新卒で就職し、薬剤師として働いてきたものの、職場の雰囲気や条件が合わないなどのさまざまな理由から、転職を考える20代薬剤師の方も多いようです。
しかし、「このまま働き続けるのはつらい」と感じてはいても、20代での転職は薬剤師としての経験も浅く、「次の就職先が見つかるのか」「今より条件が悪くなるのではないか」などの不安を感じ、なかなか踏み出せない方もいるかもしれません。
この記事では、20代の薬剤師で転職を検討している方に向けて、転職活動を成功させるためのコツや、おすすめのエージェントなどを紹介します。
関連記事:薬剤師向け転職エージェント16社を徹底比較|選び方や転職成功ポイントも
目次
薬剤師の20代での転職は早すぎるのか
薬剤師の転職において、20代という年齢が早すぎると感じる方もいるかもしれません。しかし、実は20代で転職する薬剤師は決して珍しくありません。
転職サイト『薬キャリ』がおこなったアンケート調査によれば、半数以上の薬剤師が入社4年目までに転職しているという統計結果も出ています
ですが、20代の薬剤師の採用は、基本的にポテンシャルを重視して採用されており、今後の活躍が期待されているのです。
関連記事:20代転職サイトおすすめランキング!前半後半や未経験・女性向けに比較
20代薬剤師が転職を考える理由
20代薬剤師が転職を考える理由は、以下のとおりです。
転職を考えるきっかけは多く、さまざまな理由が考えられます。それぞれがどのような理由なのか詳しくみていきましょう。
職場の人間関係
薬剤師が転職を考える理由のひとつ目は「職場の人間関係」です。
職場の人間関係が自分に合わないとストレスが溜まってしまい、仕事に身が入らなくなってしまいます。
たとえば、まったく人の意見を聞かない上司がいる、価値観のまったく合わない人がいるなどの職場だと気分良く仕事はできません。
このような理由から転職を検討する薬剤師が多いのでしょう。
入社前に聞いていた条件と違う
薬剤師が転職を考える理由の2つ目は「入社前に聞いていた条件と違う」ことです。
入社時には人事部や採用担当者から良い労働条件を提示されたにもかかわらず、実際に働いてみたところ勤務時間や残業が多かったというのを体験した方も多いでしょう。
薬剤師の場合もこのような事例が多くあり、入社前に聞いていた条件と違うため、理想としていた生活が送れなくなるケースもあります。
やりがいを感じられない
薬剤師が転職を考える理由の3つ目は「やりがいを感じられない」ことです。
転職した人のなかには、やりがいを感じられず仕事を変えた方もいるでしょう。人によってやりがいは異なりますが、主に以下の内容が該当します。
- 正当に仕事を評価されない
- 出世できる道筋がない
- 仕事に興味が持てず楽しくない
- 仕事が単調に感じて飽きた など
仕事する中で上記のような状態に陥ると、やりがいを感じずモチベーションが下がります。
キャリアアップやスキルアップに期待がもてない
薬剤師が転職を考える理由の4つ目は「キャリアアップやスキルアップに期待が持てない」ことです。
キャリアアップ・スキルアップを目指す前向きな方にとって、自分を磨ける環境にない職場で働くのはストレスが溜まります。
そのため、さまざまな仕事を体験したいのにもかかわらず、長年同じ職種しかおこなわせてくれないと誰でも将来が不安になるものです。
このような理由から、職場の雰囲気や上長の考えをすぐに変えることは難しく、キャリアアップやスキルアップを狙うなら職場を変えたほうがよいと考える薬剤師の方がいるのでしょう。
20代薬剤師の転職が有利な5つのメリット
20代での薬剤師としての転職は、不利になるどころか有利な条件として働くこともあります。
このことは、20代の薬剤師で、現在の職場に不満を感じ環境を変えようとしている方や、キャリアアップを目指している方にとっては、心強く感じられることではないでしょうか。
ここでは、20代での転職が有利だといえるポイントを5つ解説していきます。
転職活動を成功させるためにも、ぜひ、この有利なポイントをしっかり確認してください。
ポテンシャル採用が期待できる
20代の薬剤師の転職が有利な理由の1つとして、「ポテンシャル採用」という考え方があります。これは、経験やスキルがなかったとしても、ここからの成長を期待して人材を採用するというものです。
即戦力としての経験値の高い薬剤師を採用するというよりは、柔軟性の高い人材にいろいろなことを吸収して活躍してもらうことが「ポテンシャル採用」の目的です。
ポジティブな内容であれば高評価につながる
転職理由は人によって様々ですが、内容によってはポジティブに評価してもらえる可能性もあります。
転職活動においては転職理由を聞かれることもあるため、自分の中で転職理由を明確にしておくことが大切です。
特に、キャリアアップを検討している方にとってはその旨をまっすぐに面接官に伝えることで、やる気をアピールすることもできます。
年収が低いので採用されやすい
薬剤師としてのキャリアがまだ浅い20代であれば、年収はそこまで高くないため転職の際に採用されるチャンスが増えます。すでに高い年収を現職で受けとっている方は、それ以上の価格を提示することが求められるため、企業としては採用に踏み切れないことがあるからです。
異業種への挑戦がしやすい
20代で転職をすることのメリットは、薬剤師としての仕事の見つけやすさだけとは限りません。
薬剤師としての仕事にこだわらず、他の職種に挑戦してみたいという方にとっては、20代で行動を起こすのは大きなメリットです。異業種への挑戦へのハードルも低いため、若ければ若いほど新しいことに挑戦しやすい環境になります。
公務員薬剤師への挑戦が可能
薬剤師には、公務員として働くことができる公務員薬剤師がありますが、公務員薬剤師になるためには、採用試験に合格しなければなりません。
この採用試験には年齢制限が設けられていて、国家公務員の場合は29歳未満が多く、地方公務員の場合では30代前半までに試験を受けなければなりません。
自治体によっても異なりますが、一定の勉強期間が必要になるため、30代での挑戦はハードルが高くなると考えられます。そのため、公務員薬剤師への挑戦は、むしろ若いほど有利といえます。
20代薬剤師の転職で失敗する人の特徴
20代で薬剤師として転職をすることにはたくさんのメリットがある一方、気をつけなければ失敗につながってしまうケースも考えられます。転職を成功させるためには、ただ転職活動を進めるだけでなく、戦略的に行動していくことも大切です。
ここで、20代薬剤師の転職で失敗する方の特徴をまとめて紹介します。
転職理由が明確でない
20代で薬剤師の転職をする方の失敗として多いのが、転職理由が不明確なまま転職活動を進めてしまうことです。
採用する側の企業としても、なるべくやる気があって長く勤めてくれそうな方を採用したいと思うのは当然のことです。転職の目的が何かを明確にしないまま面接を受けると、仕事への意識が低いと受け取られてしまう可能性もあります。
情報収集不足
薬剤師の転職活動において、情報収集は重要な要素です。
転職を失敗してしまう人の中には、情報が不足していたというパターンもあります。20代で転職をする場合には、その企業が新卒以外の若い人材の採用をおこなっているかをリサーチすることで、採用されやすい企業の目星が付けられます。
また、転職するからには現職に対して抱えている不満を解決できなければ意味がありません。現職と比べて、その企業が自分にとっていい条件であることを必ずチェックするようにしましょう。
マイナス理由の転職回数が多い
薬剤師の転職に失敗した方のその他の特徴としては、「ネガティブな理由の転職が多い」ということが挙げられます。
転職の理由がキャリアアップや収入アップなどポジティブな理由であれば、そこまでマイナス要因として判断されることはありません。
しかし、職場での人間関係が合わないなどのネガティブな要因で転職を繰り返している方は、転職活動の際にマイナス評価を受ける可能性があります。
複数回転職をすること自体は悪いことではありませんが、採用したいと思えるような前向きな理由があることをアピールすることが大切です。
20代薬剤師の転職を成功させる4つのポイント
20代の薬剤師の転職はメリットやアドバンテージも多く、実際に多くの方が転職をしています。
では、20代薬剤師の転職を成功させるためには、どのような点に注意したらよいのでしょうか。
成功のために押さえておくべきポイントを4つご紹介します。
転職理由を明確にする
はじめに、転職活動の目的・理由が明確であることが大切です。
転職の理由があいまいだと企業に何を求めているかがわかりづらく、転職先の選択肢を探すことが難しくなってしまいます。「転職理由=譲れないポイント」として軸を設けることで、採用試験を受ける企業を絞りやすくなり、転職後にも満足した結果につながる可能性が高くなります。
採用面接においても、転職理由は企業が注目するポイントの一つであるため、明確に説明できる訓練をしておくとよいでしょう。特に、ポジティブな転職理由であれば高評価につながるので、やる気を伝えられるように話し方を工夫することが大切です。
労働条件を明確にして優先順位を考える
20代の薬剤師としての転職を検討することのメリットは、現職と転職先の条件を比較することができる点です。
完璧な職場を見つけることは非常に難しいですが、自分が現職で働く中でどうしても譲れない部分がわかっていると、転職活動がスムーズに進みます。様々な労働条件の中で、どの条件を優先するのか、明確な価値基準を作っておくことが大切です。
20代という若さを武器に学習意欲などを示す
20代で転職をする場合には、薬剤師としての経験やスキルの浅さというデメリットもありますが、反対に柔軟性があるというメリットもあります。
経験豊富な薬剤師に比べて知識が劣る分、学習意欲を示すことで企業側に人材としての価値を感じてもらうことができます。
特に「ポテンシャル採用」が見込める企業に対しては、若さが武器であることを理解して積極的にアピールすると転職成功につながりやすくなります。
自分のスキルや経験が職場に貢献できることを伝える
20代といっても、薬剤師としての一定期間の経験があることもアピールポイントになります。
若いうちに転職する方は、柔軟性がありながらも基本的な知識とスキルを見込めるので、企業としては教育費を抑えることができます。
実際の経験やスキルを伝えつつ、現職でどのような仕事をしてきたか、どのように企業に貢献できるかを説明できれば、ポジティブな評価が得られる確率が上がります。
転職エージェントを活用する
転職する理由は人それぞれですが、前職よりも良い職場に移りたいという気持ちは誰しも持っているでしょう。
そのため、より良い条件の職場に移るには、転職先の詳細な情報の入手や労働条件の交渉などが必要となります。
転職エージェントに転職を相談することで、自分の考えに合った職場を紹介してくれたり、条件交渉をおこなったりしてくれるので、悩みを減らしながら転職活動をおこなえるでしょう。
転職する際に必要なアドバイスもくれるため、確実に転職したいと考えるなら転職エージェントの利用は不可欠です。
関連記事:【2024年最新版】薬剤師におすすめの転職サイト13選ランキング|比較・口コミを解説
20代薬剤師におすすめの転職エージェント5選
20代薬剤師が転職活動を成功させるためには、薬剤師特化の転職エージェントはリサーチしておくべきでしょう。
以下では、20代薬剤師におすすめの転職エージェントを5つ紹介していきます。
ヤクジョブ
- 求人を4万件以上保有
- 取引企業・医療機関は7,000社以上
- 企業を取材しているので詳しい情報がわかる
「ヤクジョブ.com」は、30年近く薬剤師業界を中心に医療業界の人材サポートをおこなっている、クラシス株式会社が運営する薬剤師向けの転職サイトです。
長年かけて医療機関と築いてきた信頼と実績があるからこそ、現在も6万件以上の求人情報を保有し、利用満足度97.7%(※)を誇ります。
全国47都道府県の求人を取り扱い、ほとんどの都道府県で100件以上の求人を保有しています。なかでも調剤薬局の求人は、全体の8割と豊富に扱っています。
(※)ヤクジョブ.com公式サイト参照
- ミスマッチを防ぎたい方
- 多くの求人から自分に合った求人を選びたい方
- ライフスタイルに合った働き方をしたい40代の方
サービス概要 | |
---|---|
サービス名 | ヤクジョブ |
運営会社 | クラシス株式会社 |
公開求人数 | 50,039件 |
非公開求人数 | 非公開 |
対応地域 | 全国 |
公式サイト | https://yaku-job.com/ |
マイナビ薬剤師
- 「顔が見える面談」による丁寧なヒアリング
- 手厚い転職サポート
- 臨床開発室・治験コーディネーターなど取り扱い職種が幅広い
マイナビ薬剤師は、大手人材紹介企業である株式会社マイナビが運営する転職エージェントです。
対面、またはWebでおこなわれる「顔が見える面談」にこだわりがあり、今後のキャリアプランや仕事に求めることなど、求職者の話に耳を傾けて、叶えたい転職内容を汲み取ってくれるでしょう。
サポートの手厚さに定評があり、求人紹介や書類添削、面接対策などの支援にくわえ、面談同行や給与交渉なども任せられます。
求人情報の読み方や内部情報も教えてもらえるため、気になることは何でも質問してみるのがおすすめです。
取り扱い職種の幅が広いことも特徴で、薬局、病院、ドラッグストアのほか、臨床開発室・治験コーディネーターなどの企業勤務の求人も保有されています。
さまざまなキャリアの選択肢を検討したい方に、うれしいポイントでしょう。
サービス概要 | |
---|---|
サービス名 | マイナビ薬剤師 |
運営会社 | 株式会社マイナビ |
公開求人数 | 48,429件 |
非公開求人数 | 非公開 |
対応地域 | 全国 |
公式サイト | https://pharma.mynavi.jp/ |
ファルマスタッフ
- 業界最大レベルの求人数と地方求人の多さに強み
- 転職相談満足度96.7%
- 薬剤師のための教育サービスも提供
全国12拠点を有するファルマスタッフでは、2024年1月現在、4万9,000件超(※1)の求人が保有されており、大都市だけでなく地方の求人も充実しています。
「年収600万円以上」「土日休み」「派遣」など、希望条件に合う求人が見つかるでしょう。
また、転職相談満足度が96.7%(※1)と高く、転職サポートが充実していることも魅力です。
書類作成や条件交渉の支援のほか、コンサルタントが実際に足を運んで収集した内部情報の提供もおこなっており、転職後のミスマッチを最小限に抑えられるはずです。
ファルマスタッフの母体は日本調剤株式会社とあって、教育面でも転職したい薬剤師を応援してくれます。
転職を機にキャリアアップやスキルアップしたい方におすすめのエージェントです。
(※1)ファルマスタッフの公式ホームページより
サービス概要 | |
---|---|
サービス名 | ファルマスタッフ |
運営会社 | 株式会社メディカルリソース |
公開求人数 | 51,384件 |
非公開求人数 | 非公開 |
対応地域 | 全国 |
公式サイト | https://www.38-8931.com/ |
ファーマキャリア
- 希望条件に合わせたオーダーメイドの求人作成
- 大手転職エージェント出身のコンサルタントが設立
- コンサルタントと二人三脚で転職活動に取り組める
ファーマキャリアの最大の特徴は、「オーダーメイド型求人」があることです。
希望条件に合致しそうな病院・薬局に直接交渉し、求職者のために新たに求人を作成してくれます。
大手転職エージェント出身のコンサルタントが設立したからこその交渉力で、理想に近い求人を提案してくれるでしょう。
質の高いサポートにも力を入れており、蓄積してきたノウハウをもとに、きめ細やかなサービスを提供しています。
どのコンサルタントに当たっても満足できるよう、教育にも重点を置いているため、安心してサポートを受けられるのも特徴です。
あえてコンサルタント一人あたりの担当人数を絞り込み、求職者一人ひとりに寄り添った転職支援をおこなっています。
ほかのエージェントでは満足できなかった方も、ファーマキャリアなら理想の転職を叶えられるかもしれません。
サービス概要 | |
---|---|
サービス名 | ファーマキャリア |
運営会社 | エニーキャリア株式会社 |
公開求人数 | 37,332件 |
対応地域 | 全国 |
公式サイト | https://pharmacareer.jp/ |
お仕事ラボ
- 「逆指名」での求人作成サービスがある
- 職場の内部事情に精通したコンサルタントが転職支援
- 転職後3ヶ月の定着率95.6%
お仕事ラボは、株式会社アイセイ薬局をグループ会社にもつ転職エージェントです。
大手薬局チェーン系列のエージェントとあって、薬剤師に寄り添った転職支援に特徴があります。
条件に合う求人を見つけられない場合、病院・薬局に逆指名しての求人作成にも対応しているので、理想の職場について伝えてみるといいでしょう。
一人のコンサルタントが求職者支援と企業対応の二役を担っているのも特徴的で、双方の希望や内部事情を把握したうえでミスマッチの少ない転職を実現しています。
転職後にもコンサルタントへの相談が可能で、入職後の不安や悩みの解消にも役立てられるでしょう。
転職後3ヵ月の定着率が95.6%(※1)であることからも、納得できる転職が叶えられていることと、アフターサポートの充実ぶりが伺えます。
(※1)お仕事ラボの公式ホームページより
サービス概要 | |
---|---|
サービス名 | お仕事ラボ |
運営会社 | 株式会社AXIS (アイセイ薬局グループ) |
公開求人数 | 17,114件 |
非公開求人数 | 非公開 |
対応地域 | 全国 |
公式サイト | https://www.oshigoto-lab.com/ |
20代の薬剤師の転職に関するよくある質問
20代の薬剤師の転職に関するよくある質問は、以下のとおりです。
薬局薬剤師の20代の年収は?
薬剤師の20代の平均年収は、約400万円です。
また、年齢が上がるほど年収は増えていき、30代の平均年収は500万円、40代の平均年収は600万円です。
なぜ薬剤師は年収が低いのでしょうか?
薬剤師は医療関係者の中で、比較的人件費を下げやすい傾向にあるからです。
医療行為をおこなう医師や看護師は病院やクリニックで不可欠な存在となっており、需要の高さから人材の奪い合いが発生しています。
そのため、医師や看護師の年収は安定し、なかなか低くなりません。
しかし、薬剤師は年々人数が増加してきており、需要よりも供給のほうが多くなると推測されています。薬剤師の年間有効求人倍率も年々下がってきており、需要の低下が年収の低さにつながっているのです。
まとめ
20代で初めての転職をする薬剤師にとっては、わからないことだらけで不安に感じることも多いかもしれません。しかし、大切なことは自分が何を重視しているかを分析し、正しく理解しておくことです。