訪問看護管理者として責任ある立場に就いたものの、業務負担の重さや責任の大きさから「やめたい」と考える方は少なくありません。

看護師の採用や教育、利用者との関係作りなど、管理者には多岐にわたる業務が求められます。

現場でのケアと管理業務の両立に悩み、心身ともに疲れ切っている方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、訪問看護管理者が仕事をやめたいと感じる主な理由と具体的な対処法を紹介しました。

管理者を続けるべきか転職すべきか判断するポイントや、キャリアを活かせる転職先も解説しています。

管理者としての経験を持つ看護師のキャリアは、非常に価値があるものです。

現在の状況を見直して、あなたにあった働き方を見つけるための参考にしてください。

また、現職からの転職を検討している方には、看護師に特化した転職支援サービスの利用がおすすめです。豊富な求人情報から、自分にあった職場を提案してもらえます。

関連記事：看護師向け転職エージェントおすすめ19選を徹底比較【2025年最新】

訪問看護管理者をやめたいと感じる7つの理由

人によって訪問看護管理者の仕事をやめたいと感じる要因は異なりますが、主な理由は以下の7つです。

それぞれの理由を深堀りします。

業務負担が重いため

訪問看護管理者は、看護師としての現場業務と施設の管理業務を兼任するケースが多く、二重の役割により業務負担が重くなっています。

そのため、慢性的な疲労感や精神的なストレスが蓄積し、仕事をやめたいと感じることもあるでしょう。

とくに、訪問看護ステーションを開始したばかりの時期は、病院勤務と訪問看護管理者としての仕事内容の違いに戸惑う場面は少なくありません。

長時間労働になりやすいため

長時間労働になりやすいことも、訪問看護管理者をやめたいと感じる理由の一つです。

厚生労働省の資料によると、訪問看護ステーションの75％が24時間体制で緊急対応を実施しています。

管理者は緊急時の対応や人員調整に加えて、スタッフが体調不良の場合は自ら出勤することも少なくありません。

そのため、管理者は長時間労働になりやすく、プライベートの時間を確保できないことで仕事をやめたいと考えてしまいます。

参考：厚生労働省｜訪問看護参考資料

オンコールでの待機が必要なため

訪問看護管理者をやめたいと感じる理由には、オンコール待機が必要なことも挙げられます。

日本看護協会の資料によると、一晩あたりのオンコール担当者は平均4人でした。

とくにスタッフの人数が少ない訪問看護ステーションでは、オンコール対応の頻度が増えやすい状況です。

管理業務の最中にオンコール対応が重なると思うように作業が進まないため、仕事への意欲が低下し、やめたいと感じてしまうでしょう。

参考：日本看護協会｜2024年度 診療報酬・介護報酬改定等に向けた訪問看護実態調査

人員不足への対策が求められるため

人員不足への対策が求められることも、訪問看護管理者が仕事をやめたいと考える理由の一つです。

スタッフが急に退職すると管理者自身が現場業務を兼任するケースも多くなり、体力的負担は大きくなります。

また、看護師の新規採用やスタッフの離職防止への対策も求められるため、精神的プレッシャーを感じる場面もあるでしょう。

これらの業務負担と人員確保の責任が重なることで、訪問看護管理者を続けることに限界を感じるケースも少なくありません。

管理者としての責任があるため

訪問看護管理者は、利用者へ提供するサービス内容や訪問看護ステーションの経営管理に関して最終的な責任を負っています。

スタッフの判断ミスや経営不振が発生した場合も自分の責任となるため、大きなプレッシャーがかかり、仕事をやめたいと感じる管理者も少なくないでしょう。

また、日本看護協会の資料によると、利用者やその家族からの暴力やハラスメント対策として、管理者の81％が必要に応じてスタッフの訪問に同行している状況です。

看護業務に加えて、管理・経営・安全対策など多岐にわたる責任が求められるため、訪問看護管理者をやめたいと感じる場面もでてきます。

参考：日本看護協会｜2024年度 診療報酬・介護報酬改定等に向けた訪問看護実態調査

業務内容が幅広く対応しきれないため

業務内容が幅広く一人で対応しきれないことも、訪問看護管理者が仕事をやめたいと感じる理由の一つです。

訪問看護管理者は、主に以下の業務を担当します。

複数の業務を同時並行で行う必要があるため、訪問看護管理者への負担は大きくなりやすいです。

とくに小規模ステーションでは訪問看護管理者の業務量は増えやすく、仕事をやめたいと考えるケースが見られます。

スタッフのマネジメントに苦労するため

訪問看護管理者が仕事をやめたいと考える理由には、スタッフのマネジメントに苦労することも挙げられます。

スタッフによって家族構成や出勤できる時間帯も異なるため、全員の不満を発生させずに業務を進めることは簡単ではありません。

例えば、小さな子どもがいるスタッフは夕方の時間帯のシフトに入りにくく、オンコール対応も難しい状況です。

訪問看護管理者はスタッフそれぞれの事情に配慮しながら公平に業務を割り振ることに苦労し、精神的なストレスを感じて仕事をやめたいと考えてしまいます。

訪問看護管理者をやめたいと考えたときの対処法

訪問看護管理者の仕事を、やめたいと考えたときの対処法を5つ紹介します。

業務効率化を実施する

仕事量の増加が原因で訪問看護管理者をやめたいと考えている方には、業務効率化の実施をおすすめします。

業務効率化によって現在の業務負担を減らせると、時間に余裕が生まれて心身のストレスを軽減できるからです。

導入を検討して欲しい業務効率化ツールやシステムは、以下の表のとおりです。

業務効率化ツール・システム	導入するメリット
訪問看護専用ソフト	記録作成時間の短縮 請求ミスの減少 データの一元管理
タブレット端末	リアルタイムでの情報共有 移動時間の有効活用
クラウド型勤怠管理システム	シフト作成時間を短縮 労務管理の適正化
オンライン会議ツール	移動時間を削減 議事録の自動作成が可能

業務効率化ツールやシステムの導入後は、すべてのスタッフが効率的に活用できるよう研修会も実施してください。

生活習慣を見直す

長時間労働が続き体力的な不安を感じて訪問看護管理者をやめたいと考えている方は、一度生活習慣を見直してみましょう。

生活習慣を見直すことで、長時間労働による体力的な負担を軽減できる可能性があります。

例えば、バランスの良い食事を意識したり適度に運動したりすると、体力や免疫力が向上し、ストレスへの耐性も高まります。

十分な睡眠時間を確保できると疲労も回復でき、日々の業務に集中して取り組めるでしょう。

チーム体制を強化する

人員不足が原因で訪問看護管理者をやめたいと考えている方には、チーム体制をより強化できないか検討してみましょう。

スタッフ一人ひとりのスキルや経験を正確に把握し、それぞれの強みを活かしたポジションに再配置してください。

どうしても人員が不足している場合は、新しくスタッフを採用できるとシフト調整の負担を減らせます。

過去に働いていた方をパートタイムで再雇用したり、定年退職した看護師に短期契約で働いてもらったりすると、チーム体制を強化できます。

採用には時間がかかるため、人手不足で一人当たりの作業量に負担がある場合は早めに採用活動に注力しておくと、早急に解決できるでしょう。

有給休暇を取得する

業務負担が重くなり心身の疲労がピークに達した場合は、有給休暇を取得して一度リフレッシュしてください。

短い期間でも体を休ませることで、負担を軽減でき仕事へのモチベーションは回復します。

有給休暇の取得前には業務の引き継ぎをしっかりと行い、不在中の対応マニュアルを作成しておきましょう。

また、訪問予定の利用者やその家族にも事前に連絡をして、理解を得ておくことも大切です。

訪問看護管理者からの転職を検討する

どうしても現在の仕事がつらいと感じている場合は、訪問看護管理者からの転職を検討してください。

訪問看護管理者として働いた経験は、他の医療施設や介護施設でも高く評価されやすいため、転職の際は有利に働きます。

以下の記事では看護師に特化した転職サイトの口コミを紹介していますので、あわせて読み進めてください。

関連記事：看護師転職サイトの口コミ｜人気5社の評判を比較して解説！

訪問看護管理者からの転職を検討すべき3つのサイン

訪問看護管理者からの転職を考えている方に向けて、仕事をやめるかどうかの判断基準を解説します。

以下の状況に当てはまる方は、現職からの転職を検討してください。

心身の健康状態が悪化している

心身の健康状態に不調を感じている方は、訪問看護管理者の職を離れることも一つの選択肢です。

体調不良の中で無理に仕事を続けると、症状は悪化して業務にも支障が出やすくなります。

例えば慢性的な睡眠不足となり、夜中に利用者からの電話対応後に眠れない場合は、健康を最優先に考える時期かもしれません。

転職によって負担の少ない職場環境を選ぶことで、今よりも健康状態を改善できる可能性は高くなるでしょう。

改善策を試しても状況が変わらない

職場環境の課題解決のために改善策を実行したにもかかわらず、状況が良くならない場合は転職を視野に入れてもよいでしょう。

自分の努力だけでは解決できない課題がある場合、新しい職場で能力を発揮するタイミングかもしれません。

例えば、スタッフの高い離職率に対して施設としての対策を取れない場合は、個人の努力では課題を解決しにくいでしょう。

訪問看護管理者としての努力で施設を改善できる見込みがなければ、転職も選択肢の一つとなります。

理想のキャリアとミスマッチを感じる

あなたが理想とするキャリアと現在の仕事にミスマッチを感じた場合も、転職を検討する時期と言えるでしょう。

管理者として働く中で「現場で利用者のケアを担当したい」「専門的な看護スキルを高めたい」などの目標があるなら、転職も選択肢の一つとなります。

とくに経営や事務作業に時間を取られ、利用者との関わりが減っている状況では、看護師としてのやりがいを求めて転職をする人も少なくないでしょう。

自分が理想とするキャリアをじっくりと考えて、現在の仕事内容とのズレを感じたら、転職を検討してください。

訪問看護管理者から転職するときの流れ

訪問看護管理者のポジションを離れる決意をした方は、以下の流れで転職活動を進めてください。

退職の連絡をする

退職を決めたら、まずは直属の上司や訪問看護ステーションの経営者に伝えてください。

訪問看護ステーションに人事部門がある場合は、退職日や有給休暇の消化について担当者に確認しましょう。

一般的に、退職の意思は1ヶ月～2ヶ月前の報告が推奨されています。

業務の引き継ぎを行う

退職日が決まったら、業務の引き継ぎをしましょう。

具体的な引き継ぎ項目は、以下の表のとおりです。

引き継ぎ項目	具体的な内容
利用者情報の共有	利用者の健康状態・注意点の共有 利用者やご家族の連絡先を共有
業務マニュアル	運営手順書や業務マニュアルを最新情報に更新 連絡先リストの作成
スタッフ管理	スケジュールや役割分担表の共有 スタッフとの面談で引き継ぎ内容を説明
経営	予算管理と収支報告書の共有 経営計画や資金繰りなどの重要事項を引き継ぎ 提携医療機関やケアマネジャーへの連絡
行政手続き	管理者変更届を提出 介護保険事業者変更届を提出
利用者・家族への通知	利用者とその家族へ後任者を紹介する

できるだけ早く引き継ぎを始めることで、利用者に不安を与えることなく、安心して新体制に移行できます。

退職手続きをする

業務の引き継ぎと並行して、退職手続きも進めてください。

退職までの具体的なスケジュールは、以下の表のとおりです。

時期	手続き内容
退職予定日の2ヶ月前	退職届を提出 有給休暇の日数を確認 業務の引き継ぎを開始
退職予定日の1ヶ月前	施設へ返却する備品を整理 社会保険の手続内容を確認
退職予定日の1週間前	退職後の連絡先を伝える 源泉徴収票・離職票の発行を依頼 利用者への挨拶回り
退職日当日	備品を返却 スタッフへの挨拶回り

事前に退職までのスケジュールを逆算して、余裕をもって手続きを進めましょう。

以下の記事では退職後にやることや必要書類を解説していますので、あわせて読み進めてください。

関連記事：退職したらやることを5つの順番で解説！必要書類や一覧リストも紹介

転職活動を行う

退職手続きがすべて完了したら、転職活動を始めましょう。

転職活動は、以下の順番に進めてください。

訪問看護管理者を経験した人材は、転職市場で高く評価される傾向があります。

履歴書の自己PR欄では、訪問看護管理者としての経歴を効果的にアピールしてください。

受かる履歴書の書き方や転職活動の基礎知識は以下の記事で紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

関連記事：受かる履歴書の書き方を紹介！看護師が転職する際に知っておくべき基本知識

訪問看護管理者の経験を活かせる転職先

訪問看護管理者としての経験を活かして働ける転職先を3つ紹介します。

あなたの希望条件にあわせて、転職先を選んでください。

関連記事：看護師におすすめの転職先16選！看護師以外の他職種や別の仕事も解説

病院の管理職

マネジメント経験の豊富な人や医療機関との連携スキルがある方には、病院の管理職への転職をおすすめします。

病院では在宅医療との連携強化が求められており、訪問看護の実務や管理の経験を持つ人材は貴重な存在です。

とくに、予算管理やスタッフ育成の経験が豊富な方は、看護師長や看護部長などの役職で活躍できるでしょう。

以下の記事では、看護師長の平均年収や仕事内容を紹介していますので、転職活動の際は参考にしてください。

関連記事：看護師長の平均年収は？仕事内容やキャリアアップするためのポイントも紹介

介護施設の管理者

介護保険制度や法令知識を学ぶ意欲のある人には、介護施設の管理者への転職をおすすめします。

介護施設では、利用者の幸福度や生活の質、安全な環境提供が最優先事項です。

訪問看護管理者として働いた経験を持つ方は、医療と介護の両面から支援できるため、介護施設でも重宝されるでしょう。

以下の記事では介護業界の実情や具体的な転職方法を解説していますので、あわせて読み進めてください。

関連記事：介護職への転職を考えている方に対して！介護業界の実情や後悔しない転職方法を解説

医療系企業のコンサルタント

医療機関の経営改善や業務効率化に関する知識や経験が豊富な方には、医療系企業のコンサルタントへの転職をおすすめします。

理由は、医療業界は常に変化しており、効率的な運営と質の高いサービス提供の両立が求められるからです。

診療報酬改定や医療制度改革に詳しい方は、クライアントに対して具体的な改善策を提案できるでしょう。

訪問看護管理者からの転職におすすめの転職支援サービス

訪問看護管理者から転職する際に、おすすめの転職支援サービスを3つ紹介します。

各社で特徴や取り扱う求人数は異なるので、あなたに適したサービスを選んでください。

レバウェル看護｜紹介案件の質が良いサービスNo.1

レバウェル看護は、看護師の転職に特化した転職支援サービスです。

病院以外の求人も豊富に取り扱っており、介護施設や美容クリニックなどの職場も紹介してもらえます。

レバウェル看護は今すぐに転職を希望する方だけでなく、看護師としての働き方やキャリアについての相談も可能です。

そのため、訪問看護管理者としての働き方に不安を感じている方は、一度公式サイトからアドバイザーに相談してください。

ナース専科 転職｜年間利用者数10万人以上

ナース専科 転職は、1980年から看護師のキャリアサポートを実施してきた転職支援サービスです。

幅広い職種の求人を取り扱っており、2025年4月時点では25,227件の求人が掲載されていました。

ナース専科 転職には地域の医療施設に詳しいキャリアアドバイザーが在籍しており、一人ひとりの状況にあわせたサポートを提供しています。

そのため、地方都市に住んでいる方も安心してナース専科 転職を利用できるでしょう。

看護roo!｜15年以上も看護師の転職をサポート

看護roo!は、看護師や准看護師の転職支援に特化したサービスです。

在籍するキャリアアドバイザーは看護業界に精通しており、求職者の希望にあわせて丁寧なサポートを提供しています。

看護roo!に登録するとLINEを活用して気軽に相談ができるため、スキマ時間やオンコール中でも転職活動を進められます。

そのため、業務が忙しい訪問看護管理者でも、効率的に転職活動を進められるでしょう。

訪問看護管理者をやめたいと考える方からよく聞かれる質問

訪問看護管理者からの転職を考えている方から、よく聞かれる質問を3つ紹介します。

訪問看護管理者に向いている人の特徴は？

訪問看護管理者に向いている人の主な特徴は、以下の6つです。

とくに、経営者の視点で施設運営ができる人は、訪問看護管理者に適していると言えるでしょう。

訪問看護管理者が大変だと感じるときを教えてください

人によって大変に思う場面は異なりますが、訪問看護管理者がとくに負担を感じやすい状況を紹介します。

とはいえ、利用者から感謝の言葉をもらえたときや、地域住民との信頼関係を築けたときなど、管理者ならではの喜びもあります。

訪問看護管理者の経験は転職市場でどう評価されますか？

訪問看護管理者としての経験を積んだ方は、医療・介護分野での専門性をアピールできるため、転職市場で高く評価されます。

また、利用者への対応や経営管理など幅広く業務をこなした実績があるため、転職市場では即戦力として期待されるでしょう。

まとめ｜訪問看護管理者をやめたいと感じたら転職支援サービスに相談しよう

この記事では、訪問看護管理者をやめたいと考える理由や、具体的な対処法を紹介しました。

現在の仕事をつらいと感じているなら、業務効率化を実施したりチーム体制を強化したりすると、状況を改善できる可能性があります。

しかし、これらの改善策を実施しても問題が解決しない場合は、転職を検討するのも一つの選択肢です。

訪問看護管理者としてのスキルや経験は転職市場でも高く評価されるので、転職支援サービスに登録して自分の市場価値を確認するとよいでしょう。

転職や今後のキャリアに関する相談は無料でできますので、まずは公式サイトから問い合わせてみてください。