様々な理由から仕事に行けず休職している方の中には、このまま復職せずに退職したいと考える方もいるのではないでしょうか。
しかし、休職からそのまま退職する方法が分からず、どうすればいいか困ってしまう方は少なくありません。
本記事では、休職からそのまま退職できるのか、退職の正しい手順や上司に伝えるタイミング、復職せずに退職する際にはどのような点に注意すべきかについて詳しく紹介します。
また、退職後に受け取れる手当などについてもお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
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関連記事:仕事を辞めたいあなたに!原因と対処法・辞める際の判断基準
目次
休職から復職せずに退職はできる?法律上問題ない
結論から言うと、休職のまま退職することは可能です。
休職する理由は人それぞれですが、多くの場合「復職せずに辞めてしまうのは会社に申し訳ない」と罪悪感を感じてしまう方も多くいるでしょう。
しかし、休職から退職は法律上何の問題もありません。
民法第627条では、以下のように記されています。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる。この場合において、雇用は解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。
引用:厚生労働省「労働政策審議会労働条件分科会第49回資料:解雇・退職について」
「雇用の期間を定めなかったとき」とは、正社員として働いている状態を指します。
そのため、「正社員として働いている場合、どのような場合でも退職を申し出ることが可能で、申し出から2週間経過で退職となる」といった意味になります。
この場合、休職しているか現場に出て働いているかは関係ありません。正社員として会社に在籍していれば、誰でも当てはまります。
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休職したまま退職する場合の手順
休職からそのまま退職する場合、どのような手順で進めていけばいいのかについて紹介します。
基本的な流れは上記の通りです。それぞれを詳しくみていきましょう。
関連記事:体調不良で欠勤のまま退職するのは法的にOK!3つの方法と伝え方を解説
上司に退職したい旨を伝える
まずは上司に退職したい旨を伝えてください。そこで気になるのが、タイミングや伝える際のポイントです。スムーズに退職の意志を示すためにも、下記でお伝えする3つの内容をしっかりと把握しておきましょう。
いつ言うべき?上司に伝えるタイミング
退職の意思が固まったら、なるべく早い段階で上司に伝えておきましょう。
通常、退職する場合は遅くても1ヶ月前に申告するのが基本です。退職を伝えるタイミングに関しては会社によって異なるので、まずは就業規則を確認してください。
退職を伝えてから辞めるまでの間に、あいさつ回りや引継ぎを行います。
上司に伝える際のポイント
退職を上司に伝える際には、下記のポイントを意識することで円満に退職できるようになります。
- 休業させてもらっている状況に対する感謝
- 休んで迷惑をかけていることに対する謝罪
- これまでお世話になったことに対する敬意
- 病気の場合、医師から退職をすすめられていること
双方納得のうえスムーズに退職まで進めるためにも、感謝や謝罪の気持ちを込め、敬意をもって退職を伝えることが大切です。
上司に伝える方法・伝え方
上司に退職を伝える場合、電話やメールなどで終わらせるのではなく、直接会って伝えるようにしましょう。メールの場合、上司が忙しく確認できない、送信ミスによりきちんと届いていないということもあり得ます。
しかし、精神的なことが理由で休職している場合、どうしても上司と会いたくないということもあるでしょう。こういった場合はメールで伝えることももちろん可能です。
また、退職理由によって上司への適切な伝え方が異なります。
以下の記事では退職の伝え方についてより詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:【退職理由別】退職の伝え方と円満退職の秘訣!
退職に必要な書類を提出・会社支給の荷物を返却する
退職が決まったら、退職届などの書類を提出します。また、健康保険に加入している場合、退職と共に脱退することになるので、保険や厚生年金に関する書類も提出しましょう。
さらに会社から支給されているものも返品する必要があります。健康保険証や名札、制服など、会社支給のものは全て返却してください。
また、復職を考えた休職の場合、自分の荷物がまだ会社に残っていることもあるでしょう。会社により対応は異なりますが、基本的には「自分で取りに行く」「まとめて郵送してもらう」「会社の方で廃棄してもらう」といった3つの方法があります。
自分で取りに行く場合、会社に相談すれば誰にも会わないよう配慮してくれることもあるので、一度上司に相談してみてください。
退職に伴う書類を会社から受け取る
退職手続きが完了したら、発行された書類を受け取ります。ここで受け取る書類は、次に働く転職先や失業保険を給付してもらうために必要です。通常は下記のような書類を受け取ります。
- 離職票
- 雇用保険被保険者証
- 年金手帳
- 源泉徴収票
それぞれどのような書類なのか下記でチェックしてください。全て重要な書類となるので、受け取ったら大切に保管しておきましょう。
各書類 | 内容 |
---|---|
離職票 | 退職から約10日前後で発行される書類で、現在仕事をしていないことの証明書。 失業保険の給付のために必要となる。 |
雇用保険被保険者証 | 雇用保険に加入していることを証明する書類。 紛失した場合、「被保険者番号」が分かれば、ハローワークで再発行が可能。 |
年金手帳 | 公的年金制度に加入していることを証明する手帳。 基本は会社で保管されることが多く、退職の際に受け取り転職先企業へ渡す。 |
源泉徴収票 | 会社から支払われた給与や賞与、納付済の所得税など1年間分の収支情報が記載されている書類。 転職先に提出し、仕事が決まっていない場合は源泉徴収票を使用して自身で確定申告をする必要がある。 |
健康保険や国民年金など手続きをする
退職することで健康保険や厚生年金の被保険者資格を失います。すでに次の転職先が決まっている場合、新しい職場で手続きをしてくれるため自分で何かをする必要はありません。
中には休職中から治療に通っている方もいるのではないでしょうか。退職後も通院する場合、健康保険の手続きをしなければ医療費が全額負担となってしまいます。
また、厚生年金も脱退しているため、手続きせず放置しては将来年金を受け取れなくなってしまうでしょう。
国民年金・健康保険・住民税に関しては、下記の手続きを進めてください。
項目 | 内容 |
---|---|
国民年金 | 「第2号被保険者」から「第1号被保険者」に切替 |
健康保険 | 「任意継続被保険者制度」の利用 国民健康保険に加入 家族の扶養に入る 上記3つのうちのどれかを選択 |
住民税 | 「特別徴収」から「普通徴収」に切替 |
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休職から復職せずに退職する際の注意点
休職から復職せずそのまま退職する場合、下記の3つのポイントに注意してください。
それぞれの具体的な内容を詳しくみていきましょう。
休職期間は勤続年数にカウントされない
転職活動する際には、前職の勤続年数を履歴書などに記載します。この場合、休職期間はカウントしません。
例えば、入社3年目で1年間の休職をした場合、勤続年数は4年ではなく3年のままです。
応募ポジションによりますが、休職期間があることでどうしても一定期間ブランクがあるものとされるため、選考上ネガティブなイメージを持たれてしまう可能性もあるでしょう。
休職のまま退職する場合、なぜ退職を選択したのか、どういった理由で休職したのかを正確に伝えられるよう準備しておく必要があります。
将来的な転職活動で不利になる可能性がある
休職期間がある場合、どうしても転職活動において不利になることが少なくありません。企業側は「採用しても休職されてしまうのではないか」「長く継続して働いてもらえないのではないか」といった不安を抱えてしまうでしょう。
また、前述の通り、休職期間は仕事から離れていた期間とみなされるため、その間にブランクができてしまい、企業によっては即戦力として採用されにくいことがあります。
職務経歴書に嘘を書いてはいけません。職務経歴書はあなたのキャリアを示す重要な書類です。虚偽の内容が将来的な転職活動で不利になる可能性が高く、今だけでなく、5年後や10年後の転職活動でも悪影響が続くことがあります。
有給休暇を消化することはできない
休職したまま退職する場合、有給休暇を消化することはできません。なぜなら、休職が始まると、まず最初に付与されている有給休暇が使われ、その後は無給の休暇に移行するからです。
つまり、休職中には既に有給休暇をすべて使い切っていることが多く、退職時に残っている有給休暇は存在しないということになります。
休職後に退職してももらえる手当
休職からそのまま退職した場合、基本的にもらえる手当は主に下記の3つがあります。
- 退職金
- 失業等給付
- 傷病手当金
企業が退職金制度を導入している場合、定年まで働いていなくても退職金が受け取れます。
しかし、満額より大きく減額となるため注意しておきましょう。また、先ほどお伝えしたように、休職期間は勤続年数に含まれません。そのため、退職金も休職期間を除いた勤続年数で算出されます。
退職後に働く意欲・能力がある場合、90~360日間失業等給付が受け取れるので、手続きを進めてください。
休職から退職を伝えにくい場合は退職代行を利用するのがおすすめ
休職から復職せずに退職したいと考えていても、上司にその旨を伝えにくいという方は少なくありません。
休業している状態に申し訳なさを感じている中で、さらに退職の意志を伝えるとなると罪悪感で自分を責めてしまう方も多くいるのではないでしょうか。
休職から退職を伝えにくい場合、退職代行の利用がおすすめです。休業理由が精神的な症状からくるものであれば、上司への連絡や出社が大きなストレスとなることも少なくないでしょう。
退職を伝えることによるストレスを少しでも緩和するために、退職代行を利用して精神的な負担を少しでも減らすようにしてください。
下記の記事では、おすすめの退職代行14選を紹介しています。サービスの料金相場や利用のメリット・デメリットと併せ、数多くある退職代行サービスの選び方についてもお伝えしていますので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:退職代行おすすめランキング14選|サービス内容を比較【最新版】
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休職から退職を考えている人によくある質問
休職から退職を考えている方の中には、疑問や不安を感じることが少なくありません。ここでは、よくある質問のなかで特に正しく知っておくべき4つの内容をピックアップしました。
下記でひとつずつ詳しく紹介します。休職から退職についての理解を深めるためにも、それぞれの内容をしっかりと頭に入れておきましょう。
休職期間が終了したら退職になりますか?
「休職期間終了後、復職が不可能な場合は休職期間満了日をもって自動的に退職とする」といった内容が就業規則に定められている場合、休職期間が終了することで退職になります。この場合、退職理由は自己都合ではありません。
休職のまま退職をしてもいいケースは?
自分自身で復帰のイメージが持てなかったり、復帰することに不安や恐怖心が芽生えてしまったりという場合、休職のまま退職する方法を検討しましょう。心の準備ができていない状態で復職しても、これまでと同じように仕事に取り組むことはできません。
特に休職理由が業務上のハラスメントや人間関係による場合、原因が解決していない状態で復職すれば再度休職してしまう可能性があります。
このような状態の場合、復職ではなく退職を前向きに検討することをおすすめします。
関連記事:体調不良で欠勤のまま退職するのは法的にOK!3つの方法と伝え方を解説
休職のまま退職する場合、退職日はいつになる?
通常退職する場合、約1ヶ月前に伝えることがほとんどです。そのため、退職の意思を伝えて1ヶ月後が退職日となります。
また、本記事でお伝えしているように、民法第627条では2週間後の退職が認められているため、退職を伝えてから2週間後が退職日になることもあるでしょう。
このように、退職日とは「退職したいと伝えた日」ではないので注意してください。
休職中に転職活動を行うのはあり?
もし就業規定に転職活動についての記載がない場合は、休職期間中でも問題なく転職活動を行えます。
ただし、源泉徴収票などを通じて転職先の会社に休職中の転職活動が知られることがあり、その場合は不誠実な印象を与えるかもしれません。
休職中の転職活動は法律に違反しませんが、退職後に転職活動をするよりも慎重に行う必要があります。
まとめ
休職となるケースは人それぞれ様々な理由があります。ゆっくりと休むことで問題なく復職できる方もいますが、そのまま退職を考えるケースも多くあります。
休職のまま退職することは何の問題もありません。上司に伝え正式な手順や書類のやり取りなどを進めていけば、問題なく円満に退職できるでしょう。
本記事では、休職から退職する際の手順や必要な手続き、注意点、退職後に受け取れる手当について、詳しく紹介しました。
お伝えした内容を参考にすれば、休職から退職までの手続きをスムーズに進められます。復職せずに退職することに罪悪感を感じる人も多いですが、まずは自分の気持ちを大切にして、心身の健康を最優先に考えた決断をしてください。
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