処遇改善の取り組みが進み、保育士の年収は年々上昇傾向にあります。
子どもの命を守り、そして子どもの未来を担うサポートをする責任の重い仕事なので「もう少し年収が高くてもよいのではないか」と考える方も少なくないでしょう。
そこで本記事では保育士の年収について徹底解説します。年齢や継続年数、都道府県といった条件ごとの平均年収も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
今後の年収予測や、年収アップの方法も解説しているので、この記事を読めば今よりも年収アップを狙えるでしょう。
※引用元:厚生労働省「保育士の現状と主な取組」
目次
保育士の平均年収は372万円!月収・手取りも公開
まずは、保育士全体の平均年収から見ていきましょう。
年収(円) | 月収(円) | 月の手取り(円) | |
---|---|---|---|
保育士 | 372万 | 26.6万 | 21.2万 |
全職種 | 435万 | 31.1万 | 24.8万 |
※年収:月収2ヵ月分の賞与を足した額
※保育士の年収:「きまって支給する現金給与額」に12を乗じた額
※全職種の年収:「男女合計の賃金」に12を乗じた額
※月収手取り:一般的に給料の手取り額は、総支給額の75%〜85%といわれているので、月収に0.8をかけた額
保育士の平均年収は、372万円、平均月収は26.6万円という結果でした。
役職をもっている方や勤続年数が長い方のデータも含まれているため、入社したばかりの若手保育士や、役職がついていない中堅保育士は、この平均を下回る可能性があるでしょう。
保育士の年収は年々高くなってきていますが、全職種の平均年収と見比べてみると、水準より低いのがわかります。
たとえば同じ専門職の職種である「看護師」の平均年収は、約438万円。売上の実績に応じて給料が上乗せされるインセンティブ制度の導入率が高い「営業職」の平均年収は、約463万円(車販売の場合)です。
どちらの年収も保育士の年収より50万円以上の差がありました。
※平均年収は「所定内給与額×12ヵ月」に年間賞与その他特別給付額を足した額
【条件別】保育士の平均年収
続いて、保育士の平均年収を条件別に見ていきます。
- 年齢別
- 勤務年数別
- 役職別
- 性別
- 都道府県別
- 雇用形態別
- 私立・公立(公務員)
- 職種別
自分が気になる項目からぜひチェックしてみてください。
年齢別
まずは、年齢別に保育士の平均年収を見ていきましょう。
年代 | 年収(円) | 月収(円) | 月の手取り(円) |
---|---|---|---|
20〜24歳 | 315万 | 22.3万 | 17.8万 |
25〜29歳 | 358万 | 24.2万 | 19.3万 |
30〜34歳 | 369万 | 25.2万 | 20.1万 |
35〜39歳 | 395万 | 26.6万 | 21.2万 |
40〜44歳 | 435万 | 29.2万 | 23.3万 |
45〜49歳 | 417万 | 27.4万 | 21.9万 |
50〜54歳 | 416万 | 28万 | 22.4万 |
55〜59歳 | 409万 | 28.2万 | 22.5万 |
60〜64歳 | 381万 | 26.2万 | 20.9万 |
65〜69歳 | 380万 | 26.7万 | 21.3万円 |
※年収は千の位を切り捨て、月収と手取りは10の位を切り捨てた額
※平均年収は「所定内給与額×12ヵ月」に年間賞与その他特別給付額を足した額
※平均月収は「所定内給与額」を参考
※月収手取り:一般的に給料の手取り額は、総支給額の75%〜85%といわれているので、月収に0.8をかけた額
年齢があがるにつれて、年収が高くなる傾向にあります。
クラスリーダーや中堅保育士として活躍する30代の年収は、初任の年収よりも50万円以上も増えています。主任保育士や園長の役職を担う可能性が出ている40代以降になると、年収は400万を超える結果でした。
60代以降で年収が下がっているのは、定年退職の時期に差し掛かり、役職や現役を退く方が増えるからでしょう。
わたしは新卒1年目は「給料が低い」と思っていましたが、年齢があがり30代になると自分のなかで納得のいく給料がもらえるようになりました!
勤務年数別
次に、勤務年数別で保育士の平均年収を見ていきましょう。
経験年数 | 年収(円) | 月収(円) | 月の手取り(円) |
---|---|---|---|
1年未満 | 267万 | 21.9万 | 17.5万 |
1〜4年 | 333万 | 23.1万 | 18.4万 |
5年〜9年 | 363万 | 24.8万 | 19.8万 |
10年〜14年 | 383万 | 25.9万 | 20.7万 |
15年 | 457万 | 29.9万 | 23.9万 |
※年収は千の位を切り捨て、月収と手取りは10の位を切り捨てた額
※平均年収は「所定内給与額×12ヵ月」に年間賞与その他特別給付額を足した額
※平均月収は「所定内給与額」を参考
※月収手取り:一般的に給料の手取り額は、総支給額の75%〜85%といわれているので、月収に0.8をかけた額
経験年数が長ければ長いほど、平均年収がアップしているのがわかります。実績やスキルが評価されている結果なのでしょう。
保育士はなかなか給料があがらない印象がありますが、15年以上勤務すれば年収は450万円を超えます。
保育の仕事が好きで、今後も長く保育士を続けていきたいと考えている方は、勤務年数に応じた年収アップを期待できるでしょう。
役職別
続いて、園長・保育士の平均年収です。
役職 | 年収(円) | 月収(円) | 月の手取り(円) |
---|---|---|---|
施設長(園長) | 638万 | 53.2円 | 42.5万 |
保育士 | 306万 | 25.5円 | 20.4万 |
※年収は千の位を切り捨て、月収と手取りは10の位を切り捨てた額
※月収には賞与の年額の1/12が含まれる。
園長の平均年収は600万円を超えています。保育士の平均年収は306万円で、園長と保育士の年収の差はおよそ2倍。
園長は施設の全責任を担うほか、保育園の運営を継続するための統括をする責務を果たさなくてはなりません。保育業界に限らずですが、責任の重さにともない年収があがるのは一般的といえます。
まだ役職のない保育士で年収をグッと引き上げたい方は、将来、園長の座を目標にしてみるのもよいでしょう。
性別
次に保育士の平均年収を男性・女性に分けて見ていきます。
性別 | 年収(円) | 月収(円) | 月の手取り(円) |
---|---|---|---|
女性 | 344万 | 22.2万 | 17.7万円 |
男性 | 337万 | 22.5万 | 18万 |
※年収は千の位を切り捨て、月収と手取りは10の位を切り捨てた額
※保育士の年収:「きまって支給する現金給与額」に12を乗じた額に「年間賞与その他特別給与額」を加算
※全職種の年収:「男女合計の賃金」に12を乗じた額
※月収手取り:一般的に給料の手取り額は、総支給額の75%〜85%といわれているので、月収に0.8をかけた額
男性保育士の年収が、少しだけ女性の年収を上回る結果でした。
少ない人数のなか、副主任や主任といった役職に就く男性保育士も多いので、年収の平均を引き上げていると考えられるでしょう。
都道府県別
続いて、都道府県別で保育士の平均年収を見ていきましょう。
都道府県 | 年収(円) | 月収(円) | 月の手取り(円) |
---|---|---|---|
北海道 | 386万 | 25.6万 | 20.4万 |
青森 | 426万 | 26.7万 | 21.3万 |
岩手 | 335万 | 24万 | 19.2万 |
宮城 | 335万 | 23.8万 | 19万 |
秋田 | 314万 | 23.3万 | 18.6万 |
山形 | 283万 | 20.1万 | 16万 |
福島 | 345万 | 23.4万 | 18.7万 |
茨城 | 373万 | 26万 | 20.8万 |
栃木 | 382万 | 25.7万 | 20.5万 |
群馬 | 374万 | 25.1万 | 20万 |
埼玉 | 382万 | 26.2万 | 20.9万 |
千葉 | 387万 | 26.9万 | 21.5万 |
東京 | 450万 | 30.2万 | 24.1万 |
神奈川 | 438万 | 30.7万 | 24.5万 |
新潟 | 370万 | 22.9万 | 18.3万 |
富山 | 388万 | 25.7万 | 20.5万 |
石川 | 430万 | 26.6万 | 21.2万 |
福井 | 376万 | 25万 | 20万 |
山梨 | 372万 | 24.6万 | 19.6万 |
長野 | 314万 | 21.7万 | 17.3万 |
岐阜 | 376万 | 25.6万 | 20.4万 |
静岡 | 372万 | 25.5万 | 20.4万 |
愛知 | 368万 | 25.4万 | 20.3万 |
三重 | 339万 | 23.7万 | 18.9万 |
滋賀 | 349万 | 23.8万 | 19万 |
京都 | 444万 | 29.5万 | 23.6万 |
大阪 | 423万 | 29.1万 | 23.2万 |
兵庫 | 351万 | 24.8万 | 19.8万 |
奈良 | 362万 | 25.7万 | 20.5万 |
和歌山 | 392万 | 23.8万 | 19万 |
鳥取 | 368万 | 25.3万 | 20.2万 |
島根 | 349万 | 22.6万 | 18万 |
岡山 | 392万 | 25.5万 | 20.4万 |
広島 | 333万 | 22.2万 | 17.7万 |
山口 | 383万 | 25万 | 20万 |
徳島 | 366万 | 23.8万 | 19万 |
香川 | 406万 | 25.5万 | 20.4万 |
愛媛 | 357万 | 24.1万 | 19.2万 |
高知 | 358万 | 24万 | 19.2万 |
福岡 | 357万 | 24.7万 | 19.7万 |
佐賀 | 334万 | 23万 | 18.4万 |
長崎 | 320万 | 22.9万 | 18.3万 |
熊本 | 367万 | 24.1万 | 19.2万 |
大分 | 363万 | 22.5万 | 18万 |
宮崎 | 370万 | 24.3万 | 19.4万 |
鹿児島 | 406万 | 26.5万 | 21.2万 |
沖縄 | 308万 | 22.8万 | 18.2万 |
※年収は千の位を切り捨て、月収と手取りは10の位を切り捨てた額
※保育士の年収:「きまって支給する現金給与額」に12を乗じた額に「年間賞与その他特別給与額」を加算
※月収手取り:一般的に給料の手取り額は、総支給額の75%〜85%といわれているので、月収に0.8をかけた額
もっとも年収が高いのは東京で450万。次いで、京都444万円、神奈川438万円という結果でした。
反対にもっとも年収が低いのは、山形で283万。次いで、沖縄の308万、秋田・長野の314万円でした。
各都道府県で年収が違うのは、最低賃金や処遇改善の取り組み状況に応じて、給与が変動するからです。
年収が400万円を超えている都道府県に東京や神奈川、大阪が入っている結果をみると、首都圏は年収が多い傾向にあるでしょう。
わたしは地方出身の元保育士ですが、現役の頃は関東(東京や千葉)の保育園を中心に就職や転職をしていました!地元の求人に記載してある給料はとても低かったため、首都圏の給料の高さを身をもって感じました。
雇用形態別
次に、正社員・アルバイト・派遣社員の雇用形態別で保育士の平均年収を見ていきましょう。
時給相場は以下のとおりです。
- アルバイト…900~1200円
- 派遣社員…1,200〜1,600円
派遣社員のほうがアルバイトよりも時給相場は高いです。
派遣社員の給料は契約先の派遣会社から支払われる仕組みですが、アルバイトの場合は保育園との直接契約で、雇用主が自由に給与を決めます。自由度が高いぶん、給料が低めに設定される傾向にあるのでしょう。
以下の表は、アルバイト・派遣社員の時給を年収に換算した結果をまとめたものです。
年収(円) | 月収(円) | 時給 | |
---|---|---|---|
正社員 | 306万 | 25.5万 | 1,517円 |
アルバイト | 211万 | 17.6万 | 900~1200円 |
派遣社員 | 282万 | 23.5万 | 1,200〜1,600円 |
※年収は千の位を切り捨て、月収は10の位を切り捨てた額
※正社員の時給は、1日8時間、月に21日勤務を想定して月収をもとに換算
※アルバイト・派遣社員の月収・年収は時給(平均値)をもとに、1日8時間、月に21日勤務を想定して換算
正社員は賞与が含まれるため、非正社員よりも平均年収が高いです。アルバイトや派遣社員も賞与がもらえるケースもありますが、支給していない会社のほうが多いでしょう。
私立・公立
続いて、私立・公立の保育園で働く保育士の平均年収です。
- 私立保育園…株式会社や社会法人などの民間の企業や法人が運営する保育園
- 公立保育園…地方自治体(市区町村)が運営している保育園。公立保育園で働く保育士は公務員に該当する
私立保育園と公立保育園の平均年収は以下のとおりです。
私立 | 公立 | |
---|---|---|
施設長(園長) | 638万円 | 654万円 |
保育士・教諭 | 306万円 | 344万円 |
※年収は千の位を切り捨てた額
※月収には賞与の年額の1/12が含まれる
私立保育園より公立保育園のほうが年収が少し高い傾向にあります。
その理由の1つは、公立は継続年数に応じての昇給制度が私立よりも整っているからです。また、賞与も公立の場合は、私立よりも多く支給されます。
私立でも賞与は支払われますが、平均は2〜3ヵ月程度なので公立ほどはもらえないでしょう。
※参考:厚生労働省「期末・勤勉手当を国家公務員に支給」(6月期/12月期)
職種別
最後に職種別の平均年収を見ていきましょう。
ここでは幼稚園に加え、保育士資格があれば正社員として働ける小規模保育園や乳児院・児童養護施設を取りあげて平均の年収を紹介します。
施設の特徴 | 年収(円) | |
---|---|---|
保育士 | 厚生労働省が管轄で民間企業・法人が運営している保育園 | 306万 |
幼稚園 | 文部科学省が管轄で教育を目的とした施設 | 389万 |
小規模保育園 | 定員数6〜19人の少人数制の保育園 | 保育士とほぼ変わらず |
院内・企業内保育園 | 病院または企業の従業員の子どもを預けることを目的とした保育園 | 保育士とほぼ変わらず |
乳児院 | 原則1歳未満で保護が必要な乳児を入院させて養護する施設 | 保育士とほぼ変わらず |
児童養護施設 | 原則2〜18歳で保護が必要な児童を入所させて養護する施設 | 保育士とほぼ変わらず |
※年収は千の位を切り捨てた額
※※保育士の年収:「きまって支給する現金給与額」に12を乗じた額に「年間賞与その他特別給与額」を加算
幼稚園の年収は389万円で、保育士の年収を上回る結果でした。
小規模保育園・院内・企業内保育園・乳児院・児童養護施設の年収は、正社員で保育士として採用されれば、一般保育園の保育士と年収は大きく変わらないでしょう。
保育士の年収が水準に達しにくい原因
保育士の年収が全職種の水準に届かないのは、保育士の給料体系が原因の1つです。
(私立)保育園の主な収入源は、国からの補助金と利用者の保育料です。
国の補助金は国民の税金で賄われている資金のため、利益がですぎるような配当はできません。また、保育料を高くしすぎると、預ける保護者が減ってしまうので、保育料で利益を作るのも難しいでしょう。
よって私立保育園は、運営に影響がでない程度の予算しか作れないのが現状です。限られた資金のなかで、材料費や修繕費、人件費をやりくりしなければなりません。
給料体系の大枠が変わらない以上、保育士の大幅な給料アップは難しいでしょう。
保育士の年収は今後上がる?
ここでは、保育士の年収が今後上がるかどうかをデータをもとに推測していきます。
まず、保育士の年収推移を見ていきましょう。
引用:厚生労働省|保育士の現状と主な取組
赤線が「保育士の年収」を表しており、平成25年(2013年)から保育士の年収が右肩上がりになっているのがわかります。これは、保育士の処遇改善の取り組みがこの時期から本格的に始動したからだと考えられます。
その後も年度ごとに月額給与の改善がおこなわれ、新たな処遇改善制度(キャリアアップ制度)も平成29年(2017年)に導入されました。
保育士の平均年収は年々上昇し、2013〜2019年の6年間で310万円から364万円と50万円ほどもアップしています。
保育士の年収は今後も増える可能性は十分にあるでしょう。なぜなら、国全体、そして各園で保育士の数がまだ足りていないからです。
保育士の人材確保に大きな影響を与える給与の課題は、今後も改善に向けた取り組みが進められていくでしょう。
保育士の年収600万〜1,000万円は実現可能なのか?
結論からいうと、一般の保育士の場合、年収600万を以上狙うのはほぼ不可能です。
しかし、園長の役職に就くならば、以下のデータからもわかる通り年収600万円の世界も夢ではありません。
私立 | 公立 | |
---|---|---|
施設長(園長) | 638万円 | 654万円 |
保育士・教諭 | 306万円 | 344万円 |
※年収は千の位を切り捨てた額
※月収には賞与の年額の1/12が含まれる
役職に就く方法以外だと、副業で収入源を増やしたり、保育関係の事業を立ち上げたりするなどの選択肢があります。
年収を600万円以上を目指したい方は、役職に就くか、働き方を変えてみるかの2択で考えてみるとよいでしょう。
保育士の年収に差が出るポイント3つ
ここでは、保育士の年収に差が出るポイントを紹介します。
- 手当
- 運営元の経営状況
- 自治体の取り組み
先ほど、保育士の給料は国の公費で支給されていると解説しましたが、各園や自治体の独自の取り組み、運営元の経営状態によっても年収は多かれ少なかれ左右されます。
この仕組みを知っておくと、転職する際に年収アップが目指せるので、ぜひ覚えておきましょう。
手当
まず、各園が独自で取り入れている手当です。
保育園でよくある手当を以下にまとめました。
手当 | 内容 |
---|---|
住宅手当 | 家賃の一部を支給する手当 |
勤続手当 | 勤続年数に応じて支給される手当 |
通勤手当 | 通勤にかかる電車代や車のガソリン費の手当 |
資格手当 | 保育士資格や幼稚園教諭の免許をもった方を対象とした手当 |
役職手当 | クラスリーダーや乳児・幼児クラスリーダーになった方への手当 |
手当の設定金額は各園で異なります。複数の手当がつけば、それだけで月収が数万円あがる可能性もあるでしょう。
運営元の経営状況
認可外保育園の場合は、運営元の経営状況に応じて年収が左右されることもあります。
- 院内保育園
- 企業内保育園
- 小規模保育園
- インターナショナル・プレスクール
認可外保育園は、国の許可を得ていない施設なので公費の支給はありません。認可外保育園の収入源は、利用者からの保育料や、経営母体が別の事業により得ている収益です。
そのため、もし運営元が大企業や経営が安定している企業の場合は、保育士の給料も高く設定される可能性があるでしょう。
自治体の取り組み
自治体の取り組みによっても、年収は変わります。
もっとも差に影響がでるのが「借り上げ社宅制度」です。
保育園が保育士の宿舎を借り上げて、家賃の全てまたは一部を国が補助する取り組みのこと。保育士が働きやすい環境を整備して、保育士人材の確保・定着、離職防止につなげています。
補助金の上限は、8万2,000円。その範囲内であれば、各自治体が自由に金額を設定できます。
たとえば、東京都近隣エリアの補助金額はこちら↓
借り上げ社宅制度はとても支援が手厚いので、賃貸の物件を借りながら働く方は絶対にチェックしておきたい制度といえるでしょう。
わたしも東京都・千葉県で保育士をしていたときは、借り上げ社宅制度を利用しました!上限82,000円に設定している保育園だったので、家賃相場の高い首都圏でも一人暮らしをすることができました。
なお、借り上げ社宅制度を利用するには、各自治体が提示している条件をクリアする必要があります。また利用期間の指定がある場合もあるので、利用を検討する方は各自治体・保育園に詳細を確認してみるのがよいでしょう。
保育士が年収アップを目指す方法5つ
保育士が年収アップを目指す方法を紹介します。
- 手当が充実している保育園で働く
- キャリアアップして役職に就く
- 給料水準の高い都道府県で働く
- 公務員の保育士になる
- 年収のよい保育園に転職する
1つずつ順番に見ていきましょう。
方法①手当が充実している保育園で働く
年収を少しでもあげたい場合は、手当が充実している保育園で働くのがよいでしょう。
たとえば、同じ年収300万円の保育園でも、手当の有無によって以下のように年収に差が生じます。
加算なしで、年収は300万円のまま
【ある保育士の手当例】
住宅手当…3万円
勤続手当…2,000円役職手当
【クラスリーダー】…5,000円資格手当
【保育士資格保持者】…3,000円
上記の手当の合計加算金額は4万円で、年間にすると48万円。何も手当のない保育園と比較すればおよそ50万円ほど年収に差が開くことになります。
導入している手当の種類や金額は、園によってさまざまなので、就職・転職する際は、事前によく内容を確認しておきましょう。
わたしが勤めていた保育園は、クラスリーダーには数千円の手当がつきました。役職に応じて、給与が加算されると働くモチベーションの維持にもつながります。
方法②キャリアアップ研修を受ける
キャリアアップ研修を受けて役職に就くのも、年収をあげる方法の1つです。
保育士の処遇改善と専門性向上を目的として厚生労働省より発令のあった処遇改善制度。これまで保育園の正式な役職は「園長」と「主任保育士」の2つのみでしたが、新たに「副主任保育士」「専門リーダー」「職務分野別リーダー」を創設されました。研修を受けて役職に就けば、国から役職手当として補助金が支給される仕組みです。
各役職ごとの具体的な補助金は以下のとおりです。
- 職務分野別リーダー…月最大5,000円
- 副主任保育士/専門リーダー…月最大4万円
補助金は保育園に支給され、分配金は園が自由に設定できます。そのため、研修を受けて役職に就いたからといって満額を受け取れるとは限りません。
とはいえ、保育士の処遇改善を目的とした制度なので、国の意図をくみ取って給与にしっかり反映している保育園も多いでしょう。
わたしはキャリアアップ研修を受けて、職務分野別リーダーになり、毎月5,000円が給与に加算されました!
なお、研修を受けるには、条件や各園で人数制限があります。全員が受けられるわけではないので、研修に興味がある方は事前に詳細をチェックしておきましょう。
方法③平均年収の高い都道府県で働く
年収アップを狙うなら、平均年収の高い都道府県で働くという選択肢もあります。都道府県や各自治体の保育園ごとに基本給や賞与の回数、処遇改善の取り組み方が異なるので、どの県で働くかによって年収は変わります。
年収が高い3つの県と、年収が低い3つの県を以下にまとめました。
- 東京都…450万円
- 京都…444万円
- 神奈川438万円
- 山形県…283万円
- 沖縄県…308万円
- 秋田・長野県…314万円
引用元:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
※年収:「きまって支給する現金給与額」に12を乗じた額に「年間賞与その他特別給与額」を加算
上位の東京都、京都県、神奈川県は平均年収が400万円を超えています。
一方で、下位の山形県、沖縄県、秋田県・長野県は300万ほど。上位と下位では年収が100万円近く差があるのがわかります。
年収が高い都道府県は首都圏が多いので「首都圏は物価も家賃相場も高いから、年収が高くても生活が苦しくなるのではないか?」と不安に感じる方も少なくありません。
首都圏は積極的に処遇改善の取り組み、家賃を最大8万円負担してもらえる借り上げ社宅制度を導入している保育園も多いです。うまく制度を利用すれば、余裕のある生活を十分に送れるでしょう。
方法④公務員の保育士になる
公立の保育士を目指すのも年収アップするための方法の一つです。なぜなら公立の保育士は、公務員の職員としての位置付けとなるため、昇給や賞与がしっかり保証されているから。
公立の保育士になるには、各自治体で実施している公務員採用試験に合格する必要があります。
一般的には試験は一次試験と二次試験に分けており、一次試験は筆記テスト、2次試験は面接や実技のケースが多いです。自治体によって、試験の日程や試験内容が異なるため、事前にチェックしておきましょう。
また、受験資格として、各自治体で年齢制限を設けています。そのため、公立の保育士になりたい方は、なるべく早く行動するのが好ましいでしょう。
方法⑤年収のよい求人をサイトで検索する
転職サイトや転職エージェントを活用して、年収のよい保育園を検索してみる方法もあります。
転職サイトや転職エージェントでは、以下のような絞り込み検索がおこなえるため、自分の希望条件にあった求人を探せるでしょう。
- 賞与4ヵ月以上
- 年収400万円以上
- 借り上げ社宅制度あり
給与面の条件以外にも「残業少なめ」「年間休日120日以上」といった労働環境の条件の設定も可能です。
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保育士の年収アップの相談にのってくれるおすすめの転職エージェント5選
ここでは、保育士の年収アップの相談にのってくれるおすすめの転職エージェントを5つ紹介します。
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転職の不安や疑問にも答えてくれるため、現在抱えている悩みを気軽に相談してみるといいでしょう。求人票からはわからない生の情報とともに、最適な求人を紹介してもらえるはずです。
(※1)保育士ワーカーの公式ホームぺージより
サービス名 | 保育士ワーカー |
運営会社 | 株式会社トライキャリア |
公開求人数 | 20,549件 |
非公開求人数 | 非公開 |
対応地域 |
東京、名古屋、大阪、福岡など全国
|
公式サイト |
保育士バンク!
- できるだけ多くの求人情報を見たい
- 希望条件に合った求人情報を見つけたい
- 転職活動に役立つ情報を知りたい
保育士バンク!は、保育士向け転職エージェントの中でも最大規模の転職エージェントです。
合同説明会を開催したり、LINEで転職に役立つ情報を提供したりするなど、多方面から求職者をサポートしてくれます。
日本マーケティングリサーチ機構の調査によると、「転職が決まりやすいNo.1」「信頼できるNo.1」「保育士がオススメするNo.1」「お客様満足度No.1」「認知度No.1」「好感度No.1」など、6部門でNo.1を獲得しており、十分に信頼できる転職エージェントといえるでしょう(2018年10月、2019年1月調査)。
対応エリアは幅広く、求人数も非常に多く揃っています。 勤務地・雇用形態・仕事内容・園の特徴・福利厚生など、細かく条件指定して求人検索できるため、希望する勤務条件に合った転職先が見つかりやすいという特徴もあります。
また、実際の職場の写真が多数掲載されており、転職後をイメージしながら求人検索できる点も魅力です。
求人数(※) | 49,451件 |
雇用形態別求人数(※) | 正社員:13,578件 アルバイト・パート:6,697件 契約社員:1,542件 |
対応地域 | 全国 |
サイトの種類 | エージェント型 |
運営会社 | 株式会社ネクストビート |
サイトURL | https://www.hoikushibank.com/ |
保育のお仕事
- 特徴① 保育士が使いたい転職サイトNo.1
- 特徴② 園の雰囲気や内部情報まで共有
- 特徴③ 施設形態・職種を絞り込んでの検索が可能
保育のお仕事は、「保育士が使いたい転職サイトNo.1(※1)」を獲得した実績があり、手厚い転職サポートやサイトの使いやすさに定評があります。
非公開求人の中には急募案件や人気園の求人などもあり、登録すると好条件の求人に出会える可能性を高められるでしょう。
キャリアアドバイザーが実際に訪問して得た情報をもとに、園の雰囲気や内部情報まで共有してくれるので、入職後のミスマッチ回避にも期待できます。
使い勝手のよい検索機能も特徴的で、保育園・幼稚園のほか、企業内保育や児童発達支援施設など、希望の施設形態を指定しての検索が可能です。
職種は保育補助から主任・副主任、園長まで指定でき、さまざまな職歴の方におすすめできるサービスです。
(※1)日本マーケティングリサーチ機構 2022年 第1位
サービス名 | 保育のお仕事 |
運営会社 | 株式会社トライキャリア |
公開求人数 | 50,401件 |
非公開求人数 | 非公開 |
対応地域 |
東京、名古屋、大阪、福岡など全国
|
公式サイト |
保育士人材バンク
- 特徴① 独自ルートで入手したここでしか出会えない求人多数
- 特徴② 求人ごとに充実した情報を提供
- 特徴③ 最短3日のスピード内定の可能性あり
保育士人材バンクは、保育士・幼稚園教諭向けの転職支援サービスで、株式会社エス・エム・エスが運営しています。
東証プライム市場上場の信頼感と医療・福祉業界で築かれた人材紹介の実績をもとに、独自ルートによる情報収集がおこなわれているため、ここでしか見られない求人の紹介に期待できるでしょう。
求人内容の充実ぶりが特徴で、園の特色や雰囲気、求める人物像、キャリアパートナーの一言など、掲載情報だけである程度のイメージが湧くように工夫されています。
さらに、登録すると職場の人間関係や保護者の雰囲気などの内部情報も共有してもらえるため、入職後のギャップを最小限に抑えられるはずです。
最短3日で内定した実績(※1)があり、スピーディーに転職を叶えられるかもしれません。
(※1)保育士人材バンクの公式ホームページより
サービス名 | 保育士人材バンク |
運営会社 | 株式会社エス・エム・エス |
公開求人数 | 27,865件 |
非公開求人数 | 非公開 |
対応地域 |
東京、名古屋、大阪、福岡など全国
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公式サイト | https://hoiku.jinzaibank.com/ |
マイナビ保育士
- 特徴① 転職業界大手の株式会社マイナビが運営
- 特徴② 保育業界専門のキャリアアドバイザーによる寄り添う転職支援
- 特徴③ 入職後の悩みや不安にも親身に対応
マイナビ保育士は、人材紹介大手の株式会社マイナビが運営する転職エージェントです。
多様な業界で培った転職ノウハウをもとに、保育士転職をサポートしてくれます。
サービスの特徴は、保育業界専門のキャリアアドバイザーから寄り添った転職支援を受けられることです。
求職者からヒアリングした希望条件と実際に園に訪問して得た情報をもとに求人を紹介するため、ミスマッチが起こる可能性を最小限に抑えられるでしょう。
強みを引き出すカウンセリングも注目したいポイントで、自信をもって書類選考・面接に臨めます。
また、入職後のアフターフォローにも力を入れており、新しい職場での悩みや不安の相談にも対応しています。
転職には不安がつきものですが、マイナビ保育士なら、新しいキャリアの一歩を力強く応援してもらえるでしょう。
サービス名 | マイナビ保育士 |
運営会社 | 株式会社マイナビ |
公開求人数 | 17,154件 |
非公開求人数 | 非公開 |
対応地域 |
東京、名古屋、大阪、福岡など全国
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公式サイト |
最後に|保育士の年収は年々上昇傾向にある!
保育士の人手不足が解消されない限りは、今後も年収があがる可能性は十分にあるといえるでしょう。
本記事では今より年収をあげるための方法も紹介してきました。
- 手当が充実している保育園で働く
- キャリアアップ研修を受ける
- 平均年収の高い都道府県で働く
- 公務員の保育士になる
- 年収のよい求人をサイトで検索する
キャリアアップ研修の受講は今の勤務先でできる取り組みです。そのほかの方法は、転職する際に役立てると年収アップを実現できるでしょう。
なお、転職活動をする際は、ぜひ本記事で紹介した「おすすめの転職エージェント」をご活用ください。求人の質やサポート内容がよい転職サイトを厳選したので、あなたの転職をきっと有利に進めてくれるでしょう。
登録は無料なので、ぜひお気軽に問い合わせてみてください。