「新卒で辞めるときのベストな伝え方は？」
「新卒でのスムーズな辞め方が知りたい」

このような悩みをお持ちではないでしょうか。

新卒入社した会社を辞めたいけれど、引き止められたり怒られたりしそうで迷っている方もいるでしょう。なるべくお互いに納得できる理由で、円満退職したいと考えるかもしれません。

そこで本記事では、新卒者のスムーズな会社の辞め方について紹介しています。引き止めにあわない退職理由や、退職前のチェックポイントも解説しているため、参考にしてください。

あわせて読みたい⇒新卒で仕事を辞めたい！退職してもいい5つの理由やリスクを解説

新卒で会社を辞めても問題はない

そもそも、新卒で会社を辞めること自体に問題はありません。

働いた期間にかかわらず、労働者は退職する権利を持っているためです。

無期雇用であれば2週間前に退職通達することで、会社の同意がなくても退職できます。

第六百二十七条　当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

（引用：民法第627条）

まだ研修段階だったり、一人分の戦力として計算に入っていなかったりする可能性もあり、早い段階で辞めたほうが会社にとっても損失は少なくなります。

もちろん、自分にとっても早めに方向転換できるメリットは大きいでしょう。

入社後1年以内に約1割が辞めている

実際に、新卒入社した人の約1割は1年以内に辞めているというデータがあります。

厚生労働省が発表した「新規学卒者の離職状況」によると、令和5年度の大卒離職者のうち、1年目以内に辞めた人は約11％でした。

10人に1人は入社1年以内に辞めている現状から、新卒での退職はそこまで大きな問題とはならないといえます。

関連記事：新卒で退職を言いづらい原因は？対処法や退職するべきケースを解説

新卒者の会社の辞め方5ステップ

新卒者の会社の辞め方は次の5ステップです。

順番に見ていきましょう。

1.上司に退職の意志を伝える

まずは直属の上司に退職の意思を伝えます。配属が決まっていない場合は、人事担当者でもかまいません。

あらかじめ上司に相談し、会議室など2人きりになれる時間・場所を作ってもらいましょう。

そして、上司が納得できるような退職理由を、誠実な態度と言葉で伝えてください。

2.退職届を提出する

その後、退職願を提出します。

法律上は必須ではないものの、提出を求めている会社がほとんどのため、就業規則を確認しておくと確実です。

退職届の提出をもって、正式に退職を申し出たとみなされることから、退職希望日の2週間前までに届け出ましょう。

退職理由は「一身上の都合」で問題ありません。

3.引き継ぎや取引先への挨拶を済ませる

退職日まで、引き継ぎがあれば後任の社員に伝えましょう。

また、取引先へも担当が変わる旨を伝えておくとスムーズです。

4.貸与品を返却する

退職日までに事務手続きを済ませ、貸与品があれば返却します。

退職日当日、またはそれ以降に離職票などの必要書類を受け取ってください。

5.有給消化して退職する

有給休暇があれば、退職日までに消化しておきます。

退職日はなるべく出社し、短期間とはいえお世話になった上司や同僚に最後の挨拶をしましょう。

これで退職は完了です。

新卒で会社を辞めるときに引き止められにくい退職理由

新卒で会社を辞めるとき、引き止められにくい退職理由は次のとおりです。

円満退職できるよう、退職理由にも気を配りましょう。

関連記事：【具体例付き】理想の退職理由と例文｜円満に退職するためのポイント

転職先が決まった

もっとも引き止められにくいのが、「転職先が決まったため辞めたい」という退職理由です。

ほかにやりたいことがあり、前向きな気持ちで辞めることを伝えれば、上司も納得してくれるでしょう。

本心では「給与が低いから」「休みが少ないから」などの不満があったとしても、わざわざ表に出す必要はありません。

ポジティブな退職であると印象づけることで、新卒での退職でも応援してもらえる可能性を高められます。

資格取得のため勉強したい

「スキルアップのために資格を取得したい」という理由もおすすめです。

らだし、その場合「働きながらでも勉強できる」などと引き止めにあうことも考えられます。

そのため、「勉強に集中したい」「取得には時間をかける必要がある」という点を強調して伝えましょう。

実際に、ハローワークで失業保険（雇用手当）をもらいながら資格取得を目指せる職業訓練などの制度もあるため、活用してみてください。

関連記事：職業訓練を受けながら失業保険をもらう方法！条件やメリット・デメリットを解説

家庭の事情で辞めざるを得ない

辞める理由が「家庭の事情」によるものであれば、上司も納得しやすいと考えられます。

辞めざるを得ない家庭の事情には、次のものが当てはまります。

時短勤務やリモート勤務を提案される可能性もありますが、状況的に難しいことを説明し、退職の道しかないと納得してもらいましょう。

ただし、嘘の退職理由として「家庭の事情」とするのはおすすめしません。あとあとバレるとトラブルになる可能性もあるため、注意してください。

体調を崩した

「体調を崩してしまい、これ以上の勤務が難しい」という理由も有効です。

上司も、無理して働かせるよりゆっくり休んで治してほしいと思うはずです。

この場合、医師の診断書があるとさらに説得力が増します。

さらに、病気やケガが原因の退職であれば失業保険の受給要件が有利になるため、退職前に診断書をもらっておくといいでしょう。

関連記事：失業手当（失業保険）はどんな制度？計算方法や条件・期間・もらい方までくわしく解説

新卒で辞めたいのは甘え？辞めたほうがいいケース

新卒で辞めるのは甘えだという考えもありますが、それでも辞めたほうがいいケースも存在します。

以下に当てはまる場合は、注意が必要です。

一つずつ見ていきましょう。

心身に支障をきたしている

仕事が原因で心身に支障をきたしている場合は、すぐに辞めるべきだといえます。

新卒者は初めての人間関係・初めての業務を新しい環境でこなしていくため、知らない間に大きなストレスを抱えている可能性があります。

ストレスが、朝なかなか起き上がれない・憂うつな気分が長く続く・理由もなく涙が流れるといった体調不良となってあらわれるケースも多いのです。

悪化するとうつ病やPTSDなどにつながるため、なるべく早く退職し、ゆっくり心と体を休めましょう。

関連記事：体調不良で欠勤のまま退職するのは法的にOK！3つの方法と伝え方を解説

パワハラやセクハラを受けている

パワハラやセクハラがある会社は、一刻も早く辞めるべきです。

たとえば、新卒社員に対して次のような態度を取る人がいれば、立派なパワハラになります。

このような状態では業務に必要なスキルが身につかず、正当な評価を受けられません。

すると周囲に溶け込めない、給与が上がらないといった問題につながります。

さらに、ストレスによる心身不調を引き起こしたり、今後の自分のキャリアに影響したりすることも考えられるため、なるべく早く離れましょう。

関連記事：パワハラ（パワーハラスメント）の定義とは？3つの要件と6類型を徹底解説

労働環境が悪いブラック企業である

新卒者が辞める大きな理由として、労働環境の悪さが挙げられます。

また、明らかに会社の業績が下がっている、どんどん人が辞めていくといった状態も危険です。

経営が傾いた会社では社長が夜逃げしたり、突然潰れたりすることもあります。

トラブルに巻き込まれないためにも、なるべく早く退職しましょう。

関連記事：ブラック企業を辞められない理由１位は〇〇！確実に辞める方法とよくある問題

ほかにやりたいことがある

ほかにやりたいことが明確に決まっているなら、一刻も早く辞めるべきだといえます。

新卒入社してみて「やっぱり違った」と感じても、体験してみなければわからないことも多く、仕方のないことです。

失敗を悔やんでいるより、早めに方向転換するほうがよほど建設的です。まわりにどう思われても、自分のやりたい道を進みましょう。

新卒で会社を辞めないほうがいいケース

新卒で会社を辞めたほうがいいケースがある一方で、次のように辞めないほうがいいケースも存在します。

自分が当てはまるかどうか、確認してみてください。

スキルアップできる可能性がある

この会社で働き続けてスキルアップできる可能性があるなら、辞める判断は早すぎるかもしれません。

入社したばかりでまだ仕事に慣れていなかったり、人間関係が構築できていなかったりして「辞めたい」と考えることは誰にでもあります。

もし入社してまだ数ヶ月など日が浅いなら、本当に自分がやっていけそうか判断できるまで、もう少し続けるのも方法の一つです。

やりたい仕事や今後の見通しがあいまいである

ほかにやりたい仕事や今後の見通しがないのに、行き当たりばったりで辞めることはおすすめできません。

転職を繰り返すとマイナスイメージがつきやすく、自分自身のスキルアップにもつながりにくくなります。

いったんは今の仕事を続けながら、副業や趣味を通じて興味のある仕事や職種を探してみてもいいでしょう。

新卒で会社を辞めるメリット・デメリット

ここでは、新卒で会社を辞めるメリットとデメリットを紹介します。

新卒で会社を辞めるメリット

新卒で会社を辞めるメリットは次のとおりです。

早い段階で辞めることで軌道修正ができることや、より自分に合った会社に出会える可能性があることが大きなメリットです。

また、入社後3年以内の第二新卒者は需要も多いため、次の仕事も見つけやすいでしょう。

新卒で会社を辞めるデメリット

新卒で会社を辞めるデメリットは次のとおりです。

短期間で辞めたことは履歴書でわかるため、マイナスイメージがついて転職活動で不利になりやすいといえます。

そのため、ポジティブな退職理由を説明できるかどうかがカギとなるでしょう。

また、短期間での離職は経済的に不安定になることや、失業手当・賞与がもらえない可能性があることがデメリットです。

新卒で会社を辞める前にチェックしたいポイント

新卒で会社を辞める際は、次のポイントをチェックしましょう。

家族や友人に相談したか

本当に辞めるべきか自分で判断できない場合は、家族や友人など信頼できる人に相談してみてください。

自分1人では、ついつい自分に都合のいいように考えてしまいがちです。

第三者の視点から時には優しく、時には厳しく意見をくれる人がいれば、誤った決断をするリスクを下げられるでしょう。

部署異動できないか

人間関係や仕事内容に問題を抱えている場合は、辞める前に部署異動も検討してみてください。

部署が変わることで環境が一新され、新たなやりがいを感じられる可能性があります。

時短勤務や副業ができないか

辞める前に、時短勤務や副業を検討するのもいいでしょう。

仕事以外にやりがいを見つけることで、仕事とプライベートのバランスを保つ方法です。

仕事以外の世界が広がれば、仕事へのモチベーションもアップするかもしれません。

ほかにやりたい仕事や希望条件が明確か

ほかにやりたい仕事や希望条件が、明確にあるかもチェックしましょう。

「なんとなく」や、ただ「嫌だから」という理由で辞めてしまうと、次の職場でも同じことを繰り返す可能性があります。

退職するなら、目標や今後のキャリアプランをしっかり考えた上で決めてください。

転職先が決まっている・決まりそうか

辞める前に、転職先を決めておくのが理想的です。

すぐに転職しない場合は失業保険制度がありますが、自己都合退職の場合は2〜3ヵ月の給付制限があり、すぐに手元にお金が入るわけではありません。

また、空白期間ができるため、転職活動時に「なぜすぐに働かなかったのか」などとつっこまれる可能性があります。

体調不良などの理由がない限り、スムーズな退職を目指すためにも、転職活動は早めに始めておきましょう。

関連記事：新卒におすすめの転職サイト5選！利用するメリットや注意点を徹底解説

新卒で会社を辞めるときのベストな伝え方とタイミング

新卒で会社を辞めるときは、次の点に注意してください。

心象をよくするためには、退職の1ヵ月以上前など早めに伝えることが大切です。

2〜3月、8〜9月は年度が変わったり求人数が増えたりする時期のため、自分にとっても会社側にとってもスムーズに進めやすいでしょう。

また、忙しい時間帯は避け、メールやLINEではなく直接伝えることも重要です。

その際は感謝の気持ちも添えるといいでしょう。

体調不良がある場合は、あらかじめ診断書を書いてもらい、退職を伝えるときに一緒に提出してください。

関連記事：退職を言いづらいときの対処法と仕事を円満に辞めるコツ

新卒で会社を辞めにくいときは退職代行を利用しよう

新卒で会社を辞めにくいときは、退職代行を利用するのがおすすめです。

退職代行は、退職の意思伝達を代わりにおこなってくれるサービスです。

会社と直接やりとりせずに済むため、退職の言いづらさや気まずさがありません。

サービスによっては即日対応しているところもあり、「なるべく早く辞めたい」という場合にぴったりです。

おすすめのサービスについては、以下の記事でくわしく解説しているため、参考にしてください。

関連記事：退職代行おすすめランキング23選｜サービス内容や料金・評判を比較【最新版】

まとめ

新卒でも約1割の人が1年以内に会社を辞めており、新卒での退社に問題はありません。

その場合は上司に納得してもらいやすい退職理由にし、伝えるタイミングや伝え方にも気を配りましょう。

家庭の事情や資格取得のためなど、前向きな理由にすると、短期での離職でも円満退職を目指せます。

ただし、心身に支障をきたしていたり、パワハラがあったりする場合は、離職理由を気にせずすぐに辞めるべきです。

部署異動や時短勤務なども検討した上で、退職するべきかどうか判断しましょう。

新卒での退職が言い出しにくいと感じたら、退職代行サービスの利用もおすすめです。

新卒でもスムーズに会社を辞められるよう、この記事を参考に工夫してみてください。