「特養の仕事はきつい、やめとけ」といわれて、転職をためらっていませんか。

たしかに特養の仕事は楽とはいえず、きついと感じている方も多いでしょう。「やめとけ」とアドバイスする方の気持ちも理解できます。

しかし、介護の仕事はきついだけでなく、さまざまなメリットのあるやりがいの多い仕事です。

きついとの理由であきらめてしまうのは、非常にもったいない話です。

本記事では特養の仕事について、きついといわれる理由や特養で働く魅力をお伝えします。また、特養に向いている人の特徴や、働きやすい特養施設へ転職するコツなども解説しています。

記事に目をとおし特養の特長を理解すれば、あなたが特養に向いているかどうか判断できるでしょう。

ぜひ、最後までご覧ください。

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特養（特別養護老人ホーム）とは？

特養（特別養護老人ホーム）は日常的に介護が必要で、在宅での生活が難しい高齢者を対象に、生活全般の介護サービスを提供する施設です。

また、特養の中でも定員29名以下の施設は「地域密着型介護老人福祉施設」と分類されます。

特養の施設形態には、数人の入居者さんが一緒の部屋で生活する「多床室」と、1つの部屋に入居者さんひとりが住む「従来型個室」「ユニット型個室」があります。

ユニット型個室ではすべての居室が個室となっており、10名前後の少人数グループで1ユニットが構成されるのが一般的です。

特養で働く介護職員の仕事内容

特養の仕事は大きくわけて、以下のものがあります。

以上のサービスを多種多様な専門職がそれぞれの専門を活かして、入居者さんが自立して過ごせるように総合的なサポートを提供しています。

特養は要介護の高い方が多く入居されているため、とりわけ身体介護の比率が高い施設です。

特養の仕事がきつい理由！介護職の辛さを解説

特養の仕事はきついといわれますが、実際に特養で働く介護職は、具体的にどのような仕事をきついと考えているのでしょうか。

本章では、特養で働く介護職員がきついと感じる仕事をピックアップして、ひとつずつ解説します。

介護職員がきついと感じる仕事について理解を深め、あなたが特養で働けるかどうか見極めてください。

身体的な負担が大きい

特養における介護職の仕事は、身体的な負担が非常に大きなものが少なくありません。

たとえば、身体の不自由な入居者さんの移乗介助や体位変換、入浴介助などの身体介護があげられます。

時には自分の体重より重い方を介護しなければならず、腰や膝への負担は相当なものです。

業務量が多い

特養での介護職は、非常に多くの業務をこなしています。

利用者さん一人ひとりに対するケアは、身体介護や生活援助だけでなく、リハビリテーションの補助やレクリエーションの企画・運営も担当します。

以上にあげた業務に加えて報告書や日誌の作成などもおこなわなければならず、一日のスケジュールは常に埋まっているのです。

利用者さんとの意思疎通が難しい

特養の介護職がきつい理由のひとつとして、利用者さんとの意思疎通が難しいこともあげられるでしょう。

多くの利用者さんは認知症や身体的な障害を抱えており、自分の意思や希望を言葉でうまく伝えられません。

そのため、介護職員が利用者さんの表情や仕草、声のトーンなどから意図を読み取る必要があります。

しかし、意思疎通が難しい方とのコミュニケーションは、それなりの知識と経験がないとうまくいきません。

看取りへの対応は避けられない

特養は多くの利用者さんが終末期を迎える場所でもあるため、看取りのケアは重要な業務のひとつです。

とはいえ、看取り対応は介護職にとって精神的に非常に重い負担となります。

利用者さんやその家族との関係が深ければ深いほど、別れの時には精神的な落ち込みも大きなものとなるでしょう。

しかし、深い悲しみが待っているとしても、介護職は利用者さんが「自分の人生は幸せだった」と感じてもらえるために、日常のケア一つひとつを大切におこなう必要があるのです。

記録業務が多すぎる

特養の介護職は、多くの記録業務に追われます。

利用者さんの健康状態やケア内容を詳細に記録することは、ケアの質を保ち適切な医療・介護サービスを提供するために欠かせません。

しかし、この記録業務が非常に多く、日々の業務を圧迫する要因となるのです。

介護職員がおこなうべき記録業務には、主に以下のものがあります。

毎日の記録だけでも大変ですが事故報告書といった突発的な記録も多く、業務内で対応できないケースもあります。

ほとんどの施設が記録の電子化に取り組んでいますが、効率的な運用ができている施設は多くありません。

そのため、ICTやAIなどの積極的な活用で、記録業務の削減をすすめたいところです。

レクリエーションやイベントの企画が負担になる

特養では利用者さんの生活を豊かにするために、レクリエーションや各種行事がおこなわれます。

しかしレクリエーションや各種行事も、介護職にとっては負担となります。

利用者さん一人ひとりの興味や能力に応じた活動を考えて実施するためには、さまざまな準備と細かな調整が必要です。

季節ごとのイベントや誕生日会、リハビリを兼ねた体操教室など多種多様なプログラムが計画されますが、材料の準備やスケジュールの調整、当日の運営まで多くの手間がかかるのです。

レクリエーションやイベントの企画・運営は、介護職に企画や調整といった新たな業務を加えます。

さらに実行する際は大きな労力を伴うため、負担が大きい業務といえるでしょう。

特養に未経験で転職するのはきつい？

特養における介護職の仕事は、きつい面がたしかにあります。

しかしそれでも、未経験者でも働くことは十分可能です。

多くの特養では、未経験者をサポートするための研修制度やOJTが整備されています。

メンターと呼ばれる職員が、未経験職員のフォローをおこなうメンター制度を導入している施設も増えてきました。

そのため未経験者でも、基本的な介護技術や知識を学びながら、安心して業務を始められるでしょう。

そして何よりも、あなたが積極的な姿勢で仕事をすれば、先輩職員も積極的にサポートしてくれます。

先輩職員の支援を受けながら経験を積めば、すぐに自信を持って業務に取り組めるようになるでしょう。

積極的に業務に取り組めば、利用者さんは感謝の言葉や笑顔であなたにこたえてくれます。

利用者さんのポジティブな反応は、大きな達成感ややりがいにつながるものです。

特養の仕事に向いている人

ここでは、特養で活躍できる人の特徴について解説します。

特養の仕事はきついといわれますが、以下の特徴にあてはまる方は、特養で十分通用します。

また、特長を持ち合わせていない方でも特養に必要な資質を理解すれば、自分に足りない部分を補う努力ができるはずです。

以下にあげる特養に向いている人の特徴をよく読み、特養に転職するかどうかの指針としてください。

体力に自信がある

特養の介護職は身体的な負担が大きいため、体力に自信のある人が向いています。

身体の大きな利用者さんの移乗や体位変換、入浴介助などの身体を使う業務は多岐にわたります。

また、長時間の立ち仕事で歩行距離もかなりのものになるため、筋力や持久力が必要なのです。

メンタルが強い

特養での仕事は精神的な負担も大きいため、精神力が強い人に向いているでしょう。

認知症を患った利用者さんとのコミュニケーションや看取りへの対応など、特養では精神的な負担のかかる業務が多いといえます。

また、利用者さんやご家族からの要望やクレーム対応などもあり、ストレスを感じる場面も少なくありません。

それゆえ強いメンタルを持ち、ストレスとうまく付き合いながら冷静に業務を遂行できる方は、特養向きの人といえます。

チームワークを重視できる

チームワークを大切にする人は、特養で活躍できる人材です。

特養の現場では、介護職員だけでなく看護師やリハビリ職、栄養士や相談員など多くの職種が関わります。

そのため、それぞれの専門知識や役割を理解し、協力し合いながら利用者さんに最適なケアを提供しなければなりません。

特養の仕事で得られるメリット

特養の仕事はたしかにきついといえますが、特養の介護職にはほかでは得られない魅力もあります。

ここでは、特養ならではの魅力や、ほかの介護サービスでは得られないメリットを紹介します。

特養の「きつさ」と得られる「メリット」を比べて、特養で働くかどうか見極めましょう。

特養で得られるメリットには、以下のものがあります。

特養の給与は介護関係の中でも高い

特養で働く介護職員には、介護業界の中でも比較的高い給与が支払われています。

厚生労働省の「令和4年度 介護従事者処遇状況等調査結果」 によると、介護職員の平均月給は31万7,540円、特養の職員の給与は34万8,040円と報告されています。

とくに、夜勤のないデイサービスと比べると7万円近く離れているため、かなり高いのがわかるでしょう。

特養の仕事はきついと思いますが、その分給与に反映されているのです。

施設	給与
特別養護老人ホーム	34万8,040円
介護老人保健施設	33万9,040円
認知症対応型共同生活介護（グループホーム）	29万1,080円
介護療養型医療施設	27万6,400円
介護医療院	32万700円
訪問介護事業所	31万5,170円
デイサービス	27万5,620円
通所リハビリテーション事業所	30万4,790円
特定施設入居者生活介護事業所	31万3,920円
小規模多機能型居宅介護事業所	28万7,970円

総合的な介護スキルが習得できる

特養ではあらゆる介護スキルが必要になるため、ひとりで業務をこなせるレベルになるころには、総合的な介護スキルが身についているでしょう。

特養では、身体介護・生活援助・リハビリ・医療的ケアなど、入居者さんのさまざまなニーズに対応しなくてはいけません。

他職種が多く介護以外の知識が身につく

特養では、以下にあげるさまざまな専門職種が、入居者さんのケアに当たります。

介護職員もリハビリや医療的ケアなど、さまざまな場面で他職種と協働する機会があるため、多種多様な専門職から幅広い分野の知識を学べます。

他職種の視点や専門性を理解すれば、介護職員としての総合的な能力向上が期待できるでしょう。

年齢に関係なくキャリアアップできる

特養の仕事では年齢がいくつでも、キャリアアップの機会があります。

たとえば、介護福祉士資格を取得すれば、施設で中心的な役割を担えます。

さらに経験を積めば、リーダーや主任、管理職への道も開けるでしょう。

また、ケアマネジャーの資格を取れば、施設ケアマネや相談員などの相談業務にキャリアアップできます。

特養の多くは、資格取得のための支援制度や研修プログラムを設けています。

働きながらキャリアアップを目指せる環境が整っているのも、キャリアアップを後押ししてくれるのです。

特養の仕事への転職！きつい施設を避けるコツ

きついといわれる特養の仕事は、労働環境の悪い施設ではさらにきつくなります。

そのため、特養への転職を考える際は、労働環境の悪い施設を避けてください。

労働環境がいいか悪いかは、外野からはなかなかうかがい知れません。

そのため、以下であげる転職先選びのコツに目をとおし、転職活動で実践してください。

有給の取得状況を調べる

特養への転職を考える際は、有給休暇の取得状況について前もって調べることをおすすめします。

有給の取得状況は有給休暇が取得できる環境かどうかがわかるため、働きやすさを簡単に判断できます。

有給休暇がほとんど取れない職場環境であれば、いくら給与が高くても転職したくないと思う方も多いでしょう。

反対に有給の取得状況が高い職場であれば、少しくらい給与が低くても、魅力的と感じるはずです。

有給の取得率は、ハローワークや転職サイトの求人情報で確認できます。

転職先を決める前に、有給取得状況を確認してださい。

離職率を確認する

転職先選びでは、離職率も気にしてください。

離職率は、その施設の働きやすさを示す重要な指標といえます。

離職率が高い施設は、労働環境に問題のある可能性が高いでしょう。

離職率も、ハローワークや転職サイトの求人情報で確認できます。

また、面接で質問する方法もありますが、気が引ける方も多いでしょう。

事前に施設を見学する

特養に転職する前に、事前に施設見学してください。

施設見学をすれば、実際の職場環境や働いている職員の様子、利用者さんの雰囲気を直接感じ取れます。

施設見学の際は、施設内の清潔さや設備の充実度、職員同士のコミュニケーションの様子などをチェックしましょう。

見学時に感じた印象や直感も、重要な判断材料となります。

また、見学時に職員や管理者に対して質問すれば、働きやすさや職場の雰囲気についてより具体的な情報を得られます。

処遇改善加算の取得状況をチェックする

特養への転職を検討する際、処遇改善加算の取得状況を確認してください。

処遇改善加算は、介護職員の賃金改善を目的とした制度です。

それゆえ、処遇加算を取得している施設は、職員の待遇改善に積極的であるといえるでしょう。

また、処遇改善加算を取得している施設は、当然給与や手当が充実しており、職員の働きやすさも向上している可能性が高いです。

転職先の施設が処遇改善加算を取得しているかどうかは、厚生労働省が提供する「介護サービス情報公表システム」で確認できます。

「介護サービス情報公表システム」では処遇改善加算だけでなく、転職先の特養が算定しているすべての加算について把握できるため、ぜひ活用してください。

資格取得支援制度・研修制度を確認する

特養で長く働くためには、資格取得支援制度や研修制度が整備されているかどうかも重要です。

多忙な特養職員にとって、働きながら資格取得を目指すのは大変なことです。

そのため、資格取得をサポートしてくれる制度は、介護職員がスキルアップしキャリアを積むための大きな助けになるでしょう。

それゆえ、転職の面接時に施設が提供する資格取得支援制度や研修プログラムの内容について、詳しく確認しましょう。

特養の仕事をしたい方必見の転職サイト

特養に転職したい方は、介護に特化した転職サイトを利用するのが便利です。

介護に特化した転職サイトは一般の転職サイトとは違い、介護業界に関する知識を豊富に持ち合わせています。

そのため、介護職特有の悩みや要望にも、スムーズに対応してくれるでしょう。

本章では、以下の3つの転職サイトを紹介します。

介護ワーカー

介護ワーカーは、介護職の求人に特化した転職サイトです。

株式会社トライトキャリアが運営し、転職サポートの分野では長年の実績から、介護施設や病院から多くの信頼を集めています。

介護ワーカーが保有する公開求人は8万件を超えるため、あなたの希望に沿った求人が見つかるでしょう。

また、介護ワーカーのサイトに登録してマイページを作成すれば、施設から直接スカウトが届く可能性もあります。

登録はメールアドレスがなくてもできるため、個人情報のやりとりに不安がある方も安心して利用できます。

働きやすい特養施設を探している方は、実績のある介護ワーカーに相談してみましょう。

レバウェル介護（旧きらケア）

レバウェル介護（旧きらケア）は、レバレジーズメディカルケア株式会社が運営する、口コミ総合評価NO.1の介護転職サービスです。

取り扱う求人数は10万件を超えるため、条件はもちろん施設の雰囲気もあなたに合う求人を紹介できます。

また、単なる求人紹介で終わることなく、入職した後もさまざまなサポートを提供してくれます。

未経験・無資格向けの求人も多く取り扱っているため、介護未経験で特養に挑戦したい方の心強い味方になってくれるでしょう。

介護初心者の方は、さまざまな相談にのってくれるレバウェル介護の公式サイトを覗いてみてください。

ミラクス介護

株式会社ミラクスが運営するミラクス介護は、2020年1月に日本トレンドサーチ社がおこなったイメージ調査「介護職がおすすめする求人サイト」で第1位に輝きました。

介護職がすすめる求人サイトとあって、未経験者にもふさわしい求人を紹介しています。

スタッフは介護系の資格取得者が多いため、ほかのエージェントよりも介護に関する知識は豊富といえるでしょう。

これから介護を学んで仕事に活かしたい方は、介護の専門知識を持った人材コンサルトがいるミラクス介護に相談してみましょう。

特養の仕事はきつい！でも魅力もたくさんある

特養の仕事はきついものが多いため、職員への負担も相当なものです。

しかし、その分ほかの介護サービスよりもメリットが多く、魅力的な職場でもあります。

とはいえ、特養の中には労働環境が悪いため、きつい特養の仕事がよりきつい状況に陥っているところもあります。

そのため、特養への転職はいかに労働環境の悪い施設を避けるかがポイントになるでしょう。

しかし労働環境の悪さは、外からでは見えないものです。

たとえ面接で有給の取得状況を尋ねても、正直にこたえてくれなければ実状はわかりません。

ひとりの力で労働環境を探るのは、限界があるといえるでしょう。

そのため、特養への転職は転職エージェントの利用がおすすめです。

転職エージェントは求人施設のネガティブな情報も把握しているため、効率よく労働環境の悪い施設を避けられるのです。

未経験OKの求人も多数保有しているため、介護の経験がなくても安心して転職活動がおこなえるでしょう。

特養への転職は、転職エージェントの利用をおすすめします。