「大学を中退した場合、就職できるのか？」
「企業はどの点を重視して選考しているのか？」

といった疑問の声が多く上がっています。大学を中退したことで、就職活動にどう影響が出るのか不安に思う方もいるでしょう。

実際、就職活動には少なからず影響がありますが、就職ができないわけではありません。

ポジティブに捉えることで、中退経験がむしろ強みになることもあります。この強みをうまく活かし、自分のキャリアをつかみ取る方法を考えていきましょう。

関連記事：大学中退者におすすめの就職サイト・就職エージェント5選｜就活のやり方や内定を獲得する方法を解説！

大学中退後も就職は可能である

結論から申し上げると、大学中退後の就職は難しいですが可能です。

重要なのは、どのように自分のスキルや経験を活かし、適切な方法で就職活動を進めるかです。大学中退後の就職活動で求められるのは、学歴だけではなく、実務経験や自分自身の成長意欲、スキルに対するアピール力です。

とくに20代のうちは、ポテンシャル採用があるので、成長意欲や仕事に対してのやる気を企業にアピールすることで十分に就職することができるでしょう。

大学中退後の就職率は33.9％

大学中退者の現状について説明します。大学等中退者の就労と意識に関する研究によると、大学を中退した人の就職率は33.9%で、大卒者の69%と比べると約35%もの差があります。

つまり、大卒者は約7割が就職する一方で、大学を中退した人は3割程度しか就職できていないということです。

ただし、全員が就職できないわけではありません。大学中退の理由をしっかりと伝え、企業に対して就職の意欲を強くアピールすれば、十分に就職のチャンスを得ることは可能だと言えるでしょう。

また、近年では大学を中退しても、就職活動の中で実務経験やスキルを活かすことで、成功している人も増えています。

特に、技術職や専門職の分野では、学歴よりも実力が重視される傾向が強まり、大学中退者にとっても有利な状況が広がってきています。

そのため、自己分析で中退後の努力や経験を洗い出し、どれだけ企業にアピールできるかが重要となるでしょう。

【参考】独立行政法人 労働政策研究･研修機構　大学等中退者の就労と意識に関する研究

大学中退した方が就職できない理由

前の文章で、大学中退者の就職率は3割程度だと紹介しました。なぜ、大卒と比べて大幅に下がってしまうのでしょうか。考えられる理由について解説します。

大学中退が就活で悪い印象を持たれる

まず、1つ目が選考時の印象によるものです。企業側は、「仕事を続ける、継続力がある人」を求めています。大学中退者の場合、企業側からは、

「大学を中退する=仕事をしても途中でやめる、継続力がない」とみられてしまう可能性があるのです。

これを聞くと一見、大学を辞めたらもう就職は難しいと感じるでしょう。

ですが、大学に代わるほかの分野での継続力をアピールしたり、スキルや経験を前向きにアピールしたりすることで良い印象を与えることができるでしょう。

学歴が高卒になり選択肢が限定される

大学中退者は、学歴が「高卒」になります。そのため、求人の応募資格が限定されてしまう可能性があるのです。

どんなに素晴らしい実績や経歴を持っていても、応募資格が「大卒に限る」ものには応募することができません。

結果として、大学中退者の応募できる求人数も少なくなってしまい、より就活が難しくなってしまうのです。

しかし、現在では学歴不問でも応募が可能な企業も増えており、スキルや経験を重視した採用も増えています。求人サイトで幅広く調べてみることをおすすめします。　　

大学中退した方が就職しやすいおすすめの業界・職種

ここでは、大学中退後でも比較的就職しやすい業界や職種を紹介します。自分に合ったキャリアの選び方を考えてみましょう。

以下の業種・職種は未経験でも応募可能なものも多く、自身の好みや強みにあった仕事を探すことができます。

サービス業

サービス業は、「顧客のニーズに応じてサービスを提供し、その対価として報酬を得る職業」のことを指します。

広い意味では、自分の技術や専門知識を活かして、顧客に価値や喜びを提供するすべての仕事がサービス業に含まれると考えられます。

結論として高卒からサービス業の正社員として働くことは十分に可能です。サービス業は特別な資格や経験が求められることが少なく、学歴もあまり重視されないことが多い傾向です。

未経験者歓迎の求人も多いので、初めての仕事でも安心してスタートできる企業も多く整っています。

最初はアルバイトや契約社員から始め、その後正社員に登用されることもあり、店長やバイヤーなどの役職につくことも可能です。また、研修やサポートが充実している会社も多いので安心して働くことができるでしょう。

サービス業にはさまざまな分野があるため、自分に合った仕事を選ぶことも可能です。

ただし、企業や職種によって求めるスキルや人物像が違うので、求人情報を確認して、自分に合った職場を見つけることが大切です。

関連記事：接客業に強い転職エージェントおすすめ10選｜選び方や必要なスキルを解説

建設業界

建設業界は大学を中退した人にとって、魅力的な選択肢です。建設業界は、住宅やマンション、ビルなどの建物や、ダムや道路、鉄道などのインフラといった構造物を造り出す業界のことを指します。 

この業界は人手不足が深刻で、求人倍率が約5.20倍を記録しており、若い人材を積極的に採用しています。

また、実務経験が重要視されることが多いので、学歴が重視されない場合があり、大学を中退しても現場で経験を積みながらスキルを磨くことができるので、就職しやすい環境が整っているのです。

さらに、建設業界では資格を取得することでキャリアアップが可能となり、企業によっては資格取得のサポートも充実しているので、未経験からでも資格を取得し、安定した収入を得ることができるでしょう。

また建設業界は若手の育成に力を入れている企業が多く、未経験からでもしっかりと成長できる環境があり、さまざまな業務を経験しながら、将来のキャリアを築いていけるので、大学を中退した人でも活躍できる職種といえます。

参考：厚生労働省　一般職業紹介状況(令和6年9月分)について

関連記事：建築・建設業界に強いおすすめ転職エージェント14選｜選び方のコツや注意点も解説

IT業界

IT業界では、ソフトウェアやハードウェアの開発・提供、システム開発、ネットワークの構築・運用、サイバーセキュリティ対策、AI（人工知能）の開発・活用など、非常に多岐にわたる領域を網羅しています。　　　

求人倍率が高く、2024年12月で約4.5倍といった数字が示すように人手が不足しているため、学歴よりも実際のスキルが重視されており、プログラミングやシステム開発のスキルを持っていれば、未経験からでも挑戦できるでしょう。

最近では、未経験者歓迎の求人も増えており、プログラミングスクールやオンライン学習を活用すれば、スキルを短期間で身につけることができます。

また、IT業界は比較的高い年収が期待できる業界です。

システムエンジニアの平均年収は約600万円以上で、経験を積んでいけばさらに増える可能性があるでしょう。

スキルと実績を重ねることで、キャリアの幅が広がり、成長を感じながら働けるのも大きな魅力です。

参考：厚生労働省『一般職業紹介状況(令和6年12月分) 参考統計表 常用(除パート)』

関連記事：IT業界で求められる人材とは？活かすべきスキルと志望動機について解説

事務職

事務職は、未経験から始めやすい職種の一つです。

一般的に、基本的なパソコンスキルや電話対応能力が求められるため、特別な学歴や資格はなくてもスタートできることが多いです。また、オフィスワークに慣れながら、スキルアップすることもできるでしょう。

関連記事：一般事務がきついと言われる理由とは？向いている人の特徴・求人の選び方を解説

経理職

経理職は、少しの専門知識や資格があれば、大学中退後でも挑戦できる職種です。事務職と比べて少し専門的なスキルが必要ですが、資格を取得しておけば、未経験からでも採用されるケースが増えています。

経理の経験を積むことで、将来的にキャリアアップも期待できるでしょう。

経理職で活かせるのは日商簿記2級からですので、まずは日商簿記3級の取得から始めることをおすすめします。

関連記事：経理の仕事に向いている人の特徴とは｜向いていないと感じた場合はどうする？

営業職

営業職は、コミュニケーション能力や営業成績を重視される職種です。

学歴よりも、人とのやり取りや成績を上げる実力が重要なので、大学中退後でも活躍できるでしょう。また、未経験でも教育制度が整っている企業が多いため、意欲があれば積極的にチャレンジできます。

関連記事：未経験から営業職はやめとけ？実情や転職成功のカギを徹底解説

大学中退者の就職のしやすさを求めるなら都会？地方？

ここでは、就職のしやすさでいうと都会と地方どちらが優れているのかについて解説します。

結論、「選択肢を重視するなら都会、就職のしやすさなら地方」でしょう。

上記のように、大都市圏では、有効求人倍率は比較的高い傾向にあります。

これは多くの企業が集まり、雇用機会が豊富であることが要因の１つです。

しかし、人気の職種や企業には高い競争があるため、選ばれるためには高いスキルや経験が求められることが一般的です。

一方地方では求人が少ないですが、競争は都市部よりも緩やかであるため、比較的就職しやすい傾向にあります。

しかし、求人の種類や職種の選択肢が限られている場合があり、自分が希望する職種が地方で見つけにくいこともあります。

一概にどちらのほうが良いということはありません。自身が重要視することや、それぞれのメリット、デメリットを比較し考えることが重要です。　

大学中退者を選考するうえで企業はここを見ている！

それでは、これらを踏まえたうえで、企業が選考時に特に注目するポイントにてついて解説します。これを事前に理解しておくことで面接で前向きな姿勢を与えることができるでしょう。

大学中退の理由は？

多くの企業は、選考時にこの質問をすると思っていいでしょう。

面接官は、なぜ大学を中退したのか、その背景や理由に興味を持っています。例えば、学業や将来のキャリアに対して真剣に考えた結果、他の道を選んだのであれば、その決断の背景を前向きに説明できます。

もし困難な事情（家庭の事情、健康問題、金銭的な問題など）があった場合、それにどう対応してきたか、またそれを乗り越えるためにどのように努力したかを説明すると良いでしょう。

面接官は、「大学中退＝キャリアの中断」ではないかと心配することがあります。

そのため、将来の目標や仕事に対する意欲をしっかり伝え、大学中退があなたのキャリアにどう影響し、今後どう活かしていくつもりなのかを明確にすることが大切です。

中退後に得た経験やスキルをどのように仕事に役立てるのかを具体的に話すことがポイントとなります。

すぐに辞めないか？

面接官は、応募者が長期間にわたり安定して働けるかを確認しています。

もし過去に短期間で辞めた経験があった場合、その理由や辞める決断をした背景を聞かれることがあります。

重要なのは、なぜ過去に辞めたのかを正直に説明し、その経験から何を学んだのかをしっかり伝えることです。

自分がなぜ長期間働き続ける意欲を持っているのかを明確に述べることがポイントです。

職場での人間関係や業務の進め方に適応する能力も重要な要素であり、面接官は、困難な状況や変化にどう対処するか、またストレスに強いかを知りたいと考えています。

自分がどのように職場環境に順応し、問題解決に取り組んできたかを伝えることで、職場で長く続けるための意欲をアピールできるでしょう。　

空白期間は何をしていた？

空白期間についても詳しく聞かれるでしょう。大学を中退してから就職をするまでの期間が長引いたとしても、空白期間に何をしていたのかを明確に話すことができれば、ポジティブに捉えてもらえます。

空白期間が長引くほど、採用担当者からは労働意欲などを懸念されやすくなります。

しかし、経歴を詐称したり、事実をねじ曲げて伝えたりするのはNGです。

入社できたとしても、経歴詐称が判明したら信頼関係が崩壊してしまいます。 場合によっては解雇されてしまう可能性もあるため注意しましょう。

仕事に対する熱意はあるか

仕事に対する熱意は、自分の成長やキャリアアップをどう考えているかにも関連します。面接官は、応募者が自分のキャリアについてしっかり考えているか、将来的にどのように成長していきたいかを知りたいのです。

そのため、自分がどのようにこの仕事を通じて成長したいのか、その意欲をアピールできると良いでしょう。

ですが、「熱意があります」と言うだけでなく、具体的なエピソードや実績を通じて自分の熱意を証明することが大切です。

過去の経験を振り返り、どのように熱意を持って仕事に取り組んだのか、具体的にどんな成果を上げたのかを話すと、より説得力が増します。

大学中退した方が就職活動を成功させるポイント4選

ここでは、大学中退した方が就職活動を成功させるポイントについて解説します。

未経験で就職しやすい職種に応募する

大学を中退した場合、専門的な知識や経験が不足している場合が多い傾向です。

そのため、未経験可の企業や就職しやすい業界・職種を選ぶことが一つの手です。

多くの企業は、ポテンシャルや意欲を重視して採用活動を行うことがあります。

ですので、未経験でも十分に活躍できる業界・職種を積極的に探すことをおすすめします。

自己分析をおこなう

自己分析は、自分がどんな職業に向いているか、どんな強みや弱みがあるかを理解するために欠かせません。自分の価値観や適性を把握することで、無理なくやりがいを感じられる職種を見つけることができます。

また、自己分析は選考対策にも活用できるので、転職活動の際はおこなうようにしましょう。

業界研究をおこなう

自分の適性を踏まえた上で、興味のある業界、または将来性がある業界に焦点を当てると良いでしょう。

業界研究を通じて、必要なスキルや資格を理解し、その業界で働くための準備ができます。

また、業界研究をおこなうことで業界の実態や給与など具体的な情報を得られるので、志望している業界があった際は、おこなうことをおすすめします。

転職エージェントを活用する

転職エージェントは、一般には公開されていない求人情報を取り扱っていることがあります。

大学中退者の求人は、大卒に比べて少ないので、多くの求人情報を扱っている転職エージェントを利用することが望ましいでしょう。

エージェントが独自に抱えている企業と繋がることで、自分で探すよりも広範囲の求人にアクセスできる可能性があります。

また、転職エージェントは、未経験者向けの求人情報を提供してくれるだけでなく、面接のアドバイスや履歴書の書き方の指導もしてくれます。

専門的なサポートを受けることで、自分一人では気づけなかったポイントにも気を配ることができ、就職活動を効率的に進められるでしょう。

大学中退した方におすすめの転職エージェント

これから紹介する3つのエージェントは、どれも高卒の方におすすめのサービスです。自分にあったエージェントを選択し、一緒に就職を成功させましょう。　

えーかおキャリア

ハタラクティブ

就職カレッジ

大学中退者の就職に関するよくあるＱ＆Ａ

ここでは、大学中退した方の就職によくある質問を解説します。

まとめ

本記事では、大学中退した方は就職できないのかについて解説しました。

結論、大学を中退した後でも就職は可能ですが、就職率は大卒者に比べて低いのが現状です。

大学中退後の就職活動では、学歴だけでなく実務経験やスキル、意欲が重要視されます。特に、IT業界や建設業界、サービス業などでは、学歴よりも実力が求められるため、大学中退者でも有利に働く場合があります。

企業選考では、大学中退の理由やその後のキャリアについてしっかりと説明することが重要です。大学中退者はその理由や学びを正直に伝え、安定して長期間働く意欲をアピールすることが必要不可欠でしょう。

また、空白期間についても問われることが多いですが、無駄にしていないことや、自己成長のために行動していたことを示すと良い印象を与えられます。

就職活動を成功させるためには、自己分析を行い、自分に合った業界や職種を選ぶことが大切です。

そして、転職エージェントを活用することで、未公開の求人情報にアクセスでき、サポートを受けながら効率的に就職活動を進めることが可能でしょう。