「うつ病で退職した人の末路はどうなる？」
「うつ病で退職したあとにもらえる手当や使える制度が知りたい」

うつ病で退職を検討しているものの、どんな末路が待っているのか不安になる方は多くいます。

うつ病での退職自体に問題はありませんが、経済的に苦しくなったり、社会復帰が困難になったりする恐れもあるため、注意が必要です。

この記事では、うつ病で退職した場合に考えられる末路や、そうならないためにできることを解説します。もらえる手当や利用できる制度も紹介するため、参考にしてください。

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うつ病で退職した場合に考えられる末路

うつ病で退職した場合に考えられる末路は、次のとおりです。

経済的に苦しくなる

うつ病で退職すると、経済的に苦しくなることが考えられます。

条件を満たせば失業保険がもらえるものの、受給できるのは前職の給与額の50〜80％程度です。

また、受給日数も限られているため、いずれは収入が途絶えてしまいます。

そうなれば貯金を崩して生活していくことになり、生活が不安定になることは否めません。

社会復帰が困難になる

一度うつ病で退職してしまうと、その後の社会復帰が困難になる恐れがあります。

うつ病の症状である気分の落ち込みや意欲の低下により、再び働き出すまでに時間がかかり、引きこもり状態になってしまう可能性もあるでしょう。

また、うつ病になった原因が人間関係や働きすぎだった場合、同じ状況になることに恐怖を感じ、社会から遠ざかってしまうことも考えられます。

関連記事：うつ病からの復職が「怖い」と感じたら｜社会復帰を目指す方に適切な選択とは

仕事が長続きしない

うつ病で退職してしまうと、その後の仕事も長続きしない可能性があります。

同じ職場や職種で長く働くことには、スキルアップや給与アップといったメリットもありますが、同時に人間関係や業務が複雑になるといった面も否めません。

一度つまずいてしまった経験から、同じ職場で長く働くことが怖くなり、仕事を転々とするようになることも考えられるでしょう。

働く意欲が湧かない

うつ病で退職すると、その後働く意欲も湧かなくなるリスクがあります。

意欲の低下はうつ病の代表的な症状のため、うつ病が治るとともに改善される可能性もないとはいえません。

しかし、働かない毎日に慣れることで、再び働くことが億劫になることも十分に考えられるでしょう。

保険や税金の手続きに手間がかかる

うつ病に限らず、退職後は保険や税金の手続きに手間がかかります。

ただでさえ病気なのに、そのうえさまざまな手続きに追われることに苦痛を感じてしまうかもしれません。

うつ病で退職するメリット

ここまで、うつ病で退職するデメリットを紹介しましたが、もちろん次のようなメリットもあります。

退職すると、業務や人間関係のストレスから完全に解放されます。

そのため本来の自分を取り戻し、うつ病の症状が快方に向かうことも考えられるでしょう。

また、雇用保険の加入条件を満たしていれば、失業保険を受給できます。

在職中に傷病手当金を受け取っていた場合、退職後に継続してもらうことも可能です。

さらに、うつ病が治れば、転職で新たな可能性が広がることもあるでしょう。

労働条件や人間関係は職場によって大きく異なるため、今よりも自分に合った職場に出会える可能性は十分にあります。

うつ病で退職する末路は、悪いことばかりではありません。退職を前向きにとらえ、できることを考えるようにしましょう。

うつ病で退職したあとにもらえる給付金・手当

うつ病で退職したあとにもらえる給付金・手当は次のとおりです。

退職後の生活の支えとして、活用してみてください。

関連記事：退職後にもらえる給付金まとめ！自己都合退職でももらえる条件とは？給付期間・金額も解説

失業保険

失業保険は、再就職の支援を目的に支給される雇用保険からの給付金です。

失業手当の利用は任意のため、支給を受けたい場合は申請が必要です。

受給日数は離職理由や年齢によって異なり、長ければ1年以上もらえる場合もあります。

受給金額は退職前の給与によって異なりますが、給与の50〜80％が目安です。

くわしい条件や計算方法については、以下の記事をご覧ください。

関連記事：失業手当（失業保険）はどんな制度？計算方法や条件・期間・もらい方までくわしく解説

失業保険で困っている方は失業保険サポートを利用しよう！

自分ひとりでの失業保険の手続きが難しい場合、失業保険サポートの利用が便利です。

面倒な手続きを任せられ、全額返金保証もあるため安心です。

無料Web相談会やLINE相談で、まずは相談してみてください。

傷病手当

雇用保険の傷病手当とは、病気やケガで15日以上働けないときに、失業保険と同額が支給される制度です。

うつ病ですぐには働けない場合でも、失業保険を申請したうえで、代わりに傷病手当を受け取れます。

2つを同時には受け取れないため、傷病手当を受け取る間は失業保険の延長手続きをしましょう。

くわしくは、以下の記事で解説しています。

関連記事：雇用保険の傷病手当とは？受給条件や期間・失業保険との関係を解説

傷病手当金

傷病手当金は、ケガや病気で働けなくなった場合に社会保険から支給されるお金です。

会社を連続して3日間以上休むと、4日目以降の休んだ日に対して次の金額が支給されます。

1日あたりの金額：支給開始日の以前12ヶ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3

ただし、休んだ期間に傷病手当金の額より多い報酬額の支給を受けた場合は支給されません。

失業保険と重複して受給はできませんが、退職前からもらっていれば退職後も継続して受け取れるのが特徴です。

参考：全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき（傷病手当金）」

関連記事：うつ病で傷病手当金はもらえる？受給要件や申請の方法を詳しく解説！

障害年金

障害年金は、国民年金または厚生年金保険の被保険者期間中に初診を受けており、保険料を一定以上納付している場合に受け取れるお金です。

うつ病の障害認定基準は次のとおりで、審査によって決定されます。

1級	常時援助が必要な状態
2級	日常生活に著しい制限がある状態
3級	労働に制限がある状態

障害年金は失業保険と重複して受け取れるため、治療が長期間にわたりそうな場合は検討してみましょう。

参考：日本年金機構

特別障害者手当

特別障害者手当は、日常生活で常時特別な介護が必要な場合にもらえるお金です。

受給するためには、本人および配偶者・扶養義務者の収入が一定額以下であることが条件です。

該当するかどうかは、住んでいる自治体の窓口で相談してみてください。

参考：厚生労働省

うつ病で退職したときに利用できる制度

うつ病で退職したときに利用できる制度は、次のとおりです。

自立支援医療制度

自立支援医療制度は、うつ病などの精神疾患で通院が必要な場合に、医療費の軽減が受けられる制度です。

通常の自己負担額が3割のところ、適用されると自己負担額が1割で済みます。

また、所得に応じて上限額が設定されているため、医療費が高額になりすぎるのを防げます。

参考：厚生労働省

心身障害者医療費助成制度

心身障害者医療費助成制度は、障害者手帳を持っている人の医療費を軽減するため、自治体ごとに設定されている制度です。通称「マル障」とも呼ばれます。

利用には所得基準がありますが、通院や入院にかかった費用の助成が受けられます。

生活困窮者自立支援制度

生活困窮者自立支援制度は、自立相談支援や就労訓練など、生活全般の支援がけられる制度です。

うつ病で働けず生活に困ったり、再就職が決まらず困ったりしたときに、必要なサポートを受けられます。

うつ病で退職後同じ末路を辿らないためにできること

ここからは、うつ病で退職後、同じ末路を辿らないためにできることを見ていきましょう。

ゆっくり休養して病気を治す

まずはゆっくり休養し、病気を治すことが第一です。

うつ病は気分が落ち込み、自分を責めてしまいがちですが、それも病気のせいです。

今まで働きすぎたり、人間関係で過度のストレスを抱えたりしていた人は、心身を休めて適切な治療を受けることで快方に向かう可能性があります。

うつ病になった原因を考える

そもそもなぜうつ病になってしまったのか、原因を考えるのも方法の一つです。

仕事内容だったのか、パワハラだったのか、人間関係だったのかによって、同じ過ちを繰り返さないため、今後の生き方や働き方のヒントになるでしょう。

やりたいことや自分にできることを考える

うつ病になってやれないことやできないことではなく、やりたいこと、自分にできることを考えるのもおすすめです。

うつ病で退職せざるを得なかったのだとしても、人生で必要な休養期間だと前向きにとらえ、今後はやりたいことをやってストレスをためない生き方もできます。

そうなれば、うつ病になったことも、退職したことも決してマイナスな出来事にはなりません。

自分に合った働き方をする

これまで無理をしすぎてしまったのなら、これからは自分に合った働き方をすることも検討しましょう。

短時間勤務やリモート勤務を選ぶ、障害者雇用で理解ある職場を選ぶ、思いきって引っ越して環境を変えるなど、できることはたくさんあります。

過去にとらわれず、ありのままの自分でいられる仕事や環境を見つけることが大切です。

うつ病で退職したあとの働き方

うつ病で退職したあとの働き方には、次のものがあります。

一般的な働き方だけでなく、さまざまな角度から働き方を考えてみましょう。

ハローワークで仕事を探す

通常どおり、ハローワークで仕事を探すのが第一の選択肢です。

3〜6ヶ月の試用期間を経て雇用するトライアル雇用や、就職相談会などを利用してもいいでしょう。

また、ハローワークには一般窓口のほか、障害者専用窓口も設けられています。

専門のスタッフに相談できるのはもちろん、障害者手帳があれば障害者雇用の求人に応募も可能です。

職業訓練を受ける

職業訓練は、スキルアップや知識を身につける訓練が無料で受けられる公共の制度です。

特定の資格を取得したり、技術を身につけたりすることで、これまでと違った仕事に挑戦できるチャンスが広がります。

失業保険をもらいながら受けられる訓練もあるため、うつ病の症状が落ち着いてきたら検討してみてもいいでしょう。

受講を希望する場合は、ハローワークで相談してみてください。

関連記事：職業訓練を受けながら失業保険をもらう方法！条件やメリット・デメリットを解説

就労移行支援事業（就労支援サービス）を利用する

就労移行支援事業（就労支援サービス）は、働くことが困難な人のための訓練や、就職活動のサポートをおこなうサービスです。

厚生労働省がバックアップしており、事業所に通いながら職業訓練や面接対策などの支援を受けられます。

いきなり働き始めることに抵抗を感じる場合は、サポートを受けながら再就職を目指しましょう。

関連記事：就労移行支援はやめとけって本当？体験談をもとに通うべき人の特徴を解説！

地域障害者職業センターを利用する

地域障害者職業センターは、障害者の職業リハビリテーションをおこなう施設です。

働き方の希望や適性を踏まえ、情報提供や相談などをおこなっています。

就労移行支援事業同様、新たな働き方の足がかりとして利用してみてください。

障害者就業・生活支援センターを利用する

障害者就業・生活支援センターは、障害者の就職や生活にかかわる相談や支援をおこなう機関です。

職業訓練や就職活動のサポートだけでなく、日常生活の支援まで幅広く対応しています。

うつ病で生活が困難になった場合の相談先として、活用してみましょう。

うつ病で退職するときによくある質問

ここでは、うつ病で退職するときによくある質問に回答します。

うつ病で退職するのはずるい？

ずるいことではありません。

うつ病で退職すると「ずるい」と言われるのは、うつ病への理解不足が大きいといえます。

うつ病のような心の病気は目に見える症状がないため、まわりからは「サボっているだけ」などと思われがちです。

しかし、脳の神経物質の働きが悪くなることが原因の一つとされており、れっきとした病気なのです。

退職して休養をとり、適切な治療をおこなうことが必要であり、まわりにどうこう言われる筋合いはないといえます。

関連記事：うつ病で休職や退職すると「ずるい」と言われる理由とは？メリット・デメリットや対処法を解説

うつ病で退職しても失業保険はもらえる？

うつ病で退職しても、失業保険はもらえます。

自己都合で辞める場合とは異なり、うつ病が原因の場合は「特定理由離職者」や「就職困難者」に該当する可能性があります。

その場合、受給日数が長くなったり、受給条件が緩和されたりするため、退職前によく確認しておきましょう。

関連記事：うつ病で失業保険を300日もらう条件は？手順や金額もくわしく解説

うつ病で退職するときの伝え方は？

必ずしも病気を公にせず、「一身上の理由」で構いません。

しかし、退職理由によって失業保険の受給条件に影響するため、可能であれば医師の診断書とともに、病気が原因であることを伝えるといいでしょう。

なお、病状がひどく直接伝えることが難しければ、電話や手紙、退職代行での退職も視野に入れてください。

関連記事：退職代行おすすめ23社比較ランキング【2024年11月】サービス内容や料金・評判を解説

まとめ

うつ病で退職した末路として、経済的に苦しくなったり、社会復帰が困難になったりすることが考えられます。

しかし、人間関係や仕事のストレスから解放され、治療に専念できるメリットもあるため、悪い末路ばかりを気にしすぎる必要はありません。

まずは病気を治すことを第一に考え、回復後は無理のない働き方を目指しましょう。

退職後にもらえる手当や、利用できる制度も多くあるため、上手に利用してみてください。 うつ病で悲惨な末路を迎えないために、自分にできることから始めてみましょう。