正社員を1年で辞めたことで、上記の悩みを抱える方もいるでしょう。

しかし、過剰に不安を感じる必要はありません。正社員を1年で辞める人は毎年一定数います。

転職理由を洗い出し正しく対策すれば、希望の企業に採用される可能性は十分あるためご安心ください。

できれば、自分なりの「職場環境の改善に向けた行動」を起こしておくと、後悔なく転職活動を進められます。

本記事では、正社員を1年で辞める人の具体的な割合や1年で辞めるメリット、転職活動時の注意点、成功のポイントなどを解説します。

関連記事：新卒で仕事を辞めたい！退職してもいい5つの理由やリスクを解説

【結論】正社員を1年で辞める人は珍しくないため、過剰な不安を感じる必要はない

結論からいえば、正社員を1年で辞める方は珍しくないため、過剰に不安を感じる必要はありません。

具体的に1年で辞める人の割合は以下のとおりです。

「新卒」が1年で辞める割合
平成30年	11.6％
平成31年（令和1年）	11.8％
令和2年	10.6％
令和3年	12.3％
和4年	12％

「新卒以外」が1年で辞める割合
令和2年	9.5％

【参考資料】
新卒：厚生労働省 | 新規学卒就職者の離職状況（令和2年3月卒業者）を公表します | 新規学卒就職者の学歴別就職後3年以内離職率の推移
新卒以外：厚生労働省 | 令和2年転職者実態調査の概況 | 直前の勤め先及び現在の勤め先の状況p.1

新卒以外の場合は「6ヵ月以上1年未満」という幅はありますが、今回は1年としてカウントしました。

いずれの場合も、1年以内に「約1/10」が辞めているため、決して珍しくありません。

実際の統計調査を見ても、過剰に不安を感じる必要はないとわかります。

正社員を1年で辞める主な理由

正社員を辞める理由としては、主に以下が挙げられます。

厳密には「1年以内」に限ったものではありませんが、正社員を辞める理由は十分把握できるでしょう。

なお今回は、以下のデータから割合が「20％代」の理由をピックアップしています。

参考：厚生労働省 | 表16 性・年齢階級・現在の勤め先の就業形態、自己都合による離職の理由別転職者割合

賃金以外の労働条件が希望と違った

賃金以外の労働条件が希望と違ったと回答した方の割合は「28.3％」です。

労働条件には、以下のようにさまざまな項目があります。

労働条件は、注力している事業・リソース・時期（繁忙期 or 閑散期）など企業の状況に応じ変動するため、すべてが希望どおりになるとは限りません。

とはいえ「入社前の説明とまったく違う部署へ配属された」「転勤なしのはずが強制的に転勤させられた」など、明らかに想定と異なる労働条件の場合は辞める原因になります。

満足できる仕事内容ではなかった

満足できる仕事内容ではなかったと回答した方の割合は「27.8％」です。

仕事内容の割り振りはある程度企業の事情に左右されるため、労働条件と同じくすべてが希望どおりになるとは限りません。

しかし実際に取り組んだ結果、自分の想定と大きく異なると、働き続けることに不満を感じ辞める原因になります。

職場の将来性に不安を感じた

職場の将来性に不安を感じたと回答した方の割合は「26.8％」です。

「給料のカット」「大幅な人員削減」といった業績悪化の予兆がある場合、企業の将来性に疑問を感じ辞める方もいるでしょう。

将来のキャリアを考えても、早めに見切りをつけてスキルアップにつながる企業へ転職したほうが無難です。

賃金が低かった

賃金が低かったと回答した方の割合は「25.4％」です。

賃金は企業の規模や業績、自分のスキル、ポジションなどに左右されます。

とはいえ、「業界平均より明らかに低い」「業務量に見合っていない」などと感じると、辞める原因になるでしょう。

正社員を1年で辞めるメリット

上記で解説したように、正社員を1年で辞める人は毎年一定数存在します。

理由もさまざまなため、「自分だけ忍耐力が足りないのでは？」と不安に感じる必要はありません。

さらに正社員を1年目で辞めることで、以下のようなメリットも受けられます。

「短期間で辞める＝必ずネガティブな結果をもたらす」というわけではないため、安心しましょう。

自分にマッチした仕事を早く見つけてキャリアを形成できる

1年で辞めると、早い段階で自分にマッチした仕事を見つけ理想のキャリアを形成しやすくなります。

たとえ短期間でも自分なりに全力で仕事に取り組めば、ある程度は「理想のキャリアにつながらない」「性格に合わない」などを判断できるでしょう。

長期的な理想のキャリア形成においては、無駄な時間を過ごさないよう「素早く見切りをつけて転職する」という考え方も重要です。

ストレス要因から早めに解放される

1年で仕事を辞めれば、ストレス要因から早めに解放されて心身ともに健康な生活を送れます。

前提として、仕事では少なからずストレスがかかります。

適切な負荷であれば成長につながるため、やみくもに「少しでも仕事が辛いならすぐ辞めればよい」というわけではありません。

しかし、以下のように「明らかに悪いストレスがかかる職場」の場合、自分の心身を守るためにも1年で辞めたほうがよいでしょう。

「どの範囲までを負担に感じるか？」という感覚は個人で異なるため、自分の性格やストレス耐性を考慮して、辞めるかを決めればOKです。

（新卒者が1年で辞めた場合）第二新卒枠で採用してもらえる

新卒者が正社員を1年で辞めた場合、第二新卒枠で採用してもらえるため転職しやすいでしょう。

第二新卒枠では、新卒と同じようにポテンシャル採用をしてもらえます。

今の仕事に満足していないにも関わらず、惰性で働き時間だけが経つと、いざ転職する際に「結局スキルが身に付かずアピールポイントがない」という事態になりかねません。

それよりも、1年で素早く辞めて第二新卒枠で転職したほうが、理想の企業に採用されやすいでしょう。

第二新卒者が転職を成功させるポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事：第二新卒が転職を成功させるための3つのポイントを徹底解説

（新卒者が1年で辞めた場合）未経験の業界・職種に挑戦しやすい

上記と同じく新卒者が1年で辞めた場合、ポテンシャル枠で未経験の業種・職種に挑戦できます。

転職は、年齢を重ねると過去の実績やスキルを重視されるため、未経験の業種・職種に挑戦するハードルも高くなります。

一方で、ポテンシャル枠なら若さを重視されるため、未経験の仕事でも採用されやすいでしょう。

もし「自分のやりたいことが見つかった」「将来の目標達成には別業種での経験が必要だとわかった」ということであれば、早めに転職すべきです。

正社員を1年で辞める際の注意点

一方で、正社員を1年で辞める際は、以下の点に注意しなければなりません。

企業からマイナスのイメージを持たれる可能性はある

1年という短期間で正社員を辞める以上、企業から「入社してもすぐ離職するのでは？」とマイナスイメージを持たれる可能性が0ではありません。

マイナスイメージを払拭するには、辞めた理由を明確に洗い出し、企業が納得できる説明をおこなうことが重要です。

自分なりに転職理由を一生懸命説明した結果、採用されなくても、単純に「相性が悪かった」というだけなので過度に落ち込む必要はありません。

転職先を決めてから今の職場を辞める

できる限り転職先を決めてから現職を辞めましょう。

現職を辞めてから転職活動をはじめると、「（新卒者の場合）早く決めないと第二新卒枠を使えなくなる」「貯金がなくなる」と焦り、希望とマッチしない企業を選んでしまうかもしれません。

入社後にミスマッチがわかっても、一度短期離職している以上、次の転職に踏み切りにくいでしょう。

また、転職先がなかなか決まらず空白期間が長くなるリスクもあります。

1年という短期間で辞める以上、できれば空白期間を作らないことが理想です。

上記の観点から、なるべく転職先を決めてから今の職場を辞めるようにしましょう。

年収が下がる可能性も視野に入れる

自分の状況によっては、年収が下がることも視野に入れましょう。

キャリアを持つ方が1年で辞めた場合、過去の経歴を活かし転職で年収アップできる可能性があります。

一方で「新卒入社後1年で辞めた」「社会人経験は数年あるが目立つ実績はない」などの場合、市場価値があまり高くないため年収は下がるかもしれません。

自信を持って転職活動に臨めない場合がある

短期離職すると「1年で辞めてしまった」「スキルを身に付けられなかった」という部分が気になり、自信を持って転職活動に臨めない可能性があります。

確かに不安な気持ちはわかります。

しかし、正社員を1年で辞めること自体は珍しくありません。

また、自信を持てないと話し方や雰囲気にも影響するため、「スキルを持っているのに”自信がなさそうな面”が目立ち評価を下げる」ということも起こりえます。

何も後ろめたいことはしていないため、自分の考えを信じ堂々と転職活動を進めましょう。

どうしても不安な場合は、「1年で正社員を辞める人が転職を成功させるポイント」の章をチェックして対策し、「これだけ準備したから大丈夫」と思えるようにしましょう。

「本当に1年で辞めて大丈夫か？」と不安な人が転職活動前にやるべきこと

1年で辞めることへの不安を拭えない場合、転職活動をはじめる前に「客観的に辞めたい理由を見つめ直したうえで改善の努力をおこなう」という点を意識しましょう。

たとえば、以下のように「明らかに労働環境が悪い」のであれば、客観的に見てもすぐ辞めるべきです。

一方で、以下のような理由なら努力次第で改善できます。

辞めたい理由	改善策例
なんとなく仕事がつまらないと感じる	キャリア目標を決めて仕事に意義を見出す
「やりたい仕事を任せてもらえない」と不満に感じる	資格取得などでスキルアップし職場から信頼されたうえで配置転換を相談する
仕事量がややキャパオーバーしている	上司に業務量の調整を相談する
少し考え方が合わない従業員がいる	仕事に影響が出ない範囲で距離を置き適切な関係性を築く

努力次第で改善できそうなら、まずは自分なりに行動しましょう。

行動した後に「どうしても改善されないので別の職場へ行く」と決めれば、転職しても後悔はないはずです。

また、転職先からも「改善に向けて行動できる」とプラスに評価されるため、採用の可能性を高められるでしょう。

このように、辞めたい理由を改めて見直し「本当に転職すべきか？」を見極めることが重要です。

1年で正社員を辞める人が転職を成功させるポイント

正社員を1年で辞める人が転職する際は、以下のポイントを意識しましょう。

未経験で挑戦しやすい企業の選考を受ける

未経験者を歓迎している企業の選考を受けましょう。

正社員を1年で辞めると、スキルが身に付いていないケースもあり、受けられる企業の幅が狭くなるかもしれません。

とくに新卒者が1年で辞めた場合、第二新卒枠があるとはいえ、社会人経験が少ない以上は油断できないでしょう。

しかし、未経験歓迎を掲げる企業であれば、受かる可能性はあります。

求人サイトで「未経験OK」「未経験歓迎」といった条件で検索することがおすすめです。

また、以下の業種は未経験でも挑戦しやすいため、転職先の候補に入れてもよいでしょう。

具体的な仕事内容や向いている方の特徴などは、以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事：未経験でもできる仕事16選！正社員として採用されやすい求人の特徴や転職のコツを解説

資格取得などでアピールポイントを増やす

「志望業界に合わせた資格を取得する」などでアピールポイントを増やしましょう。

1年で辞めた場合は、スキルが未熟な可能性があります。

とくに新卒者が1年で辞めた場合は、スキル面を不安に思われるかもしれません。

そのため、「志望業界でオーソドックスな資格を取得しておく」「（IT業界などを志望する場合）独学でポートフォリオを作る」などに取り組み、知識・スキル・転職への意欲を企業へアピールしましょう。

おすすめの資格については、以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事：20代男性の転職におすすめの資格11選｜メリットや選び方も解説
関連記事：20代女性の転職に役立つ資格15選！取って損のない資格や未経験向けも解説

自己分析を入念におこなう

転職時は自己分析を入念におこないましょう。

自己分析によって、スキル・経験・転職理由を明確に洗い出すことで、最適なアピール方法を考えられます。

とくに1年で辞めた場合は、企業も「転職してすぐに辞めないか？」「ちゃんとスキルを身に付けているか？」などの点を心配するはずです。

そのため、企業が気になるポイントを自己分析で丁寧に洗い出し、アピール内容を整理しておくことが重要です。

志望する業界や企業を入念に研究する

志望する業界や企業の研究も欠かせません。

研究することで「企業が求める人物像」「業界で必要なスキル」を把握し、以下のようにアピールの方向性を正しく決められます。

正しい方向性で努力しアピールできれば、1年で辞めたことも大きなネックにはなりません。

転職理由をポジティブに伝えられるよう工夫する

転職理由は可能な限りポジティブに伝えましょう。

ネガティブな転職理由をストレートに伝えると、たとえ事実でも企業に不安を与えてしまいます。

とくに正社員を1年で辞めている以上、企業から「少しでも嫌なことがあるとすぐ辞めるのでは？」と思われるスキを作らないことが理想です。

そのため、転職理由はなるべくポジティブな言葉で伝えてください。

たとえば転職理由が「業務が単調で飽きた」という内容なら、自分のキャリア目標を話したうえで「幅広い業務を経験できる企業でスキルを身に付けたいと感じた」というように言い換えるとよいでしょう。

企業への希望条件に優先順位を設ける

企業へ求める希望条件に優先順位を設けましょう。

残念ながら、自分の希望すべてを満たす企業と出会える可能性は高くありません。

欲張りすぎると、なかなか企業を見つけられないこともあります。

とくに1年で辞めたことで、企業から「スキルが身に付いてないのでは？」と判断された場合、希望とマッチする転職先がさらに見つけにくくなるかもしれません。

時間が経ち年齢が上がるほど転職は厳しくなるため、妥協できるラインを設け企業の選択肢を広げましょう。

転職エージェントを活用する

転職を成功させるには、転職エージェントを利用することも有効です。

転職エージェントではヒアリングした希望条件をもとに、求人のピックアップや応募、選考対策までトータルでサポートしてもらえます。

アピールポイントのまとめ方や面接に関するアドバイスだけでなく、「正社員を1年で辞めた」という事実を企業へ上手く伝えるコツも学べるため、転職成功の可能性を高められます。

他にも「1年で辞めた自分を採用してもらえるか不安」という短期離職者ならではの悩みにも寄り添ってくれるため、不安を解消して転職活動に取り組めるでしょう。

正社員を1年で辞めた人におすすめの転職エージェント3選

ここでは、正社員に1年で辞めた人におすすめの転職エージェントを紹介します。

えーかおキャリア

ハタラクティブ

就職カレッジ

正社員を1年で辞めた際によくある質問

最後に、正社員を1年で辞めた際によくある質問と回答をまとめました。

転職への不安を解消したい人は、ぜひ参考にしてください。

最後に | 1年で正社員を辞めても不安になりすぎなくて大丈夫！正しく対策してスムーズな転職を実現しよう

正社員を1年で辞めても、不安に感じすぎる必要はありません。

毎年一定数は1年以内に正社員を辞めているため、特別転職で不利になることはないでしょう。

「職場環境がひどかった」「自分の求めるスキルを身に付けられないと感じた」といった明確な理由があれば、企業も理解してくれます。

ただし状況によっては、転職前に「業務量の調整を上司に相談する」「苦手な従業員と適切に距離を取る」など、自分なりに改善に向けて行動することが大切です。

改善のために行動すれば、悔いを残さず転職活動に取り組めます。

転職先からも「改善のために行動できる人間だ」とプラスに評価されるでしょう。

実際に転職する際は、「未経験歓迎の企業を受ける」「資格を取得しアピールポイントを作る」といった対策が必要です。

場合によっては、転職エージェントも利用しましょう。

転職エージェントであれば、求人探し・応募・選考対策などをトータルでサポートしてもらえます。

「正社員を1年で辞めた自分が転職できるか不安」といった点も相談可能です。

今回紹介した転職エージェント以外にも複数のサービスがあるため、いくつか登録して掲載求人や担当者の対応などを比較し、一番自分に合ったものを活用するとよいでしょう。