有給休暇や育児休暇などの充実した福利厚生に魅力を感じ、公務員保育士を目指す人は少なくありません。

定年まで子どもの成長に関わる働き方をしたいと思い、公務員保育士の仕事を選ぶ方も多いでしょう。

そこで本記事では、公務員保育士試験に受かる人の特徴を解説しました。公務員保育士になる方法や、試験対策も紹介しています。

公務員保育士のメリット・デメリットや私立保育士との違いも解説したので、ぜひ参考にしてください。

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公務員保育士と私立保育士の違い

公務員保育士とは、地方自治体が運営する施設で働く保育士です。

保育園で働く以外に、託児所や相談所などを担当する場合もあります。一方で私立保育士とは、民間企業が運営する施設で働く保育士のことを指します。

就職した企業が保育園以外の施設を運営する場合は、社内異動の可能性もあるでしょう。

公務員保育士と私立保育士の違いは、以下の表の通りです。

	公務員保育士	私立保育士
勤務先	自治体が運営する保育施設	社会福祉法人や株式会社、NPO法人が運営する保育施設
保育方針	自治体が保育方針を決定する	保育施設によって保育方針は異なる
雇用形態	正規職員 臨時職員 嘱託職員 派遣保育士	正社員 派遣社員 契約社員 パート・アルバイト
勤務時間	7時～19時までの交代制（自治体によって異なる） 土日出勤や残業時間は少なめ	夜間保育や土日保育に対応する企業もある 企業によって長時間残業もある
勤務先の異動	2年～4年に1度、同じ自治体の保育施設に異動	複数の保育園を運営する場合は異動がある
1ヶ月の給与	常勤：287,431円 非常勤：153,556円	常勤：255,415円 非常勤：153,156円
退職金	地方公務員と同じ金額 （計算方法：基本額＋調整額＝退職金）	企業ごとに異なる 一般的には勤続年数3年以上が支給対象
年金	厚生年金	厚生年金
福利厚生	地方公務員の福利厚生が適用	企業ごとに異なる
就職の方法	保育士免許を取得後、公務員試験に応募	保育士免許を取得後、採用試験に応募

公務員保育士は、年齢や勤続年数に応じて定期昇給があります。

福利厚生や産前産後休暇・育児休暇制度も充実しているため、長期的に保育士として働きたい方におすすめです。

私立保育士の給与体系や労働環境は、企業によって異なります。

保育施設ごとに保育方針を決定できるため、最新の教育方法や現場保育士からの提案は採用されやすいでしょう。

公務員保育士になるには？5ステップで解説

公務員保育士として働くまでの流れを、5ステップで解説します。

公務員保育士試験の難易度と合格倍率

公務員保育士試験の難易度は、私立保育士に比べて高くなりやすいでしょう。

なぜならば、私立保育士に比べて公務員保育士の採用人数が少ないため、競争率は上がるからです。

自治体ごとの受験者数と合格者、合格倍率は以下の表で確認してください。

自治体	受験者数	合格者数	合格倍率
札幌市	29名	9名	3.2倍
仙台市	74名	59名	1.3倍
八王子市	16名	7名	2.3倍
横浜市	107名	45名	2.4倍
千葉市	83名	22名	3.8倍
高崎市	29名	4名	7.3倍
新潟市	45名	6名	7.5倍
名古屋市	139名	77名	1.8倍
大阪市（保育士A）	116名	42名	2.8倍
大阪市（保育士B）	84名	40名	2.1倍
福岡市	18名	4名	4.5倍

公務員保育士採用試験の合格倍率は、自治体によって大きく異なります。

自治体によっては合格倍率が7倍を超えており、競争率は高いです。

また、年度によって募集人数も異なるため、最新の情報を確認してください。

公務員保育士試験の内容

公務員保育士試験の内容を、具体的に紹介します。

自治体ごとに試験の日程や受験資格は異なるため、あらかじめ試験の概要を確認してください。

一次試験｜筆記試験

筆記試験では、教養試験と専門試験の2種類が行われます。

教養試験の内容を、以下の表にまとめました。

教養試験
必要な学力	高校卒業程度
能力を測る分野	文章理解 数的推理 判断推理 資料推理
知識を測る分野	5科目（国語・数学・英語・理科・社会） 現代文・物理・化学・政治・経済 時事問題

専門試験の内容は、以下の表で確認してください。

専門試験
必要な学力	保育士試験合格レベル
出題分野	保育原理 保育内容 保育心理学 社会福祉 子ども家庭福祉 子どもの保健 子どもの食と栄養 障害児保育

教養試験では、高校卒業程度の学力が求められます。

出題範囲は広いため、高校の教科書や過去問題を使用して対策を行いましょう。

専門試験の内容は、保育士養成施設で学ぶ内容が出題されます。

保育士試験で出題された問題と似ているため、過去問題を使用して対策してください。

二次試験｜面接・実技試験

面接の形式は、個別面接や集団面接、グループディスカッションなど自治体によって異なります。

具体的には、以下の質問への回答を準備しましょう。

実技試験の内容は、以下の表で確認してください。

実技試験	内容
実技試験	絵本の読み聞かせ 音楽に関する技術（ピアノ・ギター） 情景・人物の描写 工作
体力測定	握力 立ち幅跳び 立位体前屈 踏み台昇降運動 背筋力

自治体によっては、実技試験の他に小論文やグループワークなどを実施します。

面接での評価ポイントやよく聞かれる質問を理解したい方は、以下の記事も参考にしてください。

関連記事：【例文あり】保育士の面接でよく聞かれる質問20個！成功の秘訣や服装・マナーも紹介

公務員保育士試験の対策

公務員保育士試験の対策方法を、2つ解説します。

過去問や参考書を繰り返し解く

公務員保育士試験の対策では、過去問や参考書を繰り返し解くことが重要です。

過去の問題例は自治体のWebサイトからダウンロードでき、参考書も書店で購入できます。

試験までの期間は問題文や参考書を繰り返し解き、回答や回答にいたるまでの考え方を確認しましょう。

予備校や塾で勉強する

予備校や塾で勉強することも、公務員保育士試験対策に有効です。

専門の講師から指導を受けられるため、一人で学習するよりも効率的に試験対策を行えるでしょう。

また、公務員保育士試験を想定した模擬試験や、試験対策のセミナーも受講可能です。

働きながら公務員保育士を目指す方は、予備校や塾を活用した勉強をおすすめします。

公務員保育士に受かる人の特徴

公務員保育士に受かる人の特徴は、以下の4つです。

一般教養と学力のある人

一般教養と高校卒業程度の学力のある人は、公務員保育士試験に受かりやすいです。

公務員保育士試験の一次試験では教養試験が行われるため、幅広い知識と学力を求められます。

具体的には、高校で学習する国語・数学・英語・理科・社会に加えて、政治や経済、時事問題なども学ぶ必要があります。

公務員保育士試験の対策と並行して、最新のニュースや時事問題もチェックしましょう。

最新情報を収集できる人

公務員保育士試験の詳細は年度ごとに異なるので、最新情報を収集できる人も試験に受かりやすいでしょう。

保育士の募集人数や試験の応募期間、新規募集する自治体などは毎年変わるため、常に最新情報を集める必要があります。

また、保育士の採用人数が不足した場合は、追加募集のお知らせが出ることもあるでしょう。

最新情報をいち早く収集できる人は、公務員保育士に受かりやすいといえそうです。

志望動機が明確な人

志望動機が明確な人も、公務員保育士に受かりやすいでしょう。

採用担当者は面接のときに、志望動機を通して求職者の熱意や保育観を確認するからです。

「地域の子どもたちの成長を支えたい」「イベントの企画運営が得意なので、子どもたちに楽しんでもらえる行事を行います」など、具体的な志望動機を伝えましょう。

また、私立保育士ではなく公務員保育士を選んだ理由を伝えると、採用担当者に公務員としての責任感をアピールできます。

適応力の高い人

適応力が高い人も、公務員試験に受かる素質をもっているといえるでしょう。

保育の現場では予想外の出来事が起こるため、トラブルに対応できる適応力を求められます。

具体的には、以下のトラブルが想定されます。

何か起きたとしても臨機応変に対応できる人は、公務員保育士に受かりやすい人材であるといえそうです。

公務員保育士のメリット

公務員保育士として働くメリットを、3つ紹介します。

給与が安定している

公務員保育士として働く大きなメリットとして、給与が安定していることが挙げられます。

年齢や勤続年数に応じて定期昇給があり、私立保育士と比べても職種ごとの給与は高い傾向があります。

職種ごとの金額は、以下の表で確認してください。

職種	公務員保育士	私立保育士
施設長	545,053円	532,097円
主任保育士	496,623円	383,029円
保育士	287,431円	255,415円

また、退職金や年金も自治体の基準に沿って支給されます。

長期的に保育施設で働きたい方は、公務員保育士を選択するメリットを感じられるでしょう。

勤務時間が一定で残業が少ない

夜間保育や休日保育に対応する保育施設は少ないため、公務員保育士の勤務時間は一定になりやすく、残業時間も少ない傾向があります。

子育てや親の介護をしながら保育士として働く方は、公務員保育士を選択するメリットは大きいといえるでしょう。

福利厚生が充実している

福利厚生が充実していることも、公務員保育士を選択するメリットです。

具体的には、以下の福利厚生を受けられます。

また、私立保育士に比べて有給休暇や育児休暇の申請をしやすいことも、公務員保育士として働くメリットの一つです。

公務員保育士のデメリット

一方で、公務員保育士として働くデメリットもあります。

上記のデメリットを理解して、公務員保育士を目指すかどうかの判断基準にしてください。

募集人数が少ない

年度によって募集人数が少ないことは、公務員保育士を選択するデメリットの一つです。

公務員保育士は私立保育士に比べて離職率が低く、自治体によっては新規採用する人数が少ない場合もあるでしょう。

採用情報を確認すると、以下の自治体は採用予定人数が少なかったです。

自治体	採用予定人数
高崎市	4名
福岡市	4名
新潟市	4名程度

すべての保育施設で欠員が出ない場合は新規で保育士を採用しない年度もあり、タイミングによっては保育士資格を取得しても働けない可能性があるでしょう。

定期的に異動がある

定期的に移動があることも、公務員保育士として働くデメリットです。

異動は同じ自治体内で行いますが、勤務先によっては引っ越しが必要な場合もあります。

保育施設を変更すると担当する子どもや保護者と新しく関係を築く必要があり、人によっては環境変化でストレスを感じる場合もあるでしょう。

一つの保育施設で長期的に働きたい方は、公務員保育士を選択するデメリットとなります。

自治体によっては年齢制限がある

採用時に年齢制限があることも、公務員保育士を選択するデメリットの一つです。

具体的には「採用日時点でOO歳～OO歳」「平成OO年4月2日～平成OO年4月1日までに生まれた者」などの制限が募集要項に記載されています。

あなたの年齢によっては公務員保育士試験に応募できない場合もあるため、必ず募集要項を確認しましょう。

上記のデメリットが気になる方は、私立保育士として働くことも検討してください。

私立保育士への転職では、履歴書の作成や面接対策をサポートしてくれる転職エージェントの利用をおすすめします。

保育士業界に精通したアドバイザーからサポートを受けたい方は、以下の記事も参考にしてください。

関連記事：保育士転職エージェントおすすめ比較19選｜求人数や口コミも紹介！

公務員保育士試験に合格した人の体験談

公務員保育士試験に合格した方を対象に、以下の質問を行いました。

アンケート調査の結果をもとに、公務員保育士試験に受かるための対策を紹介します。

公務員保育士に受かる人に関するよくある質問

公務員保育士に関するよくある質問を、4つ紹介します。

疑問点や不安なことを解消して、公務員保育士を目指してください。

まとめ｜対策を徹底して公務員保育士試験に合格しよう！

この記事では、公務員保育士と私立保育士を比較して、試験に受かる人の特徴や対策を解説しました。

公務員保育士試験の出題範囲は幅広く、早めに準備を始めることが重要です。

適切な試験対策を行い、公務員保育士試験の合格を目指しましょう。

また、公務員保育士のデメリットが気になる方や、公務員試験に落ちた場合は私立保育士として働くことも検討してください。

私立保育士として実務経験を積んでから公務員保育士への転職も可能なため、あなたのキャリアプランにあわせた働き方を選びましょう。