「ノルマが厳しい」「年収が低い」「体力がもたない」などの理由で、家電量販店から転職したい方も多いはずです。

転職活動を進める際は、自己分析や企業研究の実施などに加えて、業界選びも慎重におこないましょう。

営業やメーカーなど家電量販店の経験を活かせる仕事だけでなく、人材不足の業界もチェックすると転職先の幅を広げられます。

本記事では、家電量販店からの転職を成功させるコツやおすすめの転職エージェント、家電量販店の経験を活かしやすい業界などについて解説します。

関連記事：接客業に強い転職エージェントおすすめ10選｜選び方や必要なスキルを解説

「家電量販店を辞めたい」と考える理由は？

「家電量販店を辞めたい」と考える理由として、主に以下が挙げられます。

自分がどの状況に当てはまっているかを確認しましょう。

売上ノルマのプレッシャーが大きい

多くの家電量販店では、売上ノルマや販売目標が課されます。

人によっては、こうした売上ノルマをプレッシャーに感じるでしょう。

とくに、未達時に詰められるような環境では、プレッシャーがさらに大きくなり精神的な余裕もなくなります。

店舗別ノルマがある場合、自分の売上が低いと職場全体に影響を与えるため、よりプレッシャーを感じるかもしれません。

シフト制で休みを取りにくい

家電量販店は、基本的に土日祝も営業しています。

そのため、シフト制で出勤することが多く、あまりカレンダーどおりに休めません。

とくに土日や長期休暇は客数も多くなるため、なおさら自由に休みを取りにくいでしょう。年間休日数も他の業種と比べて低い傾向にあります。

令和4年時点における、家電量販店も含めた小売業全体の平均年間休日数は「99.5日」でした。

多くの業種で年間休日数が「110日」を超えており、平均は「107日」ということを考慮すると、家電量販店の休みの少なさがわかるでしょう。

参考：e-Stat | 就労条件総合調査/令和４年就労条件総合調査 労働時間制度 | 「表示・ダウンロードエクセル閲覧用」内の33行目

立ちっぱなしで体力的にきつい

家電量販店はほぼ立ちっぱなしで接客するため、体力を消耗しがちです。

接客だけでなく、在庫を運んだり店舗を移動したりすることもあるため、体力に自信がないと働くのは難しいでしょう。

とくに年齢を重ねると、どうしても体に影響が出やすくなるため、家電量販店から転職したいと考える要因になるかもしれません。

人間関係で悩みやすい

家電量販店は、基本的に同じ従業員とクローズな空間で働くため、職場の人間関係が悪化すると日頃の仕事に悪影響を与えます。

とくにノルマのプレッシャーや体力的な問題でストレスを感じる方がいると、職場の雰囲気は悪くなりがちです。

このように、人間関係で悩みながら同じ職場で働くことは難しいでしょう。

接客で苦労する

家電量販店の接客では、「顧客へ商品知識をレクチャーする」「商品購入を促す」「クレームに対応する」などが求められます。

商品知識を上手にレクチャーできなければ顧客から不信感を抱かれる原因になり、販売ノルマの達成も難しくなるでしょう。

また、理不尽なクレーマー対応も発生するため、精神的に疲弊する方が多いはずです。

このように、家電量販店では1日にさまざまな顧客を相手にするため、人によっては気苦労を感じやすいでしょう。

覚えるべき商品情報が多い

家電量販店では幅広い家電情報を扱うため、さまざまな知識を覚える必要があります。

「家電製品」「カメラ」「テレビ」など、同じカテゴリー内でも日々新商品が販売されるため、随時新しい知識を覚えなければならず販売員にとっては負担です。

また、「趣味で複数の家電を集めている」といった顧客は、販売員と同レベル以上の知識を持っていることもあります。

こうした顧客から信頼されるには、知識量で劣らないよう日々勉強が必要です。

しかし、毎日大変な環境で働きながら商品知識も勉強するというのは、簡単ではないでしょう。

平均収入が低い

家電量販店の平均年収が「357.7万円」であるのに対し、一般的な企業の平均年収は「458万円」です。

上記のように、売上ノルマのプレッシャーや休みの取りにくさ、体力面の厳しさ、人間関係の悩みなど、大変な部分が多いにも関わらず年収は低いため、転職したいと考える要因になっているのでしょう。

参考：
jobtag | 電器店店員
国税庁 | 令和4年分民間給与実態統計調査p.15

家電量販店からの転職を成功させるコツ

上記の厳しい環境から抜け出すには、以下のコツを意識して転職を成功させましょう。

自己分析をおこないアピールできるスキルや経験を棚卸しする

転職では必ず自己分析をおこないましょう。

自己分析を通じて実績やスキル、経験などを洗い出すことで、転職希望の企業へ「どのように貢献できるか？」をアピールできます。

とくに家電量販店の場合は、「売上実績」など目に見える成果があるため、自分の強みを明確にしやすいでしょう。

具体的な数値を交えつつ、「売上達成のために意識したこと」「具体的な接客スキル」などをアピールできれば、企業に自分の魅力を伝えられます。

家電量販店の経験を活かせる業種・職種を狙う

家電量販店では接客や提案作業をメインにおこなうため、営業職やコールセンターなど「顧客とのコミュニケーションが多い仕事」であれば、今までの経験を活かせます。

選考でも、自分の売上実績や販売スキルをアピールしやすいでしょう。

接客以外にも、家電量販店で得た商品知識をもとに「家電関連のメーカーへ転職する」という方向性もあります。

より詳しい業界・職種については「家電量販店の経験を活かしやすい業界・職種を紹介！ 」の章で解説しています。

人材不足の業界・職種を狙う

人材不足の業界・職種であれば、企業は人手を欲しているため未経験の仕事に挑戦しやすいでしょう。

人材不足の業界としては、たとえば以下が挙げられます。

業界・職種	有効求人倍率
運送・運輸業（輸送・機械運転従事者）	2.3倍
介護職（介護サービス職業従事者）	3.32倍
建設系の職人（建設躯体工事従事者）	9.69倍

参考：厚生労働省 | 一般職業紹介状況（令和6年3月分及び令和5年度分）について | 参考統計表（PDF）内の参考統計表8-1

関連記事：未経験でもできる仕事16選！正社員として採用されやすい求人の特徴や転職のコツを解説

志望先企業や業界の研究を怠らない

転職活動では、企業・業界研究を怠ってはいけません。

企業や業界を入念に調査し仕事内容を正しく理解しておけば、入社後のミスマッチを防げます。

また、業界研究を通じて求められるスキルを把握すれば、「家電量販店での経験をどのように活かせるか？」という点も、説得力を持って説明できるでしょう。

たとえば介護職への転職を希望するなら、家電量販店で身に付けた体力をアピールポイントにできるかもしれません。

志望業界に関する資格を取得しておく

家電量販店以外に転職したい業界があれば、関連する資格を取得しましょう。

基礎的な知識を身に付けておけば、具体的な仕事内容をイメージしやすくなり、入社後のミスマッチを減らせます。

また、企業に対して「未経験だが熱意はある」とアピールできるでしょう。

以下の記事では、年代や性別ごとでおすすめの資格についてまとめています。転職時の参考にしてください。

 

現職を辞めずに転職活動を進める

転職活動は、現職を辞めずに取り組みましょう。

仕事を辞めて収入が不安定になってしまうと、つい焦って自分とマッチしない企業を選ぶリスクが高まります。

家電量販店はシフト制で平日休みのケースが多く、一般的な企業の営業日に選考を受けやすいため、特別有給を取得しなくても転職活動を進められます。

そのため、現職を辞めず収入を安定させながら、転職活動に取り組むことがおすすめです。

転職エージェントを活用する

家電量販店から転職する場合は、転職エージェントの活用も検討しましょう。

転職エージェントは、家電量販店からの転職を含め求職者の企業探しを幅広くサポートしているため、目指す業界ごとに適切なアドバイスを提供してくれます。

書類添削や面接対策などもおこなってくれるため、「家電量販店の経験のアピール方法」といった内容も相談できるでしょう。

家電量販店からの転職でおすすめの転職エージェント3選

それでは具体的に、家電量販店からの転職を目指す方におすすめの転職エージェントを3つ、紹介します。

リクルートエージェント

リクルートエージェントは、転職支援実績No,1を誇る転職エージェントです。

非公開求人も含め多数の仕事を紹介してくれるため、「家電量販店から未経験の仕事に挑戦したい」という場合でも、自分にマッチした企業を見つけられます。

キャリアアドバイザーは各業界に精通しているため、家電量販店の経験やスキルを活かせる企業を紹介してくれるでしょう。

面談は、土日や平日夜など曜日・時間を問わず調整可能です。そのため、休みが不規則な家電量販店員でも、現職を続けながら自分のペースで転職活動を進められます。

また、自己分析のやり方や職務経歴書の書き方などに関するセミナーやイベントを定期的に開催しています。アーカイブも配信されるため、仕事が忙しく参加できない方も視聴できる点が魅力です。

マイナビエージェント

マイナビエージェントは、2年連続満足度総合No,1を誇る転職エージェントです。

公式サイトには転職回数や年代に応じたコンテンツが充実しているため、自分の状況に応じてポイントを押さえた転職活動ができます。

「マイナビ IT AGENT」「マイナビ メーカー AGENT」など、業界・職種に特化した転職サービスも充実しています。そのため、「家電量販店の経験を活かす」「別の領域にチャレンジする」といういずれの場合も、専門知識を持ったキャリアアドバイザーにサポートしてもらえるでしょう。

さらにマイナビエージェントには、キャリアアドバイザーとは別で、求人企業と直接やり取りする専門アドバイザーが在籍しています。そのため、求人票ではわからないリアルな職場環境などを把握でき、入社後のミスマッチを防げるでしょう。

ビズリーチ

ビズリーチは、企業やヘッドハンターからスカウトが届くシステムの転職エージェントです。登録した経歴やスキル、担当業務、成果などをもとにスカウトが届きます。

原則として担当者との面談は不要であり、「待ち」の姿勢でスカウトが届くため、休みが取りにくい家電量販店員でも隙間時間で使いやすいでしょう。

ビズリーチ利用者の転職後の年収は「平均840万円」と高めです。そのため、「大変な割に年収が低い家電量販店から転職したい」と考える方に最適といえます。

また、転職エージェントとしては珍しく「求職者が課金する有料プラン（プレミアムステージ）」があります。有料プランでは、スカウト機能だけでなくコンシェルジュへの相談も可能です。

まずは無料で利用し、スカウトの質に満足したらアップグレードするという使い方もよいでしょう。

家電量販店の経験を活かしやすい業界・職種を紹介！

家電量販店の経験を活かして転職したい方は、以下のような業界・職種を目指しましょう。

今回は「接客や提案経験」を活かせる仕事を中心に紹介します。

営業職

家電量販店では、売上ノルマ達成のために顧客へ商品を提案する機会があります。

この提案時におこなう「顧客へのヒアリング→要望にマッチする商品の提案」という流れは営業と深く関係するため、業界未経験でも家電量販店での知見を活かしやすいでしょう。

また、営業職の有効求人倍率は「2.39倍」と高く、人材不足に悩む企業も多いため、未経験でも歓迎される傾向にあります。

参考：厚生労働省 | 一般職業紹介状況（令和6年3月分及び令和5年度分）について | 参考統計表（PDF）内の参考統計表8-1

コールセンター

コールセンターの仕事は、大きく「受信業務・発信業務」に分類されます。

いずれの場合も、顧客とのコミュニケーション経験豊富な家電量販店員なら、培ったスキルを活かせるでしょう。

たとえば受信業務なら、顧客からの問い合わせや質問の意図を汲み取り、的確に回答するスキルが必要です。テレアポなどの発信業務であれば、家電量販店での「商品提案経験」を活かせるでしょう。

また、企業にもよりますが、コールセンター業務は平日の営業時間内におこなうことが基本です。そのため、家電量販店より比較的カレンダーどおりに休めるでしょう。

関連記事：コールセンターに向いている人の5つの特徴と不向きな人でも転職できる3つの理由

家電製品関連のメーカー

メーカーの仕事は「自社内での製品生産・販売」がメインであるため、必ずしも接客するとは限りません。

しかし、家電量販店で身に付けた商品知識は、商品企画や研究開発などで活かせます。もちろん、企業によっては営業職へ配属される可能性もあるため、身に付けた商品知識やコミュニケーション経験を存分に活かせるでしょう。

また、メーカーは基本的にカレンダーどおりに休みやすいうえ、大手企業なら年収500万円以上を目指せる点も魅力です。

関連記事：メーカー業界の転職は難しい？年代別のポイントや必要なスキルとおすすめ転職エージェントを紹介

家電量販店以外の接客業

同じ接客・小売業でも、家電量販店以外なら職場環境がよい場合もあります。

家電量販店で培った接客・提案スキルは需要があるため、変わらず接客業で働くというのもひとつの手です。

接客・小売の種類は、アパレルや美容、百貨店、ホームセンター、飲食などさまざまです。そのため、自分が興味のあるジャンルや業務内容、求人倍率、年収などを参考に決めるとよいでしょう。

家電量販店からの転職を目指す際によくある質問

最後に、家電量販店から転職する際によくある質問を確認しましょう。

家電量販店のスタッフの平均年収は？

「357.7万円」です。

一般的な企業の平均である「458万円」より低いため、転職を考えるきっかけになることもあります。

家電量販店から転職する際のポイントは？

以下のポイントを意識しましょう。

各ポイントの詳細は「家電量販店からの転職を成功させるコツ 」の章をご覧ください。

家電量販店からの転職におすすめの業界・職種は？

おすすめの業種・職種は以下のとおりです。

「家電量販店の経験を活かせる仕事を選ぶ」「有効求人倍率をチェックして人材不足の業界を選ぶ」といった基準で考えるとよいでしょう。

最後に | コツを押さえて家電量販店からの転職を成功させよう！

家電量販店員として働く中で、「売上ノルマのプレッシャーに耐えられない」「休みが取りにくい」などの理由で、転職を考える方もいるでしょう。

転職する場合は、無理のない範囲で現職を続けながら、転職活動に取り組むことが大切です。家電量販店は平日休みのケースも多いため、企業の営業時間内に選考を進めやすいでしょう。

転職先については、「家電量販店の経験を活かせるか？」「人材不足で未経験から挑戦しやすい業界か？」などの視点で選ぶと、スムーズに見つかるかもしれません。

家電量販店の経験を活かすなら営業職やコールセンター、人材不足の側面で見るなら介護職や建設業などがおすすめです。

転職エージェントも活用すれば、担当者のサポートを得ながら好条件の企業や業界を見つけられるでしょう。

「店舗が忙しくてすぐには転職活動を進められない」という方は、とりあえず登録して求人を眺めるだけでOKです。無理のないペースで、少しずつ転職活動を進めましょう。