ブラック保育園とも呼ばれる「残業が習慣化している保育園」や「人間関係が悪い保育園」は、日本に数多く存在します。

しかし、働き方改革の影響で労働条件や職場環境の改善に努める保育園も増えています。

ブラック保育園を見分ける目をもてば、働きやすい保育園への転職を実現できるでしょう。

本記事では、ブラック保育園の特徴や実際の体験談を解説します。求人票の確認や園見学の際にブラック園を見分けるチェックリストも紹介しているので、ホワイトな職場で働きたい方は参考にしてみてください。

関連記事：保育士転職エージェントおすすめ比較19選｜求人数や口コミも紹介！

ブラックな保育園の特徴

では早速、ブラック保育園の特徴を解説します。

順番に見ていきましょう。

残業が多く労働時間が長い

残業が多く労働時間が長い保育園はブラックの特徴のひとつです。

保育園の場合、残業代の支払いがなくタダ働きを強いられるケースも珍しくありません。

労働基準法第37条では「法定労働時間を超えた業務に対し、通常賃金の125％の残業代を支払う義務がある」と定められています。

不当な残業をさせる保育園は、労働者の権利を軽視している職場といえるでしょう。

【参考記事】e-Gov法令検索｜時間外、休日及び深夜の割増賃金(労働基準法第37条)

給与が著しく低い

給与が著しく低い保育園は、労働者に対して適正な報酬を支払っていない可能性があります。

保育士の給与は国の公費でまかなわれていますが、運営側が配分できる部分もあります。また、地域の最低賃金や手当の有無などでも給与が変動するため、条件次第では受け取れる額が低いでしょう。

明らかに給与が低い状態であれば、処遇改善に努める姿勢がない保育園と考えられます。

以下の記事で、条件別の給与水準を解説しているので参考にしてみてください。

関連記事：保育士の年収を徹底解説！月収や手取りは今後上がるのか

職場の人間関係が悪い

職場の人間関係が悪いのもブラックな職場環境の特徴です。

人間関係が悪いと精神的負担が大きく、健康被害を負うリスクが高まります。

雰囲気の悪い職場は、健康的に働ける環境とはいえません。

独裁的な園長・主任がいる

独裁的な園長や主任がいる保育園もブラックの特徴です。

上層部の人物が独裁的だと、保育士は働きづらく心身ともに疲弊します。

こうした対応は、保育士を大切にしていないといえるでしょう。

有給休暇を取得しづらい

有給休暇を取得しづらい環境もブラック保育園の特徴です。

有給休暇の取得は労働基準法第39条で定められた権利であり、原則として労働者の希望する時期に取得させなければなりません。

以下のような対応は、労働者の権利を軽視しているといえます。

このような対応が見られる保育園は、労働環境がよくない職場といえるでしょう。

【参考記事】e-Gov法令検索｜年次有給休暇(労働基準法第39条)

人手不足の状態が続いている

人手不足の状態が続いている保育園も、ブラックな職場環境の特徴です。

保育士の人数は、国が定めた配置基準にもとづいて決められています。配置基準は、子どもの安全性と保育サービスの質を担保するために最低限必要な保育士数を示しています。

そのため、この基準を満たさない保育園は、適切な運営に対する意識が低いといわざるをえません。

人員が不足すれば保育士ひとりに対する業務の負担も増えます。

すぐに改善に踏み切らない職場は、保育士への配慮も欠けていると考えられるでしょう。

経費を自己負担させられる

仕事に必要な用品を保育士に自己負担させる保育園もブラックな職場といえます。

原則として、仕事に必要な用品の費用は経費として扱われるべきです。

自己負担が当たり前となっている保育園は、金銭面の管理に問題があるかもしれません。

保育園がブラック化する理由

保育士がブラック化しやすいのには理由があります。

それぞれの理由を見ていきましょう。

職場が閉鎖的な空間

保育園がブラック化しやすいのは、保育園が閉鎖的な空間であるのが影響しています。

保育園は外部との接触が少ない職種です。さらに、1日の大半を室内で過ごしクラスという小さな枠組みの中で仕事をしなくてはなりません。

このような閉鎖的な空間では、以下のような問題が起きやすいです。

こうした保育園特有の職場環境が、働きにくさを助長する一因となっています。

社会的地位が低い

保育士の社会的地位の低さもブラック化を引き起こす要因のひとつです。

近年では保育士の専門性の高さや仕事の大変さが徐々に認知されつつありますが、以前は社会的地位が低い職種とみなされていました。

社会的地位が低いゆえに、保育士の処遇や労働環境の改善を含む政策は後回しにされがちでした。そのため、課題への対策が遅く、ブラックな状態は今もなお続いています。

関連記事：保育士の給料が安いのは当たり前？原因と実際の給与額・今後の見通しを解説

【体験談】ブラック保育園のエピソード5選

キャリアアップステージ編集部では、ブラック保育園で実際に働いたことのある保育士の方々にヒアリングをおこない、その体験談を収集しました。

ここでは寄せられた体験談の中から厳選した5つのエピソードを紹介します。

行事前は日付が変わるまで残業していたことも…

手取り11万円でゆとりのある生活が送れない

園長の要求がコロコロ変わって大変

仕事を休むと悪口をいわれる

年度途中で退職者が出ても人員を雇ってくれない

【求人票】ブラック保育園を見分けるチェックリスト

以下は、求人票でブラック保育園を見分けるチェックリストです。

ひとつずつ詳しく解説していきます。

求人掲載の期間や頻度に違和感がないか

求人の掲載方法に、ブラック保育園を見分けるヒントがあります。

違和感のある掲載方法	ブラック保育園と考えられる背景
求人の掲載期間が長すぎる	労働条件が悪く働き手が見つからない状態
求人の掲載頻度が多すぎる	頻繁に保育士が辞めており辞めたくなる原因が職場環境にある可能性

掲載期間や頻度を知りたい方は、転職エージェントを利用すれば教えてもらえます。

「いつから掲載されていますか？」「応募者がなかなか見つからない理由ってあるんですか？」とキャリアアドバイザーに直接聞いてみましょう。

雇用形態に合った仕事内容か

雇用条件に合った仕事内容かどうかもチェックすべきポイントです。

とくに注意して見てほしいのは、パートタイマーやアルバイトといった非正規雇用の方です。

正社員ではないのにもかかわらず、クラスの担任や行事の係を任せる保育園もあります。

仕事内容に怪しい点がないかを十分にチェックし、疑問がある場合は直接保育園に確認してみましょう。

負担のある勤務時間ではないか

負担の少ない職場を見分けるなら、勤務時間も大事なチェックポイントです。

確認ポイントは以下のとおりです。

確認する項目	負担になる理由
開園時間	早すぎると早番で睡眠時間が短縮されやすい
閉園時間	遅すぎると遅番で帰宅時間が遅くなり睡眠に影響しやすい
シフトの種類	種類が多すぎると生活リズムが崩れやすい

無理のない働き方をするためにも、勤務時間は必ず見ておきましょう。

業務が多すぎないか

業務が多すぎないかどうかも大事な確認ポイントです。

確認ポイント	予測できること
1日のスケジュール	ハードスケジュールだと疲弊しやすい
行事の回数	開催頻度が多すぎると計画や準備の負担が大きくなる
専門業務のスタッフ	事務員・用務担当員がいないと保育士の業務負担が増える

上記の項目をチェックし、違和感や不透明な情報があれば前もって園に確認しておきましょう。

有給休暇取得率が良いか

有給休暇の取得率もブラック保育園を見分けるポイントのひとつです。

求人票に以下のような記載があれば、有給休暇の取得しやすさに期待がもてます。

反対に記載がない保育園は、取得率が悪く載せる自信がないのかもしれません。

月の残業時間は適正か

月の残業時間が適正かどうかも、ブラック保育園を見分ける大事なチェックポイントです。

求人票に以下のような記載があれば、不要な残業や持ち帰り仕事がない保育園である可能性が高いでしょう。

ただし記載内容は100%真実とは限りません。よりリアルな情報が知りたい方は、転職エージェントを利用してキャリアアドバイザーに確認してもらいましょう。

給与が低すぎないか

ブラック保育園を見分けるにあたり、給与のチェックは欠かせません。

保育士の給与は以下の条件によって変動します。

以下の記事で条件ごとの給与水準を確認できます。求人票の給与があなたの条件より大きく下回っている保育園は、正当な給与を支払っていない可能性があります。

関連記事：保育士の年収を徹底解説！月収や手取りは今後上がるのか

福利厚生が充実しているか

ブラック園に転職するリスクを避けるためには、福利厚生が充実している保育園を選ぶ意識も大切です。

福利厚生に関する情報が少ないと感じた場合は、直接保育園に確認してみましょう。

不審に感じる保育方針を掲げていないか

保育方針にもブラック保育園を見分けるポイントがあります。

以下のような保育方針を掲げている保育園は、質の低い保育を提供している可能性が高いです。

保育の質は口コミからも伺えます。悪い口コミや評判が多ければ、記載内容と現実にギャップがあるかもしれません。

【園見学】ブラックな保育園を見分けるチェックリスト

以下は、園見学でブラック保育園を見分けるチェックリストです。

園見学する際の参考にしてみてください。

安全面が配慮されているか

園見学の際は、保育園の環境や設備の安全面をチェックしましょう。

危ないところが見受けられれば、危機管理能力に欠けている可能性があります。

確認する場所	具体的なチェックポイント
園内環境	転倒や転落につながる箇所はないか 子どもが外に出ないよう出入り口の対策がされているか
玩具	子どもの年齢に適しているか 破損して子どもが怪我をするリスクはないか
園庭	老朽化が進み遊具が壊れやすくなってないか 遊具からの転落を防ぐ対策が施されているか

安全性が確保されていない保育園は、重大な事故を招くリスクがあります。

衛生面が保たれているか

衛生面のチェックも大事なポイントです。

子どもの健康と安全を守るには清潔な環境が不可欠です。衛生状態が悪い保育園は、子どものケアに対する意識が低いといえるでしょう。

不衛生な環境は、働く保育士にとってもストレスの原因になります。

保育士の配置基準が守られているか

園見学で各クラスを回る際は、保育士の配置基準が守られているかをチェックしましょう。

この基準を満たしていない保育園は、子どもの安全性や保育の質に対する意識が低いと考えられます。

月齢	保育士ひとりが担当する子どもの数の割合
0歳児	1:3
1、2歳児	1:6
3歳児	1:15
4歳児	1:25
5歳児	1:30

ただし子どもの欠席が多い日は保育士を意図的に減らしている可能性もあります。見学時の状況だけでなく普段の配置状況も確認しましょう。

言動が気になる保育士はいないか

各クラスを見学する際には、保育士の態度や言葉遣いにも注目しましょう。

傲慢な態度や乱暴な言葉が確認された場合、その保育園は保育の質が低いかもしれません。

このような保育園に転職してしまうと、あなたの保育観と合わない指導を強いられる可能性があります。

ギスギスした雰囲気はないか

園見学をとおして職員の雰囲気もよく観察しましょう。

ギスギスした雰囲気が漂う保育園は、人間関係に問題がある可能性が高いです。

このような雰囲気の職場に転職してしまうと、人間関係のストレスを抱え込みやすいです。

【面接】ブラックな保育園を見分けるチェックリスト

以下は、面接でブラック保育園を見分けるチェックリストです。

ひとつずつ解説します。

勤怠が正しく記録されているか

面接時には、勤怠が正しく記録されているかどうかをチェックしましょう。

保育士の勤務時間を適切に管理できていない保育園は、残業が発生しやすいです。

チェックできなかった点や聞きにくい内容があった場合は、転職エージェントを利用すればキャリアアドバイザーがあなたの代わりに園に確認してくれます。

採用担当者の対応に問題はないか

採用担当者の対応もブラック保育園を見分けるチェックポイントのひとつです。

採用担当者の言動に問題があると感じた場合、転職後にも同様の対応を受ける可能性があるでしょう。

質問の回答をごまかしていないか

面接での質問に対し、回答をごまかしていないかどうかも大事なチェックポイントです。

転職後のミスマッチを防ぐためにも、以下のような疑問点は面接でクリアにしておくのが大切です。

しかし、これらの質問に対して明確な回答がない場合、何か隠したい事実があるのかもしれません。

ホワイト保育園の求人を集めたいなら転職支援サービスの利用がおすすめ！

「ブラック保育園を辞めてホワイトな職場に転職したい…」という方は、転職支援サービスの利用がおすすめです。

キャリアアドバイザーがあなたの希望条件をヒアリングしたうえで、最適な求人を紹介してくれるからです。保育園の内部事情にも精通しているため、ミスマッチのリスクも軽減できます。

おすすめの転職支援サービスを3社紹介します。

どのサービスがどのような求人を紹介してくれるのかわからないので、3社とも登録して求人の網羅性を高めましょう。

保育士ワーカー

保育士ワーカーは、保育士転職をトータルサポートするサービスです。

内定までの転職支援はもちろん、入社後のフォローまで万全です。

「入社後、万が一希望条件や職場の雰囲気が違ったらどうしよう…」と不安な方は、登録をしてサポートを受けてみましょう。条件交渉や働きにくさの改善を代理で保育園に伝えてくれます。

保育士ワーカーは気になる保育園に直接応募もできるので「自分の手でホワイトな保育園を探したい」という方も登録をして、求人をチェックしてみるとよいでしょう。

保育士人材バンク！

保育士人材バンクは、上場企業の株式会社エス・エム・エスが運営する転職支援サービスです。

厚生労働省からマッチングの質の高さが認められています。転職後のミスマッチを減らしたい方にとって安心して利用できるサービスといえるでしょう。

匿名で条件確認や交渉もおこなってくれます。納得のいく条件で転職したいという方は、登録してサポートを受けてみるとよいでしょう。

（※）厚生労働省委託事業「医療・介護・保育分野における適正な有料職業紹介事業者の認定制度」において

保育士のお仕事

保育のお仕事は、5万件以上の豊富な求人数を保有する転職支援サービスです。

求人数が多いので「ホワイト保育園かどうかじっくり見極めたい！」という方は、登録して満足するまで求人を紹介してもらいましょう。

保育のお仕事は登録した人しか見れない好条件の非公開求人も豊富です。高収入・高待遇の求人を重点的に探したい方は、登録して情報収集してみるとよいでしょう。

ブラックな保育園に関するよくある質問

最後にブラック保育園に関するよくある質問に回答します。

保育園はブラックだから保育士になるもんじゃないって本当？

そんなことはありません。やりがいをもって生き生きと働いている保育士も多いです。

大切なのはあなたの手で働きやすい職場を探していく姿勢です。しっかりと情報を集め、ホワイトな保育園を探しましょう。

保育園の評判の調べ方を教えてください

保育園の評判は以下の方法で調べられます。

ただし評判・口コミには偏った意見も多いので参考程度にしましょう。

社会福祉法人の労働環境がやばいって聞いたけど本当？

社会福祉法人が運営する保育園の労働環境は、園によって異なります。

高収入・高待遇の保育園や、保育士の働きやすさを重視している保育園もたくさんあります。

ブラック保育園を見極めて配慮のある職場で働こう！

以下の特徴が見られる保育園はブラック保育園である可能性が高いです。

あまりにも環境が悪く改善が見られないようであれば転職するのもありです。我慢して働き続けると心身的な疲労が蓄積し、健康被害のリスクを招きかねません。

働きやすいホワイト保育園へ転職するなら転職支援サービスの利用がおすすめです。あなたの希望条件を丁寧にヒアリングしたうえで、マッチする求人を紹介してくれます。

保育園の内部情報も提供してもらえるので、ミスマッチの少ない転職を実現できるでしょう。