結婚という大きなライフイベントを経て次に考えるのは、妊娠・出産だと思われます。
- 今の会社で長く働いていけるのか
- 育児休暇や産休の制度をちゃんと利用できるのか
- それとも転職をした方が良いのか など
確認すべきことは多くあるでしょう。また、既婚女性の転職は難しいと言われますが、転職して仕事と家庭の両立を成功させている方もいます。
ここでは実際の転職事情や一番いいタイミング、面接で注意したいポイント、会社側が求めているものを紹介していきます。

既婚女性の転職は難しい?
よく既婚女性の転職は難しいと聞きますが実際はどうなのでしょう。女性向けの転職サイトである『女の転職type』では、『結婚・出産後も働きやすい会社』という条件検索で479件表示されました。
『正社員』と条件を付けたところ416件の求人がありました。そのうち293件は東京に支店がある又は、勤務地が東京という検索結果でした。ですが、企業や会社によっては既婚女性だと不利になる場合があります。
※『女の転職type』での検索数は、2021年4月現在の数字 |
既婚者はなぜ不利なのか
企業側が何を気にするかという点ですが、
・妊娠するかもしれない
・出産のタイミングで、産前産後休業(産休)や育児休業をいつ利用するのか
上記の2つが最も大きな懸念ポイントです。さらに無給の制度なのに企業側が嫌がる理由は3つあります。
・産休・育児休業間の仕事をどう分担するか
・休むことにあたり新たに事務手続きが必要となる
・保育園や幼稚園などの確保ができない場合、育児休業の延長の可能性がある
正社員の場合でもその会社の産休・育児休暇の制度がどのようになっているのか、周りの人の理解はどうなのかしっかり把握することが大切です。周り、特に上司の理解が得られていない場合、退職を強要されたりなどのパワハラにつながる可能性があります。
既婚女性の転職では何をすればいい?
一般的に転職は3ヶ月で決めるのが理想だと言われています。ですが3~4割の方は半年や1年かかっています。3ヶ月で決めるためには何が必要なのでしょうか。
転職前にしておく3つのこと
自分の今後の進路
子どもや家庭をどのように両立したいのか、自分自身は今後何をしたいのかをはっきりと明確にしましょう。そうすることで、どんな求人を集めるのか面接の時の志望動機になります。
その際に、パートナーに今後どのような家庭や家事分担にするかなど相談することが大切です。
どんな条件の会社で働きたいか
自分が何をしたいのかが決まったら次は情報集めです。その際に、今後の子供のことなど視野にいれることが大切です。
育児休暇や産休はもちろん、どんなシフト体制か、お給料はいくらか、会社がどのくらいそういった制度に認識があるのか、できるだけ細かく条件を出しそこに当てはまるような会社を探しましょう。
自己分析
Webで行われている性格診断などを利用して、自分がどんな人間で、どんな作業が合うのかみつめなおすことが大切です。また友人などに他己分析を頼みましょう。
在職中と退職後の転職活動のメリット・デメリット
在職中の場合
メリット | デメリット |
・給料があるので生活費に困らず転職活動ができる ・現職に残るという道を持てる ・不採用でなかなか決まらなくても失業しない | ・仕事に追われ後回しになり、転職活動が長引いてしまう可能性がある ・会社によっては転職を隠して行わなければいけないため、精神的につかれる ・面接の日程などの時間調整が大変 ・不採用が続くと、今の仕事を辞めて平気か不安になり転職をやめてしまう |
退職後の場合
メリット | デメリット |
・時間をフルで使えるため、妥協せずに選べる ・入社時期を会社に合わせられる ・心身を休ませ、新しい気持ちで行える | ・今まであった給料がなくなるので、生活が苦しくなってくる ・不採用が続くとブランクにもなり、焦りが生まれる ・働いていない分生活が乱れ、自己管理が難しくなり労働意欲が減ってしまう ・転職活動が長引くと、望んだところより妥協してしまう |
既婚女性の転職ですべきこと
在職中の問題は「今いる会社」と「自由に使える時間」で、退職後は「お金」と「自己管理」が挙げられます。転職活動は今まで築いたものを壊し新たなスタートをきるための作業なので、多少なりとも精神的負担がかかります。
大変な思いをしたのに、それに見合う会社に入れなければ意味がありません。まず、どのくらいの期間で転職をするのかを決め、今の会社の引継ぎにどのくらいかかるのかを計算してから本格的に始めるのが1番焦らず成功できる近道です。
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女性が転職先でも安心できる企業とは?
ここでは、育児休暇・産休が取りやすい、女性が働きやすいように制定された制度を紹介します。こういった制度は転職先の目安になります。
育児休暇の取りやすい会社20位
こういった会社では、休業時でも在宅でできる在宅ワークのサポートや、短時間勤務などの取り組みも行っております。今の正社員では本当にサポートされないのか、周りの風潮に流されずに見極める必要があります。
社内に利用できる制度はないか?
女性活躍推進法という法律を知っていますか。この法律は、働きたい女性の能力を十分に発揮させるため、地方公共団体や事業主が責任を持ち支援します。
家庭の育児・介護でやむを得ず退職してしまうのではなく、両立できる環境づくりを地方公共団体や事業主がサポートしていこうという法律です。そしてそれを行っていると証明するものが次に説明する「えるぼし認定」です。
この制度は5つの評価の基準を満たすことにより、「えるぼし認定」を受けることができます。ではこれによりどう働き方が変わるのか、転職を迷う方が特に知ってほしいポイントを5つとりあげました。
- 女性の採用倍率を企業側が下げることにより、採用されやすい
- 過去に働いていた会社に正社員として再雇用可能
- 月の残業・休日出勤が45時間未満
- 非正社員からの正社員への転換
- おおむね30歳以上の女性の正社員としての採用
など、女性のライフスタイルとワークスタイルをサポートする仕組みです。また、既婚女性のキャリアアップは難しいとされてきましたが、管理職に就くチャンスが与えられる制度になります。
平成28年から始まったこの制度で認定を受けている会社は、北海道から沖縄まで全国の都道府県にあります。令和3年2月より自分の会社が受けているのかどうかを「職場情報検索」で調べることができるようになりました。
転職する前に会社に掛け合ってみよう
転職をする前や、入社する前に聞いておきたい3つのポイントをまとめました。
- 産休・育児休業の取り方
- 産休・育児休業後どのように働かせてくれるか・サポート体制
- 女性活躍推進法について、また「えるぼし認定」を受けているかどうか
もし今の会社で当てはまるのでしたら、転職ばかりではなく留まるという選択肢も視野に入れるといいかもしれません。逆に全く理解を示してくれないのなら転職をした方が、自分の理想のライフワークが築けるかもしれません。
既婚女性が面接を成功させるには?
ひと昔前は、『35歳限界説』と言われており、30歳過ぎの転職はむずかしいとされてきましたが、新たな法律により転職の成功年齢が上がってきています。ではなぜ上がってきたのか、また面接にどう臨めばいいのかまとめてみました。
平成19年に改正された雇用対策法採用における年齢制限禁止の義務化について
年齢制限禁止の背景
・個人の能力・適性を判断して募集・採用することにより均等に働く機会を与えるようにすること
・高齢者や年長フリーターの選択肢を広め促進する
・年齢の幅をひろげ、採用したい人物を明確にして会社が求める人材の確保を容易にする
こちらの制度もあり、実際に転職サイトdodaの調査によると、女性の転職成功平均年齢が30.1歳と高く、年齢に関係なく転職で成功できることがわかりました。
2020年に転職した人の平均年齢は32.0歳、男女別では男性が32.9歳、女性が30.1歳でした。いずれも調査を開始した2008年以降で最も高い年齢です。また、前年の平均年齢と比べて、全体では31.7歳から0.3歳、男性では32.5歳から0.4歳、女性では29.8歳から0.3歳とすべてで上昇しています。
引用元:doda
既婚女性に対し面接官がする質問と返し方
「出産の予定はありますか」
これは「出産を機に辞めるのではなく、長く働いてほしい」または、「自分の会社は制度が整っているので具体的な相談がしたい」という意図があります。
なので「絶対に予定がない、バリバリ働きたい」というのではなく、正直に「今は予定がありませんが、パートナーと相談し考えたいと思います」と正直に言い「今のところは長く勤めたい」、「パートナーの理解は得ている」など長くどんなふうに働きたいかを伝えられるようにしましょう。
「結婚していますか、独身ですか」
これは、社会保険や転勤ができるかどうかなどの確認のために聞くので、それで落とされるということはほとんどありません。
「残業や休日出勤はできますか」
この質問には「はい」や「絶対にできません」ではなく、繁忙期や月に数回だったらできることを伝えましょう。既婚と知っていれば、全部出勤するのは難しいのは当たり前なので、無理にできると言ってしまうと入社後が大変になります。会社の目線も考えどのくらいならできるのか把握しておきましょう。
自分が妊娠や出産の後どう働きたいのかをしっかり家族で相談し、話せるようにしましょう。自分のしたいことや、スキルなどしっかり組み立てられていれば面接で焦る必要もありません。会社の意図をくみ取り面接に臨みましょう。
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既婚女性の転職に理解のあるエージェントを利用する
既婚女性の転職には通常の転職とは違ったハードルがあることから、転職経験者であっても今までと勝手が違うために思うように活動が進まないこともあるようです。
女性の転職支援の経験が豊富な転職エージェントを利用することで、希望に適った職場選びの相談だけでなく面接時の言い回しの工夫まで力を貸してくれます。
以下に、既婚女性で転職を考えている方におすすめのエージェントを3社ピックアップしました。
「特化型」と「総合型」の転職エージェントからのラインナップになっているので両方に登録しておき、活動を進めながら絞ってみるのが一般的です。
type女性の転職エージェント

type女性の転職エージェントは女性の転職に最も特化した転職エージェントで、18年以上の運営実績があります。
typeの系列のサービスは、こまやかなフォローがほしい方にも自分のペースで干渉を受けずに転職活動をしたい方にもおすすめです。
女性向けのtypeには転職エージェントの「type女性の転職エージェント」と転職サイトの「女の転職type」の2種類があります。女の転職typeはエージェントではありませんが、違いなどがわかるようにそれぞれ解説します。
type女性の転職エージェントでは、あなたの希望する働き方について相談をした上で、ぴったりな求人や面接に関わるノウハウをしっかりと教えてくれます。
「面接の時ってどんなメイクをしていくのがいいかな?」
こんな風に誰もが考えると思います。type女性の転職エージェントでは、希望すれば「面接のためのメイクアップサービス」まで行ってくれ、こまやかなフォローを受けられます。
一方で、「自分のペースで進めたいから余計な干渉をしないでほしい!」という方には姉妹サイトの「女の転職type」の利用がおすすめです。

上の表に記載されている通り、自分で気になる求人を探して自分のペースで応募することができます。
リクルートエージェント

リクルートエージェントは総合型転職エージェントの一つで、25万件以上の非公開求人を有する国内最大手の転職エージェントです。(2023年3月30日時点)
女性の転職のみに特化した転職エージェントではありませんが、求人数の幅が広く、エージェントとしての規模も大きいためあなたと相性の良いエージェントや女性の転職支援の実績が多いエージェントと相談しながら転職活動を行うことができるかもしれません。
あなたの希望する条件などにあまり詳しくないエージェントが担当になってしまった場合は、交代してもらうこともできます。担当交代は、転職エージェントサービスとして普通のことなので何度も何度もすぐに交代要請をする訳でなければ特に遠慮する必要はありません。
総合型につき求人を多く有していること、相性の良いエージェントと一緒に転職活動を行うことができると期待できること、非公開求人の多さからリクルートエージェントでしか検討できない求人も多数あることから、登録してみる価値があると言えます。
doda
dodaは22万件以上(2023年3月31日時点 非公開求人含む)の求人を保有しており、国内最大級の転職エージェントです。パーソルグループの中のパーソルキャリアが運営しています。
自分で求人を探すことも、エージェントと相談をしてぴったりな求人を紹介してもらうこともできます。
こちらも女性のみに特化している訳ではありませんが、求人数の多さは選択肢の多さを意味します。総合型転職エージェントとしてチェックしておきたいサービスの一つです。
また、フォロー体制もしっかりしており、希望する方は面接だけでなく履歴書の書き方のチェックなどまで細かな部分までフォローしてもらうことができます。
既婚女性としての転職で不安を感じている方はもちろん、転職に不慣れな方にもおすすめなサービスになっています。
まとめ
今の時代、共働きが必要になってきていますがその一方で、女性の既婚者の転職は難しいとよく聞きます。
なぜそのようなことになってしまうのかというと、多くの企業が出産やその後の育児による休暇や手当てなどを懸念しているためです。
一方で、女性の子育てのしやすさなどに配慮した企業も多くあります。女性で結婚や出産前後の転職活動を行いたい場合は、なるべく理解のある企業を選ぶようにしましょう。
自分ひとりで適した企業を探し出したり見抜くのは難易度が高いため、プロのコンサルタントやエージェントに相談するのが確実でおすすめです。
様々な職業や雇用形態の中から適職を選択し、国の制度なども活用しながら自分の理想のライフスタイルを実現させましょう。