看護師の仕事は一般企業とは異なり、夜勤や休日出勤があるケースが少なくありません。

そのため、多くの看護師の方が、出産後の働き方に悩みを抱えています。

本記事では、看護師が子育てと仕事を両立させるコツや、子持ち看護師におすすめの職場について紹介します。

子持ちでも働きやすい非常勤看護師の基本情報、役立つ勤務先の制度なども解説するため、子持ちで看護師として働くことにお悩みの方は参考にしてください。

転職を検討している看護師の方は、転職エージェントの利用がおすすめです。以下の記事で紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。

関連記事：看護師向け転職エージェントおすすめ19選！各社を徹底比較

子持ちで働きたい看護師は多い

結婚や出産を機に今の職場を退職する女性は珍しくありませんが、出産後に再び働きたいと考える女性も多くいます。

看護師も同じで、子育てと両立しながら働きたいと考えている方はたくさんいます。

訪問看護ステーション蒼が、看護師（今は働いていない+結婚してお子さんがいる方）を対象に「子持ち看護師の働き方」に関する調査をおこなった結果では、以下の通りになりました。

引用：株式会社エイムス 訪問看護ステーション 蒼

アンケート結果によると、約9割の看護師が「子育てと両立できたら働きたい」と答えていることがわかりました。

さらに、働きたい方の8割が求職行動をしており、働くことに前向きである方がほとんどです。

このように、多くの看護師は子育てと両立しながら働きたいと考えています。

子育てと両立して働くにはどのようにするのがベストなのか、本記事を参考にして考えてみましょう。

看護師が子育てと仕事を両立させるコツ

看護師はほかの仕事と比較すると、家事や育児との両立が困難な仕事といわれています。

ここからは、看護師が子育てと仕事を両立させるコツを紹介するので、仕事への復帰や転職を考えている看護師の方は参考にしてください。

院内保育がある病院を探す

子育てと仕事を両立するなら、院内保育のある病院を探してみましょう。

院内保育とは、病院で働く医療従事者の子どもを預かるための保育所を指します。

病院内や近隣区域に設置されているケースが多いため、送迎をする手間が省ける点がポイントです。さらに、子どもの体調が悪くなった際は、近くに医師や看護師がいるので安心です。

院内保育は子育てと仕事を両立させたい看護師の強い味方となるため、転職先を探す際は注目してみてください。

家族の理解を得る

「パートナーが多忙で育児に参加できない」「両親が遠方で頼れない」といった状況の場合、看護師が子育てと仕事を両立させるのは難しいものです。

仕事をしたうえに、家事や育児をひとりでこなすのは無理が生じるため、両立させるなら家族の理解を得ることが重要です。

そのためには、パートナーと家事や育児においての役割を話し合い、分担をして助け合うようにしましょう。

両親が近くに住んでいて見てもらえる状況なら、ありがたくお願いしてサポートを受けることをおすすめします。

残業が少ない・土日休みなどの職場に転職する

病院や病棟で働く場合、基本的に土日関係なく働き、残業が多いケースがほとんどです。

土日まで見てくれる保育施設は少ないため、子育てと仕事を両立するなら、残業が少なく土日に休める職場への転職を目指しましょう。

看護師はさまざまな場所で活躍できるので、子育てしながらでも働きやすい職場はたくさんあります。

本記事でもおすすめの職場を紹介していくため、選ぶ際の参考にしてください。

子持ちの看護師におすすめ！残業が少ない転職先

まずは、子持ち看護師におすすめの残業が少ない転職先を紹介します。

残業が少なければ、就業後はすぐプライベートな時間を確保できるため、子育てと仕事を両立しやすいでしょう。

訪問看護ステーション

訪問看護ステーションとは、傷病や障害を抱えて在宅で過ごしている方のもとへ、看護師が訪問し医療的なケアとサポートをおこなうサービスです。

ケアマネジャーや医師と連携し、利用者が最後まで自分らしい生活を送れるように支援をします。

訪問看護ステーションで働く看護師は訪問看護師と呼ばれ、利用者の自宅に訪れて在宅医療サービスを提供します。

1回の訪問は30～60分を設定するケースが多く、訪問件数は1日の4～6件ほどが一般的です。

訪問自体は時間を超過することなく終わる場合がほとんどなので、仕事の取り組み方によって残業を避けられます。ほとんどの職場で土日・祝日が休みであり、夜勤もないため、子育て中でも両立しやすいといえます。

関連記事：【例文あり】訪問看護に転職するときの志望動機とは？履歴書や面接でのポイントも解説

完全予約制のクリニック

完全予約制のクリニックであれば、予約のない診療は断るケースがほとんどなので、就業時間内に業務を終えることが可能です。

完全予約制のクリニックは、以下の診療科目に多く見られる傾向があります。

急変対応などもほとんどないので、選ぶときの参考にしてください。

企業看護師

企業看護師とは、医療機関ではなく一般企業で働く看護師を指します。

企業で働く方の医療的・看護的サポートが仕事であり、主に大規模な企業で常駐して働きます。

病院などの医療機関で働く看護師と比較すると、企業看護師は少人数で働くケースが一般的です。

就業時間は一般社員と同じ様に、9～17時の規則的な勤務で、週休2日制がほとんどです。

残業もほとんどないため、子育て中でも働きやすい職場といえます。

子持ちの看護師におすすめ！土日が休みの転職先

続いては、子持ち看護師におすすめの土日が休みの転職先を紹介します。

土日が休みならパートナーと休日が合うことも多く、家族団らんを楽しめるでしょう。

保育園

保育園で働く看護師の主な仕事は、園児や職員の健康管理、保護者への保健指導です。

ほぼカレンダー通りの休日になるため、土日に出勤する必要がありません。年末年始や夏季休暇もあるので、家族や友人と予定を合わせて旅行を計画することも可能です。

さらに残業が少ないこともメリットであり、子育てをしながらでも無理なく働けるでしょう。

保育園で看護師の配置は義務ではないものの、子どもたちの健康管理や安全対策、保育の質向上のために、各自治体によって看護師の配置が推進されています。

そのため、現時点で求人は少なくても、今後増えていく可能性があります。

看護学校・専門学校

看護学校や専門学校なども、土日が休みで看護師が活躍できる職場です。

看護教員の仕事内容は、授業のほかに演習とその準備、実習指導や試験対策などがあります。

学生は土日が休みになるため、教員も同じく土日休みのケースが一般的です。

看護学校などで働くには看護教員になる必要があり、看護師の実務経験が求められます。そのうえ、所定の養成課程を修了しなければなりません。

このように条件があるので看護師からすぐ就くことはできませんが、選択肢のひとつとして考えてみてください。

一般企業

看護師は土日関係なく出勤する職場が多いため、看護師としてではなく一社会人として一般企業で働く方法もあります。

まったくの未経験業種だと転職に苦戦する可能性がありますが、医療に関係のある医療機器関連や製薬、医療サービス関連の企業であれば看護師としての実績やスキルを発揮できるでしょう。

一般企業であれば、土日・祝日が休みの企業がたくさんあります。

しかし、職場によっては出張が発生したり、残業が必要になったりする場合があるため、事前に確認しておく必要があります。

看護師の方が一般企業に転職する場合、以下の企業がおすすめです。

以下の記事で詳細を解説しているので、ぜひ参考にしてください。

関連記事：看護師を辞めて一般企業へ転職したい方におすすめの仕事1７選！失敗しないための7つのコツも紹介

子持ちの看護師におすすめ！夜勤がない転職先

パートナーが子育てに協力的だったり、両親のサポートを受けられたりする場合でも、生活リズムは子供に合わせたいと考える方が多いでしょう。

ここからは、子持ち看護師におすすめの夜勤がない職場を紹介します。

健診センター

健診センターは夜勤がないため、ワークライフバランスを優先したいと考える看護師に人気の職場です。

仕事内容は主に問診や採血、血圧測定、身体計測、診察の補助であり、大半がルーティンワークになるため、単純作業が苦手な方や、飽きっぽい方は向いていないかもしれません。

受診者を個別にケアする機会はほとんどなく、病院と比べると密にコミュニケーションを取る機会が少ないです。

そのため、ひとりの患者さんとじっくり向き合いたい方は、不満を抱えやすいでしょう。

健診センターは夜勤がないだけでなく、多くの施設で予約制を採用しているので残業がほとんどありません。定休日が決まっているため、ほかの職場と比べると予定が立てやすく、子育てと仕事を両立しやすいといえます。

単発でアルバイトを募集している場合があるので、実際に働いて決めるのも良いかもしれません。

クリニック

予約制に限らず、クリニックであれば基本的に夜勤がありません。

また、日曜・祝日が休みの場合が多く、残業が少ないなど、子持ち看護師に働きやすい環境が整っています。

クリニックは全国に10万以上あり、求人が見つかりやすいのも魅力です。

病院よりも圧倒的な数なので、近くに大きな病院はなくても、クリニックならあるケースは多いでしょう。

また、クリニックはフルタイム勤務だけでなく、週1勤務や短時間勤務など、パートの看護師求人が豊富にあります。

子育て中の方や、ブランクがありフルタイム勤務する自信がない方でも、クリニックであれば復帰しやすいでしょう。

美容クリニック

美容クリニックも子持ち看護師が働きやすい条件が整っています。

完全予約制のケースが多いため、残業が発生することはなく、夜勤もありません。

勤務時間が決まっているので、子どもの送り迎えなど、家族の予定に合わせやすい点が魅力です。

さらに、美容クリニックは一般の病院よりも、給与水準が高い傾向があります。

夜勤がなくてもしっかりとした給与をもらえるのは、美容クリニックならではの強みです。

成果に応じてボーナスが出るクリニックもあるため、目標を達成するとさらに収入を得られる場合もあります。

しかし、美容クリニックによっては、20～21時までなど遅くまで営業している場合もあるので、応募時に確認しましょう。

関連記事：美容クリニックに強い転職サイトおすすめ8選【2024年最新】

非常勤看護師なら子持ちでも働きやすい

子育てと仕事を両立させたいなら、非常勤看護師として働く方法をおすすめします。

ここからは、非常勤看護師の働き方やメリット・デメリットを紹介します。

非常勤看護師とは

非常勤看護師とは、パートやアルバイトとして働く看護師を指します。

「1週間の労働時間が40時間未満の短時間で働く」ことが条件であり、勤務時間や日数がフルタイムで働く看護師と大きく異なります。給与は月給ではなく、時給や日給制が一般的です。

仕事内容は医師の診療や治療の補助、患者さんの心身ケアなどをおこない、フルタイム勤務の看護師とほぼ変わりません。

一般病院だけでなく、クリニックや介護施設、健診センターなど、さまざまな職場で活躍できる働き方です。

病棟の求人では、日勤パートと別に夜勤専従のパートが募集されることもあります。

副業やWワークが可能な場合も多く、プライベートを充実させつつ、がっつりと稼ぐことができます。

関連記事：パート看護師の年収・時給相場はいくら？扶養に関する不安も解説

非常勤看護師のメリット

非常勤看護師として働くメリットは、主に以下の4点挙げられます。

非常勤看護師は働く日数や時間を調整できるため、プライベートの時間が確保しやすいメリットがあります。

残業や夜勤を任されることもほとんどなく、心身の負担が少なく済みます。

さらに、役職や管理職、責任者などに任命されないため、精神的な負担を感じるシーンも少ないでしょう。

勤務時間が短めなので職員との距離が保ちやすく、人間関係のトラブルが発生しにくいのもメリットです。

非常勤看護師のデメリット

続いて、非常勤看護師として働くデメリットを紹介します。

非常勤看護師は時給や日給で働くため、勤務日数によって給与に差があります。

休みが多いとその分給与は減り、賞与や退職金がないのでフルタイムで働く看護師と比べると給与水準は低くなります。

仕事内容に差はありませんが、責任のある役職に就きにくいため、キャリアアップが難しいのも非常勤看護師で働くデメリットです。

また、社会保険は、所定の勤務日数や時間などの要件を満たさないと加入できないので注意しましょう。

職場の社会保険に入れずに、パートナーの扶養に入っていない場合は、自分で国民保険や国民年金保険への加入が必要になります。

子持ち看護師に役立つ勤務先の制度とは？

子育て中でも無理なく働くために、政府はさまざまな対策や制度を設けています。

子持ち看護師に役立つ勤務先の制度を紹介するため、制度を上手に活用して子育てと仕事の両立を目指しましょう。

時間外労働の上限規制

ワークライフバランスの改善や、女性・高齢者なども仕事に就きやすくする目的のために、2019年4月より労働基準法を改正し、時間外労働の上限規制が定められました。

時間外労働（残業）とは、法定労働時間となる「1日8時間・1週間40時間」を超えて働くことを指します。

時間外労働は法律で原則禁止となっていますが「36協定」による労使の合意があれば、認められています。

時間外労働の上限規制とは、原則として月45時間・年360時間が上限となり、臨時的な特別な事情がない限り超えることはできません。違反した場合は、6ヶ月以下の懲役、または30万円以下の罰則が課される恐れがあります。

企業には労働時間を把握するために、タイムカードやICカードによる労働時間の管理が義務付けられています。

病院の特色上、すべての残業をなくすことは困難ですが、上限規制ができたことにより改善されたという事例も多くあります。

そのため、超過勤務対策に積極的に取り組んでいる転職先を探すことで、子育てと仕事を両立しやすいでしょう。

育児短時間勤務制度

育児短時間勤務制度も、子育てと仕事の両立を後押しする目的として定められました。

3歳に満たない子どもを療育している労働者が希望した場合、原則として1日の所定労働時間を6時間に短縮できる制度を指します。

通常よりも勤務時間が短くなることで、体力的な不安を解消でき、保育所などへの送迎がスムーズになります。

以下の条件をすべて満たす方が、育児短時間勤務制度の対象者です。

対象期間は原則として子どもが3歳になるまでと定められていますが、企業側には小学校入学までを対象とするよう努力することが義務付けられています。

そのため、小学校入学までが対象の職場もあれば、卒業後も利用できる職場もあります。

就業規則に明記されていなくても、職場や上司の理解を得られれば継続できるケースもあるので、応募時や面接時に質問してみるのもおすすめです。

短時間正社員制度

出産後も正社員として働きたい意志があるものの、育児や家事などの理由によりフルタイムで働けない方は少なくありません。

短時間正社員制度とは、そういった方の悩みを解決するために設けられた、正社員でありながら時短勤務が可能な制度を指します。

近年多くの企業が短時間正社員制度を取り入れており、病院や施設なども例外ではありません。

労働時間を短く設定したうえで正社員雇用されるため、仕事のキャリアを維持しながら家庭との両立ができます。

短時間正社員になるには「子育て中でフルタイム勤務ができない」など、フルタイム勤務ができない条件を満たす必要があります。

短時間正社員制度では子育てと仕事の両立がしやすいだけでなく、短時間勤務でも社会保険が適用されるなどのメリットもあるため、転職先を選ぶときは制度があるのか確認してみましょう。

子持ち看護師が転職する際の注意点

最後に、子持ち看護師が働く際の注意点を紹介します。

どのようなことに注意が必要か理解しておくと、職場選びに失敗するリスクを防げるためチェックしてみてください。

看護師の数が少ない職場は避ける

子持ち看護師が働く際は、看護師の数が少ない職場を選ばないようにしましょう。

看護師の数が少ないと、いきなり仕事を休みづらかったり、残業に追われたりする可能性があります。

特に子どもが小さいうちは体調を崩しやすいため、急遽休みづらい職場だと働きづらさを感じます。

また、人数が少ない職場の場合、パート勤務でも戦力としてカウントされることが珍しくありません。

看護師の人数が限られていることで、仕事を時間内に終わらせられず、早く帰りたくても残業に追われる場合があるでしょう。

そのため、職場を選ぶ際は、融通の利きやすい職場なのかチェックすることがポイントです。子持ち看護師が多く、上司の理解がある職場であれば、急遽休む必要があっても「お互い様」なのでストレスなく休みを希望できます。

正社員で働くのは共働きに慣れてからにする

子育てに慣れていない状態で正社員として働くと、家庭でも仕事でも余裕ができずにキャパオーバーになる恐れがあります。

一般的に正社員で看護師として働くと、残業を余儀なくされるケースがほとんどです。

そのため、帰りが遅くなってしまったり、子どもを迎えに行く時間に間に合わなかったりする可能性があります。

帰宅の時間が遅くなることで、家事や育児に追われ、休む時間を確保できません。

余裕がない生活を繰り返すと、疲弊し、働き続けることが困難になるかもしれないので注意しましょう。

ひとりですべてこなそうとしない

仕事も家事も育児も、ひとりですべてこなすのは困難です。

精神的・身体的にもキャパシティを超えるリスクがあるため、周囲にサポートをしてもらいましょう。

特にパートナーの協力がないと、体力だけでなく精神的にきつくなります。

そのため、看護師として働くには、家事や育児の分担についてしっかりと話し合いましょう。

働くことには同意していても協力的じゃない場合は、実家の両親にサポートしてもらうのも手段のひとつです。

子持ち看護師が転職するなら無理のない働き方ができる職場を選ぼう

子持ち看護師におすすめの職場や、子育てと仕事を両立させるコツ、非常勤看護師のメリット・デメリット、役立つ制度など紹介しました。

看護師といっても活躍できる職場はさまざまなので、無理のない働き方ができる職場選びが重要です。

残業が少ない、土日・祝日が休み、夜勤がない職場であれば、子育て中でも両立しやすいので選ぶ際にチェックしましょう。

いきなり正社員として働くと負担が大きいことが考えられるため、非常勤看護師としての働き方や、短時間正社員制度などの役立つ制度の利用を検討してみてください。

また、転職先を選ぶときは、看護師が少ない職場は避け、融通の利きやすい職場を選ぶことがポイントです。ひとりですべてこなそうとせず、周囲にサポートしてもらいながら、子育てと仕事を両立させた働き方を実現させましょう。