履歴書に学歴を記入する際「大学中退とは書かないほうが、印象が良いかも？」と考える方は少なくありません。

採用担当者からの印象を良くするためにも、履歴書でマイナスなイメージを持たれる情報は省きたいものです。

本記事では大学中退を履歴書に書く必要があるのか、書かない影響について解説します。

履歴書への書き方についても紹介するので、大学中退から就活を始める方はぜひ参考にしてください。

関連記事：フリーターにおすすめの転職エージェント16社比較ランキング｜選び方と転職/就職成功のポイント

大学中退は履歴書に書かないといけない？

結論からお伝えすると、大学中退は履歴書に書く必要があります。

書かない場合は「経歴詐称」となり、バレた際にペナルティを課せられるかもしれません。

大学中退と記入しなければいけない理由を見ていきましょう。

最終学歴が「高卒」になる

大学中退は「大学卒」ではなく、ほとんどの方の最終学歴が「高卒」なので記入が必要です。

最終学歴とは個人が修了または卒業したなかで、最も高い学位の教育機関を指します。

最後に卒業した学校を最終学歴だと誤解している方も多いため注意しましょう。

大学中退後に専門学校を卒業しているなら「専門学校卒」が最終学歴ですが、大学卒業後に専門学校を卒業した場合は「大学卒」です。

大卒と大学中退では最終学歴が異なり、中退では応募できる求人が限られます。

また、就職した際に、昇格スピードや基本給の高さは高卒よりも大卒が勝るケースがほとんどです。

学歴を偽った場合は経歴詐称になる

履歴書に大学中退と記入すると「イメージが悪くなるのでは？」と考える方もいるでしょう。

しかし、履歴書は正式な書類なので偽りのない情報を記入するのがルールです。

そのため、大学中退にも関わらず「卒業」と記した場合、経歴詐称に該当します。

学歴を偽って採用をもらえたとしても、発覚した際は減給や降格、懲戒解雇などペナルティの対象になるので覚えておきましょう。

「大学入学自体を記入しなければいいのでは？」と考える方もいますが、高校卒業で記入したとしても経歴詐称です。

また、大学中退予定のケースでも履歴書には記載しましょう。

大学中退は履歴書に書くと就活に不利になる？

大学中退の記入をためらう原因として「就活に不利になる」と考えている方は多いのではないでしょうか。

実際に不利になるのか、不利にならないためにはどうすればいいのか紹介します。

中退する人は一定数いる

大学中退は珍しいことではありません。

令和4年に文部科学省が発表した学生の修学状況（中退者・休学者）等に関する調査【令和3年度末時点】では、令和3年度末時点の中退者は57,875人に上り全体の2％を占めています。

比率で考えると少ないですが、人数を見ると一定数の方が中退していることがわかります。

決して珍しいことではないため、中退と履歴書に書いたとしても、正社員として働ける可能性は十分にあります。

ネガティブなイメージを与えなければ不利にならない

一般的に大学中退では「努力が続けられない」「諦めが早い」といったマイナスなイメージを持たれやすいです。

しかし、大学中退のネガティブなイメージをポジティブに変えることができれば、不利になることはありません。

そのためには、中退した理由や中退後の活動について説明することがポイントです。

ポジティブに受け止めてもらう方法については、本記事後半で解説するので最後までご覧ください。

【パターン別】大学中退の履歴書への書き方

ここからは、大学中退の履歴書への書き方を紹介します。

以下のパターン別に説明するので、該当箇所を参考にしてください。

最終学歴が大学中退の場合

最終学歴が大学中退の場合は以下の通りです。

学部や学科も記入し、「中退」と略さず中途退学と書きましょう。

年	月	学歴
20〇〇年	〇月	〇〇〇〇高等学校　卒業
20〇〇年	〇月	〇〇大学〇〇学部〇〇学科　入学
20〇〇年	〇月	〇〇大学〇〇学部〇〇学科　中途退学

大学中退後に再入学した場合

大学中退後、別の大学や専門学校などに再入学した場合の記入方法はこちらです。

＜新入生として進学＞

年	月	学歴
20〇〇年	〇月	〇〇大学〇〇学部〇〇学科　入学
20〇〇年	〇月	〇〇大学〇〇学部〇〇学科　中途退学
20〇〇年	〇月	△△専門学校△△科　入学

＜編入生として進学＞

年	月	学歴
20〇〇年	〇月	〇〇大学〇〇学部〇〇学科　入学
20〇〇年	〇月	〇〇大学〇〇学部〇〇学科　中途退学
20〇〇年	〇月	□□大学□□学部□□学科　編入学

中退予定の場合

中退予定の場合でも、履歴書への記入が必要です。

書かれていない場合は「いつから働きたいのか」「大学在学中に働くつもりなのか」と、採用担当者が困惑する恐れがあるので注意しましょう。

日付はわかっている場合のみ記入すれば問題ありません。

年	月	学歴
20〇〇年	〇月	〇〇〇〇高等学校　卒業
20〇〇年	〇月	〇〇大学〇〇学部〇〇学科　入学
20〇〇年	〇月	〇〇大学〇〇学部〇〇学科　■月■日中途退学予定

高等学校卒業程度認定試験が最終学歴の場合

高等学校卒業程度認定試験（高卒認定試験）が最終学歴、または高等学校卒業程度認定試験を経て大学を中退した場合書き方は以下の通りです。

＜高等学校卒業程度認定試験が最終学歴＞

年	月	学歴
20〇〇年	〇月	〇〇〇〇高等学校　入学
20〇〇年	〇月	〇〇〇〇高等学校　中途退学
20〇〇年	〇月	高等学校卒業程度認定試験合格

＜高等学校卒業程度認定試験を経て大学を中退＞

年	月	学歴
20〇〇年	〇月	〇〇〇〇高等学校　入学
20〇〇年	〇月	〇〇〇〇高等学校　中途退学
20〇〇年	〇月	高等学校卒業程度認定試験合格
20〇〇年	〇月	〇〇大学〇〇学部〇〇学科　入学
20〇〇年	〇月	〇〇大学〇〇学部〇〇学科　中途退学

履歴書に大学中退の理由を書く場合は？

大学中退にいたる理由はさまざまですが、書くことによってマイナスなイメージを払拭できる可能性があります。

ここからは、大学中退の理由を書く場合の書き方や、書かなくて良い場合について解説します。

大学中退の理由がやむを得ない場合

自身の病気や家族の介護などで大学を中退する場合は、大学中退のやむを得ない理由に該当します。

本人の力でどうしようもない理由だとわかると、採用担当者が中退にマイナスなイメージを持つことはありません。

履歴書に理由を記入する場合は、中途退学の後にやむを得ないことがわかる理由を簡潔に記入しましょう。

＜経済的理由＞

年	月	学歴
20〇〇年	〇月	〇〇大学〇〇学部〇〇学科　中途退学　（経済的理由）

＜家族の介護が理由＞

年	月	学歴
20〇〇年	〇月	〇〇大学〇〇学部〇〇学科　中途退学 （祖母の介護のため　現在は施設に入所したため家庭での介護は不要です）

＜ケガや病気が理由＞

年	月	学歴
20〇〇年	〇月	〇〇大学〇〇学部〇〇学科　中途退学 （病気治療のため　現在は完治しており業務に支障ありません）

就職・留学などで大学中退した場合

就職や留学などが理由だった場合も、履歴書への記入をおすすめします。

これらの理由は、どちらも大学中退の「途中で投げ出す」といったマイナスなイメージを与えないため、記入することで採用に前向きになってもらえる可能性があります。

記入する際は以下を参考にしてください。

＜海外留学が理由＞

海外留学は前向きな理由での中退なので、マイナスよりもプラスな印象を与える可能性の高い理由です。

年	月	学歴
20〇〇年	〇月	〇〇大学〇〇学部〇〇学科　中途退学 （アメリカ△△大学△△学部入学のため）

記入する際は、国名や学校名も記入しましょう。

＜就職が理由＞

大学中退後に就職をした場合は、前向きな理由を一緒に記入すると中退に肯定的な印象を持たれやすくなります。

年	月	学歴
20〇〇年	〇月	〇〇大学〇〇学部〇〇学科　中途退学 （社会で早く自立したいと考え、就職のため退学）

大学中退がネガティブな理由の場合

ポジティブな印象を与えない理由であれば、無理に履歴書に書く必要はありません。

学業不振で単位が取れなかった、人間関係がうまくいかなかったなどの理由に該当する場合は、記入することで「コミュニケーション能力に問題がある」「継続力がない」といった印象を与える可能性があります。

そのため、詳しく記入するのではなく「一身上の都合により」と記入しましょう。

＜ネガティブな理由の場合＞

年	月	学歴
20〇〇年	〇月	〇〇大学〇〇学部〇〇学科　中途退学 （一身上の都合により退学）

履歴書に記入しづらい理由として「妊娠」による中退があります。

子どもがいる場合は働きながら勤務することになるため、履歴書に記入するようにしましょう。

記入することで、ワークライフバランスの充実を理解してくれる職場に入社できる可能性があります。

＜妊娠が理由＞

年	月	学歴
20〇〇年	〇月	〇〇大学〇〇学部〇〇学科　中途退学 （妊娠のため中退）

面接で大学中退をポジティブに受け止めてもらうコツ

就活で大学中退を不利にしないためには、面接でのアピールが大切です。

面接で大学中退をポジティブに受け止めてもらうために、以下の3つのコツを押さえましょう。

前向きな中退理由を伝える

面接では必ずと言っていいほど中退した理由を聞かれます。

ネガティブな理由だとしても、答えるときは前向きな言葉に変えて伝えるようにしましょう。

次の理由に該当する場合は、そのまま伝えてしまうとマイナスなイメージにつながります。

学業以外に熱中していたことを伝えるとイメージが変わるので、以下の例文を参考にして考えてみましょう。

病気や介護など、やむを得ない理由の場合はポジティブに言い換える必要はありません。

そのまま伝えてもマイナスなイメージにつながることはないですが、以下のように働く支障がないことは伝えましょう。

簡潔に答える

採用担当者からの質問には簡潔に答えるようにしましょう。

「良いイメージにつなげたい」からといっても、聞かれていないことまで答えるのは「簡潔にまとめる能力がない」と判断される可能性があります。

面接ではわかりやすく伝えることも評価につながるため、言い訳のように長々と説明するのは逆効果です。

また、端的に答えないことで「嘘をついているのではないか」「何か隠しているのでは？」といった不信感を与えかねません。

大学中退は事実なので、偽りなく答えたうえで、今後の前向きな姿勢を示すようにしましょう。

また、中退の話を避けることも不信感につながるので、自分から堂々と話すことでポジティブなイメージを与えられます。

中退したことで得られた経験をアピールする

採用担当者は中退の事実を深掘りするよりも、中退をしたことで何を得られたのかに注目しています。

中退後に得られた経験をアピールすることは、評価につながるので積極的に伝えましょう。

中退後のアルバイトで得たスキルや取得した資格などは、アピール材料のひとつです。

資格を取得した際は、履歴書にも記入してアピールしましょう。

中退したからこそ今の自分があることを伝えることで、前向きな行動ができる人材だと評価される可能性があります。

また、得られた経験を応募企業でどのように活かせるのかをアピールすることで、自社で活躍できると好印象を持ってもらえるでしょう。

大学中退から就職を成功させるコツ

大学中退は前向きな理由を伝えることで、就活に大きな影響を与えることはありません。

さらに成功率を上げるためには、これから紹介する3つのコツを理解して行動に移しましょう。

中退理由を明確にする

中退理由があいまいな場合は、計画性がない印象を持たれるため「採用しても早期退職するのでは？」と不安視される可能性があります。

就職に成功するには応募意欲を示す必要があるので、まずは中退理由を明確にして就活を始めましょう。

大学の中退理由が自分の意志で決断したことでも、やむを得ない理由だったとしても、履歴書に書くことでマイナスな印象につながるとは限りません。

就活で不利にならないためには、中退の明確な理由を採用担当者に伝えて、納得してもらうことが大切です。

前向きな理由の中退であれば説明しやすいですが「学校に行くことが面倒になった」「ただなんとなく中退した」という方もなかにはいるでしょう。

その場合は、中退が良い経験につながったことをアピールして、前向きな行動であることを伝えることがポイントです。

素早く行動して空白期間を長引かせない

空白期間とは仕事に就いていない期間を指します。

大学中退でも就活に成功するには、学校を辞めた後の空白期間を長引かせないために、すぐに就活をおこなうようにしましょう。

空白期間が長いことは、就活で不利になる原因のひとつです。

フリーターやニートを長引かせていては「将来をどう考えているのか」「就活をしないで遊んでいたのか」などの、マイナスなイメージにつながる可能性があります。

とはいえ、やむを得ない理由で中退した方もいるため「中退後○ヵ月以内に就職しなければ不利」とは言い切れません。

しかし、就活後すぐに勤務先が決まるとは限らないため、計画的に行動をして空白期間を長引かせないように意識して行動しましょう。

大学中退から中途採用枠を狙う方は、求人が多い時期の活動を検討してください。

1～3月ごろは特に求人募集が活発になるため、希望に合う求人が見つかりやすくなります。

素早い行動が就活の成功につながる秘訣です。

求人検索や情報収集は積極的におこない、いつでも行動できるように準備しておきましょう。

就活エージェントを利用する

大学在学中であれば就学支援を受けることができますが、中退後は基本的にひとりで就活をします。

しかし、初めて就活をおこなう場合、何から始めればいいのかわからないことも多いでしょう。

また、不安や疑問点も自分で解決しなければいけないため、多くの時間や労力が必要になります。

効率的に就活をおこなうには、就活エージェントの利用がおすすめです。

就活エージェントを利用するメリットは大きくわけて以下の4つあります。

就活エージェントに登録をすると、就活のプロであるキャリアアドバイザーに相談ができます。

大学中退を理由に行動に移せない方でも、アドバイスをもらうことで前向きな気持ちになれるかもしれません。

不明点も丁寧に教えてもらえるため、就活において心強い味方ができます。

自分で求人を検索する就活サイトと異なり、エージェントは条件に合う企業を探して紹介をしてくれます。

条件に合う求人がない場合はすぐに紹介してもらえない可能性がありますが、自分から探す必要がないので手間を省くことが可能です。

就活で欠かせない応募書類や面接においても、充実したサポートを受けることができます。

就活の経験がない場合、応募書類の書き方がわからない方もいるでしょう。

エージェントのサポートを受けることで応募企業に魅力が伝わりやすい応募書類の記入方法や、面接での効果的なアピールの仕方を教えてもらえます。

他にも、面接日程の調整や、入社後の条件交渉もエージェントの仕事です。

就活生の負担や不安を軽減してくれるため、大学中退で就活を成功させたいなら積極的に利用をしましょう。

関連記事：大学中退者におすすめの就職サイト・就職エージェント7選｜正社員就職を成功させるコツも解説！

大学中退者におすすめの転職エージェント

ここでは大学中退者におすすめの転職エージェントを3つ紹介します。

ハタラクティブ

えーかおキャリア

就職カレッジ

大学中退の履歴書に関するよくある質問

最後に、大学中退の履歴書に関するよくある質問をまとめました。

同じ悩みをお持ちの方は、解決するために参考にしてください。

大学中退でもポジティブな理由であれば就職に成功できる！

大学中退を履歴書に書くことをマイナスに考える方は少なくありません。

しかし、やむを得ない理由や前向きな中退理由を伝えることで、就活でプラスに働くこともあるものです。

大学中退と履歴書に書かないケースでは、学歴詐称となり、内定取り消しや懲戒解雇の対象になるかもしれません。

軽犯罪となるリスクもあるので、履歴書は偽らずに記入しましょう。

就活では大学を中退したことよりも、中退の経験をどのように活かせるかをアピールすることが大切です。

どのようにアピールしたらいいのかわからないのなら、就活エージェントを利用してキャリアアドバイザーに相談してみましょう。