SES(システムエンジニアリングサービス)は、客先にエンジニアを常駐させる雇用形態のひとつです。
いち早く実務経験が積めるほか、未経験でも挑戦しやすいといったメリットがある一方で、「SESはやめとけ」「ブラック企業が多くてきつい」というマイナスの声を見かけることもあるでしょう。
この記事では、SESが「やめとけ」と言われる理由を解説すると共に、仕事の魅力や向いている人物像、優良なSES企業に勤める方法を紹介します。
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関連記事:SESばかりではない!SES以外を扱うおすすめの転職エージェント21選をご紹介
目次
なぜ「SESはやめとけ」と言われる?7つの理由
あらゆる理由で「やめとけ」と言われるSESですが、それらの噂はどのような部分から生じるのでしょうか。
以下は「SESはやめとけ」と言われる原因であり、SESのデメリットともいえる項目の一例です。
SESへのキャリアチェンジを現実的に考えるためにも、詳細を確認しておきましょう。
給与が低い
SESがやめとけと言われる理由には、収入の低さが挙げられます。SESは主にシステムの下流工程を担うぶん、他エンジニアよりも年収が低い傾向にあります。
クライアント企業との契約が「請負」ではなく「準委託」のため、成果ではなく労働時間に対して報酬が支払われるのが特徴です。
このような報酬形態は、たとえエンジニア経験者や上流工程担当者でも変わりません。
関連記事:エンジニアの平均年収はいくら?年収が低い理由や給料アップを目指すコツも解説
派遣先を選べない
多くのSES企業では、常駐するクライアント企業を選べません。やりたい言語や開発工程があっても挑戦させてもらえず、不満に思うこともあるでしょう。
一方、社内SEやSIerの場合は、意欲さえあればチャレンジできる可能性があるため、モチベーションアップにつながります。
エンジニアでやりたい業務や目指したいキャリアがある場合は、SES以外の企業を選ぶ方がよいといえます。
常駐先に切られるリスクがある
SESはひとつのプロジェクトが終われば違う環境で新たな仕事をスタートさせるため、案件ごとに業務手順を覚える必要があります。
短期契約だと3ヵ月~半年のペースで頭を切り替えなければならず、人にとっては大きなストレスになる可能性があります。
「戦力外通告をされるのでは?」「スキル不足で切られたらどうしよう」といった不安を抱きやすいことも「やめとけ」と言われる一因になっているのでしょう。
関連記事:客先常駐はやばい?やめとけと言われる理由と回避法を徹底解説
十分な指導を受けられない場合がある
SES企業のなかには、派遣先での対応方法などを十分に指導してもらえず、行き当たりばったりで業務にあたらなければならないこともあります。
とくにクライアント企業へ1~2人で常駐する場合、教育・研修を受ける機会は皆無と思うのがよいかもしれません。
もし研修制度のあるSES企業に入社できても、エンジニアの勤務地はクライアント企業のため、上司から自身の能力や働きについて具体的なアドバイスをもらうのは難しいでしょう。
関連記事:客先常駐のSESが辛いと言われる理由は?メリットや辛いと感じた際の対処法を徹底解説
職場環境の変化が激しい
SESは客先常駐で業務につくため、案件ごとに働く環境が変化します。
たとえクライアント企業で良好な人間関係を築けていても、別の業務がスタートすれば新たな職場に適応する必要があります。
このような現場ではコミュニケーション能力が試されるため、対人スキルの乏しい方だと大変に感じるでしょう。
派遣先によってはパワハラや休日出勤の常態化で職場環境が良くないケースもあり、精神的負担を被りやすい点から「やめとけ」と言われる可能性があります。
スキルアップしにくい
「SESはやめとけ」と言われるのは、スキルアップが難しくなる点も理由のひとつかもしれません。
SESはクライアントから依頼された業務のみをおこなえば良いため、他エンジニアよりも対応領域が狭くなりがちです。
さらに、プロジェクトによってはシステムのテストや修正といった雑務を任されるケースもあり、やりがいを感じられないまま毎日が過ぎていくこともあるでしょう。
エンジニア職でキャリア形成を図りたい方だとSESでは物足りず、マイナスに評価してしまう可能性があります。
SESの構造自体に闇があると言われている
SESに限った話ではありませんが、IT業界では元請けから下請けに、さらに下請けの下請けに業務が回されていく「多重下請け構造」が一般化しています。
SESは基本的に下請けの業務をおこなうため、元請けと比べると給料が低くなりやすいほか、スキルアップも望みにくい傾向にあります。
たとえば上流工程の仕事をしているエンジニアからすると、下請けであるSESは「やめとけ」と言いたくなる部分もあるのかもしれません。
関連記事:SES・下請けSIerはやめとけ…?3ヵ月で残業なしの上流工程へ転職する方法
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SESの仕事内容
SESを候補に入れる方のなかには、エンジニア未経験で業務内容をイメージできていない人も多いでしょう。ここでは、SESの仕事内容や他エンジニア職との違いを解説します。
SESとは?
そもそも「SES」とは、委託契約の一種です。
よく「客先常駐」ともいわれ、対象職種はプログラマーや開発エンジニア、システムエンジニア、ネットワークエンジニアなどさまざまです。
仕事内容も上流・下流を問わず、とにかく企業から依頼された業務を遂行するのが任務となります。
プロジェクトの規模次第で常駐するエンジニアの人数が異なり、経験者ともなれば一人で企業に出向くこともあります。
関連記事:SESとは?派遣との違いやメリット・デメリットを紹介
社内SE(システムエンジニア)との違い
SESが客先常駐でクライアントのシステム開発に携わるのに対し、社内SEは自身が所属する企業でのシステム関連業務に従事するエンジニアを指します。
社内SEのおもな業務内容は、以下のとおりです。
- 社内のサーバー、ネットワーク機器等の管理
- オフィスのネットワーク構築と保守
- システムの開発と維持管理 など
これらの業務や担当領域は、SESに従事するエンジニアと大きく変わりません。しかし、勤務先や雇用形態などの労働環境面は異なるため、以下の表で違いを理解しておくとよいでしょう。
比較項目 | SES | 社内SE |
---|---|---|
勤務先 | クライアント企業 | 自社 |
雇用形態 | 準委託契約 | 正社員、契約社員などの直接雇用 |
環境の変化 | プロジェクトごとに異なる | 部署異動・転勤がない限り同じ |
このような違いは、開発現場での動き方にも影響するものと思われます。人によっては、社内SEの方が居心地良く感じる可能性もあります。
関連記事:社内SEはやめとけ?やめとけと言われる理由とやめといた方がいい人の特徴
SIer(エスアイヤー)との違い
SESもSIerも、クライアントへ技術を提供する点で同類と考える方も多いでしょう。
しかし、SIerは企業のシステム課題におけるコンサルティングや企画・設計といった導入部分からサポートするため、実際の業務は大きく異なります。
以下は、SESとSIerの違いをまとめたものです。
比較項目 | SES | SIer |
---|---|---|
特徴 | クライアント企業から依頼された業務に対してサービスを提供する | クライアント企業が抱えるシステム開発の全工程を請け負う |
対象 | エンジニア | 企業 |
クライアントとの契約形態 | 準委託契約 | 請負契約 |
働き方 | 客先常駐 | 自社勤務 |
「やめとけ」と言われるSESの魅力とは?
「SESはやめとけ」という意見が多く聞かれる一方で、携わるメリットもあります。
以下は、SESへの転職で得られるメリットの一例です。
それぞれ詳しく解説します。
大手企業で働ける可能性がある
SESはクライアント企業からの要請により、常駐で働きます。
なかには就職が難しいとされる大手企業からの依頼もあり、有名な会社に出向くとなればモチベーションの向上にもつながります。
また大手の場合、オフィスが非常にきれいだったり、充実した社食が用意されていたりするため、施設利用による貴重な経験も可能です。
実務経験を積むことができる
SESはあらゆる業界・分野の企業に出向くため、実務経験を通じてさまざまな知識を習得できます。
たとえば、SESの開発案件には、以下のような業務が挙げられます。
- 金融システムのプログラミング業務
- ECサイトのカスタマイズ業務
- 医療系アプリの開発業務 など
最終的な責任を問われない
SESエンジニアは依頼された業務を遂行するだけなので、作業に不備がなければそれで構いません。
一方、社内SEやSIerは、自社でシステム開発などの業務を全ておこなっているため、仕上がったものがきちんと効果を発揮するか、不具合が生じないかなど、最終的な責任を負う必要があります。
このように、SESはプロジェクトの一部を担う存在のため、きちんと働いてさえいれば問題ないのです。エンジニア経験の浅い方でも無理なく取り組める点では、メリットを感じる方も多いでしょう。
未経験でも挑戦しやすい
IT業界は専門的な知識が求められるため、転職市場で経験者が優遇される傾向にあります。
その点SESは、エンジニア未経験から挑戦しやすいのが魅力です。
これには、プロジェクトごとにルールが変わったり、短期間で業務が終わったりするSESの特性が関係しているのかもしれません。
対人スキルが向上する
SESエンジニアは、プロジェクトごとに違う現場で働きます。各現場では多くの人との出会いがあり、その都度交流を図らなければいけません。
コミュニケーションが苦手な方にとっては大変に思うかもしれませんが、回数を重ねると次第に対人スキルがアップするものと思われます。
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「やめとけ」はウソ!SESがおすすめの人の特徴
SESに対する「やめとけ」という噂があるなか、現場で活躍する人がいるのも事実です。
以下のいずれかが該当する人は、SES企業でやりがいをもって働ける可能性があります。
自身の性格をSES企業のエンジニアで伸ばすためにも、詳細をチェックしておきましょう。
関連記事:ITエンジニアに向いている人の特徴とは?必要な適正や転職を成功させるコツを解説
未経験でエンジニアの実務スキルを伸ばしたい人
SESは未経験エンジニアを積極的に採用しているため、IT業界の専門知識や経験が乏しくても実務スキルを伸ばしていけます。
またSES企業への入社後は、業務開始にあたっての研修を受けられるため安心です。
各現場で学べる要素も多く、エンジニアの実務経験を積みたい方は、SESで次につながるようなスキルを磨くのがよいでしょう。
関連記事:未経験のエンジニア転職は「やめとけ」と言われる理由とは?実態や成功のコツを解説!
定期的に職場環境を変えたい人
SESは案件ごとに職場が変化するため、数ヵ月から長くても2~3年スパンで勤務先を移ります。
通常2~3年といえば、職場の業務をおおよそ把握して自身のポジションが確立されるころです。
人によっては社内で新たな目標を探したり転職を検討したりして、キャリアアップを図るタイミングかもしれません。
なかにはやりたいことや転職先が見つからず、ダラダラと仕事を続ける方もいるでしょう。
その点SESは、業務期間が終了すれば自動的に次の職場に移るため、常に新鮮な気持ちで仕事と向き合えます。
同じ場所に留まるのが苦手な方や、ある程度経験したら職場環境を変えたい方には、SESの働き方はおすすめです。
幅広いIT知識を習得したい人
エンジニアはプロジェクト期間満期をもって業務終了となり、新たな業務へ移り変わります。
このとき、今まで開発業務に取り組んでいた方が次はインフラ業務をおこなうなど、案件ごとに業務内容がガラリと変化するケースも珍しくありません。
SESの場合、ひとつのスキルを究めるのは難しいかもしれませんが、一定レベルの知識を広く身につけたい方にはおすすめです。
プロジェクトによっては独学で知識を得るよう求められる可能性もありますが、同じ業務にずっと携わるようなエンジニアよりは知識幅の広がりを感じられ、発見の多い日々を送れるでしょう。
大手企業で働きたい人
大手企業で働きたい意欲のある方は、SESエンジニアになると機会に恵まれる可能性があります。
大手企業のなかにはSESに依頼してエンジニアを招くところも多く、運がよければ、転職難易度の高い上場企業や誰もが知る有名企業で働けます。
また、常駐した際の働きぶりが認められれば、そのまま引き抜きの声がかかるケースもあるようです。
期待しすぎるのは良くないですが、大手企業の案件に携わりたいなら一定以上のスキルを習得し、どのような案件が舞い降りてきても手を挙げられるよう準備しておくのがよいでしょう。
関連記事:大手企業のSEに転職するための秘訣は?転職する5つのメリットも解説
チャレンジ思考な人
チャレンジ精神があり、自ら行動できる人はSESのエンジニアで活躍できる可能性があります。
現場にとって、客先常駐のエンジニアは部外者です。
そのため常駐先で教育制度が整っているケースは少なく、業務手順を教えてもらうためには積極的に調べたり質問したりして、キャッチアップする必要があります。
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こんなSES企業ならやめとけ!ブラックな企業の特徴
SESはエンジニア未経験からでも挑戦しやすく、実務経験を積むことができる一方で、なかには避けた方がよい企業もあるようです。
たとえば以下のような企業であれば、よくリサーチしてから入社を検討した方がよいかもしれません。
関連記事:SESはブラックって本当?ブラック企業の特徴やホワイト企業の見極め方を解説!
未経験を歓迎しているのに研修制度がない
募集要項に「未経験歓迎」という表記があるのにも関わらず、研修制度がないような企業には要注意です。
全く知識がない状態で派遣されてしまうと、派遣先にとってもエンジニアにとってもストレスになる可能性が高いからです。
また研修を受けていないからやり方が分からないだけにも関わらず、「なぜできないのか」と先方に責められたり、「自分のスキル不足のせいだ」と落ち込んだりするリスクも否めません。
ブラックなSES企業を避けるためには、事前に企業の口コミを収集したり、企業の内部事情に詳しい転職エージェントなどに相談することがおすすめです。
エンジニアとは関係のない業務ばかりをやらされる
SES企業を名乗りながら、エンジニアとは全く関係のない業務を指示されるケースも要注意です。
「まずはコールセンターなどで研修をおこない、慣れてきたらエンジニアの業務を任せていく」といった説明を受けた場合は、応募しない方が賢明でしょう。
エンジニアを目指して応募したはずが、全く仕事をやらせてもらえず、時間だけが過ぎていくといった事態に陥りかねません。
このようなSES企業を見かけたら、まずは口コミや公式サイトなどで情報収集をすることをおすすめします。
ホワイトなSES企業を見分ける方法
「SESはやめとけ」と言われる要因は、大抵は企業側に問題があったり、個人の主観的な意見に基づいて言われたりしていることが多いようです。
前もってリサーチした上で企業を選ぶことで、「やめとけ」と言われるような事態を避けることができるでしょう。
この章では、ホワイトなSES企業を見分ける方法を4つ解説します。
これからエンジニアとしてのキャリアをスタートさせたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
自社開発のサービスがあるか確認する
SESのなかでも優良企業に入社したいなら、自社開発のサービスを展開する会社を探しましょう。
そうすれば、客先常駐だけでなく自社の案件に携われる可能性もあるため、職場環境の変化や目まぐるしく変わる業務内容に惑わされることもなくなります。
また、自社開発の業務に回れると、長期的な目線でサービスに関われるようにもなります。
派遣先・案件を選べるか確認する
SES企業のなかには、常駐先や案件の希望を聞いてくれるところもあります。
ただし、毎回望みどおりの仕事に就けるかは定かではありません。
企業に舞い降りてくる依頼数・内容に応じて選択肢の幅が変化しますが、要望を聞いてくれたり自身のスキルに合った現場に派遣してもらえたりする企業では、満足度の高い仕事ができるでしょう。
企業の口コミをチェックする
SESの優良企業に入社したい場合、企業の口コミをチェックするのは大切です。
実際に働いた人からの話は信ぴょう性が高く、企業を比較する際の指標になります。
口コミや評判を確認するときは、以下の点に留意するとよいかもしれません。
- 未経験のエンジニアはどのくらいいるか
- SES以外のサービス展開があるか
- どのような案件が多いか など
口コミには悪い評価も集まりやすいため、全てを鵜呑みにするのは危険ですが、内情を探るためにもチェックして損はないでしょう。
企業の内部情報に強い転職エージェントを利用する
もし、SES企業のなかでも自身の希望に合ったところを探したいなら、転職エージェントを利用するのがおすすめです。
なかでもIT業界に詳しいエージェントサービスを活用すれば、求人情報からはわからないSES企業の内情を教えてもらえる可能性があり、イメージどおりの転職を目指しやすくなります。
また、在籍するキャリアアドバイザーからは求職者のキャリアに応じた求人を紹介してもらえるため、一人で情報収取するよりも効率的に転職活動を進められます。
優良SES企業に勤めたいという希望も、実現しやすくなるでしょう。
関連記事:エンジニアの転職方法と成功につなげるコツを徹底解説!
SESへの転職におすすめの転職エージェント
SESに転職したい際は、転職のプロであるエージェントを活用するのがおすすめです。
経験者であればIT特化型のレバテックキャリアや、マイナビIT AGENTを活用することで、年収・キャリアアップにつなげられるでしょう。
エンジニア未経験であれば、業種・職種未経験歓迎の求人が多いGreenや、全国の求人をまんべんなく取り扱っているワークポートの利用がおすすめです。
評判やサービスの詳細は以下記事で詳しく紹介していますので、興味がある方はぜひご覧ください。
最後に|優良SES企業へ転職したい方はエージェントの利用がおすすめ
ここまで、SESが「やめとけ」と言われる理由について、良い面と悪い面、人材の向き不向きを踏まえながら解説しました。
SESには「やめとけ」という噂が絶えませんが、そのような意見は個人の価値観によるもののため、あまり気にする必要はありません。
なかには優良企業も多く、きちんと調査しながら転職活動を進められると、満足度の高いSES企業に出会えるはずです。
そうすれば、IT業界の転職事情を把握したアドバイザーが、あなたにふさわしい転職活動のプランを提案してくれるはずです。
関連記事:IT転職エージェントおすすめ比較28選!エンジニア向けに徹底解説【2024年最新】
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