会社を1ヶ月で辞めると言いづらいのはなぜ？対処法や注意点を解説

「入社1ヶ月で辞めると怒られそうで言いづらい」
「1ヶ月で辞める理由は何て言えばいいんだろう」

このように考えていませんか？

入社1ヶ月で会社を辞めたいけれど、言いづらいと感じる人は少なくありません。法律上問題はないものの、まわりにどう思われるかや今後の転職に影響しないかが気になりますよね。

そこで本記事では、会社を1ヶ月で辞めることは可能なのか、辞めると言いづらい原因について解説します。

言いづらさへの対処法や1ヶ月で辞めるリスクについても解説しているため、なかなか辞めることを言い出せず悩んでいる方は参考にしてください。

関連記事：転職して1ヵ月で仕事を辞めたい！メリットやデメリット、転職を成功させるポイントを紹介

会社を1ヶ月で辞めることは可能？

そもそも、会社を1ヶ月で辞めることに問題はありません。

民法627条において、在籍した期間にかかわらず、無期雇用の労働者は申し出から2週間で退職する権利を持っているためです。

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

（引用：民法第627条）

実際に、3年未満離職者のうち1ヶ月未満で辞める人は5％ほどいることがわかっています。

引用元：リクルートワークス研究所

一方、派遣社員など契約期間の定めがある有期雇用の場合、契約期間が終了するまでは働くのが原則です。

ただし、民法第628条では「やむを得ない事情がある場合は即日退職できる」と定められています。

（やむを得ない事由による雇用の解除）

当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。

（引用：民法第628条）

やむを得ない事情としては、次のような例があります。

また、労働基準法第137条の定めにより、契約期間の初日から1年以上経っていればいつでも退職が可能です。

会社を1ヶ月で辞めると言いづらいのはなぜ？

では、会社を1ヶ月で辞めると言いづらいのはなぜなのか、その理由について見ていきましょう。

関連記事：退職を言いづらいときの対処法と仕事を円満に辞めるコツ

引き止めにあいそうだから

「まだ1ヶ月しか働いていないのに」「もう少し頑張ってみたら？」と引き止められそうで不安、と考える方も多くいます。

たとえ1ヶ月でも自分にとってはつらく、よく考えた結論なのに、引き止められると辞めにくくなってしまうでしょう。

以下の記事では退職を引き止められた際の対処法などについて解説しているので、気になる方は参考にしてみてください。
関連記事：退職の引き止めがしつこい場合はどうすればいい？対処法や引き止められる理由も解説

上司に怒られそうだから

退職の意思を伝えると、上司に怒られそうだと感じることもよくある理由の1つです。

上司が厳しい・暴言がひどい人だと、普段からなかなかスムーズに関われず、辞めたくなる原因が上司そのものにあることも少なくありません。

特に年配の上司であればあるほど「長く勤めることこそ美徳」という古い考えが強いため、より怒られる可能性が高く感じられるでしょう。

人として甘い・逃げたと思われそうだから

1ヶ月で辞めることに後ろめたさを感じていると、まわりの人に「人として甘い」「逃げ出した」と思われそうで不安になるかもしれません。

退職を告げてからの残りの期間に嫌味を言われたり、まわりと気まずくなったりするのが嫌で、退職を言い出しにくくなっている可能性があります。

生活費に不安があるから

1ヶ月で退職する場合、失業保険や有給休暇、退職金などは見込めません。

そのため、当面の生活費に充てられる分の貯金がないと、なかなか辞めるとは言い出しづらくなります。

入社1ヶ月で次の転職先が決まっているケースはまず考えにくいことから、生活費のためにさらに数ヶ月我慢して続けるケースもあるでしょう。

退職における給付金に関しては以下の記事で詳しく解説しているので、自分がもらえるお金について知りたい方はあわせて参考にしてみてください。
関連記事：退職後にもらえる給付金まとめ！自己都合退職でももらえる条件とは？給付期間・金額も解説

スムーズに転職できるか自信がないから

辞めたとしてもその後スムーズに転職できる自信がないため、ズルズル続けてしまうことも考えられます。

現職を1ヶ月で辞めた場合、次の仕事も長く続かないのではないかと不安になるのも無理はありません。

会社を1ヶ月で辞めると言いづらいときの対策4つ

ここからは、会社を1ヶ月で辞めると言いづらいときの4つの対策について見ていきましょう。

納得してもらいやすい退職理由にする

引き止められたり怒られたりする可能性を少しでも減らすには、上司に納得してもらう退職理由にすることが大切です。

「他にやりたいことができた」などのポジティブな理由や、「うつ病になった」「家族の介護が必要になった」など緊急性の高い理由が適しています。この場合、医師の診断書があるとさらに有効です。

実際は会社に対する不満があったとしても、退職理由として表には出さないように気をつけましょう。

関連記事：【具体例付き】理想の退職理由と例文｜円満に退職するためのポイント

転職先を先に決めて引き止められないようにする

先に転職先を決めてから退職を伝えれば、誰も文句は言えません。

入社して1ヶ月で次の転職先を決めることは難しいですが、週末などを利用して転職活動を進め、内定できれば理想的です。

次の記事では年代・業界・職種別におすすめの転職サイトをまとめているため、ぜひ活用してみてください。
関連記事：転職サイトおすすめ比較ランキング【最新版】業界別・職種別に解説

メールや電話の利用を検討する

以下に当てはまるようなシーンでは、対面ではなくメールや電話で退職の意思を伝えることも検討しましょう。

まずはメールや電話で、2人きりで話ができる場を作ってもらえないか打診し、後日対面で伝えるのも1つの方法です。

それも無理であれば先にメールや電話で退職の意思を伝え、後日改めて対面でも伝えると失礼がありません。

関連記事：退職を電話で伝えてもOK？伝え方のポイントや状況別の例文を紹介

退職代行を利用する

「どうしても自力では言い出せない」という場合は、退職代行を利用する方法もあります。

退職代行は退職の意思伝達を代わりにおこなってくれるサービスのため、自分と会社側が直接やりとりする必要はありません。サービスによっては即日対応しているところもあり、「気まずいからなるべく早く辞めたい」という方にも最適です。

上司や同僚と顔を合わせずに辞めたい場合は、利用を検討してみましょう。

関連記事：退職代行おすすめランキング13選｜サービス内容を比較【最新版】

入社後1ヶ月で会社を辞める方法・流れを解説

ここでは、入社後1ヶ月で会社を辞める方法・流れを解説します。

1.上司に退職の意思を伝える

まずは直属の上司に退職の意思を伝えましょう。まだ配属が決まっていない場合は人事担当でもかまいません。

上司に相談し、会議室など2人きりになれる時間・場所を作ってもらうようにします。

上司が納得できるような退職理由を、誠実な態度と言葉で伝えてください。

2.退職願を提出する

その後、退職願を提出します。

法律上は必須ではありませんが、提出を求めている会社がほとんどのため、就業規則を確認しておくと確実です。

退職届の提出をもって、正式に退職を申し出たとみなされることから、退職希望日の2週間前までに済ませましょう。

辞める理由は「一身上の都合」で問題ありません。

3.書類の受け取りや事務手続きをする

退職日までに事務手続きを済ませ、貸与品があれば返却します。

退職日当日、またはそれ以降に離職票などの必要書類を受け取ってください。

最後に、短期間とはいえお世話になった上司や同僚に挨拶をしましょう。

これで退職は完了です。

会社を1ヶ月で辞めるリスクとは？

会社を1ヶ月で辞めることは可能ですが、次のようなリスクもあります。

転職で不利になることがある

まず、転職で不利になるリスクは覚悟しておくべきでしょう。

会社を1ヶ月で辞めたことは、履歴書を見ればすぐにわかります。そのため転職活動において、「入社してもすぐに辞める人なのではないか」と思われることは十分考えられます。

実際に、人事担当が書類選考の合否を判断する際に「退職理由・在籍期間」を挙げているというデータもあります。

引用元：人事バンク

転職したのは「他にやりたいことができたため」など、前向きな理由からだとしっかり伝えることが重要です。

辞めグセがつくことがある

入社して1ヶ月で辞めたことをきっかけに、辞めグセがつくことも考えられます。

辞めグセがつくと、次のようなリスクがあります。

「嫌なことがあったら辞めればいい」という思考で短期間での就職・離職を繰り返すと、就職活動においてはどんどん不利になってしまうのです。

それでも本当に辞めて後悔しないか、自分が「逃げ」の思考で辞めたくなっていないか、今一度考え直すといいでしょう。

まだ職場や業務に慣れていないだけの可能性もある

入社1ヶ月という短期間ではまだ職場や業務に慣れておらず、一時的な感情で「辞めたい」と感じている可能性もあります。

1ヶ月ではまだ実際に着手した仕事は少なく、同僚や上司との人間関係を築く以前の段階のことが多いでしょう。職場の雰囲気や人間関係に慣れるには、どんな人でも3〜6ヶ月程度は必要です。

パワハラや体調不良などは別として、辞める前には「本当に今辞めて後悔しないのか？」「もう少し頑張れる可能性はないか？」と、自分自身に問いかけてみてください。

会社を1ヶ月で辞める場合の注意点

ここでは、会社を1ヶ月で辞める場合の注意点を解説します。

引き継ぎはしっかりおこなう

もし業務の引き継ぎがある場合は、手を抜かず最後までしっかりおこないましょう。

法律上は引き継ぎの義務はないため、実際は退職日まで何もせず辞めても問題はありません。しかし、自分はただでさえ短期間で辞める身であり、今日まで教育・指導してくれた上司もいるはずです。

少しでもその恩を返すつもりで、後任がいれば自分のわかる範囲のことはしっかり伝えておくと、円満退職できる確率を上げられるでしょう。

退職の意思は2週間前までに伝える

退職を申し出る際は、退職希望日の2週間前までに伝えるようにしてください。

法律上、契約期間の定めがない無期雇用の場合、2週間前までに退職の意思を伝えれば会社の合意がなくても退職できると定められているためです。

そのため、退職届は2週間前までに受理してもらう必要があります。

ただし、会社によっては就業規則で1〜2ヶ月前までに申告すると定めている場合もあります。

円満退職を目指す場合は、なるべく就業規則に従うのがおすすめです。

関連記事：2週間前に退職を申し出るのは非常識って本当？スムーズに辞めるコツを解説

バックレて辞めない

「どうせ短期間しか働かなかったのだから」と、バックレて無断で辞めることは絶対に避けましょう。

バックレは職場の人たちに迷惑や心配をかける、社会人としてのマナーがなっていない行為です。そのため給料が支払われなかったり、会社側が迷惑をこうむったと判断して損害賠償になったりする可能性もゼロではありません。

辞めると言い出しづらい気持ちはわかりますが、その場合はメール・電話・退職代行を使うなどして、なるべく迷惑をかけにくい方法で辞めるようにしてください。

関連記事：仕事を飛ぶ（バックレる）のはNG！デメリットやオススメの辞め方を紹介

在職中から転職活動を始めておく

在職中から転職活動を始めておくことも大切です。

入社1ヶ月で退職を申し出て、2週間後には辞めるとなった場合、転職活動に充てられる時間は限られています。一般的に転職活動には3〜6ヶ月ほどかかると言われており、実際には退職までに内定を目指すことは難しいかもしれません。

しかし、今後の生活に不安を感じたり、現職を辞めるに辞められなくなったりする事態を防ぐためにも、あらかじめ転職活動を進めておくと安心です。

その際は転職エージェントを利用すると、無料で仕事紹介や書類添削などのサポートが受けられます。効率よく転職活動を進めたい方は、利用を検討してみてください。

関連記事：転職エージェントおすすめ比較ランキング！人気大手18社の選び方を年代・職種別に一覧で解説

転職時の履歴書には嘘を書かない

転職活動の際、履歴書には嘘を書かないようにしましょう。

基本的にはすべての職歴を記載するべきであり、1ヶ月で辞めた会社も同様です。

もし記載をせず変に前後2〜3ヶ月の空白ができた場合、面接時に質問されて墓穴を掘る可能性がないとも言えません。もちろん、実際は1ヶ月で辞めたのに空白期間がないようにと書き換えてしまうと、経歴詐称になるため厳禁です。

下手に隠すよりも、1ヶ月で辞めたのは前向きな理由からだと、自信を持って話せるよう準備しておくほうが賢明でしょう。

まとめ

会社を1ヶ月で辞める場合、まだ業務や人間関係に慣れていないことが考えられます。そのため、引き止められたり怒られたりする可能性は否定できません。

また、転職で不利になる・辞めグセがつくリスクがあることも覚えておいてください。

少しでも言いづらい気持ちを軽減するためには、納得感のある退職理由にしたり、転職先を決めてから退職を伝えたりすることが有効です。

それでも言いづらいようなら電話やメール、退職代行の利用を検討してみましょう。

たとえ短期間で辞める会社であっても、必要な引き継ぎや手続きはしっかりとおこない、可能なかぎり円満退社できるよう心がけてください。