽くなるものです。家族や友人などに話を聞いてもらいましょう。

職場の同僚であれば、悩みの共有ができ、別の視点から意見をもらえるかもしれません。悩みは自分で抱え込まないのが大事です。

関連記事：看護師転職の相談先とは？よくある相談内容や解決方法を紹介

労働環境が問題であれば上司に改善を要望する

残業時間や休日出勤が多いなどの労働環境が問題であれば、上司に改善を要望しましょう。

実際にどの程度残業しているのか、何をどのように改善してほしいのかを整理し、要望することが重要です。

また、労働環境については、他の職員も同じように悩んでいる可能性があります。同じ意見を持つ人と一緒に要望してみるのも一つの手です。

休暇をとり心身を休める

思い切って休暇をとり、心身を休めるのもよいでしょう。

人は疲弊した状態だとネガティブな考えになります。心身を休め、リフレッシュすれば気持ちも前向きになります。

気持ちが切り替わった状態で、本当に辞めたいかどうか考えてみてください。

研修やセミナーに参加する

研修やセミナーに参加して、新しい知識やスキルを身につけるのもおすすめです。

老健は病院勤務より医療行為が少ないため、スキルに不安を感じる場合もあります。

新しい学びを得ることで、モチベーションも向上するでしょう。

研修は、看護協会や企業などさまざまなところでおこなわれています。

興味のある分野の研修に参加してみましょう。

看護師転職サービスに登録し相談する

看護師転職サービスに登録し、悩みやキャリアについて相談をする方法もあります。

看護業界について専門的な知識を持つキャリアアドバイザーが、状況にあったアドバイスをしてくれます。

転職の意向を決めていない場合でも、利用が可能です。一人で悩まずに相談するようにしましょう。

老健で働き続けるメリット

老健を辞めたいときは、働き続けるメリットも一度考えてみてください。働き続けるメリットは以下のとおりです。

それぞれ解説しますので、本当に辞めたいか考えてみましょう。

高齢者看護を実践できる

老健では、高齢者看護を実践できます。

入所者は、原則65歳以上で要介護1以上の介護認定を受けている人、特定疾患により介護認定を受けている40歳以上64歳までの人です。なんらかの疾患を持ち、介護が必要になります。

老健では、認知症行動・心理状態への対応、肺炎等への対応、ターミナルケアについても強化されています。高齢者の基本的な看護のほか、それぞれの入所者に合った看護を展開する必要があるのです。

日本の総人口に占める高齢者人口の割合は、2023年9月15日時点で29.1％と過去最高で、今後も高齢化率の上昇が見込まれます。

【参考資料】介護老人保健施設（参考資料）／厚生労働省社会保障審議会・介護給付費分科会
報道資料：統計からみた我が国の高齢者／総務省

在宅復帰に向けてサポートできる

老健の入所者の目標は在宅復帰です。目標の達成に向けた看護を提供できるため、やりがいを感じられます。ADLが改善されたり、新たな目標も見いだせたりすると嬉しくなります。

本人や家族から喜びの声を聞くと、モチベーションのアップにつながるでしょう。多職種連携がうまくいくと、チームとしての達成感も得られます。

医師が常駐しているため、他の介護施設よりプレッシャーが少ない

老健は医師の常駐が定められているため、特老や有料老人ホームと比較すると、プレッシャーは少なめです。

医師の不在時には緊張感が高まりますが、看護師の配置は他の施設より多いため、相談もしやすい環境です。

一人で抱える責任は、他の介護施設より少ないといえるでしょう。

老健の看護師が向いている人・向いていない人

老健の看護師は、多職種で連携し、入居者の在宅復帰をサポートする重要な役割があります。

しかし、働くうえでは向き・不向きがあります。ここでは以下について解説します。

それぞれみていきますので、自分の適性を考えてみてください。

老健の看護師が向いている人

老健の看護師が向いている人は、以下の人です。

医療や介護の仕事はコミュニケーションが欠かせません。

入所者とのコミュニケーションを楽しめ、他の職種ともうまく連携がとれる人には向いているでしょう。

介護業務も積極的にできる人がのぞましいです。

的確にアセスメントできて対応できる人も向いています。入所者は高齢であり、疾患も抱えているため、体調の変化や急変のリスクがあるためです。

老健の看護師が向いていない人

老健の看護師が向いていない人は、以下の人です。

他者とのコミュニケーションが苦手な人や、黙々と自分の業務をおこないたい人には向いていません。

入所者や家族、職員との連携が欠かせないためです。

医療行為は病院よりは少なめであるため、今以上のスキルアップは難しい可能性があります。医療行為のスキルを高めたい人は、病院勤務の方が向いているかもしれません。

また、老健は夜勤や早番・遅番などがあるため、プライベートの時間を調整しづらい人は向いていません。

ただし、パートを採用しているところであれば、問題ないでしょう。あるいは日勤で働けるクリニックやデイサービスなどがおすすめです。

老健からの転職を成功させる5つのポイント

さまざま考えても続けるのが難しいと感じた場合は、転職を考えましょう。老健からの転職を成功させるポイントは以下のとおりです。

一つずつ解説しますので、転職をするときの参考にしてください。

関連記事：看護師から転職を成功させるポイントとは？おすすめの業種を紹介

キャリアプランを考える

将来自分がどのような方向に進みたいのか、キャリアプランを考えましょう。たとえば以下のようなことです。

目標を実現するための方法を考えれば、適切な転職先が浮かんでくるでしょう。

自分の経験を確認する

自分の経験やスキルを整理してみてください。

得意なことや強みが明らかにでき、自分に適した職場や働き方がわかります。転職で後悔しないためにも重要です。

また、意外にできることが多いのもわかり、自己肯定感が高まるかもしれません。

条件の優先順位を明確にする

転職に求める条件の優先順位を明確にしましょう。

給料などの待遇面を優先にするのか、スキルアップを優先にするかなどで、選択肢が変わります。

譲れることや譲れないことを決め、転職活動をおこなうのが大事です。軸を決めると、転職活動中の迷いを少なくでき、効率的にすすめられます。

複数の求人を比較する

複数の求人を比較することが大事です。選択肢の幅が広がり、好条件の求人が見つかりやすくなります。求人の比較は、転職サービスの利用がおすすめです。

関連記事：【賢く転職】看護師の転職サイトを複数登録するメリット・デメリットとは

履歴書や面接対策をおこなう

転職を成功させるには、履歴書や面接の対策が欠かせません。自己紹介や自己PR、志望動機などを中心にしっかり準備してください。

面接は想定される質問に対して回答を考えたり、練習したりしてのぞむとよいでしょう。

看護師転職サービスでは、履歴書の添削や模擬面接などのサービスを受けられます。上手に利用して、転職活動を有利に進めてください。

関連記事：受かる履歴書の書き方を紹介！看護師が転職する際に知っておくべき基本知識

老健の看護師からの転職は看護師転職サービスを利用しよう

老健の看護師からの転職は、看護師転職サービスを利用するのがおすすめです。人気の転職サービスを3つ紹介します。

ナースではたらこ

ナースではたらこは、ディップ株式会社が運営する看護師転職サービスです。専任のキャリアアドバイザーが求人探しや面接対策、退職時のフォローまでサポートするのが特徴です。

求人情報量が豊富で、医療機関への「逆指名」などのサービスもあり、多くの看護師に支持されています。「話しやすく丁寧な対応をしていただけた」「私の意図を理解してくださり、希望の転職がかなった」などいった喜びの口コミが多数寄せられています。

サポート窓口があり、担当者を変えて欲しいなどの要望も可能です。

看護師ワーカー

看護師ワーカーは、株式会社トライトキャリアが運営する転職サービスで、医療福祉業界に特化した求人情報を多数取り扱っています。正社員や派遣などさまざまな勤務形態から仕事を選べるのが特徴です。

求人の応募は「転職サポート経由」と「直接応募」から選べるため、自分のペースで転職活動を進められるでしょう。直接スカウトを受け取ることができるため、思いもよらない求人に出会える可能性もあります。

転職サポート経由で入職し、入職後にトラブルがあった場合もキャリアアドバイザーがフォローしてくれるため、安心して利用できます。

レバウェル看護

レバウェル看護は、レパレジーズメディカルケア株式会社が運営する看護師転職サービスです。

年間4000回を超える職場訪問で、医療方針や辞めた人の理由まで情報収集をしており、働きやすさがわかります。

相談は電話の他にLINEでも可能であり、ライフスタイルに合った転職活動が可能です。

悩みの相談窓口では転職に関する内容以外にも、体調の悩みや育児と仕事の両立についての悩みなども相談できます。キャリアパスに詳しいアドバイザーが、転職以外の悩みにも応えてくれるため心強いでしょう。

老健看護師からの転職でよくある質問

老健の看護師からの転職で、よくある質問についてまとめました。

老健からの転職先におすすめの職場は？

老健からの転職におすすめの職場は、介護系の施設や病状が安定している患者さんをみる医療機関です。

以上がおすすめですが、自分が希望する働き方を選択するのが大事です。

関連記事：看護師の病院以外の転職先15選！珍しい職場や転職を成功させるコツも解説

老健と特老、どっちが働きやすい？

老健と特老、どちらが働きやすいかは人それぞれです。自分の目標や条件の優先順位によって異なるためです。比較しやすいように、施設の特徴と給与を調査しました。

	介護老人保健施設（老健）	介護老人福祉施設（特老）
目的	入所者が可能な限り自立した生活を送れるよう、リハビリテーションや必要な医療・介護を提供する	常に介護が必要な方に、入浴や食事などの日常生活の援助・機能訓練・療養上の世話をおこなう
入所条件	要介護1～5の認定を受けた方	要介護3～5の認定を受けた方 （※やむを得ない事情がある場合、要介護1～2の人の利用も可能）
入所期間	3～6カ月 （平均約300日）	終身の利用が可能 （平均約1,400日）
サービス内容	医療ケア 看護 介護 リハビリテーション 入浴・排泄・食事などの日常生活の世話	健康管理 生活支援 入浴・排泄・食事などの日常生活の世話 リハビリテーション

給与の比較＜常勤換算1人当たり給与額＞

	介護老人保健施設	介護老人福祉施設
常勤	448,962円	422,652円
非常勤	362,987円	375,894円

特老への転職を考えている方は、上記を参考に検討してみてください。

まとめ

老健の看護師は、在宅復帰を目指す入所者に対し、多職種で連携しサポートできるのが大きなやりがいです。

日本の高齢率はさらに上昇することが見込まれるため、老健の看護師は今後も活躍が期待されています。

しかし、人間関係のストレスや、介護業務での身体への負担などで辞めたくなる人もいます。また、老健の仕事は向き不向きもあります。辞めたい人は自分の適性を考えて、続けるか辞めるかを考えましょう。

キャリアに悩む場合や転職の意向を決めたときは、看護師転職サービスの力を借りて、自分に合った職場を見つけてください。