ひまわり求人求職ナビとは、弁護士・修習生向けの求人求職システムのことです。一般の求人サイトや転職エージェントと異なり、弁護士と修習生のみが利用できます。
日弁連が運営する知名度が高い求人サイトなので、弁護士の転職活動では手始めにひまわり求人求職ナビを利用しようと考えている方も多いかもしれません。
ひまわり求人求職ナビは弁護士の求人を扱っているため転職活動では積極的に活用したい媒体のひとつですが、これだけで転職活動を完結させるには心もとない場合もあります。利用に際して注意点もあるため、事前に知っておきましょう。
本記事では、弁護士の転職活動とひまわり求人求職ナビをテーマに、ひまわり求人求職ナビにできること・できないことや利用に向いているケース・不向きなケースなどを紹介します。
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目次
ひまわり求人求職ナビでできること
ひまわり求人求職ナビにはどんな機能があるのでしょうか。ひまわり求人求職ナビを使ってどんな活動ができるのかを解説します。
求人検索・閲覧
メイン機能のひとつが求人の検索・閲覧です。事務所名や企業名、弁護士数や修習期などさまざまな検索軸で検索できます。事務所の取り扱い案件や採用する弁護士に期待する得意分野の閲覧も可能です。
条件を入力しないで検索することもできます。求人一覧画面では、新着求人があればサイト上部に表示されます。
求人の種類
ひまわり求人求職ナビで求人を出しているのは法律事務所と企業・団体、官公庁・自治体です。弁護士の転職先としてメジャーな場所の求人を扱っているといっていいでしょう。
求人の数
2023年4月10日時点の情報では法律事務所が461件、企業・団体が82件、官公庁・自治体が34件でした。情報が更新されるタイミングによって求人の数は異なりますが、法律事務所の求人がもっとも多いことが分かります。
法律事務所からのスカウトを受け取る
ひまわり求人求職ナビには法律事務所や企業などの求人情報だけでなく、弁護士と修習生の求職情報も掲載されています。求職者として登録することで、ひまわり求人求職ナビに登録してある法律事務所や企業などからスカウトを受け取ることができます。
求職情報を公開している場合は直接スカウトが届くことがありますが、非公開にしている場合はひまわり求人求職ナビを経由してスカウトが届きます。
中央省庁や地方自治体の最新の求人情報を受け取る
日弁連が発行する弁護士向けのメールマガジン「任期付公務員等キャリア・マガジン」を利用すると中央省庁や地方自治体の最新の求人情報を受け取ることができます。官公庁や自治体の求人を探している弁護士は登録するとよいでしょう。
ひまわり求人求職ナビではできないこと
ひまわり求人求職ナビは万能の転職支援システムではありません。できないことも多くあります。
サイト上で応募する
ひまわり求人求職ナビのシステム上で求人に応募することはできません。
一般企業が運営する求人サイトでは、求人検索や閲覧をしたあとにそのままサイト上で応募できる機能が付いているのが一般的です。また転職エージェントの場合は担当のエージェントを経由して応募するので自分で連絡する必要はありません。
これに対してひまわり求人求職ナビは、求人検索や閲覧をしたあとは求人ごとに応募する形です。応募方法は求人を出している事務所や企業ごとに異なります。求人情報を検索して求人元の名称をクリックすると各求人の詳細が確認できます。
そこに応募方法や問い合わせ方法が記載されているため、指定された方法に従って応募します。
求人の紹介を受ける
ひまわり求人求職ナビを経由して求人の紹介を受けることはできません。日弁連が特定の求人を推奨することもありません。
求人紹介を受けられるサービスは転職エージェントです。キャリア面談の際に希望の条件や経歴などを伝えておくだけでエージェントが求人を探し出してくれますが、ひまわり求人求職ナビではそういった機能はありません。
転職活動のサポートを受ける
ひまわり求人求職ナビや日弁連から転職活動のサポートを受けることもできません。
転職エージェントの場合は応募先との日程調整や応募書類の添削、面接対策などさまざまなサポートを受けることができます。これにより転職活動を効率化し、採用の可能性も高められますが、ひまわり求人求職ナビではそういったサポートはいっさい受けられません。
ひまわり求人求職ナビを使った転職活動のメリット
ひまわり求人求職ナビは決して多機能とはいえないシステムですが、転職活動で利用するとどんなメリットがあるのでしょうか。
日本弁護士連合会が運営しているため安心して使える
ひまわり求人求職ナビを運営しているのは日弁連(日本弁護士連合会)です。弁護士法にもとづいて設立された法人なので運営元に対する安心感があります。また弁護士が登録するためには日弁連のアカウント(ID・パスワード)が必要なので、詐欺などに利用しようと思ってもそもそも登録ができません。
一般企業が運営する求人サイトや転職エージェントの場合、大手や上場企業、職業紹介優良事業者認定を受けた会社であれば安心して使いやすいでしょう。
しかしそうでない場合は不安があるのも事実です。とくにインターネット等で調べても評判が分からない、聞いたことがない等の会社であれば使うのは避けたほうがよいのではと感じるのは無理もありません。
省庁や自治体の求人もある
省庁や自治体では任期付職員等の公務員として弁護士が働いています。職員向けの法律相談や住民対応、訴訟、行政不服審査など幅広い業務があります。
数年だけ自治体などで働き、自身の経歴に強みや専門分野を加えたいといった方にとって、ひまわり求人求職ナビを使って求人情報を受け取れるのはメリットです。
無料で利用できる
ひまわり求人求職ナビを使うにあたり、費用はかかりません。必要なのは日弁連の会員アカウントだけです。手軽に利用しやすいのもメリットです。
関連記事:転職エージェントの費用・料金が無料なのはなぜ?タダで使える仕組みについて解説
ひまわり求人求職ナビを使った転職活動のデメリット
ひまわり求人求職ナビを使った転職活動はメリットだけでなくデメリットもあります。
ほかの求職者もいつでも閲覧できるため競合がいる可能性がある
ひまわり求人求職ナビは日弁連の会員である弁護士なら誰でも利用できます。つまりよい求人を見つけたから応募しようと思っても、ほかの求職者も同じように見ている可能性があり、その場合は競合となります。
弁護士はほかの職種との競合になった場合は専門性の高さなどにおいて優位性がありますが、相手が弁護士であれば優位性を発揮しづらくなります。経験分野や実績などが問われるため、キャリアや実績によっては採用されない場合もあるでしょう。
掲載されているのが最新情報とは限らない
ひまわり求人求職ナビでは採用が決まった後の求人もしばらく掲載されている場合があります。募集が終わった求人情報は削除されますが、その処理をするのは法律事務所や企業なので、放置されているケースや削除のタイミングが遅いケースがあるのです。
採用が決まった求人に応募しても無駄足になってしまいます。一般企業が運営する求人サイトやエージェントなどの場合、常に最新情報を提供するなど利便性や機能性を追求しているケースも多いのですが、ひまわり求人求職ナビではそこまでの期待ができません。
転職活動は自力で行う必要がある
前述の通り、ひまわり求人求職ナビを使っても転職活動のサポートは受けられません。応募先の選定や応募先とのやり取り、応募書類の作成や面接対策といった活動はすべて自力で行う必要があります。
企業からの知名度は高くないためインハウスの求人が少ない
近年は企業のコンプライアンス意識の高まりから、自社で弁護士を雇用する企業が多くあります。弁護士からもインハウスは人気がある働き方なので、企業の求人を中心に探したい方も多いでしょう。しかしひまわり求人求職ナビは弁護士業界での知名度は抜群に高いのですが、企業からの知名度はそれほど高くありません。
企業が弁護士を募集するときにはひまわり求人求職ナビを利用しないケースも多いので、求人の数で物足りなさを感じるかもしれません。
ひまわり求人求職ナビを使う場合の注意点
ひまわり求人求職ナビを利用する際には以下の点に注意しましょう。
転職活動中であることを知られたくないなら匿名登録機能を使うこと
求職情報を閲覧できるのはひまわり求人求職ナビに登録した法律事務所や企業などのみですが、その中に知り合いの弁護士がいないとも限りません。現在所属している法律事務所の弁護士が閲覧する可能性もあります。
転職活動中であることを知られたくない場合は、匿名登録機能を使いましょう。ひまわり求人求職ナビでは登録した項目ごとに公開・非公開を選択でき、匿名での求職情報を掲載できます。
連絡先を非公開にして登録してもスカウトを受け取ることは可能です。ただしオファーメールに返信する際には、メール本文に氏名や連絡先を記載しないとスカウトをくれた事務所や企業とのやり取りができなくなる場合があります。お気をつけください。
関連記事:転職サイトへの登録は会社にバレる?バレずに済む5つの方法や注意点を解説
掲載基準は緩めなので応募先については自分でよく調べること
ひまわり求人求職ナビの規則によると、掲載基準に従い掲載を拒否または抹消する場合があるとされています。そのため無条件にどんな求人も掲載されるわけではないのですが、それほど厳しい審査が行われるわけではないようです。
したがって、応募先企業については求職者自身がよく調べる必要があります。
募集内容の詳細は記載がない場合があるため応募時によく確認すること
ひまわり求人求職ナビに掲載される求人情報には勤務条件などの情報が一部記載されていないケースがあります。求職者にとって重要な情報ですが、登録時に必須の情報ではないことから、省かれているケースもあるようです。
応募する求人に関して不明点がある場合は、応募時に必ず確認しましょう。転職してから条件等で不満があった場合には再転職することになってしまい、キャリアに傷がついてしまいます。
ひまわり求人求職ナビを使った転職活動が向いている人
ひまわり求人求職ナビは以下のような弁護士に向いています。
省庁や自治体への転職を考えている人
省庁や自治体で働きたい方は、ひまわり求人求職ナビを利用すれば求人情報を受け取ることができます。一般の求人サイトや転職エージェントも探すことはできますが、弁護士に限定した求人は数が少ないためひまわり求人求職ナビも利用するとよいでしょう。
応募したい先が決まっており、募集が出ているかを知りたい人
応募したい法律事務所や企業がすでに決まっており、求人募集が出ているかを知りたい場合もひまわり求人求職ナビで確認できます。求人の検索・閲覧ができるため希望の求人があるかチェックしてみるとよいでしょう。
ただし、ひまわり求人求職ナビですべての弁護士求人を扱っているわけではありません。ほかの求人サイトやエージェントでのみ扱っている求人も多数ありますので、その点は理解しておきましょう。
少しでも多くの求人情報に触れたい人
多くの求人に触れることで選択肢が増え、自分に合った求人を見つけやすくなります。そのため少しでも多くの求人情報に触れたうえで応募先を選定したい場合はひまわり求人求職ナビに登録しましょう。
ひまわり求人求職ナビだけでは求人情報が多いとまではいえませんが、ほかの求人サイトやエージェントと併用すれば選択の幅が広がります。求人求職ナビにしかない情報に出会える可能性もあるためチェックして損はありません。
ひまわり求人求職ナビを使った転職活動が不向きな人
ひまわり求人求職ナビだけを使って転職活動を進めるには不向きなケースもあります。
現職が忙しく転職活動になかなか時間をかけられない人
ひまわり求人求職ナビは自分で求人を検索し、気になる求人があれば自力で応募するスタイルの媒体です。スカウトを受け取る場合も先方とのやり取りは自分で行わなければなりません。
そのため現職が忙しい方は時間を取られてしまい、思うように転職活動を進められない可能性があります。
応募先の詳細情報を知ってから応募したい人
転職のミスマッチを防ぐには転職前に応募先の情報をできる限り集めておくことが大切です。勤務条件はもちろん、事務所内の雰囲気や代表の人柄など詳細情報を知っておくことで転職は成功しやすくなります。
こうした情報は求人情報だけでは把握しづらく、自分で集めるのは難しい面があるため、転職エージェントから提供してもらうのがよいでしょう。ひまわり求人求職ナビではエージェントから提供されるような詳細情報を得ることは難しいです。
応募書類の添削や面接対策などのサポートを受けたい人
応募書類の作成や面接に不安がある方は、転職エージェントを利用することで書類の添削や面接の傾向把握・対策といったサポートを受けることができます。ひまわり求人求職ナビではこうしたサポートは提供していないため、サポートを受けたい方には不向きです。
転職後のキャリアプランが定まっていない人
キャリアプランが定まっていない状態で転職活動を始めても、適切な応募先を選定できません。ひまわり求人求職ナビで求人をチェックしても、転職の軸がないため条件面など表面的な部分のみ考慮して求人を選んでしまうことになり、失敗するリスクが高まります。
やみくもに応募しても、なぜ転職したいのか、応募先でどんな仕事をしたいのかが見えないため採用を見送られる可能性が高いでしょう。
関連記事:弁護士からのキャリアの種類とキャリアアップ成功のためにやっておくべき7つのコト
ひまわり求人求職ナビとほかの転職サービスとの違い
弁護士の転職活動では、ひまわり求人求職ナビ以外にも使えるサービスがあります。以下では主なサービスとひまわり求人求職ナビとの違いを解説します。
関連記事:転職エージェントと転職サイトの違いは?特徴と活用方法を解説
転職サイトとの違い
転職サイトとはさまざまな求人情報が掲載されたサイトのことです。ひまわり求人求職ナビと似ていますが、転職サイトはサイトを経由して応募できるという違いがあります。
また一般に転職サイトはさまざまな職種・業界の求人を掲載しているため、ひまわり求人求職ナビのように弁護士向けの求人だけが集まっているわけではありません。
さらに一般の転職サイトの場合、法律事務所や省庁・自治体の求人は少ない場合があります。企業の求人が多いため、インハウスの求人を探している方には適しています。
転職エージェントとの違い
転職エージェントの主な特徴は、求人紹介が受けられること、転職活動のサポートが受けられることです。転職活動にかけられる時間が少ない方や転職活動に不安がある方は転職エージェントが向いています。
非公開求人があるのも転職エージェントの大きな特徴です。ひまわり求人求職ナビの求人は弁護士なら基本的に誰でも閲覧できますが、転職エージェントの非公開求人はエージェントを利用する人しか閲覧・応募できません。
そのため競合が少ない状態で選考を受けることができ、採用の可能性を高められます。
ダイレクトリクルーティングサービスとの違い
ダイレクトリクルーティングとは事務所や企業が、求職者に直接アプローチする採用手法のことです。求職者はダイレクトリクルーティングサービスに職務経歴書を登録すると、それを見た事務所や企業からスカウトを受けられます。
ひまわり求人求職ナビでもスカウトを受けることができますが、企業の求人は数が少ないため企業からのスカウトはそれほど期待できません。
一方、ダイレクトリクルーティングサービスは企業の求人が多いため、インハウスを希望する方は気になるスカウトを受けられる可能性があります。
また、ひまわり求人求職ナビは弁護士に特化しているのに対し、ダイレクトリクルーティングサービスはさまざまな職種を扱っています。弁護士特化型のサービスもありますが数は多くありません。
関連記事:ダイレクトリクルーティング23サービス徹底比較!状況別の中途採用媒体おすすめを厳選
ひまわり求人求職ナビと併用して登録するのがおすすめの転職エージェント4社比較
ひまわり求人求職ナビは人によってメリットがありますが、転職サポートを受けられないため転職活動に不安がある方には不向きです。転職サイトとダイレクトリクルーティングサービスも転職サポートを受けられない点ではひまわり求人求職ナビと同じです。
転職エージェントであれば幅広いサポートを受けることができ、採用の可能性を高められます。とくに以下の3社は弁護士に強い転職エージェントなのでおすすめです。
NO-LIMIT|弁護士専門の転職エージェント
公式サイト:https://no-limit.careers/
NO-LIMITは弁護士の転職支援に特化した転職エージェントです。アドバイザーは全員が弁護士業界に精通したプロなので、業界事情や転職市場の状況を踏まえて的確なアドバイスや求人紹介を受けられます。
やみくもに大量の求人を紹介するのではなく、求職者のキャリアや希望にマッチした質の高い求人紹介を心掛けているため、マッチングの精度が高いのが魅力です。
もともと弁護士向けにサービス展開をしていた営業の人間がアドバイザーを担当するため、法律事務事務所の内部事情に詳しいのも、大きな登録メリットといえます。
公式サイト:https://no-limit.careers/
BEET-AGENT|法務求人を専門に扱う特化型エージェント
公式サイト:https://beet-agent.com/
BEET-AGENTは法務部を中心とした管理部門の転職に特化した転職エージェント。
BEET-AGENTは、企業の法務求人を専門に紹介している点や、非公開の法務求人および業務内容に精通したアドバイザーが在籍し、ミスマッチのない求人紹介ができる点です。法務部・インハウスローヤーとしてキャリアアップを目指す方におすすめの転職エージェントといえるでしょう。
公式サイト:https://beet-agent.com/
MS-Japan|管理部門特化の転職エージェント
弁護士などの士業や管理部門に特化した老舗の転職エージェントです。インハウスや法務部の求人が豊富なのでインハウス希望の方に向いています。MS-Japanでしか扱っていない独自求人も多いので、多様な求人に触れて選択肢を広げたい方にもおすすめです。
公式サイト:https://www.jmsc.co.jp/
弁護士転職.jp
弁護士専門の転職支援サービスです。弁護士に特化して15年の実績があり、弁護士の転職事情に精通しています。転職サポートを受けられるエージェントサービスのほか、掲載事務所や企業に直接応募できる求人もあるので、希望のスタイルで転職活動を進められます。
公式サイト:https://www.bengoshitenshoku.jp/
まとめ
ひまわり求人求職ナビは弁護士求人の検索・閲覧やスカウトを受け取れる機能があります。運営元への安心感があることや自治体等の求人情報も受け取れるのがメリットです。
一方、転職活動のサポートは受けられないため、転職活動に不安がある方は転職エージェントの利用がおすすめです。