看護師の仕事にやりがいはあるものの、地域の予防医療に関わりたいと考えて、保健師への転職を考えている人は少なくないでしょう。

夜勤のないシフトや土日休みの働き方に魅力を感じ、保健師資格の取得を目指す看護師も年々増加しています。

そこで本記事では、看護師から保健師へ転職する方法を解説しました。

保健師に向いている人の特徴や、具体的な仕事内容も紹介しています。

看護師から保健師へ転職するメリットとデメリットも解説したので、記事の内容を参考にしてください。

関連記事：保健師向け転職エージェントおすすめ8選｜成功のコツや選び方も解説

看護師から保健師へ転職する方法

看護師から保健師へ転職する方法を、3つのステップで紹介します。

なお、すでに保健師免許を取得されている方は、下記の「転職活動を行う」をタップして該当ページへ進んでください。

保健師養成学校へ入学する

看護師から保健師へ転職するには、保健師免許の取得が必要です。

保健師免許を取得するために、保健師養成学校へ入学しましょう。

現在看護師として働いている方は1年制の保健師養成学校へ入学し、公衆衛生や保健指導、健康教育などの分野を体系的に学んでください。

卒業後は、保健師国家試験の受験資格を取得できます。

また、看護系大学の保健師養成課程に編入して卒業すると、同様に保健師国家試験の受験は可能です。

保健師国家試験に合格する

保健師免許を取得するため、毎年2月に実施される保健師国家試験を受験してください。

保健師国家試験の試験科目は、以下の4科目です。

保健師国家試験の合格率は年度によって差はありますが、おおむね80％～95％の間で推移しています。

厚生労働省のWebサイトでは過去問題を公開しているので、試験前にチェックしておきましょう。

参考：保健師国家試験問題および正答について

転職活動を行う

保健師国家試験に合格して資格を取得できたら、転職活動を行ってください。

保健師の求人は、以下の方法で探せます。

また、保健師の求人を効率的に探せるおすすめの転職サイトは、以下の記事で紹介しています。

関連記事：保健師におすすめの転職サイト8選！転職サイトの選び方と転職活動のコツも解説

保健師の勤務先と仕事内容

保健師の勤務先は、大きく分けて4つです。

具体的な勤務先と仕事内容を解説します。

行政保健師

行政保健師とは、都道府県や市区町村が運営する保健所や保健センターで働く保健師です。

行政保健師は公務員として採用されるため、一般的な公務員と同じ労働条件が適用されます。

具体的な勤務時間は8時30分～17時15分までで、土日祝日は休めることが多いでしょう。

おもな仕事内容は、以下の通りです。

勤務時間中は地域住民と接する機会が多いため、高いコミュニケーション能力が求められます。

また、行政保健師へ転職するには公務員試験に合格する必要があるため、自治体のWebサイトから受験案内を確認してください。

産業保健師

産業保健師とは、一般企業に勤務して従業員の健康サポートを行う保健師です。

勤務時間は企業ごとに異なりますが、基本的には9時～18時の時間帯で働くことが多いでしょう。

産業保健師のおもな仕事内容は、以下の通りです。

産業保健師は企業の経営陣や人事部から意見を求められるので、医療の知識に加えてビジネス視点を持つことが重要です。

学校保健師

学校保健師とは、生徒や教職員の健康管理や保健指導を行う保健師です。

公立学校で勤務する場合は公務員として採用されるため、行政保健師と同じような働き方となるでしょう。

学校保健師のおもな仕事内容は、以下の通りです。

思春期を迎えた生徒のメンタルケアを行う機会もあるため、聞く力の高い方は学校保健師として活躍できる可能性が高いです。

また、看護師から大学保健室への転職を成功させるポイントは、以下の記事で解説しました。

学校保健師への転職を希望する方は、あわせて読み進めてください。

関連記事：看護師が大学保健室に転職するには？保健室勤務の保健師・看護師の仕事内容と転職成功のポイント

病院保健師

病院保健師とは、病院やクリニックなどの医療機関で働く保健師です。

看護師とは異なる視点で、患者や病院職員の健康サポートを行います。

病院保健師のおもな仕事内容は、以下の通りです。

看護師と比べて夜勤が少ないため、身体的な負担が軽減でき、30代や40代でも働きやすい環境と言えるでしょう。

また、勤務する医療機関によってはパートタイムや非常勤などの勤務形態を選択できるため、あなたのライフスタイルにあわせて働き方を選べます。

保健師の年収は451万円

厚生労働省が提供する職業情報サイトによると、保健師の年収は451万円です。

年齢別の年収を確認すると、55歳～59歳の保健師の年収は620万円に達しています。

先ほど紹介した職業別の年収は、以下の表にまとめました。

職業	年収
行政保健師	国家公務員：約681万円 地方公務員：約592万円
産業保健師	約500万円～600万円
学校保健師	約450万円～500万円
病院保健師	約450万円～550万円

行政保健師の年収は、平均給与の月額とボーナス（4.5ヶ月分）を合計した金額です。

産業保健師や病院保健師は、企業規模が大きくなるほど年収は高くなる傾向があります。

学校保健師の給与体系は、公立学校と私立学校で異なります。

公立学校で勤務する保健師は公務員として働くため、行政保健師の年収を参考にしてください。

また、保健師として年収をアップさせる方法は以下の記事で解説しています。

関連記事：保健師で年収1,000万円を目指せる？必要なスキルや年収アップの方法を解説

看護師から保健師へ転職するメリット【体験談あり】

看護師から保健師へ転職するメリットを、4つ紹介します。

実際に転職した方からの意見も紹介するので、転職活動の際にお役立てください。

地域の予防医療を担当できる

看護師から保健師へ転職する大きなメリットは、地域の予防医療を担当できることです。

地域住民が病気やケガをしないためのサポートができるので、多くの保健師は仕事へのやりがいを感じています。

例えば、運動習慣の少ない地域でウォーキングイベントやスポーツ教室を開催すると、住民は楽しみながら健康づくりに取り組めます。

病気やケガを防げると医療費の削減にもつながるので、保健師として働く満足度は大きいといえるでしょう。

体力的な負担を軽減できる

体力的な負担を大幅に軽減できることも、保健師へ転職するメリットの一つです。

なぜならば、保健師は健康診断のチェックや資料作成などデスクワークの時間が多く、看護師と比べて体力的な負担を減らして働けるからです。

例えば、看護師は急病の患者が救急車で運ばれてきた場合、休憩時間であっても緊急対応が必要です。

また、勤務時間が終了しても患者の容態が安定しない場合は、残業して対応する必要もあるでしょう。

保健師は看護師と比べて勤務時間は固定されているため、体力的にゆとりを持って仕事に取り組めます。

夜勤がないため体調を整えやすい

保健師へ転職するメリットとして、夜勤がないこともあげられます。

当編集部が行ったアンケート調査では、以下のような声が寄せられました。

とくに年齢が高くなると、若い頃と比べてどうしても体力は低下します。

日勤のみで働ける職場へ転職し、体調を整えやすいと実感している保健師は多いと言えるでしょう。

土日休みが多いため予定が立てやすい

保健師は土日に休める職場が多いため、日々の予定が立てやすいと言えます。

看護師として働くよりもプライベートの時間を確保できることで、転職後にメリットを感じている人も多いでしょう。

例えば、土日に仕事を休めると家族や友人との計画が立てやすくなり、子どもの学校行事にも参加しやすくなります。

また、定期的な習い事や部活動の送迎時間も確保しやすいため、看護師から保健師へ転職するメリットを感じている人も多いです。

一方で、感染症対策や災害など緊急事態が発生した場合は、土日であっても出勤が必要です。

緊急時には通常より出勤日数が増えることも、保健師へ転職する前に確認しておきましょう。

看護師から保健師へ転職するデメリット

看護師から保健師へ転職するデメリットを、3つ紹介します。

保健師への転職を検討している方は、以下のデメリットを理解しておきましょう

看護師と比べて年収が低くなりやすい

保健師へ転職するデメリットとして、年収が看護師よりも低くなりやすい点があげられます。

年収が低くなりやすい理由は、保健師は病院勤務の看護師と比べて、夜勤手当や残業手当を得る機会が少ないからです。

以下の表で保健師と看護師の年収を比較したので、どのくらい差があるかを確認してください。

職種	年収
保健師	451万円
看護師	508万円
准看護師	318万円

とはいえ、年収は低くても日勤のみで働けるため、生活リズムが整い転職に満足している保健師は多いです。

福祉や介護の知識を身に付ける必要がある

福祉や介護の知識を身に付けるために多くの時間が必要なことも、保健師へ転職するデメリットと言えるでしょう。

保健師として働くには、医療の知識に加えて疫学や介護手順、認知症ケアのスキルなど新たに習得するべき分野は多いです。

とはいえ、幅広く知識を学ぶことで、医療従事者として活躍できる場所は大きく広がります。

将来、保健師としてキャリアアップをする上でも、新しく学んだ知識は無駄にはなりません。

休日も保健師として頼られることがある

保健師は休日であっても、地域住民から頼られる存在です。

休日も健康相談へ対応するとプライベートの時間は削られるので、保健師として働く際のデメリットと言えるでしょう。

とくに、プライベートの時間は詳しい資料を手元に用意できないため、相談者に対して具体的な説明は難しい状況が生まれます。

どうしてもその場で説明ができない場合は「平日の業務時間内に改めて連絡させてください」といった対応をしてください。

保健師に向いている人の特徴

保健師に向いている人の特徴を、3つ紹介します。

予防医療に関わりたい人

予防医療に関わりたい人は、看護師よりも保健師に向いていると言えるでしょう。

保健師へ転職すると、予防接種の実施や地域住民の健康相談に対応するなど、病気やケガを防ぐための取り組みを行えます。

例えば、乳幼児健診では生活習慣の確認や育児相談を行うので、成長の遅れや育児不安を早期に発見できます。

また、高齢者の介護予防教室では運動や食事のアドバイスを行い、フレイル予防や健康的な生活習慣を指導できるでしょう。

予防医療を行い地域の健康課題を解決したい方は、保健師の仕事に向いています。

医療用語をわかりやすく説明できる人

医療用語をわかりやすく説明できる人も、保健師の仕事に向いています。

保健師は普段医療との関わりが少ない方にも、わかりやすく病気やケガのリスクを説明する必要があるからです。

例えば、生活習慣病の指導をする際も、脂質異常症の方には「血液の中にあるコレステロールや中性脂肪が通常よりも多い状態です」のように日常的な言葉に置き換えて説明を行います。

医療従事者以外には馴染のない単語をわかりやすく説明できる人は、保健師に向いていると言えるでしょう。

コミュニケーション能力が高い方

コミュニケーション能力の高い方も、保健師の仕事に向いています。

保健師は幅広い年齢層や立場の方々と接する機会が多く、状況に応じて適切にコミュニケーションを取る必要があるからです。

例えば、乳幼児健診の際は子どもの発達状況を確認しながら、保護者の不安や疑問に対してアドバイスをする必要があります。

このように高いコミュニケーション能力がある方は、保健師への転職をおすすめします。

看護師から保健師への転職を成功させるコツ

看護師から保健師への転職を成功させるコツを、3つ紹介します。

以下のポイントを押さえて、転職活動を進めてください。

保健師に必要な資格やスキルを身に付ける

転職活動を始めたら、保健師免許を取得して、必要なスキルを身に付けてください。

具体的には、以下のスキルを身に付けると、内定をもらいやすくなります。

また、保健師免許とあわせて第一種衛生管理者や健康運動指導士などの資格を保有する方は、書類選考を通過しやすくなるでしょう。

保健師への転職理由を明確にする

保健師への転職を決意したら、転職理由を明確にしてください。

転職理由を明確にすると、希望条件にあった求人を見つけやすくなるからです。

例えば、看護師から転職する理由が「夜勤や不規則なシフトから解放されたい」だった場合、日勤のみの職場を重点的に探せます

転職理由を明確にすることで、希望条件にあった職場を見つけやすくなるでしょう。

転職支援サービスを活用する

保健師の求人は他の職種に比べて数が少なく、一般的な求人サイトでは希望する条件にあった仕事を見つけにくい状況があります。

自治体のWebサイトや広報誌などで求人を探しても、なかなか希望する職場が見つからない場合は、転職支援サービスの利用がおすすめです。

例えば、保健師の転職に強みを持つ転職支援サービスへ登録すると、非公開求人を含めて多くの求人を紹介してくれます。

また、医療業界の転職に詳しいアドバイザーのサポートを受けられるため、効率的に転職活動を進めたい方にもおすすめです。

保健師への転職におすすめの転職支援サービス

保健師へ転職する際に利用したい、おすすめの転職支援サービスを紹介します。

会員登録はとても簡単に終わるので、公式サイトから無料登録を行い、担当アドバイザーへ分からないことを相談してみましょう。

アポプラス保健師｜産業保健師への転職サポートに強い

アポプラス保健師は、保健師の転職に強みを持つサービスです。

とくに産業保健師への転職に強みを持ち、経験豊富なコンサルタントから転職活動のサポートを受けられます。

また、アポプラス保健師では履歴書や職務経歴書の作成が苦手な方に向けて、書類作成のサポートも行っています。

志望動機や転職を決意したきっかけなど具体的にアドバイスしてくれるので、書類選考での通過率向上が期待できるでしょう。

レバウェル看護｜地方の求人も豊富に取り扱い

レバウェル看護は、医療業界で最大級の求人数を誇る転職支援サービスです。

担当アドバイザーにはLINEを使って連絡ができ、多忙な看護師でも気軽にコミュニケーションを取れるでしょう。

レバウェル看護では一般公開されている求人情報に加えて、登録者だけに紹介される非公開求人も数多く取り扱っています。

希望する条件にあう求人が見つからない場合でも、担当アドバイザーは医療機関や福祉施設に直接問い合わせを行い、最適な職場を探してくれます。

個人で情報を探す場合と比べて、より効率的に求人を見つけられるため、内定獲得までの期間を短縮できるでしょう。

看護roo!転職｜LINEで気軽に相談できる

看護roo!転職は、医療業界の転職に特化した転職支援サービスです。

登録後は看護roo!転職からの質問に回答するだけで、あなたの希望条件にあった求人が紹介されます。

2024年11月時点で1,386件の保健師求人が掲載されており、LINEでも詳細情報の問い合わせが可能です。

担当アドバイザーには職場での悩みや転職の不安など幅広く相談できるので、公式サイトから気軽に問い合わせてみましょう。

保健師向け転職支援サービスを利用する流れ

転職支援サービスを利用する流れを、5つのステップで紹介します。

転職支援サービスに登録したら、担当アドバイザーと面談を行いましょう。

面談では、転職理由や希望年収、職場に求める条件などを伝えてください。

必要書類の作成や面接対策も担当アドバイザーに依頼できるので、気軽に問い合わせてみましょう。

また、内定後は退職手続きと業務の引き継ぎを行います。

担当アドバイザーと連絡を取りながら、転職活動を進めてください。

看護師から保健師へ転職する際によくある質問

看護師から保健師へ転職する際に、よくある質問を5つ紹介します。

看護師から保健師に転職する理由を教えてください

看護師から保健師へ転職する理由は、おもに5つ考えられます。

とくに「予防医療に携わり地域の健康課題を解決したい」という理由で転職する看護師は多いです。

また、保健師を経験してからふたたび看護師として働く方もおり、キャリアアップのために転職する方もいます。

関連記事：保健師への転職は後悔する？理由や退職の基準・転職成功のコツを解説！

看護師から保健師になるには1年かかりますか？

看護師から保健師になるには、通常1年～2年半ほどかかります。

保健師養成学校へ入学して単位を取得する場合、早い人だと1年～1年半ほどで内定を獲得できるでしょう。

ただし、国家試験対策と就職活動までを行うため、かなり過密なスケジュールとなります。

保健師への転職を考えている方は、看護師としての仕事や将来のキャリアプランを考えながら、無理のない計画を立ててください。

保健師と看護師はどちらがいいですか？

一概にどちらがよいかの判断は難しく、あなたが希望する働き方や仕事に求めるやりがいにあわせて選ぶことが重要と言えます。

病気やケガで苦しんでいる患者さんを直接サポートしたい方は、看護師の仕事がおすすめです。

一方で、人々が健康で暮らせるよう、病気の予防や健康増進活動に携わりたい方は、保健師としての働き方が向いているでしょう。

どちらも社会貢献につながる素晴らしい仕事なので、自分の価値観や将来の目標を確認し、職業を選ぶことが大切です。

看護師から保健師になるための学費を教えてください

入学する学校によって異なりますが、学費は70万円～180万円程度が一般的です。

退職後に保健師国家試験の勉強をはじめる方は、学費だけでなく生活費も確保しておきましょう。

詳細な学費は、保健師養成学校や看護系大学の公式サイトで確認できます。

保健師のつらいことを教えてください

日本看護協会が行った調査をもとに、保健師の仕事でつらい部分やストレスの要因を5つ紹介します。

とくに、行政保健師として働くと、自分の専門性が必ずしもキャリアアップに繋がらないこともあるでしょう。

以下の記事では、退職を考える保健師が辞めたいと感じる理由を紹介したので、あわせて読み進めてください。

関連記事：保健師を辞めたい理由は？退職の判断基準や向いている人の特徴を解説！

参考：日本看護協会｜保健師の活動基盤に関する基礎調査報告書

まとめ｜看護師から保健師への転職では転職支援サービスを活用しよう

この記事では、看護師から保健師へ転職する方法を解説しました。

保健師へ転職すると、看護師とは異なる視点で地域住民の健康を支援できます。

ただし、保健師は他の職種と比べて離職率が低く、求人数も比較的少ないです。

転職活動を始めてもなかなか希望する求人が見つからない場合は、転職支援サービスの利用を検討してください。