厚生労働省の調査によると、保育士の退職理由としてもっとも多いのが「職場の人間関係」であり、次いで「給料の安さ」「仕事量の多さ」が上位を占めています。

保育士は女性が多い職場で、人間関係が複雑化しやすい傾向にあります。

また、低賃金・業務過多といった厳しい労働環境も保育士を悩ませる要因となっています。

このようなきつい現状を打破するためには、適切な対処法を知っておくことが大切です。

そこで本記事では、保育士が仕事できつさを感じる原因と対処法を解説していきます。あなたにできる対処法を実践して、今の負担を減らしていきましょう。

　

保育士がきついと感じる原因8つ

では早速、保育の仕事できついと感じる原因を見ていきましょう。

ひとつずつ順番に解説していきます。

子どもの命を預かるプレッシャーが大きい

子どもの命を預かるプレッシャーにより、精神的なきつさを感じる保育士は少なくありません。

保育の仕事は子どもの命と隣り合わせです。

少しの油断や気の緩みが、重大な事故につながる可能性もあります。

「万が一、自分の不注意で事故を起こしてしまったら…」そんな不安を考えながらの仕事は、精神的に大きな負担となるでしょう。

職場に威圧的な人がいる

職場に威圧的な人がいる場合も、精神的なきつさを感じる原因です。

とくに経験の浅い若手保育士は、上司や先輩からの指導に悩む方が多いです。

毎日のように厳しい態度を取られれば自信を失い、仕事の意欲を維持するのが難しくなるでしょう。

保育士間の連携に苦労する

保育園でのクラス運営では、保育士間の連携が欠かせません。

しかし、連携の難しさに直面し精神的なきつさを覚える保育士は多いです。

思いどおりに連携がとれないのは、大きなストレスになるでしょう。

仕事内容と給料が見合っていない

仕事内容と給料が見合っていないと感じるのも、きつさを感じる原因のひとつです。

以下のデータが示すとおり、保育士の給与は全職種と比べると低水準です。

	平均年収（円）	平均月収（円）	平均の手取り額（円）
保育士	397万	27万	22万
全職種	446万	32万円	25万

「保育士の専門性が正しく評価されていない」「社会的に軽視されている」という思いから仕事へのモチベーションが下がり、精神的にきつくなる保育士は多いでしょう。

仕事量が多い

仕事量の多さに、きつさを感じる保育士もいます。

保育士の仕事は、子どもとの関わり以外にも多岐にわたります。

日中は子どもの保育に追われ、そのほかの業務に手が回らないケースも珍しくありません。

その結果、勤務時間外に仕事をしたり、自宅に持ち帰って作業を進めたりする必要性が出てきます。

タスクに追われ続ける環境に、身体的・精神的にきつさを感じる保育士は多いでしょう。

残業が多く労働時間が長い

残業が多く労働時間が長い環境も、きつさを感じる原因です。

また、休憩時間のカットや出勤時間よりも早い出社の強要なども労働時間が長くなる要因です。

働いた分の正当な対価が得られない環境は、保育士の労働意欲の低下を招くでしょう。

子ども相手の仕事に体力を消耗する

子ども相手の仕事に、体力的なきつさを訴える保育士も少なくありません。

心身的な疲れは、子どもへの対応にも影響し、イライラしたり、余裕のない保育になったりしがちです。

体力を保てず「自分は保育士に向いていないのでは…」と自信を失う方もいるでしょう。

変則的なシフトで生活リズムが定まらない

保育園の開所時間は、保護者の就労ニーズにあわせて基本的に11時間に設定されています。

そのため、多くの園では、早番・中番・遅番のシフトを組んでいます。

この変則的なシフトによって生活リズムが定まらず、体力的にきつさを感じている保育士は少なくありません。

変則的なシフトの場合、起床時間・就寝時間を一定に保つのが難しく、睡眠の質にも影響が出やすいです。

その結果、うまく疲労回復ができず体力的にきつくなる方もいるでしょう。

保育士がきつさで辛くなったときの対処法5つ

このような疑問をおもちの方に向けて、具体的な対処法を5つ紹介します。

きつさを我慢し続けると、メンタルヘルスの不調を招きかねません。

きつさを感じたら、早め早めに適切な対処をしていきましょう。

周りの人に頼る

きついときは、ひとりで抱え込まず周りの人を頼りましょう。

「人に頼るのが苦手…」な方もいるかもしれませんが、今回助けてもらったぶん、次に誰かが困っていると気に手を差し伸べれば大丈夫です。

お互い様の精神を大切にすれば、きつい状況が少しずつ緩和していくでしょう。

上司に労働環境の改善を提案する

上司に直接、労働環境の改善を提案するのも対処法のひとつです。

提案事例	具体的な提案内容
給料が低い	・役職手当がつくキャリアアップ研修の受講を希望する ・ほかに手当がつく資格がないか聞いてみる
業務負担が大きい	・人員の増員を依頼する ・園全体の業務の見直しを提案する
残業が多い	・事務作業の時間の確保を依頼する ・残業が発生しにくいシフト体制の見直しを提案する

話をする際は、伝え方が大事です。

「改善してください！」と単に訴えるだけでは、理解を得られにくいほか「考えておきますね」と軽くあしらわれて終わってしまう可能性があります。

以下は、切り出し方の例文です。参考にしてみてください。

ただし、相談したからといって、必ずしもよい方向性に向かうとは限りません。かえって反感を買う可能性もあるでしょう。

それでも、声を上げなければ何も変わらないのも事実です。勇気を出して行動するのが、きつさを軽減する環境づくりの第一歩ともいえます。

クラスで話し合い働きやすい環境を作っていく

あなたが感じているきつさは、ほかの保育士も感じている可能性もあります。

あなたが率先してクラスの話し合いの場を設ければ、みんなで働きやすい環境をつくるきっかけになるかもしれません。

同じ思いを共有し、一丸となって取り組めば、チームワークが高まります。協力体制ができると無駄な業務が減り、労働環境の改善につながるでしょう。

個人でできる対策をおこなう

すぐにできる対策を自分なりに実践するのも、きつさを和らげる方法のひとつです。

たとえば、以下のような工夫をしてみましょう。

小さな工夫の積み重ねが、業務の効率化や負担軽減につながります。

きつさの少ない保育園に転職する

きつさの少ない保育園に転職する手もあります。

とくに、厳しい労働環境が根強く定着している場合は、個人の力で状況を変えるのは難しいでしょう。思い切って、きつさの少ない保育園に転職するのも大切な選択肢のひとつといえます。

今の職場よりも働きやすい環境の保育園は、探してみるとたくさんあります。

きつさを感じる環境にとどまり続けるよりも、新しい環境で再スタートを切るほうが、自分の心身の健康のためになるでしょう。

きつくない職場を紹介してくれる保育士向け転職支援サービス5選

「きつくない職場を見つけたい！」という方に向けて、おすすめの転職支援サービスを5つ紹介します。

各社、取り扱う求人が異なるため、複数のサービスに登録をして、魅力的な求人に出会えるチャンスを広げましょう。

関連記事：保育士転職エージェントおすすめ比較22選｜求人数や口コミも紹介！

保育士ワーカー

保育士ワーカーは、保育士特化の転職支援サービスです。

「転職サポートサービス」と「直接応募」、2種類の応募方法が用意されており、あなたのペースで転職活動がおこなえます。

「転職サポートサービス」では、保育業界に特化したキャリアアドバイザーが、あなたの希望条件にあった求人を紹介してくれます。理想の職場を探したい方は登録して、きつくない条件の求人を見せてもらいましょう。

「直接応募」は施設側からのスカウトを受け取れるサービスです。よい条件を提示する保育園なら、念のため話を聞いてみて、転職のチャンスを広げていきましょう。

保育士人材バンク

（※）厚生労働省委託事業「医療・介護・保育分野における適正な有料職業紹介事業者の認定制度」において

保育士人材バンクは、上場企業の株式会社エス・エム・エスが運営する転職支援サービスです。

上場企業ならではのネットワークを活かし、ほかのサービスでは出会えないような高収入・高待遇の求人を多数保有しています。保育園情報の詳細もシェアしてくれるため、きつさの少ない働きやすい保育園を探したい方は、登録をして求人を見せてもらいましょう。

また、保育士人材バンクには、内定まで最短3日というスピーディーな実績もあります。「転職の決断するのが遅くなってしまった！」という方でも安心して利用でき、短期間で理想の職場探しができるでしょう。

保育のお仕事

保育のお仕事は、公開求人5万件以上を保有する転職支援サービスです。

公開すると応募が殺到してしまうような、非公開求人も豊富に取り扱っています。

公式サイトでは「月収25万円以上」「残業少なめ」といった求人が紹介されていました。環境がきつくない保育園をチェックしたい方は、登録をして求人を見せてもらいましょう。

保育のお仕事では、気になる法人を探せる専用ページも用意されています。働きやすさを大切にしている法人も増えてきているので、登録して求人情報を集めてみましょう。

ヒトシア保育

ヒトシア保育は、保育士の転職を支援するサービスですが、公開している求人はごく一部に過ぎません。

実際には、非公開求人が求人全体の大半を占めています。

非公開求人には、高収入・高待遇の求人が多く含まれているため、よりよい条件の保育園を探したい方は登録をして、求人を見せてもらうのがおすすめです。

「非公開求人に特化して求人を探したい！」という方は、同じく非公開求人を豊富に取り扱う「保育のお仕事」と併用することで、効率的に理想の職場を見つけられるでしょう。

（※1）アンケートモニター提供元　ゼネラルリサーチ　2022年1月期

マイナビ保育士

マイナビ保育士は、大手人材紹介会社マイナビが運営する保育士専門の転職支援サービスです。

大手ならではの幅広いネットワークを活かして、ほかでは出会えない魅力的な求人を多数保有しています。

実際に公式サイトには「月収25万円以上」「年間休日120日」といった好条件の求人が紹介されています。自分の希望条件にマッチした職場を効率的に探したい方は、登録をして求人を見せてもらいましょう。

また、マイナビ保育士は、転職後のアフターフォローも充実しています。万が一、入社後に人間関係や仕事量できつさを感じた場合でもキャリアアドバイザーに相談をすれば、適切な対応策を一緒に考えてもらえるでしょう。

（※）平成27年度実施

保育士のきつさに関するよくある質問

最後に、保育士のきつさに関するよくある質問に回答していきます。

保育士を辞めるときに多い理由はなんですか？

厚生労働省の調査によると、保育士の退職理由でもっとも多いのは「職場の人間関係」です。

次いで多かったのが「給料の安さ」「仕事量の多さ」でした。

引用元：厚生労働省「保育士として就業した者が退職した理由」

保育士の辞めたい理由の詳細や対処法については、以下の記事で詳しく解説しているので合わせてご覧ください。

関連記事：保育士を辞めたい！よくある理由や退職を伝えるタイミング、辞めた後の選択肢について解説

正社員の保育士として働くのがきついです。なにか改善策はありますか？

パートやアルバイト、派遣社員といった非正規雇用での働き方を検討してみるのもひとつの手です。

非正規雇用の場合、賞与が出ないケースが多いため、収入が下がる可能性があります。

しかし、自分の健康を守るために、自分に合った働き方を追求してみるのもよいでしょう。

精神的にきついときは休息しても大丈夫ですか？

休息しても問題ありません。

無理を重ねて働き続ければ、心の病気になるリスクが高まるからです。

きついときは無理せず、しっかり休んでいきましょう。

体力に限界を感じます。保育士はもう続けられないでしょうか？

働く環境によって、体力の消耗を抑えられる可能性があります。

今の職場よりも体力的に負担の少ない保育園があれば、転職を検討してみるのもよいでしょう。

また、雇用形態を変えるのも選択肢のひとつです。

パートやアルバイトなどの非正規雇用は、清掃や給食の準備といったサポート業務を任される機会が増えます。

子どもとの関わりが減れば、体力の消耗を抑えられるはずです。

「それでも体力的にきつい…」という方は、自分の体力にあった仕事への転職を考えてみるとよいでしょう。

保育士がきついと感じたら無理せずできる対処法を実践しよう！

「仕事がきついな…」と感じたら、本記事で紹介した対処法を実践して、少しでも負担を和らげていきましょう。

我慢し続けると疲労が蓄積し心身の不調をきたしかねないので、早め早めのケアが大切です。

「労働環境がきつくない保育園に転職をしたい」「そもそも、そんな保育園ってあるの？」とお考えの方は、転職支援サービスに登録をして、求人を見せてもらいましょう。