「適応障害になったら仕事はどうする？」
「適応障害になったらどんな働き方ができるの？」

適応障害になったら仕事はどうすればいいのか、迷う方も多いでしょう。

適応障害では心身にさまざまな症状が出るため、仕事にも支障をきたします。

しかし、仕事の選び方や働き方によっては、適応障害を持ちながら自分らしく仕事をすることも不可能ではありません。

この記事では、適応障害になった場合の4つの対処法や、適応障害で退職するメリット・デメリットを紹介します。

適応障害になっても仕事を続けるポイントも解説するため、参考にしてください。

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適応障害とは

適応障害とは、環境のストレスから心身にさまざまな症状が出る疾患です。

うつ病と似ていますが、適応障害はストレスとなる環境下でのみ症状が発生し、ストレスがなくなると症状も改善されるのが特徴です。

ここでは、適応障害の主な症状やなりやすい条件、仕事への影響について解説します。

適応障害の主な症状

適応障害の主な症状は次のとおりです。

症状名	症状
精神症状	気分が落ち込みやすい 涙もろい 意欲の低下
不安症状	動悸 焦燥感 神経過敏 緊張 怒り
身体症状	不眠 食欲不振 起床困難 頭痛 めまい 動悸 倦怠感 腹痛

適応障害では上記のいずれか、または複数の症状が同時にあらわれ、仕事や学校に大きな影響をおよぼします。

適応障害になりやすい条件

適応障害になりやすい条件は次のとおりです。

要因	条件
内部要因	責任感が強い 完璧主義である 自信がない 感情を表に出さない 人を頼るのが苦手
外部要因	職場でハラスメントにあった ノルマなどのプレッシャーがある 昇進し責任ある立場になった 転勤・異動があった 家族や友人関係が悪化した 大きな病気や怪我が判明した 結婚・離婚した 経済的に極端に苦しい

適応障害になりやすい内部要因として、責任感が強く完璧主義である一方で、周囲を頼れず自分に自信がない傾向が挙げられます。

当てはまる人がすべて適応障害になるというわけではありませんが、ストレスの処理能力が低ければ、それだけ適応障害になりやすいといえるでしょう。

外部要因としては、昇進・転勤・人間関係・結婚など、環境の大きな変化がきっかけになります。

これまでと異なる環境になったことで、大きなストレスが生じやすくなるため、注意が必要です。

適応障害の仕事への影響

適応障害を発症すると、仕事にも次のような影響が出ます。

まず、不眠や食欲不振から集中力が落ち、仕事のミスも増えやすくなります。

次に、抑うつ状態や怒り・緊張感が大きいと、同僚や上司ともうまくコミュニケーションがとれなくなり、仕事にも支障をきたすでしょう。

また、腹痛やめまい、起床困難などの身体症状が強く出ると、遅刻・欠勤せざるを得なくなります。

すると「サボっている」と誤解されたり、職場での居場所や役割を失ったりすることにもつながりかねません。

適応障害になったら仕事はどうする？

適応障害になってしまい、その原因が仕事にあると考えられる場合は、いったん仕事から離れるのがベストです。

適応障害は環境によるストレスから発症するため、ストレスの原因を取り除けば、約半年程度で改善するとされています。

しかし、急に職場を離れることは難しいという人も多いでしょう。

その場合は、次に挙げる4つの対処法を試してみてください。

関連記事：仕事に行けないのは適応障害が原因の可能性も？対処法を徹底解説

適応障害になったときの対処法4つ

適応障害になったときの対処法は、次の4つです。

働き方を変える

まずは、今の会社に勤めたままで、働き方を変えることを検討しましょう。

何にストレスを感じているかにもよりますが、働きすぎが問題であれば時短勤務、特定の人間関係が問題であれば部署異動や転勤などが有効です。

また、毎日出社していた場合はリモートワークに切り替えることで、ストレスの少ない状態で働けるようになるケースもあるでしょう。

休職する

症状が重く働ける状態でなければ、休職を検討してください。

休職中は給与が出ないことがほとんどですが、会社の社会保険に入っていれば傷病手当金が受け取れます。

傷病手当金は、ケガや病気で働けなくなった際に、給料の約2/3の金額を最大1年6ヵ月受け取れる制度です。

会社に原因がある場合、休職することで適応障害の症状が改善する可能性があります。

ただし、復職しても状況が同じなら、再び同じことを繰り返す可能性もあるため、休職がベストかどうかは慎重に判断してください。

関連記事：雇用保険の傷病手当とは？受給条件や期間・失業保険との関係を解説

転職する

適応障害の原因が仕事にあって改善の見込みがなく、まだ働ける状態であれば、転職するのがおすすめです。

なるべく早く転職活動を始めておき、退職日時点で転職先が内定している状態を目指しましょう。

すると職歴に空白が生まれず、給与も途切れないまま新しい仕事を始められます。

ただし、転職活動や新しい仕事は、それ自体も大きな変化やストレスを生みます。適応障害の症状が重い場合は、無理せずいったん休む選択をしても問題ありません。

関連記事：適応障害でも転職するには｜成功のためのポイント5つとおすすめ転職方法

退職する

休職しても変化が見込めない、今すぐに転職する余裕もないという場合は、退職を検討しましょう。

直接上司に伝えるのが気まずい、なるべく早く辞めたいというときは、退職代行サービスの利用がおすすめです。

最短で即日退職ができ、同僚や上司と直接のやりとりなく辞められます。

おすすめの退職代行サービスについて、くわしくは次の記事を参考にしてください。

関連記事：退職代行おすすめ23社比較ランキング【最新版】サービス内容や料金・評判を解説

適応障害で仕事を辞めるメリット・デメリット

ここでは、適応障害で仕事を辞めるメリット・デメリットをそれぞれまとめました。

メリット

適応障害で仕事を辞めるメリットは次のとおりです。

まずは何よりも、ゆっくり静養し病気の治療に専念できることが一番です。

ストレスから解放されることで心に余裕ができ、自分らしさを取り戻せれば、徐々に症状も改善していくでしょう。

また、これまで仕事に追われてきた方は、今後についてゆっくり考えることもできます。

次はあえて、これまでとは違う業種や業界にチャレンジするのもいいでしょう。

くわえて、雇用保険の加入期間などの条件を満たしていれば、退職後は失業保険や各種手当の受給が可能です。

病気ですぐに働けない場合、より手厚い手当を受けられるため、当面の生活の心配もいりません。

デメリット

適応障害で仕事を辞めるデメリットは次のとおりです。

まず、仕事を辞めると当然ながら収入が減ってしまいます。

傷病手当金で給与の2/3程度、失業保険で給与の50〜80％程度が受け取れるものの、これまでと同水準とはいえません。

働けない間は、ある程度生活を切り詰めるか、貯金を取り崩す必要が出てきます。

また、いつ病気が完治するかわからないため、復職や再就職への不安もあります。

さらに、仕事と仕事の空白期間が長くなると、将来的なキャリアに影響が出る恐れもあるでしょう。

病気になった以上、仕方のないことではありますが、仕事を辞めるデメリットも理解した上で今後どうするか決めてください。

関連記事：適応障害で退職するのは逃げではない！辞める前にとるべき行動も解説

適応障害で辞めるときの退職手順

適応障害で辞めるときは、次の手順でおこないましょう。

1.医師の診断書を用意する

「適応障害かもしれない」と思ったら、病院で診察を受けてください。

医師の診断書があると、失業保険の受給時や、退職理由を自己都合以外にしたいときに有利になる可能性があります。

そのため、あらかじめもらっておくと良いでしょう。

2.上司に退職の意思を伝える

その後は上司を通じて、会社へ退職届を提出しましょう。

退職理由は「一身上の理由」で問題ありません。

3.有給休暇の消化を申請する

退職前には、傷病手当金や有給休暇の取得を検討しましょう。

とくに傷病手当金は、在職中に受給を開始していれば、退職後も継続して受け取れるため退職前の受給がおすすめです。

有給休暇が残っている場合も、退職前に忘れずに消化しておいてください。

4.引き継ぎ・挨拶・貸与品の返却をする

退職日までの期間は、後任社員への引き継ぎや取引先への挨拶、貸与品の返却などを済ませます。

5.必要書類を受け取り退職する

失業保険の手続きに必要になるため、離職票などの書類はきちんと受け取って退職しましょう。

適応障害の人に向いている仕事の条件

適応障害になりやすい人や、すでに適応障害になっている人でも、自分に合った仕事を選ぶことで続けやすくなる可能性があります。

ここでは、適応障害の人に向いている仕事の条件を見ていきましょう。

自分のペースで働けるか

適応障害の人は、自分のペースで働ける仕事を選ぶのがおすすめです。

たとえば、ノルマがある営業や販売職などは不向きといえます。

事務や経理・データ入力のように、ある程度やることが決まっていて、コツコツと自分のペースで進められる仕事が向いています。

マニュアルが整っているか

マニュアルが整っている仕事もおすすめです。

決まった時間に決まった量をこなす、工場や倉庫などの製造業なら、精神的なプレッシャーを感じにくいでしょう。

ストレスが少ない環境か

ストレスが少ない環境かどうかも重視しましょう。

自分にとって、どんなことがストレスになりやすいか把握し、ストレスのもとがないことを優先して仕事を探すのも方法の一つです。

柔軟な働き方ができるか

柔軟な働き方ができるかもポイントです。

たとえば、次のような働き方ができるかをチェックしましょう。

とくに大企業で精神的に疲弊した人は、中小企業で柔軟性の高い会社に入ると融通がききやすいため、働きやすくなる可能性があります。

また、一般雇用枠が不安な場合は障害者雇用枠を利用し、会社の合理的配慮を受けながら働くのも方法の一つです。

適応障害になってもできる仕事を見つけるポイント5選

適応障害になってもできる仕事を見つけるポイントは、次の5つです。

まずは病気をきちんと治す

まずはゆっくり静養し、病気を治すことが第一です。

適応障害では気分が落ち込み、自分を責めてしまいがちですが、それも病気のせいです。

今まで働きすぎたり、人間関係で過度のストレスを抱えたりしていた人は、心身を休めて適切な治療を受けることで快方に向かう可能性があります。

ストレスの原因を認識する

そもそもなぜ適応障害になってしまったのか、原因を考えることも重要です。

仕事内容だったのか、パワハラだったのか、人間関係だったのかで、同じ過ちを繰り返さないため、今後の生き方や働き方のヒントになるでしょう。

適応障害であることを会社に伝え配慮を求める

適応障害であることを隠さず、最初に伝えた上で採用してもらえれば、必要な配慮を受けられることもあります。

たとえば、質問・相談ができる場を定期的に設ける、人間関係や環境に問題が生じた場合は配置換えや部署替えを検討してもらうといったことが可能です。

理解がある会社は少ないですが、今まで対応したことがないだけという場合も多いため、現在勤めている会社に一度相談してみるのも方法の一つです。

社員のメンタルヘルス対策をしている会社を選ぶ

社員のメンタルヘルス対策に取り組んでいる会社かどうかもチェックしましょう。

2015年に労働安全衛生法が施行され、企業にはメンタルヘルス対策が義務付けられました。

企業がおこなっているメンタルヘルス対策には、次のようなものがあります。

いざというときに相談できる窓口やカウンセラー制度が整っていたり、セミナーや研修を実施していたりする企業であれば、適応障害に関しても理解を得やすいでしょう。

就労移行支援や転職サポートを活用する

自分一人で自分に合った仕事を見つけることが困難だという場合は、次のようなサポートを活用するのもおすすめです。

いきなり働くことが不安であれば、就労移行支援事業所や地域障害者職業センターに相談してみてもいいでしょう。

また、職業訓練を受けたり、ハローワークのみどりの窓口（障害者窓口）を利用したりすることもできます。

もちろん、一般の転職エージェントを活用して働く方法もあるので、自分に適したサポートを活用しましょう。

まとめ

適応障害では、環境のストレスが心身にさまざまな症状となって表れます。

不眠・腹痛・めまいなどで仕事へ行けなくなり、「サボっている」と誤解されやすいですが、ストレスを取り除くことで改善も可能です。

働き方を変える、または休職・転職・退職など、自分にもっとも合った方法を探ってみましょう。

また、自分に合った仕事探しや、配慮の手厚い会社を選ぶことも大切です。

民間のサポートもうまく活用しながら、自分らしく働ける仕事・会社を見つけてみてください。