このように、身近な方や自分自身のことで悩んでいる方もいるのではないでしょうか。なかには、発達障がいがあることで就職を諦めている方もいるかもしれません。

結論、発達障がいがあっても就職は可能です。

ただし、そのためには発達障がいの特性を理解してくれる企業選びや、特性に理解した仕事を選ぶことが重要です。

本記事では、「発達障がいの就職が難しいと言われる理由」と「発達障がいのある方の就職事例」を紹介します。

発達障がいを持つ方が就職活動をおこなう際のポイントも解説しているので、「求人の探し方や選び方に迷っている」という方も無駄なく就職活動を進められるでしょう。

関連記事：障がい者向け転職エージェント11選｜選び方や活用するポイントも解説

そもそも発達障がいとは

発達障がいは、脳の働き方の違いによって物事のとらえかた・行動パターンが異なるため、日常生活に支障を起こす状態をさします。

おもな発達障がいの種類は以下のとおりです。

発達障がいというと、集団行動のできない子どもや、仕事の段取りができない大人をイメージするのではないでしょうか。

しかし、必ず「◯◯ができない」「◯◯が悪い」とネガティブ表現で説明できるようなものだけではありません。

たとえば、「時間にルーズ」「大人になっても報告・連絡・相談が守れない」など、『普通なら』守れることを守れないのが代表例です。

ですが、多くの方が上記のような特性を少なからず持ちあわせており、発達障がいの特性を決めるのは難しいといえます。

つまり、発達障がいの特性は連続的なものであり、明確な境界線を引くことは困難です。誰もが程度の差こそあれ、いくつかの特性を持ち合わせているのです。

次章で、発達障がいの種類を解説します。

発達障がいの種類

発達障がいの代表的な種類を紹介します。

ASD（自閉症スペクトラム障がい）

ASDは、「自閉症」「アスペルガー症候群」「高機能自閉症」をまとめた総称です。特徴は、「コミュニケーションが苦手で、こだわりが強い」ことです。

ASDの特徴により、周囲から孤立しやすく、職場内で避けられやすくなります。

例えば、上司にスキル研修を申し出たケースです。

上記のようなことから、周囲から「空気が読めない」と思われ、人間関係の孤立から引きこもりやうつ病など、二次的な症状を発症するASDの方が増えています。

また、ASDは子どもの頃から症状が現れやすいですが、大人になってから診断されるケースも少なくありません。

子どものころは、大きな困難に感じていなかったことが、社会人になって社会生活や人間関係に困難を感じやすくなるためです。

ADHD（注意欠如・多動性障がい）

「年齢あるいは発達に比べ注意力が足りない」「衝動的な行動で落ち着きがない」
このような特性があるため日常生活に支障をきたす状態を「ADHD（注意欠如）」と呼びます。

など、細かな部分でケアレスミスが生じます。
 
また、不注意と並ぶ中核的な特徴として多動・衝動性があります。子どもの場合はじっとしていられないなど身体の動きが目立ちます。

一方、成長して大人になると身体の多動は目立たなくなりますが、頭の中の多動は依然として残るのです。

つまり、思いついたことをすぐ口に出したり、独り言が多かったりなどの形が目立ちます。

LD（学習障がい）

LD（学習障がい）は、読み・書き・計算など特定の領域で学習が遅れる状態をさします。

おもに、上記のような障がいを起こし、生活に支障をきたす状態を指します。

発達障がいの方の就職は難しい？

実際の発達障がいの就職は難しいのかデータに基づいて分析します。

発達障がい者の就職率は33.1%で、障がい者全体の46.2%と比べて低い状況です。（出典：経済産業省調査結果レポート）

障がい種別	雇用者数（推計）	平均賃金（月額）
身体障がい者	52万6千人	23万5千円
知的障がい者	27万5千人	13万7千円
精神障がい者	21万5千人	14万9千円
発達障がい者	9万1千人	13万円

また、法定雇用率が段階的に引き上げられています。2024年4月時点で2.5%、2026年7月には2.7%に引き上げられる予定です。

この変化により、企業は障がい者雇用をより積極的に進める必要があります。

そのため、法定雇用率の上昇は、発達障がいの方々の就職機会増加につながる可能性があります。

ですが、適切な環境と支援があれば、彼らの独自の才能や視点が職場で大きな価値を生み出せるでしょう。

発達障がい者の就職が難しい理由

なぜ、発達障がい者の就職が難しいのかその理由を解説します。

障がいが見た目でわからないため配慮しづらい

発達障がいは脳機能の特性によるもので、外見で判断するのは困難です。そのため、周囲は発達障害に気付かず誤解が生じやすくなります。

例えば指示した内容の理解に時間がかかる、騒がしい環境が苦手など、単なる「わがまま」や「怠け」と誤解されるケースがあります。

そのため、当事者は周囲の人にSOSを出していることを気づいてもらえず、『落ち着かない』『コミュニケーションが取れない』人として見られ、苦しい状況に陥りやすいでしょう。

対応ノウハウや経験のある管理職が少ない

管理職の理解がないと、発達障がいのある方が業務量の多さからストレスを抱えるケースがあります。

自分で処理したいのに、細部にこだわりすぎて業務が終わらないなど、仕事が遅延するケースが少なくありません。

SNSで以下のようなポストをされる方もいます。

発達障害者の就労は得意不得意能力のバラツキ、あと業務に寄って対応の仕方も違う。
Aさんはこうだったからと、同じ業務量や配慮が通じない所が、企業の雇いにくさに繋がる。

配慮や理解と言うけど、個々の違いが大きすぎるから雇う方も大変。雇う側とのコミュニケーションが鍵を握る障害。

— 生足魅惑のマーメイド。 (@TimTamDARK) April 16, 2019

管理する上司側に立って考えてみると、コミュニケーションに難しさがある部下より、こちらの意図を読んで行動してくれる部下のほうが指示しやすいでしょう。

トラブルを起こす可能性がある

発達障がいの特性によって、職場でトラブルが起きやすくなります。

例えば、不注意や多動・衝動性の特徴がある場合は、あれこれ注意が移りやすく、新しいことや興味のあることに飛びつく傾向にあります。

しかし、最後まで業務を貫徹できないこともあるでしょう。

そのため、進めていた仕事が途中で止まった状態で、任された仕事を忘れてしまうなど、周囲に影響を与えるケースも少なくありません。

上記のようなことを発生させないためには、上司への自己開示や、視覚的なto doリスト管理が効果的ですが、そのためには適切な配慮をしてくれる職場選びが必要不可欠となるでしょう。

発達障がいのある方が仕事で抱えやすい困りごと

発達障がいのある方が仕事で抱えやすい困りごとを紹介します。

コミュニケーションが困難

発達障がいのある方は、職場でのコミュニケーションに困難を感じることがあります。

具体例を挙げると、相手との関係性を考えながら言葉を選び、自分の気持ちを伝えることが難しいため、上司に対してストレートな物言いをしてしまい、反抗的であると受け止められてしまうケースがあります。

そのため、これらの困難は、誤解によるミスやチームワークの問題につながる可能性があるでしょう。

集中力や注意力の欠如

興味のある業務には極めて高い集中力を発揮できる一方で、そうでない場合は著しく低下することがあります。

典型的な例として、デスクでの作業中や会議中にウトウトと居眠りしてしまうことが挙げられます。

ですが、必ずしも睡眠不足が原因ではなく、興味や関心の持続に大きな落差がある発達障がいの特性によるものです。

これにより、業務の効率やクオリティーに影響が出ることがあります。

変化への対応が困難

急な予定変更や新しい環境への適応に時間がかかることがあります。

例えば、突然の会議や出張で普段のルーティンが崩れると、大きなストレスを感じる可能性があります。

出張先では食事や寝具など環境の変化が多く、本人が気づく以上にストレスがかかります。

また、臨機応変な対応が苦手なため、出張前の準備に過度な労力を費やし、負担が増大します。

感覚に過敏

発達障がいのある方のなかには、特定の感覚刺激に対して過敏な反応を示す方がいます。

例えば、通勤途中の街中は多くの人や情報があふれているため、感覚が過敏な人にとって歩くだけでも疲れてしまいます。

バスや電車の通勤ラッシュや人混みに耐えられず、電車をやり過ごしたり、到着時間に時間がかかってしまい遅刻するケースも少なくありません。

対策としては、ぎりぎりの時間ではなく余裕をもった時間設定にすることが望ましいでしょう。そのためにも就寝時間や睡眠状況が適切か見直すと効果的です。

スケジュール管理が困難

発達障がいのある方は、スケジュール管理に困難を感じることがあります。

とくに管理職になると、一点集中して作業に打ち込むだけでなく、細かなスケジュール管理や、部署全体の業務進捗状況、他部署との関係調整など、数字に表れないことも把握することが求められます。

そのため、プレイヤーとしての役割は果たせていても、管理職になりコミュニケーションや段取りが苦手な特徴傾向が出てしまい、一気に仕事のやりにくさを感じてしまうかもしれません。

発達障がいの方に向いている・向いていない仕事

発達障がいの特性は個人によって異なりますが、一般的な傾向として以下のような特性と適性が考えられます。

下記は、特性にあわせた「向いている・向いていない仕事」です。

発達障がいは上記のように、興味関心のある仕事への集中力を活かせる仕事や、瞬発力の必要な仕事で特性を活かせる可能性があります。

その一方で、対人関係のある仕事にストレスを抱えやすいです。

そのほかにも、他部署や他企業、他社との調整が必要な業務が苦手な方もいるのです。

発達障がいのある方の就職をサポートしている支援機関

発達障がい者の就労を支援する機関を紹介します。

ハローワーク（公共職業安定所）

ハローワークでは、障がいがある方専用の窓口が用意されています。障がい者手帳が必須ではありません。

個別の状況に応じた就職支援プランを作成や、職業相談・履歴書作成支援・面接対策など、きめ細かいサービスを提供します。

また、福祉施設や医療機関などと連携し、チームで一貫した支援をおこなってくれます。

就職後も職場定着支援を実施しており、企業に対しても障がい者雇用の理解促進や雇用管理を助言し、継続的な就労をサポートしてくれるので、発達障害の方が就職先を探す際は、まずはハローワークを利用してみてもよいかもしれません。

障がい者職業センター

障がい者職業センターは、ハローワークとは別のより専門的なサービスを提供する期間です。全国に設置されています。

サービス内容は、以下のとおりです。

【実際の利用者の声】

障害者職業センターから電話がありました
次回の面談予約と会社の障害担当を通してジョブコーチ支援をいただくことになりました
働く上でやりにくいことを手助けしていただく物だそうです
具体的な希望を話していきたいです

— ケーヒラ (@khira_ub) August 13, 2024

また、障がい者職業センターは、障がい者手帳がなくても利用できます。

就労移行支援事業所

発達障がいの方もしくそのご家族のなかには、このように悩む方も多いのではないでしょうか。

就労移行支援は、障がい者総合支援法で定められた障がい福祉サービスの1つです。一般企業で就職を目指す障がい者が職業訓練を通じ、企業で働けるスキル習得をサポートします。

具体的な支援の内容は、以下のとおりです。

なお、就労移行支援と似たことばで、「就労継続支援」がありますが、一般企業への就職と職場定着をサポートするのが「就労移行支援」で、働く場所を提供するのが「就労継続支援」となるので間違えないように注意しましょう。

障がい者就業・生活支援センター

障がいのある方の就職活動の相談から定着まで幅広く相談にのってくれるのが「障がい者就業・生活支援センター」です。

センターは、日常生活上の支援を必要とする障がいのある方に対し、窓口での相談や職場・家庭訪問等を実施してくれます。

具体的な内容は、下記のとおりです。

参考：障がい者就業・生活支援センターの概要｜厚生労働省

利用に関して相談は無料ですが、センターへの登録が必要です。

障がい者就業・生活支援センターでの相談を検討されている方は、ぜひ利用してみてください。

>> 障がい者就業・生活支援センター一覧

発達障がい者支援センター

発達障がい者就労支援センター（通称「ジョブセンター」）は、就労を希望する発達障がい者に対し、相談から就労、職場定着までの支援をおこなう場です。

発達障がい者だけでなく、その家族や周囲の人の発達支援に関する相談にも応じてくれます。

家庭での療育方法や、必要があれば発達検査の実施、発達障がい児の特性に応じ支援計画の作成・アドバイスをおこないます。

先に紹介した「障がい者就業・生活支援センター」は、障がいの種類を問わず、就労希望の方全般を対象にしていますが、発達障がい者支援センターは、その名のとおり発達障がいのある方とその家族を対象にします。

そのため、発達障がいに対する高い専門性があり、発達障がいに特化した支援を受けられるでしょう。

発達障がいのある方の就職事例

発達障がいのある方の就職事例を紹介します。

【アンケート概要】
調査期間：2024/08/04~ 2024/08/11
調査対象：就職した発達障がいを持つ方の実際の体験談
調査方法：インターネットによる調査
※ユーザーアンケートより抜粋

面接の際に自分の発達障がいのことを伝えた上で大手電機メーカーの品質管理部門へ就職

上記口コミのように、自分の特性を理解してくれる職場を選ぶことは、仕事を長く続けるために必要なことです。

そのため、アンケート回答者のように、自分の自己分析を明確にし、自己開示することで就職後のミスマッチは防げるでしょう。

親や兄弟に迷惑をかけたくない。求人サイトを利用して工場の品質検査職へ

上記のアンケート回答者のように、求人サイトを利用し、サポートを受けながら就職活動することで、仕事がスムーズに決定するケースがあります。

まずは就職エージェントへ登録して情報収集してみてはいかがでしょうか。

発達障がいを持つ方が就職活動をおこなう際の4つのポイント

発達障がいを持つ方が就職活動をおこなう際のポイントは、以下の4つです。

順に解説します。

自分の障がいの特性とストレス要因を把握する

まずは、自分がどのような発達障がいで、どのようなことをストレスに感じているのか把握することが大切です。

たとえば、「朝がつらい」と感じている方は、発達障がいの特性によるものなのか、それとも他の原因があるのか「可視化」していきます。

本当は複数の原因があり、「朝がつらい」状況に陥っているのかもしれません。1つひとつを見ていかないと、混乱して「すごくつらい」と感じてしまいやすくなります。

ですので、自分の障がいの特性を理解するためにも、「つらい」を1つひとつ「可視化」しましょう。

自分の向いている仕事を選ぶ

自分の向いている仕事を選ぶことも重要です。なぜなら、障がいの特性によって向き・不向きが顕著だからです。

例えば、ASD傾向のある方が、社内の連携がうまく取れていない職場に就職しました。社内に微妙な派閥が存在し、上司に指示されたことと他部署の方が指示してくる内容が真逆のことがあり、何が正解なのかわからなくなるケースです。

これは、ASDの特性の1つ「臨機応変な対応が苦手」が表面化しているため起きていると考えられます。

このことから、苦手な仕事で、定時であがれても家でぐったりしてしまうかもしれません。ですが、何もする気にならないほど疲れてしまっていては長く働けません。

そのため、自分の障がいの特性を理解し、苦痛にならない仕事を選ぶ努力が大切です。

無理のない就労状態から始める

無理して就労を急ぐ必要はありません。逆に、無理な就労をしても、長く仕事が続かず再び離職してしまう可能性もあります。

例えば、以下のように自分自身の働き方をコントロールしましょう。

このように、自分の特性を配慮しながら働くことは、発達障がいのある方にとって「無理のない就労状態」につながるでしょう。

就職エージェントを活用する

発達障がいのある方が有利に就職または転職を進めるには、発達障がい者向けの転職エージェントの利用は有用です。

なぜなら、発達障がいの特性を詳しく説明しなくても適切なアドバイスがもらえるからです。

そのため、障がい特性を企業に説明する際も、誤解や不要な心配は防げるでしょう。

実際に下記のような口コミもありました。

私の住まいは田舎だ。企業は大型駅周辺にしかなく、ほとんどが田んぼ。当然、障害者雇用を考える企業も少なく応募先選びが大変だった。

『転職エージェントの一言で人生が激変した話。』

「在宅勤務ってどうでしょうか？」
アドバイザーの彼がこう言った。在宅勤務…全然考えていなかった選択肢だ。

— よしだ｜凸凹しごとガイド『発達障害者のキャリア戦略』 (@asd_yoshida) February 5, 2023

このように、転職エージェントを利用したことで、就職・転職が大きく前進するケースもあります。

登録は無料ですので、まず情報収集のために登録してみることをおすすめします。

関連記事：発達障がい者向けおすすめの転職エージェント・サイト9選！転職相談できる無料の窓口はある？

発達障がいを持つ方におすすめの就職エージェント

転職を成功させるために、就職エージェントの活用が重要であることを説明しましたが、「どのような就職エージェントを選べばいいの？」と疑問を抱くはずです。

本章では、発達障がいを持つ方におすすめの就職エージェントを紹介します。

LITALICO仕事ナビ

デイゴー求人ナビ

dodaチャレンジ

dodaチャレンジは、パーソルグループの特例子会社が運営する転職支援サービスです。約3,000社との取引実績に基づく圧倒的な求人数と強固な企業ネットワークが特徴で、求職者の特性や希望にマッチした求人紹介が期待できます。

障がい特性別の専任アドバイザーが在籍しており、新卒・第二新卒向け、ハイキャリア向け、LGBTQ当事者向けなど、多様なニーズに対応した転職支援を提供しています。時短勤務、在宅勤務、筆談可能な仕事など、個別の要望にも柔軟に対応できるでしょう。

カウンセリング満足度も高く、定着率の良さも特筆すべき点です。1,490件の公開求人（2023年8月9日時点）から、あなたの可能性を最大限に広げる転職先が見つかるかもしれません。

信頼性の高さと充実したサポート体制から、障がいのある方の転職活動で、dodaチャレンジは有力な選択肢の一つといえるでしょう。ぜひ無料会員登録をして、あなたの新たなキャリアの可能性を探ってみてください。

atGP

atGPは、障がい者専門の就職・転職支援サービスです。経験豊富なキャリアプランナーが、あなたの希望や障がい特性に合わせて、最適な仕事を二人三脚で探します。

個別相談、面接対策、企業との調整まで、きめ細かなサポートを無料で提供。オンライン・電話・対面での相談に対応し、あなたの状況に合わせた柔軟なサービスを実現します。転職に不安がある方、効率的に活動したい方におすすめです。

発達障がい者の就職に関するよくある質問

発達障がい者の就職に関するよくある質問に回答します。

発達障がいは就職に不利ですか？

結論として、発達障がいがあるから就職に不利に働くことはありません。

むしろ障がいと認定され、障がい者手帳を取得した場合は、障がい者雇用枠での就職が可能になるため、障がいへの配慮を受けた就職ができるでしょう。

ただし、精神・発達障がいの場合は、身体障がいと比較すると、障がい特性を理解しづらく、本人のできないことや必要な配慮をイメージすることが難しい、デメリットがあります。

そのため、選考される際、身体障がいのある方と比較すると不利になる可能性があります。

発達障がいの人は就職できますか？

もちろん就職できます。発達障がいのある方が就職する際は、「一般雇用」「障がい者雇用」の両方の選択肢があります。

障がい者雇用での就職では「精神障がい者保健福祉手帳」または「療育手帳」が必要です。この場合、障がいの特性に応じたサポートを受けながら働くことが可能となります。

実際の例をご紹介しましょう。

小1の夏休みの宿題でひらがなが1行も読めなかった方が、20歳になった今では電気関係の会社で正社員として働いています。

障がいの特性に合わせた職場を見つければ、発達障がいのある方でも就職は可能です。ぜひ自信をもって行動してください。

障がい者枠で就職すると、転職先で障がい者雇用であったことを知られる可能性はあるのでしょうか？

このように思い、前職の障がい者雇用はバレたくないと考える方は少なくないでしょう。

結論からいえば、通常はバレません。

ただし、年末調整で障がい者控除を受けていた際は、新しい職場でバレる可能性はあります。また、退職した前職から源泉徴収票を持ってくるよう指示され、それを見せるタイミングでバレるケースはあります。

とはいえ、障がい者雇用を黙っていても、問題のない働きぶりであれば解雇されることもありません。

発達障害者の就職率は？

経済産業省の「イノベーション創出加速のためのデジタル分野における「ニューロダイバーシティ」の取組可能性に関する調査」によると、発達障害者の就職率は33.1%とされています。

3人に1人が就職していることから高い就職率に思えますが、障害者全体では46.2%が就職していることから発達障害者の就職率は低いといえます。

しかも、発達障害者の数は2011年に31.8万人とされていましたが、2016年には48.1万人と増加している現状も考えると、就職するのは年々難しくなっている状況といえるでしょう。

そのため、発達障害者の就職は簡単でないと考え、しっかりと対策してから就職活動に臨むことが大切です。

まずは障害者に特化した就職エージェントを利用し、障害の度合いや自分の強み・弱みを明確にしておきましょう。

関連記事：発達障害の方が転職を成功させるコツとは？向いている仕事やおすすめの転職サービスを紹介

発達障害で一般就労する割合は？

野村総合研究所の「デジタル社会における発達障害人材の更なる活躍機会とその経済インパクト」によると、発達障害のうちASDと診断された人の63%、ADHDと診断された人の80%が一般枠で就職しているとされています。

ただし、この割合は就職時のものであり、実際に働いている人の割合ではありません。就職時には一般枠で入社したものの、仕事内容についていけず障害者枠に変更して勤務している人がいるからです。

仕事が自分に合うかどうかは実際に就職してみないとわからないため、まずは一般枠・障害者枠にこだわらずに就職活動してみてはいかがでしょうか。

ADHDの人が向いている職業は？

ADHDの人に向いている職業は、以下のとおりです。

ADHDの人は好奇心が強く、高い集中力を見せる傾向があるため、クリエイティブな仕事やコツコツとひとりでできる職種が適しています。

また、ADHDはマルチタスクが苦手な傾向にあるため、向いている仕事でも多数の業務を並行しておこなう可能性がある求人は避けたほうがよいでしょう。

どのような求人が自分に適しているのかわからない場合、就職エージェントのキャリアアドバイザーに相談しつつ応募してみましょう。

関連記事：ADHDの方が転職を成功させる方法とは？自分に合う仕事を見つける5つのステップ

まとめ｜発達障がいのある方でも就職はできる！

ここまで発達障がいのある方の就職事情を解説していきました。

結論は、発達障がいのある方でも就職は可能です。

しかし、1人で就職活動するのは不安な方も多いはずです。

就職活動を進めるうえで、発達障がいに特化した就職支援サービスの活用を検討しましょう。

発達障がいは必ずしもマイナスではありません。自分に合った仕事を見つければ、充実した職業生活を送れます。

そのためにも、本記事の「発達障がいを持つ方が就職活動をおこなう際の4つのポイント」で紹介した方法を試して、効率的に就職活動を進行しましょう。

なお、発達障がいの方で転職を成功させたいと思っている方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

関連記事：発達障がいの方が転職を成功させるコツとは？向いている仕事やおすすめの転職サービスを紹介