小児科看護師の辛いことは、「苦しむ子どもたちをみなければならない」「救える命と救えない命がある」などがあります。

一方で、子どもに寄り添い回復をサポートできたり、笑顔に癒やされたりすることにやりがいを感じられます。就職や転職を考える際には、これらを踏まえて活動することが大事です。

この記事では、小児科看護師の辛いことややりがい、小児科看護師として働ける職場を解説します。「小児科あるある」も紹介しますので、転職を検討するときの参考にしてください。

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小児科看護師の辛いこと5つ

小児看護は、子どものすべての病気が対象となり、急性期・慢性期・終末期まで対応することが特徴です。

看護の対象は子どもだけでなく家族、養育者も含められます。成長・発達段階に合わせて対応する必要があります。

小児科看護師で辛いことは以下のとおりです。

それぞれ解説しますので、小児科看護師への転職を考えている人は参考にしてください。

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1.苦しむ子どもたちをみなければならない

小児科看護師は、苦しむ子どもたちをみなければならないため、辛いと感じるときがあります。

症状の苦しさに加え、治療や処置による苦痛や不安から泣いてしまう子どもも多いです。

しかし、嫌がって暴れてしまい、安全に処置をおこなうことが難しいケースもあります。

点滴では、血管が見えにくい場合も多いです。失敗できないプレッシャーで、辛くなるときがあります。

不安を抱えた家族が理解できるように、わかりやすく説明しなければなりません。

2.救える命と救えない命がある

小児科看護師でもっとも辛いことは、子どもの死に直面したときです。

どんなに手を尽くしても、救えなかったときは、やり場のない辛さを感じてしまいます。

ご家族の心情を考えると、さらに辛くなります。しかし、看護師たちはプロとして、ご家族の悲しみと向き合う必要があるのです。

3.子どもや家族への対応が難しい

小児科看護師は、成長発達段階を理解し、看護を提供しなければなりません。

病気の看護に加え、年齢や発達に合わせたコミュニケーションを求められるため、難しさを感じるときもあります。

小児看護は、家族や養育者も対象です。病状によっては、家族が敏感になっているケースもあり、うまく対応できないとクレームにつながる可能性もあります。家族の想いを十分に理解し、対応することが重要です。

家族は子どもの入院によって生活が変化するため、ストレスも大きいと考えられます。病院によっては、家族が「付添い入院」をするケースもあります。

厚生労働省の「入院患者家族等による付添いに関する実態調査の概要について」での回答は以下のとおりでした。

結果より、子どもの入院によって、家族の生活にも影響が及んでいると考えられます。

なお、令和6年度の診療報酬改定における主要な改定項目では、「小児に付き添う家族等に配慮した小児入院医療提供体制の推進」を重点的分野としています。

今後は、家族の負担を軽減するための対応が求められるでしょう。

【参考】入院患者の家族等による付添いに関する実態調査概要について／厚生労働省
令和6年度診療報酬改定の概要／厚生労働省保険局医療課　p6

4.キャリアプランに悩むときもある

小児科看護師を続けていくと、キャリアプランに悩む人もいます。

成人看護とは異なる点が多いためです。小児科で専門性を高めるか、成人・老年看護に進むべきかなどで悩む人もいるようです。

小児科看護師で身につけたスキルは、他の医療機関でも活かせます。自分の目指す看護師像を明確にし、キャリアプランを立てることが重要です。

5.点滴の管理が難しい

子どもは危険予知ができず、安静の保持が難しいため、点滴漏れや事故抜去のリスクが高めです。姿勢や刺入部位によって、滴下速度も変わりやすいです。

薬剤の使用量には十分注意が必要です。新生児や乳幼児は成人の使用量と大きく異なります。

薬剤によっては、生理食塩水や糖液で希釈し使用する場合もあります。単位や量を正確にしなければなりません。

小児科看護師のやりがい5選

小児科看護師のやりがいは、さまざまあります。おもなやりがいは以下のとおりです。

ひとつずつみていきましょう。

1.子どもに寄り添い回復をサポートできる

子どもに寄り添い、回復をサポートできることは大きなやりがいです。

症状が改善し退院する様子をみると、喜びを感じられます。

たとえば、高熱が続き、点滴管理をしていた子どもが、元気に退院できたときなどです。

2.子どもの笑顔に癒される

子どもの笑顔に癒やされることも、小児科看護師のやりがいの一つです。

無邪気な笑顔で話してくれたり、看護師になついたりすると、嬉しくなるものです。

子どもの笑顔をみていると、嫌なことも忘れられ、モチベーションがアップするときもあります。

3.子どもの成長を感じられる

子どもの成長を感じられるのは、小児科看護師ならではのやりがいです。

定期的な通院では、会うたびに変化していくのがわかり、成長を喜べます。

4.季節のイベントを楽しめる

小児科看護師は、子どもの遊び相手になることもあります。

クリスマスや七夕、ハロウィンなどのイベントを開催するときもあります。

多職種で協力して、子どもたちが喜ぶことを考えるのも楽しいです。医師がサンタクロースやトナカイに扮して盛り上げてくれることも。

子どもたちが喜び楽しむ姿をみると、やってよかったと感じます。

5.小児看護の知識や技術が身につく

小児科は幅広い疾患への対応が求められるため、知識や技術が身につきます。

小児科看護の資格取得やキャリアアップにも役立ちます。

観察力やコミュニケーションスキルは、他の分野でも活かせるでしょう。

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小児科看護師の仕事内容

小児看護師の仕事内容は多岐にわたります。おもな仕事内容は以下のとおりです。

1.体調確認

バイタルサインや一般状態の観察をおこないます。

子どもは自分の体調をうまく伝えられないため、活気や顔色、皮膚の状態などのアセスメントが大事です。

また、測定時に動いてしまったり、嫌がったりする子もいるため、声かけや工夫が大事です。集中治療が必要な子どもは、少しの変化も見逃せません。

2.医師の診療補助・医療行為

小児科では、医師の診療補助での看護師の役割は大きいです。

泣いたり暴れたりする子を落ち着かせるスキルが求められます。

最近では「プレパレーション」が注目されています。プレパレーションとは、子どもが医療を受けるときに、何が起こるかをわかりやすく説明することです。

子どもの不安や恐怖感を予防・緩和し、子どもの対処能力を引き出し、子ども自身が頑張ったと実感できるように関わる技術です。

プレパレーションを学び実践できれば、心の発達支援にも役立つでしょう。

【参考】看護部「取り組み」／滋賀県立小児保健医療センター

3.日常生活の支援

病棟では日常生活の支援もおこないます。

食事のサポートやトイレの付添い、清潔ケアなどです。病状や成長発達段階に合わせて関わりましょう。

できることは自分でおこなってもらい、見守ることも大事です。

4.子ども・家族への精神的ケア

入院や治療による精神状態を考慮し、子どもや家族に寄り添うことも大切です。

病気の苦しさに加え、家族と離れて過ごす不安やストレス、安静によるストレスなどでは辛い思いをしています。

家族の精神的ケアも欠かせません。子どもは家族の不安を察知するときもあります。

家族の不安を軽減させる声かけをおこないましょう。信頼関係を構築し、家族が不安や悩みを打ち明けられるようにすることが重要です。

小児科看護師になるには？

小児科看護師になるために、特別な資格やスキルは不要です。看護師資格があれば働けます。

小児科看護の専門性を高めれば、仕事や転職に役立つでしょう。

日本看護協会の専門看護師や、認定看護師の資格取得を検討するのも手です。

＜小児看護に関する資格＞
資格	特徴
小児看護専門看護師	子どもたちが健やかに成長・発達していけるような療養生活を支援し、他のスタッフと連携して水準の高い看護を提供する
小児救急看護認定看護師	救急時の子どもの病態に応じた迅速な救命技術、トリアージの実施 育児不安、虐待への対応と子どもの親の権利擁護 （2026年をもって教育終了）
小児プライマリケア認定看護師	重篤な状態にある児もしくは医療的ケア児に対する重症化予防 外来及び地域等のプライマリケアの場におけるトリアージ 家族の家庭看護力・育児力向上に向けたホームケア指導 不適切な養育または虐待の予防、早期発見と、子どもの事故防止 身体所見及び気管カニューレの状態を病態判断し、気管カニューレの交換が行える知識・技術 （2020年度から教育開始）
新生児集中ケア認定看護師	ハイリスク新生児の急性期の全身管理 障害なき成育のための個別ケア ハイリスク新生児と親への家族形成支援 不適切な養育または虐待のハイリスク状態の予測と予防 身体所見及び気管カニューレの状態を病態判断し、気管カニューレの交換が行える知識・技術 （2020年度から教育開始）

【参考】専門看護師／日本看護協会
認定看護師／日本看護協会

小児科看護師に向いている人の特徴

小児科看護師に向いている人は、以下に該当する人です。

小児科看護師として働くうえで大切なのは、子どもが好きであることです。

子どもと接することに苦手意識がある人は、適応できない可能性があります。子どもの特性を踏まえたコミュニケーションスキルも求められます。

また子どもは、自分の症状を伝えられないことも多いです。観察力を高め、ちょっとした変化に気づけるようにしなければなりません。

検査や処置の場面では、状況を理解し、受け入れるまで時間を要する場合が多いです。

子どもが理解できるように、繰り返し説明する必要があるため、忍耐力がある人がよいでしょう。

小児科看護師として働ける職場

小児科看護師として働ける職場は、さまざまあります。代表的な職場は以下のとおりです。

それぞれ解説します。

関連記事：看護師から転職を成功させるポイントとは？おすすめの業種を紹介

1.こども病院

こども病院は小児専門病院ともいわれ、新生児から中学卒業程度までの小児を対象に診療をおこないます。

超低出生体重児や、小児がんなどで特別な医療を必要とする子どもなどが入院し、治療を受けます。

小児科看護師を目指す人に人気の職場ですが、設置数は少なめです。

2.小児科病棟・小児科外来

総合病院や大学病院などには、小児科病棟や小児科外来があります。

医療的な処置を必要とする子どもが、治療を受ける場所です。病院によっては、他の科との混合病棟のところもあります。

3.NICU（新生児集中治療室）

NICUは、体出生体重児や先天性疾患がある新生児、手術を必要とする新生児が入院します。

保育器や人工呼吸器、モニター類が使用されるケースが多いです。新生児の体調管理や急変時の対応、家族ケアがおもな仕事です。

関連記事：NICUの看護師を辞めたい！転職を考える6つの理由と退職前にできる対処法

4.GCU（回復治療室）

GCUは、NICUでの治療を終え、呼吸・循環・栄養状態が落ち着いた新生児が入院します。

退院に備え、授乳やおむつ交換、沐浴などの指導をおこなうのが特徴です。病院にはNIUCとGCUが両方あるわけではありません。

5.PICU（小児集中治療室）

PICUは、病気や外傷により、生命が危険な状態にある子どもの治療をおこなう場所です。

重篤な状態であるため、高度な医療スキルが求められます。

医師、看護師の他多くの医療スタッフが関わることが特徴です。

【参考】PICUよりみなさまへ／日本集中治療医学会

6.小児科クリニック

小児科クリニックでは、地域の子どもの診療をおこないます。

風邪やインフルエンザなど、よくある病気に対応します。日勤のみで夜勤やオンコール対応はありません。

インフルエンザなどの感染症が流行しているときは、受診者が増えるため、残業が増加する可能性もあります。

小児科看護師の月額給与

病院の看護師の場合、診療科ごとによる給料の差はありません。

給与の差は、経験年数や病床数、学習課程によって違いがあります。

2022年の病院看護・助産実態調査によると、新卒と勤続10年の看護師の給与額は以下のとおりです。

＜新卒看護師と勤続10年看護師の平均給与額・平均税込給与総額＞
	平均基本給与額	平均税込給与総額
新卒看護師（高卒＋3年課程）	203,276円	263,711円
新卒看護師（大卒）	209,616円	271,730円
勤続10年 （31～32歳、非管理職）	246,770円	324,446円

【参考】日本看護協会調査研究報告＜No.99＞2022年 病院看護・助産実態調査 報告書／日本看護協会

病院の外来や小児クリニックで働く場合、夜勤がないため、上記よりは低くなるでしょう。

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小児科看護師の人気は高い！求人探しは看護師転職サービスの利用を

小児科は、看護師に人気の高い職場です。

転職を成功させるには、看護師転職サービスを利用するとよいでしょう。おすすめの転職サービスは以下のとおりです。

レバウェル看護

レバウェル看護は、レバレジーズメディカルケア株式会社が運営する看護師転職サービスです。

求人数は15万件以上と豊富で、自分にあった求人に出会いやすいでしょう。

求人紹介だけでなく、職場環境の情報提供や履歴書添削、模擬面接、面接の日程調整などのサポートを受けられます。

ヒアリング後の連絡はLINEやメール、ショートメッセージでできるため、自分のペースで進められるのもメリットです。

働くうえでの悩み相談も可能です。転職を決めていなくても、キャリアパスに詳しいアドバイザーが相談に乗ってくれます。

ナース専科 転職（旧：ナース人材バンク）

ナース専科 転職（旧：ナース人材バンク）は、看護師のコミュニティサービス「ナース専科」を運営する株式会社エス・エム・エスによる看護師転職サービスです。

2005年のサービス開始以降、数多くの看護師が利用しています。

医療介護の特性や、基本的な専門知識、労務知識について研修を受けたキャリアパートナーによるサポートを受けられます。

求人票には載らない内情まで把握しているため、気になる部分の確認が可能です。

給与や勤務条件など、自分では直接言い出しづらい条件交渉もキャリアパートナーが代行してくれるため、心強いでしょう。

看護roo!転職

看護roo!転職は、株式会社クイックが運営する看護師転職サービスです。

条件や希望を相談しながら進められる「エージェント求人」と、採用施設・企業と直接やりとりできる「直接応募求人」があります。

転職がはじめての看護師サポートに力を入れているのが特徴です。

自分に合った職場タイプの分析、病院見学のセッティング、履歴書添削や病院ごとの面接対策などのサポートを受けられます。

「転職するか」「今の職場でもう少し頑張るか」を相談しながら決められるのが、おすすめのポイントです。

小児科看護師あるある

ここでは「小児科看護師あるある」の一例を紹介します。

1.キャラクターに詳しくなる

子ども向けのキャラクターは、動物や食べ物のキャラクター、戦隊ものシリーズなどさまざまです。

子どもと接しているうちに、詳しくなることも。毎日の話題作りでは欠かせません。

2.イラストが得意なスタッフは大活躍

小児科病棟では、雰囲気作りにイラストを飾ることがあります。

子どもの恐怖心を紛らわすため、点滴固定のテープやシーネにイラストを描くこともあります。

イラストが得意なスタッフの出番です。自分がうまくなる場合もあります。

3.キャラクターグッズが増える

小児科看護師はキャラクターグッズが欠かせません。

文房具や印鑑、ナースウォッチからスクラブに至るまで、さまざまなキャラクターグッズがあります。

子どもの不安や緊張を和らげ、コミュニケーションにも役立つのです。身の回りにグッズがあふれることもあります。

まとめ

小児科看護師は子どもの回復をサポートでき、やりがいを感じられる職場です。

しかし、小児科という特殊性からくる辛さもあります。学びを深めることで、柔軟に対応できるようになるでしょう。

小児科看護師として働ける職場はさまざまあります。人気の職場であるため、転職したい場合はしっかりと対策をとることが大事です。

看護師転職サービスを利用し、プロの力を借りて、転職を成功させてください。